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特許7440013車両環境マッピング方法、ならびに、対応するシステム、車両およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両環境マッピング方法、ならびに、対応するシステム、車両およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240220BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240220BHJP
   G05D 1/617 20240101ALI20240220BHJP
   G05D 1/20 20240101ALI20240220BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 650A
G05D1/617
G05D1/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020560369
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2019055145
(87)【国際公開番号】W WO2019244060
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】102018000006594
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519437087
【氏名又は名称】マレリ ヨーロッパ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジオ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ファーラン、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】スニダロ、ラウロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシ、ルボス
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521761(JP,A)
【文献】特開2015-106382(JP,A)
【文献】特開2013-077202(JP,A)
【文献】特開2012-033193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06T 7/00 - 7/90
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の環境マッピングのための方法であって、
(a)システムが複数のセンサから入力値のセットを受信する段階と、
(b)システムが、前の時間の占有グリッドマップを用いる時間的融合処理を前記入力値のセットに適用して、それぞれの占有グリッドマップのセットをもたらす段階と、
(c)システムが前記複数のセンサについてデータ融合処理を前記占有グリッドマップのセットに適用して、融合占有グリッドマップのセットをもたらす段階と、
(d)システムが前記融合占有グリッドマップのセットを処理する段階と
を備え、
前記(c)段階は、
(c1)少なくとも融合占有グリッドマップをもたらすベイズ推定/ベイジアン占有フィルタ、簡単に、BOF融合処理段階と、
(c2)前記占有グリッドマップのセットにおける占有グリッドマップ同士を比較することにより不一致を検出して、検出された不一致のセットをもたらす段階と
を有し、
前記(d)段階は、
(d1)前記融合占有グリッドマップのセットにおける衝突の調停を実行する段階と、
(d2)調停された融合占有グリッドマップ、具体的には、運転可能な空間の調停された融合占有グリッドマップ、のセットを出力する段階と
を有し、
前記(d1)段階は、
(d11)前記融合占有グリッドマップの少なくとも1つにおいて、不確実と分類されたグリッドセルを備える前記グリッドセルのセットにフラグを付ける段階と、
(d12)複合ルールのセットを提供する段階と、
(d13)複合ルールのセットを前記融合占有グリッドマップの前記少なくとも一つにおける前記フラグの付いたグリッドセルに適用し、複合グリッドセルの値のセットを提供する段階と、
d14)前記運転可能な空間の融合占有グリッドマップを提供する段階と、
を有し、
前記(d14)段階は、
d141前記融合占有グリッドマップにおける前記複合グリッドセル値の前記セットを組み込む段階を有し、
前記(d12)段階は、
(d121)前記不一致のセットのうちの少なくとも1つを処理する段階であって、前記処理する段階は、少なくとも一つの前記検出された不一致のセットを分析して、予め格納されたモデルの関数として前記複合ルールのセットをもたらす段階を含む段階
を含む、
方法。
【請求項2】
前記(c)段階は、
(c3)セルの内容が前記車両の周辺の環境空間におけるオブジェクトまたは障害物の存在の検出の信頼性の程度のインジケータであり、複合グリッドセルの値のセットを提供するのに用いられる証拠融合グリッドマップをもたらすデンプスター・シェイファー理論の融合処理段階を
さらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モデルは、BOF融合処理段階から受信された融合占有グリッドマップに適用されるように構成された不一致ベースの関係モデル、簡単に、DBRMを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(d1)段階は、データ融合処理段階に適応重みWを提供することにより、センサ占有グリッドセルおよび/またはセンサ測定値の適応重み付けを有するフィードバック処理を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記(d1)段階は、DST融合処理段階から受信された証拠融合グリッドマップに適用されるように構成された比例衝突再分配ルールを適用し、前記複合グリッドセルの値のセットを提供する段階を有する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記(b)段階は、前記複数のセンサの各センサに対するそれぞれの時間的融合段階におけるセンサ測定値のローカル分散処理を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記(c2)段階は、前記占有グリッドマップのセットの2つの組み合わせセットの前記セットにおける各々の2つの組み合わせセット間の衝突グリッドセルの位置および値を評価する段階を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記運転可能な空間の融合占有グリッドマップをインタフェースに提供する段階を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記車両は陸上車両である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
環境マッピングのシステムであって、
少なくとも1つのセンサ測定値を収集するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに結合されて、前記少なくとも1つのセンサ測定値を受信する処理回路と、
運転補助システムインタフェースであって、前記処理回路は、請求項1からのいずれか一項に記載の方法で、運転可能な空間の少なくとも1つの融合占有グリッドマップを、前記運転補助システムインタフェースに提供するように構成された、運転補助システムインタフェースと
を備える、システム。
【請求項11】
前記複数のセンサは、
ライダと、
コンテキスト情報を提供するGPS検出器と、
ビジョンセンサと
のうちの少なくとも1つを備えることが好ましい、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのドライバー補助デバイスと共に請求項10または11に記載のシステムを搭載した車両であって、前記ドライバー補助デバイスは、前記運転可能な空間の融合占有グリッドマップの関数として動作するように構成されている、車両。
【請求項13】
コンピュータに、請求項1からのいずれか一項に記載の方法の段階を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マップの構成技術と車両環境マッピングに関する。1または複数の実施形態は、少なくとも1つの融合グリッドマップを処理して、オブジェクトの占有率を決定すること、例えば、障害物の位置の検出を容易にすること、および、そのような障害物との接触をどのように回避するかに関連し得る。
