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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】眼科装置、及び眼科装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/16 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B3/16 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020133058
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029653
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】中西 弘敬
(72)【発明者】
【氏名】小林 城久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦生
(72)【発明者】
【氏名】古川 智章
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-008897(JP,A)
【文献】特開平08-126608(JP,A)
【文献】特開2003-126038(JP,A)
【文献】特開2017-064058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を検査する眼科装置であって、
被検眼の眼特性を検査するための検査手段と、
被検眼と前記検査手段の相対的な位置関係を変更する移動手段と、
被検眼に対する前記検査手段の左右方向、上下方向及び前後方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段と、
前記アライメント検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、
前記検査手段の前進移動を設定されたリミット位置までとする第1モードと、前記検査手段の前進移動を、前記リミット位置を超えて可能にする第2モードと、を切り換える切換手段と、
を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、
前記切換手段は、前記アライメント検出手段により検出された左右上下のアライメント状態が所定の許容範囲に入ったときに、前記第2モードに自動的に切換えることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項1又は2の眼科装置において、
前記制御手段は、左右上下のアライメント状態が許容範囲にないときには、前記検査手段の前進を前記リミット位置までに制限するように前記移動手段を制御し、左右上下のアライメント状態が所定の許容範囲に入ったときには、前記第2モードに切換え、前後方向におけるアライメントが完了するように前記移動手段を制御すること特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかの眼科装置において、
被検眼の前眼部を撮影する撮影手段を備え、
前記アライメント検出手段は、前記撮影手段によって撮像された前眼部画像に基づいてアライメント状態を検出する第1検出手段と、被検眼にアライメント指標を投影し、被検眼に投影されたアライメント指標に基づいてアライメント状態を検出する第2検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2検出手段によって前記アライメント指標が検出されたときには、前記第2検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて前記移動手段を制御し、前記第2検出手段によって前記アライメント指標が検出されていないときは、前記第1検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて前記移動手段を制御することを特徴とする眼科装置。
【請求項5】
被検眼の眼特性を検査するための検査手段と被検眼との相対的な位置関係を変更する移動手段を備える眼科装置において実行される眼科装置の制御プログラムであって、
被検眼に対する前記検査手段の左右方向、上下方向及び前後方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出ステップと、
前記検査手段の前進移動を設定されたリミット位置までとする第1モードを実行する第1移動ステップと、
前記検査手段の前進移動を、前記リミット位置を超えて可能にする第2モードを実行する第2移動ステップと、
前記第1移動ステップと前記第2移動ステップとを切換える切換えステップと、
を眼科装置の制御ユニットに実行させることを特徴とする眼科装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼を検査する眼科装置、および眼科装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科装置において、被検眼を検査するために、被検眼の前眼部画像や被検眼に投影したアライメント指標に基づいて被検眼に対する検眼部のアライメント状態を検出し、その検出結果に基づいて検眼部を移動させることで、被検眼に対する検眼部のアライメントを自動で行う眼科装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-64058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の眼科装置では、特に、眼圧測定装置のように被検眼に対する接近部の距離が短い装置においては、例えば、被検者の顔形状が彫りの深い奥眼の場合、良好にアライメントできない場合があった。
【0005】
本開示は、従来技術の問題点に鑑み、被検者が奥眼の場合でも、良好にアライメントを行える眼科装置、及び眼科装置制御プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検眼を検査する眼科装置であって、被検眼の眼特性を検査するための検査手段と、被検眼と前記検査手段の相対的な位置関係を変更する移動手段と、被検眼に対する前記検査手段の左右方向、上下方向及び前後方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段と、前記アライメント検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて前記移動手段を制御する制御手段と、前記検査手段の前進移動を設定されたリミット位置までとする第1モードと、前記検査手段の前進移動を、前記リミット位置を超えて可能にする第2モードと、を切り換える切換手段と、を備えることを特徴とする
(2) 被検眼の眼特性を検査するための検査手段と被検眼との相対的な位置関係を変更する移動手段を備える眼科装置において実行される眼科装置の制御プログラムであって、被検眼に対する前記検査手段の左右方向、上下方向及び前後方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出ステップと、前記検査手段の前進移動を設定されたリミット位置までとする第1モードを実行する第1移動ステップと、前記検査手段の前進移動を、前記リミット位置を超えて可能にする第2モードを実行する第2移動ステップと、前記第1移動ステップと前記第2移動ステップとを切換える切換えステップと、を眼科装置の制御ユニットに実行させることを特徴とする眼科装置の制御プログラム。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被検者が奥眼の場合であっても、良好にアライメントを行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】眼科装置の外観の概略図である。
