IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイエイアイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】アクチュエータ、及びロボット
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20240220BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20240220BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240220BHJP
   H02G 11/00 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
F16H25/24 A
F16H25/24 H
F16H25/22 K
B25J19/00 A
H02G11/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020218434
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103668
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
(72)【発明者】
【氏名】小山 敏司
(72)【発明者】
【氏名】岩梨 健人
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259574(JP,A)
【文献】特開2017-101721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
F16H 25/22
B25J 19/00
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの出力軸の回転運動が伝達されて回転運動するボールねじ軸と、
前記ボールねじ軸に設けられたボールねじナットと、
前記ボールねじナットが取り付けられた第1保持部と、前記第1保持部に重なった第2保持部とを有し、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するスライド部と、
前記第1保持部に一端が保持された管状の第1ロッドと、
前記第2保持部に一端が保持された管状の第2ロッドと、
前記第1ロッドと前記第2ロッドとをそれぞれの他端で連結する先端ブラケットと、を備え、
前記ボールねじ軸は、前記第1保持部を貫通し、一端が前記第1ロッドの内周面に回転可能に支持されている、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2保持部には、前記第2ロッドに形成された中空部に接続する貫通孔が形成されており、
前記先端ブラケットには、前記第2ロッドに形成された中空部に接続する開口が形成されており、
前記第2保持部から前記第2ロッドを通り、前記先端ブラケットを貫く、配線を通すための通路が形成されている、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記スライド部には、前記通路を通る配線の中間部を固定するための配線固定具が設けられている、
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2保持部に一端が保持された管状の第3ロッドをさらに備え、
前記スライド部が直線運動する方向からみた場合、前記第1ロッド、前記第2ロッド、及び前記第3ロッドは、それぞれの中心が二等辺三角形の頂点に位置するように配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2保持部には、前記第3ロッドに形成された中空部に接続する貫通孔が形成されており、
前記先端ブラケットには、前記第3ロッドに形成された中空部に接続する開口が形成されており、
前記第2保持部から前記第3ロッドを通り、前記先端ブラケットを貫く、配線を通すための通路が形成されている、
請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記スライド部を直線運動可能に支持するベース本体をさらに備え、
前記スライド部と前記ベース本体との間には、前記スライド部の移動方向に沿って連なり転動する転動体が介在している、
請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータ
【請求項7】
前記ボールねじ軸の前記一端には、前記第1ロッドの内周面と接触して前記第1ロッドの振れを抑制する振れ止め部材が設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記先端ブラケットに第2のアクチュエータが取り付けられた請求項1から7のいずれか1項に記載のアクチュエータを備え、
前記第2のアクチュエータの配線は、少なくとも前記第2ロッドの中空部を通り前記先端ブラケットから導かれる、
ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじを利用して、作動ロッドを軸線方向に直線移動させるアクチュエータが実用化されている。例えば引用文献1は、中央に作動ロッドが設けられ、モータによりボールねじ軸が回転すると、ボールねじ軸に螺合するナットが作動ロッドを軸線方向に移動させるアクチュエータを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平2-5143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアクチュエータでは、作動ロッドに設定された移動量が大きくアクチュエータの長手方向の長さが長くなるにつれて、一本の作動ロッドでは曲げ剛性が不足しやすく振動が生じやすい。一方で、引用文献1の第6図には、1対のロッドを設けたアクチュエータが開示されているが、ロッドが並んだ方向以外の方向における曲げ剛性は、一本の作動ロッドよりも大きくできるものの振動を抑制できる程ではなく、依然として振動が生じやすい。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、ロッドの曲げ剛性を高めて動作時の振動を抑制することができるアクチュエータ、及びロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアクチュエータは、モータの出力軸の回転運動が伝達されて回転運動するボールねじ軸と、前記ボールねじ軸に設けられたボールねじナットと、前記ボールねじナットが取り付けられた第1保持部と、前記第1保持部に重なった第2保持部とを有し、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するスライド部と、前記第1保持部に一端が保持された管状の第1ロッドと、前記第2保持部に一端が保持された管状の第2ロッドと、前記第1ロッドと前記第2ロッドとをそれぞれの他端で連結する先端ブラケットと、を備え、前記ボールねじ軸は、前記第1保持部を貫通し、一端が前記第1ロッドの内周面に回転可能に支持されている。
【0007】
前記第2保持部には、前記第2ロッドに形成された中空部に接続する貫通孔が形成されており、前記先端ブラケットには、前記第2ロッドに形成された中空部に接続する開口が形成されており、前記第2保持部から前記第2ロッドを通り、前記先端ブラケットを貫く、配線を通すための通路が形成されていてもよい。
【0008】
前記スライド部には、前記通路を通る配線の中間部を固定するための配線固定具が設けられていてもよい。
【0009】
前記第2保持部に一端が保持された管状の第3ロッドをさらに備え、前記スライド部が直線運動する方向からみた場合、前記第1ロッド、前記第2ロッド、及び前記第3ロッドは、それぞれの中心が二等辺三角形の頂点に位置するように配置されていてもよい。
【0010】
前記第2保持部には、前記第3ロッドに形成された中空部に接続する貫通孔が形成されており、前記先端ブラケットには、前記第3ロッドに形成された中空部に接続する開口が形成されており、前記第2保持部から前記第3ロッドを通り、前記先端ブラケットを貫く、配線を通すための通路が形成されていてもよい。
