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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20240220BHJP
   B60K 35/40 20240101ALI20240220BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20240220BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01D11/28 D
B60K35/40
G09F13/00 W
G09F13/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021515998
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016261
(87)【国際公開番号】W WO2020218054
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019084633
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 駿一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 昭宏
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-348076(JP,A)
【文献】特開2017-165293(JP,A)
【文献】特開2009-204897(JP,A)
【文献】特開2010-113301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28
G01D 7/00 - 7/12
B60K 35/00 - 37/20
G09F 13/00 - 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
発光することで表示を行う表示部と、
外光の光強度を検出し、検出結果を示す外光検出信号を出力する外光検出部と、
前記外光検出信号を参照して前記表示部の発光輝度を調整する光源制御部と、
前記光源が点灯している点灯期間においては前記光源制御部に前記外光検出信号を参照させないように前記外光検出信号を無効化する無効化部と、を備え、
前記光源制御部は、前記無効化部により前記外光検出信号が無効化されたとき、前記表示部の発光輝度を一定に保つ、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記光源制御部は、前記点灯期間と前記光源が消灯している消灯期間を交互に繰り返すことにより前記光源を周期的に点滅させ、前記点灯期間においては前記無効化部により前記外光検出信号が無効化されることにより前記表示部の発光輝度を調整せずに一定に保ち、前記消灯期間においては前記外光検出信号に基づき前記表示部の発光輝度を調整する、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記光源を点灯させる電位であるHiと前記光源を消灯させる電位であるLoを繰り返す点灯制御信号を前記光源に出力することにより前記光源を周期的に点滅させ、
前記無効化部は、前記外光検出部と前記光源制御部の間に電気的に接続され、前記点灯制御信号が入力されるスイッチング素子であり、前記点灯制御信号の前記Hiが入力されるとオフすることにより前記外光検出信号を前記光源制御部に出力させずに前記外光検出信号を無効化し、前記点灯制御信号の前記Loが入力されるとオンすることにより前記外光検出信号を前記光源制御部に出力する、
請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記光源及び前記外光検出部が設置される設置面を有する回路基板と、
前記光源からの光を透過することで情報を表示する表示光透過部、及び外光を前記外光検出部に向けて透過する検出光透過部を有するカバー部材と、
前記光源を囲み、前記設置面から前記表示光透過部に向けて延びる第1筒部、及び前記外光検出部を囲み、前記設置面から前記検出光透過部に向けて延びる第2筒部を有するインナーケースと、を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部は互いに隣接して設けられる、
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記光源及び前記外光検出部が設置される設置面を有する回路基板と、
前記光源からの光を透過することで情報を表示する表示光透過部、及び外光を前記外光検出部に向けて透過する検出光透過部を有するカバー部材と、
前記回路基板の前記設置面と前記カバー部材の間に位置し、前記光源及び前記外光検出部を同一の空間に収容するインナーケースと、を備える、
