IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-吸収性物品 図1
  • 特許-吸収性物品 図2
  • 特許-吸収性物品 図3
  • 特許-吸収性物品 図4
  • 特許-吸収性物品 図5
  • 特許-吸収性物品 図6
  • 特許-吸収性物品 図7
  • 特許-吸収性物品 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240220BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20240220BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61F13/56 211
A61F13/62 110
A61F13/62 120
A61F13/514 400
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020064668
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021159349
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
(72)【発明者】
【氏名】丹下 雄貴
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038570(JP,A)
【文献】特表平05-507753(JP,A)
【文献】特開2012-100752(JP,A)
【文献】特開2016-182257(JP,A)
【文献】特開2004-261354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
A61F 13/62
A61F 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記股下領域を含んで配置された吸収体と、
前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するための被止着部が貼着される止着部であって、透過性を有する止着部と、
前記外装面の前記止着部と重なる領域に前記長手方向と直交する幅方向の中央部側から両端部側に向かって並んで配置され、前記被止着部を前記止着部に貼着する位置の目標となる複数の目標表示と、
前記後身頃領域から前記幅方向の両側に突設されており、前記止着部に貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記被止着部であって、前記止着部に貼着された状態で前記被止着部に重なる前記目標表示が視認可能な前記被止着部と、
を備え、
前記被止着部は、前記装着状態において前記止着部に対向する第1面に配置されたフック部を有し、
前記止着部は、前記フック部に係合可能なループ部が表面に形成されており、
前記被止着部は、前記第1面と反対側の第2面側から視認可能であり、前記目標表示に対する前記フック部の位置を合わせる位置合わせ表示を有し、
前記位置合わせ表示は、前記幅方向に所定間隔を設け、且つ、前記長手方向に延在する一対の点線によって形成されており、
前記所定間隔は、前記幅方向における前記目標表示の長さ以上である、
吸収性物品。
【請求項2】
装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記股下領域を含んで配置された吸収体と、
前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するための被止着部が貼着される止着部と、
前記止着部の前記長手方向と直交する幅方向の中央部側から両端部側に向かって並んで
配置され、前記被止着部を前記止着部に貼着する位置の目標となる複数の目標表示と、
前記後身頃領域から前記幅方向の両側に突設されており、前記止着部に貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記被止着部であって、前記止着部に貼着された状態で前記被止着部に重なる前記目標表示が視認可能な前記被止着部と、
を備え、
前記被止着部は、前記装着状態において前記止着部に対向する第1面に配置されたフック部を有し、
前記止着部は、前記フック部に係合可能なループ部が表面に形成されており、
前記被止着部は、前記第1面と反対側の第2面側から視認可能であり、前記目標表示に対する前記フック部の位置を合わせる位置合わせ表示を有し、
前記位置合わせ表示は、前記幅方向に所定間隔を設け、且つ、前記長手方向に延在する一対の点線によって形成されており、
前記所定間隔は、前記幅方向における前記目標表示の長さ以上である、
吸収性物品。
【請求項3】
前記被止着部は、透過性を有する、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
記フック部が前記ループ部に係合した状態において、前記第2面側から前記フック部に重なる前記目標表示が前記被止着部を介して視認可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記位置合わせ表示は、前記第2面側が圧搾されることによって形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記所定間隔は、前記幅方向における前記目標表示の長さと同じである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記複数の目標表示の各々は、図形を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記幅方向の中央部を挟んで前記両端部側に対称な位置に配置された一対の前記目標表示は、同じ図形要素を有し、
前記幅方向の中央部を挟んで前記両端部側に非対称な位置に配置された2つの前記目標表示は、異なる図形要素を有する、
