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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】オイルミストセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20240220BHJP
   B01D 45/02 20060101ALI20240220BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
F01M13/04 F
B01D45/02
B01D45/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020156260
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049947
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平松 千明
(72)【発明者】
【氏名】宮永 斎庸
(72)【発明者】
【氏名】堀内 洋志
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-197523(JP,A)
【文献】特開2015-096705(JP,A)
【文献】特開2016-114034(JP,A)
【文献】特開2007-309157(JP,A)
【文献】実開平04-107433(JP,U)
【文献】特開2019-190325(JP,A)
【文献】特開2013-113113(JP,A)
【文献】特開2012-149528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
B01D 45/02
B01D 45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローバイガスが流入する流入口と、前記流入口から流入した前記ブローバイガスが流出する流出口と、前記流入口から前記流出口まで前記ブローバイガスが流れるガス流路とを有した合成樹脂製のケースを備え、前記ケース内にて前記ブローバイガスに含まれるオイルを分離し、当該分離した前記オイルを前記ケースに設けられたオイル排出部を介して前記ケース外に排出するオイルミストセパレータであって、
前記ケースは、上側に配置される第1部材と、下側に配置される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間を仕切る第3部材とを有し
前記オイル排出部は、
前記ケース内で分離された前記オイルを排出する第1排出口を有した第1排出部と、
前記第1排出部を外側から覆うとともに前記第1排出口から排出された前記オイルを一時的に貯留してから排出する第2排出口を有した第2排出部と、を備え、
前記第1排出部は前記第3部材に備えられるとともに、前記第2排出部は前記第2部材に備えられていることを特徴とするオイルミストセパレータ。
【請求項2】
前記第1排出口と前記第2排出口とは、互いに開口する向きが異なっていることを特徴とする請求項1に記載のオイルミストセパレータ。
【請求項3】
前記ガス流路には、前記ブローバイガスから前記オイルを分離して捕集するオイル捕集部が設けられ、
前記オイル排出部は、前記ガス流路における前記オイル捕集部の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルミストセパレータ。
【請求項4】
前記第1部材、前記第2部材、及び前記第3部材は、全周縁部において互いに接触して重なった状態で溶着されていることを特徴とする請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のオイルミストセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のブローバイガスに含まれるオイルミストを分離するオイルミストセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のオイルミストセパレータとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。こうしたオイルミストセパレータでは、ケーシングを備えている。ケーシングには、オイルを含んだブローバイガスが導入されるガス導入口と、ガスが排出されるガス排出口とが形成されている。ケーシング内には、ガス導入口からガス排出口まで延びるガス流路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-309157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなオイルミストセパレータは、ガス流路の距離を稼ぐべくケーシング内に仕切りリブを一体形成することで、ガス流路が鉛直方向にUターンして延びる構造になっている。