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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】圧縮機、圧縮機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
F04C29/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020133286
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029784
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 訓孝
(72)【発明者】
【氏名】沖 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】堀田 忠資
(72)【発明者】
【氏名】加納 豊広
(72)【発明者】
【氏名】杉本 遊
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-186084(JP,A)
【文献】特開2019-183832(JP,A)
【文献】特開2020-20291(JP,A)
【文献】米国特許第6247909(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機であって、
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
前記圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
前記電動機部が出力する駆動力を前記圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
前記圧縮機構部、前記電動機部、および前記駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
前記ハウジングは、前記駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、前記第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
前記駆動軸における前記軸方向の一方側は、前記圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
前記駆動軸における前記軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち前記胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
前記主軸受部材を含む前記圧縮機構部は、前記第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
前記副軸受部材は、前記第1ハウジング部とは別体で構成されるとともに、前記第1ハウジング部の底部分(121c)の底面に対して締結ボルト(18)によって固定されており、
さらに、前記副軸受の軸心と前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面(83)の軸心とを合わせる副軸受調心構造(93、94)を備え、
前記副軸受調心構造は、前記第1ハウジング部および前記副軸受部材の一方に形成された凹部(93b)に前記第1ハウジング部および前記副軸受部材の他方に形成された凸部(93a)を嵌め込んで前記副軸受部材を位置決めする嵌合構造(93)を含んでいる、圧縮機。
【請求項2】
圧縮機であって、
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
前記圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
前記電動機部が出力する駆動力を前記圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
前記圧縮機構部、前記電動機部、および前記駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
前記ハウジングは、前記駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、前記第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
前記駆動軸における前記軸方向の一方側は、前記圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
前記駆動軸における前記軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち前記胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
前記主軸受部材を含む前記圧縮機構部は、前記第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
前記副軸受部材は、前記第1ハウジング部とは別体で構成されるとともに、前記第1ハウジング部の底部分(121c)の底面に対して締結ボルト(18)によって固定されており、
さらに、前記副軸受の軸心と前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面(83)の軸心とを合わせる副軸受調心構造(93、94)を備え、
前記副軸受調心構造は、前記底部分に形成された底壁孔(94a)および前記副軸受部材に形成された副軸受側孔(94b)それぞれに共通の位置決めピン(94c)を嵌め込んで前記副軸受部材を位置決めするピン嵌合構造(94)を含んでいる、圧縮機。
【請求項3】
圧縮機であって、
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
前記圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
前記電動機部が出力する駆動力を前記圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
前記圧縮機構部、前記電動機部、および前記駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
前記ハウジングは、前記駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、前記第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
前記駆動軸における前記軸方向の一方側は、前記圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
前記駆動軸における前記軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち前記胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
前記主軸受部材を含む前記圧縮機構部は、前記第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
前記副軸受部材は、前記第1ハウジング部とは別体で構成されるとともに、前記第1ハウジング部の底部分(121c)の底面に対して締結ボルト(18)によって固定されており、
さらに、前記副軸受の軸心と前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面(83)の軸心とを合わせる副軸受調心構造(93、94)を備え、
前記副軸受部材は、前記副軸受の内周面および前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面それぞれに嵌合可能な調心治具(95)によって前記副軸受の軸心と前記挿入部位の軸心とを合わせた状態で前記底部分の底面に固定される、圧縮機。
【請求項4】
前記主軸受の軸心と前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせる主軸受調心構造(91、92)を備える請求項1ないしのいずれか1つに記載の圧縮機。
【請求項5】
前記主軸受調心構造は、前記挿入部位の内周面に前記圧縮機構部の外周を嵌め込んで前記主軸受部材を位置決めする嵌合構造(91)を含んでいる請求項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記主軸受調心構造は、前記第1ハウジング部に形成されたハウジング孔(92a)および前記主軸受部材に形成された主軸受側孔(92b)それぞれに共通の位置決めピン(92c)を嵌め込んで前記主軸受部材を位置決めするピン嵌合構造(92)を含んでいる請求項またはに記載の圧縮機。
【請求項7】
前記主軸受および前記副軸受は、少なくとも一方が滑り軸受で構成されている請求項1ないしのいずれか1つに記載の圧縮機。
【請求項8】
前記圧縮機構部は、前記第1ハウジング部に固定される固定スクロール(32)および前記駆動軸の回転によって旋回運動する際に前記固定スクロールと噛み合うことで流体を圧縮する旋回スクロール(34)を含んでいる請求項1ないしのいずれか1つに記載の圧縮機。
【請求項9】
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
前記圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
前記電動機部が出力する駆動力を前記圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