【0011】
前記スライド部を直線運動可能に支持するベース本体をさらに備え、前記スライド部と前記ベース本体との間には、前記スライド部の移動方向に沿って連なり転動する転動体が介在してもよい。
【0012】
前記ボールねじ軸の前記一端には、前記第1ロッドの内周面と接触して前記第1ロッドの振れを抑制する振れ止め部材が設けられていてもよい。
【0013】
本発明に係るロボットは、前記先端ブラケットに第2のアクチュエータが取り付けられた上記のアクチュエータを備え、前記第2のアクチュエータの配線は、少なくとも前記第2ロッドの中空部を通り前記先端ブラケットから導かれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロッドの曲げ剛性を高めて動作時の振動を抑制することができるアクチュエータ、及びロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るアクチュエータを適用したロボットの斜視図。
図2】本発明の実施の形態に係るアクチュエータの分解斜視図。
図3図2中の切断線III-IIIにおけるアクチュエータの断面図。
図4図2中の切断線IV-IVにおけるアクチュエータの断面図。
図5】本発明の実施の形態に係るアクチュエータが有する駆動機構の斜視図。
図6図5中の矢印VIから見た駆動機構の側面図。
図7】本発明の実施の形態に係るアクチュエータが有する駆動機構の分解斜視図。
図8】本発明の実施の形態に係るアクチュエータが有する駆動機構の分解斜視図。
図9図7に示す駆動部の分解斜視図。
図10図7に示す付勢部の分解斜視図。
図11図7に示すぜんまい機構が解放状態にあるときの断面図。
図12図7に示すぜんまい機構が巻上状態にあるときの断面図。
図13図7に示す増速部の分解斜視図。
図14図6中の切断線XIV-XIVにおける駆動機構の断面図。
図15図6中の切断線XV-XVにおける駆動機構の断面図。
図16図6中の切断線XVI-XVIにおける駆動機構の断面図。
図17図3中の“XVII”部の拡大図。
図18図3中の“XVIII”部の拡大図。
図19図2に示すスライド部の斜視図。
図20図4中の“XX”部の拡大図。
図21図4中の“XXI”部の拡大図。
図22図2中の切断線XXII-XXIIにおけるアクチュエータの断面図。
図23】アクチュエータの動作を説明するための図であり、ロッドが徐々に突出していく様子((a)~(c))を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ、及びロボットについて、図面を参照しながら説明する。なお、図1に示すように、X軸、Y軸、Z軸が定められた直交座標を定義しており、この直交座標を適宜参照しながら説明する。ここで、+Z軸方向は上方であり、-Z軸方向は下方である。すなわち、X軸、Y軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0017】
(Z軸用のアクチュエータ100が適用されたロボット1の概要)
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ100が適用されたロボット1は、長手方向がX軸に沿って配置されたX軸用のアクチュエータ10と、長手方向がY軸に沿って配置されたY軸用のアクチュエータ20と、長手方向がZ軸に沿って配置されたZ軸用のアクチュエータ100と、Z軸用のアクチュエータ100の一端に設けられた手首ユニット30と、手首ユニット30に設けられたグリッパ40とを備えている。また、本実施の形態においては、手首ユニット30と、グリッパ40と、が設置されているが、これに限られない。手首ユニット、グリッパ以外の別のツール、電子デバイス、エア駆動型の機器であってもよい。
【0018】
X軸用のアクチュエータ10は、X軸方向に沿って配置された図示しないX軸用のボールねじと、このX軸用のボールねじを駆動する図示しないX軸用のモータを有している。XYブラケット11は、X軸用のボールねじナット(不図示)に固着しており、X軸用のモータの出力軸の回転方向及び回転量を制御することにより、XYブラケット11をX軸に沿って直線移動させて所望の位置に停止させることができる。なお、XYブラケット11は、Y軸用のアクチュエータ20を保持している。これにより、XYブラケット11がX軸方向に沿って移動することにより、Y軸用のアクチュエータ20をX軸方向に沿って移動させることができる。
【0019】
Y軸用のアクチュエータ20は、Y軸方向に沿って配置された図示しないY軸用のボールねじと、このY軸用のボールねじを駆動する図示しないY軸用のモータを有している。YZブラケット21は、Y軸用のボールねじナット(不図示)に固着しており、Y軸用のモータの出力軸の回転方向及び回転量を制御することにより、YZブラケット21をY軸に沿って直線移動させて所望の位置に停止させることができる。なお、YZブラケット21は、Z軸用のアクチュエータ100を保持している。これにより、YZブラケット21がY軸方向に沿って移動することにより、Z軸用のアクチュエータ100をY軸方向に沿って移動させることができる。
【0020】
Z軸用のアクチュエータ100は、図3図4に示すように、Z軸方向に沿って配置されZ軸用のボールねじ軸101と、このZ軸用のボールねじ軸101を駆動するZ軸用のモータ120と、ボールねじ軸101と螺合したボールねじナット188が取り付けられたスライド部160とを内部に有している。スライド部160は、-Z軸方向の端部が先端ブラケット190で連結された円管状の第1ロッド175、第2ロッド176、及び第3ロッド177(以下これらのロッドを総称する場合にはロッド175,176,177と記載する)を保持している。なお、先端ブラケット190には、図1に示す手首ユニット30が取り付けられる。これにより、モータ120がボールねじ軸101を回転駆動することにより、スライド部160はZ軸方向に沿って移動する。このスライド部160のZ軸方向の移動に伴い、複数のロッド175,176,177及び図1に示す手首ユニット30は、Z軸方向に沿って移動する。
【0021】
手首ユニット30は、図1に示すように、Z軸用のアクチュエータ100の下端に取り付けられている。手首ユニット30は、例えば、R方向に回転する。このR方向の回転とは、Z軸回りの回転である。また、手首ユニット30は、B方向(X軸回り)に回転可能な回転部30aを有している。
【0022】
グリッパ40は、図1に示すように、手首ユニット30の回転部30aにT方向(Z軸回り)に回転可能に取り付けられている。そのため、グリッパ40は、X軸用のアクチュエータ10、Y軸用のアクチュエータ20、及びZ軸用のアクチュエータ100によって、X軸・Y軸・Z軸の三次元空間内で任意に移動制御されるとともに、手首ユニット30によってR方向、B方向、及びT方向に回転される。また、グリッパ40は、物品を把持するための2つの爪部41,42を有している。2つの爪部41、42の間隔を変化させることにより、物品を把持したり、把持した物品を離したりすることができる。ロボット1は、例えば、グリッパ40で把持した物品を、各種のアクチュエータで所望の位置まで搬送する搬送用ロボットとして動作する。
【0023】
(Z軸用のアクチュエータ100の構成)
次に、Z軸用のアクチュエータ100の構成について、詳細に説明する。アクチュエータ100は、図2に示すように、各種の部品が設置されたベース180と、ベース180に取り付けられて各種の部品を覆うカバー181とを有している。ベース180とカバー181とでアクチュエータ100の筐体50を構成し、アクチュエータ100の各種部品を収容するための収容空間を形成する。ベース180は、後述するように、付勢部112(図3、4)を収容する収容部198と、Z軸方向に沿って移動するスライド部160をZ軸方向に沿って移動可能に支持するベース本体199と、複数のロッド175,176,177をZ軸方向に沿って移動可能に支持するハウジング200とを備えている。
【0024】
アクチュエータ100は、図3に示すように、+Z軸方向側の部分(アクチュエータ100の上部)にボールねじ軸101を回転駆動する駆動機構110を備えている。駆動機構110は、図5図6に示すように、ボールねじ軸101(図3)を回転駆動するための動力を出力する駆動部111と、ボールねじ軸101を所定の回転方向に付勢する付勢部112と、付勢部112の回転を増速する増速部113とを有している。
