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特許7440087神経内分泌腫瘍の治療における二重標的化のための合成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】神経内分泌腫瘍の治療における二重標的化のための合成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/04 20060101AFI20240220BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240220BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 51/02 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07D249/04 504
A61K47/54
A61K47/10
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K31/4192
A61P25/00
A61K49/00
A61K51/02 200
C08L101/00
C08L71/02
C07D249/04 CSP
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020555772
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019025489
(87)【国際公開番号】W WO2019199532
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】15/950,870
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520390003
【氏名又は名称】ナノファーマスーティカルス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NANOPHARMACEUTICALS, LLC
【住所又は居所原語表記】1 Discovery Drive, Rensselaer, New York 12144 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】ムーサ, シェーカー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャビ, マーディ
(72)【発明者】
【氏名】カラクス, オズレム オー.
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0348425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0255108(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0224115(US,A1)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2018年,28(7),pp.1223-1227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C08L
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化20】
の化合物またはその塩である合成物であって、
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基からなる群から選択され、
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルキル基からなる群から選択され、そして
n1≧0;
n2≧1;そして
【化21】
である、合成物。
【請求項2】
前記R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、イソプロピル基およびtert-ブチル基からなる群から選択される、請求項1に記載の合成物。
【請求項3】
前記化合物は、以下:
【化22】
【化23】
からなる群から選択される化学式を有する、請求項1に記載の合成物。
【請求項4】
前記化合物は、
【化24】
によって与えられる化学式を有する、請求項1に記載の合成物。
【請求項5】
請求項1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍の治療剤。
【請求項6】
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、請求項に記載の治療剤。
【請求項7】
請求項1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を画像化するための薬剤。
【請求項8】
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、請求項に記載の薬剤。
【請求項9】
請求項1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を標的とするための薬剤。
【請求項10】
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、請求項に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、神経内分泌腫瘍を標的にしかつ治療するための合成物に関する。特に、前記合成物は、甲状腺ホルモンαvβ3インテグリン受容体拮抗薬(「チロインテグリン拮抗薬」と呼ぶ)と、ノルエピネフリントランスポーター(NET)またはカテコールアミントランスポーターの標的である化合物(例えばベンジルグアニジン(「BG」)またはその誘導体)とを含み得る。
【背景技術】
【0002】
ノルエピネフリン/カテコールアミントランスポーター(「ノルエピネフリントランスポーター」)は、シナプス終末および副腎クロム親和性細胞でのノルエピネフリンの取り込みに不可欠である。神経内分泌腫瘍では、前記ノルエピネフリントランスポーターは非常に活性が高く、局所放射線療法による画像化および/または治療の対象となり得る。前記ノルエピネフリントランスポーターを標的とする最も広く使用されているセラノスティック薬剤の1つは、ノルエピネフリンのグアニジン類似体であるメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)である。123I/131I-MIBGセラノスティクスは、神経内分泌腫瘍、特に神経芽細胞腫、傍神経節腫、および褐色細胞腫の臨床評価と管理に適用されている。123I-MIBGイメージングは、神経芽細胞腫の評価に使用されており、131I-MIBGは、再発した高リスクの神経芽細胞腫の治療に使用されているが、結果は依然として最適ではない。前記ノルエピネフリントランスポーターとその標的を標的とする陽電子放出断層撮影(PET)用トレーサーは、神経芽細胞腫、傍神経節腫/褐色細胞腫、およびカルチノイドの治療後の画像化と評価のための優れた選択肢の代表である。
【0003】
