(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】画像処理方法、画像処理装置、及び記録システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B41J2/01 201
(21)【出願番号】P 2020115458
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真人
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-131959(JP,A)
【文献】特開2007-030198(JP,A)
【文献】特開2009-061610(JP,A)
【文献】特開2001-260423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0227157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Xdpiの間隔で並ぶブラックインク用のノズル群が副走査方向に配列される第1ノズル列と、Xdpiの間隔で並ぶ複数のカラーインク用のノズル群が前記副走査方向に配置される第2ノズル列と、が千鳥状に配列された記録ヘッドを有する記録装置用の記録データを、画像データに基づいて生成する画像処理方法であって、
前記副走査方向の解像度がX×Ndpiの前記画像データを入力する工程と、
前記画像データをN単位領域ごとにデータ処理する工程と、
前記データ処理を行った前記画像データにおける前記副走査方向の解像度を1/Nに解像度縮小処理する工程と、
解像度を縮小した前記画像データに基づいて、前記記録データを生成する工程と、を有し、
前記データ処理の工程では、前記N単位領域が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成され、且つ、前記N単位領域と隣接する異なるN単位領域から前記黒の階調値を有する画素が連続する場合、前記解像度縮小処理後の画素に前記ブラックインクのドットを発生させる処理を行うこと、
を特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記データ処理の工程では、前記N単位領域が、黒の階調値を有する画素と、黒以外の所定値未満の階調値を有する画素とで構成されている場合、各画素の階調値を、平均化または加重平均化した階調値に変更する処理を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
Xdpiの間隔で並ぶブラックインク用のノズル群が副走査方向に配列される第1ノズル列と、Xdpiの間隔で並ぶ複数のカラーインク用のノズル群が前記副走査方向に配置される第2ノズル列と、が千鳥状に配列された記録ヘッドを有する記録装置用の記録データを、画像データに基づいて生成する画像処理装置であって、
前記副走査方向の解像度がX×Ndpiの前記画像データが入力される入力部と、
前記画像データをN単位領域ごとにデータ処理し、前記データ処理を行った前記画像データにおける前記副走査方向の解像度を1/Nに解像度縮小処理し、解像度を縮小した前記画像データに基づいて、前記記録データを生成する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記N単位領域が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成され、且つ、前記N単位領域と隣接する異なるN単位領域から前記黒の階調値を有する画素が連続する場合、前記解像度縮小処理後の画素に前記ブラックインクのドットを発生させる処理を行うこと、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で生成された前記記録データに基づいて、記録媒体に記録を行う記録装置と、を備えること、
を特徴とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像処理装置、及び記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録ヘッドにブラックインク用のノズル群を副走査方向に配列した第1ノズル列と、複数色のカラーインク用のノズル群を副走査方向に配列した第2ノズル列とを有するプリンターが知られていた。特許文献1の中には、2つのノズル列のノズルピッチが同じであり、副走査方向のノズル位置が互いにずれるように千鳥状に配列された記録ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、第1ノズル列、及び第2ノズル列のノズルピッチが300dpiの場合、上述の記録ヘッドを備えたプリンターの解像度は、ブラックインク間が300dpi、カラーインク間が300dpi、ブラックインクとカラーインクとの間が600dpiとなる。また、例えば、600dpiの解像度を有する入力画像を300dpiに縮小して記録する際に、単位領域に含まれる画素の色を平均化して間引き処理する手法がある。