【背景技術】
【0002】
マルチセンサデータ融合は、例えば、複数のソースからのデータに基づいてある環境を示す融合占有グリッドマップを提供することによって、統一した画像を形成すべく、異なるソースからの情報を組み合わせることを容易にし得る。
【0003】
異なるマッピング技術は、異なる種類のマップ、例えば、
‐構成された環境に特化しており、従って、周辺におけるそのような構造(例えば、特徴ベースのモデル)の存在に応じるもの
‐構成されていない環境(例えば、占有グリッドマップ)に合わせて調整されるもの
のいずれかを提供し得る。これらの2つのアプローチは、決して互いに排他的なものではないが、実際にそれらは互いに補完している。
【0004】
占有グリッドマップは、経路プランニングおよび障害物回避タスクに十分適している。逆に、特徴ベースのマップは、位置特定目的に十分適され得、ここで、車両の自己位置および向きを正確に推定するために、オブジェクトの相対的なポーズが必要とされ得る。
【0005】
占有グリッドマップ(簡単にグリッドマップとする)は、(車両周辺の)環境を、固定された寸法および空間解像度を有する2次元グリッドマップとして表す。グリッドマップの正確度は、離散化された2値メッシュの解像度での観点から定義され得る。さらに、それらは、車両の縦軸および横軸の方向において配向され得、互いに直角で配されるエッジセグメントを有し得る。
【0006】
グリッドマップは、グリッドセルに分けられた車両の環境を表すものとして提供され得、各セルは環境を説明する特徴を格納する。例えば、各セルは確率/尤度値(例えば、セルが占有されている確率または占有されていない確率)を格納し得る。実際に、マップ構成は、環境、車両位置およびセンサ測定の事前知識を考慮すると、特定のグリッドセルが実際に占有(または空いている)確率を最大化する最適化問題として定式化され得る。
【0007】
グリッドマップは、周辺のマッピングされた環境における障害物の存在およびそれらの空間占有についての情報を運転補助システムに提供することを容易にし得る。結果的に、ドライバー補助システムは、その情報に基づいて車両機能を動作し得る。例えば、運転補助システムは、交通状況に反応し得る。
【0008】
グリッドマップは、当業者に既知であるように、様々な座標系(例えば、デカルトまたは極性座標)における環境を表し得る。
【0009】
環境は、複数のセンサ/検出器(例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)アンテナおよび/または地理情報システム(GIS)アンテナ、ライダ、カメラなど)を介してスキャンされ得る。
【0010】
複数のグリッドマップは、個別のセンサデータの関数として生成され、環境についての相関情報を提供し得る。
【0011】
複数の占有グリッドマップを、全てのセンサの情報を高精度で正確に組み合わせる統一したコヒーレントマップに融合する(例えば、データ融合によって)ことは、特に、例えば、車両または自動車両の運転補助システムと方法とに関する、本説明の目的である。
【0012】
自己の位置を推定することができる自律システムが、マッピングされた環境を安全にナビゲートすることが可能であり得るような方法で運転可能な空間を決定すべく、占有グリッドマップは、可能な障害物を探索している車両の周辺の環境をマッピングすることを容易にし得る。
【0013】
単一のセンサマッピングとは対照的に、マルチセンサ融合の結果として構築されたグリッドマップは、センサ測定の重み付けに大きく依存する。マッピングの従来のアプローチ、すなわち、ベイズ占有率フィルタ(BOF)またはデンプスター・シェイファー理論(DST)は、ユーザにより指定されない限り、同等な重みを適用する。実験的に調整されたセンサ重量は、特定のシナリオ(具体的には、センサ測定値が矛盾しない状況)に合わせて調整される。
【発明の概要】
【0014】
1または複数の実施形態の目的は、先行技術により達成可能な解決手段に内在する制限を克服することである。
【0015】
1または複数の実施形態によると、その目的は、請求項1において特定される特性を有する方法により実現される。1または複数の実施形態は、対応するシステム、車両およびコンピュータプログラム製品を参照し得る。
【0016】
請求項は、様々な実施形態に関連して本明細書に提供された技術的教示の不可欠な部分をなす。
【0017】
本明細書に説明された解決手段によると、方法は、複数のソースからデータの関数として、例えば、占有グリッドマップの形態で車両環境を表す融合グリッドマップを提供する段階を備える。
【0018】
1または複数の実施形態において、適応型のセンサ重量はマルチセンサの融合マップに、例えば反復的に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここで、実施形態は、添付の図面を参照して、完全に非限定的な例として説明される。
図1】実施形態に係る車両の例示的な機能図である。
図2】占有グリッドマップの実施形態の図である。
図3図1の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図4】実施形態に係る占有グリッドマップの可能なビューの例示的な図である。
図5】図の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図6】図の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図7図1の処理の実施形態の可能なビューの例示的な図である。
図8a図1の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図8b図1の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図9図1の処理の可能な配置部分の例示的な図である。
図10】車両環境マッピングの方法の実施形態の例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、本明細書の実施形態の例の詳細な理解を提供することを目的として、1または複数の特定の詳細が示される。実施形態は、1または複数の特定の詳細または他の方法、コンポーネント、材料などを用いることなく取得され得る。他の場合は、既知の構造、材料または動作は、実施形態の特定の態様が不明瞭にならないように、示されないか、または、詳細に説明されない。
【0021】
本説明の枠組みにおいて、「実施形態」または「一実施形態」という記載は、実施形態に関連して説明される特定の構成、構造、または特性が、少なくとも1つの一実施形態に含まれることを示すことが意図される。従って、本説明の1または複数のポイントに存在し得る「実施形態において」または「一実施形態において」などの表現は、必ずしも1つの同じ実施形態を指すわけではない。
【0022】
さらに、特定の形態、構造または特性は、1または複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
【0023】
本明細書で使用される基準は、単に便宜上提供されるものであり、従って、保護の範囲または実施形態の範囲を定義しない。
【0024】
図1において、本明細書で説明された解決手段の一実施形態に係る車両の例示的な機能図を示す。そのような実施形態は、複数のセンサS、S、Sと運転補助システム100とを搭載する車両Vを備える。運転補助システム100は、センサS、SおよびSの測定に基づき、システム100により詳述された少なくとも1つの環境の融合占有グリッドマップFを含む融合占有グリッドマップのセットFFに基づいて、少なくとも1つの調停された融合占有グリッドマップM(例えば、少なくとも1つの融合占有グリッドマップFを取得するためにデータ融合動作において決定された全ての衝突の一部が決定されるマップ)を含む調停された融合占有グリッドマップのセットMMを提供されるように構成される。本明細書で説明される実施形態におけるそのような決定された融合占有グリッドマップMは、運転可能な空間のマップに対応する。
【0025】
例えば、当該車両Vは、自己運転車などの自律的陸上車両であり得る。車両の他の例は、自動車のような車両、自動移動ロボットなどであり得る。
【0026】
複数のセンサ/検出器デバイスS、S、Sは、ライダ/レーダセンサ、カメラ、GPSアンテナ、および(GPS/GIS)コンテキストマップなどのGPS情報を使用するソースなどの、それ自体で既知のセンサを含み、それはシステム100に結合される。具体的には、示された例において、センサは、検出された位置に基づいて(GPS/GIS)コンテキストマップを生成するライダ、カメラおよびGPS/GISシステムである。
