(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】空気清浄システム
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20240220BHJP
F24F 8/158 20210101ALI20240220BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20240220BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240220BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20240220BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240220BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20240220BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240220BHJP
F24F 110/62 20180101ALN20240220BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20240220BHJP
F24F 110/60 20180101ALN20240220BHJP
【FI】
F24F8/80 145
F24F8/80 150
F24F8/80 155
F24F8/158
F24F11/62
F24F11/89
F24F11/61
F24F11/64
F24F11/49
A61L9/00 Z
F24F110:62
F24F140:00
F24F110:60
(21)【出願番号】P 2020044857
(22)【出願日】2020-03-15
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519277520
【氏名又は名称】株式会社リビングロボット
(74)【代理人】
【識別番号】100186510
【氏名又は名称】豊村 祐士
(72)【発明者】
【氏名】川内 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 珠幾
(72)【発明者】
【氏名】遠山 理
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-223312(JP,A)
【文献】特開平02-102711(JP,A)
【文献】特開平11-156131(JP,A)
【文献】特開2019-113253(JP,A)
【文献】特開2016-142489(JP,A)
【文献】特開昭62-144732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/80
F24F 11/62
F24F 11/89
F24F 11/61
F24F 11/64
F24F 11/49
A61L 9/00
F24F 140/00
F24F 110/60
F24F 110/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する空気流の空気の臭いを脱臭する脱臭部と、
前記脱臭部より前記空気流の上流側に配置された第1臭いセンサと、
前記脱臭部より前記空気流の下流側に配置された第2臭いセンサと、
前記第1臭いセンサの出力に基づく第1空気清浄度と前記第2臭いセンサの出力に基づく第2空気清浄度とを検出する清浄度検出部と、
を備え、
前記清浄度検出部で検出された前記第2空気清浄度と前記第1空気清浄度との差分が所定の値よりも大き
く、かつ前記第2空気清浄度が前記第1空気清浄度よりも高い期間が所定の期間よりも長く継続する場合に第1の通知を行うことを特徴とする空気清浄システム。
【請求項2】
前記第1空気清浄度及び前記第2空気清浄度が、ともに所定の値よりも低い場合、第2の通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄システム。
【請求項3】
前記第1空気清浄度よりも前記第2空気清浄度の方が低い場合、第3の通知を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気清浄システム。
【請求項4】
更に前記第1空気清浄度及び前記第2空気清浄度を通知することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の空気清浄システム。
【請求項5】
前記通知が所定の情報端末においてなされることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の空気清浄システム。
【請求項6】
前記脱臭部が設けられた空気清浄機を備え、
前記第1臭いセンサを設けた第1臭いセンサユニットと、前記第2臭いセンサを設けた第2臭いセンサユニットとのうち、少なくとも1つを前記空気清浄機に着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の空気清浄システム。
【請求項7】
前記第1臭いセンサユニットは前記空気清浄機の吸込口の近傍に設けられ、前記第2臭いセンサユニットは前記空気清浄機の吹出口の近傍に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の空気清浄システム。
【請求項8】
空気清浄の対象となる空間に関する情報を入力あるいは検出する空間情報設定部を備え、前記空間に関する情報に基づき、前記所定の期間を決定することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の空気清浄システム。
【請求項9】
通過する空気流から塵芥を除去する集塵フィルタと、
前記集塵フィルタより前記空気流の上流側に配置された埃センサと、
前記集塵フィルタより前記空気流の下流側に配置された第2埃センサと、
前記埃センサの出力に基づく第3空気清浄度と前記第2埃センサの出力に基づく第4空気清浄度とを検出する清浄度検出部と、
