(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/10 20060101AFI20240220BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20240220BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65H7/10
B65H9/00 A
G03G15/00 447
(21)【出願番号】P 2022545489
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2021024746
(87)【国際公開番号】W WO2022044535
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020142287
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】上野 康則
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-208949(JP,A)
【文献】特開2012-096895(JP,A)
【文献】特開2017-100828(JP,A)
【文献】特開2016-013905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路に沿って搬送するシート搬送部と、
前記シート搬送部の下流側において、前記シートを排出口から排出トレイへ排出するシート排出部と、
前記搬送路に配置され、前記シートをシート搬送方向に直交する幅方向に沿って移動させるシートシフト部と、
前記搬送路における前記シートの前記幅方向の位置を検出する搬送位置検出部と、を有し、
前記排出トレイにおいて、前記排出トレイ上に排出された前記シートの前記幅方向の排出位置を検出する排出位置検出部と、
前記シートの搬送を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記排出位置検出部の検出結果に基づき、前記シートの排出位置と前記シート排出部における前記幅方向の基準となる排出基準位置とのズレ量を導出し、前記ズレ量に応じて前記シートシフト部を制御することによって前記シート搬送部における前記シートの搬送位置を補正する、シート搬送装置。
【請求項2】
前記排出トレイ上において前記幅方向に沿って相互に近接する内方向または相互に離隔する外方向へ移動可能に支持され、前記シートの両側から前記排出基準位置へ移動することによって前記シートを前記排出基準位置で整合する一対のカーソルと、
前記シートが前記排出トレイへ排出されたときに前記一対のカーソルを予め設定されるシート幅に対応する前記排出基準位置に対し外側の退避位置から前記排出基準位置へ移動させるカーソル移動機構と、をさらに備え、
前記排出位置検出部は、
前記一対のカーソルそれぞれが前記シートの側端と接触したことを検出する一対のカーソル接触センサーと、
前記一対のカーソルが前記退避位置から前記排出基準位置へ向けて移動を開始してから前記一対のカーソル接触センサーの一方によって最初に前記一対のカーソルの一方と前記シートの側端との接触が検出されるまでの検出時間を計測する計測部と、を備え、
前記制御部は、前記一対のカーソルが前記退避位置から前記
排出基準位置に対応する基準時間と前記検出時間との差に応じて前記ズレ量を導出する、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記一対のカーソル接触センサーはそれぞれ圧力センサーである、請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シートシフト部は、
回転を停止しているときに当接してくる前記シートのスキューを補正した後、一時回転してから停止することにより前記シートを保持するレジストローラー対と、
前記シートを保持する前記レジストローラー対を前記幅方向に沿って移動させるローラーシフト部と、を備え、
前記
搬送位置検出部は、
前記レジストローラー対に保持された前記シートを検出するシート検出センサーと、
前記シート検出センサーを支持し、前記シート検出センサーを前記幅方向に沿って移動させるセンサーシフト部と、を備え、
前記シート検出センサーは、前記ローラーシフト部が前記レジストローラーを移動させているときに前記シートを検出することにより、前記シートの前記幅方向の位置を検出し、
前記制御部は、前記センサーシフト部を制御することにより、前記シート検出センサーを
予め設定される搬送基準位置へ移動させ、さらに、前記ローラーシフト部を制御することにより、前記レジストローラーを移動させているときに前記シート検出センサーの検出結果が予め定められた変化を示したときに前記レジストローラーの移動を停止させる、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記排出口は、前記シート排出部を内包する筐体に形成された複数の排出口を含み、
