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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】スイッチカバー
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/20 20060101AFI20240220BHJP
   H01H 9/22 20060101ALI20240220BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01H3/20 C
H01H9/22
H01H13/02 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020142425
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038111
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】添田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】小竹原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 厚
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-044786(JP,A)
【文献】特開2020-031031(JP,A)
【文献】特開2012-048965(JP,A)
【文献】特開2002-260473(JP,A)
【文献】実開昭50-017757(JP,U)
【文献】実開昭61-179625(JP,U)
【文献】特開2015-005330(JP,A)
【文献】特開2012-079549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/20
H01H 9/22
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチを有する本体を備えるスイッチ装置に取り付けられるスイッチカバーであって、
回転軸を中心に前記スイッチを操作可能な開放位置と前記スイッチを操作不能な閉塞位置の間を回転可能に前記本体に取り付けられる第1のカバーと、
前記第1のカバーに取り付けられ、前記第1のカバーとの間に前記回転軸側から板状の表示札を差し込み可能な収納部を形成する第2のカバーと、
少なくとも一部が前記収納部に配置され、前記第1のカバーの回転が規制される第1の位置と前記第1のカバーの回転の規制が解除される第2の位置に移動可能な規制部材と、
前記収納部に配置され、前記規制部材を前記第2の位置側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記規制部材は、前記表示札が前記収納部に収納されると前記表示札に押されて前記第1の位置に移動し、前記表示札が前記収納部から取り除かれると前記付勢部材によって前記第2の位置に移動するスイッチカバー。
【請求項2】
前記規制部材は、前記本体に前記第1のカバーを取り付けた状態で前記本体側に突出する本体側突出片を有し、
前記第1の位置で前記本体側突出片が前記本体と接触することによって前記第1のカバーの回転が規制され、前記第2の位置に移動すると前記第1の位置よりも前記本体側突出片と前記本体の間の間隔が広がることによって前記第1のカバーの回転の規制が解除される請求項1に記載のスイッチカバー。
【請求項3】
前記規制部材は、前記表示札が該表示札の差し込み方向に進むにつれて、該規制部材を前記第2の位置に移動させるように傾斜する傾斜部を有する請求項1又は2に記載のスイッチカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に取り付けられるスイッチカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチを有するスイッチ装置に取り付けられるスイッチカバーが知られている。この種の技術が記載されているものとして特許文献1から特許文献3がある。特許文献1には、壁面又は操作パネルに固定された枠とスイッチカバー蓋部を係合するためのロック機構を備えるスイッチカバーが記載されている。特許文献2には、前面板の内側に操作禁止札などを収納可能なポケットを設けるスイッチカバーが記載されている。特許文献3には、スイッチカバーを開いたことをセンサが検知し、音声を発生させる誤操作防止装置が記載されている。特許文献1から特許文献3の技術は、何れもスイッチ装置の誤操作を防止するための機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-5330号公報
【文献】特開2012-79549号公報