を備え、
前記清浄度検出部で検出された前記第4空気清浄度と前記第3空気清浄度との差分が所定の値よりも大きく、かつ前記第4空気清浄度が前記第3空気清浄度よりも高い期間が所定の期間よりも長く継続する場合に第5の通知を行うことを特徴とする空気清浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の空気を清浄する空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、清潔・健康志向の高まりとともに空気清浄機を利用する個人・家庭が増加しているとされる。一般社団法人日本電機工業会のアンケート調査によれば、空気清浄機の利用者の購入動機は、「アレルギー・花粉症対策のため」「室内でペットを飼うようになったため」「健康清潔空間を作るため」等が多いとされている。空気清浄機は空気中の塵、埃、ハウスダスト、ダニ、花粉、アレル物質、カビ、雑菌等の塵芥または塵芥に付着した有害物質をフィルタで除去するとともに、生活臭、タバコ臭、ペット臭、ホルムアルデヒド等の化学物質を分解/除去する機能を備えるものが市販されている。
【0003】
またマーケティングリサーチ企業である株式会社マクロミルのアンケート調査では、空気清浄機の販売数量は2014年~2018年にかけて増加傾向にあり、生活をするうえで室内環境をより快適に保ちたいという意識をもつ利用者が増加していることが窺われる。このような意識の高い利用者には、空気清浄機によって自己等が生活する室内環境が単に良好に維持されることのみならず、実際に空気清浄度がどのような状態にあるのか、また空気清浄度が改善されない場合にその原因を把握したいとの要望がある。特に、妊婦や乳幼児を持つ母親にはその傾向が強いとされている。
【0004】
さて、空気清浄機や空気清浄機を含む空気清浄システムに関連する技術について、例えば換気装置として、換気エリアに空気を吹き出す吹出口と空気を吸い込む吸込口を設け、これらの吹出口および吸込口に供給ダクトおよび還気ダクトをそれぞれ連結するとともに、供給ダクトに脱臭フィルタを内蔵した空気浄化器および送風機を介して還気ダクトを連結し、換気エリアからの空気が排気ダクトにより排気され、外気ダクトにより換気エリアに外気が導入される換気装置において、脱臭フィルタの風上側および風下側に臭いセンサをそれぞれ配置するとともに、これらの臭いセンサ、排気ダクトに設けた排気ファン、還気ダクトに設けた第1ダンパおよび排気ダクトに設けた第2ダンパを制御する制御装置を設け、換気エリアの空気の汚染度を臭いセンサにより感知し、汚染度が基準値以上の場合に、制御装置が排気ファンの駆動制御を行うとともに、第1ダンパを全閉、第2ダンパを全開とする駆動制御を行い、換気エリア内の汚染空気を排気ダクトから一定時間排出するとともに外気ダクトより外気を換気エリアに導入する換気装置が知られている。(特許文献1)
【0005】
特許文献1によれば、脱臭フィルタの風上側および風下側に臭いセンサを配置することで、風上側及び風下側の臭いセンサがほぼ同様の測定値であれば、脱臭フィルタは臭いを吸収することができない状態にあり、脱臭フィルタの交換時期を確認することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術によれば、脱臭フィルタの風上側と風下側とに臭いセンサが設けられているものの、これら二つのセンサを設けることによって奏される効果は、利用者に対して脱臭フィルタの交換時期を確認させるにすぎず、利用者の清潔・健康志向や室内環境を把握するとともにより快適に保ちたいという意識に対して積極的に応えるものであるとは言い難い。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、空気清浄システムが有効に機能しているか否かを通知することで、室内環境の状態を利用者が的確に把握することが可能な空気清浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた本発明は、通過する空気流の空気の臭いを脱臭する脱臭部と、前記脱臭部より前記空気流の上流側に配置された第1臭いセンサと、前記脱臭部より前記空気流の下流側に配置された第2臭いセンサと、前記第1臭いセンサの出力に基づく第1空気清浄度と前記第2臭いセンサの出力に基づく第2空気清浄度とを検出する清浄度検出部と、を備え、前記清浄度検出部で検出された、前記第2空気清浄度と前記第1空気清浄度との差分が所定の値よりも大きい期間が所定の期間よりも長く継続する場合に第1の通知を行う空気清浄システムである。
【0010】
これによって、空気清浄システムが空気清浄機能を十分に発揮しているにもかかわらず、空気清浄度が改善されない状態にあることを利用者に通知し、利用者は室内環境の状態を的確に把握することが可能となる。
【0011】
また、本発明は、前記第1空気清浄度及び前記第2空気清浄度が、ともに所定の値よりも低い場合、第2の通知を行うようにしたものである。
【0012】
これによって、空気清浄システムが空気清浄機能を十分に発揮できない状態にあることを利用者に的確に通知することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、前記第1空気清浄度よりも前記第2空気清浄度の方が低い場合、第3の通知を行うようにしたものである。
【0014】
これによって、空気清浄システムが空気清浄機能を十分に発揮しておらず、逆に空気清浄度を低下させていることを利用者に的確に通知することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、更に前記第1空気清浄度及び前記第2空気清浄度を通知するようにしたものである。
【0016】
これによって、空気清浄機が稼働している状態において、空気清浄の対象となる空間の空気清浄度を常時可視化して利用者に通知することが可能となる。
【0017】
また、本発明は、前記通知が所定の情報端末においてなされるようにしたものである。
【0018】
これによって、利用者は空気清浄システムから簡易に通知を受け取ることが可能となる。
【0019】
