(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両用装置、車両用システム及び置き忘れ報知管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2020165362
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】半▲崎▼ 真生子
(72)【発明者】
【氏名】伊東 由佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
(72)【発明者】
【氏名】野村 肇
(72)【発明者】
【氏名】牧田 貴成
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150488(WO,A1)
【文献】特開2020-077184(JP,A)
【文献】特開2017-224049(JP,A)
【文献】特開2010-055362(JP,A)
【文献】特開2018-067233(JP,A)
【文献】特開2020-166524(JP,A)
【文献】特開2021-096669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、を備え、
前記置き忘れ判定部は、前記利用者が車両に乗車する際に、前記携帯通信端末が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定することで車外での置き忘れを判定し、
前記報知制御部は、前記携帯通信端末が車外に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車外に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する車両用装置。
【請求項2】
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末を所有している場合に、置き忘れられた旨を前記別の携帯通信端末に通知する第1通知制御部(14)と、を備える車両用装置。
【請求項3】
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在している場合に、置き忘れられた旨を前記別の利用者の前記携帯通信端末に通知する第2通知制御部(15)と、を備える車両用装置。
【請求項4】
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、
利用者が車両に乗車する際に車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末を認証する利用者認証管理部(11a)と、を備え、
前記報知制御部は、
車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末に関する情報を報知する車両用装置。
【請求項5】
前記報知制御部は、
車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末と、
前記利用者対応付け部により当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する請求項
4に記載した車両用装置。
【請求項6】
前記報知制御部は、前記携帯通信端末が
車内から車外に持ち出されたと前記置き忘れ判定部により判定されると、
当該携帯通信端末が認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を報知する請求項
4に記載した車両用装置。
【請求項7】
前記利用者対応付け部は、前記利用者と前記携帯通信端末との距離が所定距離未満である場合に、前記利用者と前記携帯通信端末の所有者とを対応付ける請求項1から6の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項8】
前記置き忘れ判定部は、前記利用者の車内での位置や動きを検出すると共に、前記携帯通信端末の車内での位置を検出し、その検出した前記利用者の車内での位置や動きと前記携帯通信端末の車内での位置との関係に基づいて前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたか否かを判定する請求項1から7の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項9】
前記報知制御部は、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者と、当該携帯通信端末の車内での位置とを対応付けて報知する請求
項8に記載した車両用装置。
【請求項10】
前記報知制御部は、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、利用者が当該置き忘れられた携帯通信端末の所有者だけである場合に、置き忘れられた旨を音出力により報知する請求項
1から9
の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項11】
前記報知制御部は、
利用者が車両に乗車した際に、当該利用者の前回の降車時に前記携帯通信端末が置き忘れられている場合に、前回の降車時の前記携帯通信端末の置き忘れを報知する請求項1から10の何れか一項に記載した車両用装置。
【請求項12】
所有者により所有される携帯通信端末(9)と、
前記携帯通信端末と通信する車両用装置(2)と、を備える車両用システム(1)であって、
前記車両用装置は、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、を備え、
