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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】媒体支持装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20240220BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240220BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65H1/04 310
B41J2/01 305
B65H11/00 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020048810
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147179
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】高林 和典
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-000652(JP,A)
【文献】特開2015-147669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
B41J 2/01
B65H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に処理を行う処理部を備える装置本体に対し、媒体を支持する支持面を展開する展開状態と、前記装置本体に収納される収納状態と、を切り換え可能な媒体支持装置であって、
前記装置本体に対して第1位置と第2位置との間で変位可能な第1支持部と、
前記第1支持部により支持され、前記第1支持部に対して収納される位置と前記第1支持部から突出する位置とに変位可能な第2支持部と、を備え、
前記第1支持部が前記第1位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部に収納されることで前記収納状態が形成され、前記第1支持部が前記第2位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部から突出することで前記展開状態が形成され、
前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部を前記第1支持部に収納される位置にロックし、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記ロックを解除可能なロック手段を備え、
前記第1支持部を回転可能に支持するとともに前記装置本体において変位することで前記第1支持部を前記第1位置と前記第2位置との間で変位させるベース部を備え、
前記第1支持部は、前記ベース部に対して回転することにより、前記第1位置と前記第2位置との間で変位する際の変位姿勢と、媒体を支持する際の支持姿勢とに切り換え可能であり、
前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢に切り換わることで、前記ロック手段による前記ロックが解除され、
前記ベース部は、前記装置本体を構成するフレームとともに前記第1支持部の前記支持姿勢を形成し、
前記ロック手段は、前記ベース部に設けられたロック部を備えて構成され、前記ロック部により前記第2支持部が前記第1支持部に収納される位置にロックされ、
前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢に切り換わることにより、前記第2支持部が前記ロック部から離間して前記ロックが解除される、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項2】
請求項に記載の媒体支持装置において、前記第1支持部は、前記第1位置と前記第2位置との間の位置にある状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢への回転が規制される、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載の媒体支持装置において、前記第2支持部が前記第1支持部から突出した状態のままで前記第1支持部が前記支持姿勢から前記変位姿勢に切り換わり、その後前記第2位置から前記第1位置に向けて変位する際に、前記ベース部が撓むことで、前記第2支持部において前記ロック部によりロックされる部位が前記ロック部を乗り越える、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項4】
請求項に記載の媒体支持装置において、前記第2支持部により支持され、前記第2支持部に対して収納される位置と前記第2支持部から突出する位置とに変位可能な第3支持部を備え、
前記第3支持部は、前記ロック手段により、前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部に収納される位置にロックされ、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記第2支持部に対するロックが解除可能となる、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項5】
請求項に記載の媒体支持装置において、前記第2支持部が前記第1支持部から突出した状態を保持する第2支持部保持手段と、
前記第3支持部が第2支持部から突出した状態を保持する第3支持部保持手段と、を備え、
前記第2支持部保持手段は、前記第1支持部及び前記第2支持部の一方に設けられた第1係合部と、前記第1支持部及び前記第2支持部の他方に設けられて前記第1係合部に対し弾性によって当接する第2係合部とを備えて構成され、
前記第3支持部保持手段は、前記第2支持部及び前記第3支持部の一方に設けられた第3係合部と、前記第2支持部及び前記第3支持部の他方に設けられて前記第3係合部に対し弾性によって当接する第4係合部とを備えて構成され、
前記第2支持部は、媒体の送り方向と交差する方向である幅方向の両側において前記第1支持部によりガイドされ、
前記第3支持部は、前記幅方向の両側において前記第2支持部によりガイドされ、
前記幅方向において、前記第3支持部が前記第2支持部にガイドされる位置と前記第3支持部保持手段との距離が、前記第2支持部が前記第1支持部にガイドされる位置と前記第2支持部保持手段との距離より短い、
ことを特徴とする媒体支持装置。
【請求項6】
媒体に対して記録を行う、前記処理部としての記録ヘッドと、
