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特許7440101キナーゼ阻害剤としてのヘテロ環式化合物、ヘテロ環式化合物を含む組成物、及びそれらを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤としてのヘテロ環式化合物、ヘテロ環式化合物を含む組成物、及びそれらを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20240220BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07D495/04 103
A61K31/506
A61K45/00
A61P17/04
A61P17/06
A61P19/02
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C07D495/04 CSP
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021515264
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2019087534
(87)【国際公開番号】W WO2019223632
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】201810496014.5
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520457878
【氏名又は名称】ジェイエス・イノメッド・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジンタオ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シャンジョン・ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・シュ
(72)【発明者】
【氏名】アオ・リ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538768(JP,A)
【文献】特表2018-500340(JP,A)
【文献】特表2015-508828(JP,A)
【文献】特表2018-532737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/04
A61K 31/506
A61K 45/00
A61P 17/04
A61P 17/06
A61P 19/02
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、L1、L2、X1及びX2は、以下のように定義される:
R1が、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C4~8シクロアルケニル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~8員環ヘテロシクリル、アリール、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基から選択され、R1に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、オキソ、CN、N3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから独立して選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R7、-C(O)N(R8aR8b)、-C(=NR9)N(R8aR8b)、-C(O)R7、-SO0~2R10、-SO(=NR9)R10、-SO1~2N(R8aR8b)、-N(R8aR8b)、-N(R8a)C(O)R10、-N(R8a)C(=NR9)R10、-N(R8a)SO1~2R10、-N(R8c)C(O)N(R8aR8b)、-N(R8c)C(=NR9)N(R8aR8b)、-N(R8c)SO1~2N(R8aR8b)及び-N(R8a)CO2R10から独立して選択される1から4個の置換基であり、R7、R8a、R8b及びR8cが、独立して、H、又はD、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R9が、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R10が、D、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R1の同一の、又は隣接した炭素原子上の2個の置換基が、任意選択で、一緒になって、飽和又は芳香族であり得、任意選択で、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有し、D、Me、ハロ、OH、オキソ、C1~C4アルコキシ、NH2、C1~C4アルキルアミノ及びジ(C1~C4アルキル)アミノから独立して選択される1~2個の基により任意選択で置換されていてもよい5~6員環を形成し得、
R2が、アリール、並びにN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択され、R2が、D、ハロ、-OH、=O、CN、N3、CF3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R11、-C(O)N(R12aR12b)、-C(=NR13)N(R12aR12b)、-C(O)R11、-SO0~2R14、-SO(=NR13)R14、-SO1~2N(R12aR12b)、-N(R12aR12b)、-N(R12a)C(O)R11、-N(R12a)C(=NR13)R11、-N(R12a)SO1~2R14、-N(R12c)C(O)N(R12aR12b)、-N(R12c)C(=NR13)N(R12aR12b)、-N(R12c)SO1~2N(R12aR12b)及び-N(R12a)CO2R14から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換され、R11、R12a、R12b及びR12cが、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R13が、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R14が、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R3が、H、D及びFから選択され、