前記排出トレイは、前記複数の排出口に対応する複数の排出トレイを含み、
前記排出位置検出部は、前記複数の排出トレイに対応する複数の排出位置検出部を含み、
前記制御部は、複数の前記排出トレイから前記シートの排出先を選択し、選択された前記排出先に前記シートを排出する処理を前記シート排出部に実行させ、さらに前記複数の排出位置検出部のうち選択された前記排出先に対応する1つの検出結果に応じて前記シートの搬送位置を補正する、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シートに画像を形成するプリント装置と、
画像形成後の前記シートを搬送する請求項1に記載のシート搬送装置と、
前記プリント装置に連結され、前記プリント装置から排出された前記シートを搬送する中継搬送装置と、
前記中継搬送装置に連結され、前記中継搬送装置から排出される前記シートに後処理を施し、さらに前記シートを前記排出トレイに積載する後処理装置と、を備え、
前記シート搬送部は、前記中継搬送装置に設けられ、
前記シート排出部は、前記後処理装置に設けられている、画像形成装置。
【請求項7】
前記中継搬送装置は、並列に配置された2つの並列搬送路を備え、
前記シートシフト部および前記搬送位置検出部は、前記2つ並列搬送路のそれぞれに設けられ、
前記制御部は、前記プリント装置により連続プリント処理が実行される場合に、画像が形成された前記シートを前記2つの並列搬送路へ交互に案内する、請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの幅方向の位置ズレを修正する機構を備えるシート搬送装置およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、シート搬送装置がシートを搬送しているときに、前記シートの幅方向の位置がずれる場合がある。
【0003】
また、前記シート搬送装置が、前記シートの幅方向の位置を修正するシート補正機構を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記シート補正機構の後段における前記シートの搬送路が長い場合、前記シートが排出トレイへ排出されるまでに、前記シートの幅方向の位置が再びずれるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、シートの搬送路におけるシート補正機構から排出トレイまでの過程で生じる前記シートの幅方向の位置ズレを修正することができるシート搬送装置およびそれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るシート搬送装置は、シート搬送部と、シート排出部と、シートシフト部と、搬送位置検出部と、排出位置検出部と、制御部と、を備える。前記シート搬送部は、シートを搬送路に沿って搬送する。前記シート排出部は、前記シート搬送部の下流側において、前記シートを排出口から排出トレイへ排出する。前記シートシフト部は、前記搬送路に配置され、前記シートをシート搬送方向に直交する幅方向に沿って移動させる。前記搬送位置検出部は、前記搬送路における前記シートの前記幅方向の位置を検出する。前記排出位置検出部は、前記シート排出部において、前記排出トレイ上に排出された前記シートの前記幅方向の排出位置を検出する。前記制御部は、前記シートの搬送を制御する。前記制御部は、前記排出位置検出部の検出結果に基づき、前記シートの排出位置と前記シート排出部における前記幅方向の基準となる排出基準位置とのズレ量を導出し、前記ズレ量に応じて前記シートシフト部を制御することによって前記シート搬送部における前記シートの搬送位置を補正する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成するプリント装置と、画像形成後の前記シートを搬送する前記シート搬送装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの搬送路におけるシート補正機構から排出トレイまでの過程で生じる前記シートの幅方向の位置ズレを修正することができるシート搬送装置およびそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシート搬送装置を備える画像形成装置の構成を表す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るシート搬送装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るシート搬送装置におけるシート補正機構の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るシート搬送装置における排出シート整合機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置10の構成]
