(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20240220BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/28 P
F04D29/66 M
F04D29/28 F
(21)【出願番号】P 2022024362
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2018096204の分割
【原出願日】2018-05-18
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三澤 孝久
(72)【発明者】
【氏名】田村 篤志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 郁仁
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329097(JP,A)
【文献】特開2015-063896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸い込んで吹き出す送風ファンを備え、
前記送風ファンは、
回転駆動される羽根車と、前記羽根車で生成された空気の流れを整流するケース部
と、を備えた遠心ファンで構成され、
前記羽根車は、
多翼の羽根部と、前記羽根部が設けられた羽根支持部とを備え、
前記羽根支持部は、
空気が通る空気流入穴を備え、
前記空気流入穴は、前記羽根車の回転方向に対して下流側の辺部が、空気の流れる方向に対して傾斜し、
前記辺部は、前記羽根車の径方向の内側に対し、径方向の外側が後退する方向に傾斜する
送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等に設置され、室温に応じた空気あるいは温風を室内に吹き出す送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室等の天井に設置され、温風あるいは室温に応じた空気を室内に吹き出して、室内の暖房、室内にある被乾燥物の乾燥等の機能を実現した送風装置が提案されている。このような送風装置は、室内の空気を屋外に排気する換気の機能を持つものも多く、浴室換気乾燥暖房機と称されている。
【0003】
浴室換気乾燥暖房機は、多翼の羽根車を有した遠心ファンを備え、羽根車が回転駆動されることで、所望の空気の流れを発生させている。このような浴室換気乾燥暖房機において、浴室から吸い込んだ空気を浴室に吹き出す風路と、外部に排気する風路に分流する分流ダンパと称す分流部材を備えた技術が提案されている。
【0004】
このような分流部材を備えた浴室換気乾燥暖房機において、空気の流れを整流する整流部材を分流部材に設けた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、空気の流れを整流する部材をファンケースに設けた技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、羽根効率の向上のため、羽根車に補助翼を設けた技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5263350号公報
【文献】特許第5538622号公報
【文献】特開2006-17037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、入浴中等、人が浴室に居る状態で浴室換気乾燥暖房機が駆動されると、動作音が大きいという課題がある。遠心ファンを使用した浴室換気乾燥暖房機では、羽根の上側の部分に空気が流れにくく、羽根の高さ方向の全体にわたり空気が通らずに通気抵抗が増加して音が発生する。
【0008】
また、浴室から吸い込まれる空気はフィルタを通過するが、フィルタで捕捉できない埃等が羽根車に付着する可能性がある。羽根車に埃等が付着すると、通気抵抗が増加し、風量が低下する可能性がある。風量の低下を抑制するためには、羽根車の回転数を上げる必要があり、音の発生源となる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、音の発生を抑制できるようにした送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、空気を吸い込んで吹き出す送風ファンを備え、送風ファンは、回転駆動される羽根車と、羽根車で生成された空気の流れを整流するケース部と、を備えた遠心ファンで構成され、羽根車は、多翼の羽根部と、羽根部が設けられた羽根支持部とを備え、羽根支持部は、空気が通る空気流入穴を備え、空気流入穴は、羽根車の回転方向に対して下流側の辺部が、空気の流れる方向に対して傾斜し、辺部は、羽根車の径方向の内側に対し、径方向の外側が後退する方向に傾斜する送風装置である。
【0011】
本発明では、羽根車が回転することで空気流入穴を通る空気が、空気流入穴の辺部に集中して当たることが抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、空気流入穴の形状により、羽根車が回転することによる通気抵抗の増加が抑制され、音の発生も抑制される。また、羽根車の羽根の形状により、羽根に埃等が付着することが抑制される。そして、空気流入穴の形状、羽根車の羽根の形状によっても、羽根車の回転数を上げることなく、所定の風量を確保することができ、羽根車の回転数を上げることに伴う音の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す構成図である。
【
図2】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す構成図である。
【
図3】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す構成図である。
【
図4A】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例を示す構成図である。
【
図4B】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例を示す構成図である。
【
図5A】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す斜視図である。
【
図5B】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す平面図である。
【
図5C】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す断面図である。
【
図5D】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す断面図である。
【
図5E】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す断面図である。
【
図5F】本実施の形態の分流ダンパの一例を示す断面図である。
【
図6A】本実施の形態の羽根車の一例を示す平面図である。
【
図6B】本実施の形態の羽根車の一例を示す側断面図である。
【
図7】本実施の形態の羽根の形状の詳細例を示す平面図である。
【
図8】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す分解斜視図である。
【
図9】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における分流ダンパの動作を示す説明図である。