【0027】
センサS、S、Sのセットは一般的に、
‐相補的機能(例えば、車両によりおよび/または利用された物理的な作業原理で調査された環境の異なる可視領域をカバーする)と、
‐コヒーレント機能(例えば、同じ視野についてのデータを提供するおよび/または同じ視野における同じ物理的な作業原理を介してデータを取得する)
とを含むセンサを備え得る。
【0028】
システム100は一般的に、調停されたマップMを、ユーザ(例えば補助運転補助するものとして)、または、決定されたマップMを使用して車両Vを制御する、自動運転システムなどのさらなるシステム、のいずれかに利用可能にする。図1において、システム100が出力インタフェースIAに結合され得ることが示される。例えば、インタフェースIAは、運転可能な空間Mのそのような調停された融合占有グリッドマップを表示するのに使用され得る表示ユニットを備えるユーザインタフェースであり得る。代替的に、出力インタフェースIAで利用可能なマップのデータは、さらなるシステムにより使用および処理され得る。
【0029】
システム100は、センサS、S、Sのセットから測定データ(「測定値」)Y、Y、Yを処理して、融合占有グリッドマップF、EのセットFF(データ融合ブロック40から)を出力インタフェースIAに向かって提供するように構成される。
【0030】
上述したように、インタフェースIAで利用可能な、運転可能な空間Mの調停された融合占有グリッドマップは、車両そのものを動作(例えば、システム100により出力として提供された融合占有グリッドマップMに示される環境をナビゲートする)すべく、車両の制御システムにより使用され得る。
【0031】
図1において例示されたように、システム100は、一般的に、複数のセンサS、S、S、時間的融合段階30のセット、データ融合段階40および調停段階90を備える。
【0032】
具体的には、複数のセンサS、S、Siは、時間的融合段階30のセットへの入力としてもたらされる。時間的融合段階30のセットは、センサ測定値Y、Y、Yのセットを受信する。
【0033】
時間的融合段階30のセットは、図1に示されるように、第1の時間的融合段階301と、第2の時間的融合段階302と、i番目の時間的融合段階30iとを備え、各センサから個別の測定値(例えば、複数のセンサ測定値Y、Y、YにおけるY)を処理して、以下に説明されるように、センサ占有グリッドマップG、G、Gのセットを出力として提供し得る。
【0034】
例えば、時間的融合段階30のセットは、それぞれのセンサにわたって分散され、それ自体で既知であるやり方で(例えば、ソフトウェアを介して)センサ測定値のローカル分散処理を提供し得る。
【0035】
図1に示される例示的な実施形態において、
‐第1の時間的融合段階301は、第1のセンサS1からセンサ測定値の第1のデータセットYを受信し、第1のマップGを出力として提供する。
‐第2の時間的融合段階302は、第2のセンサS2からセンサ測定値の第2のデータセットYを受信し、第2のマップGを出力として提供する。
‐i番目の時間的融合段階30iは、i番目のセンサSiからセンサ測定値のi番目のデータセットYを受信し、i番目のマップGを出力として提供する。
【0036】
従って、時間的融合段階30のセットにおける各時間的融合段階301、302、30iは、車両フレームに表された占有グリッドマップG、G、Gのセットを、センサS、S、Sのセットからそれぞれのセンサ測定値Y、Y、Yの関数として提供する。
【0037】
代替的に、リモートセンシングソースからのGIS/GPSマップの取得が関与する場合であり得るように、i番目のセンサ/ソースはまた、グリッドマップGiを測定値として直接提供し得る。
【0038】
上述したように、変形した実施形態において、時間的融合段階30のセットにおけるセンサ測定値Y、Y、Yを処理する動作は、
‐座標系変換動作(例えば、センサフレームから車両フレームへの)
‐時間的融合動作(例えば、車両の作動時間に応じたデータ正規化、データの同期)
‐データ融合動作(例えば、データの組み合わせ、関連付け、相関付け、推定)
を備え得る。
【0039】
時間的融合段階30のセットにより提供される、マップG、G、Gのセットにおける少なくとも1つのi番目のマップGが、i番目のセンサSiにより提供される測定の種類の関数として、環境の特定の特徴についての情報を提供することが好ましい。
【0040】
図2は、例示的な占有グリッドマップG(例えば、i番目のセンサからのデータを処理するためのシステム初期化のための事前グリッドマップ)の図である。
【0041】
占有グリッドマップは一般的に、個別のセルgij の数N=n*mを備え、ここでnは複数の行であり、mはそれぞれのインデックスiおよびjによってインデックス化された複数の列である。
【0042】
具体的には、グリッドマップGにおける任意の個別のセルgij は、固定されたサイズと予め定義された形状(例えば、デカルト座標系におけるように四角)を有することが好ましい。占有グリッドマップG=G0,kは、経時的に進化し、従って、時間kの関数であり得る。
【0043】
グリッドGの各セルgijは、変数(例えば、確率変数)であり得、これは、(時間kにおいて)特定の確率を有する特定数の「状態」値を仮定し得る。
【0044】
示された実施形態におけるグリッドの各セルgij は、確率変数の数値と関連付けられた「状態」値(分類)とを備える。例えば:
‐数値は、確率値p(gij )であり得、個別のセルによりマッピングされた環境の部分が、オブジェクトにより「占有」されたものとして正確に推定される確率を推定する。
‐「状態」ラベル値(例えば、空いている/未知/占有された)は、グリッドマップのセルによりマッピングされた環境の部分の占有状態を示す確率値p(gij )の関数として、可能な状態値のリストから割り当てられ得る。
【0045】
一般的に、セルに格納された確率値が
‐特定の閾値よりも低い(例えば、p(gij )<0.5)とき、セルは、第1の状態ラベル(例えば、「空いている」)で分類され、これは対応セルに割り当てられる。
‐特定の閾値よりも高い(例えば、p(gij )>0.5)とき、セルは、第2の状態ラベル(例えば、「占有された」)で分類され、これは対応セルに割り当てられ得る。
‐特定の閾値、例えば、
【数1】
と同等であるとき、セルは、第3の状態ラベル(例えば、「未知」)で分類され、これは対応セルに割り当てられる。
【0046】
グリッドマップは通常、2次元グリッド(例えば、
【数2】
の観点から説明される。
【0047】
グリッドマップをディスプレイまたは任意のグラフィックの形態において視覚化する場合、各グリッドセルの分類ラベルに関する情報は、例えば、図2図4および図7に示されるように、グリッドセルエリアを充填するパターン/色としてエンコードされ得る。
【0048】
各グリッドセルgij において確率変数に関連付けられた確率分散p(gij )は、最新のセンサ測定値がセンサから取得されることに伴い経時的に進化する。それに応じて、センサ測定Yと車両ポーズVとを考慮し時点kごとに更新される。
【0049】
図3は、i番目の時間的融合段階30iの実施形態を示す例示的な図である。
【0050】
時間的融合処理30iは、センサ測定値で受信された情報を集約することを指す。例えば、時間kにおけるi番目のソースSから取得された測定値Yi,kが、前回の時間k‐1におけるi番目のソースSからの測定値Yi,k‐1で集約される。
【0051】
従って、各時間的融合段階301、302、30iは、車両フレームに表された占有グリッドマップG、G、Gのセットを、センサS、S、Sのセットからそれぞれのセンサ測定値Y、Y、Yの関数として提供する。
【0052】
時間的融合段階30iは、
‐好ましいセンサモデルに関連付けられた特性を有するベクトルにセンサ測定値をフォーマットすることと、
‐逆尤度/センサモデルを算出して、測定値から環境に関する情報を抽出することと、
‐センサ測定値における測定エラーの存在を考慮することと
とのような、センサフレームから車両フレームへの座標系変換301、302、30iの動作を備え得る。
【0053】
図3に例示されるように、i番目の時間的段階30iは、i番目のセンサSから、所定の時間kでのセンサ測定値/測定のデータセットYを、例えば、n次元のベクトル
【数3】
の形態で受信する。
【0054】
同様に、所定の時間kでの車両状態V(例えば、その位置)は、既知であり得(例えば、段階312に格納される)、例えば、m次元のベクトルV=(v ,v ,…,v )として説明され得る。例えば、車両のポーズVは、グラウンドプレーンに対する車両Vの重心位置および配向角によりパラメータ化され得る。
【0055】