前記圧縮機構部、前記電動機部、および前記駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
前記ハウジングは、前記駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、前記第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
前記駆動軸における前記軸方向の一方側は、前記圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
前記駆動軸における前記軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち前記胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
前記主軸受部材を含む前記圧縮機構部は、前記第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
前記副軸受部材は、前記第1ハウジング部とは別体で構成される圧縮機の製造方法であって、
前記副軸受の軸心と前記筒状部分のうち前記圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせることと、
前記副軸受の軸心と前記挿入部位の内周面の軸心とを合わせた状態で前記副軸受部材を前記第1ハウジング部の底部の内面に固定することと、を含み、
前記副軸受の内周面および前記挿入部位の内周面それぞれに調心治具(95)を嵌合させることで、前記副軸受の軸心と前記挿入部位の内周面の軸心とを合わせる、圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入した流体を圧縮して吐出する圧縮機および圧縮機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スクロール型圧縮機が開示されている。この圧縮機は、圧縮機構部と、電動機部と、電動機部が出力する駆動力を圧縮機構部に伝達する駆動軸と、圧縮機構部等を収容するハウジングと、を備える。駆動軸は、軸方向の一方側が、圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材に形成された主軸受によって回転可能に支持され、軸方向の他方側が副軸受部材のうち筒形状の胴部の内側に形成された副軸受によって回転可能に支持されている。ハウジングは、駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状のハウジング本体部を含み、当該ハウジング本体部の底部分の底面に対して副軸受部材が一体に形成されている。そして、圧縮機構部とハウジング本体部の筒状部分の内周面との間には、主軸受の軸心および副軸受の軸心を合わせるための調心用の隙間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-20291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の圧縮機の組付作業では、圧縮機構部をハウジング本体部の筒状部分の内周面に対して相対的に変位させながら主軸受の軸心を検出するとともに、主軸心の軸心を副軸受の軸心に合わせ、その状態を保持しながらハウジング本体部に固定する。
【0005】
このような組付作業は、圧縮機構部を変位させながら変位量を精度良く検出することを繰り返す必要があり、設備コストおよびサイクルタイムの増加を招くので、車載用圧縮機等のような大量生産される製品には不向きである。
【0006】
これらを踏まえ、本発明者らは、圧縮機構部とハウジング本体部との隙間を小さくするとともに、ハウジング本体部の圧縮機構部が挿入される挿入部位の軸心と副軸受の軸心との同軸度の精度を高めることで、各軸受の軸心に合わせることを検討している。本発明者らの検討によれば、本発明者らが検討している構成を実現するためには、ハウジング本体部のうち圧縮機構部の挿入部位および副軸受の内周面それぞれを精度よく加工する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1の如く、副軸受を含む副軸受部材がハウジング本体部の底部分に一体形成されている場合、副軸受の内周面を精度よく加工することが困難であり、副軸受の内周面を加工するための専用の設備を導入する必要がある。例えば、副軸受が滑り軸受で構成されている場合、ハウジング本体部の開口から底部分に達する程度の長さを有する砥石を用いて軸受面の研磨加工を行うことになる。この場合、研磨加工時の砥石の振れ回りが生じ易くなることで研磨加工の難易度が著しく上がってしまうため、専用の設備の導入が避けられない。
【0008】
本開示は、有底筒形状のハウジング部を有する圧縮機において、専用の設備を導入することなく、ハウジング部の底部分側で駆動軸を支持する軸受の精度を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1、2、3に記載の発明は、
圧縮機であって、
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
電動機部が出力する駆動力を圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
圧縮機構部、電動機部、および駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
ハウジングは、駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
駆動軸における軸方向の一方側は、圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
駆動軸における軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
主軸受部材を含む圧縮機構部は、第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
副軸受部材は、第1ハウジング部とは別体で構成されるとともに、第1ハウジング部の底部分(121c)の底面に対して締結ボルト(18)によって固定されており、
さらに、副軸受の軸心と筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面(83)の軸心とを合わせる副軸受調心構造(93、94)を備える。
請求項1に記載の発明は、副軸受調心構造が、第1ハウジング部および副軸受部材の一方に形成された凹部(93b)に第1ハウジング部および副軸受部材の他方に形成された凸部(93a)を嵌め込んで副軸受部材を位置決めする嵌合構造(93)を含んでいる。
請求項2に記載の発明は、副軸受調心構造が、底部分に形成された底壁孔(94a)および副軸受部材に形成された副軸受側孔(94b)それぞれに共通の位置決めピン(94c)を嵌め込んで副軸受部材を位置決めするピン嵌合構造(94)を含んでいる。
請求項3に記載の発明は、副軸受部材が、副軸受の内周面および筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面それぞれに嵌合可能な調心治具(95)によって副軸受の軸心と挿入部位の軸心とを合わせた状態で底部分の底面に固定される。
【0010】
このように、副軸受を含む副軸受部材が第1ハウジング部とは別体で構成されていれば、ハウジングから副軸受部材を取り外した状態で副軸受の内周面を加工することできるので、専用の設備を導入することなく、副軸受の内周面を精度よく加工することが可能となる。
【0011】
したがって、有底筒形状の第1ハウジング部を有する圧縮機において、専用の設備を導入することなく、第1ハウジング部の底部分側で駆動軸を支持する副軸受の精度を確保することができる。この結果、設備投資を抑えつつ、生産性と高品質を両立させることが可能となる。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、
流体を圧縮する圧縮機構部(30)と、
圧縮機構部を駆動する駆動力を出力する電動機部(20)と、
電動機部が出力する駆動力を圧縮機構部に伝達する駆動軸(14)と、
圧縮機構部、電動機部、および駆動軸を収容するハウジング(12)と、を備え、
ハウジングは、駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部(121)と、第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部(122)とを含み、
駆動軸における軸方向の一方側は、圧縮機構部の一部を構成する主軸受部材(36)に一体的に形成または固定される主軸受(361a)によって回転可能に支持され、
駆動軸における軸方向の他方側は、筒形状の胴部(161)を含む副軸受部材(16)のうち胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受(16a)によって回転可能に支持され、
主軸受部材を含む圧縮機構部は、第1ハウジング部の筒状部分(121b)の内側に配置され、
副軸受部材は、第1ハウジング部とは別体で構成される圧縮機の製造方法であって、
副軸受の軸心と筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせることと、
副軸受の軸心と挿入部位の内周面の軸心とを合わせた状態で副軸受部材を第1ハウジング部の底部の内面に固定することと、を含み、
副軸受の内周面および挿入部位の内周面それぞれに調心治具(95)を嵌合させることで、副軸受の軸心と挿入部位の内周面の軸心とを合わせる。
【0013】
これによると、第1ハウジング部に取り付ける前の段階で副軸受部材の副軸受の内周面を加工することできるので、専用の設備を導入することなく、副軸受の内周面を精度よく加工することが可能となる。
【0014】
