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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】牽引装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240220BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240220BHJP
   B60D 1/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B62B3/00 G
B60D1/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020156065
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049826
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 駿
(72)【発明者】
【氏名】望月 孝
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-040510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0042842(US,A1)
【文献】特開2008-296892(JP,A)
【文献】実公平04-044459(JP,Y2)
【文献】特開2000-211526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
B60D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力牽引車と、この動力牽引車により並列に配された複数の被牽引台車を同時に牽引するための牽引治具とを備えた牽引装置であって、
前記牽引治具が、前記動力牽引車の後部に取り付けられた治具本体と、この治具本体に設けられ各被牽引台車にそれぞれ係合する複数の係合部とを備えたものであり、
前記牽引治具は、前記動力牽引車に上下遊動可能に支持されたものであるとともに前記動力牽引車に左右に首振り動作可能な状態で枢支されたものであり、
前記牽引治具を上方に弾性付勢する役割と前記牽引治具を首振り動作範囲の略中央に自己復帰させるための役割の双方を兼ねた単一の圧縮コイルばねが設けられており、
前記圧縮コイルばねに、コイル軸心に略平行な上端側の突出部及び下端側の突出部が設けられたものであり、前記上端側の突出部を前記牽引治具に係止させるとともに前記下端側の突出部を前記動力牽引車に係止させている牽引装置。
【請求項2】
前記係合部は、左右方向に間隔をあけて前記治具本体に設けられたものであり、
各係合部は、前記治具本体に支持されて起立する基端プレートと、この基端プレートの下縁から後方延びる底プレートと、この底プレートの延出端から起立する先端プレートとを備えたものであり、
前記各係合部を対応する被牽引台車の端部フレームに下側から係合させ得るようにしている請求項1記載の牽引装置。
【請求項3】
前記先端プレートの起立寸法を、前記基端プレートの起立寸法よりも低い値に設定している請求項記載の牽引装置。
【請求項4】
前記底プレートの後方への延出寸法は、牽引することが想定される全ての被牽引台車の端部フレームの前後方向寸法よりも大きな値に設定されている請求項2又は3記載の牽引装置。
【請求項5】
前記先端プレートの上端部は、後傾させてある請求項2、3又は記載の牽引装置。
【請求項6】
前記治具本体は、前記係合部間に位置する中間部位に被牽引台車との干渉を防止するための凹陥部を備えたものである請求項1、2、3、4又は5記載の牽引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやホームセンター等で好適に使用可能な牽引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやホームセンター等における店舗倉庫内では、商品の出し入れのために例えば電動の牽引車(動力牽引車)が多く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。小型の牽引車は、狭い倉庫内で重宝されるが、一度に牽引できる籠車(被牽引台車)の数は限られてくる。これにより商品の出し入れのために倉庫内を往復する回数が増え、作業者への負担が大きくなっているのが現状である。
【0003】
すなわち、従来のものは、牽引車に直結することができる籠車は1台に限られているため、搬送の効率が良くない。効率を上げるために籠車を直列に連結し、先頭の籠車を牽引車で牽引することもできなくはないが、直列に連結された籠車は左右に転倒し易いという問題がある。