(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】椎弓根マーカ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240220BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/88
(21)【出願番号】P 2020565960
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019055041
(87)【国際公開番号】W WO2019239391
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/054426
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515314867
【氏名又は名称】ネオ・メディカル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レファウコニアー, ヴィンセント
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0016219(US,A1)
【文献】米国特許第05800439(US,A)
【文献】特表2004-501716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0255287(US,A1)
【文献】特表2009-544361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い管状本体(3)と、前記細長い管状本体(3)を囲むプラグ(9)とを備える椎弓根マーカ(1)であって、
前記細長い管状本体(3)が、ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤ(GW)を受け入れるための近位端部(5)と、前記キルシュナーワイヤ(GW)が通って出ることができる遠位端部(7)とを備え、前記近位端部(5)から前記遠位端部(7)まで延びており、
前記細長い管状本体(3)が、少なくとも前記プラグ(9)から前記遠位端部(7)まで延びた、ねじ山のない外面(11)を有し、
前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)と前記遠位端部(7)との間に、または前記近位端部(5)の先端(15)に配置されて
おり、
前記プラグ(9)が、外科用器具を受け入れるように構成され
、前記プラグ(9)の本体の周りに延びる少なくとも1つの溝もしくはくぼみ(25)を備えるか、または外科用器具を受け入れるように構成され
、前記プラグ(9)の本体の周りに延びる少なくとも1つの環状の溝もしくはくぼみ(25)を備える、椎弓根マーカ(1)。
【請求項2】
前記細長い管状本体(3)が、前記細長い管状本体(3)の全長に沿って、ねじ山のない外面(11)を有する、または
前記細長い管状本体(3)が、少なくとも前記プラグ(9)と前記遠位端部(7)との間で前記細長い管状本体(3)の細長い伸長方向(E)に沿って、閉じたもしくは液密の外面を有する、請求項1に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項3】
前記細長い管状本体(3)が、前記近位端部(5)と前記遠位端部(7)との間で前記細長い管状本体(3)の細長い伸長方向(E)に、閉じたもしくは液密の外面を有する、または
前記細長い管状本体(3)の外側面(11)が、開口のない面であるか、もしくは開口のない面を規定している、または
前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)および前記遠位端部(7)の両方から距離を置いて配置されている、または
前記プラグ(9)が、(i)前記細長い管状本体(3)の中央部と(ii)前記近位端部(5)の外端との間の位置に配置されている、または
前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)
の外端に配置されていない、請求項1または2に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項4】
前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)の先端(15)に配置されており、前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)から離れるように延びるとともにキルシュナーワイヤを受け入れてガイドするためのチャネル(19)を規定する、上部セクション(17)をさらに含む、請求項1または2に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項5】
前記プラグ(9)が、前記細長い管状本体(3)に取り付けられており、前記細長い管状本体(3)に固定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項6】