【0025】
駆動部111は、図7図8に示すように、モータ120と、モータ120に接続されたプーリ121と、モータ120を増速部113に取り付けるための取付具122とを有している。
【0026】
モータ120は、図9に示すように、例えばステッピングモータであり、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ120には、図示しないケーブルユニットのケーブルを介して電源から電力が供給される。またケーブルユニットはモータ120に外部からの電力供給や制御信号の入出力等を行うケーブルとケーブルを保護するケーブルガイドを含む。モータ120に電力が供給されることによって、モータ120のロータが回転する。このロータの回転運動は、Z軸方向に沿って延出する出力軸123に出力される。
【0027】
プーリ121は、外側からねじ込まれたねじ124により出力軸123に固定されている。これにより、プーリ121は、出力軸123とともに回転する。
【0028】
取付具122は、例えば金属製のプレートが曲げ加工されて形成されている。取付具122は、ねじ125によりモータ120と固定される矩形状の平板部122aと、平板部122aの対辺から垂直に立設した2つの立設部122bと、立設部122bの端辺から外側に向けて形成されたフランジ部122cとを有している。平板部122aの中央には開口122dが形成されている。モータ120の出力軸123は、この開口122dを貫通した状態でプーリ121が取り付けられる。これにより、プーリ121は、平板部122aと2つの立設部122bと図5に示す増速部113とで囲まれた空間に収容される。また、2つのフランジ部122cのそれぞれには、図9に示すように、長手方向がX軸方向を向いた2つの長孔122eが、X軸方向に並んで形成されている。フランジ部122cは、図7図8に示すように、増速部113に接した状態で長孔122eに挿通されたねじ126がねじ込まれて固定されている。このように、ねじ126が挿通される孔を長孔122eとすることで、駆動部111の増速部113に対する取付位置を、X軸方向に沿う方向に調整することができる。これにより、プーリ121に架け渡される後述するタイミングベルト166の張力を調整することができる。
【0029】
付勢部112は、図7図8に示すように、駆動部111よりも+Z軸の方向に配置されている。付勢部112は、ぜんまい機構127と、ぜんまい機構127に接続されたプーリ128と、ぜんまい機構127を増速部113に取り付けるための取付プレート129とを有している。
【0030】
ぜんまい機構127は、図10に示すように、円筒形状の外筒部130と、外筒部130の-Z軸方向側の端部に取り付けられた第1フランジ131と、外筒部130の+Z軸方向側の端部に取り付けられた第2フランジ132とが組み立てられて、内部に各種の部品を収容、保持する。具体的に、ぜんまい機構127は、各種の部品として、回転軸133、第1ぜんまいばね134、隔壁プレート135、及び第2ぜんまいばね136を有している。
【0031】
外筒部130は、空洞の貫通する方向がZ軸方向に沿うように配置されている。外筒部130の-Z軸方向側の端部には、円周上に複数のねじ孔130aが形成されている。これらのねじ孔130aは、第1フランジ131をねじ止めするためのものである。同様に、外筒部130の+Z軸方向側の端部には、円周上に複数のねじ孔(不図示)が形成されている。これらのねじ孔は、第2フランジ132をねじ止めするためのものである。また、外筒部130の内周面130bには、Z軸方向に沿ってL字状の溝130cが全長にわたって形成されている。このL字状の溝130cは、後述するように、第1ぜんまいばね134及び第2ぜんまいばね136の一端を係止する。
【0032】
第1フランジ131は、図10に示すように、円形状に形成されており、円周上にあけられた貫通孔131aにねじ137を通して、外筒部130の-Z軸方向側の端部にねじ止めされている。第1フランジ131の中央には円形状の開口131bが形成されており、第1フランジ131は、開口131bの形成された箇所に、回転軸133を回転可能に支持するベアリング138を有している。
【0033】
第2フランジ132は、円形状に形成されており、円周上にあけられた貫通孔132aにねじ139を通して、外筒部130の+Z軸方向側の端部にねじ止めされている。第2フランジ132の中央には円形状の開口132bが形成されており、回転軸133を回転可能に支持するベアリング140が開口132bに収容されている。
【0034】
回転軸133は、図10に示すように、断面が円形の棒状部材であり、中央部に形成された大径部133aと、大径部133aの両端に大径部133aよりも径の小さな小径部133b、133cとを有している。また、大径部133aには、外周面が切り欠かれて形成された溝133dが長手方向に沿って形成されている。回転軸133は、外筒部130を貫通し、-Z軸方向側の小径部133bはベアリング138に嵌められて回転可能に軸支され、+Z軸方向側の小径部133cはベアリング140に嵌められて回転可能に軸支されている。
【0035】
第1ぜんまいばね134は、図11,12に示すように、金属製の帯状材料が渦巻状に加工されて形成されている。第1ぜんまいばね134の外側の端部には、曲げ加工により形成された第1引掛部134aが形成されている。第1引掛部134aは、外筒部130の溝130cに挿入されて係止される。一方、第1ぜんまいばね134の内側の端部には、図11,12に示すように、曲げ加工により形成された第2引掛部134bが形成されている。第2引掛部134bは、回転軸133の溝133dに当接して係止される。
【0036】
第2ぜんまいばね136は、図10に示すように、隔壁プレート135を挟んで第1ぜんまいばね134とは反対側の+Z方向側に配置されている。第2ぜんまいばね136は、第1ぜんまいばね134と同様の構成を有しており、第1引掛部136aは、図11に示す外筒部130の溝130cに挿入されて係止される。一方、第2引掛部136bは、回転軸133の溝133dに当接して係止される。
【0037】
このように、回転軸133は、Z軸に沿って並んだ第1ぜんまいばね134及び第2ぜんまいばね136を介して外筒部130に接続している。これにより、ぜんまいばねがエネルギーを解放した図11に示す状態から、回転軸133を図中時計回りの方向に回転していくと、ぜんまいばねにエネルギーが蓄積されていき、やがて図12に示すようにぜんまいばねを構成する帯状材料が巻き上げられて中央に寄せ集められる。図12に示す状態から、回転軸133に作用する外力を取り除くと、ぜんまいばねは、回転軸133を図中反時計回りに回転させながら蓄積したエネルギーを徐々に解放していく。やがてぜんまいばねは、図11に示すようにエネルギーを解放した状態に復帰する。
【0038】
取付プレート129は、図10に示すように、矩形状のプレートから構成されており、回転軸133を挿通させる開口129aと、開口129aの周囲に配された4つの貫通孔129bと、ぜんまい機構127を取付けるための4つの貫通孔129cとが形成されている。4つの貫通孔129cは、長孔から構成されており、長手方向が同じ方向を向くように形成されている。取付プレート129は、貫通孔129bを通したねじ141により第1フランジ131にねじ止めされている。取付プレート129は、第1フランジ131よりも大きく、図7図8に示すように、一部がぜんまい機構127の側方へ突出している。この突出した部分に、貫通孔129cが形成されている。ぜんまい機構127は、貫通孔129cに挿通されたねじ142により、増速部113にねじ止めされている。なお、ねじ142が挿通される貫通孔129cを長孔とすることで、付勢部112の増速部113に対する取付位置を調整することができる。これにより、プーリ128に架け渡される後述するタイミングベルト152の張力を調整することができる。また、貫通孔129cの長手方向の向きは、プーリ128の軸心と、タイミングベルト152が架け渡される後述するプーリ151(図13,14)の軸心とをXY平面内において結んだ方向と一致している。しかしながら、両方向を一致させるかは任意である。これにより、タイミングベルト152の張力の調整を容易に行うことができる。
