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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ブーム構造
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/693 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B66C23/693 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020082829
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176800
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 輝
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-84350(JP,A)
【文献】特開2011-42496(JP,A)
【文献】登録実用新案第3221515(JP,U)
【文献】特開2010-126287(JP,A)
【文献】特開平11-139769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端ブームと、
前記基端ブームの内側を摺動する内側ブームと、
前記基端ブームの外周面に形成された溶接部と、
前記内側ブームの外周面に、略全周にわたって設けられている複数のスライドプレートと、を備え、
前記溶接部が延在する範囲に対応する、前記内側ブームの外周面の範囲に配置されている前記スライドプレートは、
前記溶接部の延在方向に並んで配置されている主スライドプレートと、
前記主スライドプレートに対して、前記内側ブームの軸方向に、ずらして配置されている副スライドプレートと、を有する
ことを特徴とする、ブーム構造。
【請求項2】
前記主スライドプレートは、前記内側ブームの軸線を含む垂直面に対して、一方の側に配置され、
前記副スライドプレートは、前記垂直面に対して、他方の側に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のブーム構造。
【請求項3】
前記副スライドプレートは、前記主スライドプレートと、異なる厚さで形成されている
ことを特徴とする、請求項2に記載のブーム構造。
【請求項4】
前記主スライドプレート及び前記副スライドプレートは、前記内側ブームの軸線を含む垂直面に対して、左右対称に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のブーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伸縮可能な多段式のブームでは、ブーム間にスライドプレートを設ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、内側ブームの後方側端部の外面に、上部スライディングパッド、及び、下部スライディングパッドが設置される構成が開示されている。これにより、スライディングパッドは、内側ブームと外側ブームとの摺動を容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-084350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、基端ブームの外周面に溶接された支持リブを介して、基端ブームが支持される。また、基端ブームの外周面が溶接されると、溶接歪により、基端ブームの支持リブの周辺の内周面は狭くなる。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、支持リブとスライドプレートとの位置に関する記載はなく、ブームの伸縮時に、スライドプレートの通過に伴って発生する、支持リブの周辺の基端ブームを押し広げる力を分散することができない、という問題がある。
【0007】
この問題は、支持リブの溶接によって生じる溶接歪において発生するものに限らず、例えば、基端ブームに形成された補強のための溶接によって生じる溶接歪においても発生する。
【0008】
そこで、本発明は、ブームの伸縮時に、スライドプレートの通過に伴って発生する、溶接部の周辺の基端ブームを押し広げる力を分散することができるブーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明のブーム構造は、基端ブームと、前記基端ブームの内側を摺動する内側ブームと、前記基端ブームの外周面に形成された溶接部と、前記内側ブームの外周面に、略全周にわたって設けられている複数のスライドプレートと、を備え、前記溶接部が延在する範囲に対応する、前記内側ブームの外周面の範囲に配置されている前記スライドプレートは、前記溶接部の延在方向に並んで配置されている主スライドプレートと、前記主スライドプレートに対して、前記内側ブームの軸方向に、ずらして配置されている副スライドプレートと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成された本発明のブーム構造は、ブームの伸縮時に、スライドプレートの通過に伴って発生する、溶接部の周辺の基端ブームを押し広げる力を分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の高所作業車を示す側面図である。