前記プラグ(9)が、前記細長い管状本体(3)に取り付けられており、前記細長い管状本体(3)の長さに沿って移動可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項7】
前記細長い管状本体(3)が、前記キルシュナーワイヤを受け入れるように構成された通路(21)の境界を規定しており、
前記通路(21)が、前記近位端部(5)
の外端(15)から前記遠位端部(7)の外端(23)まで延びている、請求項
1に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項8】
前記通路(21)が、前記細長い管状本体(3)を通じて前記近位端部(5)から前記遠位端部(7)まで前記キルシュナーワイヤ(GW)をガイドすることを可能にする、前記キルシュナーワイヤ(GW)の形状と相補的な形状を有する、請求項7に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項9】
前記プラグ(9)が、椎弓根または椎骨に形成された通路を封止または閉鎖するように構成された幅または直径を有する下部セクション(27)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項10】
前記プラグ(9)が、前記近位端部(5)に向かって延びる前記プラグ(9)の伸長方向に沿って外向きに増加する幅または直径を有する下部セクション(27)を備える、請求項9に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項11】
前記プラグ(9)が、椎弓根または椎骨に形成された通路を封止または閉鎖することを可能にする漏斗状のプロファイルを規定する下部セクション(27)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項12】
前記下部セクション(27)が、椎弓根または椎骨に形成された通路を封止または閉鎖することを可能にする少なくとも1つの可撓性フラップまたはウィングレット(29)を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項13】
前記プラグ(9)が、前記細長い管状本体(3)から外向きに突出または延びるランディング(31)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項14】
前記ランディング(31)が、前記下部セクション(27)の上方に配置されており、前記下部セクション(27)が、前記ランディング(31)に接触するように延びている、
請求項9~12のいずれか一項を引用する請求項13に記載の椎弓根マーカ(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つもしくは複数の椎弓根マーカ(1)を含むか、または請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つもしくは複数の椎弓根マーカ(1)のみで構成される、脊椎インストゥルメントキットまたはパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年6月15日に出願された国際特許出願(仮)番号PCT/IB2018/054426の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、椎弓根マーカ、椎弓根ガイドワイヤマーカ、またはキルシュナーワイヤマーカに関する。この装置を椎骨または椎弓根に形成された通路、例えば、椎弓の椎弓根に挿入して、椎骨または椎弓根に形成された通路の位置をマークすることができる。
【0003】
この装置はまた、椎骨を取り扱いまたは操作するために使用することができ、例えば、椎骨を移動させて、脊椎の2つ以上の椎骨間の脊椎固定のために挿入される脊椎ケージの挿入または調整を可能にする。
【背景技術】
【0004】
整形外科用ロッドに関連する脊椎スクリューは、脊椎の変形を矯正したり、脊椎の外傷を治療したりするために使用される。整形外科用ロッドは、脊椎の変性を治療したり、脊椎の変形を矯正したり、脊椎の外傷を治療したりするために、椎骨に埋め込まれた複数の脊椎スクリューの頭部に配置され、保持される。椎骨に脊椎スクリューを挿入する前に、脊椎スクリューのシャフトを受け入れるための通路またはボアが、タップ、千枚通し、椎弓根ファインダ、プローブなどの一連のドリルツールを使用して椎弓根または椎骨に形成される。
【0005】
キルシュナーワイヤ(またはKワイヤ)などの細いガイドワイヤを各通路または穴に配置して、脊椎スクリューを通路またはボアにガイドし、椎弓根または椎骨に挿入することができる。脊椎スクリューのシャフトは、通常、貫通ボアを含み、ガイドワイヤが貫通ボアを通過し、椎弓根に形成された通路またはボアにスクリューをガイドすることが可能になる。
【0006】
ただし、複数の椎骨に複数の椎弓根スクリューが必要になることがよくあり、すなわち、椎弓根スクリューを椎骨に挿入する前に、複数の通路またはボアには患者の脊椎から外側に延びる長さ40cmを超える複数のKワイヤが含まれており、自由に揺れ動くぶら下がるガイドワイヤが、外科医が作業する必要がある空間を塞ぐ(例えば、
