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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20240220BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K9/19 A
H02K9/19 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021503434
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000652
(87)【国際公開番号】W WO2020179216
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019040863
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019075237
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019110648
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中松 修平
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030218(WO,A1)
【文献】特開2012-138989(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145173(WO,A1)
【文献】特開2014-107904(JP,A)
【文献】特開2009-303446(JP,A)
【文献】国際公開第2010/058478(WO,A1)
【文献】特開2011-131828(JP,A)
【文献】特開2016-197983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
H02K 7/116
H02K 9/19
B60K 17/04
B60K 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転するロータおよび前記ロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、
前記モータを収容するモータ収容部を有するハウジングと、
前記ハウジング内を通り冷媒を循環させる冷媒経路と、を備え、
前記ステータのコアバック部は、外周面から径方向外側に突出し軸方向に沿って延び、前記ハウジングに固定される複数の固定部を有し、
複数の前記固定部は、前記コアバック部の外周面から上方に突出する上側固定部を含む、
前記冷媒経路は、前記コアバック部の外周面に前記冷媒を供給する供給部を有し、
前記供給部は、前記上側固定部の周方向の側部に位置し、
前記ハウジングには、前記上側固定部の上方に位置し前記モータ収容部の内部と前記ハウジングの外部とを連通させるブリーザ部が設けられ、
前記モータ収容部の内周面には、前記上側固定部を収容する凹部が設けられ、
前記ブリーザ部は、前記凹部において前記モータ収容部内に開口する、
モータユニット。
【請求項2】
前記供給部は、前記上側固定部の周方向の側部において軸方向に沿って延びるパイプ状であり、前記コアバック部の外周面に前記冷媒を噴出する噴出孔を有する、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記噴出孔は、前記コアバック部の外周面であって前記上側固定部と反対側の領域に向けて開口する、請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記ブリーザ部の前記モータ収容部内の開口と前記噴出孔とが、軸方向において互いに異なる位置に配置される請求項2又は3に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記冷媒経路は、前記上側固定部の周方向両側に位置する前記供給部を有する、請求項1~4の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記モータ収容部の内周面には、前記供給部の少なくとも一部を収容する供給管収容凹部が設けられる、請求項1~の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記モータに接続されるギヤ部を備え、
前記ハウジングは、前記ギヤ部を収容するギヤ収容部を有し、
前記冷媒は、オイルであり、
前記冷媒経路は、前記ギヤ収容部の内部を通過する、請求項1~の何れか一項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
本願は、2019年3月6日に日本に出願された特願2019-040863号、2019年4月11日に日本に出願された特願2019-075237号および2019年6月13日に日本に出願された特願2019-110648号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