前記置き忘れ判定部は、前記利用者が車両に乗車する際に、前記携帯通信端末が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定することで車外での置き忘れを判定し、
前記報知制御部は、
前記携帯通信端末が車外に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車外に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する車両用
システム。
【請求項13】
所有者により所有される携帯通信端末(9)と、
前記携帯通信端末と通信する車両用装置(2)と、を備える車両用システム(1)であって、
前記車両用装置は、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末を所有している場合に、置き忘れられた旨を前記別の携帯通信端末に通知する第1通知制御部(14)と、を備える車両用
システム。
【請求項14】
所有者により所有される携帯通信端末(9)と、
前記携帯通信端末と通信する車両用装置(2)と、を備える車両用システム(1)であって、
前記車両用装置は、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける
利用者対応付け
部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定
部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御
部(13)と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在している場合に、置き忘れられた旨を前記別の利用者の前記携帯通信端末に通知する第2通知制御部(15)と、を備える車両用
システム。
【請求項15】
所有者により所有される携帯通信端末(9)と、
前記携帯通信端末と通信する車両用装置(2)と、を備える車両用システム(1)であって、
前記車両用装置は、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける利用者対応付け部(11d)と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定部(12)と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御部(13)と、
利用者が車両に乗車する際に車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末を認証する利用者認証管理部(11a)と、を備え、
前記報知制御部は、車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末に関する情報を報知する車両用システム。
【請求項16】
車両用装置(2)に、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける対応付け手順と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定し、前記利用者が車両に乗車する際に、前記携帯通信端末が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定することで車外での置き忘れを判定する置き忘れ判定手順と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知し、前記携帯通信端末が車外に置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その車外に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御手順と、を実行させる置き忘れ報知管理プログラム。
【請求項17】
車両用装置(2)に、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける対応付け手順と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定手順と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御手順と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末を所有している場合に、置き忘れられた旨を前記別の携帯通信端末に通知する第1通知制御手順と、を実行させる置き忘れ報知管理プログラム。
【請求項18】
車両用装置(2)に、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける対応付け手順と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定手順と、
前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御手順と、
前記携帯通信端末が置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その置き忘れられた携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在している場合に、置き忘れられた旨を前記別の利用者の前記携帯通信端末に通知する第2通知制御手順と、を実行させる置き忘れ報知管理プログラム。
【請求項19】
車両用装置(2)に、