インテグリンは、細胞表面接着受容体のスーパーファミリーであり、細胞外マトリックス(ECM)および他の細胞の両方への細胞の固体細胞外環境での付着を制御する。接着は細胞にとって基本的に重要である。接着は、定着、移動のきっかけ、および成長と分化のシグナルを提供する。インテグリンは、多くの正常および病的状態に直接関与しており、それ自体が治療的介入の主要な標的である。インテグリンは、不可欠な膜貫通タンパク質であるヘテロダイマーであり、その結合特異性は、14個のα鎖のどれが8個のβ鎖のどれと組み合わされているかに依存する。インテグリンはβ1、β2、β3、またはαv鎖を含む4つの重複するサブファミリーに分類される。細胞は各サブファミリーに由来するいくつかの異なるインテグリンを発現する可能性がある。過去数十年で、インテグリンは細胞接着に関与する主要な受容体であるため、治療的介入の適切な標的である可能性があることが示されている。インテグリンαvβ3は、この受容体のライゲーションが状況によっては腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する可能性があるため、細胞の成長と生存を調節する。抗αvβ3抗体、RGDペプチド、ペプチド模倣物または非ペプチド誘導体、および他のインテグリン拮抗薬による細胞接着の破壊は、腫瘍増殖を遅らせることが示されている。
【0004】
チロインテグリン拮抗薬は、インテグリンαvβ3との相互作用によって腫瘍血管新生に影響を与えることが示されている。チロインテグリン拮抗薬の効果は、Non-Cleavable Polymer Conjugated with Alpha V Beta 3 Integrin Thyroid Antagonists(アルファVベータ3インテグリン甲状腺拮抗薬と結合した切断不可能なポリマー)と題された米国特許出願公開第2017/0348425号に記載され、その内容は参照により援用される。
【0005】
チロインテグリン拮抗薬化合物とノルエピネフリントランスポーターの標的化合物は、当技術分野で高い評価を得ている。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、合成物は、N-ベンジルグアニジンとチロインテグリンαvβ3受容体拮抗薬とを含み、前記N-ベンジルグアニジンと前記チロインテグリンαvβ3受容体拮抗薬は、リンカーによって接続されている。
【0007】
別の態様によれば、合成物は、一般式:
【化1】
またはその塩を含み、式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基からなる群から選択され、式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルキル基からなる群から選択され、nl≧0、n2≧1、および
【化2】
である。
【0008】
別の態様によれば、腫瘍細胞の二重標的化のための合成物は、ノルエピネフリントランスポーター標的とチロインテグリンαvβ3受容体拮抗薬とを含み、前記ノルエピネフリントランスポーター標的と前記αvβ3チロインテグリン受容体拮抗薬は、リンカーによって接続されており、
さらに前記合成物は、a)前記ノルエピネフリントランスポーターおよびb)前記インテグリンαvβ3受容体との反応とを介して腫瘍細胞を二重に標的とするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれる。この特許または特許出願の(複数の)カラー図面を含む公開のコピーは、要求に応じて、必要な手数料を支払うことにより、官庁から提供される。
【0010】
いくつかの実施形態は、以下の図を参照して詳細に説明され、同様の呼称は同様のメンバーを示す。
【0011】
図1図1は、神経内分泌腫瘍の二重標的化で使用するための例示的な合成物の一般式を示す。
【0012】
図2a図2aは、モノアミンを伴うリンカーを有する例示的な合成物の別の一般式を示す。
【0013】
図2b図2bは、ジアミンを伴うリンカーを有する例示的な合成物の別の一般式を示す。
【0014】
図2c図2cは、トリアゾールを伴うリンカーを有する例示的な合成物の別の一般式を示す。
【0015】
図3図3は、合成物300、BG-PEG-TAT、またはBG-P-TATと呼ぶ、神経内分泌腫瘍の二重標的化に使用するための1つの例示的な合成物を示す。
【0016】
図4a図4aは、図3の合成物300の合成経路の概要を示す。
【0017】
図4b図4bは、図4aの合成経路の詳細な概略図を示す。
【0018】
図4c図4cは、合成物201(BG-PEG-MAT)および合成物202(BG-PEG-DAT)と呼ぶ、他の2つの例示的な合成物の生成のための可能な合成経路の概要を示し、前記生成には、トシレート基またはアルデヒドのいずれかを使用する。
【0019】
図4d図4dは、図4cに示される合成物の生成のための代替の合成経路の概要を示し、前記生成には、トシレート基またはアルデヒドのいずれかを使用する。
【0020】
図4e図4eは、アルデヒドを使用する図4cおよび4dの合成経路の詳細な概略図を示す。
【0021】
図4f図4fは、トシレート基を使用する図4cおよび4dの合成経路の詳細な概略図を示す。
【0022】
図5図5は、15日間毎日皮下に1~10mg/kgの範囲の異なる用量で投与された場合に、対照または合成物300のいずれかによる複数日治療中のマウスの体重に有意な変化がないことを示すグラフを示す。
【0023】
図6図6は、対照群の腫瘍体積の増加と比較した、合成物300の皮下での1~10mg/kgでの複数日間の治療中のマウスにおける経時的(15日間)の腫瘍体積の用量依存的な減少を示すグラフを示す。
【0024】
図7a図7aは、中枢性の行動変化を伴うことを示唆する異常な動物の頭の動きとともに、目に見える大きな皮下腫瘍を有する対照群のマウスの画像を示す。
【0025】
図7b図7bは、合成物300で治療され、観察された異常な動物の頭の動きの消失とともに、用量依存的な形式での目に見える皮下腫瘍の有意な減少または欠如(腫瘍の除去までの有意な収縮)を示すマウスの画像を示す。
【0026】
図8図8は、合成物300の投与量の関数としての腫瘍重量のグラフであり、腫瘍が完全に消失するまでの有意な腫瘍収縮を示す。
【0027】
図9a図9aは、腫瘍の写真であり、合成物300の投与量の関数としての相対的な腫瘍サイズおよび血管新生除去を示す。
【0028】
図9b図9bは、合成物300の投与量の関数としての絶対腫瘍サイズを示す腫瘍の写真であり、10mg/kgの投与量レベルでの明確な腫瘍の縮小から消失を示す。
【0029】
図10図10は、合成物300の投与量の関数としての神経芽細胞腫の癌細胞生存率のグラフであり、10mg/kgの投与量レベルでの癌細胞生存率の喪失から完全な喪失を示す。
【0030】
図11図11は、合成物300の投与量の関数としての神経芽細胞腫の癌細胞壊死のグラフであり、3および10mg/kg用量での癌細胞壊死の80~100%の増加を示す。
【0031】
図12a図12aは、MIBG、BG、およびポリマー結合BGを含むさまざまなベンジルグアニジン誘導体を3mg/kgで15日間毎日皮下投与した治療の関数としての腫瘍重量減少のグラフであり、対照(PBS媒体)と比較して40~50%の範囲と同等の収縮を示す。
【0032】
図12b図12bは、BG-P-TAT(合成物300)に対して、ベンジルグアニジン、TAT誘導体、または同時投与したBGとTAT誘導体での治療の関数としての腫瘍重量減少のグラフであり、すべては3mg/kgで15日間毎日皮下投与された(データは、BG、TAT、またはTATと同時投与されたBGでは40~50%の腫瘍縮小であるのに対して、BG-P-TAT(合成物300)では80%が縮小し、そしてBG-P-TATでは癌細胞生存率の最大損失を示した)。
【0033】
図13a図13aは、Cy5標識ポリマー結合TAT(1群)、ポリマー結合BG(2群)、およびポリマー結合BG-TAT(合成物300)(3群)の投与後1時間および2時間でのさまざまなマウスの蛍光画像の写真である。
【0034】
