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特許7440016カラーフィルター用染料分散組成物及びカラーフィルター用染料分散レジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】カラーフィルター用染料分散組成物及びカラーフィルター用染料分散レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/46 20060101AFI20240220BHJP
   C09B 11/28 20060101ALI20240220BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240220BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240220BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C09B67/46 A
C09B11/28 C
C09B67/20 L
G02B5/20 101
G03F7/004 504
G03F7/004 505
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019128791
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021014493
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100131587
【弁理士】
【氏名又は名称】飯沼 和人
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】杉江 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】馬場 智子
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214274(JP,A)
【文献】特開2012-207158(JP,A)
【文献】特開2012-233034(JP,A)
【文献】特開2013-010896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368473(US,A1)
【文献】国際公開第2019/107685(WO,A1)
【文献】特開2014-224222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/46
G02B 5/20
G03F 7/004
C09B 11/28
C09B 67/20
C09K 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子化不溶性キサンテン系染料、アクリル系ブロック重合体である分散剤、フェニル基含有リン酸である分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤を含有し、
微粒子化不溶性キサンテン系染料は、D50が0.040~0.050μmの粒子径分布を有する、カラーフィルター用染料分散組成物。
【請求項2】
アクリル系ブロック重合体である分散剤のアミン価が5~100mgKOH/gである 請求項1に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
【請求項3】
微粒子化不溶性キサンテン系染料が下記化1及び/又は下記化2に記載の構造を有する 請求項1又は2に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
【化1】
[化1の構造式中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-又は-NR11-で置き換わっていてもよい。R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
は、-OH、-SO 、-SOH、-SO 、-COH、-CO 、-CO、-SO又は-SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRは同一でも異なってもよい。
Xは、ハロゲン原子を表す。
は、N(R11 、Na又はKを表し、4つのR11は同一でも異なってもよい。
は、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-、-NH-又は-NR-で置き換っていてもよく、R及びR10は、互いに結合して窒素原子と一緒に3~10員含窒素複素環を形成していてもよい。
11は、水素原子、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数7~10のアラルキル基を表す。]
【化2】
[化2の構造式中、R~R及びR及びRは、上記化1における基と同じである。]
【請求項4】
アクリル系ブロック重合体である分散剤に含まれるアミンが3級アミンまたは4級アミ ンである、請求項又はに記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
【請求項5】
アクリル系ブロック重合体である分散剤のブロック重合体の分子中において、アミン部 位が局在化されている請求項1~のいずれかに記載のカラーフィルター用染料分散組成 物。
【請求項6】
アルカリ可溶性樹脂の酸価が5~250mgKOH/gである請求項1~のいずれか に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載のカラーフィルター用染料分散組成物を含有するカラー フィルター用染料分散レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用染料分散組成物及びカラーフィルター用染料分散レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL等用のカラーフィルターにおいて、着色剤としてピグメントブルー15:6と可溶性染料を併用したときには、製造工程の影響により、発色や輝度の点において不十分なものになる場合があった。また、可溶性染料を併用したときには、熱による他色へのマイグレーションがクリアできない課題があった。
このため着色剤としてピグメントブルー15:6と不溶性染料を併用することにより、信頼性の向上が図れ、着色剤の分散安定性は確保できるものの、輝度の点において不十分であった。
