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  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図1
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図2
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  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図4A
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図4B
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図5A
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図5B
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図5C
  • 特許-通信装置、及び通信装置の制御方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】通信装置、及び通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H04M11/00 302
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020050910
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021150894
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】立儀 一臣
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-051642(JP,A)
【文献】特開2006-128965(JP,A)
【文献】特開2012-128872(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107770635(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部と、
転送機能が有効か無効かを判定する制御部と、
自動転送手段と、を備え、
前記受信部が他の通信装置の送信したAPRSメッセージを受信し、かつ、前記制御部が前記転送機能が有効と判定した場合、前記自動転送手段は、少なくとも前記APRSメッセージを含む転送情報を、APRSゲートウェイ局と、前記APRSゲートウェイ局に接続されたAPRSサーバとを介して転送先として設定されているインターネットメールアドレス宛に転送する、
通信装置。
【請求項2】
インターネット回線との接続を行うインターネット回線接続部を備え、
前記制御部は、前記インターネット回線接続部に接続する為のインターネット回線接続先情報を前記転送情報に含めて前記転送先のインターネットメールアドレス宛に転送し、
前記制御部は、前記転送先のインターネットメールアドレスで前記転送情報を取得可能な転送先端末からの前記インターネット回線接続先情報に基づいて設定された前記通信装置への遠隔操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記転送先端末からの遠隔操作により、前記APRSメッセージに対する応答メッセージを前記インターネット回線接続部より受けた場合、前記APRSメッセージを送信した他の通信装置へ応答メッセージをAPRSメッセージとして送信を許可する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
他の通信装置が送信したAPRSメッセージを受信するステップと、
自動転送機能が有効か無効かを判定するステップと、
前記APRSメッセージを受信し、かつ、前記自動転送機能が有効と判定した場合、少なくとも前記APRSメッセージを含む転送情報を、APRSゲートウェイ局と、前記APRSゲートウェイ局に接続されたAPRSサーバとを介して転送先として設定されているインターネットメールアドレス宛に転送するステップと、を備える、
通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、及び通信装置の制御方法に関し、特にパケットデータを送受信する通信装置、及び通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
APRS(Automatic Packet Reporting System:登録商標)メッセージ機能は、特定の相手局を指定してメッセージを送りたいときに使用される。APRSメッセージは、ビーコンと異なる単独のパケットデータとして送受信される。相手局はAPRSメッセージを受信し、受信確認メッセージ(ACK)を自局へ送り返す。APRSメッセージは、受信確認メッセージ(ACK)を通知受信確認が取れるまで最大5回送信される。
【0003】