図1に示されるように、実施形態に係るシート搬送装置6は、画像形成装置10の一部を構成している。画像形成装置10は、プリント装置1、中継搬送装置2および後処理装置3を備える。
【0013】
本実施形態において、シート搬送装置6は、プリント装置1の一部と、中継搬送装置2の一部と、後処理装置3の一部とにより構成されている。
【0014】
図2に示されるように、画像形成装置10は、プリント装置1、中継搬送装置2および後処理装置3を制御する制御装置8をさらに備える。
【0015】
プリント装置1内には一次搬送路1xが形成されており、中継搬送装置2内には二次搬送路2xが形成されており、後処理装置3内には三次搬送路3xが形成されている。一次搬送路1x、二次搬送路2xおよび三次搬送路3xは、それぞれシート9が搬送される通路である。
【0016】
プリント装置1は、シート収容部11、一次搬送機構12およびプリント部13を備える。一次搬送機構12は、シート収容部11に収容されたシート9を1枚ずつ一次搬送路1xへ送り出し、さらにシート9を一次搬送路1xに沿って搬送する。
【0017】
プリント部13は、一次搬送路1xに沿って搬送されるシート9に画像を形成するプリント処理を実行する。
図1に示されるプリント部13は、インクジェット方式で前記プリント処理を実行する。プリント部13が、電子写真方式などの他の方式で前記プリント処理を実行する装置であってもよい。
【0018】
一次搬送機構12は、画像形成後のシート9を一次搬送路1xから中継搬送装置2内の二次搬送路2xへ送り出す。
【0019】
中継搬送装置2は、プリント装置1から搬入される画像形成後のシート9を後処理装置3へ転送する。中継搬送装置2は、二次搬送機構21および1つ以上のシート補正機構4を備える。
図1に示される例では、中継搬送装置2は2つのシート補正機構4を備える。
【0020】
二次搬送機構21は、プリント装置1から搬入されるシート9を二次搬送路2xに沿って搬送し、さらにシート9を後処理装置3へ送り出す。二次搬送機構21は、プリント装置1から搬入されたシート9の向きを維持したままシート9を後処理装置3へ送り出す順搬送処理と、プリント装置1から搬入されたシート9の向きを反転した上でシート9を後処理装置3へ送り出す反転搬送処理とを実行可能である。二次搬送機構21は、シート搬送部の一例である。
【0021】
図1において、前記順搬送処理が行われる場合のシート9の搬送経路の一例が破線矢印で示されており、前記反転搬送処理が行われる場合のシート9の搬送経路の一例が実線矢印で示されている。
【0022】
また、中継搬送装置2は、中間排出トレイ20を備える。二次搬送機構21は、プリント装置1から搬入されたシート9を中間排出トレイ20へ排出する途中排出処理も実行可能である。
図1において、前記途中排出処理が行われる場合のシート9の搬送経路が一点鎖線の矢印で示されている。
【0023】
以下の説明において、一次搬送路1x、二次搬送路2xおよび三次搬送路3xのそれぞれにおけるシート9の搬送方向に直交する水平な方向のことを第1方向D1と称し、第1方向D1に直交する水平な方向のことを第2方向D2と称する。
【0024】
第1方向D1は、一次搬送路1x、二次搬送路2xおよび三次搬送路3xのそれぞれに沿って搬送されるシート9の幅方向である。本実施形態において、画像形成装置10の前後方向が第1方向D1である。また、画像形成装置10の左右方向が第2方向D2である。
【0025】
シート補正機構4各々は、二次搬送路2xの途中に配置されている。シート補正機構4各々は、シート9を第1方向D1に沿って移動させる。
【0026】
画像形成装置10において、一次搬送機構12、二次搬送機構21および後処理装置3がシート9を搬送しているときに、シート9の第1方向D1の位置がずれる場合がある。シート補正機構4各々は、シート9の第1方向D1の位置ずれを修正する。
【0027】
二次搬送路2xは、分岐部2yから合流部2zへ亘って並列に形成された複数の並列搬送路20xを有する。二次搬送機構21は、分岐部2yに到達したシート9を複数の並列搬送路20xのいずれか1つへ選択的に案内する経路切替機構210を備える。
【0028】
経路切替機構210は、連続プリント処理が実行される場合に、分岐部2yへ順次搬送されてくる複数のシート9を予め定められた順番で複数の並列搬送路20xそれぞれへ案内する。前記連続プリント処理は、複数のシート9に対する前記プリント処理が連続して実行される。
【0029】
図1に示される例では、二次搬送路2xは、前記反転搬送処理が実行される場合のシート9の通路として2つの並列搬送路20xを有する。
【0030】
2つのシート補正機構4は、それぞれ二次搬送路2xの途中における2つの並列搬送路20xに配置されている。経路切替機構210は、前記連続プリント処理が実行される場合に、分岐部2yに到達したシート9を2つの並列搬送路20xへ交互に案内する。
【0031】
従って、先行するシート9に対するシート補正機構4の処理の終了を待つことなく、後続するシート9が他のシート補正機構4へ搬送される。その結果、前記連続プリント処理が実行されるときのシート9の搬送効率の悪化を回避することができる。
