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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ケーブル保持構造体
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/00 20060101AFI20240220BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240220BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20240220BHJP
   G01V 3/10 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B63B21/00 Z
B63B35/00 N
B63C11/00 A
G01V3/10 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019200053
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021070458
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505323493
【氏名又は名称】株式会社マリン・ワーク・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】清川 賢寿
(72)【発明者】
【氏名】中山 圭子
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和也
(72)【発明者】
【氏名】本居 正幸
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174825(JP,A)
【文献】特開2003-160093(JP,A)
【文献】特開昭58-037581(JP,A)
【文献】実開昭56-119380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/00
B63B 35/00
B63C 11/00
G01V 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成され、水中で内部に水を導入することにより前記展開状態を保持可能とする第1開口部を有した袋状体と、
前記袋状体に保持され前記袋状体と共に変形可能なケーブルと、を備え
前記水中で曳航されるケーブル保持構造体であって、
前記袋状体が複数並列に設けられ、
前記複数の袋状体の曳航方向の前方側を支持する第1フレーム部材と、
前記複数の袋状体の曳航方向の後方側を支持する第2フレーム部材と、
を備えたケーブル保持構造体。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル保持構造体であって、
前記複数の袋状体は、一対の袋状体であり、
前記ケーブルは、前記第1フレーム部材、前記第2フレーム部材、前記一対の袋状体で形成されるループ構造に沿って保持された、
ケーブル保持構造体。
【請求項3】
請求項1又は2記載のケーブル保持構造体であって、
少なくとも1つの前記袋状体は、前記第1開口部に対して前記曳航方向の後方に配置され前記内部に導入した水を排出する第2開口部を有する、
ケーブル保持構造体。
【請求項4】
請求項3記載のケーブル保持構造体であって、
前記少なくとも1つの前記袋状体は、前記曳航方向の前方から後方にわたって断面形状が漸次小さくなり、
前記第2開口部は、前記少なくとも1つの前記袋状体の断面形状に応じて前記第1開口部よりも面積が小さく設定された、
ケーブル保持構造体。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のケーブル保持構造体であって、
前記曳航時における前記第1開口部の上方側に配置される浮力発生部と、
前記曳航時における前記第1開口部の下方側に配置されるバラスト部と、を備えた
ケーブル保持構造体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のケーブル保持構造体を備えた電磁探査装置であって、
前記ケーブルは、誘導電流を発生させる送信ケーブルを含む、
電磁探査装置。
【請求項7】
請求項記載電磁探査装置であって、
前記ケーブルは、前記袋状体に保持されると共に前記送信ケーブルに対して絶縁され、前記誘導電流に対する応答を受信する受信ケーブルを含む、
電磁探査装置。
【請求項8】
畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成され、水中で内部に水を導入することにより前記展開状態を保持可能とする第1開口部を有した袋状体と、
前記袋状体に保持され前記袋状体と共に変形可能なケーブルと、を備え、
前記水中で曳航されるケーブル保持構造体を備えた電磁探査装置であって、
前記ケーブルは、誘導電流を発生させる送信ケーブルを含み、
前記ケーブルは、前記袋状体に保持されると共に前記送信ケーブルに対して絶縁され、前記誘導電流に対する応答を受信する受信ケーブルを含む、