図13b図13bは、投与後4、6、および24時間での図13aのマウスの蛍光画像の写真である(データは明確に、Cy5標識ポリマー結合BG-P-TAT(合成物300)による神経芽細胞腫の腫瘍における明確で最高の強度の蓄積(描写および画像化)およびその広がりを示した)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
開示された合成物および方法の以下に記載される実施形態の詳細な説明は、例示として本明細書に提示され、限定されることなく、図が参照される。特定の実施形態が示され、詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および修正が行われ得ることを理解されたい。本開示の範囲は、構成する構成要素の数、それらの材料、それらの形状、それらの色、それらの相対的配置などに決して限定されず、単に本開示の実施形態の例として開示される。本実施形態およびそれらの利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて解釈される以下の説明を参照することによって取得することができ、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【0036】
詳細な説明の序文として、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数の指示対象を含むことに留意されたい。
概説
【0037】
本開示の実施形態は、新規な化学合成物、およびそれらの合成方法について記載する。本明細書に開示および記載される合成物は、抗血管新生剤、特に、チロインテグリン拮抗薬を対象とし得るが、それらはインテグリンαvβ3受容体ファミリーの1つまたは複数の細胞表面受容体と相互作用することができる可能性がある。本明細書に開示および記載される合成物はまた、ノルエピネフリントランスポーター(カテコールアミントランスポーターとしても知られている)の標的を対象とし得る。前記ノルエピネフリントランスポーターの標的は、神経内分泌腫瘍細胞を標的とする薬剤として作用し得る。
【0038】
本明細書に開示および記載される合成物は、チロインテグリン拮抗薬およびノルエピネフリントランスポーター標的の両方を含む合成物を対象とし得る。さらに、前記合成物は、ポリマーまたは他のリンカーを使用して、前記チロインテグリン拮抗薬と前記ノルエピネフリントランスポーター標的とを連結し得る。
【0039】
前記ノルエピネフリントランスポーターは、正常な生理学におけるカテコールアミン取り込みの調節因子であり、神経芽細胞腫などの神経内分泌腫瘍で高度に発現し、過剰に活性化する。ノルエピネフリン類似体であるメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)は、ノルエピネフリントランスポーターの確立された基質であるが、(123)I/(131)I-MIBGなどの類似体またはヨウ化物(放射性)の代わりにフッ化物(F18)を有する類似体も、神経芽細胞腫および他の神経内分泌腫瘍の画像診断に使用され得る。
【0040】
調査により、さまざまな神経芽細胞腫の細胞株がαvβ3インテグリン受容体を高度に(90~95%)発現していることが示されている。しかし、高親和性αvβ3インテグリン受容体拮抗薬は、腫瘍増殖速度と癌生存率の阻害に関しては限定的な(40~50%の)有効性を示した。同様に、ベンジルグアニジンおよびその誘導体は、神経芽細胞腫および他の神経内分泌腫瘍への最大(90~100%)の取り込みにもかかわらず、神経芽細胞腫の限定的な抗癌効果を示した。さらに、ベンジルグアニジンまたはその誘導体などのノルエピネフリントランスポーター標的とトリアゾールテトラヨードチロ酢酸誘導体などのチロインテグリン拮抗薬との治療の組み合わせは、神経芽細胞腫の増殖および生存率の50%抑制を超えなかった。
【0041】
対照的にかつ予期せぬことに、ベンジルグアニジン誘導体などのノルエピネフリントランスポーター標的と、トリアゾールテトラヨードチロ酢酸誘導体などのチロインテグリン拮抗薬との、ポリエチレングリコール(PEG)などの異なるポリマーリンカーを介した単一の新規化学物質への結合は、神経芽細胞腫および他の神経内分泌腫瘍への最大の取り込みを、さまざまな用量での腫瘍の成長と生存率の最大(80~100%)抑制とともにもたらした。リンカーを介してノルエピネフリン/カテコールアミントランスポーターの標的化合物と結合したチロインテグリン拮抗薬は、神経内分泌腫瘍を標的とするための二重標的化効果を有する合成物を提供し得る。例えば、前記合成物は、本発明の一実施形態による、ベンジルグアニジン(またはベンジルグアニジン誘導体)に連結されたアルファ-V-ベータ-3(αvβ3)インテグリン-甲状腺ホルモン受容体拮抗薬を含み得る。
【0042】
本明細書に記載の合成物は、化合物、例えば、ノルエピネフリントランスポーターの標的に共有結合して単一の化学物質を形成するチロインテグリン拮抗薬またはその誘導体から構成され得る。前記チロインテグリン拮抗薬と前記ノルエピネフリン標的は、リンカーを介して接合することができる。
【0043】
特定のチロインテグリン化合物およびノルエピネフリン化合物、例えば、テトラック、トライアック、およびベンジルグアニジンが参照され得る。これらの表現は、そのような誘導体が具体的に記載されていない場合でも、本開示の全体的な教示に従ってそのような化合物の誘導体を含む。
【0044】
図面を参照すると、図1は、リンカー130を介してノルエピネフリントランスポーター標的120に接合されたチロインテグリン拮抗薬110を含む一般式100の実施形態を示す。この合成物は、リンカー130を介してベンジルグアニジン誘導体に結合したチロインテグリン拮抗薬誘導体、またはリンカー130で修飾されたベンジルグアニジン誘導体に結合したチロインテグリン拮抗薬誘導体と呼び得る。図1は、一般式100のカルボン酸形態を示す。当業者には明らかであるように、一般式100の塩(例えば、ナトリウム塩)も使用することができる。
【0045】
リンカー130は、スペーサー132およびポリマー131を含む。リンカー130は、前記リンカーが生理学的条件下で切断されず維持されるように、生分解に抵抗する。一実施形態では、スペーサー132は、CH単位およびメチレン(CH)単位の隣接する繰り返し結合を含み、これは、n1が≧0である整数であるn1の繰り返しによって定義され得る。他の実施形態では、n1は≧1、≧2または≧3であり得る。リンカー130はさらに、「Y」部分を含む。前記「Y」部分の実施形態は、場合によってはアミンであり得る。例えば、一般式の前記Y部分は、図2aおよび2bの一般式200aおよび200bの例に示されるように、1つのアミン基を有する二価アルカンまたは2つのアミン基を有する二価アルカンであり得る。別の実施形態では、前記Y部分は、図2cに示される一般式200cの例によって示されるように、トリアゾールであり得る。ポリマー131は、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテルを含み得る。他のポリマーも使用することができ、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、および他のポリマーが含まれる。ポリマー131としてPEGを使用する実施形態では、前記ポリマーは、1モルあたり200~4,000gの分子量を有し得る。
【0046】
甲状腺拮抗薬という用語は、当業者によって知られている1つまたは複数の甲状腺ホルモン受容体、例えば、甲状腺ホルモン細胞表面受容体αvβ3などの甲状腺ホルモン受容体のインテグリンファミリーを阻害または拮抗する能力を有する化合物を説明する。チロインテグリン拮抗薬110は、抗血管新生甲状腺ホルモンまたは甲状腺ホルモン受容体拮抗薬であってもよい。例えば、チロインテグリン拮抗薬110は、アルファ-V-ベータ-3(αvβ3)インテグリン-甲状腺ホルモン受容体拮抗薬であってもよい。