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周囲の明るさに応じた輝度で光源を発光させる車両用表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用表示装置は、光源である照明手段と、照明手段からの光の一部を透過させる表示板と、周囲の明るさを検出する光センサと、光センサの検出結果に基づいて照明手段の発光輝度を調整する調光機能と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-329711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、同一の車両用表示装置の筐体内に照明手段と光センサが配置されるため、照明手段が発する光の一部が光センサに到達するおそれがあった。このため、光センサは、照明手段が発する光の一部を検出してしまい、周囲の明るさ、すなわち、外光の光強度を正確に検出することが困難であった。これにより、車両用表示装置において外光に応じて発光輝度を精度高く調整することが困難となっていた。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、外光に応じて発光輝度を精度高く調整できる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、光源と、発光することで表示を行う表示部と、外光の光強度を検出し、検出結果を示す外光検出信号を出力する外光検出部と、前記外光検出信号を参照して前記表示部の発光輝度を調整する光源制御部と、前記光源が点灯している点灯期間においては前記光源制御部に前記外光検出信号を参照させないように前記外光検出信号を無効化する無効化部と、を備え、前記光源制御部は、前記無効化部により前記外光検出信号が無効化されたとき、前記表示部の発光輝度を一定に保つ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用表示装置において、外光に応じて発光輝度を精度高く調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用表示装置の正面図である。
図2図1の2-2線の断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用表示装置の回路図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る(a)は光源制御部の動作を示すタイミングチャートであり、(b)は点灯制御信号を示すタイミングチャートであり、(c)は無効化部の動作を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に係る点滅処理のフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態に係る車両用表示装置の回路図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る図1の2-2線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明に係る車両用表示装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。本例における車両用表示装置は自動二輪車に搭載される。
図1に示すように、車両用表示装置10は、車速、エンジン回転数、残燃料量、走行距離及び時刻等の情報を画像で表示するデジタル表示部11と、車両の状態をアイコンIC1~IC6の点灯又は消灯にて示すインジケータ表示部12と、を備える。インジケータ表示部12は、例えば、ターンシグナルの作動を示すアイコンIC1,IC2、ABS(Antilock Brake System)警告を示すアイコンIC3、エンジンの異常を示すアイコンIC4、ヘッドライトにおけるハイビームの作動を示すアイコンIC5、及びシフトポジションがニュートラルであることを示すアイコンIC6を備える。
【0010】
まず、車両用表示装置10の機械的構成について説明する。
図2に示すように、車両用表示装置10は、表示画面20aを有する表示ユニット20と、カバー部材25と、回路基板30と、インナーケース40と、アウターケース50と、光源31と、外光検出部60と、マイコン65と、を備える。
【0011】
なお、本明細書では、運転者から見た表示画面20aの横方向をX方向と定義し、表示画面20aの縦方向をY方向と定義し、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向と定義する。また、本明細書において、「上」、「下」、「表」及び「裏」は、全て運転者から見た方向を指す。
【0012】