したがって、有底筒形状の第1ハウジング部を有する圧縮機において、専用の設備を導入することなく、第1ハウジング部の底部分側で駆動軸を支持する副軸受の精度を確保することができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る圧縮機の模式的な断面図である。
図2】第1ハウジング部の底面および副軸受部材を示す模式図である。
図3】圧縮機の各構成部品の組付作業の流れを説明するための説明図である。
図4】第1実施形態の第1比較例となる圧縮機の模式的な断面図である。
図5】第1実施形態の第2比較例となる圧縮機の模式的な断面図である。
図6】第1実施形態の変形例となる圧縮機の第1ハウジング部の底面および副軸受部材を示す模式図である。
図7】第2実施形態に係る圧縮機の模式的な断面図である。
図8】第3実施形態に係る圧縮機の模式的な断面図である。
図9】圧縮機の第1ハウジング部の内側に調心治具を挿入した状態を示す模式的な断面図である。
図10図9の矢印Xで示す方向の矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0018】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図5を参照して説明する。本実施形態では、本開示の圧縮機10を、車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の車載用圧縮機に適用した例を説明する。
【0019】
冷凍サイクル装置は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクル装置は、流体である冷媒を圧縮して吐出する圧縮機10、圧縮機10から吐出された冷媒を放熱させる放熱器、放熱器から流出した冷媒を減圧させる減圧機器、減圧機器で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器を含んでいる。冷凍サイクル装置に用いられる冷媒の主成分は、二酸化炭素である。二酸化炭素は、フロン系冷媒よりも低温で超臨界状態になる。冷媒には、圧縮機10の内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油が混合されている。潤滑油の一部は、冷媒とともにサイクル内を循環する。なお、冷媒は、フロン系冷媒であってもよい。
【0020】
以下、図1を参照して圧縮機10の詳細について説明する。図1は、圧縮機10の駆動軸14の軸心CLに沿って切断した断面を示す軸方向断面図である。なお、図1中の上下を示す矢印は、圧縮機10を車両に搭載した状態における上下方向DRvを示している。図1中の矢印「DRa」は、駆動軸14の軸方向DRaを示している。
【0021】
図1に示すように、圧縮機10は、ハウジング12と、駆動軸14と、電動機部20と、インバータ25と、圧縮機構部30とを備える。ハウジング12の内部に、駆動軸14と、電動機部20と、圧縮機構部30とが収容されている。圧縮機10は、電動圧縮機である。電動機部20を動力源として駆動軸14が回転する。駆動軸14の回転に伴って圧縮機構部30が駆動される。圧縮機10は、駆動軸14の軸心CLが略水平方向に延びるとともに、圧縮機構部30と電動機部20とが略水平方向に並んで配置される横置構造である。略水平方向は、重力方向に対して交差する方向である。
【0022】
ハウジング12は、圧縮機10の外殻を構成する。ハウジング12は、第1ハウジング部121と、第2ハウジング部122とを有する。第1ハウジング部121および第2ハウジング部122は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている。
【0023】
第1ハウジング部121は、駆動軸14の軸方向DRaの一方側が開口する有底筒形状である。換言すれば、第1ハウジング部121は、断面がU字形状となるカップ状の形状を有する。具体的には、第1ハウジング部121は、円筒形状の筒部121bと、底部121cとを有する。筒部121bは、軸方向DRaの一方側に開口部121aを有する。底部121cは、筒部121bにおける軸方向DRaの他方側の端部に接続されている。第1ハウジング部121は、筒部121bと底部121cとが継ぎ目のない一体成形品として構成されている。底部121cは、インバータ25を密着させることが可能なように外面の一部が平坦になっている。
【0024】
第1ハウジング部121は、筒部121bに段差部80が形成された段付き形状になっている。すなわち、第1ハウジング部121は、第1内周面82と、第2内周面83と、段差面81とを有する。第1内周面82、段差面81、第2内周面83は、この順に底部121cからの距離が小さくなっている。換言すれば、第1内周面82、段差面81、第2内周面83は、この順に開口部121aからの距離が大きくなっている。第1内周面82および第2内周面83は、駆動軸14の軸心CLを中心に同心円となるように円筒形状に形成されている。第1内周面82は、第1ハウジング部121のうち電動機部20が配置される部位である。第1内周面82は、円筒形状である。第2内周面83は、第1内周面82よりも軸方向DRaの一方側に位置する。第2内周面83は、円筒形状である。第2内周面83は、第1ハウジング部121のうち圧縮機構部30が挿入される挿入部位の内周面である。圧縮機構部30の外径は、電動機部20の外径よりも大きい。このため、第2内周面83の直径は、第1内周面82の直径よりも大きい。段差面81は、第1内周面82と第2内周面83とをつないでいる。段差面81は、軸方向DRaに直交する方向に延びている。段差面81は、後述の主軸受部材36の軸受固定部362に対して直に当接している。なお、段差面81は、軸受固定部362に対して介在物を介して当接していてもよい。また、筒部121bにおける圧縮機構部30が挿入される挿入部位は、筒部121bのうち、段差面81よりも軸方向DRaの一方側(すなわち、開口部121a側)に位置する部位である。
【0025】
第1ハウジング部121は、筒部121bの内周面に対して主軸受部材36を含む圧縮機構部30が配置されるとともに、底部121cに筒状の胴部161を含む副軸受部材16が固定されている。本実施形態の第1ハウジング部121では、筒部121bが第1ハウジング部121の筒状部分を構成し、底部121cが第1ハウジング部121の底部分を構成する。
【0026】
第2ハウジング部122は、第1ハウジング部121に対して軸方向DRaの一方側の位置で、第1ハウジング部121の開口を覆っている。第2ハウジング部122は、図示しない蓋部用ボルトによって、第1ハウジング部121に締結固定されている。第1ハウジング部121の軸方向DRaの一方側の端部と第2ハウジング部122との間には、図示しないシール部材が介在している。これにより、ハウジング12は、密閉されている。
【0027】
電動機部20は、インバータ25からの給電により駆動される三相交流モータで構成されている。電動機部20は、ステータ21の内側にロータ22が配置されるインナーロータモータとして構成されている。
【0028】
ステータ21は、磁性材からなるステータコア211と、ステータコア211に巻き付けられたコイル212とを有する。ステータ21は、インバータ25から電力が供給されると、ロータ22を回転させる回転磁界を発生させる。ステータ21は、焼き嵌めによって筒部121bの第1内周面82に固定されている。
【0029】
ロータ22は、内側に駆動軸14が圧入等によって固定された円筒形状の部材である。ロータ22の内部には、図示しない永久磁石が配置されている。また、ロータ22の側面には、旋回スクロール34等の偏心回転のアンバランスを相殺するためのバランスウェイト221、222が取り付けられている。
【0030】
インバータ25は、ステータ21に対して電力を供給する装置である。インバータ25は、ハウジング12の外側に対して取り付けられている。具体的には、インバータ25は、第1ハウジング部121の底部121cの外面に対して取り付けられている。
【0031】
このように構成される電動機部20は、インバータ25からステータ21に電力が供給されてステータ21の周囲に回転磁界が発生すると、ロータ22および駆動軸14が一体に回転する。
【0032】
ここで、インバータ25と電動機部20とは、図示しない電気配線等が、第1ハウジング部121の底部121cに設けられた図示しない気密端子を介して電気的に接続されている。このため、ハウジング12は、密閉構造である。
【0033】
ハウジング12の第1ハウジング部121には、蒸発器を通過した低圧冷媒を吸い込む吸入口125が形成されている。具体的には、吸入口125は、第1ハウジング部121のうち電動機部20よりも軸方向DRaの他方側に形成されている。吸入口125には、蒸発器に連なる図示しない吸入配管が接続されている。
【0034】
蒸発器を通過した低圧冷媒は、吸入口125から電動機部20が配置されたハウジング12の内部に吸い込まれる。ハウジング12の内部に吸い込まれた低圧冷媒は、圧縮機構部30の図示しない吸入口より、圧縮機構部30の内部に吸入される。このため、電動機部20が配置されたハウジング12の内部は、低温雰囲気となっている。これにより、電動機部20およびインバータ25を冷却することができる。特に、インバータ25は、底部121cの平坦な部位に取り付けられているので、運転時にインバータ25が発熱してもその熱を効率的に底部121cに熱伝導させて、インバータ25を冷却することができる。よって、電動機部20およびインバータ25の効率向上および信頼性向上を図ることができる。
【0035】
一方、ハウジング12の第2ハウジング部122には、圧縮機構部30で圧縮された高圧冷媒を吐出する吐出口126が形成されている。吐出口126は、ハウジング12のうち圧縮機構部30に対して軸方向DRaの一方側に形成されている。
【0036】