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記複数の目標表示の各々は、文字を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記幅方向における前記被止着部の先端部は、波線形状を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や体液等の液体を吸収する吸収性物品には、テープ型の吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-140066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープ型の吸収性物品は、テープと、当該テープが貼着されるフィルムとを備え、当該テープが着用者の胴回りサイズに合わせた位置に貼着されることによって着用者に固定される。テープ型の吸収性物品において、テープの貼着位置は着用者の胴回りサイズによって異なるため一義的ではなく、テープが不適切な位置に貼着されてしまうと、吸収性物品を着用者に固定できない虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、着用者に固定容易な吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、止着部に貼着された状態で下層に重なる目標表示が視認可能な被止着部を備えることとした。
【0007】
詳細には、本発明は、装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含んで配置された吸収体と、前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するための被止着部が貼着される止着部であって、透過性を有する止着部と、前記外装面の前記止着部と重なる領域に前記幅方向の中央部側から両端部側に向かって並んで配置され、前記被止着部を前記止着部に貼着する位置の目標となる複数の目標表示と、前記後身頃領域から前記幅方向の両側に突設されており、前記止着部に貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記被止着部であって、前記止着部に貼着された状態で前記被止着部に重なる前記目標表示が視認可能な前記被止着部と、を備える。
【0008】
また、装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含んで配置された吸収体と、前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するための被止着部が貼着される止着部と、前記止着部の前記幅方向の中央部側から両端部側に向かって並んで配置され、前記被止着部を前記止着部に貼着する位置の目標となる複数の目標表示と、前記後身頃領域から前記幅方向の両側に突設されており、前記止着部に貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記被止着部であって、前記止着部に貼着された状態で前記被止着部に重なる前記目標表示が視認可能な前記被止着部と、を備えていてもよい。
【0009】
上記吸収性物品において、前記被止着部は、透過性を有していてもよい。
【0010】
上記吸収性物品において、前記被止着部は、前記装着状態において前記止着部に対向する第1面に配置されたフック部を有し、前記止着部は、前記フック部に係合可能なループ部が表面に形成されており、前記フック部が前記ループ部に係合した状態において、前記第1面と反対側の第2面側から前記フック部に重なる前記目標表示が前記被止着部を介して視認可能であってもよい。
【0011】
上記吸収性物品において、前記被止着部は、前記第2面側から視認可能であり、前記目標表示に対する前記フック部の位置を合わせる位置合わせ表示を有していてもよい。
【0012】
上記吸収性物品において、前記位置合わせ表示は、前記第2面側が圧搾されることによって形成されていてもよい。
【0013】
上記吸収性物品において、前記位置合わせ表示は、前記幅方向に所定間隔を設け、且つ、前記長手方向に延在する一対の点線によって形成されており、前記所定間隔は、前記幅方向における前記目標表示の長さ以上であってもよい。
【0014】
上記吸収性物品において、前記所定間隔は、前記幅方向における前記目標表示の長さと同じであってもよい。
【0015】
上記吸収性物品において、前記複数の目標表示の各々は、図形を有していてもよい。
【0016】
上記吸収性物品において、前記幅方向の中央部を挟んで前記両端部側に対称な位置に配置された一対の前記目標表示は、同じ図形要素を有し、前記幅方向の中央部を挟んで前記両端部側に非対称な位置に配置された2つの前記目標表示は、異なる図形要素を有していてもよい。
【0017】
上記吸収性物品において、前記複数の目標表示の各々は、文字を有していてもよい。
【0018】
上記吸収性物品において、前記幅方向における前記被止着部の先端部は、波線形状を有していてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、着用者に固定容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態1に係るおむつの斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るおむつの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る非装着状態のおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る伸長した状態のおむつを肌面側から見た平面図である。
図5図5は、実施形態1に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