また、自局がAPRSメッセージを受けた場合、ユーザの操作入力を直接受けることができないとき、予め設定済みの応答メッセージを相手局に返答するメッセージ自動応答機能がある。この応答メッセージは、その先頭に”Auto Answer message”を意味する「AA:」が付加される。なお、特許文献1には、このような自動メッセージ応答機能に関連する通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-033184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
APRSメッセージを送信したAPRSメッセージ送信者は、メッセージ自動応答機能により、APRSメッセージの受信と、そのAPRSメッセージ受信者の不在とを知ることができる。しかし、APRSメッセージ受信者は、通信装置から離れた場所にいる場合、APRSメッセージの受信をすぐに認知することができない。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが通信装置から離れた場所にいても、APRSメッセージの受信をすぐに認知できる通信装置、及び通信装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る通信装置は、
受信部と、
転送機能が有効か無効かを判定する制御部と、
自動転送手段と、を備え、
前記受信部が他の通信装置の送信したAPRSメッセージを受信し、かつ、前記制御部が前記転送機能が有効と判定した場合、前記自動転送手段は、少なくとも前記APRSメッセージを含む転送情報を、APRSゲートウェイ局と、前記APRSゲートウェイ局に接続されたAPRSサーバとを介して転送先として設定されているインターネットメールアドレス宛に転送する。
【0008】
本実施形態に係る通信装置の制御方法は、
他の通信装置が送信したAPRSメッセージを受信するステップと、
自動転送機能が有効か無効かを判定するステップと、
前記APRSメッセージを受信し、かつ、前記自動転送機能が有効と判定した場合、少なくとも前記APRSメッセージを含む転送情報を、APRSゲートウェイ局と、前記APRSゲートウェイ局に接続されたAPRSサーバとを介して転送先として設定されているインターネットメールアドレス宛に転送するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、ユーザが通信装置から離れた場所にいても、APRSメッセージの受信をすぐに認知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる通信装置の一例の一動作例を示す概略図である。
図3】設定画面の一例を示す図である。
図4A】メッセージ受信処理を示すフローチャートである。
図4B】メッセージ受信処理を示すフローチャートである。
図5A】E-mail用メッセージ作成処理を示すフローチャートである。
図5B】E-mail用メッセージ作成処理における各ステップと、E-mail用のメッセージとの関係を示す表である。
図5C】E-mail用のメッセージを構成する各文字列を説明する図である。
図6】応答メッセージコマンド作成処理を示すフローチャートである。
図7】VoIPを用いてQSY機能を実施する処理を示すフローチャートである。
図8】ディスプレイの一表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
(実施の形態1)
図1を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1にかかる通信装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、通信装置100は、制御部1、DSP2、送受信回路3、及びアンテナ4を備える。
【0014】
制御部1は、通信装置100の各構成を制御する。制御部1は、ハードウェア構成として、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する演算回路と、プログラムメモリやデータメモリその他のRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を有する記憶装置等を備えてもよい。制御部1は、通信装置100の各構成からデータを取得し、当該記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種データを演算回路によって演算する。制御部1は、転送機能、及び自動応答機能が有効、又は無効に設定されているかを判定する。
【0015】
DSP(Digital Signal Processor)2は、デジタル信号処理を行うプロセッサである。DSP2は、制御部1、送受信回路3、マイクロホン5、及びスピーカ6が接続されている。送受信回路3は、アンテナ4が接続されている。
【0016】
送受信回路3は、他の通信装置(図示略)が送信したデータをアンテナ4を介して受信する。当該他の通信装置は、通信装置100と同じ構成を備えてもよいし、異なる構成を備えてもよい。DSP2は、送受信回路3が受信したデータを取得する。この取得したデータの形式は、パケットであってもよい。この取得したデータ、文字、位置、気象等を示すものであってもよい。DSP2は、この取得したデータを復調し、データに含まれるパケットの文字列を復号して制御部1に供給する。DSP2、送受信回路3、及びアンテナ4は、受信部として機能する。制御部1は、この供給されたパケットを解析する。
【0017】