給送される媒体を支持する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の前記媒体支持装置と、
を備えた記録装置。
【請求項7】
請求項に記載の記録装置において、前記媒体支持装置は、前記記録装置の背面側に備えられ、前記記録装置の背面の一部を形成する、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を支持する媒体支持装置、及びこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の一例であるプリンターや、画像読取装置の一例であるドキュメントスキャナーでは、媒体を支持する媒体支持装置が設けられる。記録装置に設けられる媒体支持装置は、例えば給送前の用紙を支持する給紙トレイや、記録が行われて排出される用紙を受ける排紙トレイとして構成される。
特許文献1には、媒体支持装置の一例である給紙トレイが開示されている。この給紙トレイは、装置に対して垂直に収納されており、給紙トレイを上に引き出して斜め後方に倒すことで、水平に対して傾斜したシート載置面が形成される。また給紙トレイは複数の部材で構成され、展開することでシート積載面が延長される様に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-016050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体支持装置を複数の部材で構成し、また、各部材を引き出すことで媒体を支持する支持面が展開される様に構成する場合、ユーザーによっては小サイズの媒体を支持する際に展開途中で止めたままにして用いる場合がある。その際、展開状態で最も先端に位置する部材が、最も基端に位置する部材より先に引き出されると、媒体を適切な姿勢で支持できない虞がある。展開状態で最も先端に位置する部材は、最も基端に位置する部材よりも撓み易いからである。特に媒体のセット枚数が多くなると、上記の様な現象は顕著となる。従って媒体支持装置の各部材を引き出す際の引き出し順、即ち展開順には、規則性を持たせることが好ましい。
【0005】
各部材の展開順に規則性を持たせる為には、媒体支持装置の各部材に設定する保持力を適切なものとする必要がある。以下、図21を参照してこれを説明する。図21において媒体支持装置は、展開状態において最も基端に位置する第1部材101と、最も先端に位置する第2部材102とを備えている。第2部材102は第1部材101に収納され、第1部材101は装置本体2に収納される。
【0006】
図21の上の図で示す様に、第2部材102を把持して上方に引き出す際に、第2部材102が第1部材101から引き出されずに、第1部材101と第2部材102とが一体となって装置本体2から上方に引き出される為には、第1部材101に対して第2部材102を保持する為の保持力F2が、第1部材101の重さにより生じる重力よりも大きい必要がある。尚、装置本体2に対して第1部材101を保持する保持力を設定する場合には、保持力F2は更に大きくしなければならない。また大きなサイズの媒体に対応する為に、第1部材101を大型化する場合や、媒体支持装置を構成する部材を更に増やし、第2部材102を把持した際に複数の部材を保持する場合にも、保持力F2は更に大きくしなければならない。
そうすると、図21の下の図で示す様に保持力F2に打ち勝って第2部材102を第1部材101から引き出す為に必要なユーザーの操作力Mが大きくなってしまい、操作性が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の媒体支持装置は、媒体に処理を行う処理部を備える装置本体に対し、媒体を支持する支持面を展開する展開状態と、前記装置本体に収納される収納状態と、を切り換え可能な媒体支持装置であって、前記装置本体に対して第1位置と第2位置との間で変位可能な第1支持部と、前記第1支持部により支持され、前記第1支持部に対して収納される位置と前記第1支持部から突出する位置とに変位可能な第2支持部と、を備え、前記第1支持部が前記第1位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部に収納されることで前記収納状態が形成され、前記第1支持部が前記第2位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部から突出することで前記展開状態が形成され、前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部を前記第1支持部に収納される位置にロックし、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記ロックを解除可能なロック手段を備えることを特徴とする。
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プリンターを前方から見た斜視図。
図2】プリンターを後方から見た斜視図。
図3】プリンターの用紙搬送経路を示す図。
図4】第1支持部を第2位置に変位させた状態の用紙支持装置の斜視図。
図5】第1支持部を支持姿勢に切り換えた状態の用紙支持装置の斜視図。
図6】第2支持部を展開した用紙支持装置の斜視図。
図7】第3支持部を展開し、展開状態とした用紙支持装置の斜視図。
図8】第3支持部を展開し、展開状態とした用紙支持装置を後方から見た斜視図。
図9】ベース部及びフレームの部分断面図。
図10】第1支持部及びフレームの部分断面図。
図11】ロック部の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図12】第2支持部及び第3支持部を展開したまま第1支持部を変位姿勢とした用紙支持装置の斜視図。
図13】ロック部の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図14】第1保持手段の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図15】第3保持手段の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図16】第2保持手段の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図17】第41保持手段の位置における用紙支持装置の部分断面図。
図18】用紙支持装置を背面から見た平面図。
図19】第2支持部から第3支持部を取り外した状態で背面から見た平面図。
図20】第1支持部から第2支持部を取り外した状態で背面から見た平面図。