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける対応付け手順と、
利用者が車両に乗車する際に車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末を認証する利用者認証管理手順と、
利用者が車両から降車する際に、前記携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する置き忘れ判定手順と、
車外から車内に持ち込まれた前記携帯通信端末に関する情報を報知し、前記携帯通信端末が車内に置き忘れられたと前記置き忘れ判定手順により判定すると、その車内に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する報知制御手順と、を実行させる置き忘れ報知管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用装置、車両用システム及び置き忘れ報知管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を利用する利用者が車両から降車する際の置き忘れを報知するシステムが供されている。例えば特許文献1には、車内から車外への持ち出し履歴を判定することで利用者が意図的に置き忘れした物品であるか否かを判定し、利用者が意図的でなく物品を置き忘れすると、その置き忘れられた物品の識別情報と存在位置とを報知する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に置き忘れられる物品として例えばスマートフォン等の携帯通信端末があるが、単純に車内から車外に持ち出されなかった事実だけを報知する構成では、複数の利用者が車両から同時に降車するような場合、携帯通信端末を持ち出したか否かを全ての利用者が確認することになる。その結果、携帯通信端末を持ち出した利用者、即ち、携帯通信端末を車内に置き忘れなかった利用者に対して結果的に無駄な手間を強いることになる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯通信端末を車内から車外に持ち出す際の置き忘れを適切に報知することができ、利便性を高めることができる車両用装置、車両用システム及び置き忘れ報知管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した車両用装置によれば、利用者対応付け部(11d)は、利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける。置き忘れ判定部(12)は、利用者が車両から降車する際に、携帯通信端末が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する。報知制御部(13)は、携帯通信端末が車内に置き忘れられたと置き忘れ判定部により判定されると、その車内に置き忘れられた携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する。前記置き忘れ判定部は、前記利用者が車両に乗車する際に、前記携帯通信端末が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定することで車外での置き忘れを判定する。前記報知制御部は、前記携帯通信端末が車外に置き忘れられたと前記置き忘れ判定部により判定されると、その車外に置き忘れられた前記携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する。
【0007】
利用者が乗車すると、その乗車した利用者と携帯通信端末の所有者とを対応付ける。そして、利用者が車両から降車する際に携帯通信端末を車内に置き忘れると、その車内に置き忘れられた携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知するようにした。置き忘れられた携帯通信端末と、当該携帯通信端末の所有者である利用者とを対応付けて報知することで、携帯通信端末を車内から車外に持ち出す際の置き忘れを適切に報知することができ、利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】置き忘れを報知する表示画面を示す図(その1)
【
図6】置き忘れを報知する表示画面を示す図(その2)
【
図7】認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を報知する表示画面を示す図
【
図8】置き忘れを報知する表示画面を示す図(その3)
【
図9】置き忘れを報知する表示画面を示す図(その4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。車両用システムは、車両を利用する利用者が携帯通信端末を車内から車外に持ち出したり車外から車内に持ち込んだりする際の置き忘れを報知するシステムである。置き忘れとは、利用者が降車する際に携帯通信端末を車内から車外に持ち出し忘れて車内に置き忘れること、利用者が乗車する際に携帯通信端末を車外から車内に持ち込み忘れて例えば自宅等の車外に置き忘れることを意味する。
【0010】
図1に示すように、車両用システム1は、電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)と称する)2と、通信部3と、認証受付装置4と、センサ5と、表示装置6と、ブザー7とを備える。ECU2は車両用装置に相当する。ECU2と、通信部3、認証受付装置4、センサ5、表示装置6及びブザー7とは、車両ネットワーク8を介して接続されている。