また、本発明は、前記脱臭部が設けられた空気清浄機を備え、前記第1臭いセンサを設けた第1臭いセンサユニットと、前記第2臭いセンサを設けた第2臭いセンサユニットとのうち、少なくとも1つを前記空気清浄機に着脱可能に構成したものである。
【0020】
これによって、第1臭いセンサユニットと第2臭いセンサユニットとの少なくとも一方を、例えば既設の空気清浄機に後付けで設置することが可能となる。
【0021】
また、本発明は、前記第1臭いセンサユニットは前記空気清浄機の吸込口の近傍に設けられ、前記第2臭いセンサユニットは前記空気清浄機の吹出口の近傍に設けられているものである。
【0022】
これによって、空気清浄機が十分に空気清浄機能を発揮しているか否かを的確に検出することが可能となる。
【0023】
また、本発明は、空気清浄の対象となる空間に関する情報を入力あるいは検出する空間情報設定部を備え、前記空間に関する情報に基づき、前記所定の期間を決定するようにしたものである。
【0024】
これによって、空気清浄システムが第1の通知を行うタイミングを適切なものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
このように本発明によれば、空気清浄システムが有効に機能しているか否かを通知することで、室内環境の状態を利用者が的確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の全体を示す斜視図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の分解斜視図
【
図3】本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の構成を示すブロック図
【
図4】空気清浄システムS1の制御部30に入出力される情報を説明する説明図
【
図5】(a)は、本発明の第2実施形態に係る空気清浄システムS2の構成を示すブロック図、(b)は、空気清浄システムS2の第1変形例を示すブロック図
【
図6】空気清浄システムS2の第2変形例を示すブロック図
【
図7】本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の概要を示す説明図
【
図8】本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の構成を示すブロック図
【
図9】(a)は、本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の情報端末50を含めた構成を示すブロック図、(b)は、空気清浄システムS3の変形例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の全体を示す斜視図である。第1実施形態において、空気清浄機1は空気清浄システムS1としての構成要素を全て備えており、この観点で以降の説明において、空気清浄システムS1を空気清浄機1と称することがある。
【0028】
空気清浄機1は、前後方向の略中央部に設けられた筐体2、筐体2の前方に設けられたフロントパネル3、筐体2の後方に設けられたリアパネル4で構成される。筐体2にフロントパネル3が装着されることによって開口が形成された左右一対の吸込口5から空気(空気流AF)が空気清浄機1内部に導入される。導入された空気は、後述する各種のフィルタによって埃や臭いが除去されて、リアパネル4の上方に開口が形成された吹出口6から外部に吹出される。
【0029】
筐体2には、清浄機表示部7と清浄機入力部8とが設けられている。清浄機表示部7及び清浄機入力部8は、フロントパネル3に設けられた開口部9(
図2参照)を介して外部に露出している。清浄機表示部7は例えば液晶パネルや有機ELパネルで構成され、後述する複数の通知や空気清浄度が表示される。清浄機入力部8は例えばタッチパネルや複数のスイッチで構成され、利用者は清浄機入力部8を操作することで、空気清浄機1の動作に関する設定や清浄機表示部7に表示する項目の選択を行う。また清浄機入力部8は後述するように、空間情報設定部としての機能を備える。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の分解斜視図である。図示するように、フロントパネル3と筐体2の間にはフロントパネル3側から順にプレフィルタ15、集塵フィルタ16、脱臭フィルタ17が設けられている。吸込口5から吸い込まれた空気は空気流AFとして、プレフィルタ15、集塵フィルタ16、脱臭フィルタ17(以降、これらのフィルタを一括して「フィルタ群」と称することがある。)の順に通過する。
【0031】
プレフィルタ15は、吸込口5から吸い込まれた空気が最初に通過するフィルタであり、空気流AFに含まれる比較的大きな埃を捕集する。集塵フィルタ16は、プレフィルタ15を通過した空気が次に通過するフィルタであり、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが好適に用いられる。HEPAフィルタは、空気に含まれる粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集率を有し、細菌やPM2.5などの微小粒子物質を捕集する。
【0032】
脱臭フィルタ17は、集塵フィルタ16を通過した空気が通過するフィルタであり、内部に例えば活性炭等が充填されている。脱臭フィルタ17は、プレフィルタ15や集塵フィルタ16で捕集できない化学物質や臭い物質(例えば家具や建築資材に使われている接着剤等に含まれるホルムアルデヒド、タバコ臭の原因となる3-エテニルピリジン、体臭やペット臭の原因となる物質(3-メチル-2-ヘキセン酸、ビニルケトン類、イソ吉草酸、ノネナール))等を吸着して除去する。なお、以降の説明において、化学物質や臭い物質を合わせて「臭い物質等」と称することがある。
【0033】
ここで、空気清浄機1は、脱臭フィルタ17に代えて光触媒を用いた脱臭機構(図示せず)を備えていてもよい。光触媒は光エネルギーを吸収して表面に活性なラジカルを生成する物質であり、光触媒と接触した有機化合物等がラジカルの作用により酸化分解されることで、脱臭(消臭)、抗菌等の効果を発揮する。これらの脱臭フィルタ17や脱臭機構は、脱臭部として機能する。