また特許文献2及び3に記載されるように、粒子径が一応小さい染料粒子を有するカラーフィルター用着色組成物は公知であるが、染料の対イオンであるアニオン微粒子化まではされておらず、かつ染料自体を脱塩しスルホン酸基としているので、少なくとも、各有機溶媒に対する溶解性を備える。また、粘度変化や光学特性の点で未だ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-211198号公報
【文献】特開2018-025612号公報
【文献】特開2018-025797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決する課題は、カラーフィルター用染料分散組成物及び、その組成物を基にしてカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を調製したときに、着色剤の分散安定性を向上させることと、高い輝度を両立させることである。またカラーフィルター製造工程を通じて、コントラストや発色が変化しないカラーフィルターを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明ではカラーフィルター用染料分散組成物の組成を検討した。
そのため、本発明は、以下の組成物からなる。
1.微粒子化不溶性キサンテン系染料、アクリル系ブロック重合体である分散剤、フェニル基含有リン酸である分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤を含有するカラーフィルター用染料分散組成物。
2.アクリル系ブロック重合体である分散剤のアミン価が5~100mgKOH/gである1.に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
3.微粒子化不溶性キサンテン系染料が下記化1及び/又は下記化2に記載の構造を有する1.又は2.に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
【化1】
[化1の構造式中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-又は-NR11-で置き換わっていてもよい。R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
は、-OH、-SO 、-SOH、-SO 、-COH、-CO 、-CO、-SO又は-SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRは同一でも異なってもよい。
Xは、ハロゲン原子を表す。
は、N(R11)4、Na又はKを表し、4つのR11は同一でも異なってもよい。
は、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-、-NH-又は-NR-で置き換っていてもよく、R及びR10は、互いに結合して窒素原子と一緒に3~10員含窒素複素環を形成していてもよい。
11は、水素原子、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数7~10のアラルキル基を表す。]
【化2】
[化2の構造式中、R~R及びR及びRは、上記化1における基と同じである。]
4.アクリル系ブロック重合体である分散剤に含まれるアミンが3級アミンまたは4級アミンである、2.又は3.に記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
5.アクリル系ブロック重合体である分散剤のブロック重合体の分子中において、アミン部位が局在化されている1.~4.のいずれかに記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
6.アルカリ可溶性樹脂の酸価が5~250mgKOH/gである1.~5.のいずれかに記載のカラーフィルター用染料分散組成物。
7.1.~6.のいずれかに記載のカラーフィルター用染料分散組成物を含有するカラーフィルター用染料分散レジスト組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、カラーフィルター用染料分散組成物の分散安定性が良好になり、さらにその組成物を基にしてカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を調製したときに、そのカラーフィルター用染料分散レジスト組成物の輝度向上、製造工程中での色調の変化防止を達成できた。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物及びカラーフィルター用染料分散レジスト組成物について詳しく説明する。
【0008】
本発明は主に表示装置用のカラーフィルター用染料分散組成物及びカラーフィルター用染料分散レジスト組成物に関する発明であり、なかでも有機EL素子を用いた表示装置用である。また、そのカラーフィルター用染料分散組成物としては、レジストでない組成物であっても良い。
いずれにしても、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物は分散安定性に優れ、さらにカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を調製したときに、その効果として、そのカラーフィルター用染料分散レジスト組成物の分散安定性向上、輝度向上、カラーフィルター製造中において、変色しないことが可能である。
本発明は、カラーフィルター用染料分散組成物と、そのカラーフィルター用染料分散組成物に対してアルカリ可溶性樹脂や光重合性化合物等を配合してなるカラーフィルター用染料分散レジスト組成物である。
なお、カラーフィルター用染料分散組成物は、光硬化型とそうでないものを包含する。
【0009】
[A.カラーフィルター用染料分散組成物の組成]
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物は、不溶性キサンテン系染料、分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤から主として構成され、分散剤及びアルカリ可溶性樹脂としてブロック重合体を含有し得る。
【0010】
(着色染料)
本発明において使用できる染料としては、微粒子化された不溶性キサンテン系染料である。