図21】従来技術の課題を模式的に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体支持装置は、媒体に処理を行う処理部を備える装置本体に対し、媒体を支持する支持面を展開する展開状態と、前記装置本体に収納される収納状態と、を切り換え可能な媒体支持装置であって、前記装置本体に対して第1位置と第2位置との間で変位可能な第1支持部と、前記第1支持部により支持され、前記第1支持部に対して収納される位置と前記第1支持部から突出する位置とに変位可能な第2支持部と、を備え、前記第1支持部が前記第1位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部に収納されることで前記収納状態が形成され、前記第1支持部が前記第2位置にあるとともに前記第2支持部が前記第1支持部から突出することで前記展開状態が形成され、前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部を前記第1支持部に収納される位置にロックし、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記ロックを解除可能なロック手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第1支持部と第2支持部とを備えて成る媒体支持装置は、前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部を前記第1支持部に収納される位置にロックし、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記ロックを解除可能なロック手段を備えるので、少なくとも前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位するまでは、前記第1支持部と前記第2支持部との位置関係が確実に維持されることとなり、即ち前記第1支持部と前記第2支持部の展開順に規則性が形成されることとなる。
そして図21を参照して説明した如く、前記第1支持部と前記第2支持部とを上方に引き出す場合に、前記第1支持部に対して前記第2支持部を保持する保持力を設定することで展開順に規則性を形成する構成に比べて、前記第1支持部に対して前記第2支持部を保持する保持力が小さくて済み、或いは前記第1支持部に対して前記第2支持部を保持する保持力が殆ど必要なくなる。その為、前記媒体支持装置を前記展開状態にする為に必要なユーザー操作力が小さくて済み、操作性の低下を抑制できる。
尚、本明細書において「媒体を支持する支持面」は、少なくとも前記第1支持部と前記第2支持部とで形成され、全体が面一に限られず、段差があるものも含まれる意味である。
また、本明細書において「第1支持部が第2位置にある」とは、第1支持部が第2位置に位置した状態を維持しつつ例えば姿勢変化した場合でも、第1支持部が第1位置と第2位置との間で変位する観点では、第1支持部が第2位置にあるものとする。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1支持部を回転可能に支持するとともに前記装置本体において変位することで前記第1支持部を前記第1位置と前記第2位置との間で変位させるベース部を備え、前記第1支持部は、前記ベース部に対して回転することにより、前記第1位置と前記第2位置との間で変位する際の変位姿勢と、媒体を支持する際の支持姿勢とを切り換え可能であり、前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢に切り換わることで、前記ロック手段による前記ロックが解除されることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢に切り換わることで、前記ロック手段による前記ロックが解除される構成であるので、前記ロック手段による前記ロックの解除を、容易に行うことができる。
【0013】
第3の態様は、第2の態様において、前記ベース部は、前記装置本体を構成するフレームとともに前記第1支持部の前記支持姿勢を形成することを特徴とする。
【0014】
第4の態様は、第3の態様において、前記ロック手段は、前記ベース部に設けられたロック部を備えて構成され、前記ロック部により前記第2支持部が前記第1支持部に収納される位置にロックされ、前記第1支持部が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢に切り換わることにより、前記第2支持部が前記ロック部から離間して前記ロックが解除されることを特徴とする。
本態様によれば、前記ロック手段の構想を簡単にして低コストに構成できる。
【0015】
第5の態様は、第4の態様において、前記第1支持部は、前記第1位置と前記第2位置との間の位置にある状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢への回転が規制されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1支持部は、前記第1位置と前記第2位置との間の位置にある状態で前記変位姿勢から前記支持姿勢への回転が規制されるので、不用意に前記ロック手段による前記ロックが解除されることを抑制できる。
【0016】
第6の態様は、第4のまたは第5の態様において、前記第2支持部が前記第1支持部から突出した状態のままで前記第1支持部が前記支持姿勢から前記変位姿勢に切り換わり、その後前記第2位置から前記第1位置に向けて変位する際に、前記ベース部が撓むことで、前記第2支持部において前記ロック部によりロックされる部位が前記ロック部を乗り越えることを特徴とする。
【0017】
ユーザーによっては、前記第2支持部が前記第1支持部から突出した状態のままで前記第1支持部を前記支持姿勢から前記変位姿勢に向けて回転させ、その後前記第1支持部を前記第2位置から前記第1位置に変位させる場合がある。これは即ちイレギュラーな操作であり、この場合、前記ロック部と、前記第2支持部において前記ロック部によりロックされる部位とが衝突して前記第2支持部が前記第1支持部に収納できない虞がある。また、前記ロック部の破損を招く虞もある。
しかしながら本態様によれば、前記ベース部が撓むことで、前記第2支持部において前記ロック部によりロックされる部位が前記ロック部を乗り越えることができる。従って上記の様にイレギュラーな操作が行われた場合でも、前記媒体支持装置を前記収納状態に切り換えることができる。また、前記ロック部の破損も抑制できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、前記第2支持部により支持され、前記第2支持部に対して収納される位置と前記第2支持部から突出する位置とに変位可能な第3支持部を備え、前記第3支持部は、前記ロック手段により、前記第1支持部が前記第1位置にある際に前記第2支持部に収納される位置にロックされ、前記第1支持部が前記第2位置にある際に前記第2支持部に対するロックが解除可能となることを特徴とする。