図2】眼科装置の内部構成の概略図である。
図3】眼科装置の光学系を示す図である。
図4】眼科装置が備える制御系のブロック図である。
図5】眼科装置が検査の際に実行する動作のフローチャート図である。
図6】眼科装置がアライメントの際に実行する動作のフローチャート図である。
図7】顔画像解析の際にディスプレイに表示される画面の一例である。
図8】被検眼に投影されたXYアライメント指標の模式図である。
図9】リミット位置と作動距離の位置関係を示す図である。
図10】検者がリミット位置を設定する図である。
図11】眼科装置のZアライメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[概要]
以下、本開示に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、眼科装置として眼圧測定装置を例に説明するが、眼屈折測定装置、角膜曲率測定装置、角膜形状測定装置、眼軸長測定装置、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、またはSLO(scanning laser ophthalmoscope)等の他の眼科装置にも適用可能である。また、図1~6は実施形態に係る眼科装置及び眼科装置制御プログラムの構成について説明する図である。
【0010】
例えば、眼科装置は、被検眼Eの眼特性を検査するための検査手段(例えば、検査ユニット100)を備える。例えば、検査手段は、検査光学系を備える(例えば、測定光学系10)。例えば、検査手段は、被検眼Eの眼特性を検査するために必要な構成(例えば、流体噴出ユニット200)を備える。例えば、眼科装置は、被検眼Eと検査手段との相対的な位置関係を変更するための移動手段(例えば、駆動ユニット4、5、6)を備える。例えば、眼科装置は、検査手段の左右方向(以下、X方向)、上下方向(以下、Y方向)、及び前後方向(以下、Z方向)のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段(例えば、前眼部観察光学系37)を備える。例えば、眼科装置は、アライメント検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて前記移動手段を制御する制御手段(例えば、制御ユニット80)を備える。
【0011】
例えば、眼科装置は、検査手段のZ方向の前進移動を予め設定されたリミット位置までとする第1モードと、検査手段のZ方向の前進移動を、リミット位置を超えて可能にする第2モードと、を切換える切換え手段(例えば、制御ユニット80)を備える。例えば、切換え手段は、アライメント検出手段によって検出されたX方向及びY方向のアライメントの位置(以下、XYアライメント位置)が所定の許容範囲に入った場合に、第2モードに自動的に切換える。また、例えば、制御手段は、アライメント検出手段によって検出されたXYアライメント位置が所定の許容範囲から外れていた場合、検査手段のZ方向の前進移動を設定されたリミット位置までに制限する。これにより、被検者が奥眼の場合でも、検査手段と被検眼が接触することを低減しつつ、検査手段を前進させられるため、アライメントを完了させ、検査を行うことが出来る。なお、切換え手段が第1モードから第2モードに切換えるときの所定の許容範囲は、アライメント完了の許容範囲より広く設定されている。
【0012】
例えば、眼科装置は、被検眼Eの前眼部を撮影する撮影手段(例えば、前眼部観察光学系37)を備える。例えば、アライメント検出手段は、撮影手段によって撮像された前眼部画像に基づいてアライメント状態を検出する第1検出手段を備える。例えば、アライメント検出手段は、被検眼Eにアライメント指標を投影し、被検眼Eに投影されたアライメント指標に基づいてアライメント状態を検出する第2検出手段(例えば、第1アライメント指標投影光源40、第2アライメント指標投影光源81、82、83及び84、前眼部観察光学系37、受光光学系70b)を備える。例えば、制御手段は、第2検出手段によってアライメント指標が検出されたときには、第2検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて移動手段を制御する。例えば、XY方向のアライメント状態を検出するためのアライメント指標が被検眼に複数投影される構成においては、全てのアライメント指標が検出されていなくても、検査手段を移動すべき方向を決定できれば、一部のアライメント指標の検出であってもよい。例えば、制御手段は、第2検出手段によってアライメント指標が検出されていないときは、第1検出手段によって検出されたアライメント状態に基づいて移動手段を制御する。
【0013】
例えば、眼科装置は、リミット位置を記憶する記憶手段(例えば、記憶部87)を備え、制御手段は、記憶手段に記憶されたリミット位置に基づき、検査手段の前進移動を制御する。例えば、リミット位置は、記憶手段に記憶されたリミット位置が呼び出されて設定される。例えば、記憶手段に記憶されたリミット位置は、標準的な顔の被検者(奥眼でない被検者)が想定され、設計値として記憶手段に記憶されている。
【0014】
例えば、眼科装置は、リミット位置を検査状態に置かれた被検眼に対して設定して記憶手段に記憶させるための記憶設定手段(例えば、ジョイスティック7、制御ユニット80、入力手段86)を備えていてもよい。例えば、記憶設定手段は、検査状態に置かれた被検眼と検査ユニットとの位置関係を検者が観察することでリミット位置を任意に定めるための第1記憶設定手段であってもよい。また、例えば、記憶設定手段は、検査状態に置かれた被検眼を含む被検者の顔を顔撮像手段(例えば、顔撮影部90)と、顔撮像手段で撮像された被検眼の前後方向の位置を検出する眼位置検出手段(例えば、撮像素子91、制御ユニット80)と、を備える第2記憶設定手段であって、眼位置検出手段の検出結果に基づいてリミット位置を設定する第2記憶設定手段(例えば、制御ユニット80)であってもよい。例えば、記憶設定手段は、第1記憶設定手段と第2記憶設定手段の少なくとも一つ備える。この記憶設定手段によって検査状態に置かれた被検眼Eに応じてリミット位置を任意に設定することができる。
【0015】
例えば、眼科装置は、検査手段を左右方向、上下方向及び前後方向に移動可能に搭載する基台(例えば、基台2)を備える。例えば、眼科装置は、基台に対する検査手段の前後方向の位置を検知する前後位置検知手段(例えば、制御ユニット80)と、を備える。例えば、リミット位置は基台を基準に設定された位置であり、制御手段は、第1モードでは、前後位置検知手段の検知結果に基づいて検査手段の前進移動を前記リミット位置までとするように制御する。例えば、前後位置検知手段は、検査手段の前後方向の位置を検知するセンサであってもよい。例えば、前後位置検知手段は、検査手段を前進移動する駆動手段(例えば、駆動ユニット6)の駆動量に基づき、制御手段が検査手段の前後方向の位置を検知する構成であってもよい。
【0016】
なお、本開示においては、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う制御プログラム(ソフトウェア)をネットワーク又は各種記憶媒体等を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置の制御ユニット(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
【0017】