モータとギヤ部とを備えたモータユニットにおいて、モータハウジング内の圧力を調整するブリーザ機構を備える構造が知られている。特許文献1には、ギヤ室からブリーザ機構に繋がる経路中にモータ室に繋がる連通路が設けられるモータケースが開示されている。この構成によれば、作動油がブリーザ装置から漏出することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-190299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構造では、車両が坂道を走行する場合などにおける漏出の抑制に対して十分考慮されておらず、このため、ブリーザ部からオイルが漏出する虞があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、ブリーザ部からのオイルの漏出を抑制できるモータユニットの提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、モータ軸線を中心として回転するロータおよび前記ロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、前記モータを収容するモータ収容部を有するハウジングと、前記ハウジング内を通り冷媒を循環させる冷媒経路と、を備える。前記ステータのコアバック部は、外周面から径方向外側に突出し軸方向に沿って延び、前記ハウジングに固定される複数の固定部を有する。複数の前記固定部は、前記コアバック部の外周面から上方に突出する上側固定部を含む。前記冷媒経路は、前記コアバック部の外周面に前記冷媒を供給する供給部を有する。前記供給部は、前記上側固定部の周方向の側部に位置する。前記ハウジングには、前記上側固定部の上方に位置し前記モータ収容部の内部と前記ハウジングの外部とを連通させるブリーザ部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様のモータユニットによれば、ブリーザ部からのオイルの漏出を抑制できるモータユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニットを模式的に示す概念構成図である。
図2図2は、一実施形態のステータおよび供給管ユニットを示す斜視図である。
図3図3は、一実施形態のモータユニット1の部分断面図である。
図4図4は、一実施形態のステータおよび供給管ユニットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本実施形態のモータユニット1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、モータユニット1が搭載される車両の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。本実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。Y軸方向は、後述するモータ軸線J1の軸方向に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。本実施形態において、左側は、軸方向一方側に相当し、右側は、軸方向他方側に相当する。また前側は、水平方向一方側に相当し、後側は水平方向他方側に相当する。
【0010】
なお、前後方向の位置関係は、本実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
【0011】
各図に適宜示すモータ軸線J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。本実施形態では、特に断りのない限り、モータ軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸線J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、軸方向一方側(+Y側)は、軸方向のうち、後述するハウジング6のモータ収容部61からギヤ収容部62へ向かう方向である。軸方向他方側(-Y側)は、軸方向のうち、ギヤ収容部62からモータ収容部61へ向かう方向である。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。
【0012】
図1は、モータユニット1を模式的に示す概念図である。本実施形態のモータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0013】
モータユニット1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含むギヤ部3と、ハウジング6と、油路(冷媒経路)90と、を備える。油路90は、ポンプ96と、クーラー97と、第1供給管(供給部)11と、第2供給管(供給部)12と、を有する。なお、第1供給管11および第2供給管12は、供給管ユニット10の一部を構成する。
【0014】
ハウジング6は、モータ2を収容するモータ収容部61と、ギヤ部3を収容するギヤ収容部62と、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを軸方向に区画する隔壁61cと、ブリーザ部70と、を有する。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側(+Y側)に位置する。モータ収容部61の底部61sは、ギヤ収容部62の底部62aより上側に位置する。隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。隔壁61cは、ステータ30の左側に位置する。
【0015】
ハウジング6の内部には、冷媒としてのオイルOが収容される。本実施形態において、冷媒はオイルOである。本実施形態では、モータ収容部61の内部およびギヤ収容部62の内部に、オイル(冷媒)Oが収容される。ギヤ収容部62の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは
、モータ収容部61の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部61の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口68を介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
【0016】
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、モータ2の冷却用として機能するのみならず、ギヤ部3の潤滑用としても機能する。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic
Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0017】
本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、複数のベアリング26,27と、を備える。ロータ20は、水平方向に延びるモータ軸線J1を中心として回転可能する。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、ギヤ部3に伝達される。
【0018】
シャフト21は、モータ軸線J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸線J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
【0019】
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、ギヤ部3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
【0020】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30の外周面は、ハウジング6の内周面と対向する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、モータ収容部61の内側面に固定される。
【0021】
図2は、ステータ30およびステータ30の上側に位置する供給管ユニット10を示す斜視図である。
ステータコア32は、軸方向に延びる円筒状のコアバック部32dと、コアバック部32dから径方向内側に延びる複数のティース部32eと、を有する。複数のティース部32eは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。複数のティース部32eは、周方向の全周にわたり等間隔に配置される。
【0022】
コアバック部32dは、外周面から径方向外側に突出する複数の固定部32bを有する。固定部32bは、モータ収容部61の内側面に固定される。すなわち、ステータ30は、固定部32bにおいて、ハウジング6に固定される。固定部32bは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。固定部32bは、例えば、4つ設けられる。4つの固定部32bは、周方向の全周にわたり等間隔に配置される。
【0023】
固定部32bは、軸方向に沿って延びる。本実施形態では固定部32bが、ステータコア32の左側(+Y側)の端部からステータコア32の右側(-Y側)の端部まで延びる。つまり固定部32bは、ステータコア32の軸方向の全長にわたって延びる。
【0024】
固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。貫通孔32cには、軸方向に延びる図示しないボルトが通される。ボルトは、右側(-Y側)から貫通孔32cに通され、モータ収容部61の内側面に設けられた図示しない雌ネジ穴に締め込まれる。ボルトが雌ネジ穴に締め込まれることで、固定部32bは、モータ収容部61と固定される。
【0025】
本明細書の以下の説明において、複数(本実施形態において4つ)の固定部32bのうち、コアバック部32dの外周面から上方に突出する1つを上側固定部35と呼ぶこととする。すなわち、複数の固定部32bの1つは、上側固定部35を含む。なお、他の固定部32bは、それぞれ、下方、前方(+X側)、後方(-X側)に突出する。
【0026】
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、ステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティース部32eにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に並んで配置される。複数のコイル31は、周方向の全周にわたって等間隔に配置される。図示は省略するが、コイルアセンブリ33は、各コイル31を結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
【0027】
コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出する一対のコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33のうち、ステータコア32から右側(-Y側)に突出する部分である。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33のうち、ステータコア32から左側(+Y側)に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分を含む。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分を含む。
【0028】