不溶性キサンテン系染料はキサンテン骨格を有する染料であり、下記化1に記載の構造を有する染料であって、水、メタノール、クロロフォルム、トルエン、NMP、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、PGMEA、PGMEに不溶なものである。これらのいずれかの溶媒に対する溶解度は、好ましくは0.1質量%未満、さらに0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、最も好ましくは0.005質量%以下である。このときの溶媒との組合せで不溶性とする。
不溶性キサンテン系染料は下記化1及び/又は下記化2に記載の構造を有することが好ましい。
【化1】
[化1の構造式中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-又は-NR11-で置き換わっていてもよい。R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R及びRは、互いに結合して窒素原子と一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
は、-OH、-SO 、-SOH、-SO 、-COH、-CO 、-CO、-SO又は-SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRは同一でも異なってもよい。
Xは、ハロゲン原子を表す。
は、N(R11 、Na又はKを表し、4つのR11は同一でも異なってもよい。
は、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和脂肪族炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-CO-、-NH-又は-NR-で置き換っていてもよく、R及びR10は、互いに結合して窒素原子と一緒に3~10員含窒素複素環を形成していてもよい。
11は、水素原子、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数7~10のアラルキル基を表す。]
なおXがハロゲン原子ではなく、リン原子や金属原子を含有する場合には、十分な保存安定性や光学特性を発揮できない可能性がある。
【0011】
【化2】
[化2の構造式中、R~R及びR及びRは、上記化1における基と同じである。]
【0012】
上記化1及び化2で示す染料としては、R及びRが、メチル基及び/又は-SO3-で置換されていても良いフェニル基であり、R及びRが水素であり、RはSO 又は-SO が好ましく、さらに好ましくはアシッドレッド289、アシッドレッド289の塩酸処理物である。
【0013】
本発明における、微粒子化不溶性キサンテン系染料は、D50が0.040~0.050μmであり、好ましくは、D10が0.020~0.030μm、D50が0.040~0.050μm、D90が0.080~0.095μmの分布を有するものである。
このような粒子径分布を有する微粒子化した不溶性キサンテン系染料を採用することにより、染料の分散液や染料分散レジスト組成物としたときの安定性や光学特性に影響を与える。
【0014】
その他に併用しても良い染料としては、青色染料、緑色染料、赤色染料、黄色染料、紫色染料、オレンジ染料、ブラウン染料等各種の染料である。また、ソルベント染料、アシッド染料、ダイレクト染料等を使用できる。但し、本発明による効果を毀損しない範囲にて併用できる。
これらの染料の例は以下の通り。
【0015】
赤色染料としては、C.I.ソルベントレッド25、27、30、35、49、83、89、100、122、138、149、150、160、179、218、230;C.I.ダイレクトレッド20、37、39、44;C.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、51、52、87、88、89、92、94、97、111、114、115、134、145、151、154、180、183、184、186、198;C.I.ベーシックレッド12および13;C.I.ディスパースレッド5、7、13、17および58の一種以上である。
【0016】
青色染料としては、C.I.ソルベントブルー5、25、35、36、37、44、45、49、59、67、70、68、78、94;C.I.ダイレクトブルー25、38、44、57、70、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、104、112、113、120、129、138、147、150、158、161、171、182、192、210、242、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;C.I.ベーシックブルー1、3、9、25およびC.I.ディスパースブルー198の一種以上である。
【0017】
緑色染料としては、C.I.アシッドグリーン3、9、16ならびにC.I.ベーシックグリーン1及び4の一種以上である。
【0018】
黄色染料としては、C.I.ソルベントイエロー2、5、14、15、16、19、21、33、56、62、77、83、93、104、105、114、129、130、162;C.I.ディスパースイエロー3、4、7、31、54、61、201;C.I.ダイレクトイエロー1、11、12、28;C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、23、38、40、42、76、98;C.I.ベーシックイエロー1の一種以上である。
【0019】
オレンジ染料としては、C.I.ソルベントオレンジ1、2、5、6、37、45、62、99;C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、20、24、28、33、56、74;C.I.ダイレクトオレンジ1およびC.I.ディスパースオレンジ5の一種以上である。
【0020】
紫色染料としては、C.I.ソルベントバイオレット8、9、13、14、33、36、37、45、46、47;C.Iディスパースバイオレット22、24、26、28、C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、49、66、C.I.ベーシックバイオレット2、7、10;C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104の一種以上である。
【0021】
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物に高い明度やコントラストを付与するために、不溶性キサンテン系染料を含む上記の各染料は上記のように微粒子化された染料であることが必要である。微粒子化処理を行うことにより、不溶性染料の最大粒子径を小さくし、ひいては一次粒子径を更に微細にかつ均一にすることができる。