【0039】
プーリ128は、図10に示すように、取付部材143を介して回転軸133に接続されている。取付部材143は、ねじ144により回転軸133の小径部133bに固定されている。プーリ128は、ねじ145により取付部材143に固定されている。これにより、プーリ128は、回転軸133とともにZ軸を中心にして回転する。
【0040】
増速部113は、図5図6に示すように、Z軸方向に配置された駆動部111と付勢部112との間に設けられている。増速部113は、駆動部111が出力した運動を図3に示すボールねじ軸101に伝達するとともに、付勢部112が出力する回転軸133の回転運動を増速してボールねじ軸101に伝達する。増速部113は、図7図8に示すように、Z軸方向に間隔をあけて配置された第1プレート146、第2プレート147、及び第3プレート148を有している。第1プレート146と第2プレート147との間には、棒状部材である間隔保持部材149が配置されることで、両者はZ軸方向に間隔をあけて配置されている。また、第2プレート147と第3プレート148との間には、棒状部材である間隔保持部材150が配置されることで、両者はZ軸方向に間隔をあけて配置されている。このように、Z軸方向に間隔をあけて配置された3枚のプレートに、以下で説明する増速部113の各種の部品が取り付けられている。
【0041】
第1プレート146は、図8図13に示すように、ねじ109が挿入され、第2プレート147に固着した間隔保持部材149にねじ止めされている。第1プレート146は、図8に示すように、+Z軸方向側からねじ142により取付プレート129が取り付けられることで付勢部112を保持する。また、第1プレート146には、扇状に切り欠かれた切欠き146aが形成されており、これにより付勢部112のプーリ128を-Z軸方向側である第2プレート147との間に配置することができる。第1プレート146と第2プレート147との間には、図14に示すように、プーリ128に加えて、プーリ128よりも小径のプーリ151と、プーリ128とプーリ151とに架け渡されたタイミングベルト152とが配置されている。これにより、回転軸133に接続されたプーリ128の回転運動は、タイミングベルト152を介してプーリ151に増速されて伝達される。
【0042】
第2プレート147は、図13に示すように、ねじ156が挿入され、第3プレート148に固着した間隔保持部材150にねじ止めされている。第2プレート147には、回転軸154をZ軸方向に沿って貫通させるとともに回転軸154の+Z軸方向側のベアリング162aを収容するための貫通孔147aと、回転軸161の+Z軸方向側のベアリング161aを収容するための収容孔147bとが形成されている。貫通孔147aを貫通した回転軸154には、ねじ153によりプーリ151が接続されている。これにより、プーリ151の回転運動が、回転軸154に伝達される。また、第2プレート147と第3プレート148との間には、図15に示すように、回転軸154が接続されたプーリ155と、プーリ155よりも小径であり回転軸161が連結されたプーリ158と、プーリ155とプーリ158とに架け渡されたタイミングベルト157と、タイミングベルト157に接触してガイドするアイドラ159とを有している。回転軸154に接続されたプーリ155の回転運動は、タイミングベルト157を介してプーリ158に増速されて伝達される。
【0043】
第3プレート148は、図13に示すように、+Z軸方向側の面に間隔保持部材150が固着されている。第3プレート148には、回転軸154の-Z軸方向側のベアリング162bを収容するための収容孔148aと、回転軸161の-Z軸方向側のベアリング161bを収容するための収容孔148bとが形成されている。回転軸161は、第3プレート148に形成された収容孔148bを貫通し、-Z軸方向に突出している。この-Z軸方向に突出した回転軸161の部分に、プーリ164と、軸継手165とが取り付けられている。
【0044】
プーリ164は、外周面からねじ込まれたねじ119により回転軸161に固定されている。また、第3プレート148の-Z軸方向側には、図16に示すように、プーリ164と駆動部111のプーリ121とに架け渡されたタイミングベルト166が配置されている。タイミングベルト166は、モータの出力軸123と直交する方向に配置されている。なお、駆動部111のプーリ121とプーリ164とは同径である。これにより、駆動部111が出力する回転運動は、タイミングベルト166を介して、プーリ164に伝達する。
【0045】
軸継手165は、図13に示すように、外周面からねじ込まれたねじ167により回転軸161に取り付けられている。この軸継手165は、図17に示すように、連結軸169の+Z軸方向側の端部に設けられた軸継手168と連結される。これにより、回転軸161(図13)の回転運動が、連結軸169に伝達される。
【0046】
連結軸169は、図17に示すように、Z軸方向に沿って延びる回転軸であり、-Z軸方向側の端部にボールねじ軸101の小径部101bが外周面からねじ込まれたねじ172により固定されている。
【0047】
ボールねじ軸101は、図17に示すように、外周面に螺旋状のねじが形成されたボールねじ軸本体101aと、ボールねじ軸本体101aの+Z方向側の端部に形成された小径部101bとを有している。また、ボールねじ軸101はさらに、図18に示すように、-Z方向側の端部に形成された小径部101cと、小径部101cに嵌め込まれた振れ止め部材102とを有している。ボールねじ軸101は、図3図18に示すように、中央に孔175aが形成された第1ロッド175と軸線Aが一致するように配置されおり、少なくとも長さ方向における一部が円管状の第1ロッド175内に差し込まれた状態で配置されている。小径部101b、101cは、その径がボールねじ軸本体101aよりも小さい。上述のように、ボールねじ軸101は、小径部101bが連結軸169に連結されていることから、連結軸169の回転に伴い、Z軸周りに回転する。
【0048】
振れ止め部材102は、図18に示すように、外周面に溝102bが形成されたリング状の振れ止め部材本体102aと、溝102bに収容された弾性部材102cとを有している。ボールねじ軸101は、振れ止め部材本体102aが小径部101cに嵌合した状態で、第1ロッド175に形成された孔175aに挿入されている。弾性部材102cは、例えばフッ素ゴム製のOリングである。なお、弾性部材102cの断面における直径は、溝102bの深さよりも大きい。そのため、弾性部材102cは、振れ止め部材本体102aの外周面から突出しており、弾性変形して第1ロッド175の内周面と接触する。これにより、Z軸方向に移動する第1ロッド175の振れを抑制することができる。
【0049】
ベアリングハウジング170は、図17に示すように、Z軸方向に沿った貫通孔170aを有しており、ベース180に固定されている。貫通孔170aには、ボールねじ軸101の+Z軸方向側の一部と、ボールねじ軸101に連結された連結軸169の-Z軸方向側の一部とが収容されている。一方、連結軸169は、ベアリングハウジング170の端部から+Z軸方向に突出した部分を有している。また、ベアリングハウジング170は、貫通孔170aにベアリング171を有している。ベアリング171は、ボールねじ軸101の+Z軸方向側の端部近傍を回転可能に支持する。また、ベアリングハウジング170の+Z軸方向側の端部には、ねじ174によりブレーキ173がねじ止めされている。
【0050】
ブレーキ173は、例えば、通電を遮断するとブレーキがかかる無励磁作動形ブレーキであり、中央に連結軸169を貫通させるための開口が形成されている。ブレーキ173は、円板状のプレート173aと、連結軸169を保持する円板状のロータ173bと、図示しないスプリング及びコイルが設けられたステータ173cと、ロータ173bとステータ173cとの間に設けられた円板状のアーマチュア173dとを備えている。ステータ173cに設けられた図示しないスプリングは、アーマチュア173dを+Z軸方向に押し上げる力を作用させる。ブレーキ173の通電が遮断された状態である場合、図示しないスプリングによって押し上げられたアーマチュア173dは、プレート173aとの間でロータ173bを挟み込む。これにより、通電を遮断した状態で、連結軸169の回転を停止したり、連結軸169が停止した状態を維持したりすることができる。一方、ブレーキ173に通電すると、ステータ173cに設けられた図示しないコイルがアーマチュア173dをステータ173c側(-Z軸方向側)に引き付け、アーマチュアによる挟み込みがなくなったロータ173bは回転自在の状態となる。
