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特許7440015注入器およびこれを使用したコンクリート構造物の補強方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】注入器およびこれを使用したコンクリート構造物の補強方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
E04G23/02 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023181543
(22)【出願日】2023-10-23
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2023112965
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503427614
【氏名又は名称】株式会社平賀
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平賀 秀男
(72)【発明者】
【氏名】平賀 友子
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3185526(JP,U)
【文献】特開2004-261639(JP,A)
【文献】実開平02-081648(JP,U)
【文献】特開2017-002702(JP,A)
【文献】特開2016-088582(JP,A)
【文献】特開昭54-065686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E01D 22/00
E21D 11/00
B65D 47/34
B65D 83/00
B05B 11/04
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材の付勢力で押圧されて収縮変形して、内部に貯留された注入材をコンクリート構造物に生じた空隙内に注入するための容器体を内設した注入器において、前記容器体を、平面視で正多角形の頂壁と、中心に開口を形成した前記頂壁と同形の底壁と、前記頂壁と前記底壁とで両端開口を閉鎖された筒壁と、で構成し、前記筒壁には、前記頂壁の正多角形の各角部と平面視でこれより周方向で捩れた位置にある前記底壁の正多角形の各角部を結んで略平行にそれぞれ同方向へ傾斜して延びる複数の山型の主凸条と、隣接する前記主凸条の間に延びる空間を横切って当該空間を四辺形の複数の領域に区画するとともに前記頂壁と前記底壁の間でこれらと平面視で同形の正多角形を形成し、当該正多角形の各頂点を前記主凸条が経由している山型の副凸条と、四辺形の前記各領域内を当該四辺形の一方の頂点から他方の頂点へそれぞれ前記頂壁と前記底壁の捩れ方向と同方向へ斜めに延びる山型の凹条とが形成されて、前記頂壁が押圧された時に前記筒壁が捩り変形して前記容器体内に収容された前記注入材が押し出し圧を受けつつ旋回流動して前記底壁の開口から排出される注入器。
【請求項2】
請求項1に記載の注入器を使用したコンクリート構造物の補強方法であって、密封材をコンクリート構造物表面の浅いひび割れにパテ作業で刷り込む工程を含んでいるコンクリート構造物の補強方法。
【請求項3】
請求項1に記載の注入器を使用したコンクリート構造物の補強方法であって、注入を終了した前記注入器および注入台座を撤去し、撤去後の注入穴内の注入材を表面から所定深さで掘り起こす座掘りを行う工程を含んでいるコンクリート構造物の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注入材を注入するための注入器およびこれを使用したコンクリート構造物の補強方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ひび割れ等によって生じたコンクリート構造物の空隙内に注入材を注入することによって当該構造物の補強を図る方法があり、特許文献1には、コンクリート構造物の、上記空隙に連通する表面開口(注入穴)に連結されて注入材を空隙内に充填するための注入器が示されている。注入器にはそのケーシング内に図22に示すような、筒軸と直交する方向へ形成された山部35と谷部36を筒軸方向へ交互に設けたジャバラ式の筒状容器体3´が設けられている。容器体3´内には注入材が収容されており、バネ力で後端面(図22の下端面)を押圧して容器体3´を図23に示すように筒軸方向へ収縮させることにより、内部の注入材を前端面中央の筒状開口部31を経てコンクリート構造物の空隙内に注入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3185526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の注入器で使用されている容器体3´では、これを収縮させても内部に収容された注入材が、ジャバラの山部35内に比較的多く残存してしまうため、注入材の使用効率が悪いという問題があるとともに、使用済みの注入器3´に残存する注入材が環境汚染を招かないように十分な対策をする必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