そのため、従来のものでは、安全に効率よく商品等の出し入れを行うのが難しいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-23288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上説明した課題を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、動力牽引車と、この動力牽引車により並列に配された複数の被牽引台車を同時に牽引するための牽引治具とを備えた牽引装置であって、前記牽引治具が、前記動力牽引車の後部に取り付けられた治具本体と、この治具本体に設けられ各被牽引台車にそれぞれ係合する複数の係合部とを備えたものであり、前記牽引治具は、前記動力牽引車に上下遊動可能に支持されたものであるとともに前記動力牽引車に左右に首振り動作可能な状態で枢支されたものであり、前記牽引治具を上方に弾性付勢する役割と前記牽引治具を首振り動作範囲の略中央に自己復帰させるための役割の双方を兼ねた単一の圧縮コイルばねが設けられており、前記圧縮コイルばねに、コイル軸心に略平行な上端側の突出部及び下端側の突出部が設けられたものであり、前記上端側の突出部を前記牽引治具に係止させるとともに前記下端側の突出部を前記動力牽引車に係止させている牽引装置である。
【0007】
このようなものであれば、牽引治具の複数の係合部それぞれに被牽引台車を係合させることにより、1台の牽引車で並列に配した少なくとも2台の被牽引台車を牽引することができるので、被牽引台車の転倒を防止又は抑制しつつ効率よく搬送作業を行うことができる。
【0008】
請求項の発明によれば、牽引治具が前記動力牽引車に上下遊動可能に支持されたものであり、この牽引治具を上方に弾性付勢する付勢手段を備えているので、床面の凹凸による被牽引台車への反動を抑え、牽引装置及び被牽引台車の移動をスムーズに行うことができる。
【0009】
請求項の発明によれば、前記係合部が左右方向に間隔をあけて前記治具本体に設けられ、各係合部が、前記治具本体に支持されて起立する基端プレートと、この基端プレートの下縁から後方延びる底プレートと、この底プレートの延出端から起立する先端プレートとを備えたものであり、前記各係合部を対応する被牽引台車の端部フレームに下側から係合させ得るようにしているので、動力牽引車の傾動動作のみにより係合部と端部フレームとの係脱を容易に行うことができる。
【0010】
請求項の発明によれば、前記先端プレートの起立寸法を、前記基端プレートの起立寸法よりも低い値に設定しているので、係合部を被牽引台車の端部フレームに係合させる作業を行う際に、端部フレームを係合部にスムーズに嵌合させやすく、しかも端部フレームが係合部から外れにくい構造を実現できる。
【0011】
請求項の発明によれば、前記底プレートの後方への延出寸法を、牽引することが想定される全ての被牽引台車の端部フレームの前後方向寸法よりも大きな値に設定しているので、どのような被牽引台車も1台の牽引装置により牽引することができる。
【0012】
請求項の発明によれば、牽引治具の係合部の先端プレートの上端部を後傾させてあるので、この係合部を被牽引台車の端部フレームにスムーズに係合させることができる。
【0013】
請求項の発明によれば、前記治具本体が、前記係合部間に位置する中間部位に被牽引台車との干渉を防止するための凹陥部を備えているので、複数の被牽引台車を牽引装置に接続した状態で進行方向を変える(曲がる)際に、被牽引台車の端部を逃がすためのクリアランスを凹陥部の後方に確保できる。
【0014】
請求項の発明によれば、前記牽引治具が前記動力牽引車に左右に首振り動作可能な状態で枢支されたものであり、この牽引治具を首振り動作範囲の略中央に自己復帰させるための弾性付勢手段を備えているので、進行方向を変えた(曲がった)後に被牽引台車の向きをスムーズに前方に戻すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1台の牽引車で並列に配した少なくとも2台の被牽引台車を牽引することができるので、被牽引台車の転倒を防止又は抑制しつつ効率よく搬送作業を行うことができる牽引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る牽引装置を示す斜視図。
図2】同実施形態に係る牽引装置及び被牽引台車の要部を示す図。
図3】同実施形態に係る牽引治具の図2におけるA矢視図。
図4】同実施形態に係る牽引治具の図2におけるB矢視図。
図5】同実施形態に係る圧縮コイルばねを示す斜視図。
図6】同実施形態に係る牽引装置により被牽引台車を牽引する手順を示す図。
図7】同実施形態に係る牽引装置により被牽引台車を牽引する手順を示す図。
図8】同実施形態に係る牽引装置により被牽引台車を牽引する手順を示す図。
図9】同実施形態に係る牽引装置及び被牽引台車の係合態様を示す図。
図10】同実施形態に係る牽引装置及び被牽引台車の係合態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1図10を参照して説明する。
【0018】
この実施形態の牽引装置1は、図1及び図2に示すように、動力牽引車3と、この動力牽引車3により並列に配された複数の被牽引台車2を同時に牽引するための牽引治具4とを備えたものである。
【0019】
動力牽引車3は、例えば電動式のもので、図1に示すように、ハンドル31およびそのハンドル31に装備されたアクセル311やブレーキ312等を操作することによって、任意の箇所に自走させることができるようになっている。具体的には、この実施形態では、例えば、動力牽引車3として、電動アシスト牽引車(商品名:パワフルバディ)の一部を改造したものを使用している。すなわち、図1及び図2に示すように、この動力牽引車3の後端には、既存の商品と異なった治具取付用のフレーム32が設けてあり、このフレーム32に上取付板33と、下取付板34とが平行に固設されている。上取付板33及び下取付板34には、それぞれボルト挿通孔33a、34aが軸心を一致させて形成されている。