【0034】
筐体2とリアパネル4との間には例えばシロッコファン等で構成された送風機18が設けられている。送風機18は、吸込口5より空気を吸引しフィルタ群を通過した後に吹出口6から排出する空気流AFを発生させる。
【0035】
筐体2には、埃センサ20と第1臭いセンサ21とが設けられている。埃センサ20及び第1臭いセンサ21は例えば筐体2の底面に設置され、フィルタ群が筐体2に取り付けられた状態において、プレフィルタ15に対して空気流AFの上流側(即ち、脱臭部としての脱臭フィルタ17に対しても空気流AFの上流側)に露出しており、吸込口5から吸引された清浄前の空気に含まれる埃や臭い物質等の量を検出する。なお、空気清浄の対象となる空間(例えば室内等、利用者の生活空間)の埃や臭い物質等の量を検出するという観点において、埃センサ20及び/または第1臭いセンサ21は、例えば筐体2に設けられた清浄機表示部7の近傍に設けられてもよい。なお、当該構成においては、埃センサ20及び第1臭いセンサ21の近傍に空気清浄機1の内部空間と外部とを連通させる開口(図示せず)を設けて、この開口から吸引される空気流AFがこれらのセンサと接触し、かつ空気流AFがプレフィルタ15の上流側から筐体2内部に吸引される構成とするのが望ましい。
【0036】
ここで、埃センサ20は、発光素子とこの発光素子が出力した光を受光する受光センサとから構成され、検出領域に入った埃等が反射する反射光を検出することで、埃の量が検出される。
【0037】
更に、リアパネル4の吹出口6の近傍には、第2臭いセンサ22が設けられている。即ち、第2臭いセンサ22は脱臭部としての脱臭フィルタ17より空気流AFの下流側に配置されている。第2臭いセンサ22は、吹出口6の近傍において空気流AFと接触することで、吹出口6から吹き出される清浄後の空気に含まれる臭い物質等の量を検出する。
【0038】
即ち、本発明に係る空気清浄システムS1(空気清浄機1)は、通過する空気流AFの空気の臭いを脱臭する脱臭部(脱臭フィルタ17または脱臭機構)と、脱臭部より空気流AFの上流側に配置された第1臭いセンサと、脱臭部より空気流AFの下流側に配置された第2臭いセンサとを備えている。
【0039】
第1臭いセンサ21及び第2臭いセンサ22は、センサ表面への臭い分子の吸着に基づく酸化還元反応によって抵抗値が変化する半導体型のセンサであって、臭い分子の吸着量(即ち、臭いの程度)に応じて出力値が変化する。もちろん、埃センサ20、第1臭いセンサ21、第2臭いセンサ22として、他の検出原理に基づくセンサを用いても構わない。
【0040】
図3は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄システムS1の構成を示すブロック図、
図4は、空気清浄システムS1の制御部30に入出力される情報を説明する説明図である。図示するように、空気清浄システムS1としての空気清浄機1は制御部30を備えている。制御部30は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random access memory)等で構成される記憶部(図示せず)と、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成される演算部(図示せず)とを備える。演算部は、記憶部に記憶されたプログラムに基づき、空気清浄機1の構成要素を制御する。
【0041】
埃センサ20、第1臭いセンサ21、第2臭いセンサ22の出力がアナログ信号の場合、これらの信号は制御部30に設けられた図示しないA/D変換器でディジタル信号に変換されて演算部に入力される。もちろん、埃センサ20、第1臭いセンサ21、第2臭いセンサ22をモジュールとして構成し、このモジュールがディジタル信号を出力してもよく、この場合、これらの信号はバス(図示せず)を介して演算部に入力される。また、清浄機入力部8及び清浄機表示部7もバスを介して制御部30と接続されている。
演算部には
【0042】
制御部30は、利用者が清浄機入力部8を操作した内容を清浄機表示部7に表示し、埃センサ20で検出された埃の量や利用者が清浄機入力部8を介して入力した指示に基づき送風機18の送風量を制御し、また第1臭いセンサ21及び/または第2臭いセンサ22で検出された臭い物質等の量に基づいて清浄機表示部7に所定の情報を表示する。
【0043】
更に、
図4に示すように制御部30には清浄度検出部31が設けられている。清浄度検出部31は、例えば記憶部に構築されたLUT(Lookup table)を用いて、入力された臭い物質等の量を、臭いに関する空気清浄度(以降、単に「空気清浄度」と称することがある。)に変換する。なお清浄度検出部31を、専用のハードウェア(論理回路)で構成してもよいし、記憶部に線形あるいは非線形の関数を記憶しておき、当該関数を用いて演算部で空気清浄度を算出してもよい。
【0044】
清浄度検出部31は、第1臭いセンサ21の出力、即ち第1臭いセンサ21で計測された臭い物質等の量に基づいて空気清浄度(第1空気清浄度AC1)を検出し、更に第2臭いセンサ22の出力、即ち第2臭いセンサ22で計測された臭い物質等の量に基づいて空気清浄度(第2空気清浄度AC2)を検出する。なお空気清浄度は、臭い物質等の量が少ないほど大きな値として検出される。これは利用者(人)の心理として、空気清浄度の値が大きいほど、空気の質が改善されていると判断することが自然だと考えられるからである。
【0045】
そして清浄度検出部31は、検出した第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2を演算部に送出する。演算部は受け取った第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2との差分δを以下の[式1]に基づき算出する。
差分δ=第2空気清浄度AC2-第1空気清浄度AC1・・・式1
【0046】