【
図10】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における分流ダンパの動作を示す説明図である。
【
図11】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における分流ダンパの動作を示す説明図である。
【
図12A】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における浴室内の空気の流れを示す説明図である。
【
図12B】本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における浴室内の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の送風装置としての浴室換気乾燥暖房機の実施の形態について説明する。
【0016】
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の構成例>
図1~
図3は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す構成図で、
図1は、浴室換気乾燥暖房機の内部構成を示す側面図、
図2は、浴室換気乾燥暖房機の内部構成を示す平面図である。また、
図3はフロントパネルを取り付けた状態の平面図である。更に、
図4A、
図4Bは、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例を示す構成図である。
【0017】
本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aの概要を説明すると、浴室換気乾燥暖房機1Aは、空気を吸い込んで吹き出す循環換気ファン2Aと、循環換気ファン2Aが設けられる本体部3Aと、本体部3Aに取り付けられるフロントパネル4Aと、循環換気ファン2Aで吹き出される空気を加熱するヒータ5Aを備える。浴室換気乾燥暖房機1Aは、フロントパネル4Aを露出させた形態で、本体部3Aが設置場所である浴室100の天井に取り付けられる。浴室換気乾燥暖房機1Aは、フロントパネル4Aが取り付けられる側が下側となる。
【0018】
以下に、浴室換気乾燥暖房機1Aの詳細について説明すると、循環換気ファン2Aは遠心ファンで構成される送風ファンの一例で、多翼の羽根車25Aと、羽根車25Aを駆動する循環換気ファンモータ26Aと、風路を形成する循環換気ファンケース27Aを備える。羽根車25Aは、循環換気ファンモータ26Aに駆動されて回転することで、羽根車25Aの内側から外周側へと遠心方向に吹き出される空気の流れを発生させる。
【0019】
循環換気ファン2Aは、循環換気ファンケース27Aの下面に、空気が吸い込まれる循環換気吸込口20Aを備える。循環換気吸込口20Aは、羽根車25Aの回転軸に沿った下方に、ベルマウスと称される円形の開口を設けて構成される。循環換気ファンケース27Aはケース部の一例で、羽根車25Aの外周に沿った略円形の部位で構成される第1の風路形成部27A11と、羽根車25Aの接線方向に沿った部位で構成される第2の風路形成部27A12を備える。そして、第1の風路形成部27A11と第2の風路形成部27A12との間に舌部27A1が形成される形状である。
【0020】
第1の風路形成部27A11は、羽根車25Aの円周方向に沿って空気の流れを整流する。第2の風路形成部27A12は、羽根車25Aの接線方向に沿って空気の流れを整流する。これにより、循環換気ファンケース27Aは、羽根車25Aの遠心方向に吹き出される空気を整流して、羽根車25Aの接線方向に沿って吹き出される空気の流れを発生させる。
【0021】
循環換気ファン2Aは、浴室換気乾燥暖房機1Aが浴室100の天井に設置された状態で、羽根車25Aの回転軸の向きが上下方向に沿った配置で構成される。
【0022】
これにより、循環換気ファン2Aは、羽根車25Aの回転軸に沿った下方の循環換気吸込口20Aから吸い込んだ空気を、羽根車25Aの接線方向に吹き出す吹出風路28Aが、循環換気ファンケース27Aにより形成される。
【0023】
循環換気ファン2Aは、循環換気ファンケース27Aの下面に、ヒータ5Aを駆動することで加熱された空気、あるいは、ヒータ5Aを非駆動とすることで浴室100内の温度に応じた空気が吹き出される第1の吹出口21Aを備える。
【0024】
また、循環換気ファン2Aは、循環換気ファンケース27Aの下面に、浴室100内を攪拌する空気が吹き出される第2の吹出口22Aを備える。更に、循環換気ファン2Aは、循環換気ファンケース27Aの側面に、室外へ空気が吹き出される換気吹出口23Aを備える。
【0025】
第1の吹出口21Aは循環吹出口の一例で、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に沿った辺を短辺、循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に対して交差する辺を長辺とした略長方形の開口で構成される。
【0026】
また、第2の吹出口22Aは循環吹出口の一例で、循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に沿った辺を短辺、循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に対して交差する辺を長辺とした略長方形の開口で構成される。第2の吹出口22Aは、吹出風路28Aの下面において、第1の吹出口21Aに対して循環換気吸込口20Aの反対側に設けられる。
【0027】
本体部3Aにおいて、循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に対して交差し、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aの長辺に沿った方向を幅方向と称す。また、吹出風路28Aにおいても、循環換気ファンケース27Aによる空気の吹出方向に対して交差し、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aの長辺に沿った方向を幅方向と称す。
【0028】
第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aは、長辺の長さが、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間の長さに対して広げられ、本体部3Aの幅方向の長さに合わせられる。
【0029】
吹出風路28Aは、舌部27A1が設けられる部位に対し、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aが設けられる部位に向けて風路の幅が広げられ、第1の吹出口21Aの長辺方向の長さに風路の幅を合わせた風路幅拡大部280Aが形成される。
【0030】
また、吹出風路28Aは、換気吹出口23Aが設けられる部位で幅が狭められ、換気吹出口23Aと連通する換気風路形成枠部281Aが形成される。更に、吹出風路28Aは、舌部27A1が設けられる部位に対し、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aが設けられる部位に向けて風路の高さが広げられる風路高拡大部282Aが形成される。
【0031】