この最大粒子径とするために、不溶性キサンテン系染料の分散液を、対応する孔径のフィルタによって濾過する手段を採用しても良い。
上記微粒子化処理としては、不溶性キサンテン系染料等の染料を可溶な溶媒に必要に応じて酸や塩基等を共存させた上で、不溶性キサンテン系染料等を溶解する。得られた溶液に対して、不溶性キサンテン系染料を不溶な溶媒を添加して、不溶性キサンテン系染料を析出させたり、得られた溶液に塩等を添加して塩析する等の、溶液から溶質を固体として取り出すことができる公知の手段を採用できる。そしてその後に、必要な最大径となるような孔径のフィルタを用いて、最大粒子径を制御した不溶性キサンテン系染料等を得る手段を採用できる。
別の微粒子化処理としては、未処理染料、水溶性の無機塩(塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム等であって、好ましくは塩化ナトリウムで、使用する水溶性の無機塩の平均粒子径としては50μm以下のものが好ましい)、及び、上記水溶性の無機塩を実質的に溶解しない水溶性分散媒体(アルコキシアルコール類、グリコール類、エーテル類等)を含む混合物を、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、特開2006-192385号公報に記載のプラネタリーミキサーである(株)井上製作所社製のトリミックス(商標名)、連続式一軸混練機である浅田鉄工(株)社製のミラクルKCK(商標名)等の混練装置で混練した後、上記水溶性の無機塩及び上記水溶性分散媒体を除去するソルトミリングを行い、温水を添加して撹拌し、水洗をして微粒子化処理を行うことができる。
さらに、染料の結晶成長を抑えて均一に微細化できる点からみて、下記の分散剤及び/又は分散助剤の存在下、微粒子化処理をすることが好ましい。その際の分散助剤の使用量は、染料100質量部に対して0.5~30質量部、好ましくは1~10質量部である。
【0022】
(分散助剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物に使用する分散助剤は、フェニル基を有するホスホン酸であり、モノフェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸等が挙げられる。
分散助剤の使用量は、着色染料100質量部に対して0.5~30質量部、好ましくは1~10質量部である。上記酸基を有する分散助剤の含有量が0.5質量部より小さいと染料分散効果が低下し、一方30質量部を超える場合は、染料分散効果がそれ以上には向上しない。
【0023】
上記酸基を有する分散助剤の使用方法は、例えば以下の通り。
(1)酸基を有する分散助剤の非存在下で微粒子化処理された不溶性染料を用いる場合は、微粒子化処理された不溶性染料の分散時に不溶性染料100質量部に対して酸基を有する分散助剤を0.5~30質量部、好ましくは1~10質量部を使用する。
(2)酸基を有する分散助剤の存在下で微粒子化処理した不溶性染料を用いる場合は、不溶性染料の微粒子化処理時に不溶性染料100質量部に対して分散助剤を0.5~30質量部、好ましくは1~10質量部を使用し、微粒子化処理された不溶性染料の分散時に不溶性染料100質量部に対して酸基を有する分散助剤を0~29.5質量部、好ましくは0~12質量部を使用する。
なお、微粒子化処理時に使用する酸基を有する分散助剤の使用量と、微粒子化処理した不溶性染料の染料分散時に使用する酸基を有する分散助剤の使用量の合計は、不溶性染料100質量部に対して酸基を有する分散助剤を0.5~30質量部、好ましくは1~10質量部である。
【0024】
(分散剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物は分散剤を配合する。この分散剤はアクリル系ブロック重合体であり、アミン化合物及び/又はピリジン環含有化合物を単量体として含有できる。アミン化合物及び/又はピリジン環含有化合物を単量体とするブロックは、アミン部位及び/又はピリジン環部位としてブロック重合体の分子中に局在化してもよい。
アクリル系ブロック重合体のアミン価としては、5~100mgKOH/gが好ましく、10~70mgKOH/gがより好ましい。また15~60mgKOH/gがさらに好ましい。なお、本発明においてアミン価とは、樹脂の固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 7237に記載の方法に準ずる方法により測定される値である。
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物において、ブロック重合体である分散剤を使用する際の使用量は、不溶性染料100質量部に対して1~100質量部であることが好ましく、より好ましくは10~80質量部、より好ましくは20~60質量部である。上記分散剤 の含有量が1質量部より小さいと染料分散効果が低下し、さらに組成物調製後の初期粘度が高くなり、及び保存後に大きく粘度が増加する場合があり、一方100質量部を超える場合は、アルカリ現像性が低下する等のおそれがある。
上記アミン化合物である単量体を含有するアクリル系ブロック重合体を構成するブロックの種類は2種でも良く3種以上でも良く、以下のものが挙げられる。
そのうち1種以上のブロックはアミン化合物であるラジカル重合性不飽和結合を有する単量体を含有するブロックでもよい。
このブロックを構成する単量体としては、アミノ基を含有する単量体として非環式アミン化合物、複素環式アミン化合物、又は4級アンモニウムカチオン化合物であり、例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の非環式アミン化合物、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等の複素環式アミン化合物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートを塩化ベンジルにより4級化しカチオン化してなる化合物等の4級アンモニウムカチオン化合物、ピリジン環を含有する単量体としてビニルピリジン等の化合物が好ましい。これらの単量体のうちの1種の単量体からなるブロックでも良く、2種以上の単量体がランダム重合してなるブロックや、2種以上の単量体がブロック重合してなるブロックでも良い。