【0051】
スライド部160には、図2に示すように、第1ロッド175、第2ロッド176、及び第3ロッド177の+Z軸方向側の端部がそれぞれ取り付けられている。スライド部160は、これらのロッド175,176,177とともにZ軸方向に沿って移動する。スライド部160は、図19に示すように、第1保持部186と、第1保持部186の+X方向側の面に重なった第2保持部187と、Y軸方向に並んだ配線214,216(図2)を固定するための第1配線固定具182と、Y軸方向に並んだ配線215,217(図2)を固定するための第2配線固定具183と、第1保持部186の角部にそれぞれ取り付けられた配線押え部184a,184b,185a,185bとを備えている。なお、配線214,215,216,217は、電力線及び信号線を含む。
【0052】
第1保持部186には、図19に示すように、Z軸方向に貫通した貫通孔186aが形成されている。貫通孔186aの-Z軸方向側の内周面には、めねじ186bが形成されている。このめねじ186bには、図3に示す第1ロッド175の+Z方向側の端部に形成されたおねじ175bがねじ込まれる。これにより、第1保持部186は、第1ロッド175の+Z方向側の端部を保持する。また、貫通孔186a内の+Z軸方向側には、図3図17に示すように、ボールねじナット188が設けられている。このように、第1保持部186は、ボールねじナット188を保持するナットホルダとしての機能を有している。ボールねじナット188は、図17に示すように、ボールねじ軸本体101aに螺合しており、その内周面にはボールねじ部が形成されている。このボールねじナット188は、ボールねじ軸本体101aに金属製の球体を介して嵌め込まれる。これにより、ボールねじ軸101の回転運動が、ボールねじナット188の直線運動に変換され、ボールねじナット188を保持する第1保持部186は直線運動をする。第1ロッド175は、ボールねじナット188を保持する第1保持部186に、ボールねじ軸101と軸線を一致させた状態で直接取り付けられている。そのため、ボールねじ軸101とボールねじナット188との間で直線運動に変換された力が直接的に第1ロッド175に伝達する。このことから、第1ロッド175は、図1に示す手首ユニット30等が取り付けられた先端ブラケット190を上下動させる際のメインロッドとして機能する。
【0053】
第2保持部187には、図19に示すように、Z軸方向に貫通した貫通孔187a,187cが、Y軸方向に並んで形成されている。貫通孔187a,187cの-Z軸方向側の内周面には、めねじ187b,187dがそれぞれ形成されている。めねじ187dには、図20に示すように、第3ロッド177の+Z方向側の端部に形成されたおねじ177aがねじ込まれる。これにより、第2保持部187は、第3ロッド177の+Z方向側の端部を保持し、貫通孔187cと第3ロッド177に形成された貫通孔177bとが接続される。同様に、図19に示すめねじ187bには、図3に示す第2ロッド176の+Z方向側の端部に形成されたおねじ(不図示)がねじ込まれる。これにより、第2保持部187は、第2ロッド176の+Z方向側の端部を保持する。これにより、図19に示す第2保持部187に形成された貫通孔187aと第2ロッド176の貫通孔(不図示)が接続される。なお、第2保持部187は、第1保持部186と比較して、ボールねじナットを有していないことからZ軸方向に短く、第2ロッド176及び第3ロッド177を保持するために第1保持部186に重なったロッドブラケットとして機能する。そのため、第2ロッド176及び第3ロッド177は、ボールねじ軸101と軸線が一致しておらず、ボールねじ軸101とボールねじナット188との間で直線運動に変換された力は、第2保持部187を介して間接的に第2ロッド176及び第3ロッド177に伝達する。そのため、第2ロッド176及び第3ロッド177は、図1に示す手首ユニット30等が取り付けられた先端ブラケット190を上下動させる際に、第1ロッド175を補助する補助ロッドとして機能する。
【0054】
このように、第1保持部186及び第2保持部187に保持されたロッド175,176,177を-Z軸方向からみた場合、図22に示すように、第1ロッド175から第2ロッド176までの距離と、第1ロッド175から第3ロッド177までの距離とが等しい。すなわち、二等辺三角形の頂点の位置にそれぞれの中心が位置するように、ロッド175,176,177が配置されている。すなわち、筐体50内で偏りがないようにロッド175,176,177が配置されている。
【0055】
第1配線固定具182は、図22に示すように、配線を挟み込んで中間部を固定するY軸方向に並んだ第1固定部182aと第2固定部182bとを有している。第1固定部182aは、+Y側に設けられた配線216の中間部を固定し、第2固定部182bは、-Y側に設けられた配線214の中間部を固定する。
【0056】
第2配線固定具183は、図19に示すように、配線を挟み込んで中間部を固定するY軸方向に並んだ第1固定部183aと第2固定部183bとを有している。第1固定部183aは、+Y側に設けられた配線217の中間部を固定し、第2固定部183bは、-Y側に設けられた配線215の中間部を固定する。
【0057】
配線押え部184aは、ねじ189を介して-Y軸方向から第1保持部186の-Z軸方向側の角部に取り付けられ、第1保持部186から-Z軸方向に突出するとともに、突出端から-X軸方向へ延びた取付部材191aと、-X軸方向へ延びた取付部材191aの先端部に設けられたコロ192aとを有している。また、第1保持部186には、-Y軸方向からねじ189を介して、+Z軸方向側の角部に配線押え部184bが取り付けられている。配線押え部184bは、配線押え部184aと同様の構成を有しており、取付部材191bとコロ192b(図20)とを有している。
【0058】
取付部材191aの-X軸方向へ延びた部分と第1保持部186の-Z軸方向の端面との間には、リターン194aが設置されている。第1保持部186の+Z軸方向の端面にも同様にリターン194bが設置されている。第1保持部186の-Y軸方向を向いた側面には、湾曲した凹面を有する溝186cがZ軸方向に沿って形成されている。また、リターン194a、194bには、リターン194a、194bの内部に形成された反転路(不図示)に通じる開口194c、194dが溝186cの両端部に形成されている。さらに第1保持部186の内部には、リターン194a、194bの反転路(不図示)と接続される、Z軸方向に延びる通路(不図示)が形成されている。これらの反転路(不図示)と通路(不図示)とは、転動するボール193の循環路の一部を形成する。これにより、ボール193は長円形状の軌道T上に沿って配置され、該軌道T上を転動する。また、開口194c、194dには、ボール193を溝186cから反転路(不図示)へ導入する掬い上げ部が形成されている。
【0059】
コロ192aは、図19に示すように、円柱体をなしており、回転軸をY軸に向けられている。取付部材191aに取り付けられたコロ192aは、取付部材191aから-Z軸方向に一部が突出しているとともに、図22に示すように取付部材191aから-X軸方向に一部が突出している。また、取付部材191bに取り付けられたコロ192b(図20)も、同様に、取付部材191bから一部が突出している。
【0060】