このため、上述のようなオイルミストセパレータでは、ガス流路の距離を稼ぐことはできるが、構造が複雑になるため、製造が困難になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされた。その目的は、容易に製造できてガス流路の距離を稼ぐことができるオイルミストセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するオイルミストセパレータは、ブローバイガスが流入する流入口と、前記流入口から流入した前記ブローバイガスが流出する流出口と、前記流入口から前記流出口まで前記ブローバイガスが流れるガス流路とを有した合成樹脂製のケースを備え、前記ケース内にて前記ブローバイガスに含まれるオイルを分離し、当該分離した前記オイルを前記ケースに設けられたオイル排出部を介して前記ケース外に排出するオイルミストセパレータであって、前記ケースは、上側に配置される第1部材と、下側に配置される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間を仕切る第3部材とを有し、前記第1部材、前記第2部材、及び前記第3部材は、積層された状態で溶着され、前記ガス流路は、前記第1部材と前記第3部材とで形成される上側流路と、前記第2部材と前記第3部材とで形成される下側流路と、前記上側流路と前記下側流路とを一端側で連通する連通流路とを有していることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、第1部材、第2部材、及び第3部材を積層した状態で互いに溶着するだけで、内部に鉛直方向にUターンして延びるガス流路を有したケースを製造できる。したがって、容易に製造できてガス流路の距離を稼ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のオイルミストセパレータの斜視図。
図2図1の断面図。
図3】同オイルミストセパレータのオイル捕集部及びオイル排出部を示す断面図。
図4】同オイルミストセパレータのオイル排出部を示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、オイルミストセパレータの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、オイルミストセパレータ11は、車載内燃機関のクランクルーム(図示略)内のブローバイガスを吸気通路に還流する還流通路(図示略)の途中に設けられて、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離するものである。本実施形態のオイルミストセパレータ11は、全体として水平方向に延びる略直方体状をなしており、車載内燃機関を構成するシリンダブロック(図示略)の上部に取り付けられる。
【0010】
なお、以下の説明では、オイルミストセパレータ11の長手方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とし、X方向及びZ方向の両方と直交する方向をY方向とする。
図1及び図2に示すように、オイルミストセパレータ11は、X方向に延びる略直方体状をなす合成樹脂製のケース12を備えている。ケース12は、上側に配置される略矩形板状をなす第1部材13と、下側に配置される略有底矩形箱状をなす第2部材14と、第1部材13と第2部材14との間を仕切る略有底矩形箱状をなす第3部材15とを備えている。
【0011】
第2部材14の深さは、第3部材15の深さよりも深くなっている。第3部材15の上端部における全外周縁部には、フランジ部16が外側に突出するように形成されている。第2部材14の上端部における全内周縁部には、第3部材15を積層した際にフランジ部16が係合する係合部17が内側に突出するように形成されている。そして、第2部材14上に第3部材15を積層すると、フランジ部16が係合部17に係合した状態で第2部材14内に第3部材15が完全に収容される。
【0012】
第3部材15が積層された第2部材14の上からさらに第1部材13を積層すると、第1部材13と第2部材14とで形成される閉空間に第3部材15が収容される。このとき、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15は、全周縁部において互いに接触して重なった状態になる。この状態で第1部材13、第2部材14、及び第3部材15を全周縁部において例えば振動溶着することで、ケース12が形成される。
【0013】
ケース12の周縁部における第1部材13、第2部材14、及び第3部材15の溶着部分の外側には、ケース12を複数のボルト(図示略)によってシリンダブロック(図示略)に固定するための複数の円形のボルト穴18が周方向に適宜間隔を置いて形成されている。各ボルト穴18内には、円筒状をなす金属製の保護部材19が配置されている。