R4が、H、D、F、並びにD、ハロ、-OH、=O、CN、N3、-CO2R15、-C(O)N(R16aR16b)、-C(=NR17)N(R16aR16b)、-C(O)R15、-SO0~2R18、-SO(=NR17)R18、-SO1~2N(R16aR16b)、-N(R16aR16b)、-N(R16a)C(O)R15、-N(R16a)C(=NR17)R15、-N(R16a)SO1~2R18、-N(R16c)C(O)N(R16aR16b)、-N(R16c)C(=NR17)N(R16aR16b)、-N(R16c)SO1~2N(R16aR16b)及び-N(R16a)CO2R18から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルから選択され、R15、R16a、R16b及びR16cが、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R17が、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R18が、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R5及びR6が、Hと、C1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル、並びにN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~6員環ヘテロシクリルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ及びC3~C6シクロアルキルから独立して選択される1から3個の置換基であり、
R2及びR4が、任意選択で、環化して、追加のC5~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~6員環ヘテロ環式環を形成し得、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
L1が、結合、-C(R19aR19b)-、-C(O)NR20-及び-C(R19aR19b)NR20-から選択され、R19a、R19b及びR20が、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、そのそれぞれが、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されており、
L2が、結合及び-C(R21aR21b)-から選択され、R21a及びR21bが、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2、-OPO3H2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、
X1が、CR22a及びNから選択され、R22aが、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択され、
X2が、CR22b及びNから選択され、R22bが、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
X1及びX2がNである、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
X1はCHであり、X2はCR22bであり、R22bが、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
X1がNであり、X2がCR22bであり、R22bが、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
R1が、フェニル、ピリジン、ピリドン、ピラジン、ピリダジン、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラン、1,2,5-オキサジアゾール(フラザン)及びチオフェンから選択され、そのそれぞれが、オキソ、D、ハロ、CN、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ及びC3~C6-シクロアルキルから独立して選択される1又は2個の基により任意選択で置換されている、請求項1から4に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
R1が、R1aから選択され、R1aが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロフラン、オキセタン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン(チアシクロヘキサン)及びテトラヒドロチオフラン(チアシクロペンタン)から選択され、そのそれぞれが、オキソ、D、ハロ、CN、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C8シクロアルキル、-COOR23、-SO2R24、-N(R25aR25b)、-N(R25a)C(O)R24、- N(R25a)SO2R24、-N(R25a)COOR24、-CON(R25aR25b)及び-SO2N(R25aR25b)から独立して選択される1又は2個の基により任意選択で置換されており、各R23、R25a及びR25bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R24が、C1~C4アルキルである、請求項1から5に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
R2が、フェニルであり、ハロ、D、CN、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、-SR26、-SO2R26、-N(R27aR27b)、-N(R27a)C(O)R26及び-SO2N(R27aR27b)から独立して選択される3個までの基により任意選択で置換されており、各R27a及びR27bが、H、C1~C4アルキル及びC1~C4ハロアルキルから独立して選択され、R26が、C1~C4アルキルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項8】
R2が、チオフェン、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン又はピリダジンであり、D、ハロ、CN、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-SO2R28、-N(R29aR29b)、-N(R29a)C(O)R28及び-SO2N(R29aR29b)から独立して選択される3個までの基により任意選択で置換されており、各R29a及びR29bが、H、C1~C4アルキル及びC1~C4ハロアルキルから独立して選択され、R28が、C1~C4アルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項9】