本態様によれば、前記第3支持部を備える構成において、上記第6の態様の作用効果が得られる。
【0019】
第8の態様は、第7の態様において、前記第2支持部が前記第1支持部から突出した状態を保持する第2支持部保持手段と、前記第3支持部が第2支持部から突出した状態を保持する第3支持部保持手段と、を備え、前記第2支持部保持手段は、前記第1支持部及び前記第2支持部の一方に設けられた第1係合部と、前記第1支持部及び前記第2支持部の他方に設けられて前記第1係合部に対し弾性によって当接する第2係合部とを備えて構成され、前記第3支持部保持手段は、前記第2支持部及び前記第3支持部の一方に設けられた第3係合部と、前記第2支持部及び前記第3支持部の他方に設けられて前記第3係合部に対し弾性によって当接する第4係合部とを備えて構成され、前記第2支持部は、媒体の送り方向と交差する方向である幅方向の両側において前記第1支持部によりガイドされ、前記第3支持部は、前記幅方向の両側において前記第2支持部によりガイドされ、前記幅方向において、前記第3支持部が前記第2支持部にガイドされる位置と前記第3支持部保持手段との距離が、前記第2支持部が前記第1支持部にガイドされる位置と前記第2支持部保持手段との距離より短いことを特徴とする。
【0020】
支持部を突出した状態に保持する保持手段が、一方の係合部に対し他方の係合部が弾性によって当接する構成である場合、支持部が2つの係合部を離す方向に撓むと、保持力が弱まり、支持部を突出した状態に保持することができなくなる。この様な不具合は、前記第2支持部と前記第3支持部との比較において、展開状態においてより突出する関係で剛性が確保し難い前記第3支持部において生じ易くなる。
一方、上記撓みは、前記幅方向において支持部の中央部よりも端部即ちガイドされる位置のほうが小さくなる。本態様では、前記第3支持部が前記第2支持部にガイドされる位置と前記第3支持部保持手段との距離が、前記第2支持部が前記第1支持部にガイドされる位置と前記第2支持部保持手段との距離より短いので、前記第3支持部に対して突出状態を維持する保持力を適切に維持できる。
【0021】
第9の態様に係る記録装置は、媒体に対して記録を行う、前記処理部としての記録ヘッドと、給送される媒体を支持する、第1から第8の態様のいずれかに係る前記媒体支持装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第8の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0022】
第10の態様は、第9の態様において、前記媒体支持装置は、前記記録装置の背面側に備えられ、前記記録装置の背面の一部を形成することを特徴とする。
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図においてX軸に沿った方向は装置幅方向であり、媒体の一例である用紙を搬送する用紙搬送方向と交差する方向、即ち用紙幅方向となる。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+X方向は同左方向となる。
またY軸に沿った方向は装置奥行き方向であり、+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。+Y方向が、記録が行われた用紙を排出する排出口17(図3参照)からの用紙排出方向となる。本実施形態において装置の周囲を構成する側面のうち前面カバー4が設けられた側面が装置前面となる。
またZ軸に沿った方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方となる。
尚、以下では用紙が送られていく方向を「下流」と称し、その逆方向を「上流」と称する場合がある。
【0024】
図1図3において記録装置の一例であるインクジェットプリンター1は、装置本体2の上部に、スキャナー部3を備えて成る、所謂複合機である。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。
スキャナー部3は、装置本体2に対して回動可能に設けられており、回動することにより、図1に示す閉じた状態と不図示の開いた状態とをとり得る。スキャナー部3は、原稿台3b(図3参照)を開閉する原稿カバー3aを備えている。
【0025】
装置本体2の上部において原稿カバー3aに対し背面側には、上部カバー9が設けられている。上部カバー9を開き、後述する媒体支持装置としての用紙支持装置20を展開すると、図3に示す様にホッパー6及び用紙支持装置20への用紙のセットが可能となる。ホッパー6及び用紙支持装置20に支持された用紙は、ホッパー6の上昇によって第2給送ローラー11に当接し、第2給送ローラー11の回転によって下流へ給送される。図3において符号T2は、第2給送ローラー11によって送り出される用紙の給送経路を示している。
【0026】
装置本体2の前面において下方には、前面カバー4が設けられている。前面カバー4は、装置本体2の下部に位置する下部給紙トレイ5に対して回転可能に設けられ、回転することにより、図1に示す様に閉じた状態と、図3に示す様に開いた状態とを取り得る。
前面カバー4を開くと、図3に示す様に記録が行われた用紙を排出する排出口17が露呈し、また、排出口17から排出される用紙を受ける用紙受けトレイ18が露呈する。
用紙受けトレイ18は、不図示のモーターの動力を受けて、装置本体2の内部に収容された状態と、図3に示す様に装置本体2から突出して展開した状態とを取り得る。
【0027】
以下、図3を参照して用紙搬送経路について更に説明する。装置本体2の下部に位置する下部給紙トレイ5に収容された用紙は、第1給送ローラー10によって-Y方向に送り出される。符号T1は、下部給紙トレイ5から送り出される用紙の給送経路を示している。
第1給送ローラー10の上方には、反転ローラー8が設けられており、下部給紙トレイ5或いはホッパー6から送り出された用紙は反転ローラー8から送り力を受け、反転ローラー8に対して+Y方向に位置する搬送ローラー対13に向けて送られる。
そして用紙は、搬送ローラー対13により、記録ヘッド15と対向する領域即ち記録領域に搬送される。
【0028】
用紙に処理を行う処理部の一例である記録ヘッド15はキャリッジ14に設けられ、キャリッジ14は、不図示の動力源によってX軸方向に往復動する。記録ヘッド15は、キャリッジ14の移動動作に伴い、用紙に対してインクを吐出する。
そして記録の行われた用紙は、排出ローラー対16により、用紙受けトレイ18に向けて排出される。