電磁探査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で電磁探査装置のケーブル等を保持するケーブル保持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル保持構造体としては、例えば特許文献1のように、海底の鉱物資源等の探査を行う海底探査装置に用いられたものがある。
【0003】
この海底探査装置では、ケーブルからなる送信ループを海中で曳航し、送信ループに流す電流を変化させることによってループ近傍の磁場を変化させ、これにより生じた誘導電流がさらに近傍の磁場を変化させることで、誘導電流が海水中から海底面へさらに海底下へ伝搬し、伝搬経路の比抵抗に応じた磁場あるいは電場の変化を検出して鉱物資源の探査を可能とする。送信ループは、枠体に保持され、海中でのループ形状の保持による探査精度の確保が図られている。
【0004】
このような電磁探査装置では、送信モーメント(送信電流と送信ループ面積との積)が大きいほどS/N比がよくなり、探査精度が向上することから、送信ループの面積が大きいほど測定に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-98669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の海底探査装置に採用されたケーブル保持構造は、送信ループの面積を大きくするために枠体を大きくすると、船上への搭載が困難になるなど大型化には限界があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成され、水中で内部に水を導入することにより前記展開状態を保持可能とする第1開口部を有した袋状体と、前記袋状体に保持され前記袋状体と共に変形可能なケーブルと、を備え、前記水中で曳航されるケーブル保持構造体であって、前記袋状体が複数並列に設けられ、前記複数の袋状体の曳航方向の前方側を支持する第1フレーム部材と、前記複数の袋状体の曳航方向の後方側を支持する第2フレーム部材と、を備えたケーブル保持構造体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、船上で袋状体を畳んだ状態とすることでコンパクトなケーブル保持構造体とすることができ、ケーブル保持構造体を水中で曳航時に抵抗で展開させることによって、ケーブルを所定の形状に保持することができ、大型化にも対応可能となる。また、袋状体の長さを長くすることで送信ループの面積を大きくすることができ、電磁探査の精度向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電磁探査装置を示す概略構成図である(第1実施形態)。
図2】電磁探査装置のセンサ部を示す斜視図である(第1実施形態)。
図3図3(A)は電磁探査装置のセンサ部を示す平面図であり、図3(B)は電磁探査装置のセンサ部を示す正面図である(第1実施形態)。
図4図4(A)はセンサ部の第1フレーム部材の平面図であり、図4(B)はセンサ部の第1フレーム部材の正面図であり、図4(C)はセンサ部の第2フレーム部材の平面図であり、図4(D)はセンサ部の第2フレーム部材の正面図である(第1実施形態)。
図5】ケーブルを示す概略構成図である(第1実施形態)。
図6】袋状片を示す平面図である(第1実施形態)。
図7図7(A)は袋状片の横断面図であり、図7(B)は袋状片の端部を示す一部を拡大した縦断面図である(第1実施形態)。
図8図8(A)は中間フレームを示す正面図であり、図8(B)は中間フレームを示す側面図である(第1実施形態)。
図9図9(A)は隣接する袋状片の結合状態を示す一部を拡大した縦断面図であり、図9(B)は袋状片の第1フレーム部材及び第2フレーム部材への結合状態を示す一部を拡大した縦断面図である(第1実施形態)。
図10】ケーブルの保持構造を示す横断面図である(第1実施形態)。
図11図11(A)は電磁探査装置のセンサ部の袋状体を示す斜視図であり、図11(B)は変形例に係る袋状体を示す斜視図であり、図11(C)は他の変形例に係る袋状体を示す斜視図である(第2実施形態)。
図12】電磁探査装置のセンサ部を示す概略構成図である(第3実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ケーブル保持構造の大型化に対応可能にするという目的を、袋状体を用いたケーブル保持構造とすることで実現した。
【0011】
すなわち、本発明の実施形態のケーブル保持構造体であるセンサ部5は、図1図3(B)のように、袋状体13A,13Bと、ケーブル15とを備えている。袋状体13A,13Bは、畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成され、水中で内部に水を導入することにより展開状態を保持可能とする第1開口部47を有する。ケーブル15は、袋状体13A,13Bに保持され、袋状体13A,13Bと共に変形可能である。
【0012】
袋状体13A,13Bは、第1開口部47に対して曳航方向の後方に配置され、内部に導入した水を排出する第2開口部49を有してもよい。
【0013】
また、袋状体13A,13Bは、曳航方向の前方から後方にわたって断面形状が漸次小さくなり、第2開口49は、袋状体13A,13Bの断面形状に応じて、第1開口47よりも面積が小さく設定された構成としてもよい。
【0014】