【0032】
後処理装置3は、三次搬送機構31と、1つ以上のシート加工機構32と、1つ以上の排出トレイ33とを備える。三次搬送機構31は、中継搬送装置2から搬入されるシート9を三次搬送路3xに沿って搬送し、さらに前記シート加工機構32を経たシート9を排出口30から排出トレイ33上へ排出する。排出口30は、三次搬送路3xの出口である。三次搬送機構31は、二次搬送機構21の下流側に配置されたシート排出部の一例である。排出口30は、三次搬送機構31を内包する後処理装置3の筐体に形成されている。
【0033】
本実施形態において、一次搬送機構12、二次搬送機構21および三次搬送機構31は、シート9を一次搬送路1x、二次搬送路2xおよび三次搬送路3xに沿って搬送し、さらにシート9を三次搬送路3xから排出トレイ33へ排出する搬送機構12,21,31を構成している。また、前記搬送機構12,21,31、シート補正機構4および排出シート整合機構5は、シート搬送装置6を構成している。
【0034】
図1に示される例において、シート加工機構32は、穿孔機構32a、ステープル機構32bおよびシート折り機構32cを含む。穿孔機構32aは、シート9に孔開け加工を施す。ステープル機構32bは、複数のシート9を重ねて整合し、さらに整合された複数のシート9にステープル加工を施す。シート折り機構32cは、1枚のシート9または複数枚重ねたシート9に折り目を付ける折り加工を施す。
【0035】
後処理装置3は、排出シート整合機構5をさらに備える。排出シート整合機構5は、排出トレイ33上に排出されたシート9の第1方向D1の位置を予め定められた基準位置に揃える。
【0036】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。
【0037】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0038】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0039】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0040】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、搬送制御部8b、プリント制御部8cおよび後処理制御部8dなどを含む。
【0041】
主制御部8aは、不図示の操作部に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、不図示の表示部に情報を表示させる制御などを実行する。
【0042】
搬送制御部8bは、シート搬送装置6を制御する。プリント制御部8cは、一次搬送機構12によるシート9の搬送に同期して、プリント部13に前記プリント処理を実行させる。後処理制御部8dは、シート加工機構32を制御する。
【0043】
図3に示されるように、本実施形態におけるシート補正機構4は、2組のレジストローラー対41と、ローラー駆動機構42と、ローラー支持部43と、第1シフト駆動部44と、シート検出センサー45と、センサー支持部46と、第2シフト駆動部47とを備える。
【0044】
レジストローラー対41は、ローラー支持部43によって回転可能に支持されている。ローラー駆動機構42は、レジストローラー対41を回転駆動する。レジストローラー対41は、シート9を挟んで回転することによりシート9を搬送する。搬送制御部8bは、ローラー駆動機構42を制御することにより、レジストローラー対41の回転および停止を制御する。
【0045】
ローラー支持部43は、レジストローラー対41およびローラー駆動機構42を支持し、第1方向D1に沿って移動可能に支持されている。ローラー支持部43は、二次搬送路2xの一部を形成するシートガイドを兼ねる。
【0046】
第1シフト駆動部44は、ローラー支持部43を第1方向D1に沿って移動させる機構である。ローラー支持部43および第1シフト駆動部44は、レジストローラー対41を第1方向D1に沿って移動させるローラーシフト部の一例である。また、レジストローラー対41、ローラー支持部43および第1シフト駆動部44は、シート9を第1方向D1に沿って移動させるシートシフト部の一例である。
【0047】
搬送制御部8bは、第1シフト駆動部44を制御することにより、レジストローラー対41によって保持されたシート9の第1方向D1の位置を調整する。
【0048】
シート検出センサー45は、レジストローラー対41に保持されたシート9を検出する。例えば、反射式フォトセンサーなどが、シート検出センサー45として採用される。
【0049】
センサー支持部46は、シート検出センサー45を支持し、第1方向D1に沿って移動可能に支持されている。第2シフト駆動部47は、センサー支持部46を第1方向D1に沿って移動させる機構である。センサー支持部46および第2シフト駆動部47は、センサーシフト部の一例である。搬送制御部8bは、第2シフト駆動部47を制御することにより、シート検出センサー45の第1方向D1の位置を調整する。