特定の時間kでの車両ポーズ/状態Vおよびセンサ測定値Yは、例えば、時間的融合段階30iにフィードされる尤度値(例えば、p(Y|V))の形態で入力を提供すべく、組み合わせられる。
【0056】
ベイジアン占有フィルタ(BOF)は、本明細書に説明されるように使用することに適切である。BOFは、例えば、センサ測定値の最新のセットを考慮して、占有グリッドマップGのグリッドセルの更新された確率値を計算することに使用するために、時間kでの占有グリッドマップGの事後確率p(G|Y,V)を算出する有効な式である。
【0057】
時間的融合処理30iを実行すべく、例えば、段階324において格納/生成された初期占有グリッドマップMが提供される。初期グリッドMは、例えば、
‐車両周辺の環境についての前回の情報が利用可能でないとき、「未知」で分類されたセルごとの状態(例えば、割り当てられた確率値0.45<p(gij )<0.55)、および/または
‐環境についての事前情報が既知であるとき、ロードされたグリッドセル値
で初期化される。例えば、車両が住宅の車庫に入る/から出る場合、段階303が、自律制御システムにより動作され、事前に既知の車庫面積測定に従って初期占有グリッドマップMを提供し得る。
【0058】
また、「前回の」グリッドマップGk-1が、センサ測定値の取得の時間kに先行する時間k‐1において算出される確率値を有するグリッドセルを用いて、時間的融合段階30iの段階307において生成/格納される。
【0059】
システムの起動時に、初期グリッドMおよび「前回の」グリッドマップMk-1は、同等な値(例えば、Mk-1=M)を有し得ることに留意されたい。
【0060】
時間的融合段階30iは、事前マップ知識Mおよび/または「前回の」グリッドマップMk-1を、例えば段階322において、測定尤度p(y|x)の形態の最新のデータで融合する。
【0061】
ベイズ定理は、時間kでのグリッドマップMkのセルgij が占有された(または空いている)確率p(gij |y,x)が、
‐「前回の」時間k‐1での「前回の」グリッドマップMk-1のセルgij k-1の確率p(gij k-1|yk-1,xk-1)と、
‐確率p(gij |y,x)(例えば、逆尤度モデルに従って算出される)と、
ベイジアン利得であるf{p(not(gij )|y,x)-p(gij |y,x)}と
に比例すると述べている。ベイジアン利得は、図5に示されるように、利得段階520で算出される。
【0062】
マップの事前に知られていない境界の仮説において、ベイジアン利得は、測定に基づいてのみ算出されることに留意されたい。
【0063】
また、忘却係数327が、図3に示された例示的な実施形態において、センサ占有グリッドに(例えば、「前回の」マップに)適用される。忘却係数段階は、「前回の」グリッドGk-1で更新されたグリッドGの重みを増加または減少させる設計パラメータとして、パラメータ(例えば、指数関数減衰係数)をもたらし、グリッドセル値に適用し得る。
【0064】
従って、時間的融合処理30は、環境G、車両位置Vおよびセンサ測定値Yの事前知識を考慮して、特定のグリッドセルg ijが実際に占有された(または空いている)確率p(g ij)を最大化する問題に対する再帰的解決手段として定式化され得る。
【0065】
時間k(Gで示される)でのグリッドマップG(例えば、G=G)は、時間kでのセンサ測定値(例えば、Yi,k)を、時間k‐1(Gk-1で示される)での前のマップGを処理した結果であることに留意されたい。また、前のマップGk-1は、時間k‐1そのものに対する情報を含むだけでなく、時間起源から時間k‐1まで(例えば、時間1から時間k‐1まで)のマップの全体的な進化に関する情報を含む。
【0066】
さらに、センサ占有グリッドマップGを示す場合、一次マルコフ想定に従って、実施形態を制限することなく、時間kにおけるマップGの進化の単一の「時間フレーム」を参照する。そうでない場合、時間1からk‐1の完全なマップ履歴は、時間k‐1での単一マップG内に表示/捕捉される。
【0067】
図4は、複数のセンサS、S、Sのそれぞれのセンサからの複数のセンサ測定値Y、Y、Yから処理される可能なセンサ占有グリッドマップフレームG、G、Gの図である。具体的には、図4の部分a)の個別の部分a1)、a2)、a3)、a4)は、図4の部分b)のそれぞれの部分b1)、b2)、b3)、b4)の拡大図を表す。
【0068】
それぞれのセンサ占有グリッドマップのグリッドセルの内容を分類するそれぞれの「状態」ラベルは、各センサのセンサ測定値パラメータ/作動原理の関数として異なり得る。
【0069】
実際に、それぞれのセンサ占有グリッドマップG、G、Gは、各々が環境の特定の特徴についての情報を提供し得る。
【0070】
例えば、例においては、以下が示される。
‐第1の占有グリッドマップGは、視覚センサからのデータを処理した結果であり、従って、静的オブジェクトと動的オブジェクトとの両方、ならびに環境のトポロジー(例えば、車線のある道路)に関する情報を提供する。
‐第2のグリッドマップGは、ライダセンサからのデータを処理した結果であり、静的障害物および/または動的障害物の推定位置についての情報を提供する。
‐i番目のマップGは、地理情報システム(GIS)により示されたセンサからのデータを処理した結果であり、環境(例えば、ロード/オフロードエリア)のコンテキスト情報データを提供する。既知のように、GISは、航空機または衛星のセンサを使用して、リモートセンシングイメージ(すなわち、地球を測定することにより取得されたイメージ)を統合する。
【0071】
具体的には、それぞれのセンサ占有グリッドマップG、G、Gがセンサ測定値Y、Y、Yの時間的融合処理30iを介して時間的融合段階30で生成された後、時間ステップkごとに、センサ占有グリッドマップG、G、Gのセットにおけるグリッドマップは、少なくとも1つの「融合」占有グリッドマップF、Eを含む融合マップのセットFFにおいて合わせて「融合」される。
【0072】
その通りにすべく、グリッド融合段階40は、マップG、G、Gのセットを受信して、マップG、G、Gのセットの融合動作データ(例えば、時間フレームG1,k、G2,k、Gi,k)を実行することにより、少なくとも1つの「融合」占有グリッドマップF、Eを出力として提供する。
【0073】
データ融合40には異なるアプローチが使用され得、これは、マップG、G、Gのセットの(時間フレームにおける)データの組み合わせ、関連付け、推定、相関付けの動作のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0074】
これらの2つのアプローチは、図8および図9に示された、データ融合ブロック40の実装を表す2つの実施形態で要約される。
【0075】
例えば、図1に例示されるように、図8に示されるようなベイズ推定50に基づくデータ融合、または、図9に示されるようなデンプスター・シェイファー理論60が使用され得る。
【0076】
従って、融合グリッドマップは、車両Vの移動経路に沿った障害物の占有率を正確に予測および/または検出することを容易にして、運転補助システム/インタフェースによる車両Vの移動経路に対するオンライン修正を容易にし得る。
【0077】
例えば、車両が自律運転システムにより動作される場合(当該図では不可視)、車両と障害物との間の衝突を回避することを容易にし得る。
【0078】
上記で予測されたように、例えば、グリッド融合処理40は、
‐ベイズ推定/ベイジアン占有フィルタ(BOF)融合処理段階50と
‐デンプスター・シェイファー理論(DST)融合処理段階60と
のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0079】
実際に、ベイジアン占有フィルタ(BOF)(例えば図5を参照)およびデンプスター・シェイファー証拠理論(DST)(例えば図6を参照)のうちの少なくとも1つは、グリッド融合処理段階40における使用に適切である。図8および図9はそれぞれ別個の実装を示しているが、グリッド融合処理段階40および調停段階90は、並列して動作するBOF実施形態とDST実施形態との両方を含み得る。
【0080】
図5に例示されるように、BOF融合50において、融合処理式は、それぞれのセンサ測定値Y、Y、Yの正確度におけるそれぞれの信頼度レベルを示す重みWkのセット(例えば、W=[wk,1,wk,2,wk,i])に基づいて、センサ占有グリッドマップG、G、Gのセットのそれぞれのセンサ占有グリッドマップのそれぞれのグリッドセルのデータを組み合わせる。
【0081】
一般な形では、BOF(グリッド融合処理)50の結果は、時間的融合から得られるセンサ占有グリッドマップの重み付けされた(線形)組み合わせの観点から表さ得、例えば、以下の通りである。
【数4】
【数5】
【0082】