センサ部5は、図12のように、曳航時における第1開口部47の上方側に配置される浮力発生部としてのフロート81と、曳航時における第1開口部47の下方側に配置されるバラスト部としてのウェイト83とを備えてもよい。
【0015】
また、センサ部5は、図1図3(B)のように、袋状体13A,13Bが複数並列に設けられ、複数の袋状体13A,13Bの曳航方向の前方側を支持する第1フレーム部材17と、複数の袋状体13A,13Bの曳航方向の後方側を支持する第2フレーム部材19とを備えてもよい。
【0016】
複数の袋状体13A,13Bは、一対の袋状体13A,13Bであり、ケーブル15は、第1フレーム部材17、第2フレーム部材19、一対の袋状体13A,13Bで形成されるループ構造21の内周に保持された構成としてもよい。
【0017】
センサ部5を備えた電磁探査装置1は、図5のように、ケーブル15が誘導電流を発生させるための電流を流す送信ループ51を含むものであってもよい。
【0018】
また、ケーブル15は、袋状体13A,13Bに保持されると共に送信ループ51に対して絶縁され、送信ループ51が発生させた誘導電流に対する電磁気的な応答を受信する受信ループ53を含むものであってもよい。
<第1実施形態>
【0019】
[電磁探査装置の概要]
以下に、本発明の好適な実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態の記載に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁探査装置を示す概略構成図である。
【0021】
本実施形態の電磁探査装置1は、図1のように、リーディングウェイト3と、センサ部5とを備え、海底の鉱物資源等の探査を行うものである。
【0022】
リーディングウェイト3は、船舶7に対して曳航ケーブル9で接続され、水中である海中で曳航される曳航体である。本実施形態のリーディングウェイト3は、金属製のフレーム3aに金属製のウェイト3bを取り付けて構成される。ただし、リーディングウェイト3は、特に限定されるものではなく、曳航体として海中で曳航可能なものであればよい。
【0023】
リーディングウェイト3には、探査に必要な機材(図示せず)等も搭載されている。機材は、曳航ケーブル9を介して、電力供給が可能であると共に船舶7側の機材(図示せず)に対して通信可能となっている。また、リチウムイオン電池などの蓄電池をリーディングウェイト3内に搭載することによって、船上からの電力供給がなくても長時間の探査が可能となる。
【0024】
センサ部5は、リーディングウェイト3にベクトランロープ等の曳航ワイヤ11により接続され、リーディングウェイト3を介して海中で曳航される。このセンサ部5は、本実施形態のケーブル保持構造体であり、後述する袋状体13A,13Bにより全体として畳むことが可能となっていると共に海中で曳航されることで展開される。この展開状態において、電磁探査装置1は、鉱物資源等の探査が可能となる。
【0025】
[センサ部の構造]
図2は、図1の電磁探査装置1のセンサ部5を示す斜視図、図3及び図3(B)は、それぞれ同センサ部5の平面図及び正面図である。なお、図2では、センサ部5のケーブル15の図示していない。また、以下において、曳航方向は、センサ部5が曳航される方向をいい、上下方向及び上下は、センサ部5の曳航時における上下方向及び上下をいい、幅方向は、センサ部5の曳航時において、曳航方向及び上下方向に直行するセンサ部5の幅方向をいう。
【0026】
本実施形態のセンサ部5は、図1図3のように、一対の袋状体13A,13Bと、ケーブル15とで構成されている。
【0027】
一対の袋状体13A,13Bは、曳航方向の両側に位置する第1フレーム部材17と第2フレーム部材19との間で幅方向に並列に設けられている。これにより、本実施形態では、第1フレーム部材17、第2フレーム部材19、一対の袋状体13A,13Bでループ構造21が形成されている。このループ構造21の内周に、ケーブル15が保持されている。このケーブル15の保持構造については後述する。なお、袋状体は、三つ以上の複数設けることも可能である。
【0028】
図4(A)は、第1フレーム部材17の平面図、図4(B)は、同正面図である。
【0029】
第1フレーム部材17は、袋状体13A,13Bを曳航方向の前端で支持し、リーディングウェイト3に接続されるものである。本実施形態の第1フレーム部材17は、図1図4(B)のように、結合部23A,23Bと、結合部23A,23B間を連結する連結部25とで構成されている。
【0030】
結合部23A,23Bは、幅方向においてセンサ部5の中心軸に対して対称に構成されている。このため、基本的に一方の結合部23Aについてのみ説明し、必要な場合にのみ他方の結合部23Bについても説明する。
【0031】
結合部23Aは、ABS樹脂等の非磁性体製であり、曳航方向の前後が開口している周回状の壁部27を備えている。結合部23Aの壁部27は、適宜、肉抜き穴27aが設けられている。なお、結合部23Aの材質は、非磁性体であれば特に限定されるものではない。
【0032】
壁部27の曳航方向の後端には、袋状体13Aを結合するための結合フランジ27bが設けられている。結合フランジ27bは、壁部27の後端の開口縁部に沿って周回状に形成されている。結合フランジ27bの後端には、断面における放射方向に突出した周回状の突起27cが設けられている。突起27cは、壁部27に対して放射方向に突出しない範囲で形成されている。