図2】実施例1のブームを示す斜視図である。
図3】実施例1の基端ブームと第1中間ブームを示す側面図である。
図4】実施例2のブームを示す斜視図である。
図5】実施例2のブームとブーム支持部材の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるブーム構造を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1におけるブーム構造は、高所作業車に適用される。
【0014】
[高所作業車の構成]
図1は、実施例1の高所作業車を示す側面図である。図2は、実施例1のブームを示す斜視図である。以下、実施例1の高所作業車の構成を説明する。なお、ブームの軸方向を軸方向Dとする。
【0015】
図1に示すように、高所作業車1は、車体2と、旋回体4と、ブーム10と、を備えている。
【0016】
車体2は、アウトリガー6と、キャビン3と、道路や作業現場を自走するための走行装置等を備えている。
【0017】
アウトリガー6は、作業時に、水平方向及び垂直方向に張り出し、車体2全体を持ち上げて、姿勢を安定させる。
【0018】
キャビン3は、車体2の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有する。
【0019】
旋回体4は、車体2の上方に設けられ、車体2に対して、回転可能となっている。また、旋回体4は、旋回体4やブーム10等を操作する操作部を有する。作業者は、操作部を操作して、旋回体4を旋回させ、ブーム10を起伏及び伸縮させて作業を行う。
【0020】
図2に示すように、ブーム10は、基端ブーム11と、内側ブームとしての第1中間ブーム12と、第2中間ブーム13と、第3中間ブーム14と、先端ブーム15とで構成されている。
【0021】
基端ブーム11は、高張力鋼板を、プレス加工により、多角形の筒状に折り曲げて形成される。第1中間ブーム12と、第2中間ブーム13と、第3中間ブーム14と、先端ブーム15も、基端ブーム11と同様に形成される。
【0022】
第1中間ブーム12と、第2中間ブーム13と、第3中間ブーム14と、先端ブーム15とは、基端ブーム11の内部に格納される入れ子式になっている。すなわち、内側ブームとしての第1中間ブーム12は、基端ブーム11の内側を摺動するようになっている。
【0023】
図1に示すように、先端ブーム15の先端には、作業者が高所作業を行うために搭乗するバケット7が左右や上下に揺動自在に取り付けられている。
【0024】
基端ブーム11は、ブーム支持部材20を介して、旋回体4に設けられた起伏シリンダ5に支持されている。起伏シリンダ5が伸縮することで、ブーム10は起伏し、伸縮シリンダ(不図示)が伸縮することによって、ブーム10が伸縮する。
【0025】
[ブーム支持部材の構成]
図3は、実施例1の基端ブーム11と第1中間ブーム12を示す側面図である。以下、実施例1のブーム支持部材20の構成を説明する。
【0026】
図2及び図3に示すように、ブーム支持部材20は、支持ブラケット21と、支持リブ22を備える。
【0027】
支持リブ22は、例えば、鋼板によって、略U字状の板状に形成される。支持リブ22は、軸方向Dに垂直な垂直面上を、基端ブーム11の下面から側面の中央付近まで延在するように形成される。すなわち、支持リブ22は、軸方向Dに垂直に延在する。
【0028】
支持リブ22は、基端ブーム11の外周面に溶接されて、基端ブーム11を下方から支持する。支持リブ22が基端ブーム11に溶接された部分は、溶接部22aが形成される。すなわち、溶接部22aは、基端ブーム11の外周面に形成される。
【0029】
支持リブ22は、支持ブラケット21を介して、起伏シリンダ5に接続される。
【0030】
[スライドプレートの構成]
以下、実施例1のスライドプレートの構成を説明する。
【0031】
図2に示すように、第1中間ブーム12の基端側(後側)の外周面に、複数のスライドプレート30が全周にわたって取り付けられる。スライドプレート30は、ナイロン等の合成樹脂や金属によって所定の長さと厚さを有する板状に形成される。
【0032】
スライドプレート30は、基端ブーム11と第1中間ブーム12の間に形成された空隙の幅に相当するだけの厚さを有して形成され、第1中間ブーム12の基端ブーム11に対する摩擦を減少させてスムーズに摺動できるようになっている。
【0033】
スライドプレート30は、主スライドプレート30Aと、副スライドプレート30Bと、上部スライドプレート30Cと、で構成される。
【0034】
主スライドプレート30Aは、ブーム10の軸線Gを含む垂直面Pに対して、一方の側に配置されている。副スライドプレート30Bは、ブーム10の軸線Gを含む垂直面Pに対して、他方の側に配置されている。すなわち、垂直面Pの一方の側に主スライドプレート30Aが配置され、垂直面Pの他方の側に副スライドプレート30Bが配置されている。
【0035】
言い換えると、垂直面Pの左右に、主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bとがそれぞれ配置されている。主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bとは、垂直面Pに対して、非対称に配置されている。
【0036】
