(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】バンパー組付台
(51)【国際特許分類】
B62D 65/16 20060101AFI20240220BHJP
B60R 19/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B62D65/16 A
B60R19/02 Z
(21)【出願番号】P 2020205326
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敦志
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-52141(JP,A)
【文献】実開平6-65115(JP,U)
【文献】特開2003-38992(JP,A)
【文献】登録実用新案第3003966(JP,U)
【文献】特開2000-51751(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106625344(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111268003(CN,A)
【文献】特開2017-124457(JP,A)
【文献】特開平4-201788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 41/00- 67/00
B60R 19/02
B65D 43/16
B65D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーに艤装品を組み付けるために、当該バンパーを載置するバンパー組付台であって、
上下方向にスライドする第1のスライド機構を備える第1の支柱と、
前記第1の支柱の前後左右を取り囲んで、当該第1の支柱と平行に設置された4本の第2の支柱と、
前記第1の支柱の上部に略水平に取り付けられて、当該第1の支柱のスライドに伴って上下方向に移動する第1のフレーム部材と、
前記バンパーに艤装品を組み付ける作業者から見て、前記第1のフレーム部材の左側に設置された異なる2本の前記第2の支柱の上部を通る第1の回動軸と、前記第1のフレーム部材の左側端部を通る、前記第1の回動軸と平行な第2の回動軸と、に支持されて、前記第1の回動軸及び前記第2の回動軸の周りに回動する第2のフレーム部材と、
前記第1のフレーム部材に関して、前記第2のフレーム部材と左右対称に設置された第3のフレーム部材と、を備えて、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材と前記第3のフレーム部材とは、当該第1のフレーム部材と当該第2のフレーム部材と当該第3のフレーム部材とに亘って載置されたバンパーの形状に応じて、
前記作業者の側からの側面視で凸形状と凹形状の間で変形して、載置されたバンパーを保持する、
バンパー組付台。
【請求項2】
前記第1の支柱は、
第1の柱状部材と、
前記第1の柱状部材に対して摺動する、複数の摺動部材が取り付けられた第2の柱状部材と、を備える、
請求項1に記載のバンパー組付台。
【請求項3】
前記第1のフレーム部材
は、前記作業者の側から見た左右両端部に、前記第2のフレーム部材及び前記第3のフレーム部材の回動に応じて、水平方向にスライドする第2のスライド機構を備える、
請求項1又は請求項2に記載のバンパー組付台。
【請求項4】
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材と前記第3のフレーム部材とが形成するバンパーの載置面は、前記作業者の側が低くなるように傾いて形成される、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバンパー組付台。
【請求項5】
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材と前記第3のフレーム部材との、前記作業者の側には、
前記バンパーの落下防止部材が設置される、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバンパー組付台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バンパー組付台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバンパーに塗装を行う際には、バンパーを塗装用治具に固定した状態で塗装を行っていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、バンパーの塗装は表面側に対してのみ行われるため、特許文献1において、バンパーは表面側を表にした状態で固定されていた。
【0005】