【0047】
チロインテグリン拮抗薬110の特定の実施形態は、テトラヨードチロ酢酸(テトラック)、トリヨードチロ酢酸(トライアック)、それらの誘導体およびそれらの変種を含み得る。テトラックおよびトライアックを含むチロインテグリン拮抗薬の1つまたは複数の変種の例には、いくつかの実施形態では、ジアミノテトラック(DAT)またはジアミノトライアック(DATri)(以下、交換可能に「DAT」と呼び得る)、モノアミノテトラック(MAT)またはモノアミノトライアック(MATri)(以下、交換可能に「MAT」と呼ぶ)、トリアゾールテトラック(TAT)またはトリアゾールトリアック(TATri)(以下、交換可能に「TAT」と呼ぶ)、それらの誘導体、または当業者に知られている他の甲状腺拮抗薬が含まれ得る。チロインテグリン拮抗薬は、Non-Cleavable Polymer Conjugated with Alpha V Beta 3 Integrin Thyroid Antagonists(アルファVベータ3インテグリン甲状腺拮抗薬と結合した切断不可能なポリマー)と題された米国特許出願公開第2017/0348425号に記載されたタイプのものであってもよく、その内容は参照により援用される。
【0048】
図1の一般構造100に基づく例示的なチロインテグリン拮抗薬を以下の表1(a)および表1(b)に示す。
【0049】
【表1(a)】
【表1(b)】
【0050】
チロインテグリン拮抗薬110のいくつかの実施形態では、R、R、R、およびRとして示される変数は、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルキルなどの分子で置換され得る。いくつかの実施形態では、前記アルキルは4つ以下の炭素を有する。例えば、表1(a)および表1(b)に示されるように、チロインテグリン拮抗薬110のいくつかの実施形態において、R、R、R、およびRとして示される変数は、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、またはイソプロピルもしくはイソブチルなどのアルキル基の分子と置換され得る。表1(a)および表1(b)の実施形態では、前記アルキルは4つ以下の炭素を有する。
【0051】
ノルエピネフリントランスポーター標的120は、神経内分泌腫瘍細胞を標的とする薬剤であり得る。一例として、ノルエピネフリントランスポーター標的120は、ベンジルグアニジンまたはベンジルグアニジン誘導体であり得る。さらなる例として、ノルエピネフリントランスポーター標的120は、N-ベンジルグアニジンまたはその誘導体であり得る。
【0052】
図1からの一般式100に基づく例示的なノルエピネフリントランスポーター標的120は、以下の表2(a)および表2(b)に示される。
【0053】
【表2(a)】
【表2(b)】
【0054】
ノルエピネフリントランスポーター標的120のいくつかの実施形態において、R、R、R、およびRとして示される変数は、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基などの分子と置換され得る。例えば、ノルエピネフリントランスポーター標的120のいくつかの実施形態において、R、R、R、およびRとして示される変数は、それぞれ独立して、上記の表2(a)および表2(b)に記載されるような水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基の分子と置換され得る。追加の実施形態および置換も使用され得る。一実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは放射性標識である。適切な放射性標識の例には、I(123)、I(131)およびF(18)が含まれる。化合物は、ヒトまたは動物に投与することができる。
【0055】
例示的なチロインテグリン拮抗薬110のいずれかは(本明細書で教示される他のチロインテグリン拮抗薬の実施形態のいずれかとともに)、リンカー130を介して、例示的なノルエピネフリントランスポーター標的120のいずれかに(本明細書で教示される他のノルエピネフリントランスポーター標的の実施形態のいずれかとともに)接合されて、合成物を形成し得る。
【0056】
表1(a)および(b)と表2(a)および(b)から明らかなように、前記合成物中には、チロインテグリン拮抗薬110として使用され得る多数の化合物と、ノルエピネフリントランスポーター標的120として使用され得る多数の化合物とが存在する。さらに、さまざまなチロインテグリン拮抗薬110は、さまざまなノルエピネフリントランスポーター標的120と組み合わせることができ、本明細書に記載の合成物の多数の潜在的な化学構造がもたらされる。
【0057】
本明細書に記載の合成物のそれぞれの実施形態は、血管新生またはその阻害によって調節される複数の異なる疾患を治療するための複数のタイプの有用性を有し得る。記載された合成物中に存在するチロインテグリン拮抗薬110の存在を考慮して、本開示に記載された合成物のそれぞれは、人体およびさまざまな動物体の全体に見られる多数のタイプの細胞に位置するインテグリン受容体αvβ3を標的とする親和性を有し得る。
【0058】
さらに、本出願に記載されている合成物のそれぞれの実施形態は、ノルエピネフリントランスポーターの活性を特徴とする複数の異なる疾患を治療するための有用性を有し得る。記載された合成物中に存在するノルエピネフリントランスポーター標的120の存在を考慮すると、本開示に記載された合成物のそれぞれは、前記ノルエピネフリントランスポーターを利用する人体およびさまざまな動物体の全体に見られる多数のタイプの細胞を標的とする親和性をそれぞれ有し得る。本開示に記載される合成物のそれぞれは、ノルエピネフリントランスポーターの増加したまたは平均以上の活性を示す標的細胞、例えば神経内分泌腫瘍細胞に対する親和性が増加している可能性がある。より具体的な例として、前記合成物は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍の細胞を標的とするための親和性が増加している可能性がある。
【0059】
さらにまた、前記合成物は、チロインテグリン拮抗薬110とノルエピネフリントランスポーター標的120との両方を使用するため、前記合成物は、特定の疾患および/または状態に対する有用性および有効性を高めている可能性がある。例えば、神経内分泌腫瘍は、ノルエピネフリントランスポーターの活性の増加も示しながら、チロインテグリン拮抗薬による治療に対する感受性がある。本明細書に記載の合成物は、神経内分泌腫瘍細胞の治療における二重標的化効果のために両方の化合物を利用する。さらに、増加した効果は、チロインテグリン拮抗薬とノルエピネフリントランスポーター標的による同時で別個の治療によって期待または達成される増加を上回る。有益な有用性に関するさらなる詳細は、実験的研究に関して以下に議論される。
【0060】
図1の一般式100の化学構造によって示されるように、前記化学構造の実施形態は、一般式100のチロインテグリン拮抗薬110の追加の特徴を定義する1つまたは複数の変数を含み得る。例えば、チロインテグリン拮抗薬110のいくつかの実施形態では、R、R、R、およびRとして示される変数は、表1(a)および(b)において先に記載したように、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルキルであり得る。
【0061】