R3がHであり、L1及びL2が結合であり、R4が、メチル又はエチルであり、フルオロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、-OP(O)(OH)2、メトキシ又はエトキシにより任意選択で置換されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項10】
L1及びL2が結合であり、R3及びR4が、H又はDである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項11】
L1が-C(O)NH-である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
式IA
【化2】
(式中、
R1が、フェニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール若しくはチアゾールであり、これらが、D、F、Cl、Br、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、CH2F、CHF2、CF3、MeO、EtO、i-PrO、PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、-O(シクロプロピル)、-(CH2)2OH、-(CH2)2OMe-(CH2)2NHSO2NH2 -O(CH2)2OH、-O(CH2)2OMe及び-O(CH2)2NHSO2NH2から独立して選択される2個までの基で置換されていてよく、
又は、R1が、非芳香族シクロアルキル若しくはヘテロ環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、3-オキセタニル、3-若しくは4-ピペリジニル、4-若しくは3-ピペリジン-2-オニル、3-若しくは4-チアシクロペンタン、3-チアシクロヘキサン、3-テトラヒドロフランであり、環硫黄が、スルホキシド若しくはスルホン酸化状態に酸化されていてよく、これらの環のそれぞれが、D、F、Cl、CN、アミノ、NHMe、NMe2、Me、Et、i-Pr、シクロプロピル、NHSO2Me、NHCOMe、オキソ、OH、OMe、-CH2OH及びCF3から独立して選択される1~3個の基で置換されていてよく、1,4-二置換シクロヘキシルが、1及び4位に付着している基の間において、cis若しくはtrans相対立体化学を、例えば、これらの基の間において、trans相対配向を有し得、
R2が、D、アミノ、ハロ、CF3、CN、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-COOR30、-SO2R31、-N(R32aR32b)、-N(R32a)C(O)R31、-SO2N(R32aR32b)及び-N(R32a)SO2R31から独立して選択される1~2個の基により、任意選択で置換されているフェニル、ピリジン又はチエニルであり、各R30、R32a及びR32bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R31が、C1~C4アルキルであり、
R4が、H、D及び-CH2R*から選択され、R*が、H,-OH、F、-NH2、-NHMe、-NMe2、-OP(O)(OH)2及び-OMeから選択され、
R5及びR6が、H、並びにC1~C4アルキルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシから独立して選択される1から3個の置換基であり、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R22bが、H、ハロ及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物である、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
式IB
【化3】
(式中、
R1が、フェニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール若しくはチアゾールであり、これらが、D、F、Cl、Br、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、CH2F、CHF2、CF3、MeO、EtO、i-PrO、PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、-O(シクロプロピル)、-(CH2)2OH、-(CH2)2OMe-(CH2)2NHSO2NH2 -O(CH2)2OH、-O(CH2)2OMe及び-O(CH2)2NHSO2NH2から独立して選択される2個までの基で置換されていてよく、
又は、R1が、非芳香族シクロアルキル若しくはヘテロ環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、3-オキセタニル、3-若しくは4-ピペリジニル、4-若しくは3-ピペリジン-2-オニル、3-若しくは4-チアシクロペンタン、3-チアシクロヘキサン、3-テトラヒドロフランであり、環硫黄が、スルホキシド若しくはスルホン酸化状態に酸化されていてよく、これらの環のそれぞれが、D、F、Cl、CN、アミノ、NHMe、NMe2、Me、Et、i-Pr、シクロプロピル、NHSO2Me、NHCOMe、オキソ、OH、OMe、-CH2OH及びCF3から独立して選択される1~3個の基で置換されていてよく、1,4-二置換シクロヘキシルが、1及び4位に付着している基の間において、cis若しくはtrans相対立体化学を、例えば、これらの基の間において、trans相対配向を有し得、
R2が、D、アミノ、ハロ、CF3、CN、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-COOR30、-SO2R31、-N(R32aR32b)、-N(R32a)C(O)R31、-SO2N(R32aR32b)及び-N(R32a)SO2R31から独立して選択される1~2個の基により、任意選択で置換されているフェニル、ピリジン又はチエニルであり、各R30、R32a及びR32bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R31が、C1~C4アルキルであり、
R5及びR6が、H、並びにC1~C4アルキルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシから独立して選択される1から3個の置換基であり、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R22bが、H、ハロ及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物である、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
式IC:
【化4】
(式中:
R33が、H、D及び-CH2R*から選択され、R*が、H及びC1~C4アルキルから選択され、R34が、H、D及び-CH2R*から選択され、R*が、H、-OH、F、-NH2、-NHMe、-NMe2、-OP(O)(OH)2及び-OMeから選択され、