アミン化合物である単量体に由来するブロックと共重合する他の重合可能なブロックとしては、1種の単量体からなるブロックでも良く、2種以上の単量体がランダム重合してなるブロックでも良い。アミノ基やピリジン環を含有する単量体由来の単位を有しないことが好ましい。また、カルボン酸基、水酸基、チオール基、硫黄やリン含有の基を有しないことがさらに好ましい。なお、他の重合可能なエチレン性不飽和単量体からなるブロックは1種でも良く、2種のブロックであっても良い。
この他の重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノアクリレート等のグリセロール(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。但し、N-ビニルピロリドン、硫黄元素含有モノマー、珪素含有モノマー、フッ素含有モノマーは使用しない方が望ましい。
ブロック共重合体としては、リビングラジカル重合、アニオン重合にて合成されたブロック樹脂を採用できる。
このような分散剤としては、BYK-LP24074、BYK-22906等が挙げられる。
【0025】
本発明中のブロック重合体である分散剤に加えて、従来からカラーフィルター分野で使用されている塩基性基を有する従来の高分子分散剤を併用することができる。但し、従来の高分子分散剤の含有量は本発明による効果を毀損しない範囲である。
このような塩基性基を有する高分子分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等の、ポリ(低級)アルキレンアミン等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2~3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体等。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15~85%である化合物、等。
【0026】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物はアルカリ可溶性樹脂を配合する。
アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノアクリレート等のグリセロール(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
【0027】
このような樹脂としては、不溶性染料に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものである。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、ランダム共重合体でも良く、ブロック共重合体でもよい。ランダム共重合体を採用することにより、他の共重合体よりも、染料分散能が向上し、かつPGMEAやアルカリ現像液への溶解性を付与することができる可能性がある。
特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体、例えば(メタ)アクリル酸やマレイン酸からなる単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる共重合体が好ましい。
1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種の単量体でも良く、2種以上の単量体でも良い。好ましくはメタクリル酸のみである。
他の重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノアクリレート等のグリセロール(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。中でも、ベンジルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートを採用することが好ましい。但し、N-ビニルピロリドン、硫黄元素含有モノマーは使用しない方が望ましい。
このようなアルカリ可溶性樹脂として、フォレットZAH110(綜研化学社製)、フォレットZAH115(綜研化学社製)等があげられる。
また、本アルカリ可溶性樹脂は、光重合性の官能基を有していても良い。
またブロック共重合体としては、リビングラジカル重合、アニオン重合にて合成されたブロック樹脂を採用できる。
【0028】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像特性の点から5~250mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは50~200mgKOH/gであり、より好ましくは80~170mgKOH/gである。なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、現像特性や有機溶剤への溶解性の点から1,000~100,000が好ましく、さらに好ましくは3,000~50,000であり、より好ましくは7,000~20,000である。なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明において、装置としてはWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてはPLgel 5μm MIXED-D(Agilent Technologies社製)を用いる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の使用量は、使用する不溶性染料100質量部に対して1~200質量部が好ましく、さらに好ましくは、10~100質量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が1質量部未満では、現像特性が低下するおそれがある。一方200質量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、1級、2級、及び3級の何れのアミノ基も含有せず、さらに4級アンモニウム基も含有しないことが好ましい。さらに、塩基性基を有しないことがより好ましい。
なお、本発明による効果を毀損しない範囲において、ブロック共重合体以外の構造を有するアルカリ可溶性樹脂を配合してもよい。
【0029】