制御部1がパケットデータを組み立てる。DSP2がこの組み立てたパケットデータを変調することによって、信号を生成する。送受信回路3は、DSP2が生成した信号を増幅し、アンテナ4を介して送信する。DSP2、送受信回路3、アンテナ4は、自動転送手段として機能する。
【0018】
なお、通信装置100は、さらに、マイクロホン5、スピーカ6、GNSSモジュール7、不揮発性メモリ8、LANポート9、ディスプレイ10、PTTスイッチ11、操作部12、及びRTC13を備えてもよい。
【0019】
マイクロホン5は、通信装置100のユーザが発した音声を収音し、これを音声信号に変換する。DSP2は、この音声信号に帯域制限等の処理を行って変調波を生成する。送受信回路3は、DSP2が生成した変調波により搬送波を変調して、アンテナ4を介して送信する。
【0020】
DSP2は、音声データを取得した場合、この取得した音声データをD/A変換し、復調及び複合することによって、音声信号を生成する。スピーカ6は、DSP2が生成した音声信号に基づいて音を発する。
【0021】
GNSSモジュール7は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System: GNSS)用の衛星からの電波を受信するアンテナと、アンテナが出力するGNSS信号を受信する受信部とを含む。GNSSは、一例としてGPS(Global Positioning System)である。GNSSモジュール7は、通信装置100の位置を示す位置情報を取得して、制御部1に供給する。通信装置100がユーザと共に移動可能ではなく所定の位置に固定されている場合、通信装置100の位置情報が不揮発性メモリ8に記憶されていてもよい。
【0022】
不揮発性メモリ8は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。不揮発性メモリ8は、例えば、APRSメッセージやAPRSメッセージの転送先アドレス等を記録してもよい。ディスプレイ10は、所定の情報を表示しつつ、タッチキーを備えるとよい。
【0023】
PTT(Push To Talk)スイッチ11は、ユーザが発話して音声信号を送信する操作を行うため、ユーザによって押圧される。制御部1は、PTTスイッチ11が押されていない場合、100を受信待機状態に保ち、PTTスイッチ11が押されている場合、通信装置100を送信状態に保つ。操作部12は、ユーザからの操作入力を受け付ける。この受け付ける操作入力の内容は、例えば、転送機能、及び自動応答機能の少なくとも1つを有効、又は無効に設定することである。RTC(Real Time Clock)13は、時刻を計ることによって、時刻情報を生成する。この生成した時刻情報は、タイムスタンプとして利用してもよい。
【0024】
(一動作例)
次に、図2を用いて、通信装置100の一動作例について説明をする。図2は、図1に示す通信装置の一例の一動作例を示す概略図である。この一動作例は、APRSメッセージを通信装置100のユーザが保有し操作可能なE-mail端末に転送するメッセージ転送機能(Forward機能)を示す。
【0025】
図2に示す端末100a、及び端末100bは、図1に示す通信装置100の一例である。端末100aは、コールサイン「AAAAAA-7」が割り当てられ、端末100bは、コールサイン「BBBBBB-7」が割り当てられる。厳密には、コールサインは、通信装置を含む無線局に割り当てられるが、今回の場合は同意として扱って説明する。この一動作例では、端末100bは、メッセージ転送機能を有効(ON)にするよう予め設定がされている。
【0026】
端末100aは、端末100aのユーザによる操作入力を受けて、送信APRSメッセージM1を端末100bに送信する。端末100bは端末100aから送信APRSメッセージM1を受信すると、端末100aに対して受信確認APRSメッセージM2(ACK)を送信する。
【0027】
端末100bが転送APRSメッセージM4(転送情報)を送信する。転送APRSメッセージM4は、送信APRSメッセージM1を含む。
【0028】
また、転送APRSメッセージM4は、端末100bのインターネット回線接続先情報を含む転送情報としてもよい。インターネット回線接続先情報は、端末100b側の遠隔操作に関する情報である。端末100bの制御部は、端末100bのインターネット回線接続先情報に基づいて設定されたE-mail端末40からの端末100bの遠隔操作を受け付けてもよい。例えば、端末100bが受信可能なインターネットメールアドレス、端末100bのIPアドレス等である。E-mail端末40からの端末100bの遠隔操作の一例として、後述するように、VoIPを用いて端末100bの通信周波数を設定するQSY機能を実施する処理(図7参照)がある。
また、端末100bは、E-mail端末40からの遠隔操作により、転送APRSメッセージM4に含まれる送信APRSメッセージM1に対する応答メッセージを、インターネット回線接続部を介して受けた場合、送信APRSメッセージM1を送信した他の通信装置へ応答メッセージを応答APRSメッセージとして送信を許可する。
【0029】
I-GATE20は、コールサイン「CCCCCC-1」が割り当てられている。I-GATE20が転送APRSメッセージM4を受信すると、I-GATE20は、転送APRSメッセージM4をAPRSサーバ30へ転送する。ここでは、I-GATE20を用いたが、I-GATE以外のAPRSゲートウェイ局を用いてもよい。