配線押え部185aは、配線押え部184aと同様の構成を有しており、図19に示すように第1保持部186に対する取付方向が異なるだけである。すなわち配線押え部185aは、取付部材195aと、取付部材195aに設けられたコロ196aとを備えている。また、配線押え部185bは、配線押え部184bと同様の構成を有しており、第1保持部186に対する取付方向が異なるだけである。すなわち配線押え部185bは、取付部材195bと、取付部材195aに設けられた図示しないコロとを備えている。また、取付部材195aの-X軸方向へ延びた部分と第1保持部186の-Z軸方向の端面との間にはリターン197aが設置されており、取付部材195bの-X軸方向へ延びた部分と第1保持部186の+Z軸方向の端面との間には図示しないリターンが設置されている。なお、第1保持部186の+Y軸方向を向いた側面にも-Y軸方向を向いた側面の溝186cと同様の溝(不図示)がZ軸方向に沿って設置されており、-Z軸方向側に設けられたリターン197a及び+Z軸方向側に設けられた図示しないリターン内に形成された反転路(不図示)と第1保持部186の+Y軸方向を向いた側面の溝(不図示)と第1保持部186の内部に形成されたZ軸方向に延びる通路(不図示)とで転動する複数のボールの循環路となる軌道が形成されている。このように構成されたスライド部160は、図2に示すように、Z軸方向に沿って延びるベース本体199によって、Z軸方向に移動可能に支持されている。
【0061】
ベース本体199は、図22に示すように、Z軸方向(図面に垂直な方向)を長手方向とする底壁201と、この底壁201の+Y側及び-Y側に形成された側壁202,203とを有している。ベース本体199は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成されている。
【0062】
底壁201には、短手方向(Y方向)における中央に長手方向(Z方向)に延びる突出部201aが形成されているとともに、突出部201aの+Y側及び-Y側にZ軸方向に延びる凹部201b,201cが形成されている。この凹部201bは、底壁201の全長にわたって形成されており、Z方向における位置により、配線217あるいは配線216(図2)を敷設するための空間として利用される。また、凹部201cは、底壁の全長にわたって形成されており、Z軸方向における位置により、配線215あるいは配線214を敷設するための空間として利用される。
【0063】
側壁202の-Y側の面及び側壁203の+Y側の面には、凹部202a,203aがそれぞれ形成されている。この凹部202a,203aには、Z軸方向を長手方向とする略直方体に形成された鋼製レール206,207が取り付けられている。鋼製レール206の-Y側の面及び鋼製レール207の+Y側の面には、Z軸方向に沿って溝206a,207aがそれぞれ形成されている。溝206a,207aは、互いに向き合うように形成されており、溝206a,207aの内面は、略湾曲面として構成されている。具体的には、溝207aの内面は、図19に示すボール193を保持する湾曲面に形成されている。同様に、溝206aの内面は、第1保持部186の+Y軸方向を向いた側面に設けられるボール(不図示)を保持する湾曲面に形成されている。
【0064】
ベース本体199には、図19に示すように、第1保持部186の-Y軸方向側に設けられた複数のボール193と、+Y軸方向側に設けられた複数のボール(不図示)とを介して、スライド部160が取り付けられる。ベース本体199にスライド部160が取り付けられると、図22に示すベース本体199の鋼製レール207の溝207aと、図19に示す第1保持部186の-Y軸方向側の溝186cとの間にZ軸方向に連なるボール193が挟まれる。同様に図22に示すベース本体199の鋼製レール206の溝206aと、図19に示す第1保持部186の+Y軸方向側の溝(不図示)との間にZ軸方向に連なるボール(不図示)が挟まれる。このように、スライド部160とベース本体199との間にZ軸方向に連なる転動体であるボールが介在することにより、スライド部160はベース本体199にZ軸方向に沿って移動可能に支持されている。
【0065】
ハウジング200は、図2に示すように、ベース180の一部を構成しており、ベース本体199の-Z側の端部に取り付けられている。ハウジング200は、例えば、ダイカストにより形成されている。また、ハウジング200には、図18に示すように、第1ロッド175を通すための貫通孔200aが形成されており、この貫通孔200aの中心に軸線を一致させたベアリング208bが、ハウジング200の+Z軸方向側の面に一体に設置されているフランジ部208a内に圧入されている。ベアリング208bは、例えばオイルレスベアリングである。これにより、第1ロッド175は、ベアリング208bによりZ軸方向に移動可能に支持される。
【0066】
また、ハウジング200には、図2に示すように、第2ロッド176を通すための貫通孔200bと、第3ロッド177を通すための貫通孔200cとが、Y軸方向に並んで形成されている。図21に示すように、貫通孔200cの中心に軸線を一致させたベアリング210bが、ハウジング200の+Z軸方向側の面に一体に設置されているフランジ部210a内に圧入されている。同様に、図18に示すように、貫通孔200bの中心に軸線を一致させたベアリング209bが、ハウジング200の+Z方向側の面に一体に設置されているフランジ部209a内に圧入されている。ベアリング209b,210bも、例えばオイルレスベアリングである。これにより、第2ロッド176及び第3ロッド177は、それぞれベアリング209b,210bによりZ軸方向に移動可能に支持される。
【0067】
先端ブラケット190は、図2に示すように、矩形状のプレートから形成されており、ロッド175,176,177のそれぞれの-Z側の端部が接続されている。このうち第1ロッド175と先端ブラケット190とは、図18に示すように、ねじ込み部材211を介して接続される。ねじ込み部材211は、-Z軸方向側にフランジ部211aを有する円柱状部材であり、+Z軸方向側におねじ211bが形成されている。ねじ込み部材211は、ザグリ加工された先端ブラケット190の開口190aから挿入され、第1ロッド175の内周面に形成されためねじ175cに螺合される。これにより、第1ロッド175と先端ブラケット190とが接続される。
【0068】
第3ロッド177は、図21に示すように、-Z軸方向側の端部にリング状のフランジ213が嵌めこまれた状態で、外周からねじ止めされている。これにより、第3ロッド177の端部にフランジ213が固定されている。フランジ213は、-Z軸方向側の端部を先端ブラケット190に当接した状態で、先端ブラケット190の-Z軸方向側からねじ218がねじ込まれる。これにより、フランジ213に先端ブラケット190が取り付けられる。なお、第2ロッド176も同様に、図18に示すように、-Z軸方向側の端部にフランジ212が取り付けられた状態で、先端ブラケット190に固定されている。
【0069】
また、先端ブラケット190には、図2に示すように、第2ロッド176と第3ロッド177とが取り付けられた箇所に円形状の開口190b,190cが形成されている。開口190cは、図21に示すように、円管状の第3ロッド177の貫通孔177bと中心が一致する位置に形成されている。同様に、開口190bは、第2ロッド176の貫通孔176a(図22)と中心が一致する位置に形成されている。これにより、第2ロッド176及び第3ロッド177の内部に通した配線を先端ブラケット190に形成した開口190b,190cから外側に出すことができる。
【0070】
なお、アクチュエータ100には、図17に示すモータ120やブレーキ173を動作させるための各種の配線、及び図1に示すアクチュエータ100が直接的あるいは間接的に保持する手首ユニット30やグリッパ40の配線が設けられる。配線は、一つ一つの束が太くなることがないように分割して異なる箇所に敷設されている。
【0071】
アクチュエータ100の-Y方向側に設けられた図2に示す配線214,215は、図4に示すようにY軸用のアクチュエータ20から延び、ベース本体199の凹部201c(図22)にあけられた挿通孔199aを通りアクチュエータ100の内部に通される。挿通孔199aを通された配線214,215のうち、配線214は、ベース本体199に形成された凹部201c(図22)内を-Z軸方向に向けて敷設させられた後に、180度折り曲げられて+Z軸方向に延び、図20に示すように、スライド部160に設けられた第1配線固定具182に中間部が固定されている。第1配線固定具182から延びた配線214は、再び180度折り曲げられて、スライド部160の貫通孔187cから第3ロッド177の貫通孔177bまで通される。第3ロッド177の貫通孔177bを通された配線214は、図21に示すように先端ブラケット190に形成された開口190cから外側に出て、先端ブラケット190に取り付けられた手首ユニット30(図1)まで延設される。このように、アクチュエータ100には、スライド部160から第3ロッド177を通り、先端ブラケット190を貫く、配線を通すための連続した通路が形成されている。