例えば、眼科装置の制御ユニットで実行される眼科装置の制御プログラムは、被検眼に対する検査手段の左右方向、上下方向及び前後方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出ステップを備える。例えば、制御プログラムは、検査手段の前進移動を設定されたリミット位置までとする第1モードを実行する第1移動ステップを備える。例えば、制御プログラムは、検査手段の前進移動を、リミット位置を超えて可能にする第2モードを実行する第2移動ステップを備える。例えば、制御プログラムは、第1移動ステップと第2移動ステップとを切換える切換えステップを備える。
【0018】
[実施例]
実施例の眼科装置として、例えば、被検眼Eの眼圧を非接触にて測定する眼圧測定装置を例にして説明する。例えば、本実施例の眼科装置は、片眼毎に検査を行ってもよく、両眼同時に検査を行ってもよい。また、眼科装置は、左右の被検眼Eのうち、どちらか一方のみの検査を行ってもよい。
【0019】
本開示の典型的な実施例の一つについて、図面を参照して説明する。図1は実施例に係る眼科装置1の外観図であり、図1(a)は、眼科装置1の側面図、図1(b)は眼科装置1を被検者側から見た場合の外観図である。眼科装置1は、検査ユニット100を備える。検査ユニット100は、眼特性を観測する検査手段の例である。なお、以下の説明では、被検者から見て左右方向をX方向、上下方向をY方向、前後方向をZ方向として説明する。
【0020】
例えば、眼科装置1は、基台2を備える。基台2の上面部に、移動台2aがX方向に移動可能に搭載されている。移動台2aは、検査ユニット100を移動するための移動手段の例である。例えば、眼科装置1は、駆動ユニット4を備える。駆動ユニット4は、被検眼Eと検査ユニット100との位置関係を変更するための移動手段の一例であり、移動台2aをX方向に移動させる。例えば、眼科装置1は、駆動ユニット5を備える。駆動ユニット5は、被検眼Eと検査ユニット100との位置関係を変更するための移動手段の一例であり、移動台2aに対して検査ユニット100をY方向に駆動させる。例えば、眼科装置1は、駆動ユニット6を備える。駆動ユニット6は、被検眼Eと検査ユニット100との位置関係を変更するための移動手段の一例であり、移動台2aに対して検査ユニット100をZ方向に駆動させる。なお、駆動ユニット4、5、及び6は、モータ、スライド機構等の周知の移動機構によって構成される。
【0021】
例えば、眼科装置1は、被検眼Eを検査状態に置くための顔支持部3を備える。顔支持部3は、被検者の顔を支持する。顔支持部3は、例えば、額当て3a、顎台3b、顎台センサ3c、顎台駆動部3d等を備える。顎台センサ3cは、顎台3bに顎が載せられているかを検知し、検知結果を後述する制御ユニット80に出力する。顎台駆動部3dは、顎台3bを上下に移動させて高さを調整する。
【0022】
例えば、眼科装置1は、入力手段の例であるジョイスティック7を備える。ジョイスティック7は、操作者(検査者)が検査ユニットをX方向、Y方向及びZ方向に駆動させる駆動信号を制御ユニット80に入力するために使用される。例えば、眼科装置1は、ディスプレイ85を備える。出力手段の例であるディスプレイ85に、被検眼Eの観察画像及び測定結果等が表示される。また、ディスプレイ85は、操作者が制御ユニット80に信号や数値等を入力するための入力手段86として用いられてもよい。なお、入力手段86は、マウス、キーボード、トラックボール、ボタン等のヒューマンインターフェイスで代用可能である。例えば、眼科装置1は、音声出力部89を備える。音声出力部89は検者または被検者に対して音声アナウンスを行う。音声出力部89は、例えば、スピーカー等である。例えば、眼科装置1は、左右の被検眼Eのうち少なくとも一方を撮影する撮影手段の例である顔撮影部90を備える。顔撮影部90は、撮影した画像を後述する制御ユニット80に出力する、顔撮影部90は、例えば、赤外線カメラを備える。
【0023】
例えば、眼科装置1は、赤外照明光源(後述する第2アライメント指標投影光源を兼ねる)81、82、83及び84を備える。この赤外照明光源81、82、83及び84は、被検眼Eの前眼部画像を取得する際に、前眼部を照明するために使用される。また、例えば、眼科装置1は、顔部を照明するための照明光源96を備える。
【0024】
<検査ユニット>
例えば、検査ユニット100は、被検眼Eの眼圧を測定するための流体噴出ユニット200と、測定光学系10と、を備える。流体噴出ユニット200は、被検眼Eの眼圧を測定するために使用される。
【0025】
なお本実施例において、検査ユニット100は、眼圧を検査するために使用されるが、眼科装置の用途に応じて、検査ユニット100には検査に必要な光学系や構成が備えられる。例えば、眼屈折力や角膜形状等の眼情報を検査する眼科装置の場合、検査ユニット100は眼屈折力や角膜形状等の眼情報を検査するために必要な光学系及び構成を備える。
【0026】
<流体噴出ユニット>
流体噴出ユニット200は、検査ユニット100の構成部分であり、被検眼Eに対して空気を噴出する。図2は、流体噴出ユニット200の概略構成図である。流体噴出ユニット200は、シリンダ201、ピストン202、ソレノイドアクチュエータ(以下、ソレノイド)203、ノズル部205、検知部250を備える。シリンダ201とピストン202は、被検眼Eに噴出する空気を圧縮する空気圧縮機構として使用される。シリンダ201は流体圧縮室の一例である。ピストン202は、シリンダ201の軸方向に沿って摺動する。ピストン202は、シリンダ201内の空気圧縮室234の空気を圧縮する。本実施例におけるソレノイドは直動ソレノイドであり、直線的に作動する。
【0027】
また、流体噴出ユニット200は、圧力センサ212、エア抜き穴213を備えていてもよい。圧力センサ212は、例えば、気密室221の圧力を検出する。エア抜き穴213から空気が抜けることで、例えば、ピストン202に初速がつくまでの間の抵抗が減少され、時間に比例的な立ち上がりの圧力変化を得ることが出来る。
【0028】
ノズル部205は、測定時に被検者の眼前に配置され、被検者に接近する接近部である。ノズル部205は、例えば、ノズル206と、ノズルホルダ207等を備える。ノズル206は、圧縮された空気を装置外部に噴出する。ノズルホルダ207は、ノズル206を内部に収容する。また、ノズル部はガラス版208及び209を備えていてもよい。ガラス版208は、透明であり、ノズル206を保持するとともに観察光やアライメント光を透過させる。ガラス板209の背後には、観察・アライメント光学系がその観察光軸及びアライメント光軸と、ノズル206が同軸になるように配置されている。
【0029】
検知部250は、例えば、ノズル部205が被検者と接触したことを検知する検知手段であり、接触センサ251を備える。接触センサ251は、感圧センサ等であってもよい。この場合、接触センサ251は、ノズル部205の被検者側の面に配置される。
【0030】
ピストン202の移動によりシリンダ201内の空気圧縮室234で圧縮された空気は、シリンダ201の先端に連結された接続部材220(例えば、チューブ)と、圧縮された空気を収容する気密室221と、を介して、ノズル206から被検眼Eの角膜に向けて噴出される。
【0031】
<測定光学系>
測定光学系10は、検査ユニット100の構成部分であり、被検眼Eの検査に使用される光学系である。図3は測定光学系10の概略図である。測定光学系10は、前眼部観察光学系37、固視光学系48、角膜厚測定光学系70、角膜変形検出光学系500、作動距離検出光学系600、顔照明光学系95を備える。
【0032】
<前眼部観察光学系>