【文献】昭63-253601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、スイッチカバーが開かないようにロックを掛けることができるが、実際に操作が禁止されているか否かを判断することが難しい。特許文献2の技術では、操作が禁止されていることをスイッチカバーに表示できるが、ロック機構がないために誤ってスイッチを押下する可能性がある。特許文献3の技術では、操作が禁止されたスイッチ装置のスイッチカバーが開かれたことを周囲に知らせることができるが、構造が複雑化し設置及び管理のためのコストがかかる。
【0005】
本発明は、簡素化された構造で誤操作をより確実に防止できるスイッチカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スイッチを有する本体を備えるスイッチ装置に取り付けられるスイッチカバーであって、回転軸を中心に前記スイッチを操作可能な開放位置と前記スイッチを操作不能な閉塞位置の間を回転可能に前記本体に取り付けられる第1のカバーと、前記第1のカバーに取り付けられ、前記第1のカバーとの間に前記回転軸側から板状の表示札を差し込み可能な収納部を形成する第2のカバーと、少なくとも一部が前記収納部に配置され、前記第1のカバーの回転が規制される第1の位置と前記第1のカバーの回転の規制が解除される第2の位置に移動可能な規制部材と、前記収納部に配置され、前記規制部材を前記第2の位置側に付勢する付勢部材と、を備え、前記規制部材は、前記表示札が前記収納部に収納されると前記表示札に押されて前記第1の位置に移動し、前記表示札が前記収納部から取り除かれると前記付勢部材によって前記第2の位置に移動するスイッチカバーに関する。
【0007】
前記規制部材は、前記本体に前記第1のカバーを取り付けた状態で前記本体側に突出する本体側突出片を有し、前記第1の位置で前記本体側突出片が前記本体と接触することによって前記第1のカバーの回転が規制され、前記第2の位置に移動すると前記第1の位置よりも前記本体側突出片と前記本体の間の間隔が広がることによって前記第1のカバーの回転の規制が解除される。
【0008】
前記規制部材は、前記表示札が該表示札の差し込み方向に進むにつれて、該規制部材を前記第2の位置に移動させるように傾斜する傾斜部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡素化された構造で誤操作をより確実に防止できるスイッチカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るスイッチカバーが取り付けられたスイッチ装置を斜め上方から見た斜視図である。
図2】表示札が収納されていないスイッチカバーが取り付けられたスイッチ装置を示す断面図である。
図3】表示札が収納されたスイッチカバーが取り付けられたスイッチ装置を示す断面図である。
図4】表示札が収納されたスイッチカバーの開動作を示す断面図である。
図5】表示札が収納されていないスイッチカバーの開動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係るスイッチカバー1は、スイッチ120を有するスイッチ装置100に取り付けられる蓋である。図1は、スイッチカバー1が取り付けられたスイッチ装置100を斜め上方から見た斜視図である。図2は、表示札2が収納されていないスイッチカバー1が取り付けられたスイッチ装置100を図1に示すA-A線で切断した断面図である。図3は、表示札2が収納されたスイッチカバー1が取り付けられたスイッチ装置100を図1に示すA-A線で切断した断面図である。
【0013】
まず、スイッチカバー1が取り付けられるスイッチ装置100の構成について説明する。本実施形態では、発電所や工場等において機器(図示省略)を遠隔操作するために中央制御室等に設けられるスイッチ装置100を例に説明する。
【0014】
図1から図3に示すように、スイッチ装置100は、スイッチ120を有する本体110を備える。本体110は、その上面に開口111が形成された箱状である。本体110は、開口111に対向し、スイッチ120が設けられる略矩形のベース面112と、ベース面112の辺縁からスイッチ120を囲うように開口111側に延びる4つの側壁113,114,115,116を含む。スイッチ120は、ベース面112に向かって押下可能な押しボタン式のスイッチである。スイッチ120を押下することで機器を遠隔操作することができる。
【0015】
次に、本実施形態に係るスイッチカバー1について説明する。図1から図3に示すように、スイッチカバー1は、第1のカバー10と、第2のカバー20と、規制部材40と、付勢部材50と、を備える。スイッチカバー1には、スイッチ120の誤操作を防止するための表示札2を取り付けることができる。
【0016】
表示札2は、スイッチ装置100を操作しないように注意を促すための文字等が記載されている板状の札である。表示札2には、例えば「操作禁止」等の文字が記載されている。表示札2は、所定の厚みTを有する。