ユーザによりおよび/または設計により事前に指定されない限り、センサは、BOFグリッド融合処理50に対して同等な寄与をもたらす(すなわち、マップは同等な重み(例えば、wk,i=W)で組み合わせられる)と想定される。
【0083】
グリッドセル
【数6】
間の時空間的関係を仮定する標準的なベイジアン設定では、複数のセンサグリッドGk,iの組み合わせとしてのマップp(F|G)の真実性(確率)は、ベイズ定理、すなわち、
【数7】
を介して評価され、ここでマップ占有率についての推定は尤度p(G|F)の形態で各個別のセンサグリッドGと比較される。
【0084】
しかし、グリッドベースのアプローチは、これが特徴認識およびデータ関連付け技術の実装を必要とするように、オブジェクトの挙動を予測する能力は有しておらず、従って、測定重み付けのみに依存する。同様に、時間的融合におけるように、モデルベースの予測なく、時間k‐1からkの予測マップ変化は p(F|Fk-1)=0である。従って、ベイジアン利得f{p(not(F)|G)-p(F|G)}は、センサ重量wを決定することが不可能であり得る。実験的に調整されたセンサ重量は、特定のシナリオのみに対して調整されている場合があり、従って、一般的な目的のマッピングには適していない場合がある。従って、グリッド融合処理の間にセンサ重量が再帰的に調整される必要があるということが明らかになる。
【0085】
従って、例えば、i番目のセンサ重量の真の重み
【数8】
と実際の値
【数9】
との間のエラー
【数10】
が、
【数11】
のように表され得る。
【0086】
調整可能な重みを反復的に提供するフィードバックネットワークは、例えば、以下で説明されるように調停段階90により提供されるデータセットWにおいて、BOF融合の間に自動センサ重量w調整を容易にし得る。
【0087】
代替的に、デンプスター・シェイファー証拠理論(DST)として既知の組み合わせルールのセットが、例えば図6に詳述された図9のブロック60において、使用され得る。DSTは、証拠グリッドに適用される組み合わせルール(すなわち、証拠理論)の利用により占有グリッド間で生じる不確実さに対処すべく開発された。
【0088】
実際に、ベイズの理論によると、セルの占有率は、セルごとの単一確率に基づいて評価される一方、DSTでは、4つの「マス」の信念関数に基づいて占有率についての決定が行われる。さらに、ベイズの理論における信念の遷移は、2つの状態の間においてのみ可能であり、対称的に制限される。
【0089】
DST処理60は、図6に例示されるように、少なくとも1つの占有グリッドマップFおよび/または相補的占有グリッドマップ(例えば、not(F)および/または衝突グリッドマップC)を出力として提供する。DST処理60の出力として提供される融合グリッドマップF、not(F)、Cのセットは、「証拠グリッド」Eとして集合的に示され得る。
【0090】
図2に関連して説明されたものと同様に、証拠グリッドマップEは、確率値が割り当てられた個別のグリッドセルを有する。さらに、確率値に関連する分類は、セルの「状態」の2値セットより多くを備える。実際に、不確実さは信念関数Bel(X)としてモデル化される。
【0091】
環境の占有率についての「信念」(すなわち、状態命題をサポートする証拠、分類が真実であると考えられる程度)は占有された(O)または空いている(FR)のいずれかにより分類され、これは確率変数X={O,FR}の全ての可能な状態のセットをもたらす。Xの可能なサブセットのセット、すなわち、「識別のフレーム」(簡単に、FOD)は、2={占有された(O)、空いている(FR)、未知(Ω)、衝突(Φ)}と示される。DSTの主な目的は、識別2のフレームにおける任意の命題Xをサポートする全ての証拠を説明する結果としての確率である信念Bel(X)を算出することである。従って、信念関数Bel(X)は、Xが真実であると考えられる程度を表し、
【数12】
ように表され得る。ここで、
‐Xは可能な状態2(例えば、X=O)のうちの任意の状態である。
‐m(A)は、2を含む状態Xに含まれるサブセットAごとの基本的な確率密度関数値であり、Aの「マス」とも既知である。例えば、X=Oであるとき、
【数13】
である。
‐Bel(X)は、命題Xをサポートする全ての証拠を考慮する2のサブセットである。
【0092】
証拠グリッドマップEのセルの内容(「尤度」とも示される)は、車両Vの周辺の環境空間におけるオブジェクト/障害物の存在の検出の信頼性の程度のインジケータである。
【0093】
DST融合60の処理は通常、占有グリッドマップセルp(gk,1)にわたって4つのマスを再配布する厳格な制約に基づく処理を備える、基本的マス割り当て(BMA)段階610から開始される。以下に説明されるように、BMAの結果は、デンプスター・シェイファー組み合わせルール段階690に後続的に提供される。
【0094】
例えば、情報の2つのソース(例えば、センサ占有グリッドマップGおよびG)は、その値が通常
【数14】
のように計算されるXORオペレータ
【数15】
によって、「ジョイントマス」mを有する融合信念関数に組み合わされる。センサが融合される順序は、可換特性を考慮すると無関係である。
【0095】
証拠としてのアプローチにおいて、信念は4つの状態の間で移動し得、ここで、これらの遷移の各々は、異なる意味、ダイナミクスおよび重要性を有する。DSTが、単一確率値のみよりもセルのより高い信頼度レベルをモデル化する一方、センサグリッド重み付けwはこの段階で未解決のままである。
【0096】
図8の実施形態に示されるように、BOFを実行するデータ融合ブロック50を参照すると、時間的融合段階30のセットは、この実施形態において、ベイズ推定50と不一致評価段階70とに基づいてデータ融合ブロック50を備えるグリッド融合状態40に結合される。
【0097】
不一致評価段階70は、マップG、G、Gのセットを受信し、マップを比較する動作(例えば、1対1)の結果についての情報を備える検出された不一致Dのセットを提供する。比較動作は、少なくともマップ間の同等であり異なる(すなわち、衝突する)セルを識別するのに適切である任意の異なる技術により実行され得る。
【0098】
例えば、検出された不一致Dのセットは、
‐以下に説明されるように、それぞれのセンサグリッドマップのうちの衝突セルの位置のセット、および/または
‐センサのペア間の不一致を示す値のセット(例えば、第2のセンサグリッドの対応するグリッドセルの確率値から第1のセンサグリッドのグリッドセルの確率値を減算することから得られる)
を備え得る。例えば、上述の情報は、マトリクスの形態で組み合わされ得る。
【0099】
図7は、不一致検出段階70におけるマップのセットを処理した可能な結果の例示的な図である。
【0100】
図7に示されるように、部分a)は融合マップFの例示的な時間フレームであり、その一部分(黒ボックスで囲まれた)は、図7の部分b)、c)およびd)で拡大される。
【0101】
異なるセンサは、おそらく互いの間で衝突しながら異なる情報を提供するので、融合マップF、Eのグリッドセルの大部分は、空間占有、すなわち、
【数16】
についての非常に衝突するまたは不確実な情報に対応する関連付けられた値を有し得る。
【0102】
結果的に、不一致処理段階70は、占有グリッドマップのグループ間の衝突の存在(具体的には、衝突がどこにあるか、および衝突が関連する比較されたグリッドマップのどのグループ(例えば、ペア)を対象としているかを特定するため)についての構成された情報を含む、検出された不一致Dのセットを提供し得る。
【0103】
具体的には、検出された不一致Dのセットは、例えば、
‐第1のG占有グリッドマップと第2のG占有グリッドマップとの間の不一致を示す、第1の不一致Δ12と、
‐第2の占有グリッドマップGとi番目の占有グリッドマップGとの間の不一致を示す、第2の不一致Δ2iと、
‐i番目の占有グリッドマップGと第1の占有グリッドマップGとの間の不一致を示す、i番目の不一致Δi1
を備える。
【0104】
例えば、そのような情報は、不一致コンポーネントΔ12、Δ2i、Δi1を有するアレイの形態で、検出された不一致Dのセットに格納/エンコードされ得る。その各々はセンサグリッドセルのグループの各比較の結果を格納する(例えば、それぞれのグリッドマップセルのセルごとの「衝突」値を含む)。
【0105】
当該「衝突」値は、異なるマップのセルにおける確率値からあるマップのセルにおける確率値を減算することにより計算され得る。
【0106】