図2に示すように、本実施形態においてコイルエンド33a,33bは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。図示は省略するが、コイルエンド33a,33bは、各コイル31を結束する結束部材等を含んでもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を含んでもよい。
【0029】
図1に示すように、ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部61のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部61bに保持される。壁部61bは、ハウジング6の壁部の一部を構成し、モータ収容部61の右側の開口を塞ぐ。
【0030】
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁61cに保持される。
【0031】
ギヤ部3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。ギヤ部3は、モータ2に接続される。より詳細には、ギヤ部3は、シャフト21の左側の端部に接続される。ギヤ部3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0032】
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
【0033】
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸線J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸線J1と平行な中間軸線J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸線J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に、軸方向に互いに間隔をあけて固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43とは、中間シャフト45を介して互いに接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸線J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
【0034】
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて適宜変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0035】
差動装置5は、減速装置4を介してモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態においてギヤ部3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸線J1と平行な差動軸線J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
【0036】
油路90は、ハウジング6内を通り、オイルOを循環させる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをギヤ部3およびモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
【0037】
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
【0038】
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。
【0039】
まず、第1の油路91と第2の油路92との共通部分について説明する。第1の油路91および第2の油路92は、ともにオイル溜りPからオイルOをモータ2に供給して、再びオイル溜りPに回収する経路である。第1の油路91および第2の油路92において、オイルOは、モータ2から滴下して、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ収容部62内の下部領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。すなわち、第1の油路91および第2の油路92は、オイルOをモータ収容部61内の下部領域からギヤ収容部62内の下部領域に移動させる経路を含む。
【0040】
第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、リザーバ93が設けられる。リザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
【0041】
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、リザーバ93でオイルOを受ける経路である。リザーバ93は、上側に開口する。リザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、リザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
【0042】
かき上げ経路91aにおいて、リングギヤ51によってかき上げられたオイルOは、ギヤ部3の各ギヤに供給されてギヤの歯面に行き渡る。本実施形態によれば、油路90は、ギヤ収容部62の内部を通過する。これにより、オイルOを、モータ2の冷却用として使用するのみならず、ギヤ部3の各ギヤおよび各ベアリングの潤滑に使用することができる。
