(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240220BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
F25D23/02 304A
F25D23/02 304C
F25D23/02 306D
F25D23/08 H
(21)【出願番号】P 2019202141
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】岩上 栄生
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴志
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032104(JP,A)
【文献】特開平07-239176(JP,A)
【文献】実開昭49-062556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
一端側を軸に回転し、前記貯蔵室を開閉する断熱扉と、
前記冷蔵庫本体と、前記断熱扉の回転軸とを連結するヒンジ部材と、を備え、
前記断熱扉は、
扉枠部と、
前記扉枠部の上端を被覆する扉キャップ部と、を備え、
前記扉枠部は、
鋼板を曲げ加工して形成され、前記扉枠部の前面および前記上端を成す外装部を備え、
前記扉キャップ部は、
背壁から前方側に向けて凹設されるヒンジ部材収容空間と、
前記ヒンジ部材収容空間の背端における前記一端側の側縁から、前記側縁に対向する前記扉キャップ部の背方角部に掛けて延在する角側背壁と、
前記背方角部を介して前記角側背壁に連なると共に、前記扉枠部の前記上端と接触する平坦状の底縁を有する側壁と、を備え
、かつ、一体に構成され、
前記扉枠部の前記上端は、開口し、水平面状で平坦に形成され、
前記扉キャップ部は、前記開口に嵌まり込み、
前記扉キャップ部の前記側壁は、
前記扉キャップ部が前記開口に嵌まり込んだ際、外部に露出する上側壁と、
前記上側壁の下方側に形成されると共に、前記上側壁に対して幅方向内側に段状に窪む下側壁と、を備え、
前記平坦状の底縁は、前記上側壁の底縁に対応し、
前記角側背壁の底縁は、前記平坦状の底縁に同一水平面状で平坦に連なる、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ヒンジ部材収容空間における前記一端側の側面と前記扉キャップ部の前記側壁との間に空間が形成され、
前記空間内に前記扉キャップ部の補強材が充填される、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の貯蔵室を開閉するために設けられる断熱扉は、略直方体状に成形された扉枠部と、扉枠部内に充填される断熱材とを備える。また、扉枠部の端部(上端や下端)を被覆するため、扉キャップ部と呼ばれる長尺の樹脂部材が、扉枠部の端部側に装着される(例えば、下記特許文献1,2)。
【0003】
初めに
図5及び
図6を参照して、従来から一般的に用いられる扉キャップ部の一例を説明する。
図5は、従来の扉キャップ部60を備えた断熱扉40が開状態にある冷蔵庫の全体斜視図である。また、
図6は、従来の扉キャップ部60を背壁側から見た部分斜視図である。
【0004】
図5に示される断熱扉40は、一端40A側を軸に回転して貯蔵室を開閉するタイプの扉である。
図5に示されるように、扉キャップ部60は、断熱扉40に備わる扉枠部50に装着され、その上端50Uを被覆する。扉キャップ部60の一端40A側の位置には、扉キャップ部60の背壁60Rから前方側に凹設される凹状空間61が設けられる。
【0005】
この凹状空間61内に、断熱扉40の回転軸部14が配設される。回転軸部14は、冷蔵庫本体と断熱扉40とを繋ぐヒンジ部材12の一端側と連結する。断熱扉40が閉状態にある場合、ヒンジ部材12の全体が、凹状空間61に収容される(以下、前記凹状空間を「ヒンジ部材収容空間」と言う。)。
【0006】
図6(例えば、
図6(a))に示されるように、扉枠部50の上端50Uは開口する。扉キャップ部60は、扉枠部上端50Uの前記開口に嵌まり込む。ここで、扉キャップ部60の側壁60Sは、上方側に形成される上側壁60S1と、下方側に形成されると共に、上側壁60S1に対して幅方向内側に段状に窪む下側壁60S2とを備える。扉キャップ部60が扉枠部50に嵌まり込んだ際、扉キャップ部60の上側壁60S1の底縁60S3は、扉枠部50の側面上端50SUに接触する。これにより、扉キャップ部60の上側壁60S1は、扉枠部50の側面上端50SUに支持された状態で外部に露出する。