【0017】
第1のカバー10は、上面が開口した箱状であり、ヒンジ11を介して本体110に取り付けられる。本体110に取り付けられた第1のカバー10は、回転軸Bを中心に回転して開口111を開閉する。即ち、第1のカバー10は、回転軸Bを中心にスイッチ120を操作可能な開放位置と、スイッチ120を操作不能な閉塞位置の間を回転可能に本体110に取り付けられる。閉塞位置では、開口111が閉じられ、第1のカバー10と側壁113~116によってスイッチ120の周囲が塞がれる。開放位置では、開口111が開放され、スイッチ120の操作が可能になる。
【0018】
ヒンジ11は、側壁113の上面に沿って延びるシャフト12と、シャフト12に巻き付けられたねじりコイルばね13を有する。
【0019】
ねじりコイルばね13は、シャフト12の延びる方向においてシャフト12の中心付近に巻き付けられる。ねじりコイルばね13は、その一端がスイッチ装置100の本体110の側壁113に固定され、他端が第1のカバー10に固定される。ねじりコイルばね13は、第1のカバー10の回転軸Bとは反対側の端部と側壁114が接触するように付勢する。即ち、第1のカバー10を押し上げる向きの外力が加わると、第1のカバー10が回転軸Bを中心に図2において右回りに回転することで開口111が開く。第1のカバー10を押し上げる向きの外力が加わらなくなると、ねじりコイルばね13の付勢力によって第1のカバー10が回転軸Bを中心に図2において左回りに回転することで開口111が閉じる。
【0020】
図1から図3に示すように、第1のカバー10は、開口111を覆う底面部14と、側面部15~18を含んで構成される。
【0021】
底面部14は、略矩形であり、本体110の側壁113~116の上面に接触することで開口111を閉じる。底面部14は、その側壁113側の端面がヒンジ11のねじりコイルばね13に固定される。底面部14のヒンジ11側を除く辺縁からは、側面部16~18が上方に延びる。
【0022】
側面部16は、板状であり、側壁116側に形成される。側面部17は、板状であり、側壁117側に形成される。側面部17は側面視で回転軸Bと直交する方向において、側面部16から側壁113よりも底面部14から離れた位置まで延びる。側壁118は、板状であり、側面部17と対向する位置に形成される。側面部18は側面視で回転軸Bと直交する方向において、側面部16から側壁113よりも底面部14から離れた位置まで延びる。
【0023】
側面部15は、側面部16と対向する位置に形成され、側面部17から側面部18に延びる板状部材である。側面部15は、側面視において側壁113から突出した位置に形成される。側面部15は、ヒンジ11側とは反対側に開口する溝部151を有する。溝部151は、その溝幅が表示札2の横幅よりも長く形成され、その溝深さが表示札2の厚みTよりも長く形成される。
【0024】
第2のカバー20は、透明な板状であり、閉塞位置で底面部14における開口111を覆う面とは反対側の面に取り付けられる。具体的には、第2のカバー20は、側面部15~18の上面に固定され、底面部14と間隔を空けて配置される。また、図1から図3に示すように、第2のカバー20が板状であり、側面部15が溝部151を有するため、第2のカバー20と側面部15の間には開口部221が形成される。開口部221における第2のカバー20と側面部15の間の間隔は、表示札2の厚みTよりも長く形成される。即ち、第2のカバー20は、第1のカバー10との間に回転軸B側から板状の表示札2を差し込み可能な開口部221を形成する。
【0025】
また、第2のカバー20は、第1のカバー10との間に開口部221に連通する収納部30を形成する。収納部30は、第1のカバー10の底面部14及び側面部15~18並びに第2のカバー20の底面部14側の面に囲まれた空間である。収納部30は、側面部17と側面部18の間の間隔が表示札2の横幅よりも長く、底面部14と第2のカバー20の間の間隔が表示札2の厚みTよりも長く形成される。即ち、収納部30は、開口部221から差し込まれる表示札2を収容可能に形成される。
【0026】
収納部30はスイッチ120の上面を覆う第1のカバー10と透明な第2のカバー20の間に形成されるので、スイッチカバー1の表面に表示札2を表示することができる。これにより、作業者に対してスイッチ装置100の誤操作を防止するための注意喚起をすることができる。
【0027】
規制部材40は、全体として断面略L字状の板状部材である。規制部材40は、一部が回転軸B側の収納部30内に配置され、他の部分が回転軸B側の本体110と第2のカバー20の間に配置される。規制部材40は、側壁113の長手方向におけるシャフト12の中心付近に配置される。規制部材40は、基部41と、収納部側突出片42と、本体側突出片43を含んで構成される。
【0028】