不一致処理段階70の存在の影響は、センサS、S、Sにより提供される測定値Y、Y、Yから生成される時間的に融合グリッドマップG、G、Gの統合および操作を自動的に較正することを容易にする。実際に、不一致Dのセットにおける「衝突」値Δ12、Δ21、Δi1の知識は、衝突調停段階処理90を介して、融合マップF、Eの「不確実な」セルの確率を「占有された」または「空いている」状態のいずれかに「傾け(tip)」て、「調和された」または衝突セルの数を減らした調停された運転可能な融合マップMを提供するのに使用され得る。
【0107】
図8aに例示されるように、データ融合段階40および不一致評価段階70は、調停段階90に結合されており、調停段階90は、図8の実施形態の場合、BOFデータ融合ブロック50、融合マップFおよび検出された不一致Dのセットを備えるマップFFのセットを入力として受信する。
【0108】
図9の実施形態の場合では、調停段階90'は、融合マップFと証拠グリッドEとを含むセットFFを受信する。
【0109】
図8図9とに例示されるように、調停段階90、90は、占有グリッド処理段階85(図9では85'と示される)を実質的に備え、融合マップのセットFFを入力として受信し、調停された融合マップのセットMMを出力として提供し、そのような段階85は通常、衝突検出段階83、衝突解決段階87および衝突修正段階89を備える。図9において、変形した実施形態は90'で示されており、対応するブロックは「プライム」記号で、85'、83'、89'、87'と示され、対応する機能の可能な異なる内部実装を示す。
【0110】
衝突調停段階90は、可能な衝突(例えば、矛盾)を解決するための異なるアプローチ、ならびに、データ融合処理段階40において使用されるアプローチの関数として、融合グリッドFおよび/または証拠グリッドEのセルの占有状態(例えば、BOF融合50および/またはDST融合60)のセンサにより提供される情報を使用し得る。
【0111】
具体的には、図8aに例示されるような変形した実施形態では、データ融合処理段階40におけるBOF融合処理段階50および不一致評価段階70は、衝突調停段階90に結合されている。
【0112】
考慮される実施形態では、衝突調停段階90は、確率論的モデルに基づいて、または、検出された不一致Dのセットを処理することにより、融合マップFにおける衝突セル値を解決するための、エンコードされたルールおよび論理式に代替的に基づいて、状況評価段階80をさらに含む。従って、衝突調停段階90は、融合マップFをBOF融合処理段階50から、検出された不一致Dのセットを不一致検出段階70から、入力として受信する。
【0113】
図8に例示されるような実施形態において、状況評価段階80は、衝突評価段階84と、不一致ベースの関係モデル化(簡単にDBRM)段階82とを備える。占有グリッド処理段階85は、衝突検出段階83、衝突解決段階87、および衝突修正段階89を備える。
【0114】
占有グリッド処理段階85における衝突検出段階83は、融合マップFをBOF処理段階50から受信して、当該マップFおよび/または衝突セルのセットCAおよび/またはトリガ信号を出力において提供する。
【0115】
具体的には、衝突検出段階83は、入力された融合マップFにおけるグリッドセル
【数17】
内の衝突セルCAのセットにフラグを付ける動作を実行する。融合マップFは、例えば、以下を備え得る。
‐特定数のBOFデータ融合50サイクルの確率値
【数18】
を有する融合マップFのグリッドセル、
‐特定の時間tkにわたって
【数19】
とラベルされるグリッドセル
【数20】
【0116】
従って、衝突検出段階83は、衝突が生じたことを示すフラグ付きセルCAのセットを出力として提供し得る。融合グリッドF内において、複数のフラグ付きセルCAは時間kでフラグを付けされ得ることを留意されたい。従って、融合マップF内のセルCAのグループごとに、同じフラグが有効にされ得る。代替的に、複数のフラグ値が、例えば、より高い「衝突レベル」とより低いレベルとを区別すべく、同じ時間kで複数のグリッドセルに関連付けられ得る。
【0117】
トリガ信号は、定期的に(すなわち、所定の時点で)または衝突セルCAのセットにおける確率値の関数として生成され得る。トリガ信号は、内部で使用されてもよく、またはユーザ処理段階87、84に提供されてもよい。
【0118】
例えば、衝突検出段階83は、フラグを付けることを適用する前に、データ融合処理40において、融合マップFの複数の時間フレームをBOF処理段階50から受信し得る。衝突検出段階83は、衝突セルCAのセットにフラグを付ける前に、特定の時間k(例えば、特定数の融合処理サイクル)を待ってもよく、および/または、セルの確率値が安定するのを待ってもよい。
【0119】
代替的に、衝突セルCAの非ヌルセットの存在そのものがトリガ信号として使用されてもよい。
【0120】
考慮される実施形態において、衝突検出段階83は、フラグ付きセルCAのセットおよび/または融合マップFおよび/またはトリガ信号を、状況評価段階80における衝突評価段階84と、占有グリッドマップ処理段階85における衝突解決段階87とに提供する。
【0121】
図8の例示的な実施形態において、状況評価段階における衝突評価段階83は、入力として以下を受信する。
‐不一致評価段階70からの検出された不一致Dのセット
‐DBRM段階82により提供される不一致ベースの関係モデルDM(例えば、メモリ82に格納される)
‐衝突セルCAのセットおよび/または融合マップFおよび/またはトリガ信号
【0122】
段階82により提供される不一致ベースの関係モデルDMは、衝突セルCAのセットにおける衝突グリッドセルおよび/または融合グリッドマップFに適用され、以下のうちの少なくとも1つを実行するルールのセットを表す。
‐衝突セルの空間的評価(例えば、セル位置)
‐占有率の確率の評価(例えば、不一致解決ロジックを介して)
【0123】
従って、衝突評価段階84は、例えば検出された不一致Dのセットと不一致ベースの関係モデルDMとの組み合わせを使用するように構成されており、従って、グリッドセルの状態を「不確実/未知」に維持する衝突を解決する方法を提供する。
【0124】
より詳細には、曖昧なセルの占有率が、第1の状態(例えば、「占有された」
【数21】
)または第2の状態(例えば、「空いている」
【数22】
状態)のいずれかであると「傾け」るための情報を取得すべく、以下に説明されるように、衝突評価段階84は、不一致解決ロジックを採用し得る。
【0125】
図7を参照して前述されたものと同様に、第1の例示的解決ロジックは、異なるセンサ測定間における不一致ベースの関係の存在の観察を介して開発される。
【0126】
図7の部分b)、c)およびd)において、エリアAは、道路の端(例えば、車線)に対応するグリッドセルである。この情報は、視覚センサにより車線として確認され、(GPS/GIS)コンテキストマップにより(丸い)境界として確認される。しかし、ライダセンサは、光線エネルギの大部分が周辺環境に分散されるので、結果として得られる融合マップのセル
【数23】
を、「空いている」と分類する可能性がある。
【0127】
従って、図7において例示されるように、視覚センサの検出された不一致Dのセットにおける不一致D2iおよびDi1vs.ライダ(部分c)およびコンテキストマップ(GIS/GPS)vs.ライダ(部分d)がそれぞれ、両方のセンサペアからの測定が互いに矛盾するので、高い不一致値を有する。それとは逆に、両方のセンサからの測定が互いに裏付けるので、視覚センサとGISマップ(部分b)との間の不一致Δ12は非常に小さい。
【0128】
障害物の検出は、特に、道路上で生じ得る一時的なジャージおよび/または道路の境界を決定する車線の存在の正確な確定に関する懸念事項である。これらのオブジェクトは、それらの存在がセンサ測定値の少なくとも1つのペア内で生成され得る/衝突状態にあり得るので、不確実さの原因である可能性がある。
【0129】
当該オブジェクトの存在は、検出された不一致Dに基づいて、各セルに対して以下のロジック/ルールを使用することにより評価され得る。
‐不一致Δ2iおよびΔ12が、SとSとのセンサペア、およびSとSとのセンサペアが一致しないと示すとき、Δi1は、SとSとのセンサペアが一致しないと示し、次にセルは「占有された」とラベルされる。
‐Δ2iがSとSとのセンサペアが一致しないと示し、Δ12がSとSとのセンサペアが一致すると示すとき、Δi1は、SとSとのセンサペアが一致すると示し、次にセルは「占有された」とラベルされる。
‐任意の他の場合において、セルは「空いている」とラベルされる。
【0130】
従って、「衝突」値は、不一致モデル化段階82により提供される不一致評価モデルDMのパラメータである。「衝突」は、段階82により提供されるモデルDMでパラメータ化され得る。例えば、前述したように、「衝突」=0.5は、グリッドセルgij が、第1のセンサからのデータを使用して空いているとラベルされ、第2のセンサ測定値からのグリッドマップに従って占有されるたことを示唆する。