Zが、O又は2Hであり、
R1が、フェニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール若しくはチアゾールであり、これらが、D、F、Cl、Br、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、CH2F、CHF2、CF3、MeO、EtO、i-PrO、PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、-O(シクロプロピル)、-(CH2)2OH、-(CH2)2OMe-(CH2)2NHSO2NH2 -O(CH2)2OH、-O(CH2)2OMe及び-O(CH2)2NHSO2NH2から独立して選択される2個までの基で置換されていてよく、
又は、R1が、非芳香族シクロアルキル若しくはヘテロ環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、3-オキセタニル、3-若しくは4-ピペリジニル、4-若しくは3-ピペリジン-2-オニル、3-若しくは4-チアシクロペンタン、3-チアシクロヘキサン、3-テトラヒドロフランであり、環硫黄が、スルホキシド若しくはスルホン酸化状態に酸化されていてよく、これらの環のそれぞれが、D、F、Cl、CN、アミノ、NHMe、NMe2、Me、Et、i-Pr、シクロプロピル、NHSO2Me、NHCOMe、オキソ、OH、OMe、-CH2OH及びCF3から独立して選択される1~3個の基で置換されていてよく、1,4-二置換シクロヘキシルが、1及び4位に付着している基の間において、cis若しくはtrans相対立体化学を、例えば、これらの基の間において、trans相対配向を有し得、
R2が、D、アミノ、ハロ、CF3、CN、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-COOR30、-SO2R31、-N(R32aR32b)、-N(R32a)C(O)R31、-SO2N(R32aR32b)及び-N(R32a)SO2R31から独立して選択される1~2個の基により、任意選択で置換されているフェニル、ピリジン又はチエニルであり、各R30、R32a及びR32bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R31が、C1~C4アルキルであり、
R5及びR6が、H、並びにC1~C4アルキルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシから独立して選択される1から3個の置換基であり、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R22bが、H、ハロ及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物である、請求項1に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項15】
式ID
【化5】
(式中、
R35及びR36が、H、F、CN、-CF3、OMe、OCF3、SMe並びにC1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル及びC1~C4アルコキシルから選択される任意選択の置換されている基から独立して選択され、任意選択の置換基が、ハロゲンから独立して選択される1から3個の置換基であり、
Z1及びZ2が、CH及びNから独立して選択され、
R1が、フェニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール若しくはチアゾールであり、これらが、D、F、Cl、Br、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、CH2F、CHF2、CF3、MeO、EtO、i-PrO、PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、-O(シクロプロピル)、-(CH2)2OH、-(CH2)2OMe-(CH2)2NHSO2NH2 -O(CH2)2OH、-O(CH2)2OMe及び-O(CH2)2NHSO2NH2から独立して選択される2個までの基で置換されていてよく、
又は、R1が、非芳香族シクロアルキル若しくはヘテロ環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、3-オキセタニル、3-若しくは4-ピペリジニル、4-若しくは3-ピペリジン-2-オニル、3-若しくは4-チアシクロペンタン、3-チアシクロヘキサン、3-テトラヒドロフランであり、環硫黄が、スルホキシド若しくはスルホン酸化状態に酸化されていてよく、これらの環のそれぞれが、D、F、Cl、CN、アミノ、NHMe、NMe2、Me、Et、i-Pr、シクロプロピル、NHSO2Me、NHCOMe、オキソ、OH、OMe、-CH2OH及びCF3から独立して選択される1~3個の基で置換されていてよく、1,4-二置換シクロヘキシルが、1及び4位に付着している基の間において、cis若しくはtrans相対立体化学を、例えば、これらの基の間において、trans相対配向を有し得、
R2が、D、アミノ、ハロ、CF3、CN、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-COOR30、-SO2R31、-N(R32aR32b)、-N(R32a)C(O)R31、-SO2N(R32aR32b)及び-N(R32a)SO2R31から独立して選択される1~2個の基により、任意選択で置換されているフェニル、ピリジン又はチエニルであり、各R30、R32a及びR32bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R31が、C1~C4アルキルであり、
R5及びR6が、H、並びにC1~C4アルキルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシから独立して選択される1から3個の置換基であり、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R22bが、H、ハロ及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
R1が、
【化6】
(式中、各R1Aが、H、Me、Et、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、CH2F、CF2H及びCF3から独立して選択され、R1B、R1C及びR1Dが、H、Me、Et、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、CH2F、CF2H、CF3、MeO、EtO、PrO、i-PrO、c-PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、c-PrOCN、Cl及びFから独立して選択される)から選択される、請求項12から15のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩。