図2に示すように、アウターケース50は、樹脂又は金属により形成され、表側に開口した箱状をなす。アウターケース50内には、光源31、外光検出部60及びマイコン65が実装された回路基板30、インナーケース40及び表示ユニット20が収容される。アウターケース50の開口部はカバー部材25により閉じられる。
【0013】
光源31はLED(Light Emitting Diode)により構成され、マイコン65による制御のもと光を照射する。光源31は左折に係るターンシグナルの作動を示す左側を向いた矢印のアイコンIC1を点滅させるためのものである。
外光検出部60は、例えば砲弾型のフォトセンサであり、車両用表示装置10の周囲の外光の光強度を検出し、その検出結果をマイコン65に出力する。外光検出部60と光源31はX方向に沿って並べられる。
【0014】
回路基板30は、アウターケース50内に収容され、XY平面に沿う平板状をなす。回路基板30の表側の設置面30aには、光源31、外光検出部60及びマイコン65が実装される。
【0015】
インナーケース40は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、アウターケース50内に収容され、回路基板30の設置面30aに設置される。インナーケース40は、光源31が収容される第1筒部41と、外光検出部60が収容される第2筒部42と、を備える。第1筒部41及び第2筒部42はZ方向に貫通した円筒状又は角筒状に形成される。第1筒部41及び第2筒部42のそれぞれの裏側(図2の下側)の端面は回路基板30の設置面30aに接触し、第1筒部41及び第2筒部42のそれぞれの表側(図2の上側)の端面はカバー部材25の裏面に接触する。第1筒部41は光源31からの光を後述する表示光透過部26cに導く機能を有する。第2筒部42は検出光透過部26bを経た外光を外光検出部60に導く機能を有する。
【0016】
表示ユニット20はTFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルと液晶パネルを照明するLEDが一体化された長方形板状をなす。表示ユニット20は、表示ユニット20の表面に位置し、各種情報を表示する表示画面20aを備える。
【0017】
図2に示すように、カバー部材25は、表示ユニット20の表示画面20aの表側に位置し、アウターケース50の開口部に嵌め込まれる。カバー部材25は、光透過性の樹脂又はガラスにより長方形板状に形成される基材25aと、基材25aの裏面に形成される印刷層26と、を備える。印刷層26は、アウターケース50の内部を外部から視認させないために設けられる遮光層26aと、外光を透過させる検出光透過部26bと、光源31からの光を透過させる表示光透過部26cと、を備える。遮光層26a、検出光透過部26b及び表示光透過部26cは互いに同一層に形成される。
【0018】
遮光層26a及び検出光透過部26bは遮光性の黒色のインクにより層状に形成される。遮光層26aは表示画面20aを囲む枠状に形成されている。遮光層26aの内周部は表示画面20aの外周部にZ方向に重なるように形成される。
【0019】
検出光透過部26bは、光を吸収及び透過するスモーク層であり、インナーケース40の第2筒部42に対向する位置に形成される。検出光透過部26bの光透過率は、第2筒部42内の外光検出部60を外部から視認させない程度に低く、かつ、外光が外光検出部60により検出可能な光強度にて外光検出部60に到達できる程度に高く設定される。例えば、検出光透過部26bの光透過率は遮光層26aの光透過率よりも低く設定されている。
【0020】
表示光透過部26cは、検出光透過部26b及び遮光層26aが形成されておらず、光が通過する部分であり、遮光層26aの一部がくり抜かれるように形成される。なお、表示光透過部26cは、拡散印刷やシボを用いて、同様な形状を模した光拡散部であってもよく、光が拡散透過する部分であっても良い。表示光透過部26cはインナーケース40の第1筒部41に対向する位置に形成され、光源31からの光の光強度を低下させることなくカバー部材25の基材25aに入射させる。表示光透過部26cは、図1に示すアイコンIC1~IC6に対応する形状で形成される。よって、光源31が点灯すると、光源31からの光がアイコンIC1に対応する表示光透過部26cを通過する。これにより、アイコンIC1が点灯する。
なお、他のアイコンIC2~IC6に対応してそれぞれ図示しない筒部及び光源が設けられ、この光源が点灯することにより対応するアイコンIC2~IC6が点灯する。
【0021】
次に、車両用表示装置10の電気的構成について説明する。
図3に示すように、車両用表示装置10は、マイコン65と、外光検出部60と、光源31と、抵抗R1,R2,R3と、コンデンサC1と、を備える。
【0022】