図6を参照)。
【0007】
これは外科医にとって邪魔になり、患者の上の可動域と動きを制限するだけでなく、椎弓根スクリューを椎骨に配置する前に外科医が行うその他の動作、例えば、除圧、脊椎解離、椎間板切除術または椎体間ケージの配置などを妨げる。
【0008】
さらに、脊椎の2つ以上の椎骨間の脊椎固定のために挿入される脊椎ケージの挿入を可能にするために、1つ以上の椎骨の移動または再配置が必要な場合がある。この脊椎ケージの挿入は、脊椎ケージホルダと呼ばれる器具を使用して行われるが、この動作は、外科医が作業している領域に複数のぶら下がるガイドワイヤが存びることによって妨害され、崩壊し変性した椎間板につながる入口が狭いためにしばしば困難になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記の不便さを克服する椎弓根マーカを提供することである。特に、本発明の目的は、外科医が妨害されることなくその役割を行うことができることを保証することである。
【0010】
本発明は、細長い管状本体と、細長い管状本体を囲むプラグとを含む椎弓根マーカであって、
細長い管状本体が、ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤを受け入れるための近位端部と、キルシュナーワイヤが通って出ることができる遠位端部とを含み、近位端部から遠位端部まで延びており、
プラグが近位端部と遠位端部との間に配置されており、
細長い管状本体が、少なくともプラグから遠位端部まで延びた、ねじ山のない外面を有する、
椎弓根マーカを提供することにより、上記の制限に対処する。
【0011】
本発明による椎弓根マーカは、好適には、ドリルツールまたはタップを使用して椎弓根または椎骨に形成される脊椎スクリューのシャフトを受け入れるための通路またはボアを、外科医の邪魔になることなくマークおよび区別すると同時に、外科医が1つまたは複数の椎骨の移動または再配置など他の必要な動作を行うことを可能にして、例えば脊椎ケージの挿入を可能にする。
【0012】
椎弓根マーカはまた、Kワイヤを曲げることなくKワイヤを通路またはボアに挿入することを可能にする。椎弓根マーカはさらに、Kワイヤを曲げることなく、またKワイヤを同時に引き抜くことなく椎弓根マーカの除去を可能にする。
【0013】
さらに、本開示の椎弓根マーカは、患者に対する外科医の現在の手術方法を混乱させることはなく、外科医にとって手術を容易にする追加のオプションをもたらすだけである。
【0014】
これにより、外科医はより効率的かつ迅速に作業できるようになり、患者の手術期間を短縮できる。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つまたは複数の上記の椎弓根マーカを含む器具のキットに関する。器具のキットは無菌で単回使用のために提供することができるか、または病院で再滅菌され得る。
【0016】
本発明はまた、請求項26に記載の整形外科の方法に関する。
【0017】
他の有利な特徴は、従属請求項に見出すことができる。
【0018】
本発明の上記および他の目的、特徴および利点、ならびにそれらを実現する方法がより明らかになり、本発明自体は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して以下の説明を考察することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本開示の椎弓根マーカの非限定的かつ例示的な実施形態を示す図である。
【
図1B】本開示の椎弓根マーカの非限定的かつ例示的な実施形態を示す別の図である。
【
図1C】本開示の椎弓根マーカの別の非限定的かつ例示的な実施形態を示す図である。
【
図1D】本開示の椎弓根マーカのさらに別の非限定的かつ例示的な実施形態を示す図である。
【
図1E】本開示の椎弓根マーカのさらに別の非限定的かつ例示的な実施形態を示す図である。
【
図1F】本開示の椎弓根マーカのさらに別の非限定的かつ例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】椎弓根または椎骨に配置されているまたは配置された本開示による複数の椎弓根マーカを示す図である。
【
図3】椎弓根または椎骨に配置されているまたは配置された本開示による複数の椎弓根マーカを示す別の図である。
【
図4】外科医が本開示の椎弓根マーカを使用して行い得る例示的な動作を示す図である。
【
図5】ガイドワイヤを保持し、椎弓根に存びる通路またはボアに配置された複数の椎弓根マーカを示す図である。
【
図6】ガイドワイヤの存在により外科医が直面する困難と妨害を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、可能な場合、同一の参照番号を使用して、図に共通の同一の要素を指定する。
【0021】
本開示による例示的な椎弓根マーカまたは椎弓根ガイドワイヤマーカ1が、例えば、
図1Aおよび
図1Bに示されている。
【0022】