【0007】
これに対して、扉枠部上端50Uの背面上端50R1は、側面上端50SUより低い位置に形成される。その結果、扉キャップ部60が扉枠部50に嵌まり込んだ際、扉キャップ部60の背壁底縁60R1は、扉枠部50の背面上端50R1に接触し、前記背壁60Rの略全面が外部に露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-138094号公報
【文献】特開2011-106696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、
図5及び
図6に示されるように、ヒンジ部材収容空間61は、扉キャップ部60の側方一方側に大きく偏倚した状態で設けられている。そのため、ヒンジ部材収容空間61の背端側縁61R2が、扉キャップ部60の側壁60Sと背壁60Rとの交差部に対応する背方角部60Cと重畳する程度に、ヒンジ部材収容空間61と扉キャップ部60の側壁60Sとが近接する。
【0010】
これに対して、扉枠部50の前面50F、側面50S、及び側面50Sから背面50R側に折れ曲がる背側部50RSは、一枚の鋼板製プレートに施される曲げ加工によって形成される。ただし、前述のように、扉枠部50の背面上端50R1は、側面上端50SUより低い位置に形成されため、扉枠部50の側面上方域50S1は、扉枠部50の背面50Rと接続されない。
【0011】
仮に、側面上方域50S1を側面背端50S2まで延在させる場合、扉枠部50と、これに嵌まり込んだ扉キャップ部60とを緊密に接触させるため、側面背端50S2から背面50R側に折れ曲がり、ヒンジ部材収容空間61の背端側縁61R2に至る湾曲角部を設けなければならない。
【0012】
しかしながら、ヒンジ部材収容空間61は、扉キャップ部60の側方一方側に大きく偏倚しているため、湾曲角部は、幅狭となる。このような幅狭の部位を曲げ加工によって成形することは技術上困難である。従って、湾曲角部の成形を避けるため、
図6に示されるように、扉枠部50の側面背端50S2を含む部分に切欠領域を設け、扉キャップ部60の上側壁60S1から下方側に延設される延設部60S4が、この切欠領域を閉塞するために設けられる。
【0013】
一方、このような切欠領域の閉塞構造を用いる場合、扉キャップ部60の上側壁60S1に延設部60S4が設けられる関係で、その底縁60S3を平坦状に成形できない。前述のように、扉キャップ部60の上側壁60S1は、扉キャップ部60が扉枠部50に嵌まり込んだ際、外部に露出する面である。すなわち、底縁60S3の形状も外部に露出する。従って、切欠領域の閉塞構造が用いられると、非平坦な底縁60S3が視認される結果、断熱扉40の側方視の美観が損なわれるおそれがある。
【0014】
延設部60S4に起因する美観面の問題を低減するため、
図6(b)に示されるように、延設部60S4を短縮させることが考えられる。この場合、延設部60S4の短縮に伴い上側壁60S1の底縁60S3の高さ位置が低下することとなる。ただし、ヒンジ部材収容空間61の容積(高さ)を変更すると、ヒンジ部材12の収容に支障をきたすことが予想されるため、上側壁60S1の上縁60S5の位置を変えられない。従って、延設部60S4を短縮する場合、扉キャップ部60の上側壁60S1の高さが増え、外部に露出する扉キャップ部60の嵩の増加を招く。
【0015】
これとは異なり、良好な美観を担保するため、前記底縁60S3の平坦化を図りつつ、別部材を設けて扉枠部50と扉キャップ部60とを緊密に接触させることも考え得るが、別部材を使用する分、断熱扉40のコストアップをもたらす。
【0016】
これらの課題に鑑み、本発明は、製品コストの高騰を抑えながら、良好な美観が担保された断熱扉を備える冷蔵庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本発明に係る冷蔵庫は、
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
一端側を軸に回転し、前記貯蔵室を開閉する断熱扉と、
前記冷蔵庫本体と、前記断熱扉の回転軸とを連結するヒンジ部材と、を備え、
前記断熱扉は、
扉枠部と、
前記扉枠部の上端を被覆する扉キャップ部と、を備え、
前記扉枠部は、
鋼板を曲げ加工して形成され、前記扉枠部の前面および前記上端を成す外装部を備え、