前眼部観察光学系37について説明する。前眼部観察光学系37は、被検眼E像を取得するために使用され、XY方向のアイライメントの基準となる光軸L1は観察光軸として使用される。なお、光軸L1はノズル206の中心を通るように設定されている。赤外照明光源(後述する第2アライメント指標投影光源を兼ねる)81、82、83及び84により照明された被検眼E像が、ビームスプリッタ31、対物レンズ32、ダイクロイックミラー33、撮像レンズ34、フィルタ35を介し、CCDカメラ36に結像する。すなわち、前眼部観察光学系37は、ビームスプリッタ31からCCDカメラ36までの光学系である。なお、本実施形態では後述する第2アライメント指標光源と、前眼部を照明する赤外照明光源が兼用されるが、別々に設けてもよい。
【0033】
フィルタ35は、赤外照明光源81、82、83及び84、及び第1アライメント指標投影光源40の光を透過し、後述する角膜変形検出用の光源50の光及び可視光に対して不透過の特性を持つ。CCDカメラ36に結像した像はディスプレイ85に表示される。
【0034】
また、前眼部観察光学系37は検査ユニット100のXYアライメント位置を検出するためにも使用される。この場合、前眼部観察光学系37は前眼部に投影された指標を検出する指標検出光学系として使用される。
【0035】
被検眼Eにアライメント用の指標を投影するために、第1アライメント指標投影光源(中央指標投影用光源)40、及び第2アライメント指標投影光源81、82、83、84が使用される。第1アライメント指標投影光源40から投影レンズ41を介して投影された赤外光はビームスプリッタ31により反射され、被検眼Eに正面より投影される。角膜で鏡面反射する光束は光源40の虚像である第1アライメント指標i1を形成する。第1アライメント指標i1の光束は、前眼部観察光学系37を介してCCDカメラ36上に第1アライメント指標i1の像を形成する(図8参照)。
【0036】
第2アライメント指標投影光源81及び82、また83及び84は、それぞれ光軸を挟んで同じ高さ距離に配置され、指標の光学距離を同一にしている。光源81、82からの光は被検眼Eの角膜周辺に向けて斜め上方向から照射され、光源81、82の虚像である第2アライメント指標i2、i3を形成する。光源83、84からの光は被検眼Eの角膜周辺に向けて斜め下方向から照射され、光源83、84の虚像である第2アライメント指標i4、i5を形成する。第2アライメント指標i2、i3、i4、i5の光束は、前眼部観察光学系37を介してCCDカメラ36上に第2アライメント指標i2、i3、i4、i5の像を形成する(図8参照)。
【0037】
<固視光学系>
固視光学系48は、光軸L1を有し、被検眼Eに対して正面方向から固視標を呈示する。固視光学系48は、例えば、可視光源(固視灯)45、投影レンズ46、ダイクロイックミラー33を有する。可視光源45から照射された可視光は、投影レンズ46、ダイクロイックミラー33、対物レンズ32を介し、眼Eの眼底に投影される。これにより、眼Eは、正面方向の固視点を固視した状態となり、視線方向が固定される。
【0038】
<角膜変形検出光学系>
角膜変形検出光学系500は、投光光学系500aと、受光光学系500bと、を含み、角膜の変形状態を検出するために使用される。投光光学系500aは、投光光軸として光軸L3を有し、眼Eの角膜に向けて斜め方向から照明光を照射する。投光光学系500aは、例えば、赤外光源50、コリメータレンズ51、ビームスプリッタ52、を有する。受光光学系500bは光検出器57を有し、眼Eの角膜での照明光の反射光を受光する。受光光学系500bは、例えば、レンズ53、ビームスプリッタ55、ピンホール板56、光検出器57、を有し、受光光軸として光軸L2を形成する。
【0039】
光源50を出射した光はコリメータレンズ51、ビームスプリッタ52を介し、被検眼Eの角膜に投光される。角膜で反射した光は、レンズ53、ビームスプリッタ55、ピンホール板56を介して光検出器57に受光される。レンズ53は、光源30及び光源40の光に対して不透過の特性を持つ。また、角膜変形検出用の光学系は、被検眼Eが所定の変形状態(偏平状態)のときに光検出器57の受光量が最大になるように配置されている。
【0040】
<作動距離検出光学系>
作動距離検出光学系600は、投光光学系600aと、受光光学系600bと、を含み、検査ユニット100のZ方向のアライメント状態を検出するために使用される。本実施例において、角膜変形検出光学系500の一部は、作動距離検出光学系600の一部を兼ねており、投光光学系600aは、角膜変形検出光学系500の投光光学系500aを兼用する。光源50による角膜での反射光を受光する受光光学系600bは、例えば、投光光学系500aのレンズ53、ビームスプリッタ58、集光レンズ59、位置検出素子60を有し、受光光軸として光軸L2を形成する。
【0041】
光源50より投光され、角膜で反射した照明光は光源50の虚像である指標像を形成する。その指標像の光は、レンズ53、ビームスプリッタ55、ビームスプリッタ58、集光レンズ59を介してPSDやラインセンサ等の一次元または二次元の位置検出素子60に入射する。位置検出素子60は入射された光に基づいて信号を制御ユニット80に出力する。制御ユニット80は、位置検出素子60からの出力信号に基づいて検査ユニット100のZ方向のアライメント状態を検出する。
【0042】
<角膜厚測定光学系>
角膜厚測定光学系70は、投光光学系70aと、受光光学系70bと、固視光学系48と、を含み、被検眼Eの角膜厚を測定するために用いられる。また、投光光学系70aは、角膜変形検出光学系500及び作動距離検出光学系600の一部が兼用される。投光光学系70aは、例えば、照明光源71、集光レンズ72、光制限部材73、凹レンズ74、角膜変形検出光学系と兼用されるレンズ53、を有する。投光光学系70aは、被検眼Eの角膜上において所定のパターン光束(例えば、スポット光束、スリット光束)を形成する。
【0043】
受光光学系70bは、受光素子77を有し、眼Eの角膜表面及び裏面での照明光の反射光を受光する。受光光学系70bは、光軸L1に関して投光光学系70aと略対称に配置されている。受光光学系70bは、例えば、受光レンズ75、凹レンズ76、受光素子77、を有する。制御ユニット80はこの受光素子77からの出力信号により、角膜変形状態を検知し、ソレノイド203の駆動を制御する。
【0044】
照明光源71から出射された光は、集光レンズ72によって集光され、光制限部材73を背後から照明する。そして、光源71からの光は、光制限部材73によって制限された後、レンズ53によって角膜付近で結像(集光)される。角膜付近において、例えば、ピンホール像(ピンホール板を使用の場合)、スリット像(スリット板を使用の場合)が結像される。このとき、光源71からの光は、角膜上における視軸との交差部分の近傍で結像される。
【0045】
投光光学系70aによって角膜に照明光が投光されると、角膜での照明光の反射光は、光軸L1に関して投光光束とは対称な方向に進行する。そして、反射光は、受光レンズ75によって受光素子77上の受光面上で結像される。
【0046】
なお、受光光学系500b、600b及び投光光学系70aで兼用されるレンズ53は、光源50による角膜での反射光をピンホール板56の穴の中央部に集光させ、かつ、光源71からの照明光を角膜表面及び裏面で集光させる位置に配置される。
【0047】
<顔撮影部>
顔撮影部90は、例えば、左右の被検眼Eのうち少なくとも一方を含む顔を撮影するための光学系である。例えば、図3に示すように、本実施例の顔撮影部90は、例えば、撮像素子91と、撮像レンズ92を主に備える。
【0048】
顔撮影部90は、例えば、検査ユニット100が初期位置にある場合に被検眼Eの両眼を撮影できる位置に設けられる。本実施例において、検査ユニット100の初期位置は、右眼を検査し易いように顎台3bの方向から見て顎台3bに対して右側にずれた位置に設定される。したがって、顔撮影部90は、検査ユニット100が右側にずれた初期位置にある状態で、被検眼Eの両眼を撮影できる位置に設けられる。例えば、顔撮影部90は、検査ユニット100が初期位置にある状態における機械中心に配置される。初期位置は、例えば、瞳孔間距離の半分、つまり片眼瞳孔間距離に基づいて設定される場合、顔撮影部90は、装置本体の機械中心に対して片眼瞳孔間距離だけ左右にずれた位置に配置されてもよい。