基部41は、ブロック状であり、ねじりコイルばね13と第2のカバー20の間に配置される。基部41には、開口部221と対向する位置に形成され、第1のカバー10の回転軸方向視において側面部15側から側面部16側に進むにつれ、本体110側から第2のカバー20側に傾斜する傾斜部411が形成される。即ち、傾斜部411は、表示札2が差し込み方向に進むにつれて、該規制部材40を本体110側に移動させるように傾斜する。差し込み方向とは、開口部221側から側面部16側に向かう方向である。
【0029】
収納部側突出片42は、基部41から回転軸Bとは反対側(側面部16側)に突出する板状部材である。収納部側突出片42は、収納部30に配置される。
【0030】
本体側突出片43は、基部41からスイッチ装置100の本体110側に突出する板状部材である。本体側突出片43は、第1のカバー10の回転軸方向視においてヒンジ11よりも第1のカバー10とは反対側に配置される。
【0031】
図2及び図3に示すように、規制部材40は、第1のカバー10の回転が規制される第1の位置Cと第1のカバー10の回転の規制が解除される第2の位置Dに移動可能である。図2に示すように、第2の位置Dは規制部材40の基部41と収納部側突出片42が第2のカバー20に接触する位置である。図3に示すように、第1の位置Cは規制部材40が第2のカバー20と表示札2の厚みT分離隔し、本体側突出片43が本体110の側壁113に近接する位置である。このとき、本体側突出片43は、第1のカバー10の回転軸Bを挟んで第1のカバー10と対向する位置に配置される。
【0032】
付勢部材50は、収納部30に配置され、規制部材40を第2のカバー20側に付勢する。本実施形態では、付勢部材50として圧縮コイルばねを用いている。
【0033】
図2に示すように、付勢部材50は、一端が回転軸B側の第1のカバー10の底面部14に接続され、他端が規制部材40の収納部側突出片42における第2のカバー20側とは反対側の面に接続される。付勢部材50は、規制部材40が第2のカバー20に接触する第2の位置D側に規制部材40を付勢する。
【0034】
次に、表示札2が収納部30に収納された場合のスイッチカバー1の開動作と表示札2が収納部30に収納されていない場合のスイッチカバー1の開動作について説明する。
【0035】
まず、表示札2が収納部30に収納された場合のスイッチカバー1の動作について図4を参照しながら説明する。図4(A)は、表示札2が収納部30に収納されたスイッチカバー1によって開口111が閉じられた状態のスイッチ装置100を示す断面図である。図4(B)は、表示札2が収納部30に収納されたスイッチカバー1を可能な位置まで開いた状態のスイッチ装置100を示す断面図である。
【0036】
作業者が表示札2を開口部221から差し込むと、表示札2の端部が規制部材40の基部41の傾斜部411に接触し、傾斜部411に沿って第2のカバー20と基部41の接触面に案内される。
【0037】
作業者が表示札2を更に側面部16側に差し込むと、表示札2が付勢部材50によって第2のカバー20側に付勢された収納部側突出片42を第1のカバー10の底面部14側に押し込みながら収納部30に収納される。第2の位置Dにおいて、第2のカバー20と規制部材40の接触面に表示札2を案内する傾斜部411が開口部221と対向する位置に形成されるので、表示札2を円滑に収納部30に収納することができる。
【0038】
図4(A)に示すように、表示札2が収納部30に収納されたことによって、付勢部材50が第1のカバー10側に圧縮されるとともに、規制部材40の本体側突出片43が表示札2の厚みT分本体110側に移動する。即ち、規制部材40は、第1のカバー10の回転が規制される第1の位置Cに移動する。
【0039】
図4(B)に示すように、作業者がスイッチカバー1を押し上げて回転軸Bを中心として回転させると、本体側突出片43が本体110に接触する。これにより、第1のカバー10の回転を妨げることができる。よって、第1のカバー10と本体110の間に作業者が指を入れるような十分な隙間が形成されず、表示札2が収納された状態でスイッチ120の誤操作を防止できる。
【0040】
次に、表示札2が収納部30に収納されていない場合のスイッチカバー1の開動作について図5を参照しながら説明する。図5(A)は、スイッチカバー1によって開口111が閉じられた状態のスイッチ装置100を示す断面図である。図5(B)はスイッチカバー1を図4(B)と同じ位置まで開いた状態を示す図である。図5(C)はスイッチ120を押下可能な位置までスイッチカバー1を開いた状態を示す図である。
【0041】
作業者が開口部221から突出した表示札2の先端を掴み、表示札2を収納部30から取り出す。スイッチカバー1の上面の回転軸B側に表示札2を差し込む開口部221が形成されているので、表示札2を容易に取り出すことができる。
【0042】
表示札2が取り出されると、図5(A)に示すように、圧縮された付勢部材50の付勢力によって、規制部材40が第2のカバー20に接触する第2の位置Dに移動するとともに、本体側突出片43の先端と本体110との間の間隔が表示札2の厚みT分広がる。即ち、規制部材40は、第1のカバー10の回転の規制が解除される第2の位置Dに移動する。