一方、車両のバンパーには、表面側及び裏面側の両面から、様々な艤装品が装着される。例えば、灯火類、超音波センサ、モール類等である。しかしながら、従来技術は、バンパーを表面及び裏面のいずれの面でも保持できる構造を有していなかった。そのため、バンパーを、表面、裏面のいずれの面でも確実に保持することができるバンパー組付台が望まれていた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、バンパーを、表面及び裏面のいずれの面でも保持することができるバンパー組付台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、バンパーに艤装品を組み付けるために、当該バンパーを載置するバンパー組付台であって、上下方向にスライドする第1のスライド機構を備える第1の支柱と、前記第1の支柱の前後左右を取り囲んで、当該第1の支柱と平行に設置された4本の第2の支柱と、前記第1の支柱の上部に、略水平に取り付けられて、当該第1の支柱のスライドに伴って上下方向に移動する第1のフレーム部材と、前記バンパーに艤装品を組み付ける作業者から見て、前記第1のフレーム部材の左側に設置された異なる2本の前記第2の支柱の上部を通る第1の回動軸と、前記第1のフレーム部材の左側端部を通る、前記第1の回動軸と平行な第2の回動軸と、に支持されて、前記第1の回動軸及び前記第2の回動軸の周りに回動する第2のフレーム部材と、前記第1のフレーム部材に関して、前記第2のフレーム部材と対称に設置された第3のフレーム部材と、を備えて、前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材と前記第3のフレーム部材とは、当該第1のフレーム部材と当該第2のフレーム部材と当該第3のフレーム部材とに亘って載置されたバンパーの形状に応じて、前記作業者の側からの側面視で凸形状と凹形状の間で変形して、載置されたバンパーを保持するバンパー組付台である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バンパーを、表面及び裏面のいずれの面でも保持することができるため、バンパーの表面及び裏面への艤装品の取り付け作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、バンパー組付台の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の支柱のスライド構造を説明する図である。
【
図4】
図4は、第2のフレーム部材の回動構造を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1のフレーム部材のスライド構造を説明する図である。
【
図6】
図6は、バンパー裏面側を載置した際のバンパー組付台の動作を説明する概略図である。
【
図7】
図7は、バンパー表面側を載置した際のバンパー組付台の動作を説明する概略図である。
【
図8】
図8は、バンパーの落下を防止する構造を説明する、バンパー組付台の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係るバンパー組付台について説明する。
【0011】
(バンパー組付台の全体構成)
まず、
図1を用いて、バンパー組付台10の全体構成を説明する。
図1は、バンパー組付台の全体斜視図である。
【0012】
バンパー組付台10は、
図1に示すように、第1の支柱12と、当該第1の支柱12と略平行な4本の第2の支柱20a,20b,20c,20dとを備える。そして、バンパー組付台10は、第1の支柱12と第2の支柱20a,20b,20c,20dの上部に、非図示のバンパー90を載置する載置面を形成する第1のフレーム部材30と、第2のフレーム部材40aと、第3のフレーム部材40bとを備える。
【0013】
第1の支柱12は、上下方向(Z軸方向)にスライドする第1のスライド機構13を備える。第1のスライド機構13の詳細構成は後述する(
図2,
図3参照)。
【0014】
第1のフレーム部材30は、第1の支柱12の上部に、略水平に設置される。第1のフレーム部材30は、断面が丸型の棒状部材で形成されて、2本の筒状部材32と、連結部材33と、摺動軸34とを備える。筒状部材32と摺動軸34とは、第2のスライド機構31を構成する。第2のスライド機構31の詳細構成は後述する(
図5参照)。
【0015】
第1のフレーム部材30の両端には、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが備えられる。第2のフレーム部材40aは、断面が丸型の棒状部材で形成されて、2本の第2の支柱20a,20bの上部を通る第1の回動軸50aと、第1のフレーム部材30の端部(摺動軸34の先端)を通る第1の回動軸50aと平行な第2の回動軸52aと、に支持されて回動する。