【0049】
本実施例の顔撮影部90は、駆動ユニット4、5、6によって検査ユニット100とともに移動される。もちろん、顔撮影部90は、例えば、基台2に対して固定され、移動しない構成でもよい。
【0050】
なお、撮像レンズ92は、例えば、広角レンズであってもよい。広角レンズは、例えば、魚眼レンズ、円錐レンズ等である。広角レンズを備えることによって、顔撮影部90は、広い画角で被検者の顔を撮影できる。
【0051】
<顔照明光学系>
顔照明光学系95は、被検眼Eの顔を照明する。顔照明光学系95は、例えば、照明光源96を備える。照明光源96は、赤外光を発する。本実施例では、検眼窓の左右の位置に照明光源96が設けられている。なお、顔照明光学系95は、アライメント用の指標光源よりも指向性の低い光源が用いられる。
【0052】
<電気系概略構成図>
図4は、実施例の眼科装置1における電気系の概略構成ブロック図である。例えば、制御ユニット80に、図1~3に示した各ユニットの電気系構成要素(ソレノイド等)が接続されている。例えば、制御ユニット80は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等により構成される。制御ユニット80は装置全体の制御を司るために構成されている。また、制御ユニット80は、測定光学系10を用いて検出された被検眼Eに対する検査ユニット100のアライメント状態に基づいて、駆動ユニット4、5、6の動作を制御することで検査ユニット100のアライメントを行う。また、制御ユニット80は、検査ユニット100をZ方向に移動させる駆動ユニット4の駆動量に基づき、基台2に対する検査ユニット100の前後方向の位置を検知する前後位置検知手段としても機能する。
【0053】
例えば、ROMには、眼科装置1を制御するための眼科装置制御プログラム、初期値等が記憶されている。例えば、RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御ユニット80は、検査ユニット100、顔撮影部90、駆動ユニット4、5及び6、ディスプレイ85、入力手段86、顎台駆動部3d、記憶部(例えば、不揮発性メモリ)87、音声出力部89等と接続されている。記憶部87は、例えば、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、着脱可能なUSBフラッシュメモリ等を記憶部87として使用することができる。例えば、記憶部87は、後述するリミット位置Limを記憶する記憶手段である。
【0054】
<装置の動作>
以上のような構成を備える眼科装置1の動作を説明する(図5、6の装置動作のフローチャート参照)。本実施例において、眼科装置1は検査ユニット100と被検眼Eとのアライメントを全自動(フルオート)で行う。
【0055】
まず、被検者が顎台3bに顎を乗せると、顎台センサ3cが被検者が顎を乗せたこと検知し、装置の動作が開始する。なお、検者が入力手段86を用いて制御ユニット80に開始信号を入力し、装置の動作を開始させてもよい。
【0056】
次いで、制御ユニット80が行う、顔撮影部90によって撮影される顔画像から被検者の眼のXY方向の位置の検出について、図7を用いて説明を行う。
【0057】
図7(a)における301aは、顔撮影部90によって撮影される画像の一例である。また、撮影される画像301aは、ディスプレイ85に表示されてもよい。このとき、アライメント指標は照射する範囲が狭いため、被検者の両眼を含む顔を照明することができない。そのため、本実施例では、顔照明光学系95を設けている。両眼のXY方向の位置を検出する方法として、公知の技術が利用でき、例えば、被検眼Eの特徴部位を検出する解析処理を行う(例えば、特開2017-196304参照)。
【0058】
眼のXY方向の位置検出後は、アライメント指標もしくは瞳孔検出が行われる。図7(b)における301bは、前眼部観察光学系37によって取得される画像の一例である。また、取得される画像301bは、ディスプレイ85に表示されてもよい。なお、瞳孔の検出方法の例として、公知の技術が利用できる(例えば、特許3606706号参照)。例えば、以下の方法が挙げられる。被検眼Eを赤外光で照射したとき、瞳孔、虹彩、強膜からの反射光量のレベル(輝度)はそれぞれ異なる。これを利用し、制御ユニット80は前眼部画像を解析して瞳孔(又は虹彩)の境界エッジを検出する。また、瞳孔の位置が検出された場合、例えば、瞳孔の幾何中心が瞳孔中心として求められる。
【0059】
指標又は瞳孔が検出できた場合は顎台3bの位置が適切であるので、測定準備が終了され、前眼部画像及びアライメント指標の少なくとも一方に基づく位置調整に移行される。それ以外の場合は、顎台調整が行われる。顎台調整のために、制御ユニット80は先に求めた顔撮影部での眼のXY方向の位置検出結果に基づいて顎台駆動部3dを駆動させる。図7(c)における301cは、顎台3bの位置が適切でない場合に前眼部観察光学系37によって取得される画像の一例である。また、取得される画像301cは、ディスプレイ85に表示されてもよい。なお、顎台調整は操作者が手動で顎台3bの調整を行ってもよい。このとき、顔照明は点灯していても瞳孔検出できるため、点灯していてもよい。以下、図5の各ステップについて説明する。
【0060】
{ステップS110:顔画像解析}
制御ユニット80は、顔照明光学系95による顔の照明を行う。例えば、照明光源96を点灯する。この時、制御ユニット80は、アライメント光81、82、83、84を消灯させてもよい。制御ユニット80は、顔撮影部90からの撮像信号に基づいて、左右の少なくともいずれかの被検眼Eを検出する。
【0061】
{ステップS120:被検眼検出判定}
制御ユニット80は、顔撮影部90からの撮像信号に基づき、被検眼Eが検出されたか判定する。被検眼Eが検出された場合は、ステップS130に移行される。被検眼Eが検出されなかった場合は、ステップS160に移行される。
【0062】
{ステップS130:顎台調整}
制御ユニット80は、例えば、顔撮影部90からの撮像信号に基づき、顎台駆動部3dを制御し、顎台3bの高さを調整する。この場合、制御ユニット80は、検査ユニット100のY方向の移動可能範囲内に被検眼Eが配置されるように顎台駆動部3dを制御し、顎台3bの高さを調整してもよい。顎台3bの高さを調整した後、制御ユニット80は、ステップS110と同様にして顔画像解析を行い、被検眼Eを検出する。
【0063】
{ステップS140:顔画像に基づく位置調整}
制御ユニット80は、ステップS130で行った顔画像の解析結果に基づいて、検査ユニット100のXYZ方向の位置を調整する。すなわち、制御ユニット80は、顔画像の解析結果に基づき、前眼部観察光学系37により被検眼Eの前眼部画像が取得される状態になるように、検査ユニット100をXY方向に移動し、また、検査ユニット100を前進させる。
【0064】
{ステップS150:前眼部画像・アライメント指標に基づく位置調整}
制御ユニット80は、前眼部観察光学系37による前眼部の撮像信号及び作動距離検出光学系600に基づいて駆動ユニット4、5及び6を制御し、検査ユニット100のXYZ方向の位置を調整する。これにより、ステップS140よりも精密な位置調整が行われる。
【0065】
{ステップS160:被検眼の探索}