【0131】
衝突評価段階83は、例えばデータセットCRにおける衝突セルについての情報と衝突の種類とを、状況評価段階80の出力として提供する。結果的に、図8において例示されるように、占有グリッド処理段階85における衝突解決段階87は、以下を入力として受信する。
‐状況評価段階80により提供されたデータセットCR
‐衝突検出段階83により提供された、衝突セルCAおよび/または融合マップFおよび/またはトリガ信号の、値のセットならびに位置
【0132】
衝突解決段階87は入力を処理する(例えば、センサ測定における空間的および時間的信頼度として衝突の確率を評価する)。従って、適応型重み値Wは、さらになる処理のために算出され得る。例えば、重み値は、データ融合処理におけるセンサグリッド値を適用すべく、前の段階に「戻る」(例えば、フィードバックネットワークを介して、特に、BOF融合段階50の段階520で、データ融合処理段階40に戻る)ように送られ得る適応重みWを備え得る。衝突解決段階87は当該入力を処理して、値のセットCCを提供する。
【0133】
1または複数の実施形態において、値のセットCCは、フィードフォワード修正の場合に、融合マップFに適用する修正
【数24】
を示すか、または、修正がフィードバック変形例において適用される場合の重み修正
【数25】
を示す。
【0134】
従って、これは、衝突セルの確率を、定義された状態(例えば、占有されたまたは空いている状態のいずれか)に「傾け」(すなわち、プッシュまたは再割り当て)る。例えば、解決されたグリッドセル値は、例えば、状況評価段階80により提供されるデータセットCRのルールを適用することにより、検出された不一致Dのセットにおける「衝突」値の測定の関数として算出され得る。
【0135】
衝突解決段階87の出力は、衝突修正段階89に通信される。
【0136】
結果的に、衝突修正段階89は、以下を受信する。
‐衝突修正段階87からの値のセットCC
‐ルールデータセットCR
‐データ融合処理段階40におけるBOF融合段階50からの融合マップF
【0137】
衝突修正段階89は、運転可能な融合マップMを出力として提供し、これは、前述したように、ドライバー補助システム/インタフェースIAに提供され得る。融合グリッドマップMは、例えば、融合マップFにおける衝突グリッドセルの値を、対応する値CC(例えば、解決されたグリッドセル値)と統合および/または置換することにより、衝突修正段階89で取得される。
【0138】
衝突修正段階89において処理することは、
【数26】
で表され得る。これは、段階87からの融合マップ
【数27】
と、修正
【数28】
との間の差、または、段階87からのこれまで算出された重み値セット
【数29】
と修正
【数30】
との間の差である
【数31】
であり、これらはそれぞれフィードフォワードまたはフィードバック変形例におけるものである。
【0139】
従って、融合グリッドマップMは、車両Vの移動経路に沿った障害物の占有率を正確に予測および/または検出することを容易にして、運転補助システム/インタフェースIAによる車両Vの移動経路に対するオンライン修正を容易にする。
【0140】
例えば、車両が自律運転システムにより動作される場合(当該図では不可視)、車両と障害物との間の衝突を回避することを容易にし得る。
【0141】
図8bの例において、センサグリッドマップG、G、Gは、簡略化された例を提供すべく、その不一致段階における処理の結果、検出された不一致Dのセットを提供する、グリッドセルのn=2行とM=1列とを有する。ここで、例えば、
‐第1のセンサのペアが一致する(例えば、Δ12=0)
‐第2のセンサのペアが一致しない(例えば、Δ2i=1)
‐第3のセンサのペアが一致しない(例えば、Δi1=1)
【0142】
本明細書で上記に示される計算はもちろんシンプルな例を表すが、他の実施形態では、不一致を決定するために異なる計算が実行され得る。
【0143】
衝突評価段階84の検出された不一致のセットをモデルDMと共に処理することは、データセットCR値、例えば、
【数32】
を提供する。
【0144】
さらに、再び一例として、衝突解決段階87は、融合段階において使用される重みの初期値、例えば、
【数33】
を受信し得る。
【0145】
結果的に、衝突解決段階87は、更新された重み値を算出して、例えば、グリッド融合処理段階40におけるBOF融合段階50に提供し得る。例えば、重みは、以下のように算出され得る。例えば:
【0146】
CC=[w,w,w
ここで、
‐w=w=u/u+u+u
‐w=v/u+u+u
であり、
‐u=CA+CA*CC=0.55
‐v=CA-CC=0.11
である。
【0147】
従って、フィードフォワードまたはフィードバック構成のいずれにおいても、センサグリッドマップ占有確率は、融合グリッドマップMにおけるこれらの重みの関数に応じて、融合および重み付けされ得る。
【0148】
調停段階90のさらなる変形した実施形態において、値CCは、図1、5および8において可視であるように、データ融合処理段階40のBOF融合処理50、例えば、特に、BOF融合処理の段階520にフィードバックするための適応重みWを備え得る。これは、データ融合処理50におけるセンサ占有グリッドマップの反復的な重み付けW、520、50を容易にし、例えば、重み付けされた線形意見プールの融合を提供する。
【0149】
既に述べたように、図9において例示される変形した実施形態において、データ融合処理段階40におけるDST融合処理段階60は、調停段階90に結合されている。
【0150】
具体的には、図9において例示される変形した実施形態において、調停段階90'は、証拠グリッド処理段階85'を備え得る。
【0151】
図9において例示されるように、証拠グリッド処理段階85'は、前述したものと同様に、検出段階83'と解決段階87'とを備える。
【0152】
図9において例示される変形した実施形態において、DST処理60からの証拠グリッドEをも備える融合マップのセットFFを受信する場合、検出段階83'は、証拠グリッドEを解決段階87'に送り(例えば、値を送る)、段階83'が証拠グリッドEを受信する度に、段階87'のアクティブ化をトリガするように構成される。
【0153】
図9において例示される変形した実施形態において、衝突解決段階87'は、DSTグリッド融合60に関連する使用に適切な比例衝突解決(PCR)ルールを備える(例えば、格納する)。
【0154】
図9において例示される変形した実施形態において、グリッドセル占有値についての決定「ロジック」(例えば、衝突セルの確率をどのように「傾け」るか)は、複数の値(例えば、2値ベイジアン値である空いている/占有されたとは異なる、4つの値(マス)‐(空いている、占有された、衝突、未知))を有する「信念関数」Bel(X) に基づいてよい。従って、DSTは、4つの「状態」の間に「信念」を分散する可能性により、マッピングの解像度を上昇することを容易にする。実際に、これは、環境において生じる遷移をより詳細に、より現実的な方法で示すことと、環境のより信頼性のあるマップを提供することとを容易にする。
【0155】
実際に、GPS情報が、壁が存在しないと示すときであっても、ライダセンサがそうでないと示す場合、GPSもライダも特定エリアについての情報を提供しない場合と区別して、「衝突」値を割り当てることにより、これを強調して、従って「未知」とマークされるようにすることがベストであろう。BOF融合50において、前の例の両方の場合で、融合マップFのグリッドセルには同じ確率値(例えば、0.5)と同じ状態(例えば、「未知」)とが割り当てられたのであろう。これに対して、DSTは、より多くの「証拠」状態(例えば、空いている、占有された、衝突、未知の4つの状態)を区別することを可能にする。
【0156】
それにもかかわらず、DST融合60は、(非常に)衝突するソースからの情報を組み合わせる場合に、反直感的な結果を生成し得ることが観察されてきた。従って、予測不可能な「証拠」グリッドマップEに対処する目的のためにPCR処理87'が使用され得、DSTの能力を拡張することで潜在的な衝突を自動的に解決する。
【0157】
例えば、1または複数の実施形態は、例えば全ての一体性制約に従って、空でないセットに比例して、衝突マス再分配の動作
【数34】
を備え得る。
【0158】
PCR段階87'は、例えば、全てのサブセット(空いている、占有された、衝突、未知)∈Aの全てのソースnの接続的な組み合わせを算出して、基本的DST式を、以下のように一般化するように構成される。
【数35】
全ての衝突マスは、以下のように表され得る。
【数36】
ここで、上記式におけるアデンダム
【数37】
は、部分的に衝突するマスである。
【0159】