【0016】
第3のフレーム部材40bは、第2のフレーム部材40aと左右対称な構造を備えて、2本の第2の支柱20c,20dの上部を通る第1の回動軸50bと、第1のフレーム部材30の端部(摺動軸34の先端)を通る第1の回動軸50bと平行な第2の回動軸52bと、に支持されて回動する。
【0017】
バンパー組付台10は、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが、載置されたバンパー90(非図示)の形状に応じて、側面視で凸形状と凹形状の間で変形することによって、当該バンパーを保持する。詳しくは後述する(
図6,
図7参照)。
【0018】
第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bのX軸正側には、落下防止部材60a,60b,60c,60dが設置される。落下防止部材60a,60b,60c,60dは、バンパー組付台10からのバンパー90の落下を防止する。詳しくは後述する(
図8参照)。
【0019】
なお、バンパー組付台10にバンパー90を載置した際に、バンパー90は、筒状部材32と、連結部材33と、第2のフレーム部材40aと、第3のフレーム部材40bと、落下防止部材60a,60b,60c,60dとに接触する(
図6,
図7参照)。したがって、バンパー90に傷を付けないように、前記した部材は、例えばウレタン樹脂等の柔軟な素材で保護するのが望ましい。
【0020】
(第1の支柱のスライド構造)
次に、
図2,
図3を用いて、第1の支柱のスライド構造を説明する。
図2は、第1の支柱のスライド構造を説明する図である。
図3は、
図2のA-A断面図である。
【0021】
図2に示すように、第1の支柱12は、第1の柱状部材14と、第2の柱状部材15と、摺動部材16とを備える。
【0022】
第1の柱状部材14は、Z軸に沿って設置されて、摺動部材16の移動をガイドするガイド部材である。
【0023】
第2の柱状部材15は、上部を連結部材33(筒状部材32)と接続されて、上下方向(Z軸方向)にスライドする。
【0024】
摺動部材16は、第1の柱状部材14に沿って上下(Z軸方向)に摺動する。また、摺動部材16は、2本の第2の柱状部材15を、互いに平行な状態に保持する。
【0025】
摺動部材16は、
図3に示すように、環状部材16aと、連結部材16b,16cとを備える。
【0026】
環状部材16aは、第1の柱状部材14に嵌り込んだ状態で、第1の柱状部材14に沿って摺動する。
【0027】
連結部材16b,16cは、環状部材16aと第2の柱状部材15とを連結する。連結部材16b,16cは、環状部材16aの両端に形成された凸部と、第2の柱状部材15の一部に形成された凸部とを、X軸方向の両側から挟み込んで、X軸に沿って締結ネジ17で締結されている。
【0028】
そして、摺動部材16と2本の第2の柱状部材15とは、一体となって、第1の柱状部材14に沿って上下方向にスライドする。
【0029】
なお、摺動部材16は、
図2に示すように、上下方向2箇所に設置される。摺動部材16を上下方向2箇所に設置することによって、第2の柱状部材15を上下にスライドさせた際に、複数設置された第2の柱状部材15が捻じれるのを防止する。そして、複数の第2の柱状部材15の捻じれが防止されることによって、第2の柱状部材15と接続する第1のフレーム部材30がZ軸周りに回転するのを防止する。即ち、第2の柱状部材15が上下にスライドした際の第1のフレーム部材30ががたつきを防止する。なお、設置する摺動部材16の個数は2個に限定されるものではなく、3個以上設置してもよい。
【0030】
(第2のフレーム部材の回動構造)
次に、
図1と
図4を用いて、第2のフレーム部材40aの回動構造を説明する。
図4は、第2のフレーム部材の回動構造を説明する図である。なお、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとは、同じ回動構造を備えているため、ここでは、第2のフレーム部材40aについてのみ説明する。
【0031】
第2のフレーム部材40aは、
図1に示すように、左右方向に延びる平行な2本の棒状部材41a,41bと、X軸に沿う平行な2本の棒状部材41c,41dとを備える。棒状部材41aの中間部は、第2の支柱20aの上部において、ピン51aによって、YZ平面上で回動可能に軸支されている。そして、
図4には示さないが、棒状部材41bの中間部は、第2の支柱20bの上部において、ピン51b(非図示)によって、YZ平面上で回動可能に軸支されている。そして、ピン51aとピン51bとは直線上に配置されている。この直線は、前記した第1の回動軸50aを形成する。
【0032】
また、棒状部材41aのY軸方向正側の端部は、摺動軸34の端部において、ピン53aによって、YZ平面上で回動可能に軸支されている。そして、