前記扉キャップ部は、
背壁から前方側に向けて凹設されるヒンジ部材収容空間と、
前記ヒンジ部材収容空間の背端における前記一端側の側縁から、前記側縁に対向する前記扉キャップ部の背方角部に掛けて延在する角側背壁と、
前記背方角部を介して前記角側背壁に連なると共に、前記扉枠部の前記上端と接触する平坦状の底縁を有する側壁と、を備え、かつ、一体に構成され、
前記扉枠部の前記上端は、開口し、水平面状で平坦に形成され、
前記扉キャップ部は、前記開口に嵌まり込み、
前記扉キャップ部の前記側壁は、
前記扉キャップ部が前記開口に嵌まり込んだ際、外部に露出する上側壁と、
前記上側壁の下方側に形成されると共に、前記上側壁に対して幅方向内側に段状に窪む下側壁と、を備え、
前記平坦状の底縁は、前記上側壁の底縁に対応し、
前記角側背壁の底縁は、前記平坦状の底縁に同一水平面状で平坦に連なる、
ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る冷蔵庫において、
前記ヒンジ部材収容空間における前記一端側の側面と前記扉キャップ部の前記側壁との間に空間が形成され、
前記空間内に前記扉キャップ部の補強材が充填される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の扉キャップ部は、ヒンジ部材収容空間の背端における一端側の側縁から、この側縁に対向する扉キャップ部の背方角部に掛けて延在する角側背壁を備える。そのため、本発明によれば、扉枠部の側面と背面とに掛けて延在し、扉キャップ部の角側背壁と接触する角側背面を設けることができる結果、扉キャップ部の側壁の前端から背端に渡る底縁を平坦状に成形することができる。これにより、扉キャップ部が扉枠部に装着された際、一端側における双方の境界形状を平坦化できるため、良好な美観を担保できる。また、扉キャップ部の背壁構造の変更のみによって、扉キャップ部と扉枠部との平坦な境界形状が実現されている。そのため、本発明によれば、別部材を用いることなく、良好な美観を担保できるため、断熱扉のコストアップを抑制することができる。
【0021】
また、本発明において、ヒンジ部材収容空間の一端側側面と前記扉キャップ部の側壁との間に空間が形成され、この空間内に扉キャップ部の補強材が充填される。そのため、本発明によれば、断熱扉の強度をより高めることができる。
【0022】
更に、本発明において、扉キャップ部は、扉枠部上端の開口に嵌まり込むものであり、且つ扉キャップ部の側壁は、扉キャップ部が前記開口に嵌まり込んだ際、外部に露出する上側壁と、上側壁に対して幅方向内側に段状に窪む下側壁とを備え、上側壁における平坦状の底縁が扉枠部の上端と接触する。また、角側背壁の底縁は、上側壁の平坦底縁に連なる。そのため、本発明によれば、扉キャップ部が扉枠部に嵌まり込んだ際、扉枠部から外部に露出する扉キャップ部の高さを、例えば、扉キャップ部の上側壁の高さに抑えることができる。これにより、外部に露出する扉キャップ部が嵩高となることを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】本実施形態における扉キャップ部を背壁側から見た部分斜視図。
【
図4】本実施形態における扉キャップ部の部分背面図。
【
図5】従来の扉キャップ部を備える断熱扉が開状態にある冷蔵庫の全体斜視図。
【
図6】従来の扉キャップ部を背壁側から見た部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷蔵庫1を詳細に説明する。なお、本実施形態に係る冷蔵庫1を説明するにあたり、「上下」方向は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、「左右」方向は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、「前後」方向は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。また、断熱扉の各方向は、断熱扉が貯蔵室を閉じた状態を基準に規定される。すなわち、断熱扉の高さ方向(上下方向)は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、断熱扉の幅方向(左右方向)は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、断熱扉の奥行き方向(前後方向)は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。