第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aは、循環換気ファンケース27Aの下面に取り付けられる風路形成枠体50Aで構成される。第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aは、風路形成枠体50Aに設けられる仕切り部材51Aにより仕切られ、第1の吹出口21Aから吹き出される空気が通る循環空気吹出風路と、第2の吹出口22Aから吹き出される空気が通る攪拌空気吹出風路が形成される。
【0032】
本体部3Aは、循環換気ファンケース27Aを構成する本体シャーシ30Aと、本体シャーシ30Aを覆う金属ケース31Aを備える。本体シャーシ30Aは樹脂材料で構成され、金属ケース31Aで覆われる循環換気ファンケース27Aと、本体部3Aの下端の周縁から外側に突出するフランジ部32Aが、一体で構成される。また、換気風路形成枠部281Aが、換気吹出口23Aから吹出風路28A内に突出する形態で、本体シャーシ30Aと一体で形成される。
【0033】
本体シャーシ30Aは、下面に下カバー33Aが取り付けられる。循環換気ファン2Aは、循環換気吸込口20Aと風路高拡大部282Aが下カバー33Aに設けられる。
【0034】
金属ケース31Aは、循環換気ファン2Aの換気吹出口23Aに対向して開口が設けられ、換気吹出口23Aと連通した排気ダクトジョイント34Aが側面に取り付けられる。
【0035】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3Aの下面にフロントパネル4Aが取り付けられる。フロントパネル4Aは、循環換気ファン2Aの循環換気吸込口20Aに対向した下面を開口して吸込口グリル40Aが形成される。
【0036】
また、フロントパネル4Aは、循環換気ファン2Aの第1の吹出口21Aに対向した下面を開口して第1の吹出口グリル41Aが形成されると共に、第2の吹出口22Aに対向した下面を開口して第2の吹出口グリル42Aが形成される。
【0037】
第1の吹出口グリル41Aは、本体部3Aの一の辺に沿った方向である短手方向に沿った長さを長くした長方形の開口で構成される。また、第2の吹出口グリル42Aは、第1の吹出口グリル41Aと同様に、本体部3Aの一の辺に沿った方向である短手方向に沿った長さを長くした長方形の開口で構成される。
【0038】
第1の吹出口グリル41Aは、長手方向に沿って空気が吹き出されるように、整流板が設けられる。第2の吹出口グリル42Aは、第1の吹出口グリル41Aと並列する短手方向に沿って、第1の吹出口グリル41Aと反対側である本体部3Aの外側に向けて空気が吹き出されるように整流板が設けられる。
【0039】
ヒータ5Aは加熱部材の一例で、本例ではPTCヒータで構成され、風路形成枠体50Aに取り付けられて、第1の吹出口21Aに設けられる。ヒータ5Aが駆動されて通電されると、ヒータ5Aが加熱されることで第1の吹出口21Aを通る空気が加熱され、第1の吹出口21Aから温風が吹き出される。第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aは、仕切り部材51Aにより仕切られており、第2の吹出口22Aから吹き出される空気は、ヒータ5Aを通過しない。
【0040】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aと、換気吹出口23Aとの間で空気の流れを分流する分流ダンパ6Aを備える。分流ダンパ6Aは分流部材の一例で、図示しないダンパモータの駆動力が伝達され、軸60Aを支点に回転して、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aと、換気吹出口23Aとの開閉動作を行う。
【0041】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aとを仕切る仕切り部材51Aに対して、所定の距離を開けた上側に、回転動作の軸60Aが設けられる。循環換気ファン2Aは、軸60Aと仕切り部材51Aとの間に形成される隙間で、吹出風路28Aと第2の吹出口22Aとを連通する第2の吹出口流入部24Aが構成される。軸60Aは、空気の流れに対して略直交する方向に交差する。
【0042】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口21Aを開閉する第1の吹出口開閉部61Aと、第2の吹出口22A及び第2の吹出口流入部24Aを開閉する第2の吹出口開閉部62Aを備える。また、分流ダンパ6Aは、第2の吹出口開閉部62Aの先端側に、第2の吹出口22Aの壁面に接して気密を保つ逆流防止部63Aを備える。
【0043】
分流ダンパ6Aは、空気の流れる方向に対して軸60Aから上流側に延在する部位で第1の吹出口開閉部61Aが構成される。第1の吹出口開閉部61Aは、吹出口開閉部の一例である。また、分流ダンパ6Aは、空気の流れる方向に対して軸60Aから下流側に延在する部位で第2の吹出口開閉部62Aが構成される。
【0044】
分流ダンパ6Aは、空気の流れを第1の吹出口21A方向へ分流する第1の吹出口開閉部61Aの一の面である下面64Aが、空気の流れる方向に沿った凹面で構成される。また、分流ダンパ6Aは、空気の流れを換気吹出口23A方向へ分流する第1の吹出口開閉部61Aの他の面である上面65Aが、下面64Aの形状に合わせた凸面で構成される。
【0045】
分流ダンパ6Aは、軸60Aを支点とした回転動作で、第1の吹出口開閉部61Aが第1の吹出口21Aを開閉する方向に変位する。また、分流ダンパ6Aは、軸60Aを支点とした回転動作で、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口22A及び第2の吹出口流入部24Aを開閉する方向に変位する。
【0046】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口21Aを開き、換気吹出口23Aを閉じる方向に変位する動作では、軸60Aを支点とした回転動作で、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが上方向に移動する。
【0047】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが上方向の所定の位置まで移動することで、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、本体シャーシ30Aの一の面である循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aとの間で所定の気密が保たれる状態となる。第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aとの間で所定の気密が保たれる状態にある分流ダンパ6Aの位置を循環位置と称す。
【0048】
本例では、
図1に実線で示すように、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aが接した状態となることで、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aとの間で所定の気密が保たれる。
【0049】
また、分流ダンパ6Aは、第1の吹出口21Aを閉じ、換気吹出口23Aを開く方向に変位する動作では、軸60Aを支点とした回転動作で、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが下方向に移動する。