、使用済み注入器に残存する注入材を可及的に少なくして注入材の使用効率を向上させるとともに、過度な環境対策を行う必要のない注入器およびこれを使用したコンクリート構造物の補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、弾性材(5)の付勢力で押圧されて収縮変形して、内部に貯留された注入材をコンクリート構造物に生じた空隙内に注入するための容器体を内設した注入器において、前記容器体(3)を、平面視で正多角形の頂壁(32)と、中心に開口(31)を形成した前記頂壁(32)と同形の底壁(33)と、前記頂壁(32)と前記底壁(33)とで両端開口を閉鎖された筒壁(34)と、で構成し、前記筒壁(34)には、前記頂壁(32)の正多角形の各角部と平面視でこれより周方向で捩れた位置にある前記底壁(33)の正多角形の各角部を結んで略平行にそれぞれ同方向へ傾斜して延びる複数の山型の主凸条(341)と、隣接する前記主凸条(341)の間に延びる空間を横切って当該空間を四辺形の複数の領域(R)に区画するとともに前記頂壁と前記底壁の間でこれらと平面視で同形の正多角形を形成し、当該正多角形の各頂点を前記主凸条が経由している山型の副凸条(342)と、四辺形の前記各領域(R)内を当該四辺形の一方の頂点から他方の頂点へそれぞれ前記頂壁と前記底壁の捩れ方向と同方向へ斜めに延びる山型の凹条(343)とが形成されて、前記頂壁(32)が押圧された時に前記筒壁(34)が捩り変形して前記容器体(3)内に収容された前記注入材が押し出し圧を受けつつ旋回流動して前記底壁(33)の開口(31)から排出される。
【0007】
本第1発明において、容器体は弾性材の付勢力で押圧されて収縮するが、上記構成の容器体は収縮に伴って周壁が捩り変形し、これによって容器体内に収容された注入材は、押し出し圧を受けつつ旋回流動して容器体内に残存することなく速やかに排出される。したがって、注入材の使用効率が向上するととともに、容器体の廃棄時に環境汚染を避けるための過度な対策をする必要がない。
【0008】
本第2発明に係るコンクリート構造物の補強方法は、密封材をコンクリート構造物表面の浅いひび割れにパテ作業で刷り込む工程を含んでいる。
【0009】
本第2発明によれば、従来のような余剰の密封材の撤去作業を行うことなく、そのまま最終的な左官仕上げ作業を行うことができる。
【0010】
本第3発明に係るコンクリート構造物の補強方法は、注入を終了した前記注入器(1)および注入台座(7)を撤去し、撤去後の注入穴内の注入材を表面から所定深さで掘り起こす座掘りを行う工程を含んでいる。
【0011】
本第3発明においては、座掘りによって紫外線による注入材の劣化を防止することができる。
【0012】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の注入器およびこれを使用したコンクリート構造物の補強方法によれば、使用済み注入器に残存する注入材を可及的に少なくして注入材の使用効率を向上させることが可能であるとともに、過度な環境対策を行う必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】注入器の分解斜視図である。
図2】注入台座の平面図と断面図である。
図3】本発明の注入器に使用する容器体の側面図である。
図4】本発明の注入器に使用する容器体を上方から見た端面図である。
図5】本発明の注入器に使用する容器体を下方から見た端面図である。
図6】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図7】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図8】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図9】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図10】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図11】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図12】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図13】本発明の注入器に使用する容器体の収縮過程を示す側面図である。
図14】コンクリート構造物の補強工程を示すフローチャートである。
図15】注入台座を設置した壁面の斜視図である。
図16】密封材を刷り込んだ壁面の斜視図である。
図17】注入器を取り付けた壁面の斜視図である。
図18】注入器と注入台座を撤去した壁面の斜視図である。
図19】注入穴の座堀りを行った壁面の斜視図である。
図20】左官仕上げした壁面の斜視図である。
図21】塗装を行った壁面の斜視図である。
図22】従来の注入器に使用する容器体の斜視図である。
図23】従来の注入器に使用する容器体の収縮時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0016】
(注入器)