【請求項17】
以下の化合物、及びその立体異性体、互変異性体、安定同位体並びに薬学的に許容できる塩から選択される、請求項1に記載の化合物:
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
5-(3-クロロベンジル)-6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((3-(トリフルオロメチル)イソオキサゾール-5-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-5-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセトアミド、
N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパンアミド、
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)-N-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド及び
(S)-5-(2-((1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ)エチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン。
【請求項18】
少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と混和した、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項19】
治療併用剤を更に含む、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
治療併用剤が、抗癌化合物、鎮痛剤及び抗炎症剤化合物から選択される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
癌を処置するための剤であって、対象に、治療有効量の請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物を含む剤。
【請求項22】
癌が、腺腫、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、結腸癌、表皮癌、濾胞状癌、泌尿生殖器癌、膠芽腫、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、肝細胞腫、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、例えば小細胞又は非小細胞肺癌、白血病、例えばAML又はCML、多発性骨髄腫、リンパ障害、黒色腫を含む皮膚癌、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精巣癌、及び甲状腺癌から選択される、請求項21に記載の剤。
【請求項23】
医薬として使用するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
癌を処置するための医薬の製造における、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項25】
患者における炎症性疾患を処置するための剤であって、対象に、治療有効量の、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できる担体を含み、炎症性疾患が、関節リウマチ、乾癬又は湿疹から選択される、剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月22日に出願された中国特許出願201810496014.5号の優先権の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)阻害剤としての役割を果たし得る、新規なヘテロ環式化合物が、本明細書で開示されている。そのような化合物の少なくとも1つを含む薬学的組成物、並びに、ERKにより調節される疾患、例えば癌の処置における、そのような化合物の少なくとも1つを使用する方法が、本明細書で更に開示されている。
【0003】
Ras-Raf-Mek-Erk細胞内シグナル伝達カスケードは、活性化受容体チロシンキナーゼ(RTK)、例えばErbBファミリー、PDGF、FGF及びVEGFから、増殖、生存、成長及び分化シグナルを、細胞内部に伝える中枢シグナル伝達モジュールとして公知である(Sebolt-Leopold, J. S.及びHerrera, R.、Nat. Rev. Cancer、41:937~947頁、2004年、Kolch, W.、Nat. Rev. Mol. Cell Biol.、61:827~837頁、2005年)。このシグナル伝達軸は、Ras、Raf、Mek(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ)、Erk(細胞外シグナル調節キナーゼ)タンパク質を含み、これらはすべて、高相同性アイソフォームとして存在する。Rasタンパク質(例えば、H-Ras、N-Ras及びK-Ras)は、RTKの細胞内キナーゼドメインの近接部位において活性化される、21kDaのGTPアーゼである。Rafキナーゼ(例えば、RafA、RafB及びRafC)は、GTPがローディングされたRasに結合することにより活性化されるRasの中間的下流エフェクター(intermediate downstream effector)である。Rafキナーゼは、2つの密接に隣接したセリン残基の上でMek(Mek1及びMek2)をリン酸化し、Mek1のケースでは、S218及びS222の上でリン酸化する。Mekは、ErkのTXYモチーフ内におけるトレオニン及びチロシン残基をリン酸化する二重特異性トレオニン/チロシンキナーゼであり、Tはトレオニンを表し、Yはチロシンを表し、Xは任意のアミノ酸を表す。Erkタンパク質(Erk1及びErk2)は、MAPK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)としても公知であり、細胞プロセス、例えば分裂、増殖、遊走及びアポトーシスに参加する、100種超の下流の細胞質ゾルタンパク質及び核標的タンパク質をリン酸化するセリン/トレオニンキナーゼである(Yoon, S.及びSeger, R.、Growth Factors、24:21~44頁、2006年)。これらのリン酸化反応は、標的タンパク質の活性を実質的に調節し、一般的には刺激し、細胞の生理学的状態を大幅に変更し得る。
【0004】