図4には示さないが、棒状部材41bのY軸方向正側の端部は、ピン53b(非図示)によって、YZ平面上で回動可能に軸支されている。そして、ピン53aとピン53bとは直線上に配置されている。この直線は、前記した第2の回動軸52aを形成する。
【0033】
第2のフレーム部材40aにバンパー90が載置されると、棒状部材41c,41dの少なくとも一方は、バンパー90の自重によって、Z軸負方向に向かう力を受ける。この力によって、第2の支柱20aと棒状部材41aとのなす角度θ1が変化する。そして、第2の支柱20bと棒状部材41bとのなす角度も同様に変化する。詳しくは後述する(
図6,
図7参照)。
【0034】
角度θ1が変化すると、棒状部材41aのY軸正側の端部の位置が移動する。このとき、第1のフレーム部材30(筒状部材32,摺動軸34)は水平状態を保持するため、棒状部材41aと摺動軸34とのなす角度θ2が変化する。
【0035】
バンパー組付台10には、バンパー90の表面側または裏面側が載置される。バンパー90の裏面側が載置された場合、バンパー90の下縁部は凸形状を呈するため、
図1をX軸正側から見た側面図において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとは、バンパー90の下縁部の凸形状に応じた凸形状を呈する(
図6参照)。
【0036】
一方、バンパー90の表面側が載置された場合、バンパー90の下縁部は凹形状を呈するため、
図1をX軸正側から見た側面図において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとは、バンパー90の下縁部の凹形状に応じた凹形状を呈する(
図7参照)。
【0037】
(第1のフレーム部材のスライド構造)
次に、
図5を用いて、第1のフレーム部材30のスライド構造を説明する。
図5は、第1のフレーム部材のスライド構造を説明する図である。なお、第1のフレーム部材30は、筒状部材32の両端に同様の第2のスライド機構31を備えるため、ここでは、一方の側(Y軸負側)についてのみ説明する。
【0038】
第1のフレーム部材30を構成する筒状部材32は、水平方向に配置されて、その両端に、それぞれ摺動軸34が、摺動可能に挿入されている。
【0039】
バンパー組付台10にバンパー90が載置されると、バンパー90の自重によって、第2のフレーム部材40aが、第1の回動軸50aの周りに回動する。このとき、第2のフレーム部材40aの回動に応じて、第2の回動軸52aによって第2のフレーム部材40aに接続されている第1のフレーム部材30は、上下方向(Z軸方向)に移動する。ここで、第2のフレーム部材40aは、第1の回動軸50aによってY軸方向の移動を規制されている。また、
図5には図示しないが、第2の回動軸52bによって第1のフレーム部材30に接続されている第3のフレーム部材40bは、第1の回動軸50bによってY軸方向の移動を規制されている。したがって、第1のフレーム部材30は、第2のフレーム部材40aの回動角度(
図4の角度θ1または角度θ2)、及び第3のフレーム部材40bの回動角度に応じて、自身のY軸方向に亘る全長を変更せざるを得ない。
【0040】
このとき、筒状部材32の端部に挿入された摺動軸34が摺動することによって、第1のフレーム部材30の全長を変更する。例えば、
図5に示す例では、第2のフレーム部材40aの回動角度が、角度θ1aである場合に、摺動軸34の突出量は、長さLaである。このとき、第2のフレーム部材40aの回動角度が、角度θ1bに変化した場合、摺動軸34は、第2のフレーム部材40aに押し込まれて、筒状部材32の内部に入り込む。これによって、摺動軸34の突出量は、長さLbに減少する。
【0041】
このように、第1のフレーム部材30は、第2のフレーム部材40a及び第3のフレーム部材40bの回動角度に応じて、全長を変更する第2のスライド機構31を備える。そして、第2のスライド機構31は、筒状部材32に挿入された摺動軸34が摺動することによって実現される。
【0042】
(バンパー組付台の動作)
次に、
図6,
図7を用いて、バンパー90を載置した際のバンパー組付台10の動作を説明する。
図6は、バンパー裏面側を載置した際のバンパー組付台の動作を説明する概略図である。
図7は、バンパー表面側を載置した際のバンパー組付台の動作を説明する概略図である。
【0043】
まず、
図6を用いて、バンパー90の裏面側を載置した場合のバンパー組付台10の動作を説明する。なお、バンパー90を載置する前に、バンパー組付台10の第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとは、側面視で凹形状になっているものとする。
【0044】
バンパー組付台10にバンパー90の裏面側を載置すると、バンパー90の裏面側が、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bに当接する。