【0033】
連結部25は、ポリ塩化ビニル等の非磁性体製の複数のパイプ29で構成されている。パイプ29は、結合部23A,23Bの幅方向で相互に対向する部分を連結する。本実施形態では、結合部23A,23Bの四隅並びに曳航方向の後方側の上下方向の中間部を連結する。この連結は、ボルトによって行われているが、接着、溶着等でもよい。
【0034】
本実施形態のパイプ29は、連結フレーム31によって幅方向で複数連結されている。パイプ29と連結フレーム31との連結も、特に限定されるものではないが、ボルトによって行われている。連結フレーム31は、ABS樹脂等の非磁性体製であり、適宜肉抜きされた板で構成されている。
【0035】
かかる構成の第1フレーム部材17は、曳航方向に前端にリーディングウェイト3からの曳航ワイヤ11を接続する接続部33が設けられている。本実施形態の接続部33は、複数のシャックル33aからなる。シャックル33aは、結合部23A,23Bの壁部27及び連結部25の連結フレーム31に上下二箇所ずつ設けられている。
【0036】
図4(C)は、第2フレーム部材19の平面図、図4(D)は、同正面図である。
【0037】
第2フレーム部材19は、袋状体13A,13Bを曳航方向の後端で支持するものである。本実施形態の第2フレーム部材19は、図1図3(B)並びに図4(C)及び図4(d)のように、第1フレーム部材17と同様、結合部35A,35Bと、結合部35A,35B間を連結する連結部37とで構成されている。
【0038】
結合部35A,35Bは、幅方向においてセンサ部5の中心軸に対して対称に構成されている。このため、基本的に一方の結合部35Aについてのみ説明し、必要な場合にのみ他方の結合部35Bについても説明する。
【0039】
結合部35Aは、第1フレーム部材17の結合部23Aと同様に構成され、ABS樹脂等の非磁性体製であり、曳航方向の前後が開口し、肉抜き穴39aを有する周回状の壁部39を備えている。ただし、結合部35Aは、第1フレーム部材17の結合部23Aと比較して断面形状が小さい。なお、結合部35Aの材質は、非磁性体であれば特に限定されるものではない。
【0040】
壁部39の曳航方向の前端には、袋状体13Aを結合するための結合フランジ39bが開口縁部に沿って周回状に形成され、結合フランジ39bの前端には、断面における放射方向に突出した周回状の突起39cが設けられている。
【0041】
連結部37は、連結部25と同様、ポリ塩化ビニル等の非磁性体製の複数のパイプ38で構成されており、幅方向で相互に対向する結合部35A,35Bの上下中間部を連結する。
【0042】
パイプ38は、連結フレーム40によって幅方向で複数連結されている。連結フレーム40は、ABS樹脂等の非磁性体製であり、適宜肉抜きされた板で構成されている。
【0043】
本実施形態の袋状体13A,13Bは、図1図3(B)のように、前端が第1フレーム部材17の結合部23A,23Bに結合され、後端が第2フレーム部材19の結合部35A,35Bに結合されている。結合構造については後述する。
【0044】
なお、袋状体13A,13Bは、曳航方向の中心軸に対して対称に構成されているため、基本的に一方についてのみ説明、必要な場合にのみ他方についても説明する。
【0045】
袋状体13Aは、非磁性体の網や布等によって形成されている。本実施形態の袋状体13Aは、平織、420デニールの非磁性体の布、又は目開き率44%の非磁性体のメッシュ状の布(網)からなる。メッシュ状の布を用いた場合は、袋状体13Aがガス透過性や透水性を有する。
【0046】
なお、非磁性体としては、例えば、麻、ビニロン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられる。また、非磁性体の比重は、0.95~1.40g/cm程度である。ただし、非磁性体及びその比重は、限定されるものではなく、適宜のものを採用すればよい。
【0047】
この袋状体13Aは、畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成されている。ここでの変形可能とは、船上等の海上において袋状体13Aが展開状態を保持不能な柔軟性を有していることをいう。
【0048】
このため、袋状体13Aの畳んだ状態は不定形である。ただし、袋状体13Aは、畳んだ状態とすることができればよく、この限りにおいて海上で展開状態を保持可能な程度の剛性を有していてもよい。この場合、袋状体13Aの折り畳んだ状態を定形的なものとすることも可能である。
【0049】
本実施形態の袋状体13Aは、複数の袋状片41a~41dを中間フレーム43a~43cによって曳航方向で結合して構成されている。袋状片41a~41d及び中間フレーム43a~43cの構造及び結合構造は後述する。なお、袋状体は、単一の袋状とすることも可能である。
【0050】
この袋状体13Aは、曳航方向の前方から後方にわたって断面形状が漸次小さくなっている。袋状体13Aの断面形状は、本実施形態において台形形状、特に等脚台形形状となっている。この台形形状において、下底がループ構造21の内周側に位置する袋状体13Aの内側面45aとなり、上底がループ構造21の外周に位置させた袋状体13Aの外側面45bとが、脚が上下に位置する袋状体13Aの上面45c及び下面45dとなっている。