【0050】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが下方向の所定の位置まで移動することで、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、本体シャーシ30Aの他の面を構成する下カバー33Aの内面330Aとの間で所定の気密が保たれる状態となる。第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、下カバー33Aの内面330Aとの間で所定の気密が保たれる状態にある分流ダンパ6Aの位置を換気位置と称す。
【0051】
本例では、
図1に一点鎖線で示すように、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと下カバー33Aの内面330Aが接した状態となることで、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aと、下カバー33Aの内面330Aとの間で所定の気密が保たれる。
【0052】
更に、分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aが第1の吹出口21Aと換気吹出口23Aの両方を開く方向に変位する動作では、軸60Aを支点とした回転動作で、
図1に破線で示すように、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aと下カバー33Aの内面330Aとの中間に位置した状態となる。
【0053】
第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aが循環換気ファンケース27Aの上側の内面270Aと下カバー33Aの内面330Aとの中間に位置した状態を、分流ダンパ6Aの循環換気位置と称す。
【0054】
分流ダンパ6Aは、循環位置に移動すると、第1の吹出口開閉部61Aが第1の吹出口21Aを開く。また、第1の吹出口開閉部61Aが吹出風路28Aを仕切り、第1の吹出口開閉部61Aで換気吹出口23Aを閉じる。
【0055】
更に、分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aと第2の吹出口開閉部62Aが一体で変位し、循環位置では、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口流入部24Aを閉じることで、吹出風路28Aから第2の吹出口22Aへの風路が閉じられる。
【0056】
ここで、換気風路形成枠部281Aは、循環位置にある分流ダンパ6Aの第1の吹出口開閉部61Aと対向する部位が、第1の吹出口開閉部61Aの上面65Aに沿った形状で開口する。これにより、分流ダンパ6Aが循環位置に移動すると、換気吹出口23Aから第2の吹出口22Aへの風路が閉じられる。これにより、第1の吹出口21Aが開き、第2の吹出口22Aと換気吹出口23Aが閉じられて、循環換気吸込口20Aから第1の吹出口21Aへ連通した循環風路が形成される。
【0057】
分流ダンパ6Aは、換気位置に移動すると、第1の吹出口開閉部61Aが第1の吹出口21Aを閉じる。また、第1の吹出口開閉部61Aが吹出風路28Aから退避し、第1の吹出口開閉部61Aで換気吹出口23Aを開く。
【0058】
更に、分流ダンパ6Aは、換気位置では、第2の吹出口開閉部62Aの逆流防止部63Aが第2の吹出口22Aの壁面に接して、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口22Aを閉じる。これにより、換気吹出口23Aが開き、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aが閉じられて換気風路が形成される。
【0059】
これに対し、分流ダンパ6Aは、循環換気位置に移動すると、第1の吹出口開閉部61Aが吹出風路28Aの上下方向における中間付近に位置し、第1の吹出口21Aと換気吹出口23Aの両方を開く。
【0060】
分流ダンパ6Aが循環換気位置に移動すると、第1の吹出口開閉部61Aの上面65Aに沿って、吹出風路28Aから換気吹出口23Aに連通する換気風路が形成される。また、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口22Aを開くことで、第1の吹出口開閉部61Aの上面65Aに沿って、吹出風路28Aから第2の吹出口22Aに連通する循環風路が形成される。
【0061】
更に、分流ダンパ6Aが循環換気位置に移動すると、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口流入部24Aを開き、第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aに沿って、吹出風路28Aから第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aの両方に連通する循環風路が形成される。これにより、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aと、換気吹出口23Aの双方が開き、循環風路と換気風路の双方が形成される。
【0062】
従って、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、1つの循環換気ファン2Aで、浴室100内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を浴室100内に吹き出す動作、吸い込んだ空気を室外に排気する動作、吸い込んだ空気の一部を浴室100内に吹き出し、残部を室外に排気する動作が行われる。
【0063】
また、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、1つの分流ダンパ6Aで、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aと、換気吹出口23Aの開閉動作が行われる。
【0064】
【0065】
分流ダンパ6Aは、風路幅拡大部280Aでの空気の流れを規制する流入規制部66Aを備える。流入規制部66Aは、第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aに設けられる。第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aは凹状であり、流入規制部66Aは、この凹状の面から突出する形状で略平坦状に構成される。
【0066】
分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aにおいて、流入規制部66Aが設けられていない非形成部位の下面64Aで、第1の吹出口21Aに分流された空気をガイドする分流ガイド面67Aが構成される。
【0067】
分流ダンパ6Aは、分流ガイド面67Aの幅LBが、第1の吹出口開閉部61Aの先端610A側では、舌部27A1と第2の風路形成部27A12との間の長さと同等程度の幅、軸60Aの側では、第1の吹出口21Aと同等程度の幅となるように構成される。
【0068】
このため、流入規制部66Aは、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aから、軸60Aの側に向けて、流入規制部66Aの幅LCが狭くなる形状で構成され、空気の流れに対して上流側となる第1の吹出口開閉部61Aの先端610A側では、軸60Aに沿った方向に広がる空気の流れを規制する。
【0069】
図6Aは、本実施の形態の羽根車の一例を示す平面図、