この処理を用いて黒罫線を記録した場合、本来、ブラックインク用ノズル列を用いて300dpi間隔で記録される黒罫線が、ブラックインク用ノズル列とカラーインク用ノズル列とを用いた200dpi間隔で記録される場合がある。つまり、黒罫線の幅が、本来の幅よりも太く視認される恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像処理方法は、Xdpiの間隔で並ぶブラックインク用のノズル群が副走査方向に配列される第1ノズル列と、Xdpiの間隔で並ぶ複数のカラーインク用のノズル群が前記副走査方向に配置される第2ノズル列と、が千鳥状に配列された記録ヘッドを有する記録装置用の記録データを、画像データに基づいて生成する画像処理方法であって、前記副走査方向の解像度がX×Ndpiの前記画像データを入力する工程と、前記画像データをN単位領域ごとにデータ処理する工程と、前記データ処理を行った前記画像データにおける前記副走査方向の解像度を1/Nに解像度縮小処理する工程と、解像度を縮小した前記画像データに基づいて、前記記録データを生成する工程と、を有し、前記データ処理の工程では、前記N単位領域が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成され、且つ、前記N単位領域と隣接する異なるN単位領域から前記黒の階調値を有する画素が連続する場合、前記解像度縮小処理後の画素に前記ブラックインクのドットを発生させる処理を行う。
【0006】
画像処理装置は、Xdpiの間隔で並ぶブラックインク用のノズル群が副走査方向に配列される第1ノズル列と、Xdpiの間隔で並ぶ複数のカラーインク用のノズル群が前記副走査方向に配置される第2ノズル列と、が千鳥状に配列された記録ヘッドを有する記録装置用の記録データを、画像データに基づいて生成する画像処理装置であって、前記副走査方向の解像度がX×Ndpiの前記画像データが入力される入力部と、前記画像データをN単位領域ごとにデータ処理し、前記データ処理を行った前記画像データにおける前記副走査方向の解像度を1/Nに解像度縮小処理し、解像度を縮小した前記画像データに基づいて、前記記録データを生成する制御部と、を有し、前記制御部は、前記N単位領域が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成され、且つ、前記N単位領域と隣接する異なるN単位領域から前記黒の階調値を有する画素が連続する場合、前記解像度縮小処理後の画素に前記ブラックインクのドットを発生させる処理を行う。
【0007】
記録システムは、上記の画像処理装置と、前記画像処理装置で生成された前記記録データに基づいて、記録媒体に記録を行う記録装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る記録システムの構成を示すブロック図。
【
図5】ステップS110の詳細を示すフローチャート。
【
図7A】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図7B】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図7C】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図8A】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図8B】記録媒体上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示す図。
【
図9A】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図9B】記録媒体上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示す図。
【
図10A】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図10B】記録媒体上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示す図。
【
図11A】処理領域に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示す図。
【
図11B】記録媒体上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
実施形態に係る画像処理方法、画像処理装置、及び記録システムを説明する。
【0010】
1-1.装置の概略説明:
図1に示すように、記録システム40は、画像処理装置10および記録装置としてのプリンター20を含んでいる。記録システム40を、システム、画像処理システムあるいは印刷システム等と呼んでもよい。記録システム40の少なくとも一部により、画像処理方法が実現される。
【0011】
画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末、或いはそれらと同程度の処理能力を有する情報処理装置によって実現される。画像処理装置10は、制御部11、表示部13、入力部としての操作受付部14、通信インターフェイス15等を備える。インターフェイスはIFと略して表記する。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0012】