本発明の注入器の基本構造は容器体を除いて引用文献1に記載されたものと同様であり、以下、注入器の構造を、図1の分解斜視図を参照しつつ説明する。
【0017】
注入器1は円筒状のケーシング2を備えており、その前半部(図1の右半部)内に、伸縮可能なジャバラ状の筒状容器体3´が収容されている。この容器体3´は従来のものであり、本発明に係る容器体の詳細は後述する。
【0018】
容器体3´内には注入材が収容される。容器体3´は後端(下端)閉鎖の樹脂の一体成形品で、前端には小径の筒状開口部31が形成されている。ケーシング2の前端開口21にはキャップ41が捩じ込み固定され、キャップ41の中心に形成された筒状開口の後半部411の雌ネジ部に、容器体3´の開口部31外周の雄ネジ部が捩じ込み固定される。
【0019】
ケーシング2の後半部内には弾性材としてコイル状のバネ部材5が挿入されており、バネ部材5は後端が、ケーシング2の後端開口22に捩じ込み固定されるキャップ42に当接するとともに、バネ部材5の前端はケーシング2内に配設された端板51に当接している。端板51は、キャップ42を貫通してバネ部材5の中心をケーシング2内へ延びた操作棒6の先端に固定されている。
【0020】
キャップ42を貫通してケーシング2外へ延出した操作棒6の基端には三角リング状の操作片61が装着されており、また、操作棒6の長手方向の適宜位置には外周の径方向対称位置に一対の係止突起62が形成されている(一方のみ示す)。上記キャップ42には係止突起62を通過させる切欠き421が形成されており、操作片61によって操作棒6を外方へ引き出すと、バネ部材5は収縮状態に変形して所定の伸長バネ力を生じる。所定量引き出した操作棒6を90度回転させてその係止突起62をキャップ42の外周面に係合させると、バネ部材5は収縮状態でキャップ42と端板51の間に保持される。
【0021】
注入材を収容した容器体3´をキャップ41に固定し、当該キャップ41をケーシング2の前端開口21に固定することによってケーシング2の前半部内に容器体3´を収容するとともに、バネ部材5を収縮させた状態でキャップ42をケーシング2の後端開口22に固定する。
【0022】
図2(1)には注入台座7の平面図を示し、その断面図を図2(2)に示す。注入台座7は円板状の基部71と、基部71の中心に立設された筒状連結部72よりなり、当該連結部72の内周には雌ネジ部が形成されている。このような注入台座7は、その基部21板面を、後述のように、補修されるコンクリート構造物の表面に接着等によって固定される。注入器1は、そのキャップ41から突出する筒状開口の前半部412外周の雄ネジ部を、注入台座7の連結部72の雌ネジ部に捩じ込んで取り付け固定される。
【0023】
注入器1が注入台座7に固定された状態で、容器体3´はコンクリート構造物の表面の必要位置に開口させた注入穴に連通する。操作棒7を90度戻し回転させて係止突起62とキャップ42の係合を解消すると、容器体3´にバネ部材5の伸張バネ力が作用して当該容器体3´が収縮させられ、注入材が所定の圧力で注入穴を経てコンクリート構造物に生じた空隙内に注入される。
【0024】
(注入器に使用される容器体)
上記従来の容器体3´に代えて使用される本発明に係る新たな容器体3の全体側面図を図3に示す。また、容器体3を上方から見た端面図を図4に示し、下方から見た端面図を図5に示す。
【0025】
容器体3は本実施形態では例えばポリエチレン樹脂のブロー成形品で、上端閉鎖の筒状となっている。すなわち、容器体3の頂壁32と底壁33はいずれも正六角形となっており(図4図5参照)、筒壁34の上端開口は頂壁32で閉鎖され、下端開口は、中心に小径の筒状開口部31を形成した底壁33で閉鎖されている。なお、頂壁32および底壁33は必ずしも正六角形とする必要はなく、正多角形であれば良い。
【0026】
ここで、上記筒壁34は以下に説明するような折り形状となっている。すなわち、頂壁32の正六角形の各角部から、これと周方向の捩れた位置にある底壁33の正六角形の各角部へ、略平行にそれぞれ同方向(本実施形態では上方から見た図4で時計方向)へ傾斜して延びる複数の山型の主凸条341が形成されている。さらに、隣接する主凸条341の間に延びる各空間を横切ってこれら空間を四辺形の複数の領域Rに区画する山型の副凸条342(上端と下端の副凸条342は頂壁32と底壁の周縁である)が形成され、そしてさらに四辺形の各領域R内にはこれら四辺形の一方の頂点から他方の頂点へそれぞれ主凸条341と同方向へ斜めに延びる山型の凹条343が形成されている。
【0027】
このような容器体3の内部に注入材が収容され、容器体3の開口部31外周の雄ネジ部が、キャップ41(図1参照)の中心に形成された開口の後半部411の雌ネジ部に捩じ込み固定される。そして、ケーシング2の前半部内に容器体3を収容しつつキャップ41がケーシング2の前端開口21に捩じ込み固定される。この後、既述のように、収縮状態のバネ部材5をケーシングの後半部内に収容しつつキャップ42がケーシング2の後端開口222にねじ込み固定される。なお、注入材は本実施形態では例えばエポキシ樹脂である。
【0028】
注入器1を使用する場合には、キャップ41から突出する筒状開口の前半部412外周の雄ネジ部を、コンクリート構造物の表面の必要位置に設置固定した注入台座7(図2参照)の、筒状連結部72の雌ネジ部に捩じ込み固定する。