図6Bは、本実施の形態の羽根車の一例を示す側断面図である。羽根車25Aは、多翼の羽根部250Aと、羽根部250Aが設けられた羽根支持部251Aを備える。羽根部250Aは、羽根車25Aの回転軸方向に沿って所定の高さを有すると共に、羽根車25Aの径方向に沿って所定の幅を有し、矢印Fで示す羽根車25Aの回転方向に対して前向きに傾斜した複数枚の羽根252Aが設けられる。
【0070】
羽根部250Aは、複数枚の羽根252Aが、羽根車25Aの回転軸方向に沿って羽根支持部251Aの一の側に立設された形態で、羽根支持部251Aの外周に沿って円周方向に並列されて構成される。
【0071】
羽根支持部251Aは、
図1に示す循環換気ファンモータ26Aを覆うモータケース260Aが入る凸状に構成される。羽根支持部251Aは、空気が通る空気流入穴253Aを備える。
【0072】
空気流入穴253Aは、羽根支持部251Aを貫通する複数の開口を、羽根車25Aの円周方向に並列して構成される。空気流入穴253Aは、矢印Fで示す羽根車25Aの回転方向に対して下流側の辺部254Aが、空気の流れる方向に対して所定の方向に傾斜する。空気流入穴253Aの辺部254Aは、本例では、径方向の内側に対し、径方向の外側が後退する方向に傾斜する。空気流入穴253Aは、羽根車25Aの回転方向に対して上流側の辺部255Aも同様に、径方向の内側より外側が後退する方向に傾斜する。
【0073】
羽根支持部251Aにおいては、空気流入穴253Aの辺部254Aが、羽根車25Aの回転方向に対して上流側の辺部となり、隣設する空気流入穴253Aの辺部255Aが、羽根車25Aの回転方向に対して下流側の辺部となる。
【0074】
これにより、羽根車25Aは、羽根支持部251Aも、径方向の内側より外側が後退する方向に傾斜し、かつ、羽根車25Aの回転方向に対して上流側の辺部と下流側の辺部が略平行に延在するので、循環換気ファンモータ26Aの冷却に必要な開口面積が確保される。
【0075】
図7は、本実施の形態の羽根の形状の詳細例を示す平面図である。羽根252Aの形状を特定するにあたり、羽根252Aの入口角をβ1、羽根252Aの出口角をβ2、羽根252Aの内径をD1、羽根252Aの外径をD2と称す。また、羽根252Aの中心線O
Lからの傾き角をθ、羽根252Aの長さをL、羽根252Aの厚さをtと称す。
【0076】
羽根252Aの入口角β1は、羽根252Aの内径D1で規定される第1の仮想円C1の接線C11と、内径近傍における羽根252Aとのなす角である。羽根252Aの出口角β2は、羽根252Aの外径D2で規定される第2の仮想円C2の接線C12と、外径近傍における羽根252Aとのなす角である。
【0077】
羽根252Aは、入口角β1が60°以上80°以下、出口角β2が130°以上150°以下であることが好ましい。なお、浴室換気乾燥暖房機1Aにおいて想定される羽根252Aの外径D2は150mm以上200mm以下程度、羽根252Aの長さLは10mm以上20mm以下程度、羽根252Aの厚さtは1mm以上2mm以下程度である。また、羽根252Aの傾き角θは、-5°以上30°以下であることが好ましい。
【0078】
図8は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の一例を示す分解斜視図である。浴室換気乾燥暖房機1Aは、外部からの図示しない電源線等が接続される端子台8Aを備える。端子台8Aは、端子台支持部80Aの一方の端部に設けられ、端子台支持部80Aの他方の端部が、軸81Aにより本体部3Aに回転可能に支持される。
【0079】
端子台8Aは、端子台支持部80Aに把持部82Aが設けられ、本体部3Aの一方の側からの操作で、端子台8Aの向きを、本体部3Aの他方の側から一方の側へ変えることができる。これにより、本体部3Aの設置後に、端子台8Aの向きを変える操作が容易に行える。
【0080】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、端子台8A及び端子台支持部80Aを覆う端子台カバー83Aを備える、端子台カバー83Aは金属ケース31Aの上面に取り付けられ、金属で構成される。端子台カバー83Aは、端子台支持部80Aの軸81Aと対向する位置が、図示しない封止部材で封止され、水分等の侵入が抑制される。
【0081】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、循環換気ファンモータ26Aの駆動部が実装された基板9Aと、基板9Aの周囲を覆う基板カバー90Aと、基板9Aの下面を覆う基板シャーシ91Aを備える。基板9Aは、基板シャーシ91Aを介して本体シャーシ30Aに取り付けられる。基板シャーシ91Aは、金属で構成される。
【0082】
基板カバー90Aは、難燃性の樹脂で構成され、基板9Aの側部を覆う形状を有する。基板カバー90Aは、外周に沿って図示しない配線を保持、誘導する配線ガイド92Aを備える。また、基板カバー90Aは、端子台支持部80Aの軸81Aの周囲を覆う壁部93Aを備える。端子台8Aは、軸81Aを支点に端子台支持部80Aが回転可能な構造であり、端子台支持部80Aの回転を許容するための開口を金属ケース31Aに設ける必要がある。そこで、端子台支持部80Aの軸81Aの周囲を覆う壁部93Aを基板カバー90Aに備えることで、金属ケース31Aの内部への水分、埃等の侵入が抑制される。
【0083】
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の設置例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aの設置例について説明する。
【0084】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、
図4A、
図4Bに示すように、浴室100の天井パネル101に設置される。浴室100の天井パネル101には、浴室換気乾燥暖房機1Aの本体部3Aが取り付けられる開口部が形成され、浴室換気乾燥暖房機1Aは、例えば、フランジ部32Aが図示しないネジで天井裏に設けられた補強部材に固定される形態で、天井パネル101に取り付けられる。
【0085】
そして、浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3Aの下面にフロントパネル4Aが取り付けられ、フロントパネル4Aの吸込口グリル40Aと、第1の吹出口グリル41A及び第2の吹出口グリル42Aが、浴室100内に面して配置される。
【0086】
浴室100の天井パネル101に設置された浴室換気乾燥暖房機1Aは、本体部3Aの排気ダクトジョイント34Aに排気ダクト102が取り付けられる。排気ダクト102は、浴室100が設置される図示しない建物の外壁に取り付けられる屋外グリル102aと接続され、浴室換気乾燥暖房機1Aは、排気ダクト102を介して屋外とつながっている。
【0087】
浴室100は、浴槽103と洗い場104を備える。浴槽103は一般的に長方形であり、浴槽103と洗い場104は、浴槽103の短手方向に沿って並んでいる。
【0088】
浴室100は、浴槽103の上部に物干し部材であるランドリパイプ105を備える。ランドリパイプ105は、浴槽103の長手方向に沿って延び、浴室100の対向する壁面106a,106b間に取り付けられる。
【0089】
なお、浴室100に設置されるランドリパイプ105の本数は、1本または2本程度であり、本例では、1本のランドリパイプ105が配置された例を示す。また、物干し部材は、洗濯物等の被乾燥物が乾燥できるようになっていれば、パイプ状の部材に限らず、紐状であっても良く、他のものであっても良い。