【0045】
この状態で、バンパー組付台10にバンパー90の自重がかかると、第2のフレーム部材40aの外側端部(Y軸負側端部)と第3のフレーム部材40bの外側端部(Y軸正側端部)とは、下方向(Z軸負方向)に押し下げられる。このとき、第2のフレーム部材40aは、第1の回動軸50aの周りに回動する。また、第3のフレーム部材40bは、第1の回動軸50bの周りに回動する。第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとがそれぞれ回動することによって、第2のフレーム部材40aの内側端部と第3のフレーム部材40bの内側端部とは、それぞれ上方(Z軸正側)に押し上げられる。
【0046】
第2のフレーム部材40aの内側端部と第3のフレーム部材40bの内側端部とが、上方に押し上げられると、第2のフレーム部材40aの第2の回動軸52aと、第3のフレーム部材40bの第2の回動軸52bとは、それぞれ、第1の回動軸50a及び第1の回動軸50bを中心とする円周上を上方に移動する。
【0047】
第2の回動軸52a,52bの上方への移動に応じて、第1のフレーム部材30の両端の摺動軸34は、それぞれ筒状部材32の内部で摺動することによって、第1のフレーム部材30の全長を、第2の回動軸52aと第2の回動軸52bとの距離と一致させる。
【0048】
さらに、第1のフレーム部材30は、第2の回動軸52a,52bの上方への移動に連れ添って、Z軸正側に移動する。そして、第1のフレーム部材30に接続される第2の柱状部材15は、第1のフレーム部材30に連れ添って、上方にスライドする。
【0049】
このようにして、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとは、側面視で凸形状に変形することによって、載置されたバンパー90の裏面側を保持する。
【0050】
バンパー90は、このように保持された状態で、艤装品を組み付けられる。なお、艤装品の組付けを行う際には、バンパー90に対して、艤装品の組付けに係る荷重がかかるが、この荷重によって、バンパー90の保持状態が、変化することはない。
【0051】
これは、バンパー組付台10において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとが形成する凸形状は、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとに均等に荷重をかけないと、変形しないためである。即ち、第2のフレーム部材40aに、当該第2のフレーム部材40aを第1の回動軸50aの周りに回動させる荷重がかかると、第2の回動軸52aの位置が移動しようとするが、当該第2の回動軸52aの移動は、摺動軸34の摺動が阻止されているため、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとが形成する凸形状は保持される。そして、当該凸形状を変形させるためには、筒状部材32の両端に設けた2本の摺動軸34を共に摺動させる必要があり、そのためには、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとに均等に荷重をかける必要がある。
【0052】
バンパー90に艤装品を組み付ける作業において、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとに均等に荷重がかかることは考えにくいため、通常の組付作業を行う限り、バンパー組付台10に載置されたバンパー90の保持状態が維持される。
【0053】
次に、
図7を用いて、バンパー90の表面側を載置した場合のバンパー組付台10の動作を説明する。なお、バンパー90を載置する前に、バンパー組付台10の第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとは、側面視で凸形状になっているものとする。
【0054】
バンパー組付台10にバンパー90の表面側を載置すると、バンパー90の裏面側が、第1のフレーム部材30に当接する。
【0055】
この状態で、バンパー組付台10にバンパー90の自重がかかると、第1のフレーム部材30が下方向(Z軸負方向)に押し下げられる。そして、第1のフレーム部材30に接続される第2の柱状部材15は、第2の柱状部材15は、第1のフレーム部材30に連れ添って、下方にスライドする。このとき、第2のフレーム部材40aの内側端部の第2の回動軸52aと、第3のフレーム部材40bの内側端部の第2の回動軸52bとは、それぞれ、第1の回動軸50a及び第1の回動軸50bを中心とする円周上を下方に移動する。
【0056】