制御部11では、CPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行する。制御部11は、プログラム12に従った処理を実行することにより、プログラム12と協働してデータ処理部12a、解像度変換部12b、色変換部12c、HT処理部12d、記録制御部12eの各種機能を実現する。HTは、ハーフトーンの略である。プログラム12を、画像処理プログラム、記録制御プログラム、印刷制御プログラム等と呼んでもよい。プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成としてもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成としてもよい。
【0013】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための入力手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13および操作受付部14を含めて、画像処理装置10の操作パネルと呼ぶことができる。
【0014】
表示部13や操作受付部14は、画像処理装置10の構成の一部であってもよいが、画像処理装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。通信IF15は、画像処理装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。制御部11は、通信IF15を介してプリンター20と通信する。
プリンター20は、画像処理装置10による制御下で記録媒体Sへの記録を実行する。
【0015】
図2に示すように、プリンター20は、インク等の液体を吐出して記録を行うインクジェットプリンターである。なお、図面に付記する座標においては、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸に沿う両方向は、主走査方向に対応し、Y軸は、副走査方向に対応する。
【0016】
プリンター20は、記録媒体Sにインクを吐出する記録ヘッド30、記録ヘッド30が搭載されたキャリッジ26を主走査方向に往復移動させる主走査機構21、記録媒体Sを副走査方向に搬送する副走査機構25などを備える。キャリッジ26は、記録媒体Sにインクを吐出する記録ヘッド30と、記録ヘッド30に供給するインクを収容するカートリッジ27とを搭載する。
【0017】
主走査機構21は、一対のプーリー24に架設された円環状の駆動ベルト22、キャリッジ26が固定された駆動ベルト22を回動するためのモーター21aなどを備える。キャリッジ26とキャリッジ26に搭載された記録ヘッド30とは、モーター21aの動力により、架設されたガイドロッド23に案内されて、X軸に沿う主走査方向に往復移動する。
【0018】
副走査機構25は、記録媒体Sを搬送するローラー25a、ローラー25aを駆動するためのモーター25bなどを備え、記録媒体Sを主走査方向と交差する副走査方向へ搬送する。つまり、プリンター20は、主走査機構21による記録ヘッド30の移動に伴う液体吐出動作と、副走査機構25による記録媒体Sの搬送との組み合わせにより、記録媒体Sに記録データが表現する画像を記録する。
【0019】
図3に示すように、記録ヘッド30は、液滴であるドットを吐出可能なノズル33を複数備え、副走査機構25が搬送する記録媒体Sに対して各ノズルからドットを吐出する。本実施形態のプリンター20は、各ノズル33から、例えば、S、M、Lの異なるサイズのドットを吐出する。なお、
図3では、説明の便宜上、記録ヘッド30を上方から透視したときの各ノズル33の位置を示している。
【0020】
記録ヘッド30は、Xdpiの間隔で並ぶブラックインク用のノズル群が副走査方向に配列される第1ノズル列31と、Xdpiの間隔で並ぶ複数のカラーインク用のノズル群が副走査方向に配置される第2ノズル列32とを備える。本実施形態で説明する第1、第2ノズル列31,32に配置されるノズル群は、300dpiの間隔で並んでいる。第1ノズル列31と第2ノズル列32とは、副走査方向のノズル位置が互いにずれるように千鳥状に配置されている。これにより、ブラックインクとカラーインクとのノズル間隔は、600dpiとなる。第2ノズル列32は、シアン、マゼンタ、イエロー用のノズル群で構成されている。
【0021】
記録媒体Sは、代表的には用紙であるが、液体による記録が可能な媒体であれば紙以外の素材の媒体であってもよい。画像処理装置10は、入力された入力画像の画像データに基づいてプリンター20が記録可能な記録データを生成する。プリンター20は、記録データに基づいて、主走査機構21、副走査機構25及び記録ヘッド30などを制御することにより、記録媒体Sに入力画像を記録する。
【0022】