制御ユニット80は、ステップS120において被検眼Eが検出されなかった場合、被検眼Eの探索を行う。例えば、制御ユニット80は、駆動ユニット4、5、6を制御し、検査ユニット100をXY方向に移動させることで、被検眼Eの探索を行う。例えば、検査ユニット100は、X方向の移動として、被検者側から見て最も右方向に移動した位置から、最も左方向に移動した位置まで移動されてもよい。もちろん、このX方向の移動は逆向きであってもよい。例えば、検査ユニット100は、Y方向の移動として、最も上方向に移動した位置から、最も下方向に移動した位置まで移動されてもよい。もちろん、このY方向の移動は逆向きであってもよい。また、例えば、これらのXY方向の移動は同時に行われてもよい。このように、制御ユニット80は、被検眼Eが検知されなかった場合、検査ユニット100を駆動可能範囲内で移動させることにより、被検眼Eの探索を行う。
【0066】
例えば、制御ユニット80は、顎台駆動部3dを制御し、顎台3bを上下方向に移動させて被検眼Eを探索してもよい。
【0067】
{ステップS300:測定実行}
ステップS150(前眼部画像・アライメント指標に基づく位置調整)が完了すると、制御ユニット80は測定を実行する。すなわち、自動的にトリガ信号を発してソレノイド203を駆動する。被検眼Eに空気が噴出されると、角膜変形検出光学系500の検出信号に基づいて、制御ユニット80は眼圧の測定結果を得る。
【0068】
<前眼部画像とアライメント指標に基づく位置調整>
ステップS150において、制御ユニット80は検査ユニット100を被検眼E方向に前進させる。また、制御ユニット80は検査ユニット100の前進と並行して、検査ユニット100のXY方向のアライメントを行う。図6のフローチャートを参照し、ステップS150において制御ユニット80が実行する制御について、以下に記述する。
【0069】
{ステップS200:検査ユニットの前進}
まず、制御ユニット80は、駆動ユニット6を駆動させ、検査ユニット100を被検眼E方向(Z方向)に前進させる。この検査ユニット100の前進は、後述するステップS207または後述するステップS215で停止されるまで、他のステップと並行して行われる。
【0070】
{ステップS201:前眼部画像解析}
前眼部観察光学系37により被検眼Eの前眼部画像が取得される。制御ユニット80は、取得された前眼部画像に対して画像解析処理を行うことで、後述するステップS202において被検眼Eの角膜頂点の位置が検出されたか判定を行い、又は角膜頂点の方向が推測されたか判定を行い、後述するステップS203において瞳孔中心が検出されたか判定を行う。
【0071】
{ステップS202:指標に基づくアライメント状態の検出判定}
制御ユニット80は、ステップS201において、アライメント指標に基づいて検査ユニット100のXYアライメント状態が検出されたか否かを判定する。例えば、制御ユニット80は、アライメント指標に基づいて、角膜頂点の位置を検出したか否かを判定する、又は角膜頂点の方向が推測されたか否かを判定する。角膜頂点の位置を検出した場合、又は角膜頂点の方向が推測された場合は、ステップS210に移行される。角膜頂点の位置を検出しなかった場合、かつ角膜頂点の方向が推測されなかった場合、ステップS203に移行される。角膜頂点の位置の検出及び角膜頂点の方向の検出の例について、以下に説明する。
【0072】
図8は、前眼部に投影され、CCDカメラ36により撮像されたアライメント指標の模式図である。適正にアライメントされた状態では、前眼部像の中に第1アライメント指標投影光源40によるアライメント指標i1と、第2アライメント指標投影光源81、82、83、84による4つのアライメント指標i2、i3、i4及びi5が現れている。制御ユニット80は、前眼部画像解析結果からアライメント指標i1が取得された場合、検出された指標i1を角膜頂点として検出する。
【0073】
また、被検眼の角膜に複数のアライメント指標を投影する構成においては、被検眼Eに形成された指標の数、及び指標の位置関係から、角膜頂点の位置又は方向を求める方法が公知である(特許第3606706号参照)。これを利用することで、アライメント指標i1が被検眼Eに形成されない場合(例えば、ノズル206によってアライメント指標i1の反射光がけられた場合等)においても、角膜頂点の位置又は方向(検査ユニット100のXY方向のアライメント状態)を推測することができる。例えば、制御ユニット80は、アライメント指標i1が検出されない場合、アライメント指標i2、i3、i4、i5を用いてアライメントを行う。第2アライメント指標i2、i3、i4、i5のうち、前眼部に投影されている指標の数、及び指標の位置関係に基づいて、角膜頂点の位置又は方向が推測される。
【0074】
{ステップS203:瞳孔検出判定}
制御ユニット80は、前眼部画像に基づいてXY方向のアライメント状態が検出されたか否かを判定する。例えば、制御ユニット80は、前眼部画像に基づいて瞳孔中心の位置が検出されたか否かを判定する。瞳孔中心の位置が検出された場合、ステップS204に移行される。瞳孔中心の位置が検出されなかった場合、ステップS205に移行される。瞳孔中心の検出方法は、ステップS130やステップS170と同様の方法でよい。
【0075】
{ステップS204:瞳孔中心にXY移動}
制御ユニット80は、ステップS203の検出結果に基づき、駆動ユニット5及び6を駆動させ、瞳孔中心に検査ユニット100の光軸L1(XY方向のアライメント基準となる光軸)をアライメントするように検査ユニット100をXY方向に移動する。
【0076】
{ステップS205:検査ユニットの前進停止}
制御ユニット80は、瞳孔中心の位置が検出されなかった場合、駆動ユニット4を制御して検査ユニット100の前進を停止させる。その後、制御ユニット80は検査ユニット100を後退させ、検査を中止させる。なお、制御ユニット80は、検査ユニット100を停止させてすぐに後退させるのではなく、予め定められた所定の時間だけ、検査ユニット100を停止した位置で待機させてもよい。所定の時間内に瞳孔が検出されたとき、前述したステップS204へ移行され、また、検査ユニット100の前進が再開されてもよい。その場合、検査は続行される。さらにまた、検査ユニット100が停止した位置で待機している間に、検者がジョイスティック7を用いて、瞳孔中心が検出されるように、検査ユニット100をXY方向に移動させてもよい。瞳孔中心が検出されたとき、前述したステップS204へ移行され、検査ユニット100の前進が再開されてもよい。その場合、検査は続行される。
【0077】
{ステップS206:リミット到達判定}
制御ユニット80は、Z方向のアライメントについて、ノズル部205が後述するリミット位置Limに到達しているか判定を行う。例えば、制御ユニット80は、検査ユニット100をZ方向に移動させる駆動ユニット6の駆動量に基づき、基台2に対する検査ユニット100の位置を検知する。この場合、制御ユニット80が、基台2に対する検査ユニット100の前後方向の位置を検知する前後位置検知手段として機能する。そして、制御ユニット80は、前後位置検知手段の検知結果に基づき、ノズル部205がリミット位置Limに達しているか否かを判定する。なお、前後位置検知手段としては、基台2又は移動台2aに、検査ユニット100の前後方向の位置を検知するためのセンサを設けた構成であってもよい。ノズル部205がリミット位置Limに到達している場合、ステップS207に移行される。ノズル部205がリミット位置Limに到達していない場合、ステップS209に移行される。
【0078】
以下にリミット位置Limの詳細について記述する。図9は、被検者が奥眼でなく、標準的な眼の位置である場合において設定されたリミット位置Limを表す。なお、リミット位置Limは、ノズル部205と被検者が接触しないことを目的として予め設定された所定の位置である。また、ノズル部205は検査ユニット100の被検者側の先端に位置する接近部である。
【0079】