【0011】
通信部3は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)、NFC(Near Field Communication)等の無線通信規格に準拠したデータ通信機能を有し、車両周辺や車内に存在する携帯通信端末9とデータ通信や認証に必要な通信を行う。
【0012】
認証受付装置4は、携帯通信端末9と通信部3とがデータ通信を行うことで携帯通信端末9を認証する。即ち、認証受付装置4は、携帯通信端末9が通信圏内に進入したことで当該携帯通信端末9との間で通信リンクを確立し、携帯通信端末9から送信された端末識別情報が通信部3により受信されると、その受信された端末識別情報を予め登録されている端末識別情報と照合して携帯通信端末9を認証する。認証受付装置4は、携帯通信端末9から送信された端末識別情報が予め登録されている端末識別情報と合致すれば、その携帯通信端末9が登録済の携帯通信端末であると認証する。認証受付装置4は、携帯通信端末9を認証する都度、携帯通信端末9の認証状態を更新し、携帯通信端末9の認証状態を更新すると、その更新した最新の認証状態をECU2に送信する。
【0013】
センサ5は、例えば車内を撮像するカメラ、シートに搭載されている重量センサ等であり、利用者の車内での位置や動きを特定し、その特定結果をECU2に送信する。即ち、センサ5は、利用者が着座している座席が運転席、助手席、後部席の何れであるか等を利用者毎に特定する。尚、センサ5は、利用者が着座している座席を利用者毎に特定可能であれば、カメラや重量センサ以外であっても良く、複数が組み合わされても良い。
【0014】
表示装置6は、ECU2から送信された制御信号を受信すると、その受信した制御信号により指示される表示画面を表示する。表示装置6は、センターディスプレイ、メーター、ヘッドアップディスプレイ等である。ブザー7は、ECU2から送信された制御信号を受信すると、鳴動する。
【0015】
ECU2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含むマイコンを有し、非遷移的実体的記憶媒体に格納されている制御プログラムを実行して各種処理を行う。ECU2は、各種処理の1つとして置き忘れ報知を管理する置き忘れ報知管理部10を備える。置き忘れ報知管理部10は、機能毎に、利用者認証管理部11と、置き忘れ判定部12と、報知制御部13と、第1通知制御部14と、第2通知制御部15とを備える。利用者認証管理部11は、機能毎に、認証状態管理部11aと、利用者管理部11bと、認証ルール管理部11cと、利用者対応付け部11dとを備える。
【0016】
認証状態管理部11aは、携帯通信端末9が認証受付装置4により認証され、認証受付装置4から送信された最新の認証状態を受信することで、認証状態管理の認証状態を更新する。認証状態管理部11aは、利用者管理部11bから利用者管理のアイデンティティ情報を取得する。認証状態管理部11aは、認証ルール管理部11cから認証ルールを取得する。
【0017】
利用者対応付け部11dは、利用者と携帯通信端末9の所有者とを対応付ける。携帯通信端末9の所有者とは、携帯通信端末9を携帯して乗車・降車する人物である。この場合、端末認証部11dは、複数の利用者が存在する場合には、利用者と携帯通信端末9の所有者とを複数対応付ける。又、端末認証部11dは、一の利用者が複数の携帯通信端末9を所有する場合には、一の利用者と複数の携帯通信端末9とを対応付ける。
【0018】
置き忘れ判定部12は、利用者が車両から降車する際に、車内に存在する携帯通信端末9が車内から車外に持ち出されたか否かを判定することで車内での置き忘れを判定する。又、置き忘れ判定部12は、利用者が車両に乗車する際に、車外に存在する携帯通信端末9が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定することで車外での置き忘れを判定する。
【0019】
報知制御部13は、携帯通信端末9が車内から車外に持ち出されずに車内に置き忘れられたと置き忘れ判定部12により判定されると、その車内に置き忘れられた携帯通信端末9と、当該携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する。即ち、報知制御部13は、例えば利用者Aが携帯通信端末9としてのスマートフォンa1の所有者であり、利用者Aがスマートフォンa1を車内に置き忘れると、スマートフォンa1と利用者Aとを対応付けて報知する。
【0020】
第1通知制御部14は、携帯通信端末9が置き忘れられたと置き忘れ判定部12により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末9を所有していれば、置き忘れられた旨を別の携帯通信端末9に通知し、置き忘れられた旨を別の携帯通信端末9において報知する。即ち、第1通知制御部14は、例えば利用者Aが携帯通信端末9としてのスマートフォンa1とウェアラブル端末a2との所有者であり、利用者Aがスマートフォンa1を車内に置き忘れると、スマートフォンa1が置き忘れられた旨をウェアラブル端末a2に通知し、スマートフォンa1が置き忘れられた旨をウェアラブル端末a2において報知する。
【0021】
第2通知制御部15は、携帯通信端末9が置き忘れられたと置き忘れ判定部12により判定されると、その置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在していれば、置き忘れられた旨を別の利用者の携帯通信端末9に通知し、置き忘れられた旨を別の利用者の携帯通信端末9において報知する。即ち、第2通知制御部15は、例えば利用者Aが携帯通信端末9としてのスマートフォンa1の所有者であり、利用者Bが携帯通信端末9としてのスマートフォンb1の所有者であり、利用者Aがスマートフォンa1を車内に置き忘れると、利用者Aのスマートフォンa1が置き忘れられた旨を利用者Bのスマートフォンb1に通知し、利用者Aのスマートフォンa1が置き忘れられた旨を利用者Bのスマートフォンb1において報知する。