椎弓根マーカ1は、ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤGWを受け入れるための近位端部5(使用中に外科医に最も近い端部)と、キルシュナーワイヤが通って出ることができる遠位端部7とを含む細長い管状本体3を含む。細長い管状本体3は、近位端部5から遠位端部7まで延びる。
【0023】
ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤまたはKワイヤGWは、通常、直径が0.9~1.5mm、長さが約40cmである。ワイヤは、典型的には、例えばステンレス鋼を含むかステンレス鋼から構成される、中実の細長い金属ワイヤである。ただし、より大きな直径も可能である。
【0024】
細長い管状本体3は、ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤGWを受け入れるように構成され、かつワイヤが、例えば、一方の側から他方の側に完全に通過することができる通路21(例えば、
図1Fを参照)の境界を定める。通路21は、近位端部5の外端15から遠位端部7の外端23まで延びる。通路21は、本体3を完全に貫通して延びる。
【0025】
通路21は、例えばガイドワイヤの形状と相補的な形状を有し、例えば、ガイドワイヤGWを受け入れ(例えば、ぴったりと受け入れ)、近位端部5から遠位端部7に細長い管状本体3を通じてガイドすることを可能にする。
【0026】
通路21は、例えば、(実質的に)中空の円筒形を規定してもよく、ガイドワイヤGWは、例えば、より小さな直径の円筒形を規定してもよく、ガイドワイヤGWを細長い管状本体3を通じて受け取り、ガイドすることを可能にする。しかしながら、通路21およびガイドワイヤGWは、他の形状を規定してもよく、円筒の形状またはプロファイルに限定されない。
【0027】
細長い管状本体3は、金属、例えば、アルミニウムもしくはステンレス鋼、またはポリマーもしくはプラスチック材料、例えば、ポリアミド、ポリエーテルイミドもしくはポリスルホン、またはPAEKファミリー、PEEKファミリーもしくはPEKKファミリーのメンバーを含むか、またはそれのみで構成されてもよい。
【0028】
細長い管状本体3は、椎弓根(例えば、椎弓の椎弓根)に形成されるボアまたは通路(例えば、細長いボアまたは細長い開いた通路)の幅または外径よりもわずかに小さい幅または外径を有する。これにより、ボアまたは通路におけるぴったりとした嵌合が保証されるだけでなく、外科医による容易な挿入および除去も保証される。細長い管状本体3の幅または直径は、例えば2mm~4mm、例えば3mmであり得る。
【0029】
細長い管状本体3の全長は、例えば4cm~8cm、例えば6cmであり得る。ただし、他の長さも可能である。
【0030】
椎弓根マーカ1は、細長い管状本体3を囲む(または縮充し囲む、または取り囲む)プラグまたはホルダ9をさらに含む。プラグ9は、例えば、近位端部5と遠位端部7との間に配置される。
【0031】
プラグ9は、細長い管状本体3を保持し、椎弓根マーカ1をボアまたは通路内に保持する。
【0032】
プラグ9は、椎骨または椎弓根の通路またはボアPに配置されると(
図2および
図3を参照)、通路またはボアの入口で骨物質に直接接触して、通路またはボアPを少なくとも部分的に閉鎖するか完全に閉鎖する。プラグ9は、通路またはボアの入口を塞ぐように、通路またはボアPの入口の外面に接触する外面を備える。これにより、好適には、通路またはボアPから出る血流が防止されるか最小限に抑えられる。
【0033】
プラグ9は、金属、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼、またはポリマーもしくはプラスチック材料、例えば、ポリアミド、ポリエーテルイミドもしくはポリスルホン、もしくはPAEKファミリー、PEEKファミリーもしくはPEKKファミリーのメンバーを含むか、またはそれのみで構成されてもよい。
【0034】
プラグ9は、細長い管状本体3に直接または間接的に取り付けられ、細長い管状本体3を包囲する。プラグ9は、例えば、細長い管状本体3上に接着、溶接、または成形され得る。
【0035】
プラグ9は、細長い管状本体3に固定することができる。あるいは、プラグ9は、細長い管状本体3の長さに沿って移動可能であり、例えば、摩擦嵌合または圧入などによって細長い管状本体3上の所定の位置に維持される。
【0036】
プラグ9は、細長い管状本体3が配置される通路またはチャネルを規定する。通路またはチャネルは、例えば、細長い管状本体3の外側の幅または外径WB(
図1F)よりも大きいまたはわずかに大きい内側の幅または内径を有し得る。
【0037】
通路またはチャネルは、例えば、細長い管状本体3の外側の幅または外径WB(
図1F)よりもわずかに大きい内側の幅または内径を有し得、細長い管状本体3へのプラグ9の摩擦嵌合または圧入を可能にする。
【0038】
プラグ9は、近位端部5および遠位端部7の両方から距離を置いて配置され得る。
【0039】
プラグ9は、例えば、(i)細長い本体3の中央部(細長い本体3の長さの半分に対応する位置、
図1Bに示される伸長方向Eに延びる長さ)と(ii)近位端部5の外端との間の位置に配置することができる。プラグ9は、例えば、細長い本体3の中央部と近位端部5の外端との間の位置に配置することができ、近位端部5の外端には配置することができない。