また、第2ハウジング部122の内部には、高圧マフラ室51と、オイル分離室52と、高圧貯油室53とが形成されている。高圧マフラ室51は、吐出孔323と連通している。高圧マフラ室51は、吐出孔323から吐出された冷媒の吐出脈動を軽減するための空間部である。オイル分離室52は、高圧マフラ室51と連通している。オイル分離室52は、高圧マフラ室51から流入した高圧冷媒から潤滑オイルを分離するための空間部である。オイル分離室52には、オイル分離室52に流入した高圧冷媒から潤滑オイルを分離するオイル分離器54が収容されている。オイル分離器54は、パイプ状である。オイル分離器54は、吐出口126に圧入等によって固定されている。高圧貯油室53は、オイル分離器54により分離された潤滑オイルを貯留する空間部である。
【0037】
駆動軸14は、ロータ22よりも軸方向DRaの一方側に位置する一方側部分141を有する。圧縮機構部30は、電動機部20に対して駆動軸14の軸方向DRaの一方側に位置する。一方側部分141は、圧縮機構部30と係合している。駆動軸14は、電動機部20にて発生する駆動力を圧縮機構部30に伝達する。一方側部分141は、後述する圧縮機構部30の主軸受部材36が有する主軸受361aによって回転可能に支持されている。
【0038】
一方側部分141は、軸方向DRaの一方側の端部に、駆動軸14の回転中心から偏心した偏心軸部142を有する。偏心軸部142は、後述する旋回スクロール34の旋回運動のためのクランク機構を構成している。偏心軸部142は、後述する旋回スクロール34が有する偏心軸受342aと回転可能に係合している。偏心軸部142は、駆動軸14の本体と一体である。また、一方側部分141は、上下方向DRvに拡がる鍔部143を有する。鍔部143には、駆動軸14の偏心回転を抑えるためのバランスウェイト143aが設けられている。
【0039】
駆動軸14は、ロータ22よりも軸方向DRaの他方側に位置する他方側部分144を有する。他方側部分144は、副軸受部材16が有する副軸受16aによって回転可能に支持されている。副軸受部材16の詳細は後述する。
【0040】
駆動軸14の内部には、各軸受16a、342a、361aに潤滑オイルを供給するためのオイル供給路145が形成されている。オイル供給路145は、固定スクロール32および旋回スクロール34に形成された図示しないオイル流路を介して、高圧貯油室53に通じている。これにより、高圧貯油室53に貯留された潤滑オイルが、オイル供給路145から各軸受16a、342a、361aに供給される。各軸受16a、342a、361aは、内部強制潤滑されている。
【0041】
圧縮機構部30は、固定スクロール32と、旋回スクロール34と、主軸受部材36とを有する。固定スクロール32は、主軸受部材36を介して筒部121bの第2内周面83に固定されている。旋回スクロール34は、駆動軸14の駆動力により旋回運動する際に、固定スクロール32と噛み合うことで冷媒を圧縮する。旋回スクロール34は、軸方向DRaで固定スクロール32と並ぶように配置されている。旋回スクロール34は、固定スクロール32に対して軸方向DRaの他方側に配置されている。固定スクロール32および旋回スクロール34は、鉄鋼材料またはアルミニウム合金で構成されている。
【0042】
旋回スクロール34には、図示しないオルダムリングが連結されている。オルダムリングは、偏心軸部142の周りを自転することを防止する自転防止機構を構成する。旋回スクロール34は、駆動軸14が回転すると、偏心軸部142の周りを自転することなく、駆動軸14の軸心CLを公転中心とする公転運動を行う。換言すると。旋回スクロール34は、駆動軸14が回転すると、駆動軸14の軸心CLを中心とする旋回運動を行う。
【0043】
旋回スクロール34は、円盤状に形成された旋回基板部341を有する。旋回基板部341は、その略中心部に円筒形状の軸受形成部342を有する。軸受形成部342は、軸受形成部342の内側に、偏心軸部142を回転可能に支持する偏心軸受342aを形成している。偏心軸受342aは、旋回基板部341とは別体であり、滑り軸受で構成されている。
【0044】
固定スクロール32は、円盤状に形成された固定基板部321を有する。固定スクロール32には、固定基板部321から旋回スクロール34側に向かって突き出る渦巻き状の固定歯部322が形成されている。一方、旋回スクロール34には、旋回基板部341から固定スクロール32側に向かって突き出る渦巻き状の旋回歯部343が形成されている。
【0045】
固定歯部322と旋回歯部343とが噛み合って複数箇所で接触することによって、三日月状の作動室31が複数箇所形成される。なお、図1では、図示の都合上、複数個の作動室31のうち1つの作動室にだけ符号を付している。
【0046】
作動室31は、旋回スクロール34が旋回することによって外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。図示しないが、作動室31には、主軸受部材36等に形成された冷媒供給通路を通じて、吸入口125からハウジング12の内部に吸い込まれた冷媒が供給される。作動室31内の冷媒は、作動室31の容積が減少することによって圧縮される。
【0047】
固定基板部321の中心部には、作動室31で圧縮された冷媒を吐出する吐出孔323が形成されている。固定基板部321のうち軸方向DRaの一方側の端面321aには、作動室31への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなす図示しないリード弁と、リード弁の最大開度を規制するストッパ324とが設けられている。なお、リード弁およびストッパ324は、固定基板部321に対して固定ボルト325によって締結固定されている。
【0048】
主軸受部材36は、主軸受361aを含む軸受部材である。主軸受部材36は、固定スクロール32との間に空間部を形成している。この空間部に、偏心軸部142、鍔部143、バランスウェイト143a、旋回スクロール34が収容されている。
【0049】
具体的には、主軸受部材36は、軸受形成部361と、軸受固定部362と、連結部363とを含む。軸受形成部361、軸受固定部362、および連結部363は、継ぎ目無く連続している。軸受形成部361は、筒状である。軸受形成部361は、軸受形成部361の内側に主軸受361aを形成している。
【0050】
軸受固定部362は、主軸受部材36のうち固定スクロール32に固定される部分である。軸受固定部362は、旋回スクロール34よりも駆動軸14の径方向外側に位置する。軸受固定部362には、主軸受部材36のうち外径が最大となる主軸受部材36の最外周面が含まれる。軸受固定部362の軸方向DRaの一方側の端面362aが、固定スクロール32に当接する。
【0051】
連結部363は、軸受形成部361と、軸受固定部362とを連結している。軸受固定部362は、軸受形成部361よりも駆動軸14の径方向外側に位置する。連結部363は、軸受形成部361から駆動軸14の径方向外側に向かって延伸している。
【0052】
主軸受部材36は、軸方向DRaの他方側から一方側に向かって内径および外径が階段状に拡大する円筒形状である。主軸受部材36のうち内径が最小である内径最小部が軸受形成部361を構成している。主軸受部材36のうち外径が最大である外径最大部が軸受固定部362を構成している。軸受形成部361、軸受固定部362および連結部363は、鉄鋼材料またはアルミニウム合金で構成されている。
【0053】
主軸受361aは、滑り軸受で構成されている。主軸受361aの内周面は、軸受固定部362の外周面に対して同軸度を精度良く合わせた状態で加工されている。主軸受361aは、主軸受部材36に一体的に固定されている。具体的には、主軸受361aは、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、主軸受361aは、軸受形成部361と同じ材料で構成され、主軸受部材36に一体的に形成されていてもよい。
【0054】
主軸受部材36と旋回スクロール34との間には、円環形状に構成された2枚のスラストプレート364、344が配置されている。2枚のスラストプレート364、344のうち主軸受部材36側のスラストプレート364は、主軸受部材36に対して固定されている。また、旋回スクロール34側のスラストプレート344は、旋回スクロール34と一体的に回転するように、旋回スクロール34に対して固定されている。このため、2枚のスラストプレート364、344は、相対的に旋回運動を行なって摺動する。
【0055】
圧縮機10は、圧縮機構部30の構成部品を締結する複数の締結ボルト70を備える。複数の締結ボルト70は、主軸受部材36と固定スクロール32とを締結固定して圧縮機構部30を形成する。
【0056】
複数の締結ボルト70は、複数の第1ボルト71と、複数の第2ボルト72とを含む。複数の第1ボルト71は、固定スクロール32と主軸受部材36との2部品のみを締結している。固定スクロール32の軸受固定部362には、複数の第1ボルト71の雄ねじ部71aに対応する雌ねじ部365が複数形成されている。
【0057】
複数の第2ボルト72は、段差部80と固定スクロール32との間に主軸受部材36の軸受固定部362が挟持された状態で、上記の3部品を共締めしている。段差部80には、複数の第2ボルト72の雄ネジ部72aに対応する雌ネジ部84が複数形成されている。
【0058】
ここで、圧縮機構部30は、第1ハウジング部121に開口部121a側から挿入され、第1ハウジング部121の内側の段差面81に突き当てられた状態で第1ハウジング部121に固定されている。
【0059】
圧縮機10は、主軸受361aの軸心と筒部121bのうち圧縮機構部30が挿入される第2内周面83の軸心とを合わせる主軸受調心構造を備える。主軸受調心構造は、インロー嵌合構造91およびピン嵌合構造92を含んでいる。
【0060】