図3に示すように、主スライドプレート30Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲は、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲と略同じ範囲をいう。すなわち、主スライドプレート30Aは、ブーム10が伸縮した際に、支持リブ22と重なる範囲に配置されている。
【0037】
主スライドプレート30Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲は、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲と略同じ範囲をいう。すなわち、主スライドプレート30Aは、ブーム10が伸縮した際に、溶接部22aと重なる範囲に配置されている。
【0038】
主スライドプレート30Aは、支持リブ22の延在方向に並んで5つ配置されている。言い換えると、主スライドプレート30Aは、溶接部22aの延在方向に並んで5つ配置されている。すなわち、主スライドプレート30Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上に沿って配置されている。
【0039】
副スライドプレート30Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。すなわち、副スライドプレート30Bは、ブーム10が伸縮した際に、支持リブ22と重なる範囲に配置されている。
【0040】
副スライドプレート30Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。すなわち、副スライドプレート30Bは、ブーム10が伸縮した際に、溶接部22aと重なる範囲に配置されている。
【0041】
副スライドプレート30Bは、支持リブ22の延在方向に並んで5つ配置されている。言い換えると、副スライドプレート30Bは、溶接部22aの延在方向に並んで5つ配置されている。すなわち、副スライドプレート30Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上に沿って配置されている。
【0042】
副スライドプレート30Bは、軸方向Dにおいて、主スライドプレート30Aに対して、前方にずらして配置されている。すなわち、副スライドプレート30Bは、軸方向Dにおいて、主スライドプレート30Aと異なる位置に配置されている。
【0043】
副スライドプレート30Bと主スライドプレート30Aとは、異なる厚さで形成することができる。すなわち、副スライドプレート30Bの厚さを、主スライドプレート30Aより厚くしてもよいし、薄くしてもよい。なお、副スライドプレート30Bと主スライドプレート30Aとは、同じ厚さとしてもよい。
【0044】
上部スライドプレート30Cは、第1中間ブーム12の上面に2つ配置されている。上部スライドプレート30Cは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在しない範囲に配置されている。すなわち、上部スライドプレート30Cは、ブーム10が伸縮した際に、支持リブ22と重ならない範囲に配置されている。
【0045】
[ブームの動き]
以下、実施例1のブーム10の動きを説明する。
【0046】
図3に示すように、第1中間ブーム12が、伸張した状態から、基端ブーム11に収容された状態に移動する際、スライドプレート30は、矢印Eの方向に、基端ブーム11の先端から基端に移動する。
【0047】
また、第1中間ブーム12が、基端ブーム11に収容された状態から、伸張した状態に移動する際、スライドプレート30は、矢印Eとは反対の方向に、基端ブーム11の基端から先端に移動する。
【0048】
この際、スライドプレート30は、基端ブーム11の内周面を摺動しながら移動し、主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bは、支持リブ22が設けられた範囲を通過する。すなわち、主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bは、支持リブ22が設けられた範囲に対応する、基端ブーム11の内周面を通過する。言い換えると、主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bは、溶接部22aが設けられた範囲を通過する。
【0049】
[ブーム構造の作用]
以下、実施例1のブーム構造の作用を説明する。実施例1のブーム構造は、基端ブーム11と、基端ブーム11の内側を摺動する内側ブーム(第1中間ブーム12)と、基端ブーム11の外周面に形成された溶接部22aと、内側ブーム(第1中間ブーム12)の外周面に、略全周にわたって設けられている複数のスライドプレート30と、を備え、溶接部22aが延在する範囲に対応する、内側ブーム(第1中間ブーム12)の外周面の範囲に配置されているスライドプレート30は、溶接部22aの延在方向に並んで配置されている主スライドプレート30Aと、主スライドプレート30Aに対して、内側ブーム(第1中間ブーム12)の軸方向に、ずらして配置されている副スライドプレート30Bと、を有する(図3)。
【0050】
これにより、ブーム10の伸縮時に、副スライドプレート30Bが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、主スライドプレート30Aが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、をずらすことができる。そのため、スライドプレート30の通過に伴って発生する、基端ブーム11の溶接部22aの周辺を押し広げる力を分散することができる。その結果、溶接部22aにかかる応力を低減することができる。