【0051】
袋状体13Aの内側面45aは、曳航方向に沿って直線状に伸びている。これにより、袋状体13A,13Bは、ループ構造21の内周を矩形形状にすることが可能となる。これにより、送信ループで形成されるループコードが長方形や正方形などの形状にすることができ、送信磁場の計算が容易になる点で、袋状体の断面形状を台形形状にすることはメリットがある。この内側面45aは、上下方向の寸法が曳航方向の後方に向けて徐々に小さくなっている。袋状体13Aの外側面45b及び上下面45c,45dは、曳航方向の後方に向けて漸次内側面45aに向かって収束するようにテーパー形状となっている。
【0052】
従って、袋状体13Aは、断面形状を台形形状とすることにより、ループ構造20の内周に位置する内側面45aを曳航方向に沿った直線状としつつ、曳航方向の前方から後方へ漸次断面形状が小さくなる構成を容易に実現できる。かかる袋状体13Aの曳航方向の両側には、それぞれ第1開口部47及び第2開口部49が設けられている。
【0053】
第1開口部47は、海中で袋状体13Aの内部に水を導入するためのものである。この水の導入の圧力(静圧及び動圧)により、袋状体13Aは、展開状態を保持可能となる。このため、袋状体13Aは、水中で内部に水を導入することにより展開状態を保持可能とする第1開口部47を有する構成となっている。
【0054】
本実施形態の第1開口部47は、袋状体13Aの曳航方向の前端をそのまま開放させたものである。従って、第1開口部47は、袋状体13Aの断面形状に応じて、台形形状の断面形状を有する。ただし、第1開口部47は、袋状体13Aに曳航方向の前方側で設けられた開口であればよく、袋状体13Aの断面形状と一致させる必要はない。
【0055】
第2開口部49は、第1開口部47に対して曳航方向の後方に配置され、袋状体13Aの内部に導入した水を排出するものである。これにより、水と共に袋状体13Aの内部に進入した魚やゴミ等の異物も、第2開口部49を介して排出することが可能となる。
【0056】
また、第2開口部49は、第1開口部47よりも面積が小さく設定されている。本実施形態の第2開口部49は、袋状体13Aの断面形状に応じて、第1開口47よりも面積が小さく設定されている。これにより、本実施形態では、第2開口部49側での動圧を高くし、袋状体13Aの展開状態の保持性を向上させている。
【0057】
なお、第2開口部49は省略し、袋状体13Aを開口が一つの単純な袋状としてもよい。この場合は、袋状体13Aの曳航に対する抵抗が高くなるため、袋状体13Aの一部又は全部をメッシュ状の布とするのが好ましい。
【0058】
図5は、ケーブル15を示す概略構成図である。
【0059】
本実施形態のケーブル15は、図1及び図3のように、袋状体13Aに保持され、袋状体13Aと共に畳んだ状態と展開状態との間で変形することが可能な柔軟性を有する。本実施形態のケーブル15は、上述のようにループ構造21の内周に保持されている。ただし、袋状体13Aやループ構造21に対するケーブル15の保持位置は特に限定されるものではなく、ループ構造21の外周等とすることも可能である。
【0060】
このケーブル15は、袋状体13Aの展開状態において所定形状をなす。この所定形状は、ケーブル15の保持位置に応じた適宜の形状であり、本実施形態においてループ構造21の内周に応じた矩形形状となる。このケーブル15の矩形形状は、例えば5m×20m等の大きさを有する。ただし、ケーブル15の矩形形状の大きさは特に限定されるものではなく、3m×3m等とすることも可能である。かかるケーブル15は、図5のように、送信ケーブルである送信ループ51と受信ケーブルである受信ループ53とで構成されている。
【0061】
送信ループ51は、電流を流すコイルとして構成された電線であり、リーディングウェイト3上の機材に接続されている。この機材からの給電の制御により、送信ループ51は誘導電流を生じさせる。本実施形態の送信ループ51は、絶縁膜で被覆されていてもよい。なお、送信ループ51の巻き数は、1又は複数と任意に設定可能である。なお、送信ケーブルは、送信ループ51のようなループ形状に限られず、直線状にしてもよい。
【0062】
受信ループ53は、送信ループ51に対して絶縁された電線である。本実施形態の受信ループ53は、絶縁膜で被覆されていてもよい。この受信ループ53は、リーディングウェイト3上の機材に接続されており、送信ループ51が生じさせた誘導電流が海中から海底面へさらに海底下に伝搬する経路の比抵抗に応じて減衰し、それによって生じる磁場の時間変化を受信して、海底の鉱物資源等の検出を可能とする。また、受信ループ53に代えて、磁気センサや電位センサをを設けることも可能である。
【0063】
[袋状体の袋状片、結合構造]
図6は、袋状片41a~41dを示す平面図、図7(A)は、袋状片41aの横断面図、図7(B)は、袋状片41aの端部を示す一部を拡大した縦断面図である。
【0064】
図2,3,及び10-12のように、複数の袋状片41a~41dは、それぞれ袋状体13Aを曳航方向で分割したものに相当する。なお、複数の袋状片41a~41dは、断面形状の大きさが異なるのみで基本的に同一形状である。このため、袋状片41aについてのみ説明し、他の袋状片41b~41dについては必要に応じて説明する。
【0065】