【0029】
続いて装置後方に設けられた用紙支持装置20について詳説する。尚、図11図13は用紙支持装置20を図18の位置X1においてY-Z平面で切断し、+X方向を見た断面図である。また図14図16は用紙支持装置20を図18の位置X2においてY-Z平面で切断し、+X方向を見た断面図であり、図15図17は用紙支持装置20を図18の位置X3においてY-Z平面で切断し、+X方向を見た断面図である。
【0030】
用紙支持装置20は、装置本体2に対し、用紙を支持する支持面20aを展開する展開状態(図3図7図8図16図17参照)と、装置本体2に収納される収納状態(図1図2図14図15参照)と、を切り換え可能に設けられている。用紙支持装置20は収納状態において、図2に示す様に装置本体2の背面の一部を形成する。本実施形態において用紙支持装置20の展開状態と収納状態の切り換えは、ユーザー操作により行われる。尚、図4図5、及び図6は、用紙支持装置20を展開状態にする途中の状態を示している。特に図5図6に示す展開途中の状態においても、用紙サイズにより、用紙を支持することができる。
用紙支持装置20は、装置本体2に対して第1位置と第2位置との間で変位可能であるとともに支持面20aの一部を形成する第1支持部21を備えている。図2は第1支持部21が第1位置にある状態を示し、図4は第1支持部21が第2位置にある状態を示している。詳しくは後に説明するが、第1支持部21は第2位置にある状態で姿勢変化可能である。しかしながら以下において単に第1支持部21が第2位置にあると言う場合、第1支持部21の姿勢は問わないことする。具体的には、本明細書において第1支持部21の第2位置とは、第1支持部21を構成する部位のうち特に後述する回転軸21a(図9参照)の鉛直方向における位置に着目し、回転軸21aが最も鉛直方向下に位置する際に第1支持部21が第1位置にあるとし、回転軸21aが最も鉛直方向上に位置する際に第1支持部21が第2位置にあるとする。
【0031】
用紙支持装置20は、第1支持部21により支持され、第1支持部21に対して収納される収納位置と第1支持部21から突出する突出位置とに変位可能であるとともに支持面20aの一部を形成する第2支持部22を備えている。図4図5は、第2支持部22が第1支持部21に収納された収納位置にある状態を示し、図6は、第2支持部22が第1支持部21から突出した突出位置にある状態を示している。
更に用紙支持装置20は、第2支持部22により支持され、第2支持部22に対して収納される収納位置と第2支持部22から突出する突出位置とに変位可能であるとともに支持面20aの一部を形成する第3支持部23を備えている。図5図6は、第3支持部23が第2支持部22に収納された収納位置にある状態を示し、図7は、第3支持部23が第2支持部22から突出した突出位置にある状態を示している。
【0032】
また更に用紙支持装置20は、第1支持部21を回転可能に支持するとともに装置本体2において変位することで第1支持部21を第1位置と第2位置との間で変位させるベース部24を備えている。第1支持部21は、ベース部24に対して回転することにより、第1位置と第2位置との間で変位する際の変位姿勢と、用紙を支持する際の支持姿勢とを切り換え可能である。図4は第1支持部21が変位姿勢にある状態を示し、図5は第1支持部21が支持姿勢にある状態を示している。
【0033】
先ず、用紙支持装置20の収納状態から展開状態への切り換え操作について説明する。図2において用紙支持装置20は、上面の一部が上部カバー9により覆われており、上部カバー9を開くことにより、収納状態から展開状態に切り換えることができる。尚、上部カバー9は、開く際にユーザーがクリック感を感じる様に、閉じた状態を保持する保持力を設ける構成としても良い。これにより、プリンター1が傾いた状態に置かれた際に、上部カバー9が不用意に開くことを抑制でき、ひいては用紙支持装置20が不用意に展開することを抑制できる。尚、図4図8においては、便宜上、上部カバー9の図示を省略している。
【0034】
本実施形態において用紙支持装置20は、収納状態において図14及び図15に示す様に垂直姿勢を取り、装置本体2の後方に完全に収納された状態をとっている。第1支持部21の変位姿勢は、本実施形態では垂直姿勢である。そして用紙支持装置20が収納状態にある際の第1支持部21の位置が、第1支持部21の第1位置となる。
【0035】
収納状態にある用紙支持装置20の上部には把持部23bが設けられており、ユーザーは上部カバー9を開いた後、把持部23bを把持して、ほぼ垂直に把持部23bを引き上げる。把持部23bは、第3支持部23の一部である。
図9に示す様に装置本体2を構成するフレーム25には鉛直方向に平行な第1ガイド溝25aが形成されており、この第1ガイド溝25aに、ベース部24に形成された被ガイド部24aが入り込んでいる。第1支持部21は回転軸21aがベース部24の軸受部24bに回転可能に支持され、X軸方向に平行な回転軸線を中心に回転する。
【0036】
尚、把持部23bは、図16及び図17に示す様に支持面20a側に突出する突出部23cを有している。これにより、支持面20aに支持される用紙のサイズが大きい場合であって、用紙の上部が支持面20aの上端から外れる様な場合に、用紙において支持面20aの上端から外れる部分が下方に垂れ下がり難くなるという作用効果が得られる。
【0037】
また、第1支持部21には図10に示す様にX軸方向に突出するボス部21bが形成されており、このボス部21bも、第1ガイド溝25a(図9参照)に入り込んでいる。
尚、図9及び図10は、用紙支持装置20の-X方向の端部構成を示しており、図示は省略するが+X方向の端部も同様な構成とされている。即ちベース部24は、X軸方向の両端部で、フレーム25によりガイドされる。また第1支持部21は、X軸方向の両端部で、ベース部24により回転可能に支持される。
【0038】
把持部23bを上方に引き上げると、図4に示す様に第1支持部21、第2支持部22、第3支持部23、ベース部24、のこれらが一体となって上方に引き上げられる。この様に上方に引き出された際の第1支持部21の位置が、第1支持部21の第2位置となる。
【0039】
第1支持部21が第1位置と第2位置との間にある間、図10のボス部21bは第2ガイド溝25bに臨んでおらず、これにより第1支持部21は回転軸21aを中心とした回転が拘束される。第1支持部21が第2位置まで移動すると、図10に示す様にボス部21bがY軸方向に沿って延びる第2ガイド溝25bに臨む。これにより第1支持部21は回転軸21aを中心とした回転が許容され、図4から図5への変化で示す様に、垂直方向に沿った変位姿勢から傾斜した支持姿勢に切り換わることができる。即ち第1支持部21の支持姿勢は、回転軸21aを支持するベース部24と、ボス部21bが当接するフレーム25とで形成されることとなる。また同様に第1支持部21の変位姿勢も、回転軸21aを支持するベース部24と、ボス部21bが入り込む第1ガイド溝25a即ちフレーム25とで形成されることとなる。