【0051】
また、スライドプレート30は、内側ブーム(第1中間ブーム12)の外周面に、全周にわたって配置されているので、ブーム10が軸線周りに回転してしまうことを防止することができる。
【0052】
実施例1のブーム構造において、主スライドプレート30Aは、内側ブーム(第1中間ブーム12)の軸線Gを含む垂直面Pに対して、一方の側に配置され、副スライドプレート30Bは、垂直面Pに対して、他方の側に配置されている(図2)。
【0053】
これにより、ブーム10の伸縮時に、一方の側に配置されている主スライドプレート30Aが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、他方の側に配置されている副スライドプレート30Bが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、をずらすことができる。そのため、スライドプレート30の通過に伴って発生する、基端ブーム11の溶接部22aの周辺を押し広げる力を分散することができる。その結果、溶接部22aにかかる応力を低減することができる。
【0054】
実施例1のブーム構造において、副スライドプレート30Bは、主スライドプレート30Aと、異なる厚さで形成されている。
【0055】
ところで、ブーム10に左右方向の外力が加わると、ブーム10には左右方向のたわみが発生する。垂直面Pに対して、左右非対称に配置されているスライドプレート30では、第1中間ブーム12の基端側のスライドプレート30と、基端ブーム11の先端側スライドプレートとのスライドプレート間距離(ラップ長さ)が左右で異なるため、ラップ長さが短い側のたわみが顕著なものとなる。
【0056】
実施例1では、主スライドプレート30Aと副スライドプレート30Bの厚さを変えることで、中間ブーム(第1中間ブーム12)の後端を、基端ブーム11に対して左右方向にずらして配置することができる。そのため、ブーム10が外力による左右方向にたわみに対して、あらかじめ左右方向の傾きを与えることができ、左右方向のたわみを同等とすることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2のブーム構造は、スライドプレートの配置が異なる点で、実施例1のブーム構造と相違する。
【0058】
[ブーム支持部材の構成]
図4は、実施例2のブームを示す斜視図である。図5は、実施例2のブームとブーム支持部材の構成を示す側面図である。以下、実施例2のブーム構造の構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0059】
図4及び図5に示すように、スライドプレート30は、主スライドプレート130Aと、副スライドプレート130Bと、上部スライドプレート30Cと、で構成される。
【0060】
図4に示すように、主スライドプレート130A及び副スライドプレート130Bは、ブーム10の軸線Gを含む垂直面Pに対して、左右対称に配置されている。
【0061】
主スライドプレート130Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲は、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲と略同じ範囲をいう。すなわち、主スライドプレート130Aは、ブーム10が伸縮した際に、支持リブ22と重なる範囲に配置されている。
【0062】
主スライドプレート130Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲は、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲と略同じ範囲をいう。すなわち、主スライドプレート130Aは、ブーム10が伸縮した際に、溶接部22aと重なる範囲に配置されている。
【0063】
主スライドプレート130Aは、支持リブ22の延在方向に並んで6つ配置されている。言い換えると、主スライドプレート130Aは、溶接部22aの延在方向に並んで6つ配置されている。すなわち、主スライドプレート130Aは、軸方向Dに垂直な垂直面上に沿って配置されている。
【0064】
副スライドプレート130Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、支持リブ22が延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。すなわち、副スライドプレート130Bは、ブーム10が伸縮した際に、支持リブ22と重なる範囲に配置されている。
【0065】
副スライドプレート130Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されている。すなわち、副スライドプレート130Bは、ブーム10が伸縮した際に、溶接部22aと重なる範囲に配置されている。
【0066】
副スライドプレート130Bは、支持リブ22の延在方向に並んで4つ配置されている。言い換えると、副スライドプレート130Bは、溶接部22aの延在方向に並んで4つ配置されている。すなわち、副スライドプレート130Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上に沿って配置されている。副スライドプレート130Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、主スライドプレート130Aの間に配置される。