画像処理装置10とプリンター20とは、図示しないネットワークを通じて接続するとしてもよい。プリンター20は、印刷機能に加え、スキャナーとしての機能やファクシミリ通信機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機であってもよい。画像処理装置10は、独立した一つの情報処理装置によって実現されるだけでなく、ネットワークを介して互いに通信可能に接続した複数の情報処理装置によって実現されてもよい。例えば、
図1に示す制御部11の各種機能のうち、データ処理部12aを実現する装置と、解像度変換部12b、色変換部12c、HT処理部12dおよび記録制御部12eを実現する装置とは、分かれていてもよい。
【0023】
あるいは、画像処理装置10およびプリンター20は、それらが一体の記録装置であってもよい。つまり、記録システム40は、実態として画像処理装置10およびプリンター20を含んだ一台の記録装置であってもよい。従って、以下に説明する画像処理装置10が実行する処理は、一台の記録装置が実行する処理と解してもよい。
【0024】
1-2.画像処理方法の説明:
次に、画像処理装置10が実行する画像処理方法について
図4~
図11Bを参照して説明する。
【0025】
制御部11は、入力画像の記録指示を受け付けたことを契機として、画像処理を開始する。ステップS100では、制御部11は、入力画像として副走査方向に対応する解像度がX×N(N=2以上の整数)dpiの画像データ50を取得する。本実施形態では、X=300、N=2、すなわち副走査方向に対応する解像度が600dpiの画像データ50を取得するものとする。ユーザーは、例えば、表示部13に表示されたUI画面を視認しつつ操作受付部14を操作することにより、入力画像を任意に選択し、入力画像の記録指示を行う。UIはユーザーインターフェイスの略である。制御部11は、このように選択された入力画像の画像データ50を、所定のメモリー等の保存元から取得する。
【0026】
ステップS100で取得する入力画像は、所定の表色系で各画素の色を規定したビットマップ形式の画像データ50である。ここで言う所定の表色系とは、例えば、RGB(レッド、グリーン、ブルー)表色系、CMYK表色系、XYZ表色系、L*a*b*表色系など、様々である。なお、以下で説明する画像データ50は、RGB表色系であるものとする。
【0027】
また、ステップS100では、制御部11は、入力画像の記録条件を取得する。記録条件は、入力画像の選択と同様に、ユーザーにより指定された情報であったり、プリンター20に固有の情報としてプリンター20から取得した情報であったりする。記録条件には、カラー又はモノクロといった記録モードや、記録媒体の種類や、記録部数など様々な情報が含まれている。また、記録条件には、記録解像度の情報が含まれている。解像度は、1インチあたりの画素数である。
【0028】
ステップS110では、
図6に示すように、データ処理部12aは、画像データ50を2単位領域52ごとにデータ処理する。なお、図中に示す第1方向は、プリンター20で記録する際に主走査方向に沿って並ぶ画素の方向であり、第2方向とは、プリンター20で記録する際に副走査方向に沿って並ぶ画素の方向である。本ステップで実行されるデータ処理は、
図5に示すフローチャートを用いて、後で詳述する。
【0029】
ステップS120では、解像度変換部12bは、ステップS110で実行したデータ処理後の画像データ50における副走査方向の解像度を1/2に解像度縮小処理する。つまり、解像度変換部12bは、画像データ50の第2方向における解像度を600dpiから300dpiへ変換する。解像度変換部12bは、画像データ50において第2方向に並ぶ2画素からなり第2方向に沿って並ぶ2単位領域52ごとに、画素を1つ間引く。
【0030】
ステップS130では、色変換部12cは、解像度変換後の画像データ50を対象として色変換処理する。つまり、画像データ50の表色系を、プリンター20が記録に用いるインクの表色系に変換する。プリンター20がCMYKインクを使用する機種であり、画像データ50が各画素の色をRGBで階調表現する場合、画素ごとにRGBの階調値をCMYKの階調値に変換する。階調値は、例えば、0~255の256階調範囲の値である。色変換処理は、RGBからCMYKへの変換関係を規定した任意の色変換ルックアップテーブルを参照することにより実行可能である。
【0031】
ステップS140では、HT処理部12dは、色変換後の画像データ50にハーフトーン処理を施すことにより、記録データを生成する。ハーフトーン処理の具体的手法は特に問わず、ディザ法や誤差拡散法等を採用可能である。ハーフトーン処理により、画素ごとにCMYKの各インクのドットの吐出又は非吐出を規定した記録データが生成される。むろん、記録データにおけるドットの吐出の情報には、Lドット、Mドット、Sドットといった互いにサイズが異なる複数種類のドットのうちどれを吐出するかを規定した情報を含む。
【0032】
ステップS150では、記録制御部12eは、ステップS140で生成された記録データに基づく記録をプリンター20に実行させる出力処理を行う。つまり、記録制御部12eは、記録データをプリンター20に転送すべき順に並べ替えた上で、プリンター20へ順次転送する。当該並べ替えの処理は、ラスタライズ処理とも呼ぶ。なお、ステップS130~ステップS150は、解像度を縮小した画像データ50に基づいて、記録データを生成する工程に相当する。