光源31は、LEDであり、マイコン65の出力端子Poとグランドの間に接続されている。光源31は、マイコン65から、周期的に振動する矩形波である図4(b)に示す点灯制御信号S2を受けて点滅する。抵抗R3はマイコン65の出力端子Poと光源31の間に接続される。抵抗R3は、光源31に印加される電圧を調整するために設けられる。
【0023】
外光検出部60はフォトトランジスタからなる。外光検出部60のコレクタ端子は例えば5Vの定電圧源Vcに接続され、外光検出部60のエミッタ端子はマイコン65の入力端子Pinに接続される。外光検出部60は、図2に示す検出光透過部26bを経た外光を受光し、その受光した外光の光強度に応じた電位からなる外光検出信号S1をマイコン65の入力端子Pinに供給する。
【0024】
抵抗R1は、外光検出部60のエミッタ端子とグランドの間に接続される。外光検出部60により検出される外光の光強度に応じた検出電流値と抵抗R1の抵抗値の積によりマイコン65に入力される外光検出信号S1の電圧値が設定される。抵抗R1の抵抗値が大きく設定されることにより、外光検出部60の検出感度が高まる。図2に示す検出光透過部26bの光透過率が低く設定されるほど、外光検出部60に到達する外光の光強度が低下するため、外光検出部60の検出感度を高めるべく抵抗R1の抵抗値が大きく設定される。抵抗R1の抵抗値は、例えば、330kΩに設定される。
【0025】
抵抗R2の一端は外光検出部60のエミッタ端子と抵抗R1の間に接続される。抵抗R2の他端はマイコン65の入力端子Pinに接続される。抵抗R2の抵抗値は、例えば、10kΩに設定される。コンデンサC1の一端は抵抗R2とマイコン65の入力端子Pinの間に接続され、コンデンサC1の他端はグランドに接続される。コンデンサC1及び抵抗R2は、マイコン65の入力端子Pinに入力されるノイズを低減する機能を有する。
【0026】
図3に示すように、マイコン65は、マイクロコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)からなるメモリ65mと、を備える。マイコン65は、外部のECU(Electronic Control Unit)からの情報に基づき表示ユニット20に画像を表示し、外光検出部60からの外光検出信号S1を受けて表示部の一例であるデジタル表示部11とインジケータ表示部12の発光輝度を制御する。デジタル表示部11の発光輝度は、表示ユニット20のLEDの供給電流値又はデューティ比により制御される。インジケータ表示部12の発光輝度は、光源31を含むアイコンIC1~IC6を点灯させる複数の光源の供給電流値又はデューティ比により制御される。以下では、インジケータ表示部12におけるアイコンIC1に対応する光源31の発光輝度を制御する態様を中心に説明するが、マイコン65は、光源31の発光輝度に合わせてインジケータ表示部12におけるその他のアイコンIC2~IC6とデジタル表示部11の発光輝度を制御する。
マイコン65は、外光検出部60からの外光検出信号S1を参照して外光に応じた輝度で光源31を点灯制御する。マイコン65は、光源31に点灯制御信号S2を出力する出力端子Poと、外光検出部60からの外光検出信号S1を入力する入力端子Pinと、定電圧源Vcを参照電圧として入力する参照電圧端子Prfと、を備える。
【0027】
マイコン65は、機能ブロックとして、光源制御部65aと、無効化部65bと、を備える。
光源制御部65aは、図4(a)に示すように、一定の周期T1毎に、外光検出信号S1を取り込む状態であるHiと外光検出信号S1を取り込まない状態であるLoを繰り返す。周期T1は、例えば、10msに設定される。
光源制御部65aは、1回のHiにおいて単数回又は複数回にわたって外光検出信号S1が示す外光の光強度を取得する。そして、光源制御部65aは、取得した複数の外光の光強度を平均化し、平均化した外光の光強度に基づき調光値を算出し、算出した調光値をメモリ65mに記憶する。調光値は、外光の光強度に応じて設定される光源31の輝度であり、図1に示すインジケータ表示部12の視認性を高めるため、外光の光強度が高いほど高く設定される。光源制御部65aは、メモリ65mに記憶される調光値を周期的に更新する。
光源制御部65aは、外部のECUから点滅指令信号S3を受けると、図4(b)に示すように、一定の周期T2毎にHiとLoの間で振動する点灯制御信号S2を光源31に出力する。これにより、光源31は一定の周期T2毎に点滅する。周期T2の前半は光源31を点灯させる点灯期間Ttであり、周期T2の後半は光源31を消灯させる消灯期間Tsである。点灯期間Ttと消灯期間Tsは交互に繰り返される。
光源制御部65aは、通常時には、周期T2を、例えば、666msに設定し、異常時(例えば方向指示灯の故障時)には、周期T2を通常時よりも短く、例えば362msに設定する。周期T2は、周期T1よりも短く設定される。光源制御部65aは、メモリ65mに記憶された調光値に応じて点灯制御信号S2のデューティ比を設定する。点灯制御信号S2のデューティ比が高くなるにつれて光源31の発光輝度が高まる。
