(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】仕切体
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20240220BHJP
B65D 5/495 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D25/04 Z
B65D5/495
(21)【出願番号】P 2020198567
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2022-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502215476
【氏名又は名称】豊田段ボール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【氏名又は名称】野村 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 智康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-331160(JP,A)
【文献】特開2004-359282(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103538771(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/04
B65D 5/495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に舌片状の係合片が延設形成された第1仕切板と、
前記係合片が挿通される挿通用縦スリットが板面に形成された第2仕切板と、
前記係合片が前記挿通用縦スリットに挿通された状態において、前記第2仕切板より外方側の前記係合片に形成された係止用縦スリットと、
前記係止用縦スリットに挿通され、前記係合片を前記第2仕切板に対し抜け止め状態とする、かんぬき状の係止板と、を備え、
前記係止板は、略矩形状の薄板であって、
前記係止板の上縁(以下、「第1上縁」という。)は、先端部から後端部に向かって略水平に延び、後端部には、上方に向かって突状に形成された第1上縁凸部を有し、前記第1上縁凸部の後端側に前記係止用縦スリットの上縁(以下、「第2上縁」という。)が嵌り込むように、切欠き(以下、「第1上縁切欠き」という。)が設けられ
、
前記第1上縁の前記第1上縁凸部の先端側には、前記係止板の後端部を後端側下方に押圧しやすくなる窪みを有しており、
前記第1上縁に対向する下縁は、前記係止板が前記係止用縦スリットに順次挿通されて前記第1上縁切欠きに前記第2上縁が嵌り込むまで挿通可能な位置に形成されているとともに、前記窪みが押圧され前記第1上縁切欠きが前記第2上縁から離脱するのを阻害しない位置に形成されている、
仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を梱包や収納する際に用いる仕切体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の仕切体として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。これによれば、組立て作業性に優れ、抜け止め保持力も強くすることができる。
【0003】
しかし、組立てに要する時間については、さらなる短縮が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仕切体の組立てに要する時間を短縮することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
先端部に舌片状の係合片が延設形成された第1仕切板と、
前記係合片が挿通される挿通用縦スリットが板面に形成された第2仕切板と、
前記係合片が前記挿通用縦スリットに挿通された状態において、前記第2仕切板より外方側の前記係合片に形成された係止用縦スリットと、
前記係止用縦スリットに挿通され、前記係合片を前記第2仕切板に対し抜け止め状態とする、かんぬき状の係止板と、を備え、
前記係止板は、略矩形状の薄板であって、
前記係止板の上縁(以下、「第1上縁」という。)は、先端部から後端部に向かって略水平に延び、後端部には、上方に向かって突状に形成された第1上縁凸部を有し、前記第1上縁凸部の後端側に前記係止用縦スリットの上縁(以下、「第2上縁」という。)が嵌り込むように、切欠き(以下、「第1上縁切欠き」という。)が設けられたことを要旨とする。
【0007】
また、本発明に係る仕切体は、
前記第1上縁の前記第1上縁凸部先端側には、前記係止板の後端部を後端側下方に押圧しやすくなる窪みを有しており、