【0072】
一方、配線215は、ベース本体199に形成された凹部201c(図22)内を+Z軸方向に向けて敷設された後に180度折り曲げられて、図20に示すように、スライド部160に設けられた第2配線固定具183に中間部が固定されている。第2配線固定具183から延びた配線215は、配線214とともに、スライド部160の貫通孔187cから第3ロッド177の貫通孔177bまで通され、図21に示すように先端ブラケット190に形成された開口190cから外側に出て、先端ブラケット190に取り付けられた手首ユニット30(図1)まで延設される。なお、配線215の一部は、途中で分岐して、モータ120やブレーキ173を動作させるための配線となる。
【0073】
アクチュエータ100の+Y方向側に設けられた図2に示す配線216,217も同様に、ベース本体199の凹部201b(図22)にあけられた挿通孔(不図示)を通り、アクチュエータ100の内部に通される。配線216,217は、図2に示すように、配線214,215と同様の経路を通り、図3に示すように、第2ロッド176の内部に通される。第2ロッド176の内部を通された配線214,215は、先端ブラケット190から外側に出て、先端ブラケット190に取り付けられた手首ユニット30(図1)まで延設される。このように、アクチュエータ100には、スライド部160から第2ロッド176を通り、先端ブラケット190を貫く、配線を通すための連続した通路が形成されている。
【0074】
このように、第2ロッド176及び第3ロッド177は、先端ブラケット190に設けられた手首ユニット(図1)用の配線を通すための経路を形成している。
【0075】
(Z軸用のアクチュエータ100の動作)
次に、Z軸用のアクチュエータ100の具体的な動作について説明する。図23に示すアクチュエータ100は、+Z方向が上方、-Z軸方向が下方となるようにして配置されている。なお、図23(a)~(c)において、第2ロッド176は図示されていないが、第3ロッド177の奥側の同一位置に配置されていることから、第3ロッド177の符号に隣接した箇所にかっこ書きで第2ロッド176の符号を付している。また、アクチュエータ100の内部の様子が理解できるように、図23(a)~(c)においては、カバー181(図2)の図示を省略している。
【0076】
図23(a)に示すアクチュエータ100は、スライド部160が移動可能な範囲のなかで最も上方の位置にある状態であり、ロッド175,176,177が最も引っ込んだ状態にある。このとき、アクチュエータ100に電源が供給されていなければ、図17に示すブレーキ173が作動し、ボールねじ軸101の回転を停止させた状態を維持することができる。また、ぜんまい機構127は、図11に示すように、エネルギーを全て解放した状態にあるか、ぜんまい機構127が蓄積可能な全エネルギー量うちの一部のみを蓄積した状態にある。
【0077】
図23(a)に示す状態から、アクチュエータ100に電源が供給されると、ブレーキ173(図17)によるブレーキが解除される。そして、モータ120の出力軸123(図16)がスライド部160を下方に移動させる方向(第1出力方向)に回転すると、その回転運動は、図16に示すプーリ121及びタイミングベルト166を介して、プーリ164に伝達する。このように、プーリ164に伝達された回転運動は、図17に示すように、同軸上に位置するボールねじ軸101に伝達する。これにより、ボールねじ軸101が第1回転方向に回転し、ボールねじナット188を支持するスライド部160はベース本体199上を下方へと移動する。このスライド部160の移動に伴い、スライド部160に一端が保持されたロッド175,176,177と、ロッド175,176,177の他端に取り付けられた先端ブラケット190は下方へと移動し、やがて図23(b)に示す状態となる。このように、スライド部160が下方へ移動すると、図23(a)から図23(b)に示すように、第1配線固定具182に中間部が固定された配線214は、-Z軸方向に押し戻されてベース本体199上に敷設されていく。一方、第2配線固定具183に中間部が固定された配線215は、-Z軸方向に引っ張られてベース本体199上に敷設されていた配線が立ち上がっていく。なお図23(b)の状態は、スライド部160が上下動できる範囲のうち、中間の位置にある状態である。
【0078】
このように、アクチュエータ100がスライド部160を下方に移動させる動作に伴い、図7に示すぜんまい機構127にはエネルギーが蓄積されていく。すなわち、モータ120から出力された回転運動は、増速部113を介して、プーリ128に伝達される。これにより、図10に示すように、プーリ128が連結されたぜんまい機構127の回転軸133は回転し、第1ぜんまいばね134及び第2ぜんまいばね136を巻き取っていく。これにより、ぜんまい機構127にはエネルギーが徐々に蓄積されていく。このようにぜんまい機構127に蓄積されるエネルギーは、ボールねじ軸101に第2回転方向に回転させる付勢力を作用させる。この第2回転方向は、スライド部160を上方へと移動させるボールねじ軸101の回転方向である。
【0079】
図23(b)に示す状態から、さらにモータ120の出力軸123を第1出力方向に回転すると、やがて図23(c)に示すように、スライド部160は移動可能な範囲のうちで最も下方に位置し、ロッド175,176,177は筐体50から最も突出した状態となる。このように、図23(b)から図23(c)に状態が変化する際にも、ぜんまい機構127のエネルギーは蓄積されていき、図23(c)の状態にあるときに、ぜんまい機構127には最大のエネルギーが蓄積される。このように、アクチュエータ100は、ぜんまい機構127を巻き上げながら(エネルギーを蓄積しながら)スライド部160を下方へと移動させる。
【0080】
図23(c)に示す状態から、モータ120の出力軸123(図16)がスライド部160を上方へと移動させる方向(第2出力方向)に回転すると、ボールねじ軸101は第2回転方向に回転し、スライド部160はベース本体199上を上方へと移動する。この間、ボールねじ軸101は、ぜんまい機構127によって第2回転方向に付勢されている。すなわち、モータ120は、ぜんまい機構127が出力する付勢力の補助を受けながら、スライド部160を上方へと移動させる。これにより、ロッド175,176,177は徐々に引っ込んでいく。やがてアクチュエータ100は、図23(b)に示す状態となり、さらにモータ120を動作させることにより図23(c)に示すように、スライド部を最も上方に位置させた状態とすることができる。
【0081】
このように、スライド部160が上方へ移動すると、図23(c)から図23(a)に示すように、第1配線固定具182に中間部が固定された配線214は、+Z軸方向に引っ張られてベース本体199上に敷設されていた配線が立ち上がっていく。一方、第2配線固定具183に中間部が固定された配線215は、+Z軸方向に押し戻されてベース本体199上に敷設されていく。なお、配線216,217は、スライド部160が移動する間、配線214,215と同様の動きをする。
【0082】
なお、図22に示すように、各種の配線は、スライド部160に隣接するベース本体199の凹部201b,201cに敷設され、上述のようにスライド部160の移動により引っ張られたり押されたりして移動する。この際、ベース本体199に敷設された各種の配線は、スライド部160の角部に設けたコロ192a,192b,196a(残り1つのコロは不図示)に押えられることで、各種の配線の動きをばらつかせることなく一定にすることができる。また、各種の配線を押える部分を、コロ192a,192b,196a(残り1つのコロは不図示)とすることで、配線214,215,216,217の損傷を防止できるとともに、スライド部160の移動が妨げられるのを防止できる。
【0083】