【0028】
無効化部65bは、図4(c)に示すように、点灯制御信号S2がHiであるときには外光検出信号S1を無効化し、点灯制御信号S2がLoであるときには外光検出信号S1を無効化せずに有効化する。外光検出信号S1の無効化とは、光源制御部65aに外光検出信号S1を参照させないようにすることを言い、外光検出信号S1の有効化とは、光源制御部65aに外光検出信号S1を参照させるようにすることを言う。
詳しくは、光源制御部65aは、外光検出信号S1が有効化されている有効期間Tyにおいては、入力される外光検出信号S1を参照しつつメモリ65mに記憶される調光値を更新し、更新した調光値に基づき点灯制御信号S2のHiの電位を設定する。これにより、光源31、すなわちアイコンIC1の発光輝度は周囲の明るさに合わせて調整される。このとき、光源制御部65aは、光源31と同様に、調光値に基づきデジタル表示部11とインジケータ表示部12のアイコンIC2~IC6の発光輝度を調整する。
また、光源制御部65aは、無効化部65bにより外光検出信号S1が無効化されている無効期間Tmにおいては、入力される外光検出信号S1を参照せずに、メモリ65mに記憶された過去の調光値に基づき点灯制御信号S2のHiの電位を設定する。過去の調光値とは、直近の有効期間Tyにおいて最後に更新された調光値である。無効期間Tmにおいては、メモリ65mに記憶される調光値は更新されない。これにより、無効期間Tmにおいては、光源31の発光輝度は一定に保たれ、光源31からの光が外光検出部60に到達した場合であっても、光源31、すなわちアイコンIC1の発光輝度が調整されない。この無効期間Tmにおいては、光源制御部65aは、光源31と同様に、デジタル表示部11とインジケータ表示部12のアイコンIC2~IC6の発光輝度を一定に保つ。
【0029】
次に、図5のフローチャートを参照しつつ、マイコン65の光源31に関する点灯処理について説明する。この点灯処理の開始時には、無効化部65bにより外光検出信号S1が有効化されている。この点灯処理は繰り返し実行される。
光源制御部65aは、点滅指令信号S3を入力すると(ステップS101)、点灯制御信号S2の光源31への出力を開始する(ステップS102)。
無効化部65bは、点灯制御信号S2におけるLoからHiへの立ち上がりがあるか否かを判別する(ステップS103)。無効化部65bは、例えば図4の時刻t1において、点灯制御信号S2におけるLoからHiへの立ち上がりがある旨判別すると(ステップS103:YES)、光源制御部65aに外光検出信号S1を参照させないように外光検出信号S1を無効化する(ステップS104)。上述のように、外光検出信号S1が無効化されると、光源31の発光輝度は一定に保たれる。
そして、光源制御部65aは、点灯制御信号S2の光源31への出力が停止したか否かを判別する(ステップS107)。光源制御部65aは、点灯制御信号S2の光源31への出力が停止していない旨判別したとき(ステップS107:NO)、上記ステップS103の処理に戻る。一方、光源制御部65aは、点灯制御信号S2の光源31への出力が停止した旨判別したとき(ステップS107:YES)、この点灯処理を終了する。
【0030】
一方、無効化部65bは、点灯制御信号S2におけるLoからHiへの立ち上がりがない旨判別すると(ステップS103:NO)、点灯制御信号S2におけるHiからLoへの立ち下がりがあるか否かを判別する(ステップS105)。無効化部65bは、例えば図4の時刻t2において、点灯制御信号S2におけるHiからLoへの立ち下がりがある旨判別すると(ステップS105:YES)、外光検出信号S1を有効化する(ステップS106)。そして、上記同様に、ステップS107の処理に移行する。
【0031】
無効化部65bは、点灯制御信号S2におけるHiからLoへの立ち下がりがない旨判別したとき(ステップS105:NO)、上記同様に、ステップS107の処理に移行する。
上記点灯処理によれば、光源31の点滅中において、光源31が点灯すると外光検出信号S1が無効化されるため光源31からの光が外光検出部60の検出結果に影響を及ぼすことが抑制され、光源31が消灯すると外光検出信号S1が有効化されるため次の光源31の点灯タイミングで外光に応じた適切な輝度で光源31が点灯する。
なお、光源31が点滅しておらず、常時消灯しているときには、外光検出信号S1が有効化されている。
【0032】
(効果)
以上、説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用表示装置10は、光源31と、発光することで表示を行う表示部(デジタル表示部11及びインジケータ表示部12)と、外光の光強度を検出し、検出結果を示す外光検出信号S1を出力する外光検出部60と、外光検出信号S1を参照して表示部の発光輝度を調整する光源制御部65aと、光源31が点灯している点灯期間Ttにおいては光源制御部65aに外光検出信号S1を参照させないように外光検出信号S1を無効化する無効化部65bと、を備える。光源制御部65aは、無効化部65bにより外光検出信号S1が無効化されたとき、表示部の発光輝度を一定に保つ。