(その他の樹脂)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物に使用する樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上、好ましくは95%以上の樹脂を使用することができる。これらの樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、また下記の光重合性化合物を使用できる。
このような樹脂は、カラーフィルター用染料分散組成物の全固形分に対して質量分率で、使用する樹脂の合計量で好ましくは5~94質量%、より好ましくは20~50質量%の範囲である。
熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
なお、場合によりカラーフィルター用染料分散レジスト組成物の項にて後述する光重合性樹脂を配合することもできる。
【0030】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物に使用する有機溶剤としては、従来から液晶カラーフィルターレジストの分野で使用されている有機溶剤が好適に使用できる。具体的には、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100~220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、カラーフィルター用染料分散組成物又はこの組成物を含有する組成物を塗布してなる塗膜をプレベークする際に、有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0031】
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物に使用する有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、δ-ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n-アミル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n-アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0032】
(硫酸バリウム)
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物には、耐熱性(輝度)を向上させるために一次粒子径が5~20nmである硫酸バリウムを用いることができる。
硫酸バリウムの使用量は着色染料100質量部に対して0~25質量部、好ましくは5~20質量部の範囲で使用する。
上記硫酸バリウムは、微粒子化処理した着色染料の分散時又は分散後に使用する。
【0033】
本発明のカラーフィルター用染料分散組成物は、不溶性染料、分散剤、分散助剤、アルカリ可溶性樹脂及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、合計で、カラーフィルター用染料分散組成物中、90~100質量%を占める。分散剤としては前述のものから任意のものを採用できる。
また、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物を、光硬化性を有しないまま、レジスト用組成物として使用することもできる。
【0034】
(必要に応じて添加できる添加剤)
カラーフィルター用染料分散組成物の製造法に応じて、光重合開始剤、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。上記光重合開始剤としては、例えば、後述するものを挙げることができる。
【0035】
(本発明のカラーフィルター用染料分散組成物の製造方法)
以上の原料を用いてカラーフィルター用染料分散組成物を製造する方法を説明する。なお、光硬化性ではないカラーフィルター用染料分散レジスト組成物の場合には、光重合性化合物を配合することは不要である。
そのため、まず、下記のように、染料分散組成物を調製する。
分散助剤の存在下又は非存在下で微粒子化処理された染料、アルカリ可溶性樹脂、分散剤、有機溶剤、硫酸バリウム、更に必要に応じてその他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機などの各種分散機を用いて、混練し、分散処理し染料分散組成物を得る。
【0036】
複数の染料を併用する場合には、以下の方法を採用できる。
(1)予め染料毎に染料分散組成物を得ておき、これらの染料分散組成物を任意の比率となるように混合し、その後必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物を製造する。
(2)予め、上記のようにして製造した染料分散組成物に、必要に応じて補色染料が所定の割合となるように混合する工程を経て、その後必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて染料分散組成物を製造し、他の染料を有する染料分散組成物についても、同様にして染料分散組成物を製造した後に、これらを混合する工程を経て、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物を製造する。
また、(1)及び(2)により得たカラーフィルター用染料分散組成物に対して、必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、カラーフィルター用染料分散組成物を調製してもよい。
次いで、調製したカラーフィルター用染料分散組成物に、含有する染料に対して補色染料を所定の割合となるように混合してカラーフィルター用染料分散組成物を得ることもできる。
【0037】
上記(1)、(2)の製造方法において、酸基を有する分散助剤の存在下で微粒子化処理された微粒子化染料を使用する場合は、微粒子化染料の分散時に酸基を有する分散助剤を含有させなくても製造することは可能である。
また、上記(1)、(2)の製造方法において、樹脂、硫酸バリウムは、染料分散組成物の作成時及び/又は染料分散組成物の作成後に加えることができる。
また、上記(1)、(2)の製造方法の中でも、高い着色力及び高い輝度が得られる点から、酸基を有する分散助剤の存在下で微粒子化処理された染料を使用することが好ましい。
【0038】
現在、カラーフィルター用染料分散レジスト組成物を利用してカラーフィルターを製造する方法としては、光硬化性の組成物を用いた光レジスト法が主であるが、以後は光レジスト法にて用いるカラーフィルター用光硬化性染料分散組成物と、そうでない光硬化性ではないカラーフィルター用染料分散組成物に分けて、それぞれに含有される成分等について、以下に説明する。