【0020】
被牽引台車2は、例えば、六輪台車形式のものであり、図2及び図6図8に示すように、前後両端に配された端部フレーム61に左右一対のキャスタ611がそれぞれ装着されているとともに、前後中央位置に配された図示しない中央フレーム62に左右一対の中央車輪621が装着されている。端部フレーム61の上面における左右方向中央には、ガード枠8の基端部を嵌装させるための支持パイプ612がそれぞれ立設してあり、前後の支持パイプ612間に連結フレーム63が架設されている。そして、この連結フレーム63によって、前後の端部フレーム61と中央フレーム62とが連結され一体化されてベース6が構成されている。このベース6上には荷物Nを積載するための天板7が配されている。なお、この実施形態の被牽引台車2は、いわゆる六輪てんびん台車と称されるタイプのものであり、水平な床面Fでは荷重のほとんどが中央フレーム62に装着された中央車輪621に集中するように構成されている。また、613は、緩衝材製のバンパーである。
【0021】
牽引治具4は、図1図4図9及び図10に示すように、動力牽引車3の後部に取り付けられた治具本体41と、この治具本体41に設けられ各被牽引台車2にそれぞれ係合する複数の係合部42とを備えたものである。詳述すれば、この牽引治具4は、動力牽引車3に上下遊動可能に支持されたものであり、この牽引治具4を上方に弾性付勢する付勢手段たる圧縮コイルばね5を備えている。
【0022】
治具本体41は、図1図4図9及び図10に示すように、左右に延びる角柱状のもので、左右方向中央部が取付機構43を介して動力牽引車3の治具取付用のフレーム32に取り付けられている。取付機構43は、図2図9及び図10に示すように、前述した動力牽引車3の上取付板33と下取付板34との間に連結ボルト434及びナット435を用いて取り付けられた牽引スリーブ431と、この牽引スリーブ431の外周にスライド自在に外嵌された可動ブッシュ432と、牽引スリーブ431の下端部外周に外嵌され下取付板34に固設された静止ブッシュ433とを具備してなり、可動ブッシュ432が治具本体41の左右方向中央に突設された連結ブラケット411の先端部に固設されている。また、可動ブッシュ432と静止ブッシュ433とは、スプリングリテーナとしての役割をも担っており、牽引スリーブ431の外周に巻装して可動ブッシュ432と静止ブッシュ433との間に介在させた圧縮コイルばね5の上下両端部を保持している。
【0023】
しかして、この牽引治具4は、かかる取付機構43により動力牽引車3に左右に首振り動作可能に枢支されたものであり、この牽引治具4を首振り動作範囲の略中央に自己復帰させるための弾性付勢手段を備えている。弾性付勢手段は、圧縮コイルばね5とは独立したねじりコイルばね等であってもよいが、この実施形態では、図5に示すように、圧縮コイルばね5の両端にコイル軸心に略平行な突出部51、52を設けておき、上端側の突出部51を連結ブラケット411に掛止させるとともに、下端側の突出部52を下取付板34に掛止させることによって、この圧縮コイルばね5に前述の弾性付勢手段としての役割をも兼ねさせている。なお、この治具本体41は、図1図3図4図7及び図8に示すように、係合部42間に位置する中間部位に被牽引台車2との干渉を防止するための凹陥部41aを備えている。
【0024】
以上説明した治具本体41には、左右方向に間隔をあけて一対の係合部42が設けられている。各係合部42は、図1図4図9及び図10に示すように、治具本体41に支持されて起立する基端プレート421と、この基端プレート421の下縁から後方に延びる底プレート422と、この底プレート422の延出端から起立する先端プレート423とを備えたチャンネル状のものであり、各係合部42を対応する被牽引台車2の端部フレーム61に下側から係合させ得るようにしている。先端プレート423の起立寸法h2は、基端プレート421の起立寸法h1よりも低い値に設定してある。また、底プレート422の後方への延出寸法d1は、牽引することが想定される全ての被牽引台車2の端部フレーム61の前後方向寸法d2よりも大きな値に設定されている。なお、先端プレート423の上端部423aは後傾させてあり、また、基端プレート421の上端部421aは前傾させてある。
【0025】
次いで、この牽引装置1により2台の被牽引台車2を牽引する手順について説明する。まず、図6に示すように、バラバラに存在する被牽引台車2を図7に示すように並列に並べ、しかる後に、牽引装置1の牽引治具4の2つの係合部42を2台の被牽引台車2の端部フレーム61に係合させる。すなわち、並列に並べた被牽引台車2の前方に牽引治具4を備えた動力牽引車3を対面させ、動力牽引車3を後退させる。その際に、図9に示すように動力牽引車3を牽引治具4が床面Fに接近する方向に傾斜させた姿勢で後退させると、同図の想像線に示すように、その牽引治具4の対をなす係合部42を対応する被牽引台車2の端部フレーム61の下に潜り込ませることができる。この状態から動力牽引車3を初期の姿勢に傾動させると、図8及び図10に示すように、対をなす係合部42が上動して対応する被牽引台車2の端部フレーム61にそれぞれ下側から係合することになり、牽引動作を行う準備が完了する。この準備完了状態では、圧縮コイルばね5が適宜圧縮され、この付勢力によって被牽引台車2の前側のキャスタ611が床面Fから若干浮き上がることもある。この段階から動力牽引車3を前進させると、その前進力が牽引治具4を介して両被牽引台車2に伝達され、これら被牽引台車2が並列姿勢のままで動力牽引車3に追従することになる。