【0030】
さらに、APRSサーバ30が、転送APRSメッセージM4を所定のインターネットメールアドレス(E-mail宛先)へ転送する。E-mail端末40は、このインターネットメールアドレスへ転送されたメールを受信できればよい。E-mail端末40は、パーソナルコンピュータであるが、例えば、タブレット、スマートフォン等であってもよい。
【0031】
E-mail端末40は、転送APRSメッセージM4を端末100bのユーザに通知する。なお、多くの場合、E-mail端末40のユーザと端末100bのユーザとは、同一人物である。また、多くの場合、E-mail端末40は、端末100bのユーザが操作可能な場所に位置するか携帯しているものとしている。転送APRSメッセージM4つまり転送情報が送信APRSメッセージM1の内容を含むため、端末100bのユーザは、転送APRSメッセージM4から、送信APRSメッセージM1の内容を確認することができる。
【0032】
E-mail端末40は、端末100bを遠隔操作が可能なアプリがインストールされており、例えばコマンドを用いて応答メッセージをインターネット50及びモデム60を介して端末100bに送信することができる。E-mail端末40は、端末100bのユーザからの操作入力、例えば、E-mailのリンクをクリックする入力を受け付ける。すると、E-mail端末40は、自動的に相手局コールサイン、及びメッセージラインナンバーが設定されて、さらに、応答メッセージが入力された状態においてPCアプリが起動する。
【0033】
端末100bは、自動応答メッセージ機能が有効に設定されている場合、自動応答待ち時間が経過するまで、自動応答メッセージM3をコマンドのメッセージに置き換えることができる。端末100bは、自動応答メッセージM3を端末100aに対して送信する。
【0034】
以上より、端末100bが送信APRSメッセージM1を受信したとき、送信APRSメッセージM1を転送先メールアドレスに転送することができる。そのため、端末100bのユーザは、E-mail端末40を用いて、転送先メールアドレスに転送された転送APRSメッセージの内容をすぐに確認することができる。これによって、端末100bのユーザが、端末100bから離れており、端末100bから送信APRSメッセージの受信を確認できない場合であっても、送信APRSメッセージM1の内容をすぐに確認できる。
【0035】
なお、端末100bは、メッセージ転送機能が無効(OFF)に設定されている場合、上記した一動作例は実施されない。
【0036】
(メッセージ転送機能設定画面)
次に、図3を参照してメッセージ転送機能について設定する設定画面について説明をする。図3は、設定画面の一例を示す図である。
【0037】
図3に示すように、設定画面110は、「APRS Message Forward」、「OFF」、「ON(E-mail1)」、「ON(E-mail2)」、「ON(E-mail3)」等を表示する。設定画面110は、図1に示すディスプレイ10の一具体例であり、又は図2に示す端末100a、100bのいずれかのディスプレイ10の一具体例である。設定画面110は、メッセージ転送機能について設定するために利用される。設定画面110は「OFF」、「ON(E-mail1)」、「ON(E-mail2)」、及び「ON(E-mail3)」のいずれか1つを選択する入力をユーザから受け付ける。設定画面110は、ユーザから入力「ON(E-mail1)」を受け付ける。設定可能なメールアドレスは複数あると、状況に応じて切り替えられるため好ましい。設定可能なメールアドレスは、3つであるが、1つ以上であるとよい。
【0038】
(メッセージ受信処理)
次に、図4A及び図4Bを参照して端末100bのメッセージ受信処理の一例について説明する。図4A及び図4Bは、メッセージ受信処理を示すフローチャートである。
【0039】
パケットを受信する(ステップST11)。続いて、上記受信した受信パケットについてDTI(Data Type Identifier(データ型識別子))を判定する(ステップST12)。
【0040】
DTIが「:」の場合(ステップST12:YES)、受信パケットがメッセージパケットであるので、宛先コールサインを判定する(ステップST13)。なお、DTIが「:」以外の場合(ステップST12:NO)、受信パケットがメッセージパケットではないため、メッセージ受信処理を終了する。
【0041】
続いて、宛先コールサインと自局コールサインとを文字列比較することによって、一致しているか否かを判定する(ステップST13)。当該自局コールサインは、通信装置100に設定されている。
【0042】
宛先コールサインと自局コールサインとが一致していると判定した場合(ステップST13:YES)、上記受信したパケットはAPRSメッセージであると確定する(ステップST14)。宛先コールサインと自局コールサインとが一致しない場合(ステップST13:NO)、上記受信パケットが自局宛のメッセージではないため、メッセージ受信処理を終了する。
【0043】
続いて、相手局コールサインを取得する(ステップST15)。具体的には、相手局コールサイン部分を、受信パケットから取り出して記憶する。
【0044】
続いて、メッセージ本文を、受信パケットから取り出して記憶する(ステップST16)。続いて、ラインナンバーを受信パケットから取り出して記憶する(ステップST17)。続いて、受信確認APRSメッセージM2(ACK)のパケットを作成し、送信する(ステップST18)。