袋状片41aの曳航方向の両端部は、ポリ塩化ビニル等の非磁性体のコーティング55がなされて補強されている。袋状片41aの両端部の内周には、断面における放射方向の内側に突出する突起57が設けられている。
【0066】
また、袋状片41aは、内側面45aの上下方向の中央部にスリット59が曳航方向の全体にわたって設けられている。このスリット59により、袋状片41aは、開くことが可能となっている。スリット59には、内側面45aから幅方向の内側に突出する合わせ部61A,61Bが設けられている。
【0067】
合わせ部61A,61Bは、曳航方向において袋状片41aの全体にわたる帯状に形成されている。これら合わせ部61A,61Bを上下方向で相互に接合させることにより、袋状片41aは閉じた状態となる。合わせ部61A,61Bの接合状態は、保持部62によって保持される。本実施形態の保持部62は、合わせ部61A,61Bの面ファスナーからなる。この合わせ部61A,61Bには、ケーブル15がその保持構造を介して保持されている。ケーブル15の保持構造については後述する。
【0068】
曳航方向で隣接する袋状片41a,41b;41b,41c;41c,41dは、それぞれ中間フレーム43a~43cによって結合されている。
【0069】
図8(A)は、中間フレーム43aを示す側面図、図8(B)は、同正面図である。
【0070】
中間フレーム43a~43cは、断面形状の大きさが異なるのみで基本的に同一形状であるため、中間フレーム43aについてのみ説明し、他の中間フレーム43b及び43cについては必要に応じて説明する。
【0071】
中間フレーム43aは、ABS樹脂等の非磁性体製であり、図2及び図3並びに図8(A)及び図8(B)のように、曳航方向の両側が開口した周回状の壁部63を有している。中間フレーム43aの断面形状は、袋状片41a及び41bに応じた台形形状となっている。中間フレーム43aの曳航方向の中央部には、中央凸部64が設けられ、同両端には、外周に周回状の突起65a,65bが設けられている。この中間フレーム43aの両端には、袋状体41a及び41bが結合されている。
【0072】
図9(A)は、隣接する袋状体41a及び41bの結合状態を示す一部を拡大した縦断面図である。
【0073】
中間フレーム43aには、曳航方向で隣接する袋状片41a及び41bの端部が被せられている。袋状片41a及び41bの端部を中間フレーム43aに被せる作業は、袋状片41a及び41bの端部をスリット59により開くことで容易に行わせることができる。
【0074】
この状態で、中間フレーム43aの突起65aと中央凸部64との間並びに突起65bと中央凸部64との間には、袋状片41a及び41bの端部の突起57が位置している。袋状片41a及び41bの端部には、外側から拘束具であるバンド67が取り付けられている。バンド67は、中間フレーム43aの突起65aと袋状片41aの突起57との間、中間フレーム43aの突起65bと袋状片41bの突起57との間にそれぞれ位置する。
【0075】
これにより、袋状片41a及び41bは、中間フレーム43aから離脱することが防止され、中間フレーム43aに取り付けられる。こうして、隣接する袋状片41a,41b;41b,41c;41c,41dが順次結合され、袋状体13Aを構成している。
【0076】
袋状体13Aの両端に位置する袋状片41a及び41dは、曳航方向の前端及び後端において第1フレーム部材17及び第2フレーム部材19にそれぞれ結合されている。この結合は、基本的に袋状片41a,41bの中間フレーム43aに対する結合と同一構造となっている。
【0077】
図9(B)は、袋状片41a及び41dの第1フレーム部材17及び第2フレーム部材19への結合状態を示す一部を拡大した縦断面図である。
【0078】
すなわち、袋状片41a及び41dの前端及び後端は、第1フレーム部材17の結合部32Aの結合フランジ27b及び第2フレーム部材19の結合部35Aの結合フランジ39bに被せられている。両袋状片41a及び41dの突起57は、結合フランジ27b及び39bの突起27c、39cの前方及び後方にそれぞれ位置している。
【0079】
この状態で、袋状片41a及び41dの前端及び後端には、外側からバンド69,71が取り付けられている。こうして袋状体13Aは、前端が第1フレーム部材17に、後端が第2フレーム部材19に結合される。
【0080】
[ケーブルの保持構造]
図10は、ケーブル15の保持構造を示す横断面図である。
【0081】
本実施形態のケーブル15の保持構造では、筒状体73と、取付部75とを備えている。
【0082】
筒状体73は、内部にケーブル15の送信ループ51及び受信ループ53を保持する。筒状体73は、袋状体13Aと同一の材質で形成すればよいが、非磁性体であれば袋状体13Aとは異なる材質とすることも可能である。
【0083】
筒状体73は、袋状体13Aに沿って曳航方向に伸びている。筒状体73の幅方向での外側には、上下方向の中央部にスリット77が曳航方向の全体にわたって設けられている。このスリット77により、筒状体73は、開くことが可能となっている。スリット77の上下縁には、幅方向の外側に突出する合わせ部79A,79Bが設けられている。
【0084】
合わせ部79A,79Bは、筒状体73の全体にわたる帯状に形成されている。これら合わせ部79A,79Bは、上下方向で袋状体13Aの合わせ部61A,61Bを挟んで接合される。これによって筒状体73は閉じた状態となる。