【0026】
ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る牽引装置1を示す斜視図である。図2は、同実施形態に係る牽引装置1の要部の中央縦断面及び被牽引台車2の要部の側面を並べて示す拡大図である。図3は、同実施形態に係る牽引治具4を図2における矢印A方向から見た状態の図(A矢視図)である。図4は、同実施形態に係る牽引治具4を図2における矢印B方向から見た状態の図(B矢視図)である。図5は、同実施形態に係る圧縮コイルばね5を示す斜視図である。図6は、同実施形態に係る治具取付用のフレーム32、牽引治具4及び2台の被牽引台車2の牽引操作開始前の状態を示す斜視図である。図7は、牽引治具4に2台の被牽引台車2を係合させる直前の状態を示す斜視図である。図8は、牽引治具4に2台の被牽引台車2を係合させた状態を示す斜視図である。図6図8では、治具取付用のフレーム32を途中で破断し、動力牽引車3のその他の部分は図示を省略している。図9は、牽引治具4に2台の被牽引台車2を係合させる直前の状態における図2に対応する図である。図10は、牽引治具4に2台の被牽引台車2を係合させた状態における図2に対応する図である。
【0027】
このような構成のものであれば、1台の動力牽引車3を利用して並列に配した2台の被牽引台車を牽引することができるので、被牽引台車2の転倒を防止又は抑制しつつ効率よく搬送作業を行うことができる。
【0028】
また、圧縮コイルばね5により牽引治具4、及び被牽引台車2の前端部を上方に付勢することができるようにしているので、床面Fの凹凸による被牽引台車2への反動を抑え、牽引装置1及び被牽引台車2の移動をスムーズに行うことができる。
【0029】
さらに、各係合部42が、治具本体41に支持されて起立する基端プレート421と、この基端プレート421の下縁から後方延びる底プレート422と、この底プレート422の延出端から起立する先端プレート423とを備えたものであり、各係合部42を対応する被牽引台車2の端部フレーム61に下側から係合させ得るようにしているので、動力牽引車3の傾動動作のみにより係合部42と端部フレーム61との係脱を行うことができる。
【0030】
特に、本実施形態では、牽引治具4の係合部42の先端プレート423の起立寸法h2を基端プレート421の起立寸法h1よりも低い値に設定しているので、この係合部42を被牽引台車2の端部フレーム61に係合させる作業を行う際に、端部フレーム61を係合部42にスムーズに嵌合させやすく、しかも端部フレーム61が係合部42から外れにくい構造を実現できる。
【0031】
また、底プレート422の後方への延出寸法d1を、牽引装置1により牽引されることが想定される全ての被牽引台車2の端部フレーム61の前後方向寸法d2よりも大きな値に設定しているので、どのような被牽引台車2も本実施形態の牽引装置1により牽引することができる。
【0032】
加えて、牽引治具4の係合部42の先端プレート423の上端部423aを後傾させてあるので、この係合部42を被牽引台車2の端部フレーム61にスムーズに係合させることができる。
【0033】
また、治具本体41が、係合部42間に位置する中間部位に被牽引台車2との干渉を防止するための凹陥部41aを備えているので、2台の被牽引台車2を牽引装置1に接続した状態で進行方向を変える(曲がる)際に、被牽引台車2の端部を逃がすためのクリアランスが凹陥部41aの後方に確保される。
【0034】
そして、両端にコイル軸心に略平行な突出部51、52を有する圧縮コイルばね5を利用して牽引治具4を首振り動作範囲の略中央に自己復帰させるための弾性付勢手段を形成しているので、進行方向を変えた(曲がった)後に被牽引台車2の向きをスムーズに前方に戻すことができる。
【0035】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0036】
例えば、動力牽引車により並列に配された3台以上の被牽引台車を同時に牽引できるようにしてもよい。
【0037】
また、係合部と被牽引台車との係合構造は、上述した実施形態のもののような下方から嵌合させるものに限らず種々変更が可能である。
【0039】
加えて、動力牽引車も、電動式のものに限らず、内燃機関を備えたものであってもよいが、屋内で作業することが多い場合には電動式のものが適している。
【0040】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0041】
1…牽引装置
2…被牽引台車
3…動力牽引車
4…牽引治具
41…治具本体
41a…凹陥部
42…係合部
421…基端プレート
422…底プレート
433…先端プレート
433a…先端プレートの上端部
5…付勢手段(圧縮コイルばね)
61…被牽引台車の端部フレーム
h1…基端プレートの起立寸法
h2…先端プレートの起立寸法
d1…底プレートの後方への延出寸法
d2…被牽引台車の端部フレームの前後方向寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10