【0043】
図5(B)に示すように、作業者が本体110に対するスイッチカバー1の角度が図4(B)の状態と同じ角度になるまでスイッチカバー1を押し上げて回転させる。本体側突出片43と本体110の間の間隔が広がっているので、図4(B)の場合とは異なり、本体側突出片43と本体110は接触しない。このため、回転軸Bを中心としてスイッチカバー1をさらに右回りに回転させることができる。
【0044】
作業員がスイッチカバー1を図5においてさらに右回りに回転させても、図5(C)に示すように、本体側突出片43が本体110とは接触せずに、スイッチ120を押下可能な位置までスイッチカバー1が開く。
【0045】
以上説明した本実施形態に係るスイッチカバー1によれば、以下のような効果を奏する。
【0046】
本実施形態に係るスイッチカバー1は、スイッチ120を有する本体110を備えるスイッチ装置100に取り付けられるスイッチカバー1であって、回転軸Bを中心にスイッチ120を操作可能な開放位置とスイッチ120を操作不能な閉塞位置の間を回転可能に本体110に取り付けられる第1のカバー10と、第1のカバー10に取り付けられ、第1のカバー10との間に回転軸B側から板状の表示札2を差し込み可能な収納部30を形成する第2のカバー20と、少なくとも一部が収納部30に配置され、第1のカバー10の回転が規制される第1の位置Cと第1のカバー10の回転の規制が解除される第2の位置Dに移動可能な規制部材40と、収納部30に配置され、規制部材40を第2の位置D側に付勢する付勢部材50と、を備え、規制部材40は、表示札2が収納部30に収納されると表示札2に押されて第1の位置Cに移動し、表示札2が収納部30から取り除かれると付勢部材50によって第2の位置Dに移動する。
【0047】
これにより、第1のカバー10の回転軸B側から表示札2を差し込み可能な収納部30が形成されているので、スイッチ装置100の操作禁止を示す表示札2をスイッチカバー1に容易に着脱できる。また、差し込まれた表示札2によって規制部材40を移動させて第1のカバー10の回転を規制できるので、スイッチカバー1に収納した表示札2によって作業者に注意喚起できるとともに、スイッチカバー1が開かないようにロックできる。よって、表示札2を差し込む動作によって操作禁止の表示ができるとともに、第1のカバー10をロックできるので、簡素化された構造で誤操作をより確実に防止できる。
【0048】
規制部材40は、本体110に第1のカバー10を取り付けた状態で本体110側に突出する本体側突出片43を有し、第1の位置Cで本体側突出片43が本体110と接触することによって第1のカバー10の回転が規制され、第2の位置Dに移動すると第1の位置Cよりも本体側突出片43と本体110の間の間隔が広がることによって第1のカバー10の回転の規制が解除される。
【0049】
これにより、規制部材40の本体側突出片43と本体110の間隔を調整することでスイッチカバー1の開動作をロックできるので、簡素化された構造で誤操作をより確実に防止できる。
【0050】
規制部材40は、表示札2が表示札2の差し込み方向に進むにつれて、規制部材40を第1の位置C側に移動させるように傾斜する傾斜部411を有する。
【0051】
これにより、収納部30内への表示札2の差し込みに伴う規制部材40の第1の位置Cへの移動がより円滑になる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく適宜変更が可能である。
【0053】
上記実施形態では、第1の位置Cで規制部材40の本体側突出片43が本体110と接触することで第1のカバー10の回転を規制していたが、第1の位置Cで規制部材40がヒンジ11のシャフト12を挟み込んでシャフト12の回転を規制することで第1のカバー10の回転を規制する構成としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、スイッチ装置100の上面に形成された開口111を開閉可能にスイッチカバー1が取り付けられたが、壁面等に取り付けられたスイッチ装置や操作パネルの前面の開口にスイッチカバー1を取り付けてもよい。
【0055】
上記実施形態では、付勢部材50として圧縮コイルばねを使用しているが付勢部材50の種類は特に限定されない。例えば、付勢部材の素材は金属材料であっても、エラストマー等の高分子材料であってもよい。また、その形状は板状、チューブ状、紐状等であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 スイッチカバー
2 表示札
10 第1のカバー
20 第2のカバー
30 収納部
40 規制部材
50 付勢部材
100 スイッチ装置
110 本体
120 スイッチ
221 開口部
B 回転軸
C 第1の位置
D 第2の位置
図1
図2
図3
図4
図5