【0090】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、第1の吹出口グリル41A及び第2の吹出口グリル42Aの長手方向の向きが、ランドリパイプ105の長手方向に対して直交する向きで、浴槽103の上部に設置される。
【0091】
これにより、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気は、主にランドリパイプ105と直交する方向に広がる。これに対して、第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気は、第2の吹出口グリル42Aが設けられる側の浴室100の壁面106aに向けられる。
【0092】
<本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機の動作例>
図9~
図11は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における分流ダンパの動作を示す説明図、
図12A、
図12Bは、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機における浴室内の空気の流れを示す説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房機1Aの動作例について説明する。
【0093】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、暖房運転モードでは、分流ダンパ6Aを
図9に示す循環位置にして、ヒータ5Aに通電すると共に、循環換気ファンモータ26Aを駆動して羽根車25Aを回転させる。
【0094】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25Aが回転することで、フロントパネル4Aの吸込口グリル40Aから、浴室100内の空気が循環換気吸込口20Aに吸い込まれる。
【0095】
暖房運転モードでは、分流ダンパ6Aが循環位置にあるので、循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気の略全量が、第1の吹出口21Aへと流れる。暖房運転モードでは、第1の吹出口21Aに流れる空気は、ヒータ5Aによって加熱されることで、フロントパネル4Aの第1の吹出口グリル41Aから温風が吹き出される。
【0096】
暖房運転モードでは、分流ダンパ6Aが循環位置にあるので、浴室100内の空気は換気されない。これにより、暖房運転モードでは、第1の吹出口グリル41Aから温風を吹き出しながら、浴室100内の空気が循環されることで、浴室100内の温度を入浴に適した温度に上昇させることができる。
【0097】
また、分流ダンパ6Aが循環位置にあると、換気吹出口23Aに加えて第2の吹出口流入部24Aが塞がれるので、第2の吹出口22Aからヒータ5Aを通らない空気が吹き出されない。これにより、入浴中に実行される暖房運転モードであっても、ヒータ5Aで暖められていない空気が吹き出されることがなく、入浴者が寒さを感じることが無い。
【0098】
更に、分流ダンパ6Aが循環位置にあると、換気吹出口23Aに連通した換気風路形成枠部281Aが分流ダンパ6Aで塞がれるので、外気が第2の吹出口22Aから浴室100内に逆流することを防ぐことができる。
【0099】
図13は、空気の流れを示す説明図で、次に、本実施の形態の分流ダンパ6Aの作用効果について説明する。分流ダンパ6Aが循環位置に移動すると、第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aが循環風路に対向する。分流ダンパ6Aは、第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aに設けられる分流ガイド面67Aが、空気の流れる方向に沿った凹状の面で構成され、流入規制部66Aが、分流ガイド面67Aから循環風路側に突出する形状で構成される。
【0100】
流入規制部66Aは、第1の吹出口開閉部61Aの先端610Aから、軸60Aの側に向けて、流入規制部66Aの幅が狭くなる形状で構成され、分流ガイド面67Aの幅が、第1の吹出口開閉部61Aの先端610A側では、舌部27A1と第2の風路形成部27A12との間の長さと同等程度の幅、軸60Aの側では、第1の吹出口21Aと同等程度の幅となるように構成される。
【0101】
これにより、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る
図13に矢印W1で示す空気の流れが、分流ガイド面67Aで広げられ、矢印W2L、矢印W2Rで示すように、第1の吹出口21Aの幅方向の全体にわたり空気が通り、通気抵抗の増加が抑制される。また、風路幅拡大部280Aの容積が流入規制部66Aにより減少し、第1の吹出口21Aが設けられている部位以外の風路幅拡大部280Aでは空気が流れにくくなるので、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る空気が、
図13に破線の矢印W3で示すように、風路幅拡大部280Aで乱流となることが流入規制部66Aで抑制される。更に、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る空気の流れが、風路高拡大部282Aでも広げられ、通気抵抗の増加が抑制される。
【0102】
従って、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることなく、所定の風量を確保することができ、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることに伴う音の増加を抑制することができる。流入規制部66Aを備えていない従来の分流ダンパを備えた構成と比較して、音量を0.2dB~0.3dB程度低減できる。
【0103】
浴室換気乾燥暖房機1Aの他の運転モードについて説明すると、浴室換気乾燥暖房機1Aは、換気運転モードでは、分流ダンパ6Aを
図10に示す換気位置にし、ヒータ5Aを非駆動として、循環換気ファンモータ26Aを駆動して羽根車25Aを回転させる。
【0104】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25Aが回転することで、フロントパネル4Aの吸込口グリル40Aから、浴室100内の空気が循環換気吸込口20Aに吸い込まれる。
【0105】
換気運転モードでは、分流ダンパ6Aが換気位置にあるので、第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aが塞がれ、循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気の略全量が換気吹出口23Aへと流れ、屋外へ排気される。従って、換気運転モードでは、浴室100内の湯気や湿気を排出して結露等を抑制し、カビの発生を抑えることができる。
【0106】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、乾燥運転モードでは、分流ダンパ6Aを
図11に示す循環換気位置にし、循環換気ファンモータ26Aを駆動して羽根車25Aを回転させると共に、ヒータ5Aに通電する。
【0107】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25Aが回転すると、フロントパネル4Aの吸込口グリル40Aから、浴室100内の空気が循環換気吸込口20Aに吸い込まれる。