【0014】
図2に示すように、ケース12は、ブローバイガスが流入する流入口20と、流入口20から流入したブローバイガスが流出する流出口21と、流入口20から流出口21までブローバイガスが流れるガス流路22と、ケース12内にてブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離して捕集するオイル捕集部23と、オイル捕集部23で捕集されたオイルをケース12外に排出するオイル排出部24とを備えている。
【0015】
流入口20は、ケース12の下部に形成されている。ケース12のX方向における一方側の端部は第1端部25とされ、ケース12のX方向における他方側の端部は第2端部26とされている。流出口21は、ケース12の上部における第1端部25に形成されている。流入口20は、下側及び第1端部25側に向かって開口している。
【0016】
ケース12内のガス流路22は、第1部材13と第3部材15とで形成される上側流路27と、第2部材14と第3部材15とで形成される下側流路28と、上側流路27と下側流路28とを第2端部26側(一端側)で連通する連通流路29とを有している。下側流路28は、ケース12内における下部を流入口20から連通流路29まで延びている。上側流路27は、ケース12内における上部を連通流路29から流出口21まで延びている。
【0017】
連通流路29は、ケース12内における第2端部26でZ方向に延びており、ケース12内における第2端部26で上側流路27と下側流路28とを連通させて繋いでいる。したがって、ガス流路22は、ケース12内において、流入口20から第2端部26まで略真っ直ぐに延びて第2端部26で上側にUターンするように折り返された後、流出口21まで略真っ直ぐに延びている。つまり、ガス流路22は、その距離を稼ぐためにケース12内において上下2段となるようにZ方向にUターンして延びている。
【0018】
下側流路28を形成する第2部材14の内底面30及び第3部材15の下面31には、流入口20から連通流路29に向かって下側流路28を流れるブローバイガスが上下に波打って流れるように、Z方向に突出する突出板32が例えば2つずつ設けられている。第2部材14の内底面30の突出板32と第3部材15の下面31の突出板32とは、下側流路28に沿って適宜間隔を置いて交互に配置されている。第2部材14の内底面30の突出板32と第2部材14のY方向の内側面との間には、隙間が形成されている。第2部材14の内底面30は、流入口20に向かって徐々に低くなるように傾斜している。
【0019】
図2及び図3に示すように、上側流路27における流入口20とZ方向で対応する位置には、上側流路27を上流側(第2端部26側)と下流側(第1端部25側)とに仕切る仕切壁33が設けられている。上側流路27における仕切壁33よりも下流側の流路は上側下流流路34とされ、上側流路27における仕切壁33よりも上流側の流路は上側上流流路35とされている。
【0020】
上側上流流路35を形成する第3部材15の内底面36は、第2端部26側に向かって徐々に低くなるように傾斜している。仕切壁33における上部には、挿通孔37が貫通して形成されている。上側下流流路34における挿通孔37の軸線上に位置する部分には、第1部材13の下面から下方に向かって延びる衝突板38が設けられている。
【0021】
すなわち、衝突板38は、挿通孔37の下流側の近傍位置であって挿通孔37とX方向で対向する位置に配置されている。本実施形態では、挿通孔37と衝突板38とにより、上側流路27を第2端部26側から第1端部25側へ向かって流れるブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離して捕集するオイル捕集部23が構成されている。
【0022】
図2及び図4に示すように、上側下流流路34の下部におけるオイル捕集部23の下流側には、オイル捕集部23で捕集されたオイルをケース12外に排出するオイル排出部24が配置されている。オイル排出部24は、上側下流流路34を形成する第3部材15の底壁39の一部を下方に有底箱状をなすように突出させてなる第1排出部40と、第1排出部40と対応する第2部材14の底壁41の一部を下方に有底箱状をなすように突出させてなる第2排出部42とを備えている。上側下流流路34を形成する第3部材15の内底面43は、第1排出部40に向かって徐々に低くなるように傾斜している。
【0023】
第1排出部40は、底部に上側下流流路34で分離されたオイルを第2排出部42へ排出する第1排出口44を有している。すなわち、第1排出口44は、第1排出部40の底部に貫通して形成され、X方向における第1端部25側に向けて開口している。第2排出部42は、第1排出部40を外側から覆っている。第2排出部42は、第1排出口44から排出されたオイルを一時的に貯留する貯留部45と、貯留部45のオイルをケース12外へ排出する第2排出口46とを有している。