【0029】
注入器1が固定された状態で、容器体4は、コンクリート構造物の表面の必要位置に開口された注入穴に連通する。この状態で、操作棒6を既述のように操作してバネ部材5の伸張バネ力を作用させると容器体3が収縮させられて、その内部に収容されている注入材が所定の圧力でコンクリート構造物の注入穴を経て内部に生じている空隙内に注入される。
【0030】
この注入時の容器体3の形状変化を図6図13に示す。容器体3はバネ部材5の伸長バネ力を受けて全体として収縮するが、この収縮する過程で、容器体3の筒壁34の凸条3341,342で囲まれた四辺形領域Rのうち、例えば領域R1~R3に注目してその変位を追うと、図6図12に示すように、容器体3の収縮に伴って各領域R1~R3は同方向の周方向(本実施形態では上方から見た図4で反時計方向)へ変位しており、全体として筒壁34は捩り変形している。本実施形態では容器体3の上半部は収縮に伴って約180度程も捩り変形する。
【0031】
このように、容器体3の折り形状の筒壁34が収縮に伴って捩り変形すると、容器体3内に収容された注入材はこれに伴って、押し出し圧を受けつつ旋回流動する。この旋回流動により注入材は容器体3内に残存することなく速やかにその開口部31から、キャップ41の筒状開口前半部412および注入台座7の筒状連結部72を経てコンクリート構造物表面の注入穴内へ送給される。このように、注入材が容器体3の内に残存することなく速やかに排出されるから、注入材の使用効率が向上するととともに、容器体3の廃棄時に残存注入材による環境汚染を招かないように過度な対策をする必要もない。
【0032】
(コンクリート構造物の補強工程)
以下は、上述した容器体3を備える注入器1を使用したコンクリート構造物の補強工程について、図14を参照しつつその工程を説明する。
【0033】
最初に、補修するコンクリート構造物、例えば水槽、の壁面に足場を設置して(ステップ101)仮設養生を行う。続いて壁面のケレン作業を行い(ステップ102)、深いひび割れ(クラック)からの漏水状況を確認する。クラックの幅や深さを確認したら注入材の注入位置を確認して、注入穴を穿孔する(ステップ103)。そして壁面の性能向上のために改質材を塗布し(ステップ104)、その後、穿孔した注入穴に注入台座7を接着により設置固定する(ステップ105、図15)。
【0034】
続いて、密封材を注入ポイント以外の壁面の浅いひび割れにパテ作業で刷り込む(ステップ106、図16)。なお、密封材は本実施形態では例えば超微粒子セメントと水の混合物である。このように壁面のひび割れに密封材を刷り込んでいるからそのまま左官仕上げ作業が可能であり、従来のように有機材を浅いひび割れに充填し密封するのと異なって、左官仕上げの前の有機材の余剰部の撤去時に、充填された有機材まで剥がしてしまうという不具合を生じない。
【0035】
この後、壁面に固定された各注入台座7に、既述のようにそれぞれ注入器1を取り付けて固定し(ステップ107、図17)、操作棒6(図1参照)を操作してバネ部材5の伸張バネ力を作用させて容器体3を収縮させ、所定の圧力(例えば0.11N/mm2)で注入材を、注入穴を経てコンクリート構造物に生じた空隙内へ注入する。
【0036】
注入を終了した後は注入器1および注入台座7を撤去し(ステップ108、図18)、撤去後の注入穴内の注入材を表面から例えば10mm程度、ドリルで掘り起こす座彫りを行って(ステップ109、図19)、これにより紫外線による注入材の劣化を防止する。この後、注入材によるパテ埋め、壁面の左官を行い(ステップ110、図20)、続いて塗装又は防食を行って(ステップ111、図21)、コンクリート構造物の補強工程を終了する。
【0037】
上記実施形態では本発明の注入器を使用したコンクリート構造物の補強方法について説明したが、従来の注入器を使用しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1…注入器、3…容器体、31…筒状開口部(開口)、32…頂壁、33…底壁、34…筒壁、341…主凸条、342…副凸条、343…凹条、5…バネ部材(弾性材)、7…注入台座、R,R1,R2,R3…領域。
【要約】
【課題】使用済み注入器に残存する注入材を可及的に少なくして注入材の使用効率を向上させるとともに、過度な環境対策を行う必要のない注入器を提供する。
【解決手段】弾性材5の付勢力で押圧されて収縮変形して、内部に貯留された注入材をコンクリート構造物に生じた空隙内に注入するための容器体を内設した注入器において、容器体3を、正多角形の頂壁32と、中心に開口31を形成した頂壁32と同形の底壁33と、頂壁32と底壁33とで両端開口を閉鎖された筒壁34と、で構成し、筒壁34には、頂壁32の正多角形の各角部からこれより周方向で捩れた位置にある前記底壁33の正多角形の各角部へ略平行にそれぞれ同方向へ傾斜して延びる複数の山型の主凸条341と、隣接する主凸条341の間に延びる空間を横切って当該空間を四辺形の複数の領域Rに区画する山型の副凸条342と、四辺形の各領域R内を当該四辺形の一方の頂点から他方の頂点へそれぞれ主凸条341と同方向へ斜めに延びる山型の凹条343とが形成されている。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23