また逆に第1支持部21は、第2位置にあるときに、図5から図4への変化で示す様に支持姿勢から変位姿勢に切り換わることができる。
尚、ベース部24は、回転軸21aを支持する部位に加えて、上端部24d(図8参照)が第1支持部21に当接し、上端部24dが第1支持部21を背面側から支持する様に構成しても良い。
【0040】
第1支持部21が傾斜姿勢即ち支持姿勢に切り換わった後、ユーザーが把持部23bを傾斜姿勢に沿った斜め上方向に引き上げると、図5から図6への変化で示す様に第2支持部22が、第1支持部21から突出する突出位置に変位する。そして更にユーザーが把持部23bを斜め上方向に引き上げると、図6から図7及び図8への変化で示す様に第3支持部23が、第2支持部22が突出する突出位置に変位する。これにより用紙支持装置20は展開状態となる。
【0041】
用紙支持装置20における上記の動作を、第1支持部21と第2支持部22の観点で述べると、第1支持部21が第1位置にあるとともに第2支持部22が第1支持部21に収納されることで用紙支持装置20の収納状態が形成される。そして第1支持部21が第2位置にあるとともに第2支持部22が第1支持部21から突出することで用紙支持装置20の展開状態が形成される。
【0042】
用紙支持装置20を展開状態から収納状態にする場合は、上記の逆の順を辿る。即ち、図7及び図8の展開状態で第3支持部23を斜め下方向に押すと、図7から図6への変化で示す様に第3支持部23が、第2支持部22に収納された収納位置に変位する。そして更に第3支持部23を斜め下方向に押すと、図6から図5への変化で示す様に第2支持部22が、第1支持部21に収納された収納位置に変位する。この状態から第1支持部21を図4に示す変位姿勢に向けて回転させ、第1支持部21、第2支持部22、第3支持部23、ベース部24、のこれらを一体に鉛直下方に変位させると、図2図14図15に示す収納状態となる。
【0043】
以下、上述した用紙支持装置20の展開順及び収納順を実現する手段について詳説する。
上述したように収納状態にある用紙支持装置20の把持部23bを把持して上方に引き出す際、第1支持部21、第2支持部22、第3支持部23、ベース部24、のこれらが一体となって上方に変位する。この動作は、第1支持部21が第1位置にある際に第2支持部22及び第3支持部23を第1支持部21に収納される収納位置にロックし、第1支持部21が第2位置にある際に前記ロックを解除可能なロック手段30によって実現される。
【0044】
ロック手段30は、図11に示す様にベース部24に設けられた突起状のロック部24cにより構成されている。ロック部24cは、+Z方向が傾斜面として形成されており、-Z方向が用紙支持装置20の収納状態においてY軸方向に延びる面として形成されている。ロック部24cのX軸方向における位置の図示は省略するが、X軸方向においてロック部24cはベース部24の中心位置に一つ設けられている。但しこれに限られず、ロック手段30即ちロック部24cのX軸方向における配置位置及び配置数は、適宜調整することができる。
【0045】
図11において第3支持部23の-Z方向端部には第3当接部23aが形成され、第2支持部22の-Z方向端部には第2当接部22aが形成されている。また第1支持部21には、第1当接部21cが形成されている。第2当接部22a、第3当接部23a、第1当接部21cは、用紙支持装置20の収納状態において-Y方向に延びる様に形成されている。
【0046】
図11の上の図は用紙支持装置20の収納状態を示しており、この状態ではロック部24cの下側に、第3支持部23の第3当接部23aが位置し、更にその下側に第2支持部22の第2当接部22aが位置し、更にその下側に第1支持部21の第1当接部21cが位置している。従ってこの状態で把持部23b即ち第3支持部23を上方に引き上げようとすると、第3支持部23の第3当接部23aがロック部24cに引っ掛かり、ベース部24を上方に引き上げる。ベース部24と第1支持部21は回転可能に連結されている為、ベース部24が上方に変位すると第1支持部21も上方に変位する。そしてまた、第2支持部22も、第1支持部21の第1当接部21cによって上方に持ち上げられる。これにより、第1支持部21、第2支持部22、第3支持部23、ベース部24、のこれらが一体となって上方に引き上げられ、第1支持部21のみが、図4に示した様に展開する。
【0047】
次に図11の下の図は、第1支持部21が第2位置に移動し、回転することで変位姿勢から支持姿勢に切り換わった状態を示している。第1支持部21が変位姿勢から支持姿勢に切り換わることで、第2支持部22及び第3支持部23がロック部24cから離れ、ロック手段30によるロックが解除される。つまり、第3支持部23の第3当接部23aがロック部24cから離間することで、ロックが解除される。ロック手段30によるロックが解除されると、第2支持部22及び第3支持部23は、第1支持部21から突出して展開することができる。
【0048】
以上の様に、ロック手段30によって、少なくとも第1支持部21が第1位置から第2位置に変位するまでは、第1支持部21と第2支持部22との位置関係、更には第1支持部21と第3支持部23との位置関係が確実に維持されることとなり、収納状態から展開状態に切り換える際、最初に第1支持部21が展開されることとなる。即ち、第1支持部21と第2支持部22の展開順に規則性が形成されることとなる。
従って図21を参照して説明した如く、第1支持部21と第2支持部22とを上方に引き出す場合に、第1支持部21に対して第2支持部22を保持する保持力を設定することで展開順に規則性を形成する構成に比べて、第1支持部21に対して第2支持部22を保持する保持力が小さくて済み、或いは第1支持部21に対して第2支持部22を保持する保持力が殆ど必要なくなる。その為、展開状態にする為に必要なユーザー操作力が小さくて済み、操作性の低下を抑制できる。尚、本実施形態において第2支持部22が第1支持部21に収納された状態を保持する手段は、後述する第1保持手段31(図14図18参照)となる。第1保持手段31については後に詳述する。
【0049】
尚、本実施形態に係る用紙支持装置20は第3支持部23を備えているが、第3支持部23を備えない構成であっても、或いは逆に第3支持部23に加えて更に他の支持部を備える構成であっても、ロック手段30による上記作用効果を得ることができる。
第3支持部23を備えない構成の場合、第2支持部22の第2当接部22aが第3支持部23の第3当接部23aと同様な役割を果たす。つまり、第2支持部22の第2当接部22aとロック部24cとが当接することによりロック状態となる。