インロー嵌合構造91は、筒部121bの第2内周面83に圧縮機構部30の外周面30aを嵌め込んで主軸受部材36を位置決めする嵌合構造である。このようなインロー嵌合構造91は、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。
【0061】
具体的には、インロー嵌合構造91は、第1ハウジング部121の第2内周面83に、第2内周面83とのクリアランスが極めて小さい主軸受部材36の軸受固定部362の外周面を組付けたものである。軸受固定部362の外周面は、主軸受361aの内周面との同軸となるように加工されているので、上記のインロー嵌合構造91によって、第1ハウジング部121の内側において主軸受部材36を精度よく位置決めすることができる。
【0062】
ピン嵌合構造92は、第1ハウジング部121に形成されたハウジング孔92aおよび主軸受部材36に形成された主軸受側孔92bそれぞれに共通の位置決めピン92cを嵌め込んで主軸受部材36を位置決めする嵌合構造である。
【0063】
位置決めピン92cは、円柱形状の部材である。ハウジング孔92aおよび主軸受側孔92bは、位置決めピン92cを挿入可能な大きさを有する有底孔である。ハウジング孔92aおよび主軸受側孔92bは、第1ハウジング部121および主軸受部材36において互いに対向する部位に形成されている。具体的には、ハウジング孔92aは、第1ハウジング部121の段差面81に形成されている。主軸受側孔92bは、軸受固定部362のうち第1ハウジング部121の段差面81に接する端面362bに形成されている。
【0064】
ここで、スクロール型の圧縮機10は、駆動軸14の荷重を主軸受361aで支持する片持ち構造である。このような片持ち構造は、駆動軸14が軸受に対して相対的に傾き易い傾向がある。
【0065】
これに対して、本実施形態の圧縮機10は、駆動軸14の軸方向の他方側が副軸受部材16に設けられた副軸受16aによって回転可能に支持されていることで、信頼性に優れている。以下、副軸受部材16について図1および図2を参照して説明する。
【0066】
副軸受部材16は、第1ハウジング部121とは別部材で構成されるとともに、第1ハウジング部121の底部121cの底面に固定されている。具体的には、副軸受部材16は、締結ボルト18によって底部121cに底面に対して固定されている。
【0067】
副軸受部材16は、筒形状の胴部161と、胴部161の端部に接続されるフランジ部162と、突起部93aとを有する。胴部161、フランジ部162、および突起部93aは、鉄鋼材料またはアルミニウム合金で構成されている。胴部161、フランジ部162、および突起部93aは、一体成形品として構成されている。
【0068】
胴部161は、胴部161の内側に副軸受16aを形成している。副軸受16aは、滑り軸受で構成されている。副軸受16aの内周面は、突起部93aの外周面に対して同軸度を精度良く合わせた状態で加工されている。副軸受16aは、副軸受部材16に一体的に固定されている。具体的には、副軸受16aは、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、副軸受16aは、胴部161と同じ材料で構成され、副軸受部材16に一体的に形成されていてもよい。
【0069】
副軸受16aは、主軸受361aに対し、距離を離した方が傾きの支持として、より効果的である。そこで、副軸受16aを主軸受361aから離して配置する際に、電動機部20を主軸受361aと副軸受16aとの間に配置している。これにより、ハウジング12の内部のスペースを有効に利用することができる。
【0070】
フランジ部162は、第1ハウジング部121の底部121cに固定される部分である。フランジ部162は、円環形状である。フランジ部162は、駆動軸14の径方向外側に向かって延伸している。フランジ部162は、締結ボルト18を挿入する挿入孔162aが複数形成されている。挿入孔162aは、フランジ部162の周方向において均等となるように3箇所形成されている。本実施形態の副軸受部材16は、3つの締結ボルト18によって底部121cに固定されている。なお、締結ボルト18は、3つに限定されず、1つ以上の任意の数とすることができる。
【0071】
ここで、圧縮機10は、副軸受16aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせる副軸受調心構造を備える。副軸受調心構造は、インロー嵌合構造93を含んでいる。
【0072】
インロー嵌合構造93は、第1ハウジング部121および副軸受部材16の一方に形成された凹部に第1ハウジング部121および副軸受部材16の他方に形成された凸部を嵌め込んで副軸受部材16を位置決めする嵌合構造である。具体的には、インロー嵌合構造93は、第1ハウジング部121に形成された窪み孔93bに副軸受部材16に形成された突起部93aを嵌め込んで副軸受部材16を位置決めする嵌合構造である。このようなインロー嵌合構造93は、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。なお、本実施形態のインロー嵌合構造93では、突起部93aが凸部を構成し、窪み孔93bが凹部を構成する。
【0073】
ここで、窪み孔93bは、円形状の有底孔である。窪み孔93bは、第1ハウジング部121の第2内周面83と同軸となるように底部121cの略中央部分に形成されている。また、突起部93aは、円筒形状である。突起部93aは、窪み孔93bの内側に嵌め込むことが可能な外周面を有している。突起部93aの外周面は、副軸受16aの内周面との同軸となるように加工されている。また、突起部93aは、突起部93aを窪み孔93bに嵌め込んだ際に、突起部93aの先端が窪み孔93bの底面に接触しないように、軸方向の長さが窪み孔93bの軸方向の長さよりも小さくなっている。
【0074】
本実施形態の副軸受調心構造は、窪み孔93bに対して窪み孔93bとのクリアランスが極めて小さい突起部93aの外周面を組付けたインロー組付けである。突起部93aの外周面は、副軸受16aの内周面との同軸となるように加工されているので、インロー嵌合構造93によって、第1ハウジング部121の内側において副軸受部材16を精度よく位置決めすることができる。
【0075】
副軸受部材16は、筒部121bの第1内周面82にステータ21が固定された状態で、第1ハウジング部121の底部121cに対して固定可能に構成されている。具体的には、副軸受部材16は、フランジ部162の外径がステータ21の内径よりも小さくなっている。
【0076】
次に、圧縮機10の各構成部品の組付作業の流れについて図3を参照しつつ説明する。図3に示すように、圧縮機10の組付作業は、準備工程、ステータ21の固定工程、副軸受16aの調心工程、副軸受部材16の固定工程、圧縮機構部30等の組付工程を含んでいる。
【0077】
組付作業では、まず、ステップS10の準備工程で、圧縮機10の各構成部品を用意する。この準備工程では、同軸度を精度よく合わせた状態で加工された第1内周面82および第2内周面83を有する第1ハウジング部121等を用意する。
【0078】
続く、ステップS20のステータ21の固定工程では、筒部121bの第1内周面82に電動機部20のステータ21を固定する。本実施形態では、焼き嵌めによって第1ハウジング部121の第1内周面82にステータ21を固定する。
【0079】
続く、ステップS30の副軸受16aの調心工程は、副軸受16aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせる工程である。この調心工程では、副軸受部材16の突起部93aを第1ハウジング部121の底部121cの窪み孔93bに嵌め合わせる。副軸受部材16の突起部93aの外周面と副軸受16aの内周面は、同軸度を精度良く合わせた状態で加工されている。また、筒部121bの第2内周面83と窪み孔93bは、同軸度を精度良く合わせた状態で加工されている。そして、突起部93aの外周面と窪み孔93bの内周面はクリアランスが極めて小さくなっている。このため、突起部93aを窪み孔93bに嵌め合わせると、筒部121bの第2内周面83の軸心に対する副軸受16aの内周面の軸心のズレが抑制された状態になる。
【0080】
続く、ステップS40の副軸受16aの固定工程は、副軸受16aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせた状態で副軸受部材16を第1ハウジング部121の底部121cの内面に固定する工程である。この固定工程では、副軸受部材16を締結ボルト18によって第1ハウジング部121の底部121cに固定する。
【0081】
続く、ステップS50の圧縮機構部30等の組付工程では、まず、駆動軸14と、主軸受部材36と、旋回スクロール34と、固定スクロール32とが組付けられた状態で、主軸受部材36と固定スクロール32とが第1ボルト71によって仮組みされる。この状態で、主軸受部材36と固定スクロール32との調心を行うことにより、旋回スクロール34と固定スクロール32との軸ズレが調整される。
【0082】
その後、圧縮機構部30の第1ハウジング部121への組付けが行われる。圧縮機構部30の第1ハウジング部121への組付けでは、圧縮機構部30が軸方向DRaの一方側から第1ハウジング部121の内側に挿入される。そして、圧縮機構部30の主軸受部材36の端面362bが、第1ハウジング部121の段差面81に当接した状態とされる。この状態で、軸方向DRaの一方側から他方側へ向かって複数の第2ボルト72が挿入される。
【0083】
続いて、圧縮機構部30は、複数の第2ボルト72によってハウジング12に締結固定される。そして、圧縮機構部30の第1ハウジング部121への組付け後に、第2ハウジング部122が第1ハウジング部121に固定される。また、インバータ25は、第2ハウジング部122を第1ハウジング部121に固定する前または固定した後に、第1ハウジング部121の底部121cの外面に固定される。なお、電動機部20のロータ22は、圧縮機構部30の第1ハウジング部121への組付け前に、あらかじめ駆動軸14に、焼嵌め等の手段にて固定される。