ここで、第2空気清浄度AC2は、脱臭部としての脱臭フィルタ17を通過した後の空気流AFに基づく清浄後の空気清浄度であり、第1空気清浄度AC1は、脱臭フィルタ17を通過する前の空気流AFに基づく清浄前の空気清浄度である。また上述のように、空気清浄度は臭い物質等の量が少ないほど大きな値として検出されるから、空気清浄機1において脱臭機能が正常に機能している場合、差分δは正の値となる。そして差分δが正の値でかつ、その絶対値が大きいほど空気清浄機能の効果が大きいことが判定できる。
【0047】
ここで、制御部30は、利用者によって空気清浄機1が初めて使用される際に、清浄機表示部7を介して利用者に対して空気清浄の対象となる空間(ここでは、例えば空気清浄機1が設置される部屋)の広さ(例えば6畳間、8畳間といった部屋の面積をいい、天井高さは2.4mと想定されている。)に関する情報(以降、「空間情報」と称することがある。)の入力を求める。利用者が清浄機入力部8を操作して空間情報を設定すると、制御部30は記憶部に予め記憶された空気清浄機1の適用床面積(空気清浄機1が所定時間(ここでは30分)で清浄することができる面積)に基づいて、空気清浄の対象となる空間において空気清浄に要する時間(以降、「要清浄時間T1」と称することがある。)を算出する。
【0048】
具体的には制御部30は、例えば空気清浄機1の適用床面積が32畳で、空間情報が8畳であった場合、要清浄時間T1を例えば、
要清浄時間T1=
30[分]×8[空間情報]/32[適用床面積]=7.5[分]・・(式2)
のように算出する。そして算出した要清浄時間T1を「所定の期間」として記憶部に記憶する。即ち、清浄機入力部8は空間情報設定部として機能する。もちろん利用者は、清浄機入力部8を操作して、空間情報を適宜再入力することが可能である。
【0049】
制御部30は、空気清浄機1の運転が開始されると、第1通知条件としての「差分δが所定の値よりも大きい期間が所定の期間(ここでは要清浄時間T1)よりも長く継続する場合」に第1の通知を行う。なお「所定の値」は官能評価等の手法を用いて、予め適宜定めておくことができる。この第1の通知は「空気清浄機1において脱臭機能が正常に作用しているにもかかわらず、所定の期間(要清浄時間T1)が経過しても空気清浄の対象となる空間の空気清浄度が向上しない」旨を通知するものである。第1実施形態では、第1の通知は清浄機表示部7を介して利用者に対して通知される。
【0050】
なお、上述した第1通知条件は、「脱臭後の空気清浄度である第2空気清浄度AC2と脱臭前の空気清浄度である第1空気清浄度AC1とに基づいて空気清浄機能が発揮されている(即ち、脱臭部によって実際に脱臭が行われている)と判断される状態が、所定の期間経過した場合」と置き換えてもよい。
【0051】
なお(式2)では、要清浄時間T1を空気清浄機1が清浄の対象となる空間を清浄するのに要する時間として算出しているが、空気清浄機1が運転を開始すると空気清浄の対象となる空間の空気清浄度は徐々に向上していくから、上述の差分δは空気清浄機1が運転を開始した後、徐々に小さくなっていくのが通常である。そしてこの差分δの変化は時間とともに漸近的に収束すると考えられるから、差分δの変化が大きい時点、即ち、空気清浄機1が運転を開始した後、例えば「所定の期間」=要清浄時間T1/4のように設定してもよい。
【0052】
さて上述した例では、利用者が空間情報を入力する清浄機入力部8を空間情報設定部としているが、空間情報設定部を例えば空気清浄の対象となる空間の広さを検出する検出部(図示せず)で構成してもよい。具体的には、検出部を複数の方向に光パルスを出射する発光部と当該複数の方向に出射された光パルスの反射光を受光する受光部とで構成し、光パルスの出射時刻と、この光パルスの受光時刻との時間差(TOF(Time Of Flight))に基づき、出射した光線が部屋の壁等に当たり戻るまでに要する時間から距離を計測して空気清浄の対象となる空間の広さを推定(検出)してもよい。このようにすることで、利用者が空間情報を入力するのを簡略化することが可能となる。
【0053】
即ち、第1実施形態の空気清浄機1(空気清浄システムS1)は、空気清浄の対象となる空間に関する情報(空間情報)を入力あるいは検出する空間情報設定部を備え、空間に関する情報に基づき「所定の期間」を決定する。
【0054】
また制御部30は、第2通知条件としての「第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2がともに所定の値よりも低い場合」に第2の通知を行う。この第2の通知は「空気清浄機1において脱臭機能の効果が不十分である」旨を通知するものであり、具体的には、上述した脱臭フィルタ17による臭い分子の吸着能力が低下している、あるいは光触媒等を用いた脱臭機構の機能が十分に発揮されていない場合に通知される。即ち、第2の通知は、利用者に対して脱臭フィルタ17の交換時期、あるいは脱臭機構に異常がある旨を通知するものである。この第2の通知も清浄機表示部7を介して利用者に通知される。
【0055】
更に制御部30は、第3通知条件としての「第1空気清浄度AC1よりも第2空気清浄度AC2の方が低い場合」に第3の通知を行う。この第3の通知は「空気清浄機1を通過することで空気清浄度が低下している」旨を通知するものであり、具体的には、上述した脱臭フィルタ17に例えばカビ等が発生し異臭を発している、あるいは送風機18を構成するモータ等に異常があり異臭を発している等の場合に通知される。即ち、第3の通知は、利用者に対して脱臭フィルタ17あるいはそれより空気流AFの下流側に設けられた構成要素が異臭を発している原因となっている旨を通知するものである。この第3の通知も清浄機表示部7を介して利用者に通知される。
【0056】
更に制御部30は、第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2との少なくとも一方を利用者に対して通知する(以降、「第4の通知」と称することがある)。もちろん第4の通知には、第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2の両方が含まれていてもよい。なお以降の説明において、第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2とを区別しないときは、単に「空気清浄度AC」と称することがある。