【0043】
シャフト供給経路91bは、リザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する経路である。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散するオイルOの経路である。
【0044】
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が作用する。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、リザーバ93に溜るオイルOがロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。
【0045】
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30に供給される。第2の油路92には、ポンプ96と、クーラー97と、供給管ユニット10と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、第4の流路94と、供給管内流路92dと、噴出孔14と、を有する。
【0046】
第1の流路92a、第2の流路92b、第3の流路92cおよび第4の流路94は、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97と第4の流路94とを繋ぐ。第3の流路92cは、例えば、モータ収容部61の壁部のうち前側(+X側)の壁部に設けられる。
【0047】
第4の流路94は、モータ収容部61の壁部または隔壁61cに設けられる。第4の流路94は、供給管ユニット10の第1供給管11と第2供給管12とに繋がる。つまり第4の流路94は、第3の流路92cと供給管ユニット10とを繋ぐ。第4の流路94は、例えば、第3の流路92cと接続する部分から後側(-X側)へ向けて水平方向に延びる。
【0048】
供給管ユニット10は、モータ収容部61の内周面61aとステータ30の外周面との間に配置される。供給管ユニット10は、ステータ30の上側に位置する。供給管ユニット10の左側(+Y側)の端部は、モータ収容部61の壁部または隔壁61cに固定される。供給管ユニット10の左側の端部は、第4の流路94と接続される。供給管ユニット10の右側(-Y側)の端部は、モータ収容部61の頂壁部または壁部61bに固定され
る。すなわち、供給管ユニット10は、ハウジング6に固定される。
【0049】
供給管内流路92dは、供給管ユニット10の内部に配置される冷媒の流路である。より具体的には、供給管ユニット10の第1供給管11および第2供給管12の内部にそれぞれ位置する。したがって、第2の油路92には、一対の供給管内流路92dが設けられる。供給管内流路92dは、軸方向に延びる。また、一対の供給管内流路92dは、第4の流路94にそれぞれ接続される。
【0050】
図2に示すように、第1供給管11および第2供給管12は、軸方向に延びるパイプ状である。第1供給管11および第2供給管12は、右側(-Y側)の端部に位置する連結部19によって互いに連結される。すなわち、供給管ユニット10は、第1供給管11と、第2供給管12と、第1供給管11および第2供給管12を連結する連結部19と、を有する。また、第1供給管11と連結部19との間および第2供給管12と連結部19との間には、供給管ユニット10を補強するリブが設けられる。
【0051】
第1供給管11および第2供給管12は、軸方向に沿って直線状に延びる円筒状のパイプである。第1供給管11と第2供給管12とは、前後方向に互いに間隔をあけて配置される。第1供給管11と第2供給管12とは、互いに平行である。
【0052】
図3は供給管ユニット10を含むモータユニット1の部分断面図である。
第1供給管11および第2供給管12は、コアバック部32dの径方向外側に位置する。本実施形態では、第1供給管11の径方向位置と第2供給管12の径方向位置とが、互いに同じである。第1供給管11および第2供給管12は、コアバック部32dの上側に配置される。第1供給管11の上下方向の位置と、第2供給管12の上下方向の位置とは、互いに同じである。
【0053】
軸方向から見て、第1供給管11と第2供給管12との間には、上側固定部35が配置される。すなわち、第1供給管11および第2供給管12は、上側固定部35の周方向両側の側部において軸方向に沿って延びる。軸方向から見て、第1供給管11の中心軸と第2供給管12の中心軸とを通る仮想直線(図示省略)は、上側固定部35と交わる。第1供給管11および第2供給管12は、上側固定部35の周方向の側部に位置する。また、第1供給管11は、上側固定部35の周方向一方側に位置し、第2供給管12は、上側固定部35の周方向他方側に位置する。
【0054】
図4は、ステータおよび供給管ユニットを示す上面図である。
図4に示すように、第1供給管11、第2供給管12および上側固定部35の前後方向の位置は、互いに重なる。第1供給管11は、上側固定部35の前側(+X側)に位置し、第2供給管12は、上側固定部35の後側(-X側)に位置する。
【0055】
第1供給管11および第2供給管12は、周壁を貫通する複数の噴出孔14を有する。図3に示すように、噴出孔14は、第1供給管11又は第2供給管12の中心軸と直交する管径方向に延び、管の内外を連通させる。噴出孔14は、例えば円孔状である。噴出孔14は、ハウジング6の内周面とステータ30の外周面との間に位置する。噴出孔14は、供給管内流路92dを流れるオイルOを、モータ2に噴出する。
【0056】