【0084】
以上説明した圧縮機10は、二酸化炭素を主成分とする冷媒が循環する冷凍サイクル装置に適用される。この種の冷凍サイクル装置は、フロン系の冷媒を用いる場合に比べて、サイクル内の高低圧差が大きくなる。このため、圧縮機10の主軸受361a、副軸受16a等に高い荷重が作用することから圧縮機10に対する耐久性の要求レベルが高い。
【0085】
そこで、本実施形態の圧縮機10は、偏心軸受342a、主軸受361aおよび副軸受16aを耐久性に優れた滑り軸受で構成している。これにより、サイクル内の高低圧差が大きく、高荷重が軸受に作用する場合においても、転がり軸受と比較して、摩耗劣化に対する信頼性が向上し、長寿命化を図ることが可能である。
【0086】
その一方で、主軸受361aおよび副軸受16aに滑り軸受を採用する場合、局所的な面圧上昇の抑制による耐焼き付き性の向上や良好な油膜形成による耐摩耗性の確保の観点から各軸受361a、16aの軸心を極力合わせる必要がある。
【0087】
ここで、図4は、本実施形態の第1比較例となる圧縮機CE1の軸方向断面図である。圧縮機CE1は、副軸受部材16が底部121cに一体に形成されている点、圧縮機構部30の外周面30aと筒部121bの第2内周面83との間に軸心合わせ用隙間δpが形成されている点が本実施形態の圧縮機10と異なる。便宜上、図4では、第1比較例の圧縮機CE1の各構成部品のうち、本実施形態の圧縮機10の各構成部品に対応するものに対して、本実施形態の圧縮機10の各構成部品と同様の符号を付している。
【0088】
図4に示す比較例の圧縮機CE1は、副軸受部材16が底部121cに一体に形成されており、第1ハウジング部121に対して副軸受16aの位置を調整することができない。このため、組付け設備によって、圧縮機構部30を第1ハウジング部121に対し相対的に変位させながら主軸受361aの軸心を検出し、それを副軸受16aの軸芯に合わせ、その状態を保持しながら第2ボルト72を締める作業が必要となる。
【0089】
しかしながら、上述の作業は圧縮機構部30を変位させながら変位量を精度良く検出することを繰り返し行う行なう必要があり、設備コストが高く、かつサイクルタイムが長くなり、車載用圧縮機のような大量生産される製品には不向きである。
【0090】
そこで、図5に示す第2比較例の圧縮機CE2のように、第1比較例の圧縮機CE1の軸心合わせ用隙間δpを極めて小さくするとともに、主軸受361a、副軸受16aの相対的な同軸度のバラツキに影響する寸法公差、形状公差を高精度にすることが考えられる。第2比較例の圧縮機CE2では、各構成部品を単純に組み付けるだけで、各軸受361a、16a等の同軸度のバラツキを品質的に許容される範囲内に収めることが可能となる。
【0091】
ところで、滑り軸受において油膜を有効に発生させるためには、滑り軸受の内周面を平滑かつ高精度にする必要がある。このため、一般的には、滑り軸受では、その内周面の研磨加工が実施される。
【0092】
ところが、第2比較例の圧縮機CE2の如く、副軸受部材16が底部121cに一体に形成されていると、副軸受16aを研磨加工するためには、砥石の軸の長さを長くする必要がある。
【0093】
砥石の軸を長くすると、軸のたわみ、または砥石の振れ回りによって、研磨加工の難易度が上がり、同軸度、面粗度、円筒度等の必要精度を出すことが困難となる。そして、必要精度が確保するためには、高精度加工を可能とする専用設備を導入する必要があり、投資額が高額になってしまう。
【0094】
これらを考慮して、本実施形態の圧縮機10は、副軸受部材16を第1ハウジング部121とは別体で構成するとともに、第1ハウジング部121の底部121cの底面に固定している。これによれば、ハウジング12から副軸受部材16を取り外した状態で副軸受16aの内周面を加工することできるので、専用の設備を導入することなく、副軸受16aの内周面を精度よく加工することが可能となる。すなわち、副軸受16aの研磨加工を副軸受部材16の状態で行なうことができるため、研磨砥石の軸長さを長くする必要がなく、副軸受16aの研磨精度を比較的安価な汎用設備でも高精度を確保することができる。
【0095】
したがって、有底筒形状の第1ハウジング部121を有する圧縮機10において、専用の設備を導入することなく、第1ハウジング部121の底部121c側で駆動軸14を支持する副軸受16aの精度を確保することができる。この結果、設備投資を抑えつつ、生産性と高品質を両立させることが可能となる。
【0096】
このような圧縮機10は、二酸化炭素を主成分とする冷媒が使用されてサイクル内の高低圧差が大きい冷凍サイクル装置等のように耐久性の要求レベルが高いものへの適用が有効である。また、本実施形態の圧縮機10は、例えば、車載用圧縮機の如く、小型、軽量、低コストのニーズが高いものへの適用が有効である。さらに、本実施形態の圧縮機10は、例えば、スクロール型圧縮機の如く、駆動軸14の荷重支持が片持ち構造であり、駆動軸14と軸受が相対的に傾き易く、局所的に軸受の面圧が上昇し易い構造への適用が効果的である。
【0097】
具体的には、副軸受部材16は、底部121cの底面に対して締結ボルト18によって固定されている。これによると、比較的少ない組付工数で高い締結力を得ることができる。
【0098】
特に、圧縮機10は、副軸受16aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせる副軸受調心構造を備える。これによると、副軸受16aの軸心と第1ハウジング部121の第2内周面83の軸心との軸ズレが抑制される。
【0099】
加えて、圧縮機10は、主軸受361aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせる主軸受調心構造を備える。これによると、主軸受361aの軸心と第1ハウジング部121の第2内周面83の軸心との軸ズレが抑制される。
【0100】
圧縮機10は、主軸受調心構造と副軸受調心構造を併せ持つことで、組付作業時の主軸受361aの内周面と副軸受16aの内周面との公差積上げによる軸心のズレを高精度に抑制することが可能となる。この結果、各軸受361a、16aの局所的な面圧上昇を抑制することにより耐焼き付き性を向上させることができる。また、各軸受361a、16aは、良好な油膜形成状態となり、耐摩耗性が向上するので、軸受の信頼性を向上することができる。
【0101】
具体的には、副軸受調心構造は、第1ハウジング部121に形成された窪み孔93bに副軸受部材16に形成された突起部93aを嵌め込んで副軸受部材16を位置決めするインロー嵌合構造93を含んでいる。このインロー嵌合構造93を構成する窪み孔93bおよび突起部93aは、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。したがって、専用の設備を導入することなく、副軸受部材16の位置決め精度を確保することができる。
【0102】
また、主軸受調心構造は、第1ハウジング部121の第2内周面83に圧縮機構部30の外周を嵌め込んで主軸受部材36を位置決めするインロー嵌合構造91を含んでいる。このインロー嵌合構造91は、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。したがって、専用の設備を導入することなく、主軸受部材36の位置決め精度を確保することができる。
【0103】
加えて、主軸受調心構造は、第1ハウジング部121に形成されたハウジング孔92aおよび主軸受部材36に形成された主軸受側孔92bそれぞれに共通の位置決めピン92cを嵌め込んで主軸受部材36を位置決めするピン嵌合構造92を含んでいる。
【0104】
これによると、第1ハウジング部121の第2内周面83の軸心に対する主軸受361aの軸心の軸ズレを抑制するとともに、位置決めピン92cによって主軸受部材36の回転方向の位置決めも行うことができる。このため、第1ハウジング部121への主軸受部材36の組付性を確保することができる。加えて、電動機部20の駆動力が主軸受部材36を含む圧縮機構部30に作用したとしても、位置決めピン92cが回り止めとして機能することで、電動機部20の駆動力による主軸受部材36のつれ回りを防止できる。
【0105】
ここで、本実施形態とは異なり、第1ハウジング部121の筒状部121bと底部121cとが別体で構成されている場合、両者をボルトによって締結するためのボルト座等を構成するための肉厚を筒部121bと底部121cそれぞれに持たせる必要がある。
【0106】
これに対して、本実施形態の圧縮機10は、第1ハウジング部121が筒部121bと底部121cとが継ぎ目のない一体成形品として構成されている。これによると、ボルト座等を構成するための肉厚を筒部121bと底部121cそれぞれに持たせる必要がなく、比較的薄い肉厚で必要な剛性を得ることができる。このことは、部品点数を削減するとともに、ハウジング12の重量を抑えながら耐圧性を確保することができる。
【0107】
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、圧縮機10の各構成部品および各種構造等を具体的に説明したが、圧縮機10は、上述したものに限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。なお、以下の変形例は、第1実施形態に限ったものではなく、第1実施形態以外の実施形態においても同様に適用可能である。
【0108】
上述の第1実施形態では、主軸受調心構造としてインロー嵌合構造91およびピン嵌合構造92それぞれを含んでいるものを例示したが、圧縮機10は、これに限定されない。圧縮機10は、例えば、インロー嵌合構造91およびピン嵌合構造92の一方の嵌合構造を有していてもよい。また、圧縮機10は、主軸受調心構造の代わりに、圧縮機構部30の外周面30aと第1ハウジング部121の第2内周面83との間に軸心合わせ用隙間δpが形成されていてもよい。