第2の回動軸52a,52bの下方への移動に応じて、第1のフレーム部材30の両端の摺動軸34は、それぞれ筒状部材32の内部で摺動することによって、第1のフレーム部材30の全長を、第2の回動軸52aと第2の回動軸52bとの距離と一致させる。
【0057】
そして、第2のフレーム部材40aは、第2の回動軸52aの下方への移動に伴って、第1の回動軸50aの周りに上方へ回動する。また、第3のフレーム部材40bは、第2の回動軸52bの下方への移動に伴って、第1の回動軸50bの周りに上方へ回動する。
【0058】
このようにして、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとは、側面視で凹形状に変形することによって、載置されたバンパー90の表面側を保持する。
【0059】
バンパー90は、このように保持された状態で、艤装品を組み付けられる。なお、艤装品の組付けを行う際には、バンパー90に対して、艤装品の組付けに係る荷重がかかるが、この荷重によって、バンパー90の保持状態が、変化することはない。
【0060】
これは、バンパー組付台10において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとが形成する凹形状は、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとに均等に荷重をかけないと、変形しないためである。即ち、第2のフレーム部材40aに、当該第2のフレーム部材40aを第1の回動軸50aの周りに回動させる荷重がかかると、第2の回動軸52aの位置が移動しようとするが、当該第2の回動軸52aの移動は、摺動軸34の摺動が阻止されているため、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとが形成する凹形状は保持される。そして、当該凹形状を変形させるためには、筒状部材32の両端に設けた2本の摺動軸34を共に摺動させる必要があり、そのためには、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとに均等に荷重をかける必要がある。
【0061】
バンパー90に艤装品を組み付ける作業において、第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとに均等に荷重がかかることは考えにくいため、通常の組付作業を行う限り、バンパー組付台10に載置されたバンパー90の保持状態が維持される。
【0062】
(バンパーの落下防止構造)
次に、
図8を用いて、バンパー組付台10が備える、バンパーの落下を防止する構造を説明する。
図8は、バンパーの落下を防止する構造を説明する、バンパー組付台の概略側面図である。
【0063】
図8は、バンパー組付台10をY軸正側から見た側面図である。バンパー90に艤装品を取り付ける作業者は、X軸の正側、即ち、
図8の左方側で、バンパー組付台10の方向を向いて作業を行う。作業を行っている際に、バンパー90がバンパー組付台10の奥側(X軸負側)から落下するのを防止するために、本実施の形態のバンパー組付台10は、バンパー90を作業者側に傾いた状態で載置する構造を備える。
【0064】
即ち、
図8に示すように、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40a(
図8では不可視)と第3のフレーム部材40bとで形成されるパンパ―90の載置面は、作業者から奥側(X軸負側)に向かって角度ωで上昇する傾きを有して形成される。言い換えると、第1の回動軸50a,50bと第2の回動軸52a,52bとは、いずれも、鉛直上方(Z軸正方向)に延びる第2の支柱20c,20dに対して、X軸負側に向かって角度ωで上昇する傾きを有する。
【0065】
また、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとの作業者側には、落下防止部材60a,60b,60c,60dが設置される(
図1参照)。
図8は、落下防止部材60dのみを示す。落下防止部材60a,60b,60c,60dは、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bに対して鉛直上方に延びる棒状部材で形成される。そして、落下防止部材60a,60b,60c,60dは、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが形成するバンパー90の載置面に載置されたバンパー90が、角度ωの傾きを有するパンパ―90の載置面を滑り降りて、作業者側に落下するのを防止する。
【0066】