【0039】
[B.カラーフィルター用染料分散レジスト組成物が光硬化性であるとき]
次に、本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物が、光硬化性であるときについて説明する。
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物が、光硬化性であるときには、その組成物は活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、染料、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤から主として構成され、硫酸バリウム、さらに光重合性化合物を含むものである。
染料、分散剤、光重合性化合物以外の樹脂、硫酸バリウム及び有機溶剤の種類や配合量としては、上記のカラーフィルター用染料分散組成物の説明の通りに使用する。
【0040】
なお、有機溶剤については、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、着色染料の分散性、塗布性等の点から、本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物中に、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0041】
(光重合性化合物)
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物に使用する光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー、光重合性樹脂等で、上記カラーフィルター用染料分散組成物で記載したものと同じものを使用する。光重合性不飽和結合を有する単量体、オリゴマー等とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合して樹脂化できる不飽和結合を有するものである。
光重合性化合物として、光重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボルニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が挙げられる。
【0042】
光重合性化合物としての光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、光重合性化合物を重合して得られたオリゴマーを使用することができる。
光重合性化合物としての光重合性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した重合物も用いられる。
これらの樹脂を形成することができる光重合性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、光重合性化合物の使用量は、カラーフィルター用染料分散レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは3~50質量%の範囲である。
【0043】
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物に使用する光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。但し、オキシムエステル系光重合開始剤を含有してもしなくても良い。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用染料分散レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは1~20質量%の範囲である。
【0044】
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物は、着色染料、分散助剤、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、硫酸バリウム及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、合計で、カラーフィルター用染料分散レジスト組成物中に、90~100質量%占める。
【0045】
(必要に応じて添加できる添加剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物は、それが光硬化性であるとき、必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0046】
[C.カラーフィルター用染料分散レジスト組成物が光硬化性でないとき]
カラーフィルター用染料分散レジスト組成物が光硬化性でないときは、上記のB.カラーフィルター用染料分散レジスト組成物が光硬化性であるときにおいて使用した光重合性化合物や光重合開始剤を含有せず、必要に応じてさらに上記のカラーフィルター用染料分散組成物の組成の説明にて示した光重合性化合物以外の樹脂を配合できる。
【0047】
(必要に応じて添加できる添加剤)
本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物は、それが光硬化性でないとき、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0048】
(本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物の製造方法)
以上の材料を用いてカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。カラーフィルター用染料分散レジスト組成物は、それが光硬化性のとき、上記で得たカラーフィルター用染料分散組成物に対して、さらに光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を得る。
またそれが光硬化性でないとき、さらに、アルカリ可溶性樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤等のいずれかを加えて本発明のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を得ることができる。上記の製造方法においても同様である。
また、本発明のカラーフィルター用染料分散組成物を使用して、カラーフィルターを製造する方法としては、それに必要な装置を含め、該染料分散組成物以外の構成として公知の手段を採用して製造することができる。