【0109】
上述の第1実施形態では、インロー嵌合構造93として、第1ハウジング部121の底部121cに形成された凹部に、副軸受部材16に形成された凸部を嵌め合わせるものを例示したが、インロー嵌合構造93は、これに限定されない。インロー嵌合構造93は、例えば、第1ハウジング部121の底部121cに形成された凸部に、副軸受部材16に形成された凹部を嵌め合わせる嵌合構造であってもよい。また、インロー嵌合構造93は、凹部と凸部とのクリアランスが詰まった状態であれば、円形状以外の形状を有する凸部および凹部を嵌め合わせようになっていてもよい。
【0110】
上述の第1実施形態では、副軸受部材16に円形状のフランジ部162が設けられているもの例示したが、フランジ部162は、これに限定されず、円形状以外の形状になっていてもよい。フランジ部162は、例えば、図6に示すように、略三角形状になっていてもよい。これによると、第1ハウジング部121の底部121cの底面においてフランジ部162で覆われる面積を抑えることができる。この結果、フランジ部162と気密端子121dとの干渉を回避し易くなり、気密端子121dのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0111】
上述の第1実施形態で説明した圧縮機10は、圧縮機構部30が第2ボルト72によって第1ハウジング部121に固定されている。圧縮機構部30が第1ハウジング部121および第2ハウジング部122で挟持される等、別手段で固定されていれば第2ボルト72がなくてもよい。また、固定されていなくても、第2ボルト72が必ずしもなくてもよい。すなわち、運転時に発生する圧力差により第1ハウジング部121の各内周面82、83の間の段差面81に圧縮機構部30が押付けられ、それによって発生する摩擦力により実質的に運転時に固定されていれば、第2ボルト72がなくてもよい。これらの場合、電動機部20から圧縮機構部30に回転力が作用しても、ピン嵌合構造92の位置決めピン92cで回転力を受けるので、つれ回り等の位置ズレを防止することができる。
【0112】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0113】
本実施形態の圧縮機10は、第1実施形態で説明したピン嵌合構造92が省略されている。また、第1実施形態で説明したインロー嵌合構造93の代わりに、ピン嵌合構造94によって副軸受調心構造が構成されている。ピン嵌合構造94は、第1ハウジング部121の底部121cに形成された底壁孔94aおよび副軸受部材16に形成された副軸受側孔94bそれぞれに共通の位置決めピン94cを嵌め込んで副軸受部材16を位置決めする嵌合構造である
【0114】
位置決めピン94cは、円柱形状の部材である。底壁孔94aは、位置決めピン94cを挿入可能な大きさを有する有底孔である。副軸受側孔94bは、位置決めピン94cを挿入可能な大きさを有する有底孔もしくは貫通孔である。底壁孔94aおよび副軸受側孔94bは、底部121cおよび副軸受部材16において互いに対向する部位に複数形成されている。具体的には、底壁孔94aは、底部121cの底面のうちフランジ部162と対向する部位に複数形成されている。副軸受側孔94bは、フランジ部162のうち底部121cの底面に接する部位に複数形成されている。複数の底壁孔94aおよび複数の副軸受側孔94bそれぞれに位置決めピン94cが挿入されることで、副軸受部材16の位置決めを行うことができる。なお、底壁孔94aと位置決めピン94cとの嵌め合い、副軸受側孔94bと位置決めピン94cとの嵌め合いはいずれか片方、もしくは双方が圧入でもよい。この場合、位置決めピン94cが固定され、抜けの心配がないため、副軸受側孔94bは貫通孔でもよい。
【0115】
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態の圧縮機10は、
副軸受調心構造がピン嵌合構造94を含んでいる。これによると、第1ハウジング部121の第2内周面83の軸心に対する副軸受16aの軸心の軸ズレを抑制するとともに、位置決めピン94cによって副軸受部材16の回転方向の位置決めもできる。この結果、副軸受部材16の締結ボルト18の挿入孔162aと底部121cに形成されたネジ孔との位置合わせが容易になるので、第1ハウジング部121に対する副軸受部材16の組付性を充分に確保することができる。
【0116】
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、副軸受調心構造がピン嵌合構造94で構成されているものを例示したが、副軸受調心構造は、これに限らず、例えば、インロー嵌合構造93およびピン嵌合構造94それぞれが含まれていてもよい。
【0117】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図8図10を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0118】
図8に示すように、本実施形態の圧縮機10は、副軸受調心構造が設けられていない。すなわち、第1ハウジング部121および副軸受部材16には、第1実施形態で説明したインロー嵌合構造93および第2実施形態で説明したピン嵌合構造94に相当する構成が設けられていない。
【0119】
代わりに、圧縮機10は、図9および図10に示す調心治具95によって副軸受16aの軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせた状態で第1ハウジング部121の底部121cの底面に対して副軸受部材16が固定される。
【0120】
調心治具95は、駆動軸14を模したダミーシャフトである。調心治具95は、副軸受16aの内周面および第1ハウジング部121の第2内周面83それぞれに嵌合可能になっている。
【0121】
調心治具95は、筒部121bの第2内周面83に嵌合可能な外径を有する大径部95aと、副軸受16aの内周面に嵌合可能な外径を有する小径部95bとを有する。調心治具95は、大径部95aの軸心と小径部95bの軸心とが極めて高精度に一致するように加工されている。なお、小径部95bの外径は、大径部95aの外径よりも小さい。
【0122】
大径部95aは、略円柱形状であって、その外径が筒部121bの第2内周面83の内径とのクリアランスが極めて小さくなる大きさに加工されている。図10に示すように、大径部95aには、軸方向DRaに貫通する貫通孔95cが複数形成されている。この貫通孔95cは、締結ボルト18を締結するためのボルト締付治具を差し込むために形成されている。貫通孔95cは、大径部95aのうち、フランジ部162のうち挿入孔162aと対向する位置に形成されている。
【0123】
小径部95bは、略円柱形状であって、その外径が副軸受16aの内径とのクリアランスが極めて小さくなる大きさに加工されている。小径部95bは、大径部95aとの接続部の反対側にある先端部に、副軸受16aの内側への挿入を容易にする案内用のテーパ部95dが形成されている。
【0124】
次に、本実施形態の圧縮機10の各構成部品の組付作業について説明する。なお、圧縮機10の組付作業のうち、第1実施形態と共通の内容については説明を簡略化したり省略したりする。
【0125】
本実施形態の圧縮機10の組付作業は、まず、準備工程で、圧縮機10の各構成部品を用意する。続く、ステップS20のステータ21の固定工程では、焼き嵌めによって筒部121bの第1内周面82に電動機部20のステータ21を固定する。
【0126】
続く、ステップS30の副軸受16aの調心工程では、まず、副軸受部材16を底部121cの底面に締結ボルト18によって仮止めする。この状態では、締結ボルト18を規定のトルクで締め付けておらず、副軸受部材16はその位置をずらすことが可能になっている。
【0127】
その後、調心工程では、調心治具95を第1ハウジング部121の内側に嵌め込む。すなわち、調心工程では、調心治具95の大径部95aを筒部121bの第2内周面83に嵌め込むとともに、調心治具95の小径部95bを副軸受16aの内周面に嵌め込む。この時点で、筒部121bの第2内周面83の軸心と副軸受16aの内周面の軸心とズレが抑制された状態になる。
【0128】
続く、ステップS40の副軸受16aの固定工程では、締結ボルト18を規定のトルクで締め付けて副軸受部材16を底部121cの底面に固定する。この工程では、大径部95aに形成された貫通孔95cにボルト締付治具を差し込み、当該ボルト締付治具によって締結ボルト18を規定のトルクで締め付ける。
【0129】
続く、ステップS50の圧縮機構部30等の組付工程では、調心治具95を第1ハウジング部121の内側から取り出す。その後、駆動軸14の副軸受16aへの組付けおよび圧縮機構部30の第1ハウジング部121への組付けが行われる。
【0130】
以上説明した組付作業によれば、圧縮機10に副軸受調心構造がなくても、調心治具95によって副軸受部材16の位置決め精度を確保することができる。これによると、製品コストを抑えつつ、主軸受361aの軸心と副軸受16aの軸心との相対的な軸ズレを高精度に抑制することができる。
【0131】
ここで、ステータ21の固定工程では、高温に加熱して熱膨張させた状態の第1ハウジング部121にステータ21を挿入した後、第1ハウジング部121が常温まで低下する際に初期状態まで収縮することでステータ21が第1ハウジング部121に固定される。
【0132】
一般には、圧縮機10の各運転条件での温度分布環境下でステータ21が緩まないためには、焼き嵌め時の締め代を大きくする必要があるが、締め代が大きいと、第1ハウジング部121の歪が大きくなってしまう。また、例えば、第1ハウジング部121の構成材料がアルミニウム合金等の場合、焼き嵌め時に第1ハウジング部121が高温となることで、応力緩和等の理由により歪が生じ易い。これらの第1ハウジング部121の歪は、副軸受16aの軸心がずれる要因となってしまう。