【0050】
そして、搬送制御部8bは、ローラー駆動機構42、第1シフト駆動部44および第2シフト駆動部47を制御する。シート補正機構4は、搬送制御部8bの制御に従って、シート補正機構4に到達したシート9のスキューを補正し、さらにシート9を第1方向D1の搬送基準位置へ移動させる。前記搬送基準位置は、シート9のサイズに応じて予め設定される第1方向D1の位置である。
【0051】
具体的には、搬送制御部8bは、シート9がシート補正機構4に到達する前に、レジストローラー対41の回転を停止させる。これにより、シート補正機構4に到達したシート9の先端がレジストローラー対41に当接する。これにより、レジストローラー対41は、回転を停止しているときに当接してくるシート9のスキューを補正する。
【0052】
さらに、搬送制御部8bは、レジストローラー対41を一時回転させてから停止させる。具体的には、搬送制御部8bは、シート9の先端が予め定められた調整位置P01に到達するまでレジストローラー対41を一時回転させた後に停止させる。これにより、レジストローラー対41は、シート9の先端が調整位置P01に存在する状態でシート9を保持する。
【0053】
調整位置P01は、レジストローラー対41に対しシート搬送方向の下流側の位置である。シート9の先端が調整位置P01に存在するときに、シート検出センサー45は、第1方向D1のいずれかの位置においてシート9を検出可能である。
【0054】
例えば、不図示のシートセンサーが、シート9がレジストローラー対41に対しシート搬送方向の上流側の所定の位置に到達したことを検出する。搬送制御部8bは、前記シートセンサーがシート9を検出してから予め定められた時間が経過したときに、レジストローラー対41を停止状態から予め定められた時間だけ一時的に回転させる。これにより、シート9は、その先端が調整位置P01に到達した状態で停止する。
【0055】
また、シート補正機構4のシート検出センサー45が、シート9の先端が調整位置P01に到達したことを検出するセンサーを兼ねてもよい。この場合、搬送制御部8bは、シート9がレジストローラー対41に到達する前に、シート検出センサー45を予め第1方向D1の待機位置P02へ変位させておく。
【0056】
シート検出センサー45は、待機位置P02に存在するときに、想定されるどのような幅のシート9が調整位置P01に到達した場合でもそのシート9を検出可能である。
【0057】
そして、搬送制御部8bは、待機位置P02に存在するシート検出センサー45がシート9を検出したときにレジストローラー対41を停止させる。これにより、シート9は、その先端が調整位置P01に到達した状態で停止する。
【0058】
さらに、搬送制御部8bは、第2シフト駆動部47を制御することにより、シート検出センサー45をシート9の搬送基準位置に対応する目標エッジ位置P1に移動させる。さらに、搬送制御部8bは、第1シフト駆動部44を制御することにより、レジストローラー対41を第1方向D1における予め定められた起点位置から終点位置へ向けて移動させる。
【0059】
例えば、前記起点位置は、レジストローラー対41の第1方向D1における移動可能範囲の一端の位置であり、前記終点位置は前記移動可能範囲の他端の位置である。
【0060】
そして、搬送制御部8bは、レジストローラー対41を第1方向D1に沿って移動させている状況下でシート検出センサー45の検出結果が予め定められたエッジ検出変化を示したときにレジストローラー対41の移動を停止させる。
【0061】
シート検出センサー45は、ローラー支持部43および第1シフト駆動部44がレジストローラー対41を移動させているときにシート9を検出することにより、シート9の第1方向D1の位置を検出する。シート検出センサー45、センサー支持部46および第2シフト駆動部47は、二次搬送路2xにおけるシート9の第1方向D1の位置を検出する搬送位置検出部の一例である。シート補正機構4は、第1方向D1におけるシート9の搬送位置を所定の前記搬送基準位置に補正する。
【0062】
前記起点位置から前記終点位置へ向かう方向が、シート9が目標エッジ位置P1へ近づく方向である場合、前記エッジ検出変化は、シート検出センサー45によってシート9が検出されない状態から検出される状態への変化である。
【0063】
前記起点位置から前記終点位置へ向かう方向が、シート9が目標エッジ位置P1から遠ざかる方向である場合、前記エッジ検出変化は、シート検出センサー45によってシート9が検出される状態から検出されない状態への変化である。
【0064】
シート検出センサー45の検出結果が前記エッジ検出変化を示したときにレジストローラー対41の移動が停止することにより、シート9の第1方向D1の位置が前記搬送基準位置に調整される。その後、レジストローラー対41は、搬送制御部8bの制御に従って回転することにより、シート9を後段へ搬送する。
【0065】