図4に示すように、第1供給管11と第2供給管12において、複数の噴出孔14は、互いに間隔をあけて軸方向に並ぶ。複数の噴出孔14は、本実施形態によれば、軸方向に並ぶ複数の噴出孔14から噴出されるオイルOによって、ステータ30を軸方向において広範囲に冷却できる。
【0057】
噴出孔14は、複数の第1の噴出孔14aと、複数の第2の噴出孔14bと、に分類される。第1供給管11および第2供給管12は、それぞれ、4つの第1の噴出孔14aと、2つの第2の噴出孔14bと、を有する。
【0058】
第1供給管11および第2供給管12において、2つの第2の噴出孔14bは両端部に配置され、4つの第1の噴出孔14aは、2つの第2の噴出孔14bの間において、軸方向に等間隔に並んで配置される。
【0059】
第1の噴出孔14aの軸方向位置は、ステータコア32の軸方向位置に重なる。同様に、第2の噴出孔14bの軸方向位置は、コイルエンド33a、33bの軸方向位置に重なる。2つの第2の噴出孔14bのうち右側に位置する一方は、右側のコイルエンド33aに対向する。同様に、2つの第2の噴出孔14bのうち左側に位置する他方は、左側のコイルエンド33bに対向する。
【0060】
図3に示すように、第1供給管11および第2供給管12において、第1の噴出孔14aは、上側固定部35の反対側かつ下側へ向けて開口する。すなわち、第1の噴出孔14aは、コアバック部32dの外周面であって上側固定部35と反対側の領域に向けて開口する。例えば、上側固定部35と反対側の領域とは、第1供給管11とモータ軸線J1とを結ぶ仮想線VLを想定し、仮想線VLを境に上側固定部35が位置する領域とは反対側の領域に第1の噴出孔14aが向く。第1の噴出孔14aは、コアバック部32dの外周面にオイルOを噴出する。コアバック部32dに噴出されたオイルOは、コアバック部32dの外周面を伝いながらコアバック部32dを冷却した後に滴下して、モータ収容部61内の下部領域に溜る。本実施形態によれば、第1の噴出孔14aが上側固定部35の反対側かつ下側へ向けて開口することで、第1の噴出孔14aがブリーザ部70と反対側の領域に開口することとなり、オイルOがブリーザ部70から漏出することを抑制できる。
なお、他の実施形態として、第1の噴出孔14aがモータ軸線J1に向かって開口していてもよい。
【0061】
図4に示すように、第2の噴出孔14bは、上側固定部35の反対側かつ下側へ向けて開口する。複数の第2の噴出孔14bのうち右側(-Y側)に設けられる第2の噴出孔14bは、右側のコイルエンド33aにオイルOを供給する。複数の第2の噴出孔14bのうち左側(+Y側)に設けられる第2の噴出孔14bは、左側のコイルエンド33bにオイルOを噴出する。第2の噴出孔14bから噴出されるオイルOは、コイルエンド33a,33bに上側から供給されコイルエンド33aを冷却した後に滴下して、モータ収容部61内の下部領域に溜る。
なお、本実施形態では、供給部10としての第1供給菅11および第2供給菅12をパイプ状としているが、これに限定されるものではなく、たとえば、供給部が樋状であってもよい。
【0062】
次に、図3を基に、ハウジング6内における第1供給管11および第2供給管12とブリーザ部70との相対的な位置関係について説明する。
【0063】
ハウジング6には、ブリーザ部70が設けられる。ブリーザ部70は、モータ収容部61の内部とハウジング6の外部とを連通させモータ収容部61の内圧を調整する。より詳細に述べれば、ブリーザ部70は、モータユニット1のハウジング6内には、軸心給油方式や油浴潤滑方式で減速装置4、差動装置5および各ベアリングを潤滑およびモータ2の冷却するためにオイルOが封入されており、運転中のハウジング6内の温度上昇により、ハウジング6内の内圧が上昇した時に、ハウジング6からオイルOが漏出しないように、ハウジング6内の内圧を調整している。
【0064】
ブリーザ部70は、モータ収容部61の内外を連通させる通気孔部71と、通気孔部71に取り付けられるパイプ72と、を有する。本実施形態において通気孔部71は、円形状の孔である。また、通気孔部71は、鉛直方向に沿って直線的に延びる。
【0065】
パイプ72は、通気孔部71に挿し込まれる。パイプ72は、両端が開口し、通気孔部71の内部とハウジング6の外部とを繋ぐ。パイプ72は、第1部分72aと、第1部分72aに対して折曲された第2部分72bと、を有するL字状である。第1部分72aは、通気孔部71に上側から挿し込まれる部分である。第1部分72aは、中心軸J4を中心として鉛直方向に延びる。第2部分72bは、第1部分72aの上側の端部から、鉛直方向と直交する方向に延びる。第2部分72bは、ハウジング6の外部に位置する。第2部分72bの先端部には、図示しないホースを設けてもよい。また、ホースの先端にフィルタを設けてもよい。
【0066】
図4に示すように、モータ2は、径方向外側からモータ収容部61の内周面61aによって囲まれる。モータ収容部61の内周面61aは、モータ軸線J1を中心とする略円形である。
【0067】
モータ収容部61の内周面61aには、固定部32bが収容される複数の凹部61kが設けられる。凹部61kは、径方向外側に凹む。また、凹部61kは、軸方向に沿って延びる。上述したように、コアバック部32dには、4つの固定部32bが設けられる。したがって、モータ収容部61の内周面61aには、4つの凹部61kが設けられる。凹部61kの内側面と当該凹部61kに収容される固定部32bの外側面との間には、若干の隙間が設けられる。
【0068】
ここで、4つの凹部61kのうち上側固定部35を収容する凹部61kを、上側凹部65と呼ぶ。上側凹部65には、ブリーザ部70の通気孔部71が開口する。本実施形態では、上側凹部65の内周面からさらにくぼみを形成し、その底面に通気孔部71の開口が形成されている。すなわち、ブリーザ部70は、上側凹部65においてモータ収容部61内に開口する。ブリーザ部70は、上側凹部65に収容される上側固定部35の上方に位置する。通気孔部71の開口は、上側凹部65の内側面の頂部(すなわち、最も高い部分)に位置する。