Ras-Raf-Mek-Erkカスケードシグナル伝達経路の病理学的活性化により、ヒト癌、免疫機能不全及び過剰炎症状態の機構の態様の大半が説明されることが公知である。シグナル伝達経路の活性化は、過剰なRTKリガンドの自己分泌若しくは傍分泌生成、又は、変異若しくは過剰発現による細胞表面受容体の構成的活性化の結果として、或いは、より一般的には、B-Raf及びRasファミリーメンバーの機能獲得変異を介して発生し得る。発癌性形態のRasは、すべてのヒト癌の30%に関与すると報告されている。K-Rasにおける変異は、膵臓癌の90%、及び結腸直腸癌、粘液性卵巣癌及び非小細胞肺癌の25%から50%で発生する一方、H-Rasにおける変異は、膀胱癌、腎臓癌及び甲状腺癌において一般的であり、N-Ras変異は、黒色腫、肝細胞癌及び血液悪性腫瘍で見出される(Adjei, A.、J. Natl. Cancer Inst.、93:1062~74頁、2001年、Aviel-Ronen, S.ら、Clin Lung Cancer、8:30~8頁、2006年)。B-Raf変異は、悪性黒色腫の66%から70%、非乳頭状甲状腺癌の70%、低グレード卵巣漿液性腫瘍の35%、並びに、例えば、結腸直腸癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌を含む幅広い他の癌に発生する(Thomas, N., Melanoma Res、16:97~103頁、2006年、Singer, G.ら、J. Natl. Cancer Inst.、95:484~6頁、2003年、Brose, M.ら、Cancer Res.、62:6997~7000頁、2002年)。
【0005】
Ras-Raf-Mek-Erkシグナル伝達経路の活性の阻害は、特に癌を処置するための薬物発見の焦点となっている(Sebolt-Leopold, J.、Oncogene、19:16564~6599頁、2000年)。B-Raf及びMekの小分子阻害剤は、Ras及びRafにより媒介される細胞変換、Erk活性化及び依存性プロセス、in vitroの細胞増殖、in vivoの腫瘍成長を効率的に阻害すると示されている(Mallon, R.ら、Mol. Cancer Ther.、31:755~762頁、2004年、Sebolt-Leopold, J.、Curr. Pharm. Des.、101:1907~1914頁、2004年、Sebolt-Leopold J.及びHerrera, R.、Nat. Rev. Cancer、41:937~947頁、2004年)。様々なタイプの癌における複数のRaf及びMek小分子阻害剤の臨床効果を実証することで、癌を処置するためのこのシグナル伝達経路を標的とする最終的な検証が得られた(Crane, E.及びWang, K.、Topics Anti-Cancer Res.、2:63~94頁、2013年)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2004078163
【非特許文献】
【0007】
【文献】Sebolt-Leopold, J. S.及びHerrera, R.、Nat. Rev. Cancer、41:937~947頁、2004年
【文献】Kolch, W.、Nat. Rev. Mol. Cell Biol.、61:827~837頁、2005年
【文献】Yoon, S.及びSeger, R.、Growth Factors、24:21~44頁、2006年
【文献】Adjei, A.、J. Natl. Cancer Inst.、93:1062~74頁、2001年
【文献】Aviel-Ronen, S.ら、Clin Lung Cancer、8:30~8頁、2006年
【文献】Thomas, N., Melanoma Res、16:97~103頁、2006年、
【文献】Singer, G.ら、J. Natl. Cancer Inst.、95:484~6頁、2003年
【文献】Brose, M.ら、Cancer Res.、62:6997~7000頁、2002年
【文献】Sebolt-Leopold, J.、Oncogene、19:16564~6599頁、2000年
【文献】Mallon, R.ら、Mol. Cancer Ther.、31:755~762頁、2004年、
【文献】Sebolt-Leopold, J.、Curr. Pharm. Des.、101:1907~1914頁、2004年
【文献】Crane, E.及びWang, K.、Topics Anti-Cancer Res.、2:63~94頁、2013年
【文献】Remington's Pharmaceutical Sciences, A. Osol
【文献】REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第20版、Mack Publishing Company、Easton, Pa.、(1985年)
【文献】HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS : PROPERTIES, SELECTION, AND USE、Stahl及びWermuth著(Wiley-VCH、Weinheim、Germany、2002年)
【文献】REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版、Mack Printing Company、1990年、1289~1329頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Ras-Raf-Mek-Erkシグナル伝達カスケードにおいてErkタンパク質が下流に位置することを考慮すると、Erkの阻害により、経路の活性を下方調節する代替方略が得られる。したがって、Erk小分子阻害剤を、例えば、脳、肺、結腸、乳房、胃、膵臓、頭頸部、食道、腎臓(renal)、腎臓(kidney)、卵巣、皮膚、前立腺、精巣、婦人科臓器(gynecological)又は甲状腺から生じる広域スペクトルのヒト癌に対する新規な治療剤として開発する確実な根拠がある。更に、Erk阻害剤は、例えば、非癌性過剰増殖性障害(例えば、皮膚の良性肥厚、再狭窄、良性前立腺肥大)、膵炎、腎臓疾患、疼痛、脈管形成又は血管形成に関連した疾患、急性及び慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患)、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹及び強皮症)、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性、喘息、敗血症性ショック、T細胞介在性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置するためにも使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
式I