【0108】
乾燥運転モードでは、分流ダンパ6Aが循環換気位置にあるので、吹出風路28Aでは、循環換気吸込口20Aから第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aへ連通した循環風路と、循環換気吸込口20Aから換気吹出口23Aへ連通した換気風路の双方が形成されている。
【0109】
これにより、羽根車25Aが回転することで循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気RAの一部は、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aへと流れる。また、循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気の残部は、換気吹出口23Aへと流れ、排気ダクト102を通り屋外グリル102aから排気EAとして屋外へ排気される。
【0110】
乾燥運転モードでは、第1の吹出口21Aに流れる空気は、ヒータ5Aによって加熱されることで、フロントパネル4Aの第1の吹出口グリル41Aから温風HAが吹き出される。第2の吹出口22Aに流れる空気は、ヒータ5Aを通らないので、フロントパネル4Aの第2の吹出口グリル42Aから、室温に応じた空気Aが吹き出される。
【0111】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気は、ランドリパイプ105の長手方向及びランドリパイプ105と直交する方向に広がる。
【0112】
但し、浴室換気乾燥暖房機1Aは、第1の吹出口グリル41Aの長手方向がランドリパイプ105と直交する向きに配置されるので、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気は、主にランドリパイプ105に直交する方向に広がる。
【0113】
このため、第1の吹出口グリル41Aの直下近傍のランドリパイプ105に掛けられた衣類等の被乾燥物に対しては、幅方向の全体に温風が当てられる。これに対して、第1の吹出口グリル41Aの直下から離れた位置のランドリパイプ105に掛けられた被乾燥物に対しては、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される温風が直接は当たりにくい。
【0114】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気Aは、第1の吹出口グリル41Aに対して第2の吹出口グリル42Aが設けられる側の浴室100の壁面106aに向けられる。
【0115】
これにより、
図12Aに示すように、乾燥モードで第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気Aは、浴室100の一方の壁面106aに当てられ、矢印A1に示すように壁面106aに沿って下方に流れる。壁面106aに沿って下方に流れる空気は、矢印A2に示すように、浴室100の下層付近を、主に他方の壁面106bに向かって流れる。
【0116】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、吸込口グリル40Aから吸い込まれる空気RAによって、浴室100内で空気を循環させる流れを生じさせているので、浴室100の下層付近を他方の壁面106bに向かって流れる空気は、矢印A3に示すように壁面106bに沿って上方に流れ、吸込口グリル40Aから吸い込まれる。
【0117】
このように、浴室換気乾燥暖房機1Aでは、第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気によって、浴室100の一方の壁面106aに沿って下方に向かい、浴室100の下層付近を他方の壁面106bに向かい、他方の壁面106bに沿って上方に向かう空気の流れを発生させることができる。
【0118】
乾燥運転モードで浴室換気乾燥暖房機1Aの第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気は、ヒータ5Aで加熱された温風で、相対湿度が下げられているので、第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気に比べ軽い。
【0119】
このため、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気に比べ重い第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気は、浴室100の下層まで流れ、浴室100内の全体に、空気を攪拌する風の流れを生じさせることができる。
【0120】
これにより、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される温風が、直接は当たりにくい第1の吹出口グリル41Aの直下から離れた位置のランドリパイプ105に掛けられた被乾燥物付近にも、空気の流れを生じさせることができる。
【0121】
また、分流ダンパ6Aが循環換気位置に移動すると、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口22Aを開くことで、第1の吹出口開閉部61Aの上面65Aに沿って、吹出風路28Aから第2の吹出口22Aに連通する循環風路が形成される。
【0122】
更に、分流ダンパ6Aが循環換気位置に移動すると、第2の吹出口開閉部62Aが第2の吹出口流入部24Aを開くことで、第1の吹出口開閉部61Aの下面64Aに沿って、吹出風路28Aから第1の吹出口21Aと第2の吹出口22Aの両方に連通する循環風路が形成される。
【0123】
これにより、第2の吹出口22Aから、分流ダンパ6Aの第1の吹出口開閉部61Aの上面65Aに沿って流れる空気と、下面64Aに沿って流れる空気が吹き出され、風速を上げることができる。
【0124】
更に、分流ダンパ6Aが循環換気位置に移動した場合も、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る空気の流れが、分流ガイド面67Aで広げられ、第1の吹出口21Aの幅方向の全体にわたり空気が通り、通気抵抗の増加が抑制される。また、第2の風路形成部27A12と舌部27A1との間を通る空気が、風路幅拡大部280Aで乱流となることが流入規制部66Aで抑制される。
【0125】
従って、第2の吹出口22Aから吹き出される空気についても、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることなく、所定の風量、風速を確保することができ、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることに伴う音の増加を抑制することができる。
【0126】
浴室換気乾燥暖房機1Aは、循環換気運転モードでは、分流ダンパ6Aを
図11に示す循環換気位置にし、ヒータ5Aを非駆動として、循環換気ファンモータ26Aを駆動して羽根車25Aを回転させる。ここで、上述した乾燥運転モードと循環換気運転モードでは、循環換気運転モードの方が、屋外へ排気される風量である換気風量が多くなるように、分流ダンパ6Aの開度を換気吹出口23Aの開度が広くなる位置に変更しても良い。
【0127】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、羽根車25Aが回転することで、フロントパネル4Aの吸込口グリル40Aから、浴室100内の空気が循環換気吸込口20Aに吸い込まれる。