【0069】
図4に示すように、上下方向から見てブリーザ部70は、上側固定部35に重なって配置される。すなわち、ブリーザ部70は、上側固定部35の直上に位置する。また、ブリーザ部70のモータ収容部61内の開口の軸方向位置は、ステータ30のほぼ中間位置であり、第1供給管11および第2供給管12の噴出孔14の軸方向位置とずれて配置される。
【0070】
図3に示すように、モータ収容部61の内周面61aには、供給部(第1供給管11または第2供給管12)が収容される供給管収容凹部61pが設けられる。本実施形態の内周面61aには、2つの供給部(第1供給管11および第2供給管12)に対応して2つの供給管収容凹部61pが設けられる。2つの供給管収容凹部61pは、上側凹部65の周方向両側にそれぞれ配置される。2つの供給管収容凹部61pのうち一方の内部には第1供給管11が収容され、他方の内部には第2供給管12が収容される。
【0071】
本実施形態によれば、ブリーザ部70がステータコア32の上方に位置するため、車両が坂道を走行する場合であってもモータ収容部61内のオイルOが、ブリーザ部70からオイルが漏出入することを抑制することができる。結果的に、車両が坂道を走行する場合であっても、ブリーザ部70が、モータ収容部61内の内圧を適切に調整できる。
【0072】
さらに本実施形態では、ブリーザ部70が上側固定部35の上方に位置する。上側固定部35は、コアバック部32dの外周面に対して上側に突出する。このため、本実施形態によれば、オイルOが流れる経路からブリーザ部70の開口を離間させることができ、ブリーザ部70からオイルOが漏出することを抑制できる。
【0073】
加えて、本実施形態によれば、第1供給管11および第2供給管12が、上側固定部35の周方向の側部に位置する。第1供給管11および第2供給管12からコアバック部32dの外周面に供給されたオイルOは、上側固定部35に遮られてブリーザ部70の開口に達し難い。これにより、ブリーザ部70からオイルOが漏出することを抑制できる。
【0074】
本実施形態によれば、モータ2にオイルOを供給する供給部は、噴出孔14を有するパイプ状の供給管(第1供給管11および第2供給管12)である。供給部をパイプ状とすることで、流路内のオイルOの圧力を高めることができ、噴出孔14から噴出するオイルの流速を高めることができる。これにより、噴出孔14から広範囲にオイルOを飛散させることができ、モータ2表面の広範囲をバランスよく冷却できる。
【0075】
本実施形態によれば、第1の噴出孔14aは、コアバック部32dの外周面であって上側固定部35と反対側の領域に向けて開口する。すなわち、第1の噴出孔14aから噴出されたオイルOは、ブリーザ部70の反対側に向かって噴出される。このため、第1の噴出孔14aから噴出されたオイルOがブリーザ部70の開口に侵入しにくく、ブリーザ部70からオイルOが漏出することを抑制できる。
【0076】
本実施形態によれば、ブリーザ部70は、上側固定部35が収容される上側凹部65においてモータ収容部61内に開口する。オイルOは、上側凹部65の内側面と上側固定部35の外側面との間の隙間を通過しなければ、ブリーザ部70の開口に到達しない。すなわち本実施形態によれば、オイルOがブリーザ部70の開口に侵入しにくく、ブリーザ部70からオイルOが漏出することを抑制できる。
【0077】
本実施形態によれば、ブリーザ部70のモータ収容部61内の開口と第1の噴出孔14aとが、軸方向において互いに異なる位置に配置される。つまり、本実施形態において、ブリーザ部70は、2つの供給部(第1供給管11および第2供給管12)のうちいずれか一方の供給部に配置される噴出孔と軸方向に異なる位置に配置されていればよい。例えば、供給部は複数の噴出孔を有するパイプであって、ブリーザ部は当該パイプの軸方向長さ内に位置する。さらに、ブリーザ部は、複数の噴出孔のいずれとも軸方向に重ならない位置に配置される。なお、2つの供給部は配置された場合には、ブリーザ部は、2つの供給部に位置する複数の噴出孔の何れとも軸方向に重ならない位置に配置されることが好ましい。このため、第1の噴出孔14aから噴出されたオイルOがブリーザ部70の開口に侵入しにくく、ブリーザ部70からオイルOが漏出することを抑制できる。なお、2つの供給部のうち、一方の供給部の噴出孔がブリーザ部と軸方向に異なる位置にあり、他方の供給部の噴出孔がブリーザ部と軸方向に同じ位置にある場合でも、ブリーザ部からのオイルの漏出の抑制の一定の効果を得ることができる。
【0078】
本実施形態によれば、2つの供給部(第1供給管11および第2供給管12)は、上側固定部35の周方向両側に位置する。このため、上側固定部35を中心とてコアバック部32dの外周面の周方向両側にオイルOを供給して、ステータコア32の全体をバランスよく冷却することできる。
【0079】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0080】
1…モータユニット、2…モータ、3…ギヤ部、6…ハウジング、11…第1供給管(供給部)、12…第2供給管(供給部)、14…噴出孔、14a…第1の噴出孔(噴出孔)、14b…第2の噴出孔14b(噴出孔)、20…ロータ、30…ステータ、32b…固定部、32d…コアバック部、35…上側固定部、61…モータ収容部、61a…内周面、61k…凹部、62…ギヤ収容部、70…ブリーザ部、72…パイプ、90…油路(冷媒経路)、91a…経路、J1…モータ軸線、O…オイル、O…オイル(冷媒)
図1
図2
図3
図4