【0022】
次に、上記した構成の作用について
図2から
図9を参照して説明する。置き忘れ報知管理部10は、置き忘れ報知管理プログラムを実行することで以下に示す処理を実行する。置き忘れ報知管理部10が実行する処理として、(1)乗車後の置き忘れ判定処理、(2)施錠後の置き忘れ判定処理について説明する。
【0023】
(1)乗車後の置き忘れ判定処理
置き忘れ報知管理部10は、乗車後の置き忘れ判定処理を開始すると、認証状態管理の認証状態を更新し(S1)、利用者管理部11bからアイデンティティ情報を取得し(S2)、認証ルール管理部11cから認証ルールを取得する(S3)。置き忘れ報知管理部10は、認証受付装置4に対して認証を要求し(S4)、認証状態を認証受付装置4に通知する(S5)。S1~S5一連の手順は、乗車時の利用者認証手順に相当する。
【0024】
置き忘れ報知管理部10は、利用者が乗車したか否かを判定する(S6)。置き忘れ報知管理部10は、利用者が乗車したと判定すると(S6:YES)、利用者の車内での位置や動きを特定し(S7)、例えばUWBの無線通信方式の規格に準拠した方式により携帯通信端末9の車内での位置を特定し(S8)。利用者と携帯通信端末9との距離が所定距離未満であるか否かを判定する(S9)。置き忘れ報知管理部10は、利用者と携帯通信端末9との距離が所定距離未満であると判定すると(S9:YES)、利用者と携帯通信端末9の所有者とを対応付ける(S10、対応付け手順に相当する)。
【0025】
置き忘れ報知管理部10は、利用者が降車したか否かを判定し(S11)、携帯通信端末9が車内に存在するか否かを判定する(S12)。置き忘れ報知管理部10は、利用者が降車したと判定すると(S11:YES)、携帯通信端末9が車内に存在するか否かを判定する(S13、置き忘れ判定手順に相当する)。置き忘れ報知管理部10は、携帯通信端末9が車内に存在すると判定すると(S13:YES)、携帯通信端末9の置き忘れを特定し(S14)、携帯通信端末9の置き忘れを報知する(S15、報知制御手順に相当する)。この場合、置き忘れ報知管理部10は、携帯通信端末9と、その携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知する。
【0026】
置き忘れ報知管理部10は、利用者が降車してから所定時間が経過したか否かを判定し(S16)、利用者が降車してから所定時間が経過したと判定すると(S16:YES)、携帯通信端末9が車内に存在するか否かを再度判定する(S17)。置き忘れ報知管理部10は、携帯通信端末9が車内に存在すると判定すると(S17:YES)、その置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末9を所有しているか否かを判定する(S18)。置き忘れ報知管理部10は、その利用者が別の携帯通信端末9を所有していると判定すると(S18:YES)、置き忘れ通知信号を別の携帯通信端末9に送信させ、携帯通信端末9の置き忘れを別の携帯通信端末9において報知する(S19)。
【0027】
置き忘れ報知管理部10は、その置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在するか否かを判定する(S20)。置き忘れ報知管理部10は、別の利用者が存在すると判定すると(S20:YES)、置き忘れ通知信号を別の利用者の携帯通信端末9に送信させ、携帯通信端末9の置き忘れを別の利用者の携帯通信端末9において報知し(S21)、乗車後の置き忘れ判定処理を終了する。
【0028】
尚、置き忘れ報知管理部10は、利用者が降車していないと判定すると(S11:NO)、携帯通信端末9が車内に存在していないと判定すると(S12:NO)、その携帯通信端末9が認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を報知する(S22)。
【0029】
(2)施錠後の置き忘れ判定処理
置き忘れ報知管理部10は、施錠後の置き忘れ判定処理を開始すると、前回の降車時に携帯通信端末9が置き忘れられたか否かを判定する(S31)。置き忘れ報知管理部10は、前回の降車時に携帯通信端末9が置き忘れられたと判定すると(S31:YES)、前回の降車時の携帯通信端末9の置き忘れを報知し(S32)、施錠後の置き忘れ判定処理を終了する。
【0030】
以下、具体的なシーンを例示する。利用者Aと利用者Bの2名が乗車し、利用者Bの1名が降車する場合について説明する。利用者Aは例えばスマートフォンa1とウェアラブル端末a2とを所有しており、利用者Bは例えばスマートフォンb1を所有していることを前提とする。
【0031】
利用者Aがスマートフォンa1とウェアラブル端末a2とを携帯して乗車すると、置き忘れ報知管理部10は、利用者Aが着座したタイミング又はイグニッションオン等のエンジンが始動したタイミングで、
図5に示すように、車内に持ち込まれたスマートフォンa1及びウェアラブル端末a2の端末名と、そのスマートフォンa1及びウェアラブル端末a2の所有者である利用者Aの名前とを表示装置6に表示させる。
【0032】
続いて、利用者Bがスマートフォンb1を自宅に置き忘れて乗車すると、利用者Bが着座したタイミング又はイグニッションオン等のエンジンが始動したタイミングで、置き忘れ報知管理部10は、スマートフォンb1の持ち込み忘れを特定し、