したがって、一般式100のチロインテグリン拮抗薬110として使用することができる広範囲のチロインテグリン拮抗薬化合物が存在する。例えば、図2aに示されるように、チロインテグリン拮抗薬110aは、R~Rに関してヨウ素の置換を含むことができ、その結果、3炭素リンカーおよびY部分としてモノアミンを有するテトラヨードチロ酢酸(テトラック)誘導体の形成をもたらす。一般式200aは、PEGを介してベンジルグアニジンまたはベンジルグアニジン誘導体に結合されたモノアミン-テトラック(MAT)と呼ばれ得る。同様に、図2bでは、前記テトラック分子はさらに、前記炭素リンカーに接続されたジアミノY部分を含む。この一般式200bは、PEGを介してベンジルグアニジンまたはベンジルグアニジン誘導体に結合されたジアミノテトラック(DAT)と呼ばれ得る。図2cの代替の実施形態では、一般式200cは、前記炭素リンカーの単一炭素に接続されたトリアゾール部分を含み得る。この一般式200cは、PEGを介してベンジルグアニジンまたはベンジルグアニジン誘導体に結合されたトリアゾールテトラック(TAT)と呼ばれ得る。
【0062】
他のチロインテグリン拮抗薬化合物もまた、本明細書に記載の合成物を形成する際に使用され得る。例えば、チロインテグリン拮抗薬110a、110b、および110cの一般的な構造を使用することができ、ここで、R~Rのみがヨウ素を含むため、同様のトライアック誘導体が得られる。さらに、上記の表1(a)および(b)に示されるように、チロインテグリン拮抗薬がR~Rのいずれかおよび/またはすべてに関して他の要素または官能基の置換を含む同様の構造を使用することができる。
【0063】
ノルエピネフリントランスポーター標的120は、ベンジルグアニジンまたはベンジルグアニジン誘導体を含み得る。ノルエピネフリントランスポーター標的120の化学構造の実施形態は、図1に示される一般式100のノルエピネフリントランスポーター標的120の追加の特徴を定義する1つまたは複数の変数を含み得る。例えば、ノルエピネフリントランスポーター標的120のいくつかの実施形態において、R、R、R、およびRとして示される変数は、それぞれ独立して、上記の表2(a)および(b)に記載されるような、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基の分子に置換され得る。
【0064】
図3は、一般式100の例示的な合成物300を示す。合成物300は、ベンジルグアニジン修飾PEGに結合されたトリアゾールテトラックを含む。合成物300は、BG-PEG-TATまたはBG-P-TATと呼ばれ得る。
【0065】
本明細書に記載の合成物の合成は、主に図3に示される例示的な合成物、すなわち合成物300を参照して、以下に示される。同様の合成物、すなわち合成物201および合成物202(図4c~4fを参照)の合成もまた、そのような合成物に開示を限定されることなく、例として提供される。
【実施例
【0066】
例1a:例示的な合成物300の合成
【0067】
この例は、図3に示す合成物300を調製するためのサンプルメソッドを提供する。合成物300を、BG-PEG-TATまたはBG-P-TATと呼ぶ。合成物300は、2-(4-(4-((1-(20-(4-(グアニジノメチル)フェノキシ)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサイコシル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-3,5-ジヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル)酢酸、または[4-(4-{1-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(4-グアニジノメチル-フェノキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イルメトキシ}-3,5-ジヨード-フェノキシ)-3,5-ジヨード-フェニル]-酢酸という化学名を有する。合成物300の分子量は、1284.44g/molである。
【0068】
すべての市販の化学物質を、さらに精製することなく使用した。すべての溶媒を乾燥させ、活性化分子篩(溶媒の種類に応じて0.3または0.4nm)を使用して無水溶媒を得た。すべての反応(反応物、溶媒、または共溶媒として水を特に含まない場合)は、オーブンで乾燥させたガラス器具内で、ArまたはN雰囲気下で実行した。すべての新規な化合物は、満足のいくH NMRおよび質量分析の結果をもたらした。融点は、Electrothermal MEL-TEMP(登録商標)融点装置で測定し、次にThomas HOOVER Uni-melキャピラリー融点装置で測定した。赤外線スペクトルは、Thermo Electron Nicolet Avatar 330 FT-IR装置で記録した。UVスペクトルは、SHIMADZU UV-1650PC UV-vis分光光度計から得た。溶液状態NMR実験はすべて、レンセラー工科大学(RPI、トロイ、ニューヨーク州)の生物工学および学際的研究センターで、z軸勾配を備えた極低温冷却プローブ(TCI)を備えたBruker Advance II 800MHz分光計(Bruker BioSpin、ビレリカ、マサチューセッツ州)で実施した。使用したチューブはすべて外径5mmであった。NMRデータは、内部参照としてクロロホルム(CDCl:7.27ppm H、77.20ppm 13C)またはDMSO-d6(δ=2.50ppm、38.92ppm 13C)を参照した。化学シフトδはppmで示す。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、およびbr(ブロード)として示す。結合定数JはHzで報告する。薄層クロマトグラフィーは、蛍光指示薬を用いてシリカゲルプレートで実施した。可視化は、UV光(254および/または365nm)によって、および/またはモリブデン酸セリウムアンモニウムまたは硫酸溶液で染色することによって達成した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、J. Org. Chem. 43, 14, 1978, 2923-2925に示された手順に従って、230~400メッシュシリカゲルを用いて実施した。高分解能質量スペクトル分析は、Applied Biosystems API4000 LC/MS/MSまたはApplied Biosystems QSTAR XL質量分析計のいずれかで実施した。
【0069】
この例では、プロパルギル化テトラック(PGT)を使用する。PGTまたはテトラックからのその誘導体の調製は、Non-Cleavable Polymer Conjugated with Alpha V Beta 3 Integrin Thyroid Antagonists(アルファVベータ3インテグリン甲状腺拮抗薬と結合した切断不可能なポリマー)と題された米国特許出願公開第2017/0348425号に記載され、その内容は参照により援用される。
【0070】
図4aは、合成物300の合成経路の概要を示す。
【0071】
図4bは、図4aの合成経路の詳細な概略図を示す。図4aは、クリックケミストリーを介したベンジルグアニン修飾PEGへのテトラック類似体の結合の例として合成物300の合成のスキームを示す。他の合成経路を使用することもできる。
【0072】
図4bに示される合成物300の合成スキームの個々のステップは、以下でより詳細に説明され、中間生成物は、クリックケミストリースキームに示される番号によって参照される。
【0073】
ヘテロ二官能性PEGの合成
ヘテロ二官能性リンカーは市販されているが、この例の目的のために、調製のための以下の合成経路が使用される。
【化3】
【0074】
生成物2であるtert-ブチル[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]カルバメート2の合成