【実施例
【0049】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0050】
<カラーフィルター用染料分散組成物>
下記の材料を使用して、実施例及び比較例のカラーフィルター用染料分散組成物を得た。
(色材)
脱塩キサンテン染料:2gのアシッドレッド289に1-メトキシ-2-プロパノール10gを加え、次いで濃塩酸0.63gを加えた後、超音波処理を行った。得られた溶液を0.25μmPTFEメンブレンフィルターにてろ過した。得られたろ液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに滴下して析出した塩化された染料をろ別した。乾燥して、アシッドレッド289の塩酸処理物を得た。
微粒子化不溶性キサンテン系染料:以下の微粒子化方法により得た微粒子化不溶性キサンテン系染料である。
不溶性キサンテン系染料:以下の微粒子化方法により処理しないアシッドレッド289である。
ニーダー(商品名:KHD-2、井上製作所製)のタンクに、上記の脱塩キサンテン系染料を10質量部、アシッドレッド289を3質量部、微粒子化用分散剤1(下記組成)を1.5質量部、粒径20μmの塩化ナトリウムを200質量部、ジエチレングリコールを240質量部投入し、50℃で12時間混練しソルトミリングを行った。次に得られた混練物のうち200質量部を2リットルの温水に投入し、40℃に加熱しながら1時間撹拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返して、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて乾燥し、8.5質量部の微粒子化不溶性キサンテン系染料を得た。
(微粒子化用分散剤1の組成:メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2-エチルヘキシル/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/=19/18/19/12/32である共重合体)
【0051】
(分散剤)
BYK-LP24074(ビックケミー社製)
(固形分45%、ABブロック構造、アクリル系、アミン価27mgKOH/g、酸価15mgKOH/g)
BYK-22906(ビックケミー社製)
(固形分40%、ブロック構造、アクリル系、アミン価50mgKOH/g)
DISPERBYK-167(ビックケミー社製)
(固形分57%、ブロック構造、ポリエステルポリウレタン系、アミン価13mgKOH/g)
アジスパーPB821(味の素ファインケミカル社製)
(固形分100%、ブロック構造、ポリエステルポリアミド系、アミン価10mgKOH/g)
【0052】
(分散助剤)
フェニルリン酸
ジフェニルリン酸
アシッドレッド289
【0053】
(アルカリ可溶性樹脂)
フォレットZAH110(綜研化学社製)(固形分35%)
フォレットZAH115(綜研化学社製)(固形分35%)
【0054】
(有機溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0055】
(光重合性化合物)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(光重合開始剤)
Or907:2-ベンジル-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、商品名Omnirad907、IGM Resins B.V.社製
【0056】
(カラーフィルター用染料分散組成物の製造)
上記微粒子化不溶性キサンテン系染料、又は微粒子化していない不溶性キサンテン系染料、分散剤、分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び溶剤を、表1の組成となるように混合し、レディーミル(ビーズ径:0.2nm、充填率50%)で60分間練肉して、実施例1~4及び比較例1~5のカラーフィルター用染料分散組成物を得た。
【0057】
(D50粒子径)
染料分散組成物の粒子径は、レーザー回析式粒度測定法により、測定した。
測定装置:ナノトラック(UPA-EX150、日機装社製)で測定した体積平均粒子径に基づき測定した。
【0058】
(初期粘度)
E型粘度計(東機産業株式会社製、R100型粘度計 型式RE100L)を用いて2
5℃における粘度を測定した。
(40℃で1週間保存後粘度)
密栓して、40℃で1週間保存後に上記E型粘度計で25℃における粘度を測定した。粘度変化率は(40℃1週間後粘度/初期粘度)×100の式により求めた。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例A1~A4によれば、初期粘度に対する40℃で1週間保管後の粘度の変化は小さかった。これに対して、比較例A2~A5によれば粘度の変化が大きく、保存安定性に劣っていた。
【0061】
<カラーフィルター用染料分散レジスト組成物>
実施例A1~A4及び比較例A1~A5の各カラーフィルター用染料分散組成物、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び溶剤を、下記表2の組成になるように高速撹拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのメンブランフィルターでろ過し、実施例B1~B4及び比較例B1~B5のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を得た。
【0062】
(カラーフィルター用染料分散レジスト組成物の色特性の評価)
実施例B1~B4及び比較例B1~B5のカラーフィルター用染料分散レジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。次いで、各レジストの色度x=0.4200でのコントラスト、輝度Y、膜厚を分光光度計(島津製作所社製、UV-2500PC、C光源2°視野)で測定した。
【0063】
【表2】
【0064】
本発明に沿った例である実施例B1~B4によれば、ポストベーク後において、十分に高いコントラストを得ると同時に、目的とするYの値にすることができた。
これに対して、比較例B1~B5はいずれもコントラストとY値の少なくとも一方が低かった。比較例B1及びB2によればY値が低くなり比較例B3~B5によれば、特にコントラストが低くなった。
上記の結果によれば、本発明によって、コントラスト、y及びYの値が適切なカラーフィルターとすることができた。