【0033】
記録制御部12eは、出力された記録データとともに、記録条件の情報もプリンター20へ送信する。この結果、プリンター20が、画像処理装置10から送信された記録条件の情報および記録データに基づいて主走査機構21、副走査機構25及び記録ヘッド30を駆動することにより、記録媒体Sへ入力画像が表現するコンテンツを記録する。
【0034】
ステップS110の詳細を、
図5を参照して説明する。
ステップS111では、データ処理部12aは、処理領域51を特定する。データ処理部12aは、第2方向に画素がN個連続するN単位領域ごとにデータを処理する。処理領域51とは、N単位領域の両端に位置する各2画素を含めたN+4画素の領域である。本実施形態は、N=2である。すなわち、データ処理部12aは、第2方向に沿って連続する6画素の処理領域51の情報に基づいて、中央に位置する2単位領域52のデータを処理する。
【0035】
図6は、ステップS111で処理領域51を1つ特定した状態を示している。符号50は、ステップS100で取得した入力画像の画像データ50である。
図6では省略しているが、画像データ50内には、罫線等や写真やイラストやテキスト等の何らかのコンテンツが表現されている。
【0036】
データ処理部12aは、例えば、画像データ50における第1方向および第2方向の原点位置「0」が2単位領域52のスタート位置となるように、第2方向に並ぶ6画素の処理領域51を特定する。データ処理部12aは、ステップS111を繰り返す度に、第2方向に並ぶ6画素の処理領域51を第1方向のプラス側へ向かって1画素分、順次ずらし、新たな処理領域51とする。また、データ処理部12aは、第1方向に沿う最後の画素列まで処理領域51を特定し終えたら、処理領域51を、2単位領域52を構成する2画素分、第2方向のプラス側に移動し、再び第1方向の原点から新たな処理領域51を特定する。なお、画像データ50の第2方向における上端及び下端には、2画素分のダミー画素が配置される。
【0037】
ステップS112では、データ処理部12aは、処理領域51内に黒の階調値を有する黒画素の3連続があるか否かを判断する。黒画素の3連続がある場合(ステップS112:Yes)は、ステップS113へ進む。黒画素の3連続がない場合(ステップS112:No)は、ステップS116へ進む。
【0038】
ステップS113では、データ処理部12aは、処理領域51内に同じカラーの階調値を有するカラー画素の3連続があるか否かを判断する。同じカラー画素の3連続がある場合(ステップS113:Yes)は、ステップS114へ進む。同じカラー画素の3連続がない場合(ステップS113:No)は、ステップS116へ進む。
【0039】
ステップS114では、データ処理部12aは、3連続するカラー画素は、RGBで表現した際の所定値以上の階調値か否かを判断する。RGBで表現した際の所定値以上の階調値の場合(ステップS114:Yes)は、ステップS115へ進む。所定値未満の階調値の場合(ステップS114:No)は、ステップS116へ進む。
【0040】
ステップS115では、データ処理部12aは、2単位領域52内の画素に黒ドットを発生させる黒ドット発生処理を行う。これは、解像度縮小処理後の画素にブラックインクのドットを発生させるための処理である。
【0041】
ステップS116では、データ処理部12aは、2単位領域52内の画素の階調値を平均化する平均化処理を行う。
【0042】
ステップS117では、データ処理部12aは、処理領域51の特定を全て終了したか否かを判断する。特定を終了した場合(ステップS117:Yes)は、ステップS110を終了し、ステップS120へ進む。特定を終了してない場合(ステップS117:No)は、ステップS111に戻り、ステップS111からステップS117を繰り返す。
【0043】
ここで、本発明の特徴的なステップS116及びステップS117でのデータ処理の説明をする前に、入力画像を低解像度化する解像度変換処理を実行する際に、1画素で表される罫線が消えないように罫線を維持するデータ処理について
図7A~
図7Cを参照して説明する。以下の説明では、1画素で表される罫線を1画素罫線ともいう。なお、各図には、処理領域51における各画素の第2方向における位置を特定するため、各画素を#の符番で示している。
【0044】
図7Aは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図7Aの左図に示すように、処理領域51は、#D1~#D6の画素で構成されている。#D3及び#D4の画素は、2単位領域52の画素である。#D3画素が黒色であり、その他の画素が黒以外の色である場合、この処理領域51の画素と同じ構成の画素が第1方向に連なることにより、#D3画素は、1画素で表される罫線である、1画素罫線の一部をなす。なお、#D3画素以外の画素の色は、1画素罫線の背景色となる。