【0057】
なお第4の通知は、上述した第1の通知~第3の通知と異なり、特定の条件を満たすときのみならず、空気清浄機1が運転を行っているときは常時、リアルタイムに清浄機表示部7を介して利用者に通知される。第4の通知によって空気清浄の対象となる空間の空気清浄度及び空気清浄機1による空気清浄の効果が見える化され、利用者は生活空間における空気清浄度を常に把握することが可能となる。
【0058】
さて、空気清浄機1が正常に機能していても空気清浄度が向上しないという観点において、上述した第1通知条件を空気清浄機1の塵芥除去機能に関する条件として拡張して適用することが可能である。即ち、集塵フィルタ16の上流側に埃センサ20を設け、集塵フィルタ16の下流側に第2の埃センサ(図示せず)を設ける前提において、第5通知条件として「塵芥除去後の空気清浄度である第4空気清浄度と、集塵除去前の空気清浄度である第3空気清浄度とに基づいて、空気清浄機能が発揮されている(即ち、集塵フィルタ16によって実際に集塵が行われている)と判断される状態が、所定の期間経過した場合」を定め、第5通知条件を満たす場合に第5の通知を行うようにしてもよい。
【0059】
即ち、当該第5の通知は、「空気清浄機1において集塵機能が正常に作用しているにもかかわらず、所定の期間(例えば、要清浄時間T1)が経過しても空気清浄の対象となる空間の空気清浄度が向上しない」旨を通知するものである。
【0060】
(第2実施形態)
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る空気清浄システムS2の構成を示すブロック図、
図5(b)は、空気清浄システムS2の第1変形例を示すブロック図である。第2実施形態において第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。上述した第1実施形態において、空気清浄システムS1は清浄機表示部7を備えており、利用者に対する第1の通知~第4の通知(第5の通知も含む)はいずれも清浄機表示部7を介して行われていた。第2実施形態においては、利用者に対する通知は情報端末50によって行われ、空気清浄システムS2を構成する空気清浄機1には清浄機表示部7は含まれていなくてもよい。もちろん、利用者に対する通知を清浄機表示部7及び情報端末50の両方に表示してもよい。
【0061】
図5(a)に示すように、第2実施形態に係る空気清浄システムS2を構成する空気清浄機1の制御部30には通信部35と清浄度検出部31とが含まれている。通信部35は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy。「Bluetooth」は登録商標)といった近距離無線規格に準じるデータ通信プロトコルを用いて情報端末50との間で双方向の通信を行う。ここで情報端末50は例えばスマートフォンやタブレット端末等を想定しているが、BLE規格に準拠していればパーソナルコンピュータ等の端末であっても構わない。また、通信部35は有線(例えば、USB(Universal Serial Bus))で情報端末50と双方向通信を行ってもよい。
【0062】
清浄度検出部31では上述したように第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2とが検出され、更に制御部30は、空気清浄機1の運転が開始されると、第2空気清浄度AC2と第1空気清浄度AC1との差分δが所定の値よりも大きい期間が要清浄時間T1よりも長く継続する場合に第1の通知を行う。この第1の通知は通信部35を介して情報端末50に送信され、情報端末50は第1の通知を端末表示部51に表示する。なお、端末表示部51に表示されるのと同時に(あるいは表示に先立ち)、情報端末50で他の報知(例えば、音やバイブレーションによる報知)を行ってもよい。即ち、利用者に対する第1の通知は端末表示部51を介して行われる。同様に第2の通知~第4の通知も端末表示部51を介して利用者に通知される。
【0063】
上述したように、第1の通知~第3の通知は特定の通知条件を満たす場合に生成されるが、他方、第4の通知を行うために、第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2とは、周期的(例えば30秒毎)に情報端末50に送信されている。即ち、第4の通知は空気清浄度ACに関する時系列データとして送信される。
【0064】
また、情報端末50の端末表示部51にはタッチパネル等の入力デバイス(図示せず)が重畳して配置されている。利用者は入力デバイスを操作することで、上述した(式2)に示す空間情報を情報端末50に入力し、情報端末50はその通信機能(ここではBLE)を用いて、空間情報を空気清浄機1に送信する。
【0065】
このように第2実施形態に係る空気清浄システムS2では、制御部30において第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2に基づき第1の通知~第4の通知を生成し、これらの通知を情報端末50に送信しているが、第1の通知~第4の通知を生成する基礎となる情報である第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2を、情報端末50に送信し、情報端末50が備える演算部(図示せず)において、各通知条件を満たす場合にこれらの通知を生成するように構成してもよい。
【0066】
図5(b)に示すように、空気清浄システムS2の第1変形例では、空気清浄システムS2を構成する空気清浄機1の制御部30には通信部35が含まれるが、清浄度検出部31は含まれていない。他方、情報端末50に清浄度検出部31が含まれている。ここで清浄度検出部31は、情報端末50において図示しない演算部や記憶部等で構成される。また制御部30は、空気清浄機1が運転を開始した際、通信部35を介して情報端末50にその旨を通知する。
【0067】