(本実施の形態の作用効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るバンパー組付台10は、バンパー90に艤装品を組み付けるために、当該バンパー90を載置する組付台であって、上下方向(Z軸方向)にスライドする第1のスライド機構13を備える第1の支柱12と、第1の支柱12の前後左右を取り囲んで、第1の支柱12と平行に設置された4本の第2の支柱20a,20b,20c,20dと、第1の支柱12の上部に略水平に取り付けられて、第1の支柱12のスライドに伴って上下方向に移動する第1のフレーム部材30と、バンパー90に艤装品を組み付ける作業者から見て、第1のフレーム部材30の左側に設置された異なる2本の第2の支柱20a,20bの上部を通る第1の回動軸50aと、第1のフレーム部材30の左側端部を通る、第1の回動軸50aと平行な第2の回動軸52aと、に支持されて、第1の回動軸50a及び第2の回動軸52aの周りに回動する第2のフレーム部材40aと、第1のフレーム部材30に関して、第2のフレーム部材40aと左右対称に設置された第3のフレーム部材40bと、を備えて、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとは、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとに亘って載置されたバンパー90の形状に応じて、側面視で凸形状と凹形状の間で変形して、載置されたバンパー90を保持する。したがって、バンパー90を、表面及び裏面のいずれの面でも保持することができる。また、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとは、側面視で凸形状と凹形状の間で変形するため、載置するバンパー90の形状によらずに保持することができる。
【0067】
また、本実施の形態に係るバンパー組付台10において、第1の支柱12は、第1の柱状部材14と、第1の柱状部材14に対して摺動する、複数の摺動部材16が取り付けられた第2の柱状部材15と、を備える。したがって、第1の支柱12が上下にスライドした際に、当該第1の支柱12に接続された第1のフレーム部材30が、第1の支柱12の周りに回転してがたつくのを防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係るバンパー組付台10において、第1のフレーム部材30の両端部に、第2のフレーム部材40a及び第3のフレーム部材40bの回動に応じて、水平方向にスライドする第2のスライド機構31を備える。したがって、第2のフレーム部材40a及び第3のフレーム部材40bが回動した際に、第1のフレーム部材30の第2のスライド機構31がスライドすることによって、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが接続された状態を保持しながら、側面視で凸形状と凹形状の間で変形することができる。また、水平方向にスライドする第2のスライド機構31を備えることによって、第2のフレーム部材40a又は第3のフレーム部材40bの一方のみに荷重がかかった場合に、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが形成するバンパー90の載置面の形状を保持することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係るバンパー組付台10において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40bとが形成するバンパー90の載置面は、作業者の側が低くなるように傾いて形成される。したがって、バンパー90に艤装品を組み付ける作業中に、バンパー90が、作業者から奥側に落下するのを防止することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係るバンパー組付台10において、第1のフレーム部材30と第2のフレーム部材40aと第3のフレーム部材40cとの、作業者の側には、バンパー90の落下防止部材60a,60b,60c,60dが設置される。したがって、バンパー90に艤装品を組み付ける作業中に、バンパー90が作業者側に落下するのを防止することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 バンパー組付台
12 第1の支柱
13 第1のスライド機構
14 第1の柱状部材
15 第2の柱状部材
16 摺動部材
16a 環状部材
16b,16c 連結部材
17 締結ネジ
20a,20b,20c,20d 第2の支柱
30 第1のフレーム部材
31 第2のスライド機構
32 筒状部材
33 連結部材
34 摺動軸
40a 第2のフレーム部材
40b 第3のフレーム部材
41a,41b,41c,41d 棒状部材
50a,50b 第1の回動軸
51a,51b ピン
52a,52b 第2の回動軸
53a,53b ピン
60a,60b,60c,60d 落下防止部材
90 バンパー
La,Lb 長さ
θ1,θ2,θ1a,θ1b,ω 角度