【0025】
図1を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成を説明する。ここで、
図1は、冷蔵庫1の全体斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、冷蔵庫本体に相当する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱、合成樹脂製の内箱、外箱と内箱との間に形成された間隙内に充填される発泡ポリウレタン製の断熱材を備える。
【0026】
断熱箱体2の内部には、断熱仕切壁が配設され、冷蔵室3、冷凍室4が区画される。本実施形態に係る冷蔵庫1は、上から順に冷蔵室3、冷凍室4に対応する複数の貯蔵室を備える。ただし、冷蔵室3、冷凍室4の配置順はこれに限定されない。また、貯蔵室の数もこれに限定されず、断熱箱体2内に別途野菜室等が設けられてもよい。
【0027】
断熱箱体2に設けられる各貯蔵室の前面は開口する。これら各開口を開閉可能に塞ぐ断熱扉10,11が設けられる。まず、断熱扉10は、例えば冷蔵庫1の正面視右端に取り付けられる上下一対のヒンジ部材12,13によって、一端10A側を軸に回動可能に支持される。
【0028】
より詳しくは、ヒンジ部材12,13の一端は、断熱扉10の一端10A側の各軸部と連結する(ヒンジ部材12は、断熱扉10の上方側に配置され、一端10A側に偏倚する小筒体14に連結する。また、ヒンジ部材13は、断熱扉10の下方側に配置され、同じく一端10A側に偏倚する不図示の小筒体に連結する。)。これにより、断熱扉10は、冷蔵室3の前面側で回転動作し、前記開口を開閉する。なお、断熱扉11は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、冷凍室4の前面開口部を塞ぐ。
【0029】
断熱扉10は、扉枠部20と、扉枠部20内に充填される断熱材を備える。断熱扉10は、扉枠部20の上端20Uを被覆する部材である扉キャップ部30を更に備える。
図1に示されるように、本実施形態における扉キャップ部30は、上端20Uの全域を被覆する長尺の樹脂製部材である。ただし、扉キャップ部30の外形や構成材料は、これに限られない。
【0030】
また、扉キャップ部30は、回転軸に対応する小筒体14を内部に配設すると共に、断熱扉10が閉状態とされた際、ヒンジ部材12を収容するヒンジ部材収容空間31を備える。ヒンジ部材収容空間31は、扉キャップ部30の背壁30Rから前方側に向けて凹設される空間であり、一端10A側に偏倚する。
【0031】
次に、
図2を参照して、断熱扉10(主に扉枠部20の構造)を説明する。ここで、
図2は、断熱扉10の分解斜視図である。
図2に示されるように、断熱扉10の扉枠部20は、鋼板製の外装部20E、樹脂製の内装パネル部20R、内装パネル部20Rの外周に取り付けられる枠体20Pを備える。外装部20Eは、前面、両側面、底面を有すると共に、上面、背面は開口する部材である。内装パネル部20Rは、枠体20Pを介して、外装部20Eの開口背面域に嵌め込まれる。
【0032】
外装部20E、内装パネル部20R、枠体20Pによって、扉枠部20は、内部中空の箱状形態とされる。この箱内空間に、断熱材が充填される。なお、以下の説明において、外装部20Eの前面を扉枠部20の前面20Fと称する。同様に、外装部20Eの側面を扉枠部20の側面20Sと称し、外装部20Eの底面を扉枠部20の底面20Bと称する。更に、内装パネル部20Rを扉枠部20の背面20Rと称する。
【0033】
次に、
図3を参照して、扉キャップ部30の詳細を説明する。ここで、
図3は、本実施形態における扉キャップ部を背壁側から見た部分斜視図である。
図3に示されるように、本実施形態における扉枠部20の上端20Uは、開口部20U1を有する。扉キャップ部30は、この開口部20U1に嵌まり込む。
【0034】
ヒンジ部材収容空間31は、扉キャップ部30の背壁30Rと側壁30Sとの交差部に対応する背方角部30Cから所定距離離れて配置される。すなわち、ヒンジ部材収容空間31の背端31R1(背壁30R中の開口部分)における側縁31R2は、背方角部30Cと離間される。この離間領域に、ヒンジ部材収容空間31と背方角部30Cとに掛けて延在する角側背壁30R1が形成される。扉キャップ部30が扉枠部20に嵌まり込んだ際、前記角側背壁30R1の底縁30R2は、扉枠部20の背面上端(角側背面20R1)に接触し、これに支持される。