なお、二次搬送機構21は、レジストローラー対41に対してシート搬送方向の上流側に配置された不図示の前段ローラー対を備える。そして、シート9の先端が調整位置P01に到達した状態において、レジストローラー対41および前記前段ローラー対の両方がシート9を挟み込んでいる場合がある。
【0066】
上記の場合、二次搬送機構21は、前記前段ローラー対を離間させるローラー離間機構を備える。搬送制御部8bは、レジストローラー対41を第1方向D1に沿って移動させる前に、前記ローラー離間機構を制御することにより、前記前段ローラー対を離間させる。さらに、搬送制御部8bは、シート9の第1方向D1の位置の調整が終了したときに、前記ローラー離間機構を制御することにより、前記前段ローラー対を接触させる。
【0067】
図4に示されるように、排出シート整合機構5は、一対のカーソル51およびカーソル移動機構52を備える。
【0068】
一対のカーソル51は、後処理装置3のフレームによって支持されている。一対のカーソル51は、排出トレイ33上において第1方向D1に沿って相互に近接する内方向または相互に離隔する外方向へ移動可能に支持されている。
【0069】
カーソル移動機構52は、シート9が排出トレイ33へ排出されたときに一対のカーソル51を予め設定されるシート幅に対応する排出基準位置P2に対し外側の退避位置P3から排出基準位置P2へ移動させる。
【0070】
一対のカーソル51は、排出トレイ33上のシート9の両側から排出基準位置P2へ移動することによってシートを排出基準位置P2で整合する。排出基準位置P2は、シート排出部31における第1方向D1の基準となる位置である。
【0071】
本実施形態において、カーソル移動機構52は、それぞれ一対のカーソル51に連結された一対のラックギヤ52aと、一対のラックギヤ52aに噛み合うピニオンギヤ52bとを備える。一対のラックギヤ52aおよびピニオンギヤ52bは、ラック・アンド・ピニオン機構を構成している。
【0072】
さらに、カーソル移動機構52は、ピニオンギヤ52bを回転駆動するギヤ駆動モーター52cを備える。制御装置8の搬送制御部8bは、ギヤ駆動モーター52cの回転方向を制御することにより、一対のカーソル51が前記内方向または前記外方向へ移動する。
【0073】
制御装置8の搬送制御部8bは、予め設定されるシート幅に対応する排出基準位置P2を設定する。さらに、搬送制御部8bは、シート9が排出トレイ33へ排出されたときにギヤ駆動モーター52cを制御することにより、一対のカーソル51を退避位置P3から排出基準位置P2へ移動させ、さらに、排出基準位置P2から退避位置P3へ移動させる。
【0074】
搬送制御部8bによる一対のカーソル51の移動の制御により、排出トレイ33上のシート9が排出基準位置P2に移動する一対のカーソル51によって適切な位置で整合される。なお、退避位置P3は、排出基準位置P2に対し外側の位置である。
【0075】
ところで、シート補正機構4の後段におけるシート9の搬送路が長い場合、シート9が排出トレイ33へ排出されるまでに、シート9の第1方向D1の位置が再びずれるおそれがある。
【0076】
シート9が排出トレイ33上へ排出されるときのシート9の第1方向D1の位置ズレが大きすぎると、シート9が一対のカーソル51の一方の上に排出されるおそれがある。そうすると、排出シート整合機構5がシート9を前記基準位置に整合することができない。
【0077】
シート搬送装置6は、シート9の搬送路におけるシート補正機構4から排出トレイ33までの過程で生じるシート9の第1方向D1の位置ズレを修正することができ構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0078】
本実施形態において、排出シート整合機構5は、一対のカーソル接触センサー54をさらに備える(
図4参照)。一対のカーソル接触センサー54は、一対のカーソル51それぞれがシート9の側端と接触したことを検出する。
【0079】
例えば、一対のカーソル接触センサー54は、それぞれ圧力センサーである。前記圧力センサーは、例えば歪センサーなどである。前記圧力センサーは、カーソル51各々がシート9から受ける圧力を検出する。
【0080】
一対のカーソル51が退避位置P3から排出基準位置P2へ移動するときにカーソル51各々がシート9の側端に接触したときに、カーソル接触センサー54は、シート9からカーソル51に加わる圧力を検出する。従って、カーソル接触センサー54が予め定められた基準圧力を超える圧力を検出することが、カーソル51が排出トレイ33上のシート9の側端に接触したことを表す。
【0081】
以下の説明において、排出トレイ33上に排出されたシート9の第1方向D1の前記基準位置に対するシート9の位置のズレ量のことを排出ズレ量と称する。主制御部8aは、排出ズレ量を導出する排出ズレ量導出処理を実行する。
【0082】