図6に示すように、車内に持ち込まれていないスマートフォンb1の端末名と、そのスマートフォンb1の所有者である利用者Bの名前とを表示装置6に表示させる。
【0033】
その後、利用者Bがスマートフォンb1を携帯して乗車した後に、利用者Bがスマートフォンb1を携帯して降車した場合、即ち、スマートフォンb1が車内から車外に持ち出されると、置き忘れ報知管理部10は、スマートフォンb1が認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を特定し、
図7に示すように、スマートフォンb1が認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を表示装置6に表示させる。表示装置6は、利用者Bのスマートフォンb1が認証切れ又は認証範囲外に存在する旨を、乗車している利用者Aに報知する。
【0034】
利用者Aが降車する際に、利用者Aとスマートフォンa1との距離が所定距離以上になると、置き忘れ報知管理部10は、スマートフォンa1の持ち出し忘れを特定し、スマートフォンa1での車内での位置を特定し、
図8に示すように、車内に置き忘れられたスマートフォンa1の端末名と、そのスマートフォンa1の所有者である利用者Aの名前と、そのスマートフォンa1が置き忘れられた位置を表示装置6に表示させる。
図8では、置き忘れられた位置を「星印」により例示している。又、置き忘れ報知管理部10は、スマートフォンa1が置き忘れられた旨をウェアラブル端末a2に表示させる。尚、置き忘れ報知管理部10は、利用者Aのみが乗車している状況で置き忘れを特定した場合には、ブザー7を鳴動させても良い。
【0035】
又、利用者Aが前回の降車時にスマートフォンa1の置き忘れに気付かなかった場合には、置き忘れ報知管理部10は、利用者Aが乗車した際に、
図9に示すように、前回の降車時に車内に置き忘れられたスマートフォンa1の端末名と、そのスマートフォンa1の所有者である利用者Aの名前とを表示装置6に表示させる。
【0036】
尚、携帯通信端末9の置き忘れを判定する方法として、利用者の乗車前の車内映像と乗車後の車内映像とを照合し、乗車前後の車内映像の差異を判定することで携帯通信端末9が車外から車内に持ち込まれたか否かを判定しても良いし、利用者の降車前の車内映像と降車後の車内映像とを照合し、降車前後の車内映像の差異を判定することで携帯通信端末9が車内から車外に持ち出されたか否かを判定しても良い。
【0037】
車両は、バス、レンタカー、シェアカー等であっても良い。車両がバスである場合には、携帯通信端末9の置き忘れを音声により報知しても良い。車両がレンタカーやシェアカーであり、利用者が携帯通信端末9の置き忘れに気付かずにレンタカーやシェアカーを返却した場合には、レンタカーやシェアカーを管理する管理会社等を通じて利用者に連絡しても良い。
【0038】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
ECU2において、利用者が車両から降車する際に携帯通信端末9を車内に置き忘れると、その車内に置き忘れられた携帯通信端末9と、当該携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知するようにした。置き忘れられた携帯通信端末9と、当該携帯通信端末9の所有者である利用者とを対応付けて報知することで、携帯通信端末9を車内から車外に持ち出す際の置き忘れを適切に報知することができ、利便性を高めることができる。
【0039】
置き忘れられた携帯通信端末9と、当該携帯通信端末9の所有者である利用者と、携帯通信端末9の車内での位置とを対応付けて報知することで、置き忘れられた携帯通信端末9を即座に発見することができ、利便性をより高めることができる。
【0040】
利用者が車両に乗車する際に携帯通信端末9を車外に置き忘れると、その車外に置き忘れられた携帯通信端末9と、当該携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とを対応付けて報知するようにした。携帯通信端末9を車内から車外に持ち出す際の置き忘れを適切に報知することに加え、携帯通信端末9を車外から車内に持ち込む際の置き忘れを適切に報知することができる。
【0041】
置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者が別の携帯通信端末9を所有していると、置き忘れられた旨を別の携帯通信端末9に通知し、置き忘れられた旨を別の携帯通信端末9において報知するようにした。別の携帯通信端末9において報知することで、置き忘れに気付かずに車両から離れてしまった場合でも適切に対処することができる。
【0042】
置き忘れられた携帯通信端末9の所有者として対応付けられている利用者とは別の利用者が存在していると、置き忘れられた旨を別の利用者の携帯通信端末9に通知し、置き忘れられた旨を別の利用者の携帯通信端末9において報知するようにした。別の利用者の携帯通信端末9において報知することで、置き忘れに気付かずに車両から離れてしまった場合でも適切に対処することができる。
【0043】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0044】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は車両用システム、2はECU(車両用装置)、9は携帯通信端末、11は利用者認証管理部、11dは利用者対応付け部、12は置き忘れ判定部、13は報知制御部、14は第1通知制御部、15は第2通知制御部である。