図9(a)は被検者が奥眼でなく、標準的な眼の被検者の場合である。図9(a)に示すように、被検者が奥眼でない場合、リミット位置Limに到達する前に、被検眼Eとノズル部205との距離が作動距離WDに達する。このため、制御ユニット80は、ノズル部205がリミット位置Limに到達する前にZ方向のアライメントを完了させることができる。また、被検眼Eとノズル部205との距離が作動距離WDに達した状態で距離指標が検出されず(そのためZアライメントの完了が検出されず)、検査ユニット100の前進が続行された場合においても、ノズル部205(検査ユニット100)の前進はリミット位置で停止されるため、被検者とノズル部205(検査ユニット100)との接触を防ぐことが出来る。
【0080】
図9(b)は、被検者が奥眼の場合である。図9(b)に示すように、被検者が奥眼の場合、被検眼とノズル部205との距離が作動距離WDに達する前にリミット位置Limに到達する。そのため、検査ユニットはLim位置を超えて前進しなければZ方向のアライメントを完了させることができない。
【0081】
そこで、本実施例において、リミット位置Limにノズル部205の先端が到達したとき、制御ユニット80は検査ユニットの前進を続行するか、前進を停止するかを、XY方向における瞳孔中心(又は角膜頂点)と光軸L1との距離(ずれ量)が、後述する所定の許容範囲内であるか否かに基づいて決定する。すなわち、制御ユニット80は、XY方向におけるアライメント状態が所定の許容範囲内に有れば、検査ユニット100の前進を、リミット位置Limを超えて可能にする。
【0082】
ここで、リミット位置Limの設定について説明する。例えば、リミット位置Limは基台2の所定の基準位置に対して設定された位置である。例えば、基準位置は、検査ユニット100を被検眼からZ方向に最も後退させたときのノズル部205の先端位置である。例えば、リミット位置Limは、標準的な顔の被検者(奥眼でない被検者)を想定し、設計値として設定され、記憶部87に記憶された値である。例えば、リミット位置Limは、基台2の所定の基準位置から被検眼側に、ノズル部205の先端を23mmだけ前進させた位置である。
【0083】
また、リミット位置Limは検者によって任意の値として設定されてもよい(第1記憶設定手段)。図10は、検者が被検眼Eとノズル部205との距離を確認してリミット位置を設定するときの模式図である。例えば、検査状態に置かれた被検眼Eと検査ユニット100との位置関係を、検者が観察することでリミット位置を任意に設定する。検査ユニット100は、検者がジョイスティック7を操作することで入力される駆動信号に基づき、制御ユニット80によって移動される。例えば、被検眼Eに対してXY方向のアライメントを行った後、側方から被検眼Eに対するノズル部205の先端が被検眼Eに接触しないように検査ユニット100を前進させてリミット位置Limを決める。そのリミット位置Limは、ディスプレイ85等に設けられた設定スイッチを押すことで、記憶手段の例である記憶部87に記憶され、設定される。
【0084】
また、例えば、顔撮影部90の撮像素子91で撮像された画像に基づき、検査状態に置かれた被検眼EのZ方向の位置が検出され、その検出結果に基づいてリミット位置Limが設定されてもよい(第2記憶設定手段)。例えば、撮像素子91は視差を持つように2つが配置される。そして、周知の三角測量の技術を用いることで、被検眼Eが検出されるとともに、顔撮影部90に対する被検眼Eの位置が検出される。顔撮影部90に対する被検眼Eの位置が検出されることにより、リミット位置Limが制御ユニット80によって設定され、記憶手段の例である記憶部87に記憶される。なお、被検眼Eは、顔支持部3の顎台3bに被検者が顎を固定することで、検査状態に置かれる。
【0085】
{ステップS207:瞳孔中心に対するXYアライメントが許容範囲内か判定}
制御ユニット80は、瞳孔中心と光軸L1との距離(ずれ量)が、後述する所定の許容範囲内に含まれているか判定を行う。瞳孔中心と光軸L1との距離が所定の許容範囲内に含まれていない場合、ステップS208(検査ユニット100の前進の停止)に移行される。瞳孔中心と光軸L1との距離が所定の許容範囲内に含まれている場合、ステップS209(検査ユニット100の前進の続行)に移行される。
【0086】
以下に所定の許容範囲について記述する。所定の許容範囲は、検査のためにノズル部205がリミット位置Limを超えて前進したとき、被検者の額部や鼻部に接触しないように、光軸L1を基準として予め記憶部87に保持されている値であり、例えば、光軸L1から0.5mmである。すなわち、ステップS207では光軸L1を中心とした半径0.5mmの円の内側に瞳孔中心が存在するか否かの判定が行われる。
【0087】
{ステップS208:検査ユニット100の前進停止}
制御ユニット80は、瞳孔中心(又は角膜頂点)と光軸L1との距離が所定の許容範囲内にない場合、駆動ユニット4を制御して検査ユニット100の前進を停止させる。すなわち、検査ユニット100のZ方向の前進移動はリミット位置Limに制限される。なお、このZ方向の前進移動がリミット位置に制限される制御を、第1モードとする。
【0088】
{ステップS209:検査ユニットの前進}
前述のステップS206でノズル部205がリミット位置Limに到達していない場合、制御ユニット80は、引き続き駆動ユニット6を駆動させ、検査ユニット100を被検眼E方向に前進させる。
【0089】
また、前述のステップS207で瞳孔中心が所定の許容範囲に含まれている場合、制御ユニット80は、引き続き駆動ユニット6を駆動させ、リミット位置Limを超えて検査ユニット100を被検眼E方向に前進させる。このリミット位置Limを超えて検査ユニット100を前進させる制御を、第2モードとする。
【0090】
リミット位置の設定及び第1モードと第2モードの切換えによって得られる効果を、図11を用いて説明する。なお、被検者は奥眼であり、すなわち検査ユニット100と被検眼Eとの距離が作動距離WDに達する前に、検査ユニット100の位置がリミット位置Limに到達する。図11(a)において、被検眼Eに対する検査ユニット100のXY方向の位置がずれている。検査ユニットXY方向のアライメントがずれているまま、検査ユニット100が前進された場合、図11(b)のように、ノズル部205が被検者の鼻部や額部に接触してしまう。
【0091】
図11(c)において、被検眼Eに対する検査ユニット100のXYアライメントが行われ、検査ユニット100の位置が前述した所定の許容範囲内にある。この状態で検査ユニット100が前進した場合、図11(d)のように、ノズル部205は被検者に接触する可能性を低減して、作動距離WDまで前進することができる。すなわち、リミット位置LimでXY方向のアライメントが行われ、そして第1モードから第2モードに切換えられて、リミット位置を越えて検査ユニット100が前進した場合、このノズル部205と被検者との接触を低減することができる。なお、ノズル部205が被検者に接触した場合、検知部250がその接触を検知し、制御ユニット80は検査ユニット100を後退させてもよい。
【0092】
{ステップS210:角膜頂点にXY移動}
前述のステップS202において、角膜頂点が検出された場合、制御ユニット80は、駆動ユニット5及び6を駆動させ、角膜頂点に対して検査ユニット100のXYアライメントを行う。
【0093】
{ステップS211:距離指標検出判定}
制御ユニット80は、作動距離検出光学系600を用いて、光源50の虚像である指標(以下、距離指標)が位置検出素子60に検出されるか否かを判定する。距離指標が検出されなかった場合、ステップS212に移行される。距離指標が検出された場合、ステップS215に移行される。
【0094】
{ステップS212:リミット到達判定}