【0067】
副スライドプレート130Bは、軸方向Dにおいて、主スライドプレート130Aに対して、前方にずらして配置されている。すなわち、副スライドプレート130Bは、軸方向Dにおいて、主スライドプレート130Aと異なる位置に配置されている。
【0068】
[ブームの動き]
以下、実施例2のブームの動きを説明する。
【0069】
図5に示すように、第1中間ブーム12が、伸張した状態から、基端ブーム11に収容された状態に移動する際、スライドプレート30は、矢印Eの方向に、基端ブーム11の先端から基端に移動する。
【0070】
また、第1中間ブーム12が、基端ブーム11に収容された状態から、伸張した状態に移動する際、スライドプレート30は、矢印Eとは反対の方向に、基端ブーム11の基端から先端に移動する。
【0071】
この際、スライドプレート30は、基端ブーム11の内周面を摺動しながら移動し、主スライドプレート130Aと副スライドプレート130Bは、支持リブ22が設けられた範囲を通過する。すなわち、主スライドプレート130Aと副スライドプレート130Bは、支持リブ22が設けられた範囲に対応する、基端ブーム11の内周面を通過する。言い換えると、主スライドプレート130Aと副スライドプレート130Bは、溶接部22aが設けられた範囲を通過する。
【0072】
[ブーム構造の作用]
以下、実施例2のブーム構造の作用を説明する。実施例2のブーム構造は、主スライドプレート130Aと、副スライドプレート130Bとは、内側ブーム(第1中間ブーム12)の軸線Gを含む垂直面Pに対して、左右対称に配置されている(図4)。
【0073】
これにより、ブーム10の伸縮時に、主スライドプレート130Aが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、副スライドプレート130Bが溶接部22aの周辺を通過するタイミングと、をずらすことができる。そのため、スライドプレート30の通過に伴って発生する、基端ブーム11の溶接部22aの周辺を押し広げる力を分散することができる。その結果、溶接部22aにかかる応力を低減することができる。
【0074】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0075】
以上、本発明のブーム構造を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これら実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0076】
実施例1では、副スライドプレート30Bを5つ配置し、実施例2では、副スライドプレート130Bを4つ配置する例を示した。しかし、副スライドプレートは、この態様に限定されず、いくつ配置されてもよい。
【0077】
実施例2では、副スライドプレート130Bは、軸方向Dに垂直な垂直面上の上下方向において、主スライドプレート130Aの間に配置される例を示した。しかし、副スライドプレートとしては、この態様に限定されず、溶接部22aの延在する部分に対応する範囲に配置することができる。
【0078】
実施例1及び実施例2では、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されているスライドプレート30は、軸方向Dの位置が異なる、主スライドプレート30A,130Aと副スライドプレート30B,130Bとの2種類を有する例を示した。しかし、溶接部22aが延在する範囲に対応する、第1中間ブーム12の外周面の範囲に配置されているスライドプレート30は、軸方向Dに位置が異なる、3種類以上のスライドプレートを有してもよい。
【0079】
実施例1及び実施例2では、副スライドプレート30B,130Bは、主スライドプレート30A,130Aに対して、軸方向Dの前方にずらして配置する例を示した。しかし、副スライドプレート30B,130Bは、主スライドプレート30A,130Aに対して、軸方向Dの後方にずらして配置してもよい。
【0080】
実施例1及び実施例2では、本発明のブーム構造を、軸方向Dに垂直に延在する溶接部22aに適用する例を示した。しかし、本発明のブーム構造は、軸方向Dに対して傾斜した傾斜面に沿って延在する溶接部に適用することもできる。
【0081】
実施例1及び実施例2では、溶接部22aを、基端ブーム11を下方から支持する支持リブ22を基端ブーム11の外周面に溶接した部分とする例を示した。しかし、溶接部は、この態様に限定されず、基端ブーム11の先端や後端のリブを溶接した部分や、補強のためにリブを有しないで溶接された部分としてもよい。
【0082】
実施例1及び実施例2では、本発明のブーム構造を、高所作業車1のブーム10に適用する例を示した。しかし、本発明のブーム構造は、ジブやアウトリガーに適用することもできる。
【0083】
実施例1及び実施例2では、本発明のブーム構造を、高所作業車1に適用する例を示した。しかし、本発明は、ブームの伸縮に伴ってスライドプレートが移動する、クレーン車等に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 高所作業車
11 基端ブーム
12 第1中間ブーム(内側ブームの一例)
22a 溶接部
30 スライドプレート
30A 主スライドプレート
30B 副スライドプレート
D 軸方向
G 軸線
P 垂直面
図1
図2
図3
図4
図5