【0040】
プラグ9は、例えば、近位端部5の外端15から距離D(例えば、Dは0.1cm~2.5cm、例えば2cmであり得る)(および/または遠位端部7の外端23から距離L)で、細長い管状本体3上に配置または位置決めされ得る。
【0041】
あるいは、プラグ9は、近位端部5の先端15に(例えば、D=0で)配置することができる。
図1Dおよび
図1Eは、近位端部5の先端15に配置されるべきそのようなプラグ9の非限定的な例を示す。
【0042】
プラグ9は、近位端部5および先端15から離れて延びる上部セクション17を含む。上部セクション17は、ガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤGWを受け入れてガイドするように構成されたチャネル19を規定する。上部セクション17は、例えば、例えば
図1Dに示されるようにガイドワイヤGWを受け入れてガイドするための漏斗を規定することができる。
【0043】
実施形態のいずれか1つのプラグ9は、椎弓根または椎骨に形成された通路またはボアPを封止または(少なくとも部分的に)閉鎖することを可能にする幅または直径を有する下部セクション27を備え得る。下部セクション27の幅または直径は、例えば、遠位端部7の方向に減少することができ、例えば、遠位端部7の方向に線形または非線形に減少することができる。
【0044】
言い換えれば、下部セクション27の幅または直径は、例えば、近位端部5の方向に増加することができ、例えば、近位端部5の方向に線形または非線形に増加することができる。これにより、椎弓根または椎骨に形成された通路またはボアPを封止または閉鎖するための複数または直径または幅が実現される。
【0045】
プラグ9は、例えば、遠位端部7の方向に本体3に向かって下向きもしくは内向きに傾斜する下向きに傾斜した外面を備えてもよく、または、遠位端部7の方向に本体3から上向きもしくは外向きに傾斜する上向きに傾斜した外面を備えてもよい。
【0046】
下部セクション27は、例えば、椎弓根または椎骨に形成された通路またはボアPを封止または閉鎖することを可能にする漏斗状のプロファイルを規定し得る。
【0047】
下部セクション27は、代替的または追加的に、1つまたは複数の可撓性フラップまたはウィングレット(winglet)29(例えば、
図1Cを参照)を含み得、椎弓根または椎骨に形成された通路を封止または閉鎖することを可能にする。
【0048】
プラグ9は、プラグ9または本体3から外向きに(例えば、半径方向に)突出または延びるランディング(landing)31をさらに含み得る。ランディング31は、例えば、プラグ9の本体および/または本体3を取り囲む環状突起を規定し得る。ランディング31は、下部セクション27と上部セクション17との間に配置され、かつ下部セクション27と上部セクション17とを相互接続する、中間セクションを規定する。
【0049】
下部セクション27は、ランディング31に直接接触するように延びる。ランディング31はまた、特にボアまたは通路があまりにも広く形成され、通路またはボアPによって規定された開口部を密閉または閉鎖するのに十分な幅が下部セクション27にない場合に、椎弓根のボアまたは通路Pから出る血流を最小限に抑えるか防止することを保証する。
【0050】
ランディング31は、例えば、本体3に対して(実質的に)垂直である突起を規定し得る。
【0051】
プラグ9は、外科用器具を受け入れるように構成された少なくとも1つの溝またはくぼみ25を備えてもよい(
図1C、
図1D、
図1E)。溝またはくぼみ25は、例えば、プラグ9の本体の周りに完全にまたは部分的に延びてもよい。溝またはくぼみ25は、例えば、環状の溝またはくぼみであり得る。これにより、伸延器などの器具(
図4を参照)で2つの椎弓根マーカを押して椎弓根/椎骨を目的の位置に移動させることが可能になり、例えば、脊椎ケージの挿入または移動を容易にすることが可能になる。
【0052】
例えば、細長い管状本体3は、少なくともプラグ9から遠位端部7まで、例えば、プラグ9の下端から細長い管状本体3の長さLに沿って外端23まで延びる、ねじ山のない外面11を含む。例えば、長さLは、椎弓根スクリューのねじ付きスクリューシャフトの長さに対応するか、または一致する。
【0053】
外面11は、ねじ筋のない面である。外面11は、ねじ山のない面である。
【0054】
外面11は、例えば、平坦もしくは滑らかな外面、または突起および/もしくはくぼみのない面を備え得る。
【0055】
外面11は、例えば、平坦な外面または突起および/もしくはくぼみのない面を有する少なくとも1つまたは複数の領域を備え得る。外面11によって規定される領域の大部分は、平坦な面または突起および/もしくはくぼみのない面を有する。
【0056】
これにより、通路またはボアPがマーカ1によって過度に広げられたり弱められたりしないことが保証され、したがって、椎弓根スクリューが最終的に同じ通路またはボアPに配置されるときに、椎弓根内の椎弓根スクリューによる正確かつ確実な把持が保証される。
【0057】