【0024】
すなわち、第2排出口46は、第2排出部42の底部に下方に向けて突設された有底筒状の貯留部45の底壁の中央部に貫通して形成され、下側に向けて開口している。第2排出口46の流路断面積は、貯留部45の流路断面積よりも小さくなっている。第1排出部40と第2排出部42との間には空間Kが形成され、当該空間Kは流入口20と連通している。
【0025】
次に、オイルミストセパレータ11の作用について説明する。
図2及び図4に示すように、車載内燃機関(図示略)が始動されると、吸気通路(図示略)に負圧が発生し、この負圧の発生によりオイルミストセパレータ11のケース12内は、流出口21側から吸引されて負圧になる。これにより、クランクルーム(図示略)内のオイルを含んだブローバイガスが流入口20からケース12内の下側流路28に流入する。
【0026】
このとき、X方向においてクランクルーム(図示略)内のオイルが飛散する側とは反対側に流入口20が開口するようにケース12を配置することで、クランクルーム(図示略)内で飛散するオイルが直接流入口20からケース12内の下側流路28に入り込むことが抑制される。
【0027】
引き続き、流入口20から下側流路28に流入したブローバイガスは、各突出板32に当たりながら上下に波打つように連通流路29へ向かって流れる。このとき、ブローバイガスが各突出板32に当たることで、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイル(オイルミスト)の一部が各突出板32に付着する。
【0028】
各突出板32に対してある程度の量のオイルが付着すると、当該オイルは重力により第2部材14の内底面30上に流れ落ちる。第2部材14の内底面30上に流れ落ちたオイルは、重力により内底面30上を流入口20に向かって流れた後、流入口20からケース12外のクランクルーム(図示略)内へ排出される。
【0029】
引き続き、連通流路29へ流れたブローバイガスは、連通流路29を通ってUターンするように上側上流流路35へ流れる。上側上流流路35へ流れたブローバイガスは、挿通孔37に向かって流れる。このとき、ブローバイガスに含まれるオイルの一部は、重力によって上側上流流路35を形成する第3部材15の内底面36上に落下する。
【0030】
第3部材15の内底面36上に落下したオイルは、重力により内底面36上を連通流路29に向かって流れた後、第2部材14の内底面30上に落下する。第2部材14の内底面30上に落下したオイルは、重力により内底面30上を流入口20に向かって流れた後、流入口20からケース12外のクランクルーム(図示略)内へ排出される。
【0031】
引き続き、上側上流流路35へ流れたブローバイガスは、挿通孔37を通って上側下流流路34へ流れて衝突板38に衝突する。このとき、挿通孔37の流路断面積は、上側上流流路35の流路断面積よりも小さいので、挿通孔37を通るブローバイガスの流速が上がる。このため、挿通孔37から上側下流流路34へ流れるブローバイガスは、勢いよく衝突板38に衝突する。
【0032】
これにより、ブローバイガスに含まれるオイルが衝突板38に付着することで、ブローバイガスからオイルが分離されて捕集される。衝突板38に付着したオイルは、重力により、上側下流流路34を形成する第3部材15の内底面43に落下した後、内底面43を伝って第1排出部40に流れ込む。
【0033】
一方、衝突板38に衝突してオイルが分離されたブローバイガスは、衝突板38を回り込んで上側下流流路34を流出口21へ向かって流れる。このとき、上側下流流路34における第1排出部40よりも流出口21側の位置でブローバイガスから第3部材15の内底面43上に落下したオイルは、内底面43を伝って第1排出部40に流れ込む。上側下流流路34でオイルが分離されてオイルが殆ど含まれていないブローバイガスは、流出口21からケース12外へ流出して吸気通路(図示略)に流れ込む。
【0034】
引き続き、第1排出部40に流れ込んだオイルは、第1排出口44から第2排出部42内における第1排出部40と第2排出部42との間の空間Kに流れ込んで貯留部45内に貯留される。この場合、オイルは、貯留部45内におけるオイルの自重、粘性力、表面張力などの釣り合いにより貯留部45内に保持される。そして、貯留部45に所定量以上のオイルが貯留された場合には、貯留部45内におけるオイルの自重が大きくなって上述の力の釣り合いが取れなくなるので、貯留部45内のオイルが第2排出口46からケース12外のクランクルーム(図示略)内へ排出される。
【0035】
なお、第2排出部42の空間Kは流入口20と連通しているため、当該空間Kの圧力とケース12外の圧力とはほぼ同じなっている。このため、上側下流流路34の負圧が大きくなった場合でも、貯留部45内のオイルが吹き上げられて第1排出口44から上側下流流路34側へ逆流することが抑制される。