図2に示すように、光源31からの光L1,L2は、カバー部材25とインナーケース40の隙間、回路基板30とインナーケース40の隙間、又はカバー部材25の基材25aの内部を透過して外光検出部60に到達するおそれがある。上記構成によれば、無効化部65bは光源31が点灯している点灯期間Ttにおいては外光検出信号S1を無効化する。このため、光源31からの光L1,L2が外光検出部60に到達しても、光L1,L2に応じて表示部の発光輝度が調整されることが抑制される。これにより、車両用表示装置10は外光に応じて表示部の発光輝度を精度高く調整できる。言い換えると、光源31が点灯しているときに、表示部の発光輝度が明るすぎたり暗すぎたりすることがない。その結果、表示部の視認性が向上する。
【0033】
(2)光源制御部65aは、光源31が点灯している点灯期間Ttと光源31が消灯している消灯期間Tsを交互に繰り返すことにより光源31を周期的に点滅させ、点灯期間Ttにおいては無効化部65bにより外光検出信号S1が無効化されることにより表示部の発光輝度を調整せずに一定に保ち、消灯期間Tsにおいては外光検出信号S1に基づき表示部の発光輝度を調整する。
この構成によれば、光源31が周期的に点滅している際の消灯期間Tsにおいて、外光検出信号S1に基づき表示部の発光輝度が外光に合わせて調整される。よって、光源31が周期的に点滅する際にも、車両用表示装置10は外光に応じて表示部の発光輝度を精度高く調整できる。
また、無効化部65bは光源制御部65aとともにマイコン65の一部を構成する。よって、車両用表示装置10において機械的な構成部品を増やすことなく、無効化部65bを追加することができる。
【0034】
(3)車両用表示装置10は、光源31及び外光検出部60が設置される設置面30aを有する回路基板30と、光源31からの光を透過することで情報を表示する表示光透過部26c、及び外光を外光検出部60に向けて透過する検出光透過部26bを有するカバー部材25と、光源31を囲み、設置面30aから表示光透過部26cに向けて延びる第1筒部41、及び外光検出部60を囲み、設置面30aから検出光透過部26bに向けて延びる第2筒部42を有するインナーケース40と、を備える。第1筒部41及び第2筒部42は互いに隣接して設けられる。
この構成によれば、光源31及び外光検出部60が近い位置に設けられているため、光源31からの光L1,L2が外光検出部60に到達しやすい。しかしながら、上述のように、光源31が点灯している点灯期間Ttにおいては外光検出信号S1が無効化されるため、光源31からの光L1,L2が外光検出部60に到達しても、光L1,L2に応じて表示部の発光輝度が調整されることが抑制される。
また、上記構成によれば、光源31及び外光検出部60を近い位置に設けることができるため、車両用表示装置10における設計の自由度が高まり、車両用表示装置10をコンパクトに構成することができる。また、特に、車両用表示装置10が自動二輪車に搭載される場合には、乗用車に比べて、車両用表示装置10をよりコンパクトに構成することが求められる。このため、自動二輪車に搭載される車両用表示装置10をコンパクトに構成することは特に有益である。
【0035】
(4)カバー部材25は、インナーケース40の第2筒部42に対向する位置に形成される検出光透過部26bを備える。検出光透過部26bは、第2筒部42内の外光検出部60を外部から視認させない程度に光透過率が低く設定されている。この場合、検出光透過部26bにより外光検出部60に到達する外光の光強度が低下するため、外光検出部60の検出感度を高める必要がある。しかしながら、外光検出部60の検出感度を高めると、光源31からの光が微弱な光強度で外光検出部60に到達した場合であっても、外光検出部60の検出結果に影響が生じやすい。よって、外光検出部60の検出感度が高められた場合、上述のように、光源31の点灯期間Ttにおいて外光検出信号S1が無効化されることは特に有益である。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明に係る車両用表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図6に示すように、本実施形態では、無効化部63は、マイコン65の外部であって、外光検出部60とマイコン65の間に設けられるスイッチング素子であり、外光検出信号S1が出力される電流路を遮断することにより外光検出信号S1を無効化する。
【0038】
詳しくは、無効化部63は、トランジスタTR1と、ダイオードD1と、抵抗R4,R5と、を備える。