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、L1、L2、X1及びX2は、本明細書で定義される:
R1は、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C4~8シクロアルケニル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~8員環ヘテロシクリル、アリール、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基から選択され、R1に対する任意選択の置換基は、D、ハロ、-OH、オキソ、CN、N3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから独立して選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R7、-C(O)N(R8aR8b)、-C(=NR9)N(R8aR8b)、-C(O)R7、-SO0~2R10、-SO(=NR9)R10、-SO1~2N(R8aR8b)、-N(R8aR8b)、-N(R8a)C(O)R10、-N(R8a)C(=NR9)R10、-N(R8a)SO1~2R10、-N(R8c)C(O)N(R8aR8b)、-N(R8c)C(=NR9)N(R8aR8b)、-N(R8c)SO1~2N(R8aR8b)及び-N(R8a)CO2R10から独立して選択される1から4個の置換基であり、R7、R8a、R8b及びR8cは、独立して、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R9は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R10は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R1の同一の、又は隣接した炭素原子上の2個の置換基は、任意選択で、一緒になって、飽和又は芳香族であり得、任意選択で、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有し、D、Me、ハロ、OH、オキソ、C1~C4アルコキシ、NH2、C1~C4アルキルアミノ及びジ(C1~C4アルキル)アミノから独立して選択される1~2個の基により任意選択で置換されていてもよい5~6員環を形成し得、
R2は、アリール、並びにN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択され、R2は、D、ハロ、-OH、=O、CN、N3、CF3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R11、-C(O)N(R12aR12b)、-C(=NR13)N(R12aR12b)、-C(O)R11、-SO0~2R14、-SO(=NR13)R14、-SO1~2N(R12aR12b)、-N(R12aR12b)、-N(R12a)C(O)R11、-N(R12a)C(=NR13)R11、-N(R12a)SO1~2R14、-N(R12c)C(O)N(R12aR12b)、-N(R12c)C(=NR13)N(R12aR12b)、-N(R12c)SO1~2N(R12aR12b)及び-N(R12a)CO2R14から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換され、R11、R12a、R12b及びR12cは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R13は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R14は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R3は、H、D及びFから選択され、
R4は、H、D、F、並びにD、ハロ、-OH、=O、CN、N3、-CO2R15、-C(O)N(R16aR16b)、-C(=NR17)N(R16aR16b)、-C(O)R15、-SO0~2R18、-SO(=NR17)R18、-SO1~2N(R16aR16b)、-N(R16aR16b)、-N(R16a)C(O)R15、-N(R16a)C(=NR17)R15、-N(R16a)SO1~2R18、-N(R16c)C(O)N(R16aR16b)、-N(R16c)C(=NR17)N(R16aR16b)、-N(R16c)SO1~2N(R16aR16b)及び-N(R16a)CO2R18から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルから選択され、R15、R16a、R16b及びR16cは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R17は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R18は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R5及びR6は、Hと、C1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル、並びにN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~6員環ヘテロシクリルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基は、D、ハロ、-OH、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ及びC3~C6シクロアルキルから独立して選択される1から3個の置換基であり、
R2及びR4は、任意選択で、環化して、追加のC5~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R5及びR6は、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
L1は、結合、-C(R19aR19b)-、-C(O)NR20-及び-C(R19aR19b)NR20-から選択され、R19a、R19b及びR20は、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、そのそれぞれは、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されており、
L2は、結合及び-C(R21aR21b)-から選択され、R21a及びR21bは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2、-OPO3H2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、
X1は、CR22a及びNから選択され、R22aは、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択され、