【0085】
取付部75は、筒状体73を袋状体13Aに取り付けるものである。本実施形態の取付部75は、面ファスナー75A,75Bからなっている。面ファスナー75A,75Bは、それぞれ袋状体13Aの合わせ部61A,61Bと筒状体73の合わせ部79A,79Bとの間に設けられている。
【0086】
このため、筒状体73の合わせ部79A,79Bが袋状体13Aの合わせ部61A,61Bに面ファスナー75A,75Bによって貼り合わせられ、筒状体73が袋状体13Aに取り付けられる。
【0087】
この結果、ケーブル15が袋状体13Aに対して保持されることになる。なお、第1フレーム部17及び第2フレーム部19に対しては、ケーブル15を保持させる必要はないが、バンド等の拘束具を用いてケーブル15を保持してもよい。
【0088】
この状態では、筒状体73の合わせ部79A,79B相互間の接合状態が袋状体13Aの合わせ部61A,61bを介して保持される。
【0089】
[電磁探査装置の作用]
本実施形態の電磁探査装置1では、リーディングウェイト3及びセンサ部5を海中に沈めて曳航する。センサ部5を海中に沈める際は、予めセンサ部5を畳んだ状態としておく。この畳んだ状態では、センサ部5の曳航方向となる方向における寸法を大幅に縮小される。例えば、センサ部5の大きさが5m×20mの場合は、1/5程度にまで縮小できる。
【0090】
畳んだ状態のセンサ部5は、第2フレーム部19から順次海中へと投入される。このとき、センサ部5は、第2フレーム部19を下にして上下方向に伸びた状態となる。こうしてセンサ部5全体が海中へ投入されると、曳航ケーブル9を引き出しつつリーディングウェイト3を海中へと沈める。
【0091】
曳航ケーブル9を十分な長さまで引き出した後、船舶を前進させて所定速度、例えば3~4ノットまで上げる。このとき、リーディングウェイト3が海底から所定の高さ、例えば30mになるまで曳航ケーブル9を徐々に海中へと引き出す。
【0092】
そして、センサ部5が探査エリアAに入ったところで探査を開始する。探査中は、一定の対水速度でリーディングウェイト3並びにセンサ部5が曳航されることになる。
【0093】
この曳航により、海中の水がセンサ部5の第1フレーム部19の結合部23A,23B及び袋状体13A,13Bの第1開口部47を介して袋状体13A,13Bの内部へと導入される。水が導入された袋状体13A,13Bは、圧力を受けて断面方向で張られると共に曳航方向に伸びて展開状態となる。この展開状態は、一定の対水速度で曳航が行われている限り維持される。
【0094】
この結果、センサ部5は、ケーブル15のループ形状が維持される。また、センサ部5は、幅方向に並列な袋状体13A,13Bにより水平状態が維持される。従って、センサ部5は、探査時のノイズの発生が抑制される。
【0095】
袋状体13A,13Bの内部に導入された水は、第2開口部49から外部に排出される。このとき、ゴミや魚等の異物も排出される。
【0096】
こうして、探査が終了した後は、曳航ケーブル9を引き上げながら徐々に船舶7を停止させ、リーティングウェイト3、センサ部5の順に回収する。センサ部5を回収する際には、水が袋状体13A,13Bの第2開口部49から排出されるので、作業が容易になる。このとき、袋状体13A,13Bは、異物も排出されるので、メンテナンス作業を軽減することができる。
【0097】
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態では、水中で曳航されるケーブル保持構造体であるセンサ部5が、畳んだ状態と展開状態との間で変形可能に構成され、水中で内部に水を導入することにより展開状態を保持可能とする第1開口部47を有した袋状体13A,13Bと、袋状体13A,13Bに保持され袋状体13A,13Bと共に変形可能なケーブル15とを備える。
【0098】
従って、本実施形態では、袋状体13A,13Bを畳んだ状態とすることでセンサ部5を大幅に縮小することができるため、センサ部5を大型化してもかさを抑えることができる。結果として、本実施形態のセンサ部5は、大型化に対応することが可能となる。また、センサ部5の大型化により、S/N比が向上して、電磁探査の精度向上を実現できる。
【0099】
さらに、曳航時には、第1開口部47から導入した水の圧力により、袋状体13A,13Bの展開状態が確実に保持され、ケーブル15の形状を維持することができる。この結果、本実施形態では、探査時のノイズの発生が抑制され、探査精度を確保できる。
【0100】
また、袋状体13A,13Bは、第1開口部47に対して曳航方向の後方に配置され内部に導入した水を排出する第2開口部49を有する。
【0101】
従って、袋状体13A,13B内にゴミや魚等の異物が残留することがなく、袋状体13A,13Bのメンテナンス作業を軽減することができる。また、センサ部5を回収する際には、水を袋状体13A,13Bから排出できるため、作業を容易に行わせることができる。
【0102】
袋状体13A,13Bは、曳航方向の前方から後方にわたって断面形状が漸次小さくなり、第2開口部49は、袋状体13A,13Bの断面形状に応じて第1開口部47よりも面積が小さく設定されている。
【0103】
従って、本実施形態では、展開形状を安定させることができ、袋状体13A,13Bの展開状態におけるケーブル15の形状を保持することができる。この結果、センサ部5では、探査精度を向上することができる。