【0045】
続いて、メッセージ転送機能(Forward機能)が有効(ON)、又は無効(OFF)に設定されているか否かを判定する(ステップST19)。メッセージ転送機能が有効に設定されている場合(ステップST19:YES)、E-mail用のメッセージを作成する(ステップST20)。本ステップST20の詳細は、図5A図5Cに示すフローチャートを用いて後述する。メッセージ転送機能が無効に設定されている場合(ステップST19:NO)、自動メッセージ応答の判定(ステップST22)に移る。
【0046】
続いて、作成したE-mail用メッセージを送信する(ステップST21)。
【0047】
続いて、自動メッセージ応答機能が有効(ON)、又は無効(OFF)に設定されているか否かを判定する(ステップST22)。自動メッセージ応答機能が有効に設定されている場合(ステップST22:YES)、自動応答待ち時間の経過を監視する(ステップST23:NO)。自動応答待ち時間が経過した場合(ST23:YES)、自動応答メッセージ応答処理(ステップST24~ST26)に移る。自動応答待ち時間は、所定の時間に設定されている。自動メッセージ応答機能が無効に設定されている場合(ステップST22:NO)、メッセージ受信処理を終了する。
【0048】
続いて、応答メッセージ用のコマンドを受信したか否かを判定する(ステップST24)。応答メッセージ用のコマンドを受信しなかった場合(ステップST24:NO)、あらかじめ設定されているメッセージを自動応答メッセージM3として応答する(ステップST25)。
【0049】
応答メッセージ用のコマンドを受信した場合(ステップST24:YES)、あらかじめ設定されているメッセージに置き換えてコマンドのメッセージを自動応答メッセージM3として応答する(ステップST26)。
【0050】
(E-mail用メッセージ作成処理)
次に、図5A図5Cを参照してE-mail用メッセージ作成処理について説明する。図5Aは、E-mail用メッセージ作成処理を示すフローチャートである。図5Bは、E-mail用メッセージ作成処理における各ステップと、E-mail用のメッセージとの関係を示す表である。図5Cは、E-mail用のメッセージを構成する各文字列を説明する図である。
【0051】
このE-mail用メッセージ作成処理は、図4Bに示すステップST20の詳細であり、E-mail用のメッセージを組み立てる処理である。
【0052】
宛先コールサインエリア設定開始用に「:」(コロン)を1文字設定する(ステップST31)。続いて、宛先コールサインエリアに、文字列「EMAIL」を設定する(ステップST32)。宛先コールサインエリアは9文字固定のため、「EMAIL」に続けて4つの「 」(スペース)を設定する。メッセージ本文エリア設定を開始するために、「:」(コロン)を1文字設定する(ステップST33)。
【0053】
メッセージ本文エリア先頭には、送付先のE-mailアドレスを設定する(ステップST34)。送付先のE-mailアドレスは、APRSメッセージ転送機能で設定されたものであり、図5B及び図5Cに示す例では、「abc@def.com」である。続いて、「 」(スペース)を1文字設定する(ステップST35)。
【0054】
続いて、返信先のE-mailアドレスを設定する(ステップST36)。返信先のE-mailアドレスは、端末100bのインターネットメールアドレスであり、図5B及び図5Cに示す例では、「def@def.com」である。続いて、ステップST35と同様に、「 」(スペース)を1文字設定する(ステップST37)。
【0055】
続いて、端末100bのIPアドレスを設定する(ステップST38)。このIPアドレスは、図5B及び図5Cに示す例では、「111.222.33.44」である。続いて、ステップST35と同様に、「 」(スペース)を1文字設定する(ステップST39)。
【0056】
続いて、QSY情報を設定する(ステップST40)。このQSY情報は、図5B及び図5Cに示す例では、「430.000MHz」である。続いて、ステップST35と同様に、「 」(スペース)を1文字設定する(ステップST41)。
【0057】
続いて、受信したメッセージを設定する(ステップST42)。この受信したメッセージは、図5B及び図5Cに示す例では、「hello!」である。続いて、ステップST35と同様に、「 」(スペース)を1文字設定する(ステップST43)。
【0058】
続いて、相手局コールサインを設定する(ステップST44)。この相手局コールサインは、「de」とコールサイン形式を示す文字列とからなり、図5B及び図5Cに示す例では、「de AAAAAA」である。
【0059】
最後に、ラインナンバーを設定する(ステップST45)。このラインナンバーは、図5B及び図5Cに示す例では、「{00001」である。
【0060】
(応答メッセージコマンド作成処理)
次に、図6を参照して応答メッセージコマンド作成処理について説明する。図6は、応答メッセージコマンド作成処理を示すフローチャートである。
【0061】
応答メッセージコマンド作成処理は、応答用のメッセージを組み立てる処理である。図6に示す各ブロックの隣には、組み立て途中である応答メッセージの一例を示した。
【0062】