【0050】
また本実施形態では、第1支持部21が第1位置から第2位置に変位した状態で変位姿勢から支持姿勢に切り換わることで、ロック手段30によるロックが解除される構成であるので、ロック手段30によるロックの解除を容易に行うことができる。
また、ロック手段30が突起状のロック部24cにより構成されるので、ロック手段30の構造を簡単にして低コストに構成できる。
【0051】
尚、ロック手段30は上記構成に限られず、例えば第1支持部21が第1位置から第2位置に変位するのみでロック解除される構成としても良い。この様な構成の場合、第1支持部21の姿勢切り換えは必ずしも必要としない。
また例えばロック部24cをソレノイド等のアクチュエーターによって第2支持部22に対して進退可能に構成し、第1支持部21が第2位置に変位した際に、第2支持部22からロック部24cを退避させることもできる。
【0052】
また本実施形態において、第1支持部21は、第1位置と第2位置との間の位置にある状態で変位姿勢から支持姿勢への回転が規制されるので、不用意にロック手段30によるロックが解除されることを抑制できる。
【0053】
ところで用紙支持装置20を展開状態から収納状態に切り換える際の動作順は、第1支持部21と第2支持部22との関係においては、図6から図5への変化で示す様に第2支持部22を第1支持部21に収納し、次いで図5から図4への変化で示す様に第1支持部21を支持姿勢から変位姿勢に向けて回転させ、その後第1支持部21を第2位置から第1位置に変位させることとなる。
ところがユーザーによっては、第2支持部22が第1支持部21から突出した状態のままで図12に示す様に第1支持部21を支持姿勢から変位姿勢に向けて回転させ、その後第1支持部21を第2位置から第1位置に変位させる場合がある。これは即ちイレギュラーな操作であり、この場合、図13の上の図から明らかな様にロック部24cと、第2支持部22においてロック部24cによりロックされる部位である第2当接部22aとが衝突して、第2支持部22が第1支持部21に対して収納できない虞がある。
【0054】
しかしながら本実施形態では、ベース部24が図13の-Y方向に撓むことができる様に構成されている。この様な可撓性は、ベース部24を樹脂材料で形成することで実現できる。そしてベース部24が撓むことで、第2支持部22の第2当接部22a、及び第3支持部23の第3当接部23aが、図13の上の図から下の図への変化で示す様にロック部24cを乗り越えることができる。
しかも、本実施形態においてロック部24cの+Z方向は傾斜面で形成されているので、第2支持部22の第2当接部22a、及び第3支持部23の第3当接部23aが、より一層容易にロック部24cを乗り越えることができる。
従ってイレギュラーな操作が行われた場合でも、用紙支持装置20を収納状態に切り換えることができる。また、ロック部24cの破損も抑制できる。
【0055】
尚、上述したようにロック部24cのX軸方向における位置の図示は省略するが、X軸方向においてロック部24cはベース部24の中心位置に一つ設けられている。従って上記のイレギュラーな操作が行われた際にベース部24が撓み易くなり、第2支持部22の第2当接部22a及び第3支持部23の第3当接部23aが、より一層容易にロック部24cを乗り越えることができる。
【0056】
続いて、第1支持部21が第2位置にある際に第2支持部22が第1支持部21に収納された状態を保持する第1保持手段31、第2支持部22が第1支持部21から突出した状態を保持する「第2支持部保持手段」としての第2保持手段32、第1支持部21が第2位置にある際に第3支持部23が第2支持部22に収納された状態を保持する第3保持手段33、及び第3支持部23が第2支持部22から突出した状態を保持する「第3支持部保持手段」としての第4保持手段34について説明する。用紙支持装置20は、これら保持手段を備えている。
第2支持部22と第3支持部23の展開順及び収納順は、上記各保持手段によって実現される。
【0057】
先ず、第1支持部21が第2位置にある際に第2支持部22が第1支持部21に収納された状態を保持する第1保持手段31について説明する。第1保持手段31は、図18図20に示す様に第1支持部21に形成された2つの突起21mと、第2支持部22に形成された2つの突起22pとを備えて構成されている。突起21mは、図14に示す様に第2支持部22に向けて突出し、突起22pは、第1支持部21に向けて突出する。突起22pは、第2支持部22と一体に形成された弾性片の先端に設けられており、突起21mに対し弾性によって当接する。
【0058】
第1支持部21に第2支持部22が収納された状態から、第2支持部22を引き出す際には、突起22pが突起21mを乗り越える必要があり、ユーザーにとっては第2支持部22を第1支持部21から引き出す際の抵抗力となる。この抵抗力が、第1支持部21が第2位置にあるときに(図5参照)、第2支持部22を第1支持部21に収納した状態に保持する保持力となる。以下、この保持力を第1保持力と称する。第1保持力は、突起21mの突出高さや、突起22pが突起21mに弾性によって当接する際の弾性の大きさによって調整できる。
【0059】
次に、第1支持部21が第2位置にある際に第3支持部23が第2支持部22に収納された状態を保持する第3保持手段33について説明する。第3保持手段33は、図18図19に示す様に第2支持部22に形成された2つの突起22mと、第3支持部23に形成された2つの突起23pとを備えて構成されている。突起22mは、図15に示す様に第3支持部23に向けて突出し、突起23pは、第2支持部22に向けて突出する。突起23pは、第3支持部23と一体に形成された弾性片の先端に設けられており、突起22mに対し弾性によって当接する。
【0060】
第2支持部22に第3支持部23が収納された状態から、第3支持部23を引き出す際には、突起23pが突起22mを乗り越える必要があり、ユーザーにとっては第3支持部23を第2支持部22から引き出す際の抵抗力となる。この抵抗力が、第1支持部21が第2位置にあるときに(図5図6参照)、第3支持部23を第2支持部22に収納した状態に保持する保持力となる。以下、この保持力を第2保持力と称する。第2保持力は、突起22mの突出高さや、突起23pが突起22mに弾性によって当接する際の弾性の大きさによって調整できる。
【0061】
ここで、本実施形態において上記第1保持力は、上記第2保持力よりも弱い。具体的には、突起21mと突起22mの突出高さで調整し、突起21mの突出高さが、突起22mの突出高さより低くなっている。従って第2支持部22が第1支持部21に収納され、且つ、第3支持部23が第2支持部22に収納された状態(図5参照)から、第3支持部23を上方に引き上げると、最初に第2支持部22が第1支持部21から突出し(図6参照)、その後に、第3支持部23が第2支持部22から突出する(図7参照)。この様にして、第2支持部22と第3支持部23の展開順に規則性が設定されている。