【0035】
次に、扉キャップ部30の側方一端側の側壁30Sは、上方側に位置する上側壁30S1と、下方側に位置する下側壁30S2とを備える。扉キャップ部30が扉枠部20に嵌まり込んだ際、上側壁30S1の底縁30S3が、扉枠部20の側面上端20SUと接触し、これに支持される。その結果、扉枠部20に嵌まり込んだ扉キャップ部30において、上側壁30S1は外部に露出する。
【0036】
前述のように、本実施形態における扉キャップ部30は、角側背壁30R1を備える。これにより、扉枠部20の側面20Sと背面20Rとの交差部に対応する背方角部20Cの上端から背面20R側に向けて、角側背壁30R1を支持する所定幅の角側背面20R1を設け、これを曲げ加工によって成形することができる。そのため、上側壁30S1の底縁30S3を、その前端から背端に渡り平坦状に成形しても、扉キャップ部30と扉枠部20とを緊密に接触させることができる。
【0037】
これにより、扉キャップ部30の側壁30S(上側壁30S1)と扉枠部20の側面上端20SUとの境界形状を平坦化でき、良好な美観を担保することができる。また、本実施形態に係る扉キャップ部30によれば、別部材を用いず前記境界形状を平坦化することができるため、製品のコストアップを抑制することができる。
【0038】
次に、下側壁30S2は、上側壁30S1に対して幅方向内側に段状に窪む。扉キャップ部30が扉枠部20に嵌まり込んだ際、下側壁30S2は、扉枠部20内に挿入され、扉枠部20の側面20Sに重畳される。その結果、下側壁30S2は、側面20Sに遮蔽されるため、外部から視認されない。
【0039】
このように、扉キャップ部30の側壁30Sを上側壁30S1と下側壁30S2とを含む二段構造とすることで、扉枠部20から外部に露出する扉キャップ部30の高さを、例えば、扉キャップ部30の上側壁30S1の高さに抑えることができる。これにより、外部に露出する扉キャップ部30が嵩高となることを避けることができる。ただし、側壁30Sの形態は、これに限られない。例えば、側壁30Sの形態を、上側壁30S1と下側壁30S2とに区分せず、扉キャップ部30の上方側から下方側に掛けて平坦な壁面形態としてもよい。
【0040】
次に、
図4を参照して、扉キャップ部30におけるヒンジ部材収容空間31及びその周辺構造を説明する。ここで、
図4は、扉キャップ部30の側方一方側(一端10A側)の状態を示す部分背面図である。
【0041】
前述のように、扉キャップ部30の背方角部30Cとヒンジ部材収容空間31の側縁31R2との間に、角側背壁30R1が設けられる。すなわち、
図4に示されるように、側方一方側に位置するヒンジ部材収容空間31の側面31Sと、この側面31Sに対向する扉キャップ部30の側壁30Sとは、所定距離隔てて配置される。
【0042】
本実施形態において、ヒンジ部材収容空間31の側面31Sと扉キャップ部30の側壁30Sとの間に形成される領域は中空空間とされ、この空間32に扉キャップ部30の補強材が充填される。このように、扉キャップ部30の側壁内側に空間32を設け、内部に補強材を充填することで、断熱扉10の強度を更に高めることができる。
【0043】
なお、補強材は、特に限定されるものではないが、例えば、冷蔵庫1の断熱箱体2内や断熱扉10内に充填されるものと同様の断熱材であってもよい。このような断熱材を空間32に充填すれば、補強材を別途用意する必要がない。その結果、断熱扉10の強度を高めつつ、製品のコストアップを抑制することができる。
【0044】
また、空間32の対応領域に配設される金型部位を含んだ扉キャップ部成形用金型を用いて、ヒンジ部材収容空間31の側面31Sと扉キャップ部30の側壁30Sとに囲まれる空間32が形成される。
図4に示されるように、空間32に相応の幅(例えば、符号W)が確保される分、幅広な金型部位を用いることができる。これにより、前記金型部位の強度を高めることができ、一つの金型でより多くの扉キャップ部30を成形することができる。
【0045】
以上、本発明に係る実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…冷蔵庫
10…断熱扉
10A…断熱扉の一端
12…ヒンジ部材
20…扉枠部
20U…扉枠部の上端
20R…扉枠部の背面
20S…扉枠部の側面
30…扉キャップ部
30R…扉キャップ部の背壁
30R1…扉キャップ部の角側背壁
30S…扉キャップ部の側壁
31…ヒンジ部材収容空間
32…補強材の充填空間