そして、制御部30は、通信部35を介して第1臭いセンサ21及び第2臭いセンサ22の出力(計測値)をディジタル化したデータを情報端末50に送信する。情報端末50は、受信したデータに基づき第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2を検出し、上述した第1通知条件、第2通知条件、第3通知条件を満たす場合に、第1の通知、第2の通知、第3の通知を生成し、これらの通知を端末表示部51に表示する。もちろん端末表示部51に、第4の通知である空気清浄度ACが適宜表示されてもよい。
【0068】
図6は、空気清浄システムS2の第2変形例を示すブロック図である。第2変形例の空気清浄システムS2は、空気清浄機1として第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bを含んでいる。もちろん空気清浄システムS2に含まれる空気清浄機1の数は2つに限定されるものではない。
【0069】
また、第2変形例では空気清浄機1として
図5(a)に示す構成を採用しているが、
図5(b)に示す構成を採用しても構わない。第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bは、いずれも制御部30に通信部35を備え、それぞれの通信部35は情報端末50と双方向に通信を行う。更に第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bは、いずれも空気清浄度ACを情報端末50に送信する。ここで第1空気清浄機1aと第2空気清浄機1bとは、BLE規格に基づいて固有の識別情報(予め制御部30の記憶部(図示せず)に格納されている)を周期的に情報端末50に送信しており、この固有の識別情報に基づいて、情報端末50は受信した空気清浄度ACがどの空気清浄機1(ここでは第1空気清浄機1aまたは第2空気清浄機1bのいずれか)から送信されたものであるかを識別する。
【0070】
また、空気清浄システムS2の利用者は、情報端末50を操作して、第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bが「グループ」を構成することを指定できる。利用者は、例えば空気清浄の対象となる空間(ここでは、例えば1つの部屋)に複数の空気清浄機1が設置されている場合に、これらの空気清浄機1をグループとして指定する。上述のように情報端末50には第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bに係る固有の識別情報が送信されており、情報端末50は端末表示部51に2つの空気清浄機1の固有の識別情報を表示する。利用者がこれら2つの固有の識別情報を選択することで、情報端末50は、第1空気清浄機1aと第2空気清浄機1bとが1つのグループを構成するものとして取り扱う。そして情報端末50は、第1空気清浄機1a及び第2空気清浄機1bの固有の識別情報に対して共通のグループIDを付し、グループIDを記憶部に格納する。
【0071】
情報端末50は、複数の空気清浄機1から受信した第1空気清浄度AC1及び第2空気清浄度AC2(あるいは、空気清浄機1から受信した通知)に基づき、空気清浄の対象となる空間において、空気清浄度を向上させる観点でいずれの空気清浄機1がボトルネック(障害)になっているのかを利用者に通知する。
【0072】
例えば、第1空気清浄機1aでは第1の通知が出力される第1通知条件を満たしており(あるいは、第1の通知を出力しており)、他方、第2空気清浄機1bでは第3の通知が出力される第3通知条件を満たしている(あるいは、第3の通知を出力している)ような場合、情報端末50には「第1空気清浄機1aで空気清浄機能が十分に発揮されているにも関わらず、空気清浄の対象となる空間の空気清浄度が改善されないのは、第2空気清浄機1bで異臭が発生しているためである。」の旨の表示が行われる。これによって利用者は、空気清浄システムS2を構成する空気清浄機1のうち、どの空気清浄機1が原因で空気清浄の対象となる空間の空気清浄度が改善されないのかを的確に把握できるようになる。
【0073】
更に第2変形例では、情報端末50はネットワーク60を介してサーバ61に接続されている。情報端末50は取得した空気清浄度ACを、これらのデータの生成主体としての空気清浄機1の固有の識別情報、グループIDとともにサーバ61に送信し、サーバ61は、グループID、固有の識別情報、第1空気清浄度AC1、第2空気清浄度AC2にタイムスタンプを付して図示しないデータベースに記憶する。上述したように空気清浄度AC(第4の通知)は時系列データを構成しており、データベースには空気清浄の対象となる空間の清浄度に関するデータが蓄積されていく。
【0074】
この蓄積された清浄度に関するデータに基づき、サーバ61は例えば特定の時間帯に第1空気清浄度AC1が低下していることや、比較的長い期間における特定の空気清浄機1が出力した第1空気清浄度AC1と第2空気清浄度AC2との変化に基づき、空気清浄の対象となる空間に対する将来の環境を予測し、利用者に対して例えば空気清浄機1に関するメンテナンス情報を提供することが可能となる。
【0075】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の概要を示す説明図、
図8は、本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の構成を示すブロック図である。上述した第1実施形態あるいは第2実施形態において、空気清浄システムS1,S2では第1臭いセンサ21、第2臭いセンサ22は空気清浄機1に内蔵されており、利用者はこれら2つの臭いセンサが搭載された空気清浄機1を購入することで空気清浄システムS1,S2が構成される。
【0076】
これに対して、第3実施形態の空気清浄システムS3は、第1臭いセンサ21(
図9参照)を備える第1臭いセンサユニット71、第2臭いセンサ22(
図9参照)を備える第2臭いセンサユニット72を構成要素に含んでいる。利用者は購入した空気清浄機1に対して、後付けで第1臭いセンサユニット71と第2臭いセンサユニット72とを設置して空気清浄システムS3を構成することができる。なお、第3実施形態において第1実施形態あるいは第2実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0077】