図7Aの右図に示すように、例えば、奇数行の画素を間引くことで600dpiから300dpiへの解像度変換処理を行う場合、間引き後の#D34画素には、偶数行の#D4画素だけの情報が残り、1画素罫線をなす#D3画素の情報が欠落する。
【0045】
そこで、従来技術の画像処理装置は、1画素罫線を維持させるデータ処理を行っていた。
図7B及び
図7Cは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図7Bの左図に示すように、2単位領域52の#D3画素と#D4画素とが異なる色である場合、データ処理部は、#D3画素の色を表す階調値と、#D4画素の色を表す階調値とを平均化する平均化処理を実行する。
図7Bの中図に示すように、#D3画素と#D4画素とには、平均化された階調値の色を有する情報が設定される。これにより、
図7Bの右図に示すように、奇数行の画素を間引く解像度変換を行った場合でも、間引き後の#D34画素には、平均化された階調値の色を有する#D4画素の情報が保持される。
【0046】
また、
図7Cの左図に示すように、2単位領域52の#D3画素と#D4画素とのいずれか一方の画素が黒色であり、他方の画素が白色である場合、データ処理部は、
図7Cの中図に示すように、#D3画素及び#D4画素に、上述したHT処理にてブラックインクのドットである黒ドットを発生させる属性Aを設定する。これにより、
図7Cの右図に示すように、奇数行の画素を間引く解像度変換を行った場合でも、間引き後の#D34画素には、黒ドットを発生させる属性Aを有する#D4画素の情報が保持される。これにより、コントラストの高い黒罫線が記録される。
【0047】
しかしながら、従来技術によるデータ処理を用いて、
図3に示す、ブラックインク用の第1ノズル列31とカラーインク用の第2ノズル列32とが千鳥状に配置された記録ヘッド30を有するプリンター20で記録させた場合、罫線が太く視認される恐れがあった。
【0048】
図8Aは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図8Aの左図に示すように、#D1画素から#D3画素が黒色であり、その他の画素が黒以外の色である場合、この処理領域51の画素と同じ構成の画素が第1方向に連なることにより、#D3画素は、3画素で表される罫線である、3画素罫線の一部をなす。この場合、データ処理部は、
図8Aの中図に示すように、2単位領域52である#D3画素と#D4画素とを平均化処理し、間引き後の#D34画素には、
図8Aの右図に示すように、平均化された黒色に近い階調値を有する#D4画素の情報が保持される。
【0049】
図8Bは、記録媒体S上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示している。
図8Bに示すように、各画素の第2方向における間隔及び幅は、300dpiである。ブラックインクを吐出する第1ノズル列31のノズル33と、カラーインクを吐出する第2ノズル列32のノズル33との間隔は、600dpiである。300dpi幅の各画素には、600dpi離れた、第1ノズル列31のノズル33と、第2ノズル列32のノズル33とからインクを吐出可能に構成されている。
図8Bに示すように、各画素において、ブラックインクは、第1ノズル列31のノズル33から第2方向のマイナス側半分の領域に吐出され、カラーインクは、第2ノズル列32のノズル33から第2方向のプラス側半分の領域に吐出される。
【0050】
図8Aの右図に示す解像度変換後の画像データに基づいて生成される記録データにより、記録媒体S上の#D12画素には、第1ノズル列31からブラックインクが吐出される。すなわち、
図8Bに示すように、黒ドットは、#D12画素において第2方向のマイナス側半分の領域に形成される。記録媒体S上の#D34画素には、第2ノズル列32からシアン、マゼンタ、イエローの各インクが吐出さる。すなわち、シアン、マゼンタ、イエローのコンポジットによる、黒色に近いドットは、#D34画素において第2方向のプラス側半分の領域に形成される。本来、ブラックインク用の第1ノズル列31を用いて300dpi間隔で記録される黒罫線が、ブラックインク用の第1ノズル列31とカラーインク用の第2ノズル列32とを用いた200dpi間隔で記録されるため、黒罫線の幅が太く視認されることがあった。
【0051】
記録媒体S上の#D56画素には、第2ノズル列32からシアン、マゼンタ、イエローの各インクが吐出され、背景色のドットが形成される。黒罫線は、明るい色を背景とする場合に、太く視認されやすい。200dpi間隔で記録された黒罫線であっても、暗い色を背景とする場合には、太く認識され難い。
【0052】
そこで、
図5で示すフローチャートでは、ステップS112において、データ処理部12aは、太く認識される恐れがある黒罫線の一部となり得る、黒色の画素の3連続があるかを判断する。また、ステップS113において、黒色罫線の背景となり得る、黒色以外の画素の3連続があるかを判断する。また、ステップS114において、3連続する黒色以外の画素が、黒罫線を太く視認させやすい色かを、RGBで表現した際の所定値以上の階調値か否かで判断する。
【0053】