図6図6は、実施形態1に係るおむつのテープがフロントパッチに貼着された状態を示す図である。
図7図7は、実施形態2に係る伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
図8図8は、実施形態2に係るおむつのテープがフロントパッチに貼着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0022】
<実施形態1>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0023】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2R(本願でいう「被止着部」の一例)が設けられている。テープ2Lは、おむつ1の装着状態でフロントパッチ2F(本願でいう「止着部」の一例)に対向する第1面2LAに配置されたフック部20Lを有する。同様に、テープ2Rは、おむつ1の装着状態でフロントパッチ2Fに対向する第1面2RAに配置されたフック部20Rを有する。フロントパッチ2Fは、フック部20L,20Rに係合可能なループ部が表面に形成されている。また、おむつ1の幅方向におけるテープ2Lの先端部21Lは、波線形状を有する。同様に、おむつ1の幅方向におけるテープ2Rの先端部21Rは、波線形状を有する。なお、フロントパッチ2Fは、テープ2L,2Rの少なくとも一部が貼着されれば、面ファスナー、フィルム、不織布等のいずれであってもよい。
【0024】
おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0025】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
【0026】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。図4は、伸長した状態
のおむつ1を肌面側から見た平面図である。なお、図4以降において、一点鎖線である線C1は、おむつ1の幅方向中心を表す中心線である。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位(図4に示す脚周り領域10L,10R)に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0027】
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6C、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6Cの吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6Cに進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。また、吸収体6Cは、股下領域1Bを含んで配置されている。
【0028】
バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6Cに覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6Cに接触することになる。
【0029】
また、おむつ1は、上述したレグギャザー3AL,3ARを形成するための糸ゴム4SL,4SRがカバーシート4とバックシート5の間におむつ1の長手方向に伸縮するように設けられる。糸ゴム4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。なお、図4に示されるように、レグギャザー3AL,3ARは、おむつ1において着用者の大腿部が位置する部位である脚周り領域10L,10Rを含んで配置されている。脚周り領域10L,10Rは、股下領域1Bの幅方向両側端部に配置される。また、糸ゴム4SL,4SRの配置領域が、レグギャザー3AL,3ARである。
【0030】
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位(図4に示す脚周り領域10L,10R)に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには立体ギャザー3BL,3BRを形成するための糸ゴム8EL,8ERが長手方向に沿って編み込まれている。サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、糸ゴム8EL,8ERの収
縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRとなる。
【0031】
なお、カバーシート4には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ糸ゴム4Cが糸ゴム4SL,4SRよりもおむつ1の幅方向内側でおむつ1の長手方向に沿って設けられている。糸ゴム4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。
【0032】
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための糸ゴム9ERは、吸収体6Cの端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7の間に設けられる。糸ゴム9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向きでバックシート5とトップシート7の間に設けられる。よって、糸ゴム9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、糸ゴム9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
【0033】
吸収体6Cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0034】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0035】