前記第1上縁に対向する下縁は、前記係止板が前記係止用縦スリットに順次挿通されて前記第1上縁切欠きに前記第2上縁が嵌り込むまで挿通可能な位置に形成されているとともに、前記窪みが押圧され前記第1上縁切欠きが前記第2上縁から離脱するのを阻害しない位置に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
従来の仕切体と比較して、組立てに要する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態である仕切体を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の仕切体を具現化した実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、もちろんこれだけに限定されるものではない。なお、周知の技術に関しては、詳細な説明を省略する。また、本明細書中で特に断りなく仕切体について上方向又は下方向という場合、
図1を正面視した状態においての上下方向を指すものとする。
【0011】
(実施形態)
まず、実施形態である仕切体1の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は本実施形態の仕切体を示した説明図である。
図2は第1仕切板を示した説明図である。
図3は第2仕切板を示した説明図である。
図4(a)は係止板の全体を示した説明図である。
図4(b)は係止板の後端部を示した説明図である。
【0012】
図1に示すように、仕切体1は、複数(本実施形態では10個)の第1仕切板10、二つの第2仕切板20、二つの係止板30で構成される。仕切体1は、第1仕切板10と、第2仕切板20とを互いに直角に交差連結して構成される。第1仕切板10、第2仕切板20及び係止板30は、帯板状部材であり、ポリプロピレンを押出発泡成形した独立気泡構造の薄板である。
【0013】
本実施形態では、上記の材質としたが、プラスチック段ボールと称される樹脂製の段ボール構造板としてもよいし、段ボールでもよく、可撓性の薄板でもよく、それらを混在させてもよい。
【0014】
図2に示すように、第1仕切板10は、両先端部に舌片状の係合片11、11が延設形成されている。
【0015】
図3に示すように、第2仕切板20には、係合片11が挿通される複数(本実施形態では10個)の挿通用縦スリット21が板面に形成されている。挿通用縦スリット21は、縦長のスリットである。
挿通用縦スリット21は、係合片11が挿通可能であればよいものであるが、できるだけ、クリアランスは小さいほうが望ましい。
【0016】
係合片11には、係合片11が挿通用縦スリット21に挿通された状態において、第2仕切板20より外方側の部分に係止用縦スリット12が形成されている。係止用縦スリット12は、縦長のスリットである。
【0017】
係止板30は、係止用縦スリット12、12・・・にかんぬき状に挿通され、係合片11を第2仕切板20に対し抜け止め状態とするものである。
【0018】
図4(a)に示すように、係止板30は、略矩形状で可撓性を有する薄板である。
係止板30の上縁(以下、「第1上縁31」という。)は、先端部30aから後端部30bに向かって略水平に延び、
図4(b)に示すように、後端部30bには、上方に向かって突状に形成された第1上縁凸部32と、第1上縁凸部32の後端側に係止用縦スリット12の上縁(以下、「第2上縁121」という。)が嵌り込む切欠き(以下、「第1上縁切欠き33」という。)とが設けられている。
【0019】
また、第1上縁31の第1上縁凸部32先端側には、係止板30の後端部30bを後端側下方(図中矢印F方向)に押圧しやすくなるように設けられた窪み34を有している。
【0020】
第1上縁31に対向する下縁35は、係止板30が係止用縦スリット12に順次挿通されて第1上縁切欠き33に第2上縁121が嵌り込むまで挿通可能な位置に形成されている。すなわち、第1上縁31に対向する下縁35は、ほとんどの位置において、第1上縁31から係止用縦スリット12の縦方向長さと同じか短く離間して形成されている。
【0021】
しかし、それは、係止板30のどの位置においても、第1上縁31と下縁35との距離が係止用縦スリット12の縦方向の長さと同じか短くなっているということを意味するものではない。第1仕切板10、係止板30は、可撓性を有するため、第1上縁31と下縁35との距離が係止用縦スリット12の縦方向の長さよりも多少長くなっていても、挿通できる場合もあるからである。
【0022】
また、下縁35は、窪み34が押圧されて第2上縁121から第1上縁切欠き33が離脱するときに、それを阻害しない位置に形成されている
これにより、作業者が指で窪み34を押圧すると、第1上縁切欠き33が第2上縁121から離脱し、係止板30を係止用縦スリット12から抜き取ることができる。