そして、ステップS112~ステップS114における判断が全て「Yes」の場合、すなわち、2単位領域52が、処理領域51において3連続する、黒色の階調値を有する画素と、処理領域51において3連続する、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成されている場合に、データ処理部12aは、解像度縮小処理後の画素にブラックインクのドットを発生させるための処理を行う。
【0054】
ステップS115におけるデータ処理について、
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
図9Aは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図9Aの左図に示すように、処理領域51の#D1画素から#D3画素が黒の階調値を有する画素であり、#D4画素から#D6画素が、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する黒色以外の画素である。この場合、
図9Aの中図に示すように、データ処理部12aは、2単位領域52である#D3画素と#D4画素とに、黒ドットを発生させる属性Aを設定する。これにより、
図9Aの右図に示すように、ステップS120の解像度変換における解像度縮小処理後の#D34画素に属性Aの情報が保持され、ステップS140のHT処理において#D34画素に黒ドットが発生する。
【0055】
図9Bは、記録媒体S上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示している。
この結果、
図9Bに示すよう、記録媒体S上の#D12画素と#D34画素とには、ノズルピッチ300dpiの第1ノズル列31のノズル33だけで黒罫線が記録されるので、黒罫線の幅が太く視認されることが抑制される。
【0056】
暗い色を背景とする場合には、黒罫線は太く認識され難いと説明したが、#D4画素から#D6画素が、暗い色である、所定値未満の階調値を有する画素である場合に、ステップS115と同じ処理を行うことにより生じる弊害について説明する。
【0057】
図10Aは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図10Aの左図に示すように、処理領域51の#D1画素から#D3画素が黒の階調値を有する画素であり、#D4画素から#D6画素が、所定値未満の階調値を有する黒色以外の画素である。この画像データに対してステップS115の処理を実行した場合、
図10Aの中図に示すように、データ処理部12aは、2単位領域52である#D3画素と#D4画素とに、黒ドットを発生させる属性Aを設定する。これにより
図10Aの右図に示すように、ステップS120の解像度変換における解像度縮小処理後の#D34画素に属性Aの情報が保持され、ステップS140のHT処理において#D34画素に黒ドットが発生する。
【0058】
図10Bは、記録媒体S上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示している。
図10Bに示すよう、記録媒体S上の#D12画素と#D34画素とには、ノズルピッチ300dpiの第1ノズル列31のノズル33で黒罫線が記録される。一方、#D56画素には、第2ノズル列32のノズル33からシアン、マゼンタ、イエローの各インクが吐出され、所定値未満の階調値を有する黒色以外の暗い色の背景が記録される。#D34画素に着弾する黒ドットと、#D56画素に着弾する背景色のドットとは、画素の間隔より広い200dpi間隔であるため、着弾したインクが画素全体に浸透せずに、記録媒体Sの色が視認される場合がある。通常、記録媒体Sの色は白であるため、暗い色を背景とする場合に、白スジとして視認されやすい。
【0059】
そこで、
図5に示すフローチャートでは、ステップS114において、黒罫線の背景となり得る、3連続する黒色以外の画素が、白スジを太く視認させやすい色かを、RGBで表現した際の所定値以上の階調値か否かで判断する。
【0060】
そして、ステップS112及びステップS113における判断が「Yes」であったとしても、ステップS114における判断が「No」の場合、すなわち、2単位領域52が、処理領域51において3連続する、黒の階調値を有する画素と、処理領域51において3連続する、所定値未満の階調値を有する画素とで構成されている場合に、データ処理部12aは、各画素の階調値を平均化した階調値に変更する処理を行う。
【0061】
ステップS116におけるデータ処理について、
図11A及び
図11Bを参照して説明する。
図11Aは、図中の左から順に、処理領域51に含まれる入力画像の画像データ、平均化処理後の画像データ、解像度変換後の画像データを示している。
図11Aの左図に示すように、処理領域51の#D1画素から#D3画素が黒の階調値を有する画素であり、#D4画素から#D6画素に、所定値未満の階調値を有する黒以外の画素である。この場合、
図11Aの中図に示すように、データ処理部12aは、2単位領域52である#D3画素と#D4画素との階調値を、平均化した階調値に変更する。これにより、