【化4】
【0075】
tert-ブチル[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]カルバメートは、以前に公開された保護方法に従って合成され{1)ACS Medicinal Chemistry Letters, 8(10), 1025-1030; 2017、2)European Journal of Medicinal Chemistry, 126, 384-407; 2017、3)Tetrahedron Letters, 47(46),8039-8042; 3006}、それらの内容は参照により本明細書に援用される。生成物1,4-ヒドロキシベンジルアミン(0.62g、5mmol)を、室温で二炭酸ジ-tert-ブチル(1.2g、5.1mmol)の溶液に撹拌しながらゆっくりと添加した。反応混合物を8時間撹拌した後、油性残留物をカラムクロマトグラフィー[Si0:EtOAc/ヘキサン(1:4)]によって精製して、0.82gのN-Boc-4-ヒドロキシベンジルアミンを71%の収率で無色の油として得た。
【0076】
生成物3の合成であるtert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシベンジルアミンのブロモアジド修飾PEG(400)3のエーテル化
【化5】
【0077】
CsCO(867mg、2.67mmol、3当量)を、室温で、CAN(25mL)中のtert-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシベンジルアミン(300mg、0.896mmol、l当量)の溶液に撹拌しながら添加した。反応混合物を30分間撹拌した後、ブロモアジド修飾PEG(400)(445mg、1.05mmol、1.2当量)を混合物に加え、次に温度を24時間還流するまで上昇させた。それを過剰なCsC0を除去するためにろ過した。溶媒を減圧下で除去し、油性残留物をカラムクロマトグラフィー[SiO:EtOAc/ヘキサン(5:5)]によって精製して、生成物3を黄色の油として得た。収量:433mg、87%。
【0078】
生成物4の合成。Bocの脱保護
【化6】
【0079】
生成物3(100mg、0.179mmol、3当量)を3mlの無水1,4-ジオキサンに溶解し、3mlのHCl(ジオキサン中4N)をそれに加え、室温で撹拌した。24時間後、溶媒を減圧下で除去し、油性残留物を精製して、生成物4を黄色の油として定量的収量で得た(収量:73g、90%)。
【0080】
生成物5の合成。生成物4のグアニジン化
【化7】
【0081】
生成物4(85mg、0.17mmol、1当量)、N,N’-ジ-Boc-1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン(54mg、17mg、l当量)を3~4mlの無水ジエチルカルボジイミド「DCM」に溶解し、次に、トリエチルアミン「TEA」(48μL、0.35mmol、2当量)を溶液に加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(30ml)に溶解した。有機相を5%HCl(25ml)およびブライン(25ml)で洗浄し、次に乾燥させた(MgSO)。溶媒を減圧下で除去して生成物5を得、これをカラムクロマトグラフィー[SiO:EtOAc/ヘキサン(2:8)]によって精製した。収量:92mg、80%。
【0082】
生成物6の合成
【化8】
【0083】
生成物5(100mg、1当量)および1当量のPGTを20mlのTHFに溶解し、5分間撹拌し、次に2mlの水中の0.5当量のアスコルビン酸Naおよび0.5当量の硫酸銅を混合物に加え、65℃で24時間撹拌した。24時間後、溶媒を減圧下で除去し、生成物6を65%の収率で精製した。
【0084】
合成物300(2-(4-(4-((1-(20-(4-(グアニジノメチル)フェノキシ)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサイコシル)-1H-1,2,3-トリアゾ-ル-4-イル)メトキシ)-3,5-ジヨードフェノキシ)-3,5-ジヨードフェニル)酢酸)の合成
【化9】
【0085】
生成物6(50mg)を3mlの無水1,4-ジオキサンに溶解し、3mlのHCl(ジオキサン中4N)をそれに加え、そして40℃で撹拌した。24時間後、溶媒を減圧下で除去し、油性残留物を精製して、合成物300を黄色の粉末として得た。
【0086】
他の合成方法を使用して、合成物300に到達するか、または図1に示される一般式100を有する他の合成物に到達することができる。
【0087】
例1b:追加の例示的な合成物の合成
【0088】
図4cおよび4dは、他の例示的な合成物、例えば、トシレート基またはアルデヒドのいずれかを使用する、一般式200aに従う合成物201および一般式200bに従う合成物202の合成経路の概要を示す。
【0089】
合成物201は、BG-P-MAT、BG-PEG-MAT、またはPEGを介してモノアミノテトラックに結合したベンジルグアニジンと呼ばれ得る。合成物202は、BG-P-DAT、BG-PEG-DAT、またはPEGを介してジアミノテトラックに結合したベンジルグアニジンと呼ばれ得る。ベンジルグアニジン誘導体または他のノルエピネフリン輸送標的は、本明細書に記載されているように使用することができる。テトラック誘導体または他のチロインテグリン拮抗薬もまた、トライアックおよびトライアック誘導体を含むが、これらに限定されず、本明細書に記載されるように使用され得る。
【0090】
図4eおよび4fは、図4cおよび4dの合成経路の詳細な概略図を示す。図4eおよび4fは、クリックケミストリーを介したベンジルグアニン修飾PEGへのテトラック類似体の結合のさらなる例としての合成物201および202の合成のスキームを示す。この場合も、他の合成経路を使用することができる。
使用方法
【0091】
本明細書に開示される合成物(合成物300、合成物201、および合成物202などの例示的な合成物を含むが、これらに限定されない)は、癌細胞および腫瘍の治療、特に神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍などの神経内分泌腫瘍の治療における新規な二重標的化を実証する。さらに、前記合成物は、別々に使用または投与された、すなわち単一の合成物に結合されていないチロインテグリン拮抗薬またはノルエピネフリントランスポーター標的と比較した場合、神経内分泌腫瘍細胞に対して増加した効力を示す。
【0092】
前記合成物はまた、癌細胞/腫瘍の画像化に使用され得る。例えば、本明細書に記載の合成物は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍を画像化するために使用することができる。画像化は、診断および/または治療モニタリングに望ましい場合がある。さらに、前記合成物は、同時治療および画像化に使用することができる。例えば、前記合成物は、標的とされた癌細胞/腫瘍における保持の増加を示し、治療の強化およびより効果的な画像化を可能にし得る。
【0093】
例2:雌性ヌードマウスの皮下移植腫瘍への効果
【0094】
合成物300(BG-P-TAT)の有効性は、雌性ヌードマウスに移植された神経芽細胞腫SKNF2細胞を使用して試験した。
【0095】
15匹の雌性ヌードマウスに、10細胞/移植を2回移植した。前記SKNF2細胞株は、皮下異種移植片とともに使用された。
【0096】
移植後8日で、前記マウスを4つの群に分け、15日間以下の治療を行った。
【表3】
【0097】