細長い管状本体3は、細長い管状本体3の全長に沿って、または細長い管状本体3の露出した外面11の全長に沿って、ねじ山のない外面11を含み得る。
【0058】
細長い管状本体3の外面は、例えば、細長い管状本体3の細長い伸長Eの方向に閉鎖または封止することができるか、または気密もしくは液密にすることができる。細長い管状本体3の側面は、閉じた面または開口のない面であるか、またはそれらの面を規定する。例えば、少なくともプラグ9と遠位端部7または外端23との間で閉じている。外部側面11は、閉じた面、または連続した面、または開口のない面であるか、またはそれらの面を規定する。これにより、椎弓根のボアまたは通路Pから出る血流を最小限に抑えるか防止することを保証する。
【0059】
細長い管状本体3の外面11は、近位端部5と遠位端部7との間、または外端15、23との間で完全に、細長い管状本体3の細長い伸長方向Eで閉鎖または封止され得る。細長い管状本体3の外面11または横方向の外面は、オリフィスのない面または開口のない面であるか、またはオリフィスのない面または開口のない面を規定する。
【0060】
例えば、細長い本体3の内面も平坦もしくは滑らかな面、または突起および/もしくはくぼみのない面を備え得る。これにより、ガイドワイヤGWの長さに沿った椎弓根マーカ1のスムーズな除去が保証され、ガイドワイヤGWが椎弓根マーカ1と共に除去されるリスクを防止するか最小限に抑える。
【0061】
本開示はまた、1つまたは複数の椎弓根マーカ1を含むか、または1つもしくは複数の椎弓根マーカ1のみで構成される脊椎インストゥルメントキットに関する。脊椎インストゥルメントキットはまた、椎弓根穿孔またはドリルツール、および/または(Steffi)プローブツール、および/または少なくとも1つのキルシュナーワイヤを含むか、またはそれらのみで構成され得る。
【0062】
キットの要素は、無菌および無菌包装で提供され得る。キットの要素は、単回使用のために提供され得るか、または病院で再滅菌できる複数回使用の要素として提供され得る。
【0063】
本開示はまた、整形外科の方法に関する。この方法は、例えば、
少なくとも1つまたは複数の椎弓根マーカ1を用意するステップと、
少なくとも1つの椎弓根もしくは椎骨または複数の椎弓根もしくは椎骨への通路または細長い通路Pを、穿孔または作成するステップと、
少なくとも1つまたは各プラグ9が通路Pを閉鎖するか塞ぐように、少なくとも1つまたは複数の椎弓根マーカ1を通路Pに挿入するステップと
を含むことができる。
【0064】
次に、外科用器具を使用して、例えば伸延器を使用して、少なくとも1つまたは複数の椎弓根マーカ1に力を加え、1つまたは複数の椎骨を再配置するか移動させることができる(例えば、
図4を参照)。
【0065】
代替的または追加的に、手動で再配置を行うことができる。外科医は、椎弓根スクリューを挿入する前に必要な他の動作を、妨げられることなくさらに行うことができる。このような動作には、除圧、脊椎解離、椎間板切除術、または椎体間ケージの配置が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
例えば、次に、脊椎ケージを椎骨の間に挿入もしくは配置することができ、または椎骨の間で脊椎ケージの再配置を行うことができる。
【0067】
外科医が椎弓根スクリューを挿入する準備ができたら、1つまたは複数の椎弓根マーカ1の中空通路21を通して、椎弓根の1つまたは複数の通路PにガイドワイヤまたはキルシュナーワイヤGWを挿入することができる(例えば、
図5を参照)。
【0068】
次に、椎弓根マーカ1を椎弓根から離し、キルシュナーワイヤGWに沿ってガイドして、患者から椎弓根マーカ1を除去することによって、椎弓根マーカ1を除去することができる。
【0069】
また、椎弓根マーカ1は好適には、細長い本体3のガイド機能により、KワイヤGWを曲げることなく、Kワイヤを椎弓根の通路に挿入することを可能にする。椎弓根マーカ1はさらに、KワイヤGWを曲げることなく、またKワイヤを同時に引き抜くことなく、椎弓根マーカ1の除去を可能にする。
【0070】
さらに、椎弓根マーカ1は、患者に対する外科医の現在の手術方法を混乱させることはなく、外科医にとって手術を容易にする追加のオプションをもたらすだけである。
【0071】
次に、椎弓根スクリューは、椎弓根スクリューを通してガイドワイヤGWを受け取り、ワイヤGWに沿って椎弓根の通路Pにガイドされ、通路またはボアPに挿入され得る。これは、複数の椎弓根スクリューに対して行うことができる。
【0072】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して開示されているが、記載された実施形態、およびそれらの同等物に対する多数の修正、改変、および変更は、本発明の適用範囲および範囲から逸脱することなく可能である。記載された実施形態のいずれか1つの特徴は、記載された実施形態の他のいずれかに含まれ得る。方法のステップは、上記の正確な順序で実行する必要はなく、別の順序で実行できる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言に従って最も広く合理的な解釈が与えられることが意図されている。