次に、図5及び図6に基づいて、本実施形態に係るおむつ1でのテープ2L,2Rのフロントパッチ2Fへの貼着態様について説明する。図5は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、図5では、糸ゴム4C,4SR,4SL,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0036】
本実施形態に係るおむつ1は、前身頃領域1Fにおけるカバーシート4の非肌面側に接合され、透過性を有するフロントパッチ2Fと、後身頃領域1Rから幅方向の両側に突設されており、フロントパッチ2Fに貼着された状態でおむつ1を着用者の胴回りにおいて固定するためのテープ2L,2Rと、カバーシート4の非肌面側のフロントパッチ2Fと重なる領域におむつ1の幅方向の中央部側から両端部側に向かって均等な間隔で配置された複数の目標表示11L,11R,12L,12R,13L,13R(以下、「目標表示11L~13R」と称する場合がある)を備える。目標表示11L~13Rは、テープ2L,2Rを貼着する位置の目標となる。なお、カバーシート4の非肌面側は、おむつ1の外装面に相当する。
【0037】
図5に示されるように、おむつ1の幅方向の中央部側から両端部側に向かって目標表示11L,11R、目標表示12L,12R、目標表示13L,13Rの順に当該幅方向に
一列に並んで配置されている。目標表示11L~13Rは、幅方向の中央部側から幅方向の端部側に向かって連続する数字を含んで配置されている。目標表示11L,11Rは三角形内に数字「1」が配置された構成を有し、目標表示12L,12Rは四角形内に数字「2」が配置された構成を有し、目標表示13L,13Rは円形内に数字「3」が配置された構成を有する。また、目標表示11L,11R、目標表示12L,12R、目標表示13L,13Rの順に各々の図形及び数字のサイズが大きくなっている。目標表示11L~13Rの各々が文字(本実施形態では、数字)を有することによって、テープ2L,2Rを貼着する位置を分かりやすくできる。例えば、着用者の胴回りのサイズが小さい場合には数字「1」を有する目標表示11L,11Rを貼着位置の目標とし、着用者の胴回りのサイズが中適度の場合には数字「2」を有する目標表示12L,12Rを貼着位置の目標とし、着用者の胴回りのサイズが大きい場合には数字「3」を有する目標表示13L,13Rを貼着位置の目標とすることができる。
【0038】
目標表示11L~13Rは、カバーシート4の非肌面側に印刷されている。本実施形態では、フロントパッチ2Fは透過性(例えば、半透明)を有しており、フロントパッチ2Fと重なる領域に印刷された目標表示11L~13Rが視認可能となる。
【0039】
本実施形態に係るおむつ1は、目標表示11L~13Rを備えることで、テープ2L,2Rが不適切な位置に貼着されてしまうことを抑制できる。例えば、着用者の胴回りのサイズが相対的に小さい場合には、テープ2Lのフック部20Lを目標表示11Lと重なる位置に貼着し、テープ2Rのフック部20Rを目標表示11Rと重なる位置に貼着する。着用者の胴回りのサイズが中程度の場合には、テープ2Lのフック部20Lを目標表示12Lと重なる位置に貼着し、テープ2Rのフック部20Rを目標表示12Rと重なる位置に貼着する。また、着用者の胴回りのサイズが相対的に大きい場合には、テープ2Lのフック部20Lを目標表示13Lと重なる位置に貼着し、テープ2Rのフック部20Rを目標表示13Rと重なる位置に貼着する。
【0040】
図6は、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着された状態を示す図である。図6では、フロントパッチ2F、テープ2L,2R及びその周辺を抜き出して図示している。図6に示す例では、テープ2Lのフック部20Lが目標表示12Lと重なる位置に貼着され、テープ2Rのフック部20Rが目標表示12Rと重なる位置に貼着されている。なお、図6では、目標表示13L,13Rの数字「3」の図示は省略している。
【0041】
本実施形態に係るおむつ1において、テープ2L,2Rは、フロントパッチ2Fに貼着された状態でテープ2L,2Rに重なる目標表示12L,12Rが視認可能である。より具体的には、テープ2Lのフック部20Lがフロントパッチ2Fのループ部に係合した状態において、フック部20Lが配置された第1面2LAと反対側の第2面2LB側からフック部20Lに重なる目標表示12Lがテープ2Lを介して視認可能である。同様に、テープ2Rのフック部20Rがフロントパッチ2Fのループ部に係合した状態において、フック部20Rが配置された第1面2RAと反対側の第2面2RB側からフック部20Rに重なる目標表示12Rがテープ2Rを介して視認可能である。
【0042】
このように、テープ2L,2Rを介して目標表示12L,12Rの四角形及び数字「2」が視認される。本実施形態に係るおむつ1によれば、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着された状態において目標表示11L~13Rが視認可能であるので、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fのいずれの位置に貼着されているのかを容易に確認できる。これにより、おむつ1は、着用者の胴回りのサイズに合わせてテープ2L,2Rが適切な位置に貼着されている確認を容易にすることができ、着用者に容易に固定できる。
【0043】
なお、テープ2L,2Rは、透過性を有する。具体的には、テープ2L,2Rは、下層
に重なる目標表示11L~13Rが視認可能な程度の半透明又は透明であってもよい。
【0044】
また、本実施形態に係るおむつ1において、目標表示11L~13Rの各々は、図形を有する。目標表示11L~13Rの図形は、テープ2L,2Rに重なっても文字よりも識別しやすい程度に視認可能である。この構成によれば、テープ2L,2Rを介して目標表示11L~13Rを視認可能であるので、テープ2L,2Rが適切な位置に貼着されている確認を容易にすることができる。