【0133】
これに対して、本実施形態の圧縮機10は、調心治具95による副軸受16aの軸心合わせが、ステータ21の固定工程の後に行われる。このため、第1ハウジング部121の歪による軸ズレを調心治具95によってキャンセルした状態で、副軸受部材16を底部121cの底面に固定することができる。すなわち、本実施形態の組付作業によれば、より高精度な軸ズレの抑制が可能となる。
【0134】
(第3実施形態の変形例)
上述の実施形態では、調心治具95の具体的な形状および構造について説明したが、調心治具95は、これに限定されない。調心治具95は、副軸受16aの内周面の軸心と筒部121bの第2内周面83の軸心とを合わせることが可能なものであれば、第3実施形態とは異なるものであってもよい。また、調心治具95は、単体ではなく、他の設備の一部として構成されていてもよい。
【0135】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されない。本開示は、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0136】
上述の実施形態では、副軸受部材16が締結ボルト18によって底部121cの底面に固定されるものを例示したが、副軸受部材16は、締結ボルト18以外の手段によって、底部121cの底面に固定されていてもよい。
【0137】
上述の実施形態では、圧縮機10に対して主軸受調心構造および副軸受調心構造が設けられているものを例示したが、主軸受調心構造および副軸受調心構造は、圧縮機10において必須の構成ではなく、少なくとも一方の調心構造が省略されていてもよい。
【0138】
上述の実施形態では、主軸受361aおよび副軸受16aの双方が滑り軸受で構成されているものを例示したが、主軸受361aおよび副軸受16aは、少なくとも一方が滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0139】
上述の実施形態では、スクロール型の圧縮機構部30を有する圧縮機10を例示したが、圧縮機10は、これに限らず、ロータリ型の圧縮機構部30、ベーン型の圧縮機構部30が採用されていてもよい。
【0140】
上述の実施形態では、圧縮機10を車両用空調装置の冷凍サイクル装置に適用した例について説明ししたが、圧縮機10は、これに限定されず、家屋や工場等で用いられる温調機器に対して広く適用可能である。また、圧縮機10は、電動機部20と圧縮機構部30とが水平方向に並ぶ横置構造に限定されず、例えば、電動機部20と圧縮機構部30とが上下方向DRvに並ぶ縦置構造になっていてもよい。
【0141】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0142】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0143】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0144】
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、圧縮機は、圧縮機構部と、電動機部と、駆動軸と、ハウジングと、を備える。ハウジングは、駆動軸の軸方向の一方側が開口する有底筒形状の第1ハウジング部と、第1ハウジング部の開口を覆う第2ハウジング部とを含む。駆動軸は、軸方向の一方側が主軸受部材に一体的に形成または固定される主軸受によって回転可能に支持され、軸方向の他方側が副軸受部材のうち胴部の内側に一体的に形成または固定される副軸受によって回転可能に支持される。主軸受部材を含む圧縮機構部は、第1ハウジング部の筒状部分の内側に配置される。副軸受部材は、第1ハウジング部とは別体で構成されるとともに、第1ハウジング部の底部分の底面に固定されている。これによると、ハウジングから副軸受部材を取り外した状態で副軸受の内周面を加工することできるので、専用の設備を導入することなく、副軸受の内周面を精度よく加工することが可能となる。すなわち、副軸受の研磨加工を副軸受部材の状態で行なうことができるため、研磨砥石の軸長さを長くする必要がなく、副軸受の研磨精度を比較的安価な汎用設備でも高精度を確保することができる。
【0145】
第2の観点によれば、副軸受部材は、底部分の底面に対して締結ボルトによって固定されている。これによると、比較的少ない組付工数で高い締結力を得ることができる。
【0146】
第3の観点によれば、圧縮機は、副軸受の軸心と筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせる副軸受調心構造を備える。これによると、副軸受の軸心と筒状部分の内周面の軸心との軸ズレが抑制されるので、各軸受の軸心の相対的な軸ズレ量の積み上げバラツキを抑制することができる。この結果、各軸受での局所的な面圧上昇の抑制および良好な油膜形成を確保することができ、各軸受の信頼性を確保することができる。
【0147】
第4の観点によれば、副軸受調心構造は、第1ハウジング部および副軸受部材の一方に形成された凹部に第1ハウジング部および副軸受部材の他方に形成された凸部を嵌め込んで副軸受部材を位置決めする嵌合構造を含んでいる。
【0148】
嵌合構造を構成する凸部および凹部は、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。したがって、専用の設備を導入することなく、副軸受部材の位置決め精度を確保することができるので、各軸受の軸心の相対的な軸ズレ量の積み上げバラツキを抑制することができる。
【0149】
第5の観点によれば、副軸受調心構造は、底部分に形成された底壁孔および副軸受部材に形成された副軸受側孔それぞれに共通の位置決めピンを嵌め込んで副軸受部材を位置決めするピン嵌合構造を含んでいる。
【0150】
これによると、筒状部分の内周面の軸心に対する副軸受の軸心の軸ズレを抑制しつつ、位置決めピンによって副軸受部材の回転方向の位置決めもできるので、第1ハウジング部への副軸受部材の組付性を充分に確保することができる。
【0151】
第6の観点によれば、副軸受部材は、副軸受の内周面および筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面それぞれに嵌合可能な調心治具によって副軸受の軸心と挿入部位の軸心とを合わせた状態で底部分の底面に固定される。
【0152】
これによれば、圧縮機に対して副軸受調心構造を追加することなく、副軸受部材の位置決め精度を確保することができるので、各軸受の軸心の相対的な軸ズレ量の積み上げバラツキを抑制することができる。
【0153】
第7の観点によれば、圧縮機は、主軸受の軸心と筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせる主軸受調心構造を備える。これによると、各軸受の軸心の相対的な軸ズレ量の積み上げバラツキを抑制することができる。この結果、各軸受での局所的な面圧上昇の抑制および良好な油膜形成を確保することができ、各軸受の信頼性を確保することができる。
【0154】
第8の観点によれば、主軸受調心構造は、挿入部位の内周面に圧縮機構部の外周を嵌め込んで主軸受部材を位置決めする嵌合構造を含んでいる。このような嵌合構造は、旋盤等の汎用の設備を使用した加工により高精度に形成することができる。したがって、専用の設備を導入することなく、主軸受部材の位置決め精度を確保することができるので、各軸受の軸心の相対的な軸ズレ量の積み上げバラツキを抑制することができる。
【0155】
第9の観点によれば、主軸受調心構造は、第1ハウジング部に形成されたハウジング孔および主軸受部材に形成された主軸受側孔それぞれに共通の位置決めピンを嵌め込んで主軸受部材を位置決めするピン嵌合構造を含んでいる。
【0156】
これによると、筒状部分の内周面の軸心に対する主軸受の軸心の軸ズレを抑制しつつ、位置決めピンによって主軸受部材の回転方向の位置決めもできるので、第1ハウジング部に対する主軸受部材の組付性を充分に確保することができる。加えて、電動機部の駆動力が主軸受部材を含む圧縮機構部に作用したとしても、位置決めピンが回り止めとして機能することで、電動機部の駆動力による主軸受部材のつれ回りを防止できる。
【0157】
第10の観点によれば、主軸受および副軸受は、少なくとも一方が滑り軸受で構成されている。これによると、駆動軸の軸受の耐焼き付き性を確保しつつ、摩耗劣化に対する信頼性を確保して長寿命化を図ることができる。
【0158】
第11の観点によれば、圧縮機構部は、第1ハウジング部に固定される固定スクロールおよび駆動軸の回転によって旋回運動する際に固定スクロールと噛み合うことで流体を圧縮する旋回スクロールを含んでいる。トルク変動が少ないスクロール型の圧縮機構部によれば、各軸受の負荷が抑制されるので、軸受の耐焼き付き性および耐摩耗性を確保することができる。
【0159】
第12の観点によれば、圧縮機の製造方法は、副軸受の軸心と筒状部分のうち圧縮機構部が挿入される挿入部位の内周面の軸心とを合わせた状態で、副軸受部材を第1ハウジング部の底部の内面に固定する。
【0160】
第13の観点によれば、圧縮機の製造方法では、軸受の内周面および挿入部位の内周面それぞれに調心治具を嵌合させることで、副軸受の軸心と挿入部位の内周面の軸心とを合わせる。これによれば、圧縮機に対して副軸受調心構造を追加することなく、副軸受部材の位置決め精度を確保することができるので、主軸受の軸心と副軸受の軸心との相対的な軸ズレを高精度に抑制することができる。
【符号の説明】
【0161】
121 第1ハウジング部
121b 筒部
121c 底部
14 駆動軸
16 副軸受部材
16a 副軸受
20 電動機部
30 圧縮機構部
36 主軸受部材
361a 主軸受
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10