証拠グリッドEを使用する1または複数の実施形態において、従って、各々の部分的に衝突するマスが、図9において例示されるように、調停段階90'の衝突解決段階87'においてこれらのサブセットに既に割り当てられた基本確率マスに比例して、そのサブセットに再配布される。
【0160】
図8および9の変形した実施形態は、さらなる変形した実施形態において組み合わされ得、ここで調停段階90は、BOF融合処理とDST融合60とに結合され得ることを再び留意されたい。
【0161】
実際に、証拠グリッドマップEにおける比例滴衝突再分配ルール87'(簡単に、PCR)の使用と、不一致Dの状況評価80により提供されるルールCRを介した衝突解決の使用とは、互いに排他的なアプローチではない。
【0162】
2つのアプローチは、例えば調停段階90において以下を備える変形した実施形態において組み合わされ得る。
‐各々が特定の機能を実行する複数の特化した並列段階(例えば衝突解決段階87,87'のペア)
‐両方の種類の動作を実行する同じ段階(例えば、PCR87'によるDST証拠グリッドEおよび/またはBOF融合マップFと、ルールデータセットCRとの両方で動作するように搭載される同じ処理段階87)。
【0163】
後者の配置は、例えば、処理中のデータ融合段階40における処理段階50および60の両方を含むとき、有用であると証明され得る。実際に、DST処理60およびBF処理50は、両方の方法の一貫性を向上させ、互いに欠点を減らす(例えば、堅牢性を容易に向上させる)べく、例えば、データ融合段階40において並列で実行され得る。
【0164】
従って、衝突調停段階90は、少なくとも1つの融合グリッドマップF、Eのグリッドセルにおける衝突のコヒーレントで信頼性の高い修正を容易にし、従って、運転可能な融合マップMを出力し得る。
【0165】
前述した処理段階(具体的には、データ融合段階40、BOF融合50、DST融合60、調停段階90および/または90'、ならびに不一致検出段階70)を別個のエンティティとして表示することは、単に明確さと簡単さのためであることが理解されよう。1または複数の実施形態において、それらの段階の1または複数は、多機能段階および/または回路(例えば、単一プロセッサまたはDSP)の形態で統合され得る。
【0166】
図10は、説明された実施形態に係る車両環境マッピングの方法1000の例示的な図である。
【0167】
車両V(例えば、陸上車両)の環境をマッピングするための方法1000は、以下の動作を備える。
‐S、S、Sで、方法の動作の開始を示し、同様に、例えば、ライダ、カメラおよびGPS/GISを備える複数のセンサS、S、Sの存在を示す。
‐1010で、複数のセンサS、S、Sからの入力値Y、Y、Yのセットを受信する動作を示す。
‐1030で、(分散された)時間的融合処理30(301、302、30i)、を、入力値Y、Y、Yのセットに適用して、それぞれの占有グリッドマップのセットG、G、Gをもたらす動作を示す。
‐1040で、データ融合処理40を、例えば、1050で示されたベイジアン占有フィルタ処理または1060で示されたデンプスター・シェイファー証拠理論処理を使用して、占有グリッドマップG、G、Gのセットに適用して、融合占有グリッドマップF、EのセットFFをもたらす動作を示す。
‐1070で、マップG、G、Gのセットにおける占有グリッドマップ(例えば、2つの占有グリッドマップの組み合わせ)を比較することにより不一致70を検出して、検出された不一致Dのセットをもたらす動作を示す。
‐1090で、融合占有グリッドマップのセットFFを処理して、運転可能な空間の融合占有グリッドマップのセットMMを出力する動作であって、処理動作は、少なくとも1つの融合占有グリッドマップF;Eにおける衝突の調停1090a、1090bを実行する段階を備える、動作を示す。以下にも詳述されるように、動作1090aは、図8において調停ブロックの実施形態90により実行される動作に対応し、一方で、動作1090bは、図9における調停ブロックの実施形態90'により実行される動作に対応する。
‐IAで、運転可能な調停された融合マップMを、少なくとも1つのドライバー補助デバイスに提供する動作であって、ドライバー補助デバイスIAは、運転可能な空間の調停された融合占有グリッドマップMの関数として動作するように構成される、動作を示す。
【0168】
説明されたように、動作1090の処理は、具体的には、以下のうちの少なくとも1つを含む。
‐フィードフォワード処理1090a、1090b。
‐例えば、データ融合処理段階40(例えば、BOF融合50の段階520)に適応重みWを提供することにより、センサ占有グリッドセルおよび/またはセンサ測定値の適応重み付けを備えるフィードバック処理1090a。
【0169】
説明されたように、動作1090aのフィードフォワード処理は、具体的には、以下を含む。
‐例えば、ブロック83において、少なくとも1つの融合マップFまたはEにおいて一定期間にわたって不確実と分類されたグリッドセルのセットにフラグを付けて、フラグ付きのグリッドセルのセットをもたらす段階
‐例えば、ブロック84において、検出された不一致Dのセットを分析して、複合ルールのセット(例えば、モデルDM)を、格納されたモデル(例えばブロック82に格納された)の関数として提供する段階
‐例えば、ブロック87において、複合ルール(具体的には適応重み付けルール)のセットを、値のセットCC(例えば、複合/修正グリッドセル値)を提供する少なくとも1つの融合マップFにおけるフラグ付きのグリッドセルのセットの値に適用する段階
‐例えば、ブロック89において、少なくとも1つの融合マップFにおけるフラグ付きのグリッドセルに、複合グリッドセル値のセットを組み込むことにより、運転可能な空間の複合融合占有グリッドマップ(M)を提供する段階
【0170】
説明されたように、動作1090bの処理は、具体的には以下を含む。
‐例えば、ブロック83'において、証拠グリッドEにおいて一定期間にわたって不確実と分類されたグリッドセルのセットを送る段階
‐例えば、ブロック87'において、証拠グリッドEの間の「マス」の比例衝突再分配を適用して、複合グリッドセル値CCのセットを提供する段階
‐例えば、ブロック89'において、証拠グリッドEにおけるフラグ付きのグリッドセルに、複合グリッドセル値のセットを組み込むことにより、運転可能な空間の複合融合占有グリッドマップ(M)を提供する段階
【0171】
既に述べたように、方法は、BOF用のブロック50および90またはDST用のブロック60および90'のいずれかを使用する(例えば、動作1050、1090aおよび1060、1090bのいずれかを実行する)段階を含み得る。しかし、さらなる変形した実施形態において、データ融合ブロック40は、ブロック50および60の両方を含み得、システム100は、調停ブロック90、90'の両方を含み得る。これは、方法が、図10において示された全ての動作(例えば、動作1040、1050、1070、1090aおよび1090b)を含むことと実行することとが可能であることを意味する。
【0172】
要約すると、1または複数の実施形態は、
‐例えば、陸上車両のための車両環境マッピングを提供し、
‐例えば、ベイジアン占有フィルタおよび/またはデンプスター・シェイファー証拠理論を介して、時間的融合およびデータ融合動作を備え、
‐時間的融合処理は個別のセンサにおいてローカルに実行され得、個別のセンサグリッドマップは、2つのグループで比較されて不一致を分析し得、
‐不一致の解析およびデータ融合の結果はさらに、例えば、不一致ベースのリレーショナルモデルおよび/または比例衝突再分配を使用して、衝突調停処理を介して処理され、
‐衝突調停は、例えば、調停処理により提供された衝突セルに対する最新値を有する複合融合グリッドマップを提供し得、
‐複合融合グリッドマップは、例えば、実施形態に従った方法を実行するシステムを搭載した車両に搭載された運転補助システムに提供され得る。
【0173】
そうでない場合は、本明細書に添付された図面全体にわたって例示された様々な個別の実装オプションが、必ずしも図において例示されたものと同じ組み合わせに採用されることを意図されているものではないことが分かる。従って、1または複数の実施形態は、添付の図面において例示された組み合わせに関して、これらの(そうでない場合は非必須である)オプションを個別におよび/または異なる組み合わせで採用し得る。
【0174】
基礎となる原理に影響することなく、詳細および実施形態は、保護の範囲から逸脱することなく、例としてのみ説明されたものに関してであっても、顕著に異なり得る。保護の範囲は、添付の請求項により定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a)】
図7b)】
図7c)】
図7d)】
図8a
図8b
図9
図10