前記排出ズレ量導出処理において、主制御部8aは、一対のカーソル51が退避位置P3から排出基準位置P2へ移動するときに一対のカーソル接触センサー54の一方によって他方よりも先に一対のカーソル51の一方とシート9の側端との接触が検出されるタイミングに応じて前記排出ズレ量を導出する。
【0083】
具体的には、主制御部8aは、一対のカーソル51が退避位置P3から排出基準位置P2へ向けて移動を開始してから一対のカーソル接触センサー54の一方によって最初に一対のカーソル51の一方とシート9の側端との接触が検出されるまでの時間を位置判定時間として計測する。前記位置判定時間は、排出トレイ33上に排出されたシート9の第1方向D1の位置を表す。以下、この位置のことを排出位置と称する。前記位置判定時間は検出時間の一例である。前記位置判定時間を計測する主制御部8aは計測部の一例である。
【0084】
そして、主制御部8aは、排出基準位置P2に対応する予め定められた基準時間と前記位置判定時間との差に応じて前記排出ズレ量を導出する。前記基準時間は、一対のカーソル51が退避位置P3から排出基準位置P2まで移動するのに要する時間である。
【0085】
主制御部8aは、予め定められた変換式または変換テーブルに前記基準時間と前記位置判定時間との差を適用することにより前記排出ズレ量を導出する。前記排出ズレ量は、シート9がシート補正機構4から排出トレイ33まで搬送される過程で生じるシート9の第1方向D1の位置のズレ量である。
【0086】
また、前記排出ズレ量は、前記基準位置に対するシート9のズレ方向の情報を含む。具体的には、前記ズレ方向は、一対のカーソル接触センサー54のうちカーソル51とシート9の側端との接触を最初に検出した一方がいずれであるかによって判定される。
【0087】
なお、一対のカーソル接触センサー54および前記位置判定時間を計測する主制御部8aは、シート9の前記排出位置を検出する排出位置検出部の一例である。
【0088】
一方、搬送制御部8bは、前記排出ズレ量導出処理により導出された前記排出ズレ量に応じてシート補正機構4における目標エッジ位置P1を補正する。目標エッジ位置P1を補正することは、シート補正機構4におけるシート9の前記搬送基準位置を補正することを意味する。前記搬送基準位置が補正されると、搬送制御部8bは、補正後の前記搬送基準位置に応じてシート補正機構4を制御する。これにより、搬送制御部8bは、二次搬送機構21におけるシート9の搬送位置を補正する。
【0089】
具体的には、搬送制御部8bは、前記排出ズレ量が表すズレ方向に対し反対方向へ、前記排出ズレ量に相当する距離だけ目標エッジ位置P1を補正する。これにより、目標エッジ位置P1は、前記排出ズレ量がゼロに近づくように補正される。
【0090】
本実施形態において、前記排出ズレ量導出処理を実行する主制御部8a、および、シート補正機構4を制御する搬送制御部8bは、シート搬送装置6の一部を構成している。シート補正機構4を制御することは、シート9の搬送を制御することの一例である。
【0091】
シート搬送装置6が採用されることにより、シート9の搬送路におけるシート補正機構4から排出トレイ33までの過程で生じるシート9の第1方向D1の位置ズレが修正される。
【0092】
[第1応用例]
シート搬送装置6において、三次搬送路3xの排出口に第1方向D1に沿って配置されたCIS(Contact Image Sensor)タイプのラインセンサーが、前記排出ズレ量を検出する前記排出ズレ検出部として採用されてもよい。
【0093】
前記ラインセンサーは、三次搬送路3xから排出されるシート9の側端の位置を検出する。本応用例において、主制御部8aは、前記排出ズレ量導出処理において、予め設定されるシート9の幅に対応する基準エッジ位置と前記ラインセンサーにより検出されるシート9の側端の位置との差に応じて前記排出ズレ量を導出する。
【0094】
[第2応用例]
図1に示されるように、画像形成装置10において、排出口30および排出トレイ33は、それぞれ複数設けられている。この場合、三次搬送機構31は、選択的に複数の排出トレイ3のいずれかにシート9を排出する。
【0095】
即ち、搬送制御部8bは、複数の排出トレイ33からシート9の排出先を選択する。さらに搬送制御部8bは、選択された前記排出先にシート9を排出する処理を三次搬送機構31に実行させる。
【0096】
そして、一対のカーソル接触センサー54が、複数の排出トレイ33に対応して複数設けられることが考えられる。即ち、後処理装置3は、複数の排出トレイ33に対応する複数対のカーソル接触センサー54を備える。この場合、主制御部8aは、複数の排出トレイ33のうちシート9の排出先に対応する一対のカーソル接触センサー54について前記位置判定時間を計測する。
【0097】
さらに、主制御部8aは、複数の排出トレイ33のうちシート9の排出先に対応する一対のカーソル接触センサー54の検出結果に応じて前記搬送基準位置を補正する。即ち、主制御部8aおよび搬送制御部8bは、複数対のカーソル接触センサー54のうち選択された前記排出先に対応する1組の検出結果に応じてシート9の搬送位置を補正する。このような応用例が採用されてもよい。