【0062】
次に、第2支持部22が第1支持部21から突出した状態を保持する「第2支持部保持手段」としての第2保持手段32について説明する。第2保持手段32は、図18図20に示す様に第1支持部21に形成された2つの突起21nと、第2支持部22に形成された2つの突起22pとを備えて構成されている。突起21nは、図16に示す様に第2支持部22に向けて突出し、突起22pは、第1支持部21に向けて突出する。突起21nは第1係合部の一例であり、突起22pは第2係合部の一例である。
【0063】
第1支持部21から第2支持部22が突出した状態(図16図18参照)から、第2支持部22を第1支持部21に収納するには、突起22pが突起21nを乗り越える必要があり、ユーザーにとっては第2支持部22を第1支持部21に収納する際の抵抗力となる。この抵抗力が、第2支持部22を第1支持部21から突出した状態に保持する保持力となる。以下、この保持力を第3保持力と称する。第3保持力は、突起21nの突出高さや、突起22pが突起21nに弾性によって当接する際の弾性の大きさによって調整できる。
【0064】
次に、第3支持部23が第2支持部22から突出した状態を保持する「第3支持部保持手段」としての第4保持手段34について説明する。第4保持手段34は、図18図19に示す様に第2支持部22に形成された2つの突起22nと、第3支持部23に形成された2つの突起23pとを備えて構成されている。突起22nは、図17に示す様に第3支持部23に向けて突出し、突起23pは、第2支持部22に向けて突出する。突起22nは第3係合部の一例であり、突起23pは第4係合部の一例である。
【0065】
第2支持部22から第3支持部23が突出した状態(図17図18参照)から、第3支持部23を第2支持部22に収納するには、突起23pが突起22nを乗り越える必要があり、ユーザーにとっては第3支持部23を第2支持部22に収納する際の抵抗力となる。この抵抗力が、第3支持部23を第2支持部22から突出した状態に保持する保持力となる。以下、この保持力を第4保持力と称する。第4保持力は、突起22nの突出高さや、突起23pが突起22nに弾性によって当接する際の弾性の大きさによって調整できる。
【0066】
ここで、本実施形態において上記第4保持力は、上記第3保持力よりも弱い。具体的には、突起22nの突出高さが、突起21nの突出高さより低くなっている。従って第2支持部22が第1支持部21から突出し、且つ、第3支持部23が第2支持部22から突出した状態(図7参照)から、第3支持部23を下方に押し込むと、最初に第3支持部23が第2支持部22に収納され(図6参照)、その後に、第2支持部22が第1支持部21に収納される(図5参照)。この様にして、第2支持部22と第3支持部23の収納順に規則性が設定されている。
【0067】
上記の様に、第2支持部22及び第3支持部23の突出状態は、突起同士の係合によって保持されることから、第2支持部22或いは第3支持部23がX軸方向に撓み、突起同士の間隔が拡がると、突出状態を適切に保持できなくなる虞がある。その為、第2支持部22を突出状態に保持する第2保持手段32及び第3支持部23を突出状態に保持する第4保持手段34は、極力X軸方向の端部に設けることが好ましい。
【0068】
即ち、第2支持部22は、図18図20に示す様に、両端部において第1支持部21のガイド部21gによってガイドされつつ突出位置と収納位置とに変位するので、第2保持手段32は、ガイド部21gに極力近い位置に設けることが好ましい。ガイド部21gに近いほど、第2支持部22が撓んでも、第1支持部21との間隔が拡がり難いからである。
同様に第3支持部23は、図18図19に示す様に、両端部において第2支持部22のガイド部22gによってガイドされつつ突出位置と収納位置とに変位するので、第4保持手段34は、ガイド部22gに極力近い位置に設けることが好ましい。ガイド部22gに近いほど、第3支持部23が撓んでも、第2支持部22との間隔が拡がり難いからである。
【0069】
そして本実施形態では、幅方向であるX軸方向において、図18に示す様に第3支持部23が第2支持部22にガイドされる位置であるガイド部22gと第4保持手段34との距離Xaが、第2支持部22が第1支持部21にガイドされる位置であるガイド部21gと第2保持手段32との距離Xbより短く設定されている。これは、第2支持部22と第3支持部23との比較において、展開状態においてより突出する関係で剛性が確保し難い第3支持部23が、第2支持部22よりも撓み易くなる為である。これにより、第2支持部22より剛性を確保し難い第3支持部23に対して、突出状態を維持する保持力を適切に維持できる。
【0070】
尚、上記実施形態では、用紙支持装置20を記録装置の一例であるプリンター1において給送前の用紙を支持する装置として構成したが、例えば記録が行われて排出される用紙を受ける装置として構成しても良い。また媒体に処理を行う処理部として、上記実施形態では記録ヘッド15を一例として挙げたが、例えば画像を読み取る読取手段としても良い。即ち媒体支持装置は、スキャナー等に代表される画像読取装置に適用することもできる。その際も同様に、媒体支持装置は給送前の媒体を支持する装置として構成しても良いし、読み取りが行われて排出される用紙を受ける装置として構成しても良い。
更に本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、4…前面カバー、5…下部給紙トレイ、6…ホッパー、8…反転ローラー、9…上部カバー、10…第1給送ローラー、11…第2給送ローラー、13…搬送ローラー対、14…キャリッジ、15…記録ヘッド、16…排出ローラー対、17…排出口、18…用紙受けトレイ、19…前面パネル、20…用紙支持装置、21…第1支持部、21a…回転軸、21b…ボス部、21c…第1当接部、21g…ガイド部、21m、21n…突起、22…第2支持部、22a…第2当接部、22b…被ロック部、22g…ガイド部、22m、22n…突起、22p…突起、23…第3支持部、23a…第3当接部、23b…把持部、23p…突起、24…ベース部、24a…被ガイド部、24b…軸受部、24c…ロック部、24d…上端部、25…フレーム、25a…第1ガイド溝、25b…第2ガイド溝、30…ロック手段、31…第1保持手段、32…第2保持手段、33…第3保持手段、34…第4保持手段
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