X2は、CR22b及びNから選択され、R22bは、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩が、本明細書で開示されている。
【0012】
本明細書で開示されている式Iの化合物及び/若しくはその立体異性体、互変異性体、安定同位体、又は薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物も、本明細書で開示されている。
【0013】
タンパク質Erkと、有効量の、本明細書で開示されている式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩を接触させる工程を含む、Erkの活性を阻害する方法が、本明細書で更に開示されている。
【0014】
患者におけるErkの阻害により、処置可能な疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。
【0015】
患者におけるErkの阻害により、処置可能な疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、本明細書で開示されている式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む、有効量の薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。
【0016】
患者における癌を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、本明細書で開示されている式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む、有効量の薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、癌は、結腸癌、胃癌、白血病、リンパ腫、黒色腫又は膵臓癌である。
【0017】
患者における炎症性疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬又は湿疹である。
【0018】
Erkの阻害に反応する疾患、例えば癌又は炎症性疾患を処置するための薬物の調製における、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容できる塩の使用が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、癌は、結腸癌、胃癌、白血病、リンパ腫、黒色腫又は膵臓癌である。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬又は湿疹である。
【0019】
式Iの化合物及び本明細書に記載されている式Iの亜属、また、これらの化合物の薬学的に許容できる塩、及びそれらのすべての立体異性体(ジアステレオ異性体及び鏡像異性体を含む)、互変異性体及び同位体濃縮されたもの(重水素置換を含む)が、本明細書で更に開示されている。本開示の化合物は、式Iの化合物の塩(又はその部分式)も含む。本明細書に記載されているもののような、これらの化合物は、ERK阻害に反応する状態を処置するために、また、これらの障害を処置するための医薬の調製における用途に、使用できる。本明細書に記載されている薬学的組成物及び方法も、併用治療剤と使用でき、又はそれと製剤化でき、例えば、式Iの化合物及びその下位式は、B-RAF阻害剤、及び本明細書に更に記載されている他の治療剤と使用でき、又はそれと製剤化できる。
【0020】
式Iの化合物、並びに本開示の化合物を作製するのに有用な、重要な中間体化合物を作製する方法が、更に開示されている。
【0021】
本明細書で使用されている以下の言葉、語句及び記号は、一般的に、それらが使用されている文脈が、別途指し示す場合を除き、以下に明記されている意味を有することを意図されている。以下の略語及び用語は、全体を通して指し示されている意味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の定義は、別途示されない限り、又は文脈から明らかでない限り、適用される。
【0023】
2つの文字又は記号間にないダッシュ(「-」)は、置換基の付着点を指し示すために使用される。例えば、-CONRaRbは、炭素原子を介して付着する。
【0024】
別途明らかに指し示されていない限り、「a」、「an」等という用語の使用は、1つ又は複数を指す。
【0025】
本明細書における「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を指す。ハロゲン-置換基及び部分、例えばハロゲン(ハロアルキル)により置換されているアルキルは、モノハロゲン化、ポリハロゲン化又は過ハロゲン化されていてよい。クロロ及びフルオロは、特記しない限り、アルキル又はシクロアルキル基上におけるハロ置換基の例であり、フルオロ、クロロ及びブロモは、例えば、別途示されない限りアリール又はヘテロアリール基上でよく使用される。
【0026】
本明細書で使用されている「ヘテロ原子(heteroatoms)」又は「ヘテロ原子(hetero atoms)」という用語は、別途示されない限り、窒素(N)又は酸素(O)又は硫黄(S)原子、特に窒素又は酸素を指す。
【0027】
本明細書で使用される「任意選択の」又は「任意選択で」という用語は、続いて、記載されている事象又は状況が発生してもよく、又はしなくてもよいこと、また、記載が、事象又は状況が発生する例、及び、発生しない例を含むことを意味する。例えば、「Xで、任意選択で置換されているアルキル」は、「Xの置換を伴わないアルキル」及び「Xで置換されているアルキル」の両方を包含する。1個又は複数の置換基を含有する任意の基に関して、そのような基は、水中において、室温にて、少なくとも医薬品として投与されるのに十分な長さで、立体的に実現困難、合成的に実行不可能、及び/又は本質的に不安定な、任意の置換又は置換パターンを誘導するよう意図されていないことが、当業者により理解される。複数の置換基が存在する場合、置換基は、別途指示がない限り、独立して選択されるので、例えば2又は3個の置換基が存在する場合、そのような置換基は、同一であり得る、又は異なり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、「少なくとも1個の基で置換されている」は、置換基の指し示されている基からの選択肢1つで置き換えられる、指定された原子又は基上における1個の水素を指す。いくつかの実施形態では、「少なくとも1個の基で置換されている」は、置換基の指し示されている基からの選択肢2つで独立して置き換えられる、指定された原子又は基上における2個の水素を指す。いくつかの実施形態では、「少なくとも1個の基で置換されている」は、置換基の指し示されている基からの選択肢3つで独立して置き換えられる、指定された原子又は基上における水素3個を指す。いくつかの実施形