図11Aの右図に示すように、ステップS120の解像度変換における解像度縮小処理後の#D34画素に平均化した階調値の情報が保持され、ステップS140のHT処理において#D34画素にシアン、マゼンタ、イエローのコンポジットによる、黒に近い色のドットが発生する。
【0062】
図11Bは、記録媒体S上に着弾するインクの位置、インクを吐出するノズル列の位置を示している。
この結果、
図11Bに示すよう、記録媒体S上の#D34画素には、第2ノズル列32のノズル33からシアン、マゼンタ、イエローの各インクが吐出され、黒に近い色の黒罫線の一部が記録される。#D56画素には、同じ第2ノズル列32のノズル33からシアン、マゼンタ、イエローの各インクが吐出され、所定値未満の階調値を有する暗い色の背景が記録される。これにより、#D34画素に着弾する黒に近い色のドットと、#D56画素に着弾する背景色のドットとの間隔は、画素の間隔と同じ300dpiになるため、白スジが視認され難くなる。
なお、本実施形態では、ステップS116において、2単位領域52の画素の階調値を平均化するものと説明したが、例えば、2画素のうち、階調値の低い側に近づくように重み付けする加重平均化であってもよい。
【0063】
なお、本実施形態では、画像データ50がRGB表色系である場合を説明したが、他の表色系であってもよい。その場合、ステップS114における判断基準は、他の表色系で使用される数値で求めればよい。
また、本実施形態では、X=300、N=2、副走査方向に対応する解像度が、X×N=600dpiの画像データ50を1/Nの300dpiに解像度変換する場合を説明したが、XとNとは、この組み合わせに限定されず、他の組み合わせにおいても本実施形態で説明した画像処理方法を適用することができる。
【0064】
また、本実施形態では、第2ノズル列32として、シアン、マゼンタ、イエロー用のノズル群が1列で構成されているが、他の構成であってもよい。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー用のノズル群がそれぞれ主走査方向に並んだ3列で構成されてもよい。この場合、それぞれのノズル列が、第1ノズル列31に対して副走査方向のノズル位置が互いにずれるように千鳥状に配置される。
【0065】
本実施形態に係る画像処理方法、画像処理装置10、記録システム40によれば、以下の効果を得ることができる。
千鳥状に配置された第1ノズル列31と第2ノズル列32とで、副走査方向と交差する主走査方向に記録される黒罫線は、所定値以下の階調値、すなわち明るい色を背景とする場合に、太く視認されやすい。画像処理装置10における画像処理方法は、2単位領域52が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成されている場合、解像度縮小処理後の画素にブラックインクのドットを発生させる処理を行う。これにより、黒罫線は、第1ノズル列31だけで記録されるので、黒罫線の幅が太く視認されることが抑制される。
【0066】
千鳥状に配置された第1ノズル列31と第2ノズル列32とで、副走査方向と交差する主走査方向に記録される黒罫線は、所定値未満の階調値、すなわち暗い色を背景とする場合に、太く視認され難い。逆に、第1ノズル列31だけで記録させた罫線は、白スジが視認されやすくなり、画質が低下することがある。画像処理装置10における画像処理方法は、2単位領域52が、黒の階調値を有する画素と、黒以外の所定値未満の階調値を有する画素とで構成されている場合、解像度縮小処理後の画素にブラックインクのドットを発生させる処理を行わずに、各画素の階調値を、平均化または加重平均化した階調値に変更する処理を行う。これにより、白スジが視認され難くなり、画像の品質が向上する。
【0067】
千鳥状に配置された第1ノズル列31と第2ノズル列32とで、副走査方向と交差する主走査方向に記録される黒罫線は、所定値以下の階調値、すなわち明るい色を背景とする場合に、太く視認されやすい。画像処理装置10は、2単位領域52が、黒の階調値を有する画素と、RGBで表現した際の所定値以上の階調値を有する画素とで構成されている場合、解像度縮小処理後の画素にブラックインクのドットを発生させる処理を行う。これにより、黒罫線は、第1ノズル列31だけで記録されるので、黒罫線の幅が太く視認されることが抑制される。
【0068】
記録システム40は、第1ノズル列31と第2ノズル列32とが千鳥状に配置された記録ヘッド30を有するプリンター20と、プリンター20で、黒罫線を記録させた場合でも、黒罫線の幅が太く視認されることを抑制させる画像処理方法を実行する画像処理装置10を備えている。これにより、黒罫線の幅が太く視認されることが抑制される記録システム40を提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…画像処理装置、11…制御部、14…入力部としての操作受付部、20…記録装置としてのプリンター、30…記録ヘッド、31…第1ノズル列、32…第2ノズル列、40…記録システム、50…画像データ、51…処理領域、52…2単位領域。