トランジスタTR1のエミッタ端子は外光検出部60のエミッタ端子に接続されている。トランジスタTR1のコレクタ端子は抵抗R2を介してマイコン65の入力端子Pinに接続されている。トランジスタTR1のベース端子は、抵抗R4及びダイオードD1を介して、マイコン65の出力端子Poと抵抗R3の間に接続される。
【0039】
抵抗R4は、トランジスタTR1のベース端子とダイオードD1のアノード端子の間に接続される。抵抗R4は、トランジスタTR1のベース端子に印加される電圧を調整するために設けられる。抵抗R5は、トランジスタTR1のベース端子とトランジスタTR1のエミッタ端子の間に接続されている。抵抗R4,R5の抵抗値は、例えば、10kΩに設定される。
【0040】
ダイオードD1のアノード端子は抵抗R4に接続され、ダイオードD1のカソード端子はマイコン65の出力端子Poと抵抗R3の間に接続される。ダイオードD1は出力端子Poから電流が回り込むことを防止するために設けられている。
【0041】
次に、無効化部63の作用について説明する。
光源制御部65aは、外部から点滅指令信号S3を入力すると、HiとLoを繰り返す点灯制御信号S2を光源31に出力する。点灯制御信号S2のLoが出力されているとき、点灯制御信号S2のLoがダイオードD1及び抵抗R4を介してトランジスタTR1のベース端子に印加される。これにより、トランジスタTR1のベース端子とエミッタ端子の電位差が閾値以上となり、トランジスタTR1がオンとなる。トランジスタTR1がオンすると、外光検出部60の外光検出信号S1がマイコン65の入力端子Pinに供給される。無効化部63は、トランジスタTR1がオンしているときに外光検出部60からの外光検出信号S1をマイコン65に供給することで外光検出信号S1を有効化する。外光検出信号S1が有効化されると、光源制御部65aは、上述のように、外光検出信号S1を参照して調光値を設定し、設定した調光値に応じて点灯制御信号S2のデューティ比を設定する。これにより、上記第1の実施形態と同様に、光源31、ひいては表示部(デジタル表示部11及びインジケータ表示部12)は周囲の明るさに合わせた輝度で点灯する。
【0042】
一方、点灯制御信号S2のHiが出力されているとき、ダイオードD1には電流が流れない。これにより、トランジスタTR1のベース端子とエミッタ端子の電位差がゼロとなり、トランジスタTR1がオフとなる。これにより、外光検出部60からの外光検出信号S1が遮断され、マイコン65の入力端子Pinに印加される電圧はグランド電位(おおよそ0V)となる。無効化部63は、トランジスタTR1がオフしているときに外光検出部60からマイコン65への外光検出信号S1の供給を遮断することにより外光検出信号S1を無効化する。光源制御部65aは、マイコン65の入力端子Pinに印加される電圧が0Vとなると、外光検出信号S1が無効化されたことを判別する。外光検出信号S1が無効化されると、光源制御部65aは、上述したように、メモリ65mに記憶された過去の調光値に基づき点灯制御信号S2のデューティ比を設定する。これにより、上記第1の実施形態と同様に、光源31、ひいては表示部(デジタル表示部11及びインジケータ表示部12)は一定の発光輝度を保つ。
なお、外光の光強度が低い場合であっても、外光検出部60の外光検出信号S1は0Vとならず、0Vよりも大きい電位となる。よって、光源制御部65aは、外光の光強度が低い場合とトランジスタTR1がオフとなっている場合を識別することができる。
【0043】
(効果)
以上、説明した第2の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)光源制御部65aは、光源31を点灯させる電位であるHiと光源31を消灯させる電位であるLoを繰り返す点灯制御信号S2を光源31に出力することにより光源31を周期的に点滅させる。無効化部63は、外光検出部60と光源制御部65aの間に電気的に接続され、点灯制御信号S2が入力されるスイッチング素子であり、点灯制御信号S2のHiが入力されるとオフすることにより外光検出信号S1を光源制御部65aに出力させずに外光検出信号S1を無効化し、点灯制御信号S2のLoが入力されるとオンすることにより外光検出信号S1を光源制御部65aに出力することにより外光検出信号S1を有効化する。
この構成によれば、マイコン65の処理の内容を大きく変更することなく、スイッチング素子を追加するだけで無効化部63を車両用表示装置10に簡単に追加することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
本発明に係る車両用表示装置の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、光源及び外光検出部が同一の空間内に設けられている点が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