前述のステップS211において距離指標が検出されていない場合、制御ユニット80は、ステップS206と同様に、ノズル部205がリミット位置Limに到達しているか判定を行う。ノズル部205がリミット位置Limに到達していない場合、ステップS214に移行される。ノズル部205がリミット位置Limに到達している場合、ステップS213に移行される。
【0095】
{ステップS213:角膜頂点に対するXYアライメントが許容範囲内か判定}
前述のステップS212においてリミットに到達している場合、制御ユニット80は、角膜頂点と光軸L1との距離が前述の所定の許容範囲内に含まれているか判定を行う。瞳孔中心と光軸L1との距離が所定の許容範囲内に含まれていない場合、ステップS208に移行される。角膜頂点と光軸L1との距離が所定の許容範囲内に含まれている場合、ステップS214に移行される。
【0096】
{ステップS214:検査ユニットの前進}
前述のステップS212でノズル部205がリミット位置Limに到達していない場合、制御ユニット80は、引き続き駆動ユニット6を駆動させ、検査ユニット100を被検眼E方向に前進させる。また、前述のステップS213で角膜頂点が所定の許容範囲に含まれている場合、制御ユニット80は、引き続き駆動ユニット6を駆動させ、リミット位置Limを超えて検査ユニット100を被検眼E方向に前進させる。なお、このリミット位置Limを超えて検査ユニット100を前進させる制御は、前述のステップS209で記述した第2モードと同様である。
【0097】
{ステップS215:作動距離に移動}
前述のステップS211で距離指標が検出された場合、制御ユニット80は、検出された距離指標に基づいて駆動ユニット6を駆動させ、検査ユニット100を作動距離WDまでZ方向に移動させる。
【0098】
{ステップS216:アライメント完了判定}
制御ユニット80は、ステップS210におけるXY移動及びステップS215によるZ移動により、被検眼Eに対する検査ユニット100のXY方向のアライメント及びZ方向のアライメントが完了しているかを判定する。すなわち、制御ユニット80は角膜頂点と光軸L1との距離がアライメント完了の許容範囲内にあるか判定し、かつ検査ユニット100と被検眼EとのZ方向の距離が作動距離WDに到達しているかを判定する。なお、このXY方向の許容範囲はステップS206で前述した所定の許容範囲よりもシビアな範囲であり、例えば、0.05mmである。また、Z方向の位置の判定は、距離指標に基づいて行われる。
【0099】
アライメントが完了していた場合、ステップS150は終了し、ステップS300(測定実行)へ移行される。なお、検査ユニット100が前進していた場合、制御ユニット80は、ステップS150が終了すると前進を停止させる。アライメントが完了していなかった場合、ステップS201に移行される。
【0100】
以上のように、本実施例において、前眼部画像、及びアライメント指標に基づく位置調整を行う際に、制御ユニット80は、検査ユニット100をZ方向に前進させながらXYアライメントを行う。ノズル部205がリミット位置Limに到達したとき、制御ユニット80は、所定の許容範囲内に検査ユニット100がXYアライメントされていない場合はリミット位置LimでZ方向の移動を停止させ、所定の許容範囲内に検査ユニット100がXYアライメントされている場合はリミットを超えて前進させる。これにより、被検者が奥眼の場合でも、ノズル部(接近部)205が被検者に接触することなく、Z方向のアライメントを行うことができる。
【0101】
なお、本実施例における瞳孔中心は、被検眼Eにおける角膜頂点とは異なる特徴点の一例であり、本開示における角膜頂点とは異なる特徴点について限定するものではない。また、本実施例において角膜頂点の位置の検出方法、及び演算方法として、指標を使用する方法を説明したが、これは一例にすぎず、本開示における角膜頂点の検出方法を限定するものではない。
【0102】
なお、アライメント及び検査中に検査ユニット100のノズル部205が被検者に接触してしまった場合、検知部250がその接触を検知し、制御ユニット80は駆動ユニット4を駆動させて検査ユニット100を被検眼E側から後退させる。その後、制御ユニット80は眼科装置1の動作を停止させてもよい。例えば、ノズル部205が被検者に接触した旨がディスプレイ85に表示されてもよいし、例えば、音声出力部89から接近した旨のアナウンスが行われてもよい。例えば、検査ユニット100が被検眼E側から後退させられた後、被検者がアライメントを行うマニュアルモードに切換えられても良い。
【0103】
また、以上のようにして片眼の検査が終了した後に、自動でもう片方の眼の検査を行うことが出来る構成にしてもよい。その場合、例えば、眼科装置1は以下のように制御される。
【0104】
一方の被検眼Eの検査が終了した後に、制御ユニット80は検査ユニット100を一度後退させた後にX方向に移動させる。これにより、ノズル部205が移動の際に被検者に接触することを回避した上で被検眼Eを切換えることができる。そして、もう一方の被検眼Eに対しても同様に検査を行うために検査ユニット100が移動される。また、例えば、最初の眼を検査する際に、ステップS110で両目のXYアライメントの位置を検知し、その結果を保持することで、被検眼Eを切換えた際に保持したXYアライメントの位置に検査ユニット100を移動させることができる。これにより、二度目のステップS110を省略することが出来るため、検査時間を短縮することができる。さらにまた、例えば、一方の被検眼Eを検査した際、アライメント完了時のZアライメントの位置を記憶部87に保持してもよい。その場合、もう一方の被検眼Eのアライメントを行うとき、保持したZアライメントの位置に対して所定の距離だけ後方の位置から、距離指標の検出処理(すなわち、Zアライメント)を開始させてもよい。
【0105】
なお、上記の実施例では、第1モード(検査ユニット100の前進移動をリミット位置までとするモード)と第2モード(検査ユニット100の前進移動を、リミットを超えて可能するモード)とを、制御ユニット80が自動的に切換えるものとしたが、検者が手動で切換える構成でもよい。例えば、通常は第1モードで検査(測定)を行うが、検査ユニット100の前進がリミット位置で停止した場合、その旨がディスプレイ85等によって報知される。この場合、検者は入力手段86に設けられた切換えスイッチ(例えば、ディスプレイに表示されるスイッチ)によって第2モードに切換える。また、入力手段86に設けられたスイッチ(例えば、ディスプレイに表示されるスイッチ)によってアライメントモードを手動モードに切換える。これにより、奥眼の被検者の場合にも、予め設定されたリミット位置を超えて被検眼に対する検査ユニット100のアライメントを行った上で測定を実行できる。
【0106】
なお、本実施例において図5、6に示したフローチャート図は、眼科装置1の制御ユニット80が実行するプログラムである。例えば、上記実施形態の機能を行う制御プログラム(ソフトウェア)をネットワーク又は各種記憶媒体等を介して、システムあるいは装置に供給してもよい。そして、システムあるいは装置の制御ユニット(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
【0107】
以上、本開示の典型的な実施例を説明したが、本開示はここに示した実施例に限られず、本開示の技術思想を同一にする範囲において種々の変容が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 眼科装置
4~6 駆動ユニット
10 測定光学系
40 第1アライメント指標投影光源
80 制御ユニット
81~84 第2アライメント指標投影光源
100 検査ユニット
205 ノズル部
図1
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図11