【0023】
また、下縁35を上記のようにしようとすると、第1上縁凸部32と第1上縁切欠き33に対向する下縁35は、必然的に上方に凹む凹部となるが、本実施形態では、この凹部の後端側に、下方に向かう斜辺36を有している。これにより、第1上縁切欠き33に第2上縁121が嵌り込んだときに、係止板30の後端部30bを下支えし、係止板30の後端部30bが下方に移動しにくいようになっている。
【0024】
本実施形態では、係止板30をこのような形状としたが、
図5に示す係止板40のような形状としてもよい。
図5は係止板の変形例を示した説明図である。係止板40も係止用縦スリット12、12・・・にかんぬき状に挿通され、係合片11を第2仕切板20に対し抜け止め状態とするものである。
【0025】
図5に示すように、係止板40は、略矩形状で可撓性を有する薄板である。
係止板40の上縁(第1上縁41)は、先端部40aから後端部40bに向かって略水平に延び、後端部40bには、係止板30と同様に、上方に向かって突状に形成された第1上縁凸部32と、第1上縁凸部32の後端側に係止用縦スリット12の上縁(第2上縁121)が嵌り込む切欠き(第1上縁切欠き33)とが設けられている。
【0026】
第1上縁41に対向する下縁45は、係止板40が係止用縦スリット12に順次挿通されて第1上縁切欠き33に第2上縁121が嵌り込むまで挿通可能な位置に形成されている。
【0027】
係止板40は、係止板40の後端部40bを後端側下方に押圧するための窪み34を有していない。また、窪み34に相当する位置を後端側下方に押圧したとしても、第2上縁121から第1上縁切欠き33が離脱しようとするときに、下縁35がそれを阻害しない位置に形成されていない。このため、係止板40は脱着ができない。
【0028】
また、
図6に示す係止板50のような形状としてもよい。
図6は係止板の変形例を示した説明図である。
係止板50の第1上縁51は、先端部50aから後端部50bに向かって、ほぼ水平であるが若干上方に向かって傾斜して延び、後端部50bには、係止板30と同様の第1上縁凸部32と、第1上縁切欠き33とが設けられている。このため、先端部50a側の係止板50と係止用縦スリット12とのクリアランスは、係止板30のときより大きくなっている。
【0029】
また、第1上縁51の第1上縁凸部32先端側に、係止板50の後端部50bを後端側下方に押圧するために形成された窪み34を有しているのは、係止板30と同様である。
【0030】
第1上縁51に対向する下縁55は、係止板50が係止用縦スリット12に順次挿通されて第1上縁切欠き33に第2上縁121が嵌り込むまで挿通可能な位置に形成されている。また、下縁55は、先端部50aから後端部50bに向かって、略水平に延び、中間点やや後方の折れ点57から僅かに斜め上方に向かって延びている。
【0031】
これにより、係止板50を係止用縦スリット12に挿通しようとするときは、先端部50aを上方に持ち上げながら行うと第1上縁凸部32が下方に移動し、挿通しやすくなる。最奥まで挿通したら、先端部50aを下げると第1上縁凸部32が上方に移動し、第1上縁切欠き33に第2上縁121が嵌り込む。折れ点57を支点として先端部50a側と後端部50b側とを比較すると、先端部50a側のほうが重いため、この状態が保持される。係止板50を抜き取る時は、作業者は、先端部50aを上方に持ち上げながら、係止板30と同様、指で窪み34を押圧すれば、係止板50を係止用縦スリット12から抜き取ることができる。
【0032】
本仕切体1の構成によれば、組立て時間を大幅に短縮することができる。特に仕切体1のように第1仕切板10の数が多いときに効果を発揮する。また、第1仕切板10を第2仕切板20から抜けないようにする抜け止め保持力が強い。
また、保形性に優れ、仕切体1の一番外側の対角が近づく方向に偏平に押しつぶすように折り畳んでも、第1仕切板10と第2仕切板20とが外れない。
また、係止板30、係止板50を採用した場合、分解も容易である。
【0033】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
たとえば、仕切体を有底としてもよい。また、底板の一部を折り起こして第2仕切板としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 仕切体(第1の実施形態)
10 第1仕切板 11 係合片 12 係止用縦スリット
20 第2仕切板 21 挿通用縦スリット
30 係止板 30a 先端部 30b 後端部
31 第1上縁 32 第1上縁凸部 33 第1上縁切欠き33
34 窪み 35 下縁
40 係止板 40a 先端部 40b 後端部
41 第1上縁 45 下縁
50 係止板 50a 先端部 50b 後端部
51 第1上縁 55 下縁
121 第2上縁