図7に示すように、インナーケース40は、光源31及び外光検出部60を同一の空間Spに収容する収容部44を備える。光源31及び外光検出部60は互いに隣り合う位置に設置される。この構成であっても、光源31が点灯している点灯期間Ttにおいては、無効化部63,65bにより外光検出信号S1が無効化される。これにより、光源31及び外光検出部60が同一の空間Spに位置していても、光源31の光が外光検出部60により検出されて、光源31の輝度が調整されることが抑制される。
【0046】
(効果)
以上、説明した第3の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用表示装置10は、光源31と外光検出部60が設置される設置面30aを有する回路基板30と、光源31からの光を透過することで情報を表示する表示光透過部26c、及び外光を外光検出部60に向けて透過する検出光透過部26bを有するカバー部材25と、回路基板30の設置面30aとカバー部材25の間に位置し、光源31及び外光検出部60を同一の空間Spに収容するインナーケース40と、を備える。
この構成によれば、光源31及び外光検出部60が同一の空間Spに設けられる。この場合、光源31からの光が直接に外光検出部60に到達するものの、外光検出信号S1が無効化されるため、この到達した光に応じて表示部(デジタル表示部11及びインジケータ表示部12)の発光輝度が調整されることが抑制される。
上記構成によれば、第1筒部41及び第2筒部42を省略でき、これに伴い第1筒部41及び第2筒部42とカバー部材25の間に位置する図示しないパッキンが不要となる。このため、車両用表示装置10における設計の自由度が高まり、車両用表示装置10をより一層コンパクトに構成することができる。また、第1筒部41及び第2筒部42が省略されるため、車両用表示装置10の内部で伝熱経路が形成され、車両用表示装置10の内部で熱が籠もることが抑制される。
【0047】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0048】
(変形例)
上記各実施形態においては、外光検出部60の隣に設けられる光源31は左折に係るターンシグナルの作動を示すアイコンIC1を点滅させるためのものであったが、これに限らず、他のアイコンIC2~IC6を点滅させるためのものであってもよい。
また、光源31は、周期的に点滅せずに、車両状態が所定の状態(例えば故障状態)となったときその旨を示すために点灯し、所定の状態が解除されたときに消灯してもよい。この場合でも、光源31が点灯している点灯期間Ttにおいては外光検出信号S1が無効化される。
【0049】
上記各実施形態においては、表示ユニット20はTFT型の液晶パネルを備えていたが、これに限らず、セグメントLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備えていてもよい。また、表示ユニット20は、モータの駆動により指針が回動する指針計であってもよい。
【0050】
上記各実施形態においては、光源31は表示光透過部26cを照明することによりアイコンIC1を点灯させていたが、これに限らず、検出光透過部26bに代えて液晶パネルを照明することによりアイコンIC1を点灯させてもよい。また、光源31は有機ELディスプレイ等の自己発光表示パネルであってもよい。
【0051】
上記各実施形態においては、第1筒部41及び第2筒部42は互いに隣り合うように設けられていたが、互いに離れて設けられていてもよい。
【0052】
上記第1及び第2の実施形態においては、第1筒部41及び第2筒部42は一体で形成されていたが、別体で形成されていてもよい。
【0053】
上記各実施形態においては、車両用表示装置10は自動二輪車に搭載されていたが、これに限らず、乗用車に搭載されていてもよい。
【0054】
上記各実施形態においては、表示部は、デジタル表示部11とインジケータ表示部12であったが、これに限らず、デジタル表示部11とインジケータ表示部12のうち何れか一方であってもよい。例えば、表示部がデジタル表示部11である場合には、有効期間Tyであっても、インジケータ表示部12の表示輝度は調整されない。
【符号の説明】
【0055】
10 車両用表示装置
11 デジタル表示部
12 インジケータ表示部
20 表示ユニット
20a 表示画面
25 カバー部材
26a 遮光層
26b 検出光透過部
26c 表示光透過部
30 回路基板
30a 設置面
31 光源
40 インナーケース
41 第1筒部
42 第2筒部
44 収容部
50 アウターケース
60 外光検出部
63,65b 無効化部
65 マイコン
65a 光源制御部
65m メモリ
C1 コンデンサ
D1 ダイオード
R1,R2,R3,R4,R5 抵抗
S1 外光検出信号
S2 点灯制御信号
S3 点滅指令信号
TR1 トランジスタ
Vc 定電圧源
Po 出力端子
Pin 入力端子
Sp 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7