このように動作するアクチュエータ100は、モータ120の出力軸123の回転方向及びステップ数を制御することで、スライド部160を所望の位置に移動させることができる。
【0084】
(効果)
上記の実施の形態によれば、スライド部160と先端ブラケット190とを3本のロッド175,176,177で互いの間隔をあけて連結している。これにより、例えば1本のロッド175のみで連結した場合と比較して、曲げ剛性を高めることができ、動作時の振動を低減することができる。
【0085】
また、スライド部160と先端ブラケット190とを連結するロッド175,176,177を-Z軸方向からみた場合、二等辺三角形の頂点の位置にそれぞれの中心が位置するように配置している。このように、ロッド175,176,177を筐体50内で偏りがないように配置することで、Z軸(直線運動方向)に直交するいずれの方向に対しても曲げ剛性を高めることができる。これにより、動作時の振動を低減することができる。
【0086】
また、先端ブラケット190に取り付けられた手首ユニット30のための配線を、第2ロッド176及び第3ロッド177の中空部に通し、先端ブラケット190に形成された開口190b,190cから出すことで手首ユニット30に導いている。これにより、アクチュエータ100の先端に取り付けられるアクチュエータの配線を容易に配置することができる。
【0087】
また、スライド部160には、第2ロッド176及び第3ロッド177の中空部を通る配線の中間部を固定する第1配線固定具182及び第2配線固定具183が設けられている。これにより、配線をスライド部160とともに直線移動させることができ、配線がスライド部160の移動を妨げることがない。
【0088】
また、スライド部160のそれぞれの角部にコロ192a,192b,196a(残り1つのコロは不図示)を設けている。アクチエータ100に配置された配線は、スライド部160の移動とともに引っ張られたり押されたりしながら移動し変形する。この際、ベース本体199に敷設された配線は、コロ192a,192b,196a(残り1つのコロは不図示)に押えられることで、配線の動きをばらつかせることなく一定にすることができる。また、配線を押える部分を、コロ192a,192b,196a(残り1つのコロは不図示)とすることで、配線の損傷を防止できるとともに、スライド部160の移動が妨げられるのを防止することができる。
【0089】
また、アクチュエータ100の通電を遮断すると、ボールねじ軸101にブレーキがかかる無励磁作動形のブレーキ173を設けている。これにより、アクチュエータ100の電源を落としたときや停電したときに、意図せずロッド175,176,177などが重力により下方へと移動することを防止することができる。
【0090】
また、スライド部160とベース本体199との間には、Z軸方向(スライド部160の移動方向)に連なる転動体であるボールが介在している。このボールは、Z軸方向に延びる溝に挟まれており、スライド部160が移動する際には、スライド部160の移動方向であるZ軸方向に沿って転動する。このように、スライド部160は、自身が移動可能な方向に沿って連なり転動する転動体の介在により直線運動可能である。そのため、スライド部160は、自身の移動方向とは異なる方向から作用する力、例えばモータの回転に起因したトルクに対して抵抗し、振動がロッドに伝わりにくい。これにより、作業軸の先端部の振れの発生を抑制することができる。
【0091】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、スライド部160に1本のメインロッドとしての第1ロッド175に加え、補助ロッドとして第2ロッド176および第3ロッド177の2本のロッドを設けたが、設ける補助ロッドの本数は任意であり、例えば1本としてもよいし、3本以上としてもよい。なお、ロッドの配置も上述のように二等辺三角形の頂点に中心が位置するような配置に限定されない。例えば、補助フランジを多く配置するのであれば、メインロッドを中心に、円周上に補助ロッドを配置してもよい。このように所定の方向に偏ることなくロッドを配置することで、ロッドの軸線に直交する様々な方向における曲げ剛性を高めることができる。また、二等辺三角形の特殊形状として正三角形の頂点に中心が位置するように、3本のロッドを配置してもよい。これにより、偏りのないロッドの配置を実現することができる。
【0092】
また、上記実施の形態では、2本の補助ロッドの全てに配線を配置したが、補助ロッドの全てに配線を配置する必要はなく、一部の補助ロッドのみに配線を配置してもよい。また、上述の配線経路には、配線だけでなく、エア配管等の配管類も同様に設置可能である。
【0093】
また、ロッドは円管状であると説明したが、ロッドの断面形状は任意であり、角管からなるロッドを採用してもよいし、楕円形の断面形状を有するロッドを採用してもよい。
【0094】
また、アクチュエータ100のロッド175,176,177の移動方向を上下方向としたロボット1について説明したが、アクチュエータ100の設置する向きは任意であり、水平方向にロッド175,176,177に移動するようにアクチュエータ100を配置してもよい。
【0095】
また、アクチュエータ100は、内部にモータ120が取り付けられた構成であると説明したが、モータを着脱可能な構成を採用して、アクチュエータ自体はモータを有していない構成としてもよい。この場合、ユーザは、取り付けたモータの出力軸とボールねじとを公知の伝動手段を用いて接続すればよい。
【符号の説明】
【0096】
1:ロボット
10:アクチュエータ
11:XYブラケット
20:アクチュエータ
21:YZブラケット
30:手首ユニット
30a:回転部
40:グリッパ
41,42:爪部
50:筐体
100:アクチュエータ
101:ボールねじ軸
101a:ボールねじ軸本体
101b,101c:小径部
102:振れ止め部材
102a:振れ止め部材本体
102b:溝
102c:弾性部材
110:駆動機構
111:駆動部
112:付勢部
113:増速部
120:モータ
121:プーリ
122:取付具
122a:平板部
122b:立設部
122c,211a:フランジ部
122e:長孔
123:出力軸
127:ぜんまい機構
128:プーリ
129:取付プレート
130:外筒部
130b:内周面
130c:溝
131:第1フランジ
132:第2フランジ
133:回転軸
133a:大径部
133b,133c:小径部
133d:溝
134:第1ぜんまいばね
136:第2ぜんまいばね
134a,136a:第1引掛部
134b,136b:第2引掛部
135:隔壁プレート
138,140:ベアリング
143:取付部材
146:第1プレート
146a:切欠き
147:第2プレート
148:第3プレート
149,150:間隔保持部材
151:プーリ
152,157:タイミングベルト
154:回転軸
155,158:プーリ
159:アイドラ
160:スライド部
161:回転軸
162a,162b:ベアリング
164:プーリ
165,168:軸継手
166:タイミングベルト
169:連結軸
170:ベアリングハウジング
171:ベアリング
173:ブレーキ
175:第1ロッド
175a:孔
176:第2ロッド
177:第3ロッド
180:ベース
181:カバー
182:第1配線固定具
182a,183a:第1固定部
182b,183b:第2固定部
183:第2配線固定具
184a,184b,185a,185b:配線押え部
186:第1保持部
187:第2保持部
188:ボールねじナット
190:先端ブラケット
191a,191b:取付部材
192a,192b,196a:コロ
193:ボール
194a,194b,197a:リターン
195a,195b:取付部材
198:収容部
199:ベース本体
199a:挿通孔
200:ハウジング
201:底壁
201a:突出部
201b,201c:凹部
202,203:側壁
202a,203a:凹部
214,215,216,217:配線
206,207:鋼製レール
206a,207a:溝
208a,209a,210a:フランジ部
208b,209b,210b:ベアリング
211:ねじ込み部材
212,213:フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23