【0128】
循環換気運転モードでは、分流ダンパ6Aが循環換気位置にあるので、循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気の一部は、第1の吹出口21A及び第2の吹出口22Aへと流れる。また、循環換気吸込口20Aから吸い込まれた浴室100の空気の残部は、換気吹出口23Aへと流れ、屋外へ排気される。
【0129】
循環換気運転モードでは、第1の吹出口21Aに流れる空気は、ヒータ5Aが非駆動であるので、フロントパネル4Aの第1の吹出口グリル41Aから、室温に応じた空気CAが吹き出される。第2の吹出口22Aに流れる空気は、ヒータ5Aを通らないので、フロントパネル4Aの第2の吹出口グリル42Aから、室温に応じた空気Aが吹き出される。
【0130】
浴室換気乾燥暖房機1Aでは、
図12Bに示すように、循環換気運転モードでも、第2の吹出口グリル42Aから吹き出される空気によって、浴室100の一方の壁面106aに沿って下方に向かい、浴室100の下層付近を他方の壁面106bに向かい、他方の壁面106bに沿って上方に向かう空気の流れを発生させることができる。
【0131】
これにより、循環換気運転モードでも、浴室100内の全体に、空気を攪拌する風の流れを生じさせることができ、浴室100内で、第1の吹出口グリル41Aから吹き出される空気が直接は当たりにくいような場所でも、空気の流れを生じさせることができる。
【0132】
従って、浴室100の各壁面、床面等の乾燥時間を短縮することができる。また、浴室100内の空気の一部は屋外に排気されて換気が行われるので、湿気等を排出して、浴室100の各壁面、床面等の乾燥を促進することができる。
【0133】
なお、第2の吹出口22A方向に流れる空気の一部を、フロントパネル4Aの内面に流せる構成としても良く、このような構成とすることで、フロントパネル4Aの内面で発生する結露水等の滞留を抑制することができる。
【0134】
次に、本実施の形態の羽根車25Aの作用効果について説明する。羽根車25Aは、羽根支持部251Aが、循環換気ファンモータ26Aを覆うモータケース260Aが入る凹状に構成され、羽根支持部251Aの外周に沿って、羽根252Aが立設された形態で設けられる。
【0135】
このように、羽根支持部251Aで支持される羽根252Aの上側の部分の内側に羽根支持部251Aが位置するため、羽根252Aの上側の部分に空気が流れにくく、羽根支持部251Aに空気が通ることが可能な空気流入穴が設けられていない構成では、羽根252Aの高さ方向の全体にわたり空気が通らず、通気抵抗が増加する。
【0136】
これに対し、羽根支持部251Aに空気が通ることが可能な空気流入穴を設けることで、羽根252Aの高さ方向の全体にわたり空気が通るようになり、通気抵抗が減少する。但し、羽根車の回転方向に対して、空気流入穴の下流側の辺部が、空気の流れる方向に対して略直交する従来の構成では、空気流入穴の下流側の辺部に集中して空気が当たることで通気抵抗が大きくなる。また、通気抵抗が大きくなることで、所謂風切音、脈動音が発生する。
【0137】
そこで、本実施の形態の羽根車25Aは、
図6Aに示すように、矢印Fで示す羽根車25Aの回転方向に対して、空気流入穴253Aの下流側の辺部254Aが、空気の流れる方向に対して所定の方向に傾斜する。本例では、径方向の内側に対し、径方向の外側が後退する方向に傾斜する。これにより、羽根車25Aが回転する際に、空気流入穴253Aの下流側の辺部254Aに集中して空気が当たることが抑制され、通気抵抗の増加が抑制される。また、羽根252Aの高さ方向の全体にわたり、羽根252Aの間を空気が通るようになる。更に、風切音、脈動音の発生が抑制される。そして、羽根車25Aの回転数を上げることなく、風量を確保でき、音の発生を抑制できると共に、空気流入穴253Aを通る空気が流れやすくなって、循環換気ファンモータ26Aの冷却能力が向上する。
【0138】
次に、羽根252Aの形状による作用効果について説明する。浴室換気乾燥暖房機1Aでは、循環換気吸込口20Aから循環換気ファン2Aに吸い込まれる空気はフィルタを通過する。但し、フィルタで捕捉できない埃等が羽根車25Aの羽根252Aに付着する可能性がある。羽根に埃等が付着すると、羽根車が回転することによる遠心力で埃が剥離し、埃の塊が吹出口から落下する可能性がある。また、羽根に埃等が付着すると、羽根の間を通る空気の通気抵抗が増加し、風量が低下する可能性がある。風量の低下を抑制するためには、羽根車の回転数を上げる必要があり、音が大きくなる。
【0139】
そこで、羽根車25Aの羽根252Aは、
図7に示す入口角β1が60°以上80°以下、出口角β2が130°以上150°以下であることが好ましい。入口角β1、出口角β2が上述した範囲であると、羽根252Aへの埃の付着が抑制される。入口角β1が90°、出口角β2が160°の従来の羽根車を使用した構成と比較すると、従来の羽根車における羽根への埃の付着量を100%とした場合、埃の付着量を30%~70%程度に減少させることができる。
【0140】
このように、羽根252Aへの埃等の付着を減少させることができることから、埃が堆積して埃の塊となることを抑制でき、埃の塊が吹出口から落下することが抑制される。また、羽根252Aに付着する埃の量を減少させることができるので、埃の堆積による羽根車25Aの重量の増加や、羽根車25Aの重心が偏ることを抑制でき、羽根車25Aが回転する際の振動や音の発生を抑制できる。更に、羽根252Aの間を通る空気の通気抵抗の増加が抑制され、羽根車25Aの回転数を上げることなく、風量を確保でき、音の発生を抑制できる。
【0141】
また、入口角β1、出口角β2が上述した範囲であると、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることなく、所定の風量を確保することができ、循環換気ファンモータ26Aの回転数を上げることに伴う音の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0142】
1A・・・浴室換気乾燥暖房機(送風装置)、2A・・・循環換気ファン(送風ファン)、20A・・・循環換気吸込口(吸込口)、21A・・・第1の吹出口(循環吹出口)、22A・・・第2の吹出口(循環吹出口)、23A・・・換気吹出口、25A・・・羽根車、250A・・・羽根部、251A・・・羽根支持部、252A・・・羽根、253A・・・空気流入穴、254A・・・辺部、255A・・・辺部、26A・・・循環換気ファンモータ、260A・・・モータケース、27A・・・循環換気ファンケース(ケース部)、27A1・・・舌部、27A11・・・第1の風路形成部、27A12・・・第2の風路形成部、270A・・・内面、28・・・吹出風路、280A・・・風路幅拡大部、281A・・・換気風路形成枠部、282A・・・風路高拡大部、3A・・・本体部、30A・・・本体シャーシ、31A・・・金属ケース、32A・・・フランジ部、33A・・・下カバー、330A・・・内面、4A・・・フロントパネル、40A・・・吸込口グリル、41A・・・第1の吹出口グリル、42A・・・第2の吹出口グリル、5A・・・ヒータ、6A・・・分流ダンパ(分流部材)、60A・・・軸、61A・・・第1の吹出口開閉部(吹出口開閉部)、62A・・・第2の吹出口開閉部、63A・・・逆流防止部、64A・・・下面(一の面)、65A・・・上面、66A・・・流入規制部、67A・・・分流ガイド面、610A・・・先端、100・・・浴室