【0036】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)オイルミストセパレータ11は、ブローバイガスが流入する流入口20と、流入口20から流入したブローバイガスが流出する流出口21と、流入口20から流出口21までブローバイガスが流れるガス流路22とを有した合成樹脂製のケース12を備えている。オイルミストセパレータ11は、ケース12内にてブローバイガスに含まれるオイルを分離し、当該分離したオイルをケース12に設けられたオイル排出部24を介してケース12外に排出する。ケース12は、上側に配置される第1部材13と、下側に配置される第2部材14と、第1部材13と第2部材14との間を仕切る第3部材15とを有している。第1部材13、第2部材14、及び第3部材15は、積層された状態で溶着されている。ガス流路22は、第1部材13と第3部材15とで形成される上側流路27と、第2部材14と第3部材15とで形成される下側流路28と、上側流路27と下側流路28とを一端側で連通する連通流路29とを有している。この構成によれば、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15を積層した状態で互いに溶着するだけで、内部にZ方向(鉛直方向)にUターンして延びるガス流路22を有したケース12を製造できる。したがって、オイルミストセパレータ11を容易に製造できてガス流路22の距離を稼ぐことができる。
【0037】
(2)オイルミストセパレータ11において、オイル排出部24は、ケース12内で分離されたオイルを排出する第1排出口44を有した第1排出部40と、第1排出部40を外側から覆うとともに第1排出口44から排出されたオイルを一時的に貯留してから排出する第2排出口46を有した第2排出部42とを備えている。この構成によれば、ケース12内に発生する負圧によって、オイル排出部24からケース12内にオイルが浸入することを抑制できる。
【0038】
(3)オイルミストセパレータ11において、ガス流路22には、ブローバイガスからオイルを分離して捕集するオイル捕集部23が設けられている。オイル排出部24は、ガス流路22におけるオイル捕集部23の下流側に配置されている。この構成によれば、オイル捕集部23によって分離されて捕集されたオイルをブローバイガスの流れに沿って案内してオイル排出部24からケース12外へ速やかに排出することができる。
【0039】
(4)オイルミストセパレータ11において、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15は、全周縁部において互いに接触して重なった状態で溶着されている。この構成によれば、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15の全周縁部の密閉性を十分に確保できる。
【0040】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
・第1部材13、第2部材14、及び第3部材15は、必ずしも全周縁部において互いに接触して重なった状態で溶着されている必要はない。すなわち、例えば、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15の全周縁部をそれぞれ二色成形によって密着性の高い材料によって構成し、第1部材13、第2部材14、及び第3部材15をそれらの全周縁部においてスナップフィットによって密着状態で接合するようにしてもよい。
【0042】
・オイル排出部24は、必ずしもガス流路22におけるオイル捕集部23の下流側に配置する必要はない。
・オイル排出部24は、必ずしも第2排出部42を備える必要はない。
【0043】
・衝突板38の代わりに例えば不織布からなるフィルターを用いてもよい。この場合、フィルターと挿通孔37とによってオイル捕集部が構成される。さらにこの場合、オイル捕集部は、フィルターと挿通孔37とで構成せずに、周知のサイクロン式の構造にしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
11…オイルミストセパレータ
12…ケース
13…第1部材
14…第2部材
15…第3部材
16…フランジ部
17…係合部
18…ボルト穴
19…保護部材
20…流入口
21…流出口
22…ガス流路
23…オイル捕集部
24…オイル排出部
25…第1端部
26…第2端部
27…上側流路
28…下側流路
29…連通流路
30…内底面
31…下面
32…突出板
33…仕切壁
34…上側下流流路
35…上側上流流路
36…内底面
37…挿通孔
38…衝突板
39…底壁
40…第1排出部
41…底壁
42…第2排出部
43…内底面
44…第1排出口
45…貯留部
46…第2排出口
K…空間
図1
図2
図3
図4