図7に示すように、空気清浄機1の吸込口5の近傍には第1臭いセンサユニット71が設置され、更に吹出口6の近傍には第2臭いセンサユニット72が設置されている。第1臭いセンサユニット71及び第2臭いセンサユニット72は、利用者によって空気流AFに直接的に晒される位置に設置されることとなる。第1臭いセンサユニット71及び第2臭いセンサユニット72は、例えばフックを用いることで吸込口5、吹出口6に設けられたフィン等に取り付けられる。即ち、第1臭いセンサユニット71と第2臭いセンサユニット72とは空気清浄機1に対して着脱可能に構成されている。
【0078】
図8に示すように空気清浄機1には脱臭部(脱臭フィルタ17)が設けられ、第1臭いセンサユニット71は脱臭フィルタ17よりも空気流AFの上流側に配置され、第2臭いセンサユニット72は脱臭フィルタ17よりも空気流AFの下流側に配置されている。これらのセンサユニットには第1臭いセンサ21、第2臭いセンサ22(
図9参照)が設けられ、各センサユニットは情報端末50に対してディジタル化された各臭いセンサの出力を送信する。
【0079】
ここで第1臭いセンサユニット71及び第2臭いセンサユニット72には図示しないスリットが設けられ、吸込口5から吸い込まれる空気流AF及び吹出口6から吹き出される空気流AFがこれらのセンサユニットに設けられた臭いセンサに到達するように構成されている。
【0080】
図9(a)は、本発明の第3実施形態に係る空気清浄システムS3の情報端末50を含めた構成を示すブロック図、
図9(b)は、空気清浄システムS3の変形例を示すブロック図である。なお、
図9においては臭いセンサユニットとして空気清浄機1の吹出口6に設置される第2臭いセンサユニット72の構成のみを示しているが、第1臭いセンサユニット71も第2臭いセンサユニット72と同等に構成されている。
【0081】
第2臭いセンサユニット72は、第2臭いセンサ22と制御部30とバッテリ74と風量センサ75とで構成される。バッテリ74は例えばボタン電池であって第2臭いセンサ22、制御部30、風量センサ75に電力を供給する。風量センサ75は例えば風量に応じて変位する可動片とこの可動片の位置を検出する光センサとを備えており、制御部30は検出された可動片の位置に基づき空気清浄機1が稼働しているか否かを判断する。
【0082】
制御部30は通信部35と清浄度検出部31とで構成される。清浄度検出部31では第2臭いセンサ22の出力に基づいて第2空気清浄度AC2が検出され、制御部30は通信部35を介して第2空気清浄度AC2を情報端末50に送信する。なお、制御部30は、風量センサ75の出力に基づいて、空気清浄機1が稼働していると判断した場合に第2空気清浄度AC2を情報端末50に送信する。
【0083】
第2臭いセンサユニット72の制御部30には図示しない記憶部が設けられ、この記憶部には第2臭いセンサユニット72についての固有の識別情報が格納されている。利用者は情報端末50を操作して、当該第2臭いセンサユニット72が空気清浄機1の吹出口6における空気流AFの臭いを検出するものであることを指定する。これによって、臭いを検出する部位(ここでは吹出口6)と固有の識別情報が紐づけられる。また同様に、第1臭いセンサユニット71は利用者によって吸込口5における空気流AFの臭いを検出するものであることを指定されたうえで、第1空気清浄度AC1と固有の識別情報とを情報端末50に送信する。
【0084】
情報端末50は、第1臭いセンサユニット71から受信した固有の識別情報と第1空気清浄度AC1、及び第2臭いセンサユニット72から受信した固有の識別情報と第2空気清浄度AC2に基づき、上述した第1の通知~第4の通知を生成し、端末表示部51に表示する。
【0085】
図9(b)に示す変形例では、第2臭いセンサユニット72には清浄度検出部31が設けられておらず、第2臭いセンサユニット72は、第2臭いセンサ22の出力をディジタル化して情報端末50に送信する。情報端末50では第2臭いセンサ22の出力に基づいて第2空気清浄度AC2を導出する。
【0086】
なお、第3実施形態においては、第1臭いセンサユニット71及び第2臭いセンサユニット72の両方が、空気清浄機1に対して着脱可能であるとして説明したが、例えば第2臭いセンサユニット72のみを着脱可能とし、第1臭いセンサユニット71を空気清浄機1に既設された第1臭いセンサ21(
図3参照)で代用してもよい。即ち、第1臭いセンサユニット71と第2臭いセンサユニット72とのうち、少なくとも1つを空気清浄機1に着脱可能に構成してもよい。
【0087】
以上、本発明に係る空気清浄システムS1,S2,S3について特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、これらはあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、空気清浄システムS1を構成する空気清浄機1については、集塵フィルタ16によって埃等を捕集する機能を合わせて備えるものとして説明したが、本発明に係る空気清浄システムは主に脱臭機能に着目したものであり、この観点においては、空気清浄機1を脱臭機に置き換えてもよいことは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る空気清浄システムは、空気清浄システムが有効に機能しているか否かを通知することで、室内環境の状態を利用者が的確に把握することが可能であることから、空気清浄機、脱臭機、換気装置あるいはこれらを複合化したシステムに対して好適に応用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 空気清浄機
1a 第1空気清浄機
2b 第2空気清浄機
5 吸込口
6 吹出口
7 清浄機表示部
8 清浄機入力部
17 脱臭フィルタ
21 第1臭いセンサ
22 第2臭いセンサ
30 制御部
31 清浄度検出部
35 通信部
50 情報端末
51 端末表示部
61 サーバ
71 第1臭いセンサユニット
72 第2臭いセンサユニット
75 風量センサ
S1,S2,S3 空気清浄システム
AF 空気流