応答メッセージパラメータを設定する(ステップST51)。区切り文字として「:」(コロン)を1文字設定する(ステップST52)。
【0063】
続いて、相手局コールサインを設定する(ステップST53)。相手局コールサインは、図6に示す一例では、「AAAAAA」である。ステップST52と同様に、区切り文字として「:」(コロン)を1文字設定する(ステップST54)。
【0064】
続いて、応答メッセージを設定する(ステップST55)。図6に示す応答メッセージの一例、「TEST」である。また、応答メッセージの他の一例は、端末100bのユーザが応答メッセージの送信された時点において、端末100bから離れていることを示す内容である。また、応答メッセージの他の一例は、端末100bのユーザが再び端末100bを扱えるようになる時点を示す内容である。
【0065】
続いて、応答メッセージラインナンバーを設定する(ステップST56)。図6に示す応答メッセージラインナンバーの一例は、「{00001」である。
【0066】
以上より、応答メッセージを作成することができる。上記応答メッセージの内容を端末100bのE-mail宛に送る制御を行うことができる。
【0067】
(VoIPを用いてQSY機能を実施する処理)
次に、図7を参照してVoIP(Voice over Internet Protocol)を用いてQSY機能を実施する処理について説明する。
【0068】
なお、無線通信において国際的に用いられているQ符号の1つとして、運用している音声通信周波数を変更する意味で使用されるQSYがある。QSY機能は、このQSYを用いて音声バンドの周波数情報をやり取りするものである。APRSにおいてQSY機能は、APRSの通信プロトコルに含まれるAFRS(Automatic Frequency Reporting System)の形式を使用することによって、周波数情報をやり取りする。
【0069】
図2に示す端末100bのIPアドレスを指定して、E-mail端末40から端末100bへ接続する(ステップST61)。続いて、TCP番号宛にTCP接続を行って、コマンド通信ができるようにする(ステップST62)。TCP番号は、例えば、「TCP:6000」である。続いて、QSY周波数へ変更する(ステップST63)。続いて、UDP番号宛にUDP接続を行う(ステップST64)。UDP番号は、例えば、「UDP:60001」である。続いて、音声をパケット化し(ステップST65)相互に(送信及び受信)に音声通信をおこない、QSY応答する(ステップST66)。これによって、端末100bのユーザが端末100bから離れていても、E-mail端末40を使用して、端末100bが用いた音声通信周波数を変更することができる。
【0070】
(ディスプレイの一表示例)
次に、図8を参照して、通信装置100のディスプレイ10の一例であるディスプレイ210の一表示例について説明する。
【0071】
図8に示すように、ディスプレイ210は、表示エリア10a~表示エリア10eを備える。
【0072】
ディスプレイ210は、表示エリア10aに、受信周波数、及び送信周波数を表示する。APRSメッセージを受信した場合、ディスプレイ210は、APRSの情報を割り込み画面として表示エリア10aに表示する。
【0073】
ディスプレイ210は、表示エリア10bに、十字キーと、その真ん中に「ENT」(決定)キーとを表示する。この十字キーと、この「ENT」キーとは、タッチキーであり、ユーザによる操作入力を受け付ける。この操作入力は、周波数の変更や、文字入力、メニュー設定等である。
【0074】
ディスプレイ210は、表示エリア10cにテンキーを表示する。このテンキーは、タッチキーであり、ユーザによる操作入力を受け付ける。この操作入力は、周波数の変更や、文字入力等である。
【0075】
ディスプレイ210は、表示エリア10dに、作成中又は作成済みの送信用のメッセージを表示する。ディスプレイ210は、表示エリア10fに「Message SEND」ボタンを表示する。この「Message SEND」ボタンは、タッチキーであり、ユーザによる操作入力を受け付ける。この操作入力は、メッセージの送信である。
【0076】
ディスプレイ210は、表示エリア10gに「TUNE」ボタンを表示する。この「TUNE」ボタンは、タッチキーであり、ユーザによる操作入力を受け付ける。この操作入力は、QSYの実行である。
【0077】
ディスプレイ210は、表示エリア10eにQSY情報を表示する。このQSY情報は、相手局コールサイン、変更される周波数である。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
100 通信装置
100a 端末 100b 端末
1 制御部 2 DSP
3 送受信回路 4 アンテナ
5 マイクロホン 6 スピーカ
7 GNSSモジュール 8 不揮発性メモリ
9 LANポート
10、110、210 ディスプレイ(設定画面)
10a~10g 表示エリア
11 PTTスイッチ 12 操作部
30 APRSサーバ 40 E-mail端末
50 インターネット 60 モデム
M1 送信APRSメッセージ M2 受信確認APRSメッセージ
M3 自動応答メッセージ M4 転送APRSメッセージ
ST11~ST26、ST31~ST45、ST51~ST56、ST61~ST66 ステップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8