治療の15日後、組織病理学を評価するために腫瘍を収集し、以下の結果が収集された。
【0098】
図5は、SKNF2細胞株を移植したマウスの体重に対する対照および合成物300(BG-PEG-TAT)治療の効果を示す。示されているように、体重はすべての群にわたって一貫していた。データは、合成物300(BG-PEG-TAT)を異なる用量1、3、および10mg/kgで15日間毎日投与しても、対照動物と比較して動物の体重に影響がないことを示す。
【0099】
図6は、SKNF2細胞株を移植したマウスの腫瘍体積に対する合成物300(BG-PEG-TAT)治療と対照の効果を示す。示されるように、対照群は、15日間の治療にわたって腫瘍体積の約825mmから1050mmまでの増加を示した。合成物300(BG-PEG-TAT)による治療を行ったすべての群は、腫瘍サイズの減少を示した。さらに、合成物300(BG-PEG-TAT)で治療を行った群は、腫瘍サイズの用量依存的な減少を示し、10mg/kg群は、約825mmから100mmまでの腫瘍サイズの減少を示した。
【0100】
図7a~7bは、皮下腫瘍70を視覚的に比較することができる各治療群からのマウスの写真を含む。図7aに示すように、対照群は大きくて明確に視認できる腫瘍70を示す。対照動物はまた、異常な旋回(頭の回転)79を示したが、これはすべての治療群には見られなかった。その異常な旋回は、中枢神経系に対する前記腫瘍の影響であると考えられる。
【0101】
図7bに示すように、治療群は、10mg/kgの用量で完全に消失するまで、腫瘍70のサイズが明らかに用量依存的に減少することを示している。示されているように、10mg/kgの治療群では、腫瘍の位置70’に視認できる腫瘍は存在しない。
【0102】
図8は、SKNF2細胞株を移植したマウスの腫瘍重量に対する対照および合成物300(BG-PEG-TAT)治療の効果を示す。見てわかるように、治療群は、対照群と比較して、腫瘍重量の用量依存的な減少を示す。データは、1、3、および10mg/kgの用量でそれぞれ60%、80%、および100%の腫瘍縮小を示す。
【0103】
図9aおよび図9bは、SKNF2細胞株を移植したマウスの血管構造および腫瘍サイズに対する対照および合成物300(BG-PEG-TAT)治療の効果を示す。見てわかるように、対照群は、血管新生の増加として腫瘍70のサイズの有意な増加を示した。対照群の腫瘍70の血管新生領域90は明確に視認できる。これに対して、治療群は、10mg/kgの用量での腫瘍の縮小を含む、腫瘍70のサイズの用量依存的な減少を示す。示されているように、腫瘍血管構造も明らかに減っていた。実際、図9bに示すように、10mg/kgの群に関しては、組織病理学的検査のために除去される移植腫瘍70’(図7bを参照)の位置に壊死した皮膚75のみが存在し、治療は、この用量で腫瘍の縮小を示した。
【0104】
図10は、SKNF2細胞株を移植したマウスの腫瘍細胞生存率に対する対照および合成物300(BG-PEG-TAT)治療の効果を示す。見てわかるように、治療群は腫瘍細胞生存率の用量依存的な減少を示す。対照では70~75%の細胞生存率が示され、腫瘍の中心に20~30%の壊死が見られた。これに対して、異なる用量での合成物300(BG-PEG-TAT)治療は、1、3、および10mg/kgで、それぞれ15日間の毎日の治療で、細胞生存率の50%、20、および0.00%の損失を示した。10mg/kgの群は、15日間の治療後に生存可能な腫瘍細胞の完全な欠如を示した。
【0105】
図11は、SKNF2細胞株を移植したマウスの腫瘍細胞壊死に対する対照および合成物300(BG-PEG-TAT)治療の効果を示す。見てわかるように、治療群は腫瘍細胞壊死の用量依存的な増加を示す。10mg/kg群は100%に近い腫瘍細胞壊死率を示し、3mg/kg群は約80%の腫瘍細胞壊死率を示し、1mg/kgは約50%の腫瘍細胞壊死率を示した。
【0106】
例3:比較用の例
【0107】
図12aおよび12bは、SKNF2細胞株を移植したマウスの腫瘍細胞壊死に対する合成物300(BG-P-TAT)と比較した、BG、BG誘導体、TAT誘導体などのチロインテグリン拮抗薬、およびそれらの組み合わせ(同時投与)による対照および治療の効果を示した。
【0108】
要約すると、腫瘍細胞の治療のための既知のチロインテグリン拮抗薬は、合成物300(BG-P-TAT)と比較した場合、実質的に劣った結果を達成する。例えば、3mg/kgで3週間毎日皮下送達されたトリアゾールテトラック誘導体は、腫瘍の成長を約40~50%減少させ、腫瘍の生存率を約40~50%減少させることが示されている。同様に、トリアゾールテトラック誘導体も、腫瘍の成長を約40~50%減少させ、腫瘍の生存率を約40~50%減少させることが示されている。さらに、3mg/kgで3週間毎日皮下送達された2つのトリアゾールテトラック誘導体の併用治療でさえ、腫瘍成長および腫瘍生存率について40~50%の減少しか達成していない。ベンジルグアニジンおよびベンジルグアニジン誘導体を使用した治療でも同様の結果が得られる。さらに、ベンジルグアニジンとチロインテグリン拮抗薬の同時投与でさえ、40~50%のマークを超える有効性の増加を示すことができない。
【0109】
対照的に、合成物300(BG-P-TAT)による治療は、腫瘍の80%の減少をもたらし、残存腫瘍の生存率を80%減少させた。
【0110】
比較用の例3a:腫瘍重量に対するTAT誘導体の効果
【0111】
前記αvβ3インテグリン受容体拮抗薬(チロインテグリン拮抗薬)は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍などの神経内分泌腫瘍の場合、腫瘍増殖速度と癌生存率阻害に関して限定的な(40~50%の)有効性を示した。例えば、図12bのグラフには、対照群(リン酸緩衝生理食塩水「PBS」)と比較した場合の腫瘍重量に対するトリアゾールテトラック誘導体(TATと呼ぶ)の効果が含まれている。試験された特定の誘導体は、ベータシクロデキストリントリアゾールテトラックであった。示されているように、3mg/kgの投与量は腫瘍重量の約40~50%の減少をもたらした。
【0112】
比較用の例3b:腫瘍重量に対するベンジルグアニジンおよび誘導体の効果
【0113】
同様に、ベンジルグアニジンおよびその誘導体は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍などの神経内分泌腫瘍の場合、腫瘍増殖速度および癌生存率の阻害に関して限定的な(40~50%の)有効性を示す。例えば、図12aのグラフには、対照群(PBS)と比較した場合のベンジルグアニジン(BG)およびベンジルグアニジン誘導体(MIBGおよびポリマー結合ベンジルグアニジン(具体的には、ポリマー-BGと呼ぶPLGA-PEG-BG)など)が腫瘍重量に及ぼす効果が含まれている。治療化合物は、神経芽細胞腫および他の神経内分泌腫瘍へのその最大(90~100%)の取り込みにもかかわらず、神経芽細胞腫の限定的な抗癌効果を示した。
【0114】
比較用の例3c:別々のノルエピネフリントランスポーター標的とチロインテグリン拮抗薬の同時投与の効果
【0115】
さらに、ベンジルグアニジンまたは誘導体などのノルエピネフリントランスポーター標的のトリアゾールテトラヨードチロ酢酸誘導体などのチロインテグリン拮抗薬との同時投与を含む治療の組み合わせは、神経芽細胞腫の増殖および生存率の40~50%の抑制を超えることはなかった。例えば、テトラック誘導体と同時投与されたベンジルグアニジン(BG+TAT)は、図12b(BG+TAT)に示すように、いずれかの化合物での個別治療によって示される40~50%の有効性を超えることはなかった。この場合も、ベータシクロデキストリントリアゾールテトラックが使用されたテトラック誘導体であった。