【0045】
また、おむつ1の幅方向の中央部を挟んで両端部側に対称な位置に配置された一対の目標表示は、同じ図形要素を有する。例えば、おむつ1の幅方向の中央部を挟んで両端部側に対称な位置に配置された一対の目標表示11L,11Rは、同じ図形要素として三角形を有し、当該幅方向の中央部を挟んで両端部側に対称な位置に配置された一対の目標表示12L,12Rは、同じ図形要素として四角形を有し、幅方向の中央部を挟んで両端部側に対称な位置に配置された一対の目標表示13L,13Rは、同じ図形要素として円形を有する。なお、同じ図形要素としては、本実施形態のように図形の種類であってもよいし、図形の色であってもよいし、図形の大きさであってもよい。また、おむつ1の幅方向の中央部を挟んで両端部側に非対称な位置に配置された2つの目標表示は、異なる図形要素を有する。本実施形態では、異なる図形要素は図形の種類であるが、図形の色であってもよいし、図形の大きさであってもよい。この構成によれば、一対となる目標表示の識別が容易となり、テープ2L,2Rを適切な位置に容易に貼着することができ、着用者に容易に固定できる。
【0046】
また、おむつ1の幅方向におけるテープ2L,2Rの先端部21L,21Rは、波線形状を有する。この構成によれば、テープ2L,2Rの先端部21L,21Rが第1面2LA,2RA側又は第2面2LB,2RB側に折れ曲がってしまっているのを容易に確認できる。
【0047】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るおむつ1について説明する。なお、上記の実施形態1に係るおむつ1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略する。図7は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。図8は、図6同様に、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着された状態を示す図である。なお、図7では、糸ゴム4C,4SR,4SL,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。
【0048】
図7及び図8に示されるように、本実施形態に係るおむつ1において、テープ2Lは、第2面2LB側から視認可能であり、目標表示11L,12L,13Lに対するフック部20Lの位置を合わせる位置合わせ表示22Lを有する。同様に、テープ2Rは、第2面2RB側から視認可能であり、目標表示11R,12R,13Rに対するフック部20Rの位置を合わせる位置合わせ表示22Rを有する。位置合わせ表示22L,22Rは、テープ2L,2Rの第2面2LB,2RB側が圧搾されることによって形成されている。また、位置合わせ表示22L,22Rは、おむつ1の幅方向に所定間隔A1を設け、且つ、おむつ1の長手方向に延在する一対の点線によって形成されている。位置合わせ表示22Lの一対の点線間における第1面2LA側を含むようにフック部20Lが配置されている。同様に、位置合わせ表示22Rの一対の点線間における第1面2RA側を含むようにフック部20Rが配置されている。このため、位置合わせ表示22L,22Rの点線間に目標表示11L~13Rが位置するように位置合わせすることで、目標表示11L~13Rに対するフック部20L,20Rの位置合わせを容易にできる。
【0049】
また、図7に示されるように、おむつ1の幅方向における目標表示11L~13Rの幅
は、目標表示11L,11Rの幅B1、目標表示12L,12Rの幅B2、目標表示13L,13Rの幅B3の順に大きくなっている。所定間隔A1は、幅B3以上である。なお、所定間隔A1は、幅B3と同じであってもよい。また、幅B1、幅B2及び幅B3は全て同じであってもよく、この場合において、所定間隔A1は、幅B1~B3以上でよく、所定間隔A1は、幅B1~B3と同じであってもよい。
【0050】
本実施形態に係るおむつ1は、位置合わせ表示22L,22Rによって目標表示11L~13Rに対するフック部20L,20Rの位置合わせを容易にすることができるので、テープ2L,2Rを適切な位置に容易に貼着することができ、以て、着用者に容易に固定できる。
【0051】
<その他の実施形態>
次に、その他の実施形態について説明する。上記実施形態では、目標表示11L~13Rは、フロントパッチ2Fが接合されるカバーシート4の非肌面側に印刷されていたが、目標表示11L~13Rは、フロントパッチ2Fに印刷されていてもよい。この場合において、フロントパッチ2Fは非透過性を有していてもよい。また、目標表示11L~13Rに数字以外の文字又は記号が付されていてもよい。
【0052】
また、フック部20L,20がおむつ1の幅方向中央から等距離に位置するようにフロントパッチ2Fにテープ2L,2Rを貼着することで、おむつ1を着用者に容易に固定できる。
【0053】
また、位置合わせ表示22L,22Rは、テープ2L,2Rの第2面LB,RBに印刷によって設けられていてもよいし、実線、鎖線、文字、記号、図形等によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2FT・・通気孔
2L,2R・・テープ
2LA,2RA・・第1面
2LB,2RB・・第2面
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER,14L,14R・・糸ゴム
5・・バックシート
6C・・吸収体
7・・トップシート
8・・サイドシート
10L,10R・・脚周り領域
11L,11R,12L,12R,13L,13R・・目標表示
20L,20R・・フック部
21L,21R・・先端部
22L,22R・・位置合わせ表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8