【0104】
また、本実施形態のセンサ部5は、袋状体13A,13Bが複数並列に設けられ、複数の袋状体13A,13Bの曳航方向の前方側を支持する第1フレーム部材17と、複数の袋状体13A,13Bの曳航方向の後方側を支持する第2フレーム部材19とを備えている。
【0105】
従って、本実施形態では、複数の袋状体13A,13Bにより、センサ部5の水平状態が維持される。この結果、本実施形態では、より確実に、探査時のノイズの発生が抑制され、探査精度を向上できる。
【0106】
本実施形態のセンサ部5は、第1フレーム部材17、第2フレーム部材19、一対の袋状体13A,13Bで形成されるループ構造21の内周にケーブル15が保持されている。
【0107】
従って、本実施形態では、ケーブル15を容易にループ状に保持することができ、ノイズの発生を抑制して探査精度を向上できる。
<第2実施形態>
【0108】
図11(A)は、第2実施形態に係る電磁探査装置のセンサ部の袋状体を示す斜視図である。なお、本実施形態は、第1実施形態と基本構成が共通するため、対応する構成に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0109】
本実施形態は、袋状体13A,13Bの断面形状を円形にしたものである。その他は、第1実施形態と同一である。
【0110】
かかる構成により、本実施形態では、ループ構造21の内周が台形になり、ケーブル15のループ形状も台形となる。この結果、ケーブル15のループ形状を大きくすることができる。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0111】
図11(B)及び図11(C)は、第2実施形態の変形例に係り、袋状体を示す斜視図である。
【0112】
図11(B)の変形例では、袋状体13A,13Bの断面形状を三角形にしている。その他は、第1実施形態と同一である。図11(C)の変形例では、袋状体13A,13Bの断面形状を長方形にしている。その他は、第1実施形態と同一である。なお、袋状体13A,13Bの断面形状は、他の多角形形状等の幾何学形状とすることが可能である。
【0113】
これら第2実施形態の変形例においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第3実施形態>
【0114】
図12は、第3実施形態に係る電磁探査装置のセンサ部を示す概略構成図である。なお、本実施形態は、第1実施形態と基本構成が共通するため、対応する構成に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0115】
本実施形態のセンサ部5は、単一の袋状体13を用いたものであり、第1実施形態に対し、第1フレーム部19及び第2フレーム部19を省略している。その他は、第1実施形態と同一である。なお、第3実施形態でも、第1フレーム部及び第2フレーム部を備えた構成としてもよい。
【0116】
袋状体13は、曳航方向の前方及び後方にわたって漸次断面形状が小さくなっている。本実施形態の袋状体13の断面形状は、曳航方向の前方及び後方に向けて漸次上下方向の寸法が小さくなる矩形形状となっている。袋状体13の曳航方向の前方及び後方は、それぞれ開放されて第1開口部47及び第2開口部49となっている。
【0117】
第1開口部47の上方側には、浮力発生部としてのフロート81が配置されている。本実施形態では、第1開口部47の上縁にフロート81が取り付けられている。なお、フロート81は、袋状体13よりも比重の軽いものであればよい。
【0118】
第1開口部47の下方側には、重力加算部としてのウェイト83が配置されている。本実施形態では、第1開口部47の下縁にウェイト83が取り付けられている。なお、ウェイト83は、袋状体13よりも比重の重いものであればよい。
【0119】
フロート81及びウェイト83は、曳航時に袋状体13の回転を抑制する。また、フロート81及びウェイト83が第1開口部47の上縁及び下縁に取り付けられることで、第1開口部47の形状保持にも寄与する。
【0120】
第2開口部49には、ウェイト85が取り付けられている。このウェイト85は、袋状体13を海中に沈める際に第2開口部49側を下方に位置させるためのものである。
【0121】
かかる袋状体13には、上下方向の中央部において内周に沿ってケーブル15が保持されている。ケーブル15の保持は、第1実施形態と同様にして行うことが可能である。
【0122】
従って、第3実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、袋状体は開口部以外の部分に穴がないことは必須ではなく、例えばネット状(網状)の袋状体であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 電磁探査装置
5 センサ部(ケーブル保持構造体)
13,13A,13B 袋状体
15 ケーブル
17 第1フレーム部
19 第2フレーム部
21 ループ構造
47 第1開口部
49 第2開口部
51 送信ループ(送信ケーブル)
53 受信ループ(受信ケーブル)
81 フロート(浮力発生部)
83 ウェイト(バラスト部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12