【0116】
比較用の例3d:合成物300(BG-P-TAT)(PEGを介してTATに結合したベンジルグアニジン)の効果
【0117】
この場合も、合成物300(BG-P-TAT)による治療は、図12bに示すように、対照および他のタイプの治療の両方と比較して、腫瘍重量への効果に有意な改善をもたらした。合成物300は、腫瘍の約80%の減少を達成する。さらに、残存腫瘍の生存率は80%減少した。実際、合成物300(BGに結合したTAT)は、TATとBGを別々に同時投与した場合(BG+TAT)よりも有効性の有意な増加を示した。
【0118】
図12aと12bの比較用の例を以下の表4に要約する。
【0119】
【表4】
【0120】
例4:無胸腺雌性マウスにおける皮下移植腫瘍の画像化
【0121】
無胸腺雌性マウスに、それぞれ10個の細胞/移植を2回移植した。前記SKNF1細胞株を皮下異種移植片とともに使用した。
【0122】
1群は3匹のマウスで構成され、PEG-TAT-色素(Cy5)で治療した。2群は3匹のマウスで構成され、PEG-BG-色素(Cy5)で治療した。3群は3匹のマウスで構成され、TAT-PEG-BG-色素(Cy5)で治療し、ここで、化合物300として前記TATおよびBGは、PEGリンカーで共有結合された。治療群を以下に示す。
【表5】
【0123】
蛍光画像化(Cy5)は、投与後1時間、2時間、4時間、6時間、および24時間に実施された。画像化の結果を図13aおよび13bに示し、ここでは、腫瘍の位置が黄色で囲まれ、前記Cy5色素が赤色で表示される。これらの図に示されているように、TATとBGが共有結合している場合、蛍光シグナルが劇的に増加し、合成物300は、トリアゾールテトラック誘導体単独またはベンジルグアニジン誘導体単独のいずれかと比較した場合、SKNF1神経芽細胞腫腫瘍への取り込みおよび前記腫瘍内の保持時間の両方において顕著な改善を示した。
【0124】
神経芽細胞腫の腫瘍細胞を、議論した治療例で使用した。当業者は、これらの例が他の腫瘍タイプ、特に他の神経内分泌腫瘍の治療のための有効なモデルであることを理解するであろう。さらに、チロインテグリン緩和抗血管新生活性が望まれるノルエピネフリントランスポーターの活性の増加を示す任意の腫瘍または病状は、開示された合成物によって治療され得る。
【0125】
これらの例に照らして、本明細書に記載の合成物は、腫瘍細胞、特に神経内分泌腫瘍に対して増加した効力を示す。これらの合成物は、例えば、注射可能、局所、舌下、経口、および他の投与経路によって、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍などの神経内分泌腫瘍を治療するために使用され得る。
【0126】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることを意図するものではなく、または開示された実施形態に限定されるものでもない。説明された実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に開示される実施形態を理解できるようにするために選択された。
以下に、本発明の実施態様を列挙する。
1.
一般式:
【化10】
の化合物またはその塩を含む合成物であって、
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基からなる群から選択され、
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルカン基からなる群から選択され、そして
n1≧0;
n2≧1;そして
【化11】
である、合成物。
2.
前記R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、イソプロピル基およびtert-ブチル基からなる群から選択される、前記1に記載の合成物。
3.
前記化合物は、以下:
【化12】
【化13】
からなる群から選択される化学式を有する、前記1に記載の合成物。
4.
前記化合物は、
【化14】
によって与えられる化学式を有する、前記1に記載の合成物。
5.
前記化合物は、N-ベンジルグアニジンを含む、前記1に記載の合成物。
6.
前記化合物は、トリヨードチロ酢酸およびテトラヨードチロ酢酸からなる群から選択されるチロインテグリンαvβ3受容体拮抗薬を含む、前記1に記載の合成物。
7.
前記1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍の治療剤。
8.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、前記7に記載の治療剤。
9.
前記1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を画像化するための薬剤。
10.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、前記9に記載の薬剤。
11.
前記1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を標的とするための薬剤。
12.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、前記11に記載の薬剤。
13.
腫瘍細胞を標的とするための、腫瘍細胞を二重に標的とするための、神経内分泌腫瘍を画像化するための、神経内分泌腫瘍を治療するための、または神経内分泌腫瘍の画像化と治療を同時に行うための、前記1に記載の合成物の使用。
以下に、本発明のさらなる実施態様を列挙する。
A1-1.
一般式:
【化15】
の化合物またはその塩である合成物であって、
式中、R 、R 、R 、およびR は、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、フッ素、臭素、メトキシ基、ニトロ基、アミン基、およびニトリル基からなる群から選択され、
式中、R 、R 、R 、およびR は、それぞれ独立して、水素、ヨウ素、およびアルキル基からなる群から選択され、そして
n1≧0;
n2≧1;そして
【化16】
である、合成物。
A1-2.
前記R 、R 、R 、およびR のうちの少なくとも1つは、イソプロピル基およびtert-ブチル基からなる群から選択される、A1-1に記載の合成物。
A1-3.
前記化合物は、以下:
【化17】
【化18】
からなる群から選択される化学式を有する、A1-1に記載の合成物。
A1-4.
前記化合物は、
【化19】
によって与えられる化学式を有する、A1-1に記載の合成物。
A1-5.
A1-1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍の治療剤。
A1-6.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、A1-5に記載の治療剤。
A1-7.
A1-1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を画像化するための薬剤。
A1-8.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、A1-7に記載の薬剤。
A1-9.
前記A1-1に記載の合成物を含む、神経内分泌腫瘍を標的とするための薬剤。
A1-10.
前記神経内分泌腫瘍は、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、およびカルチノイド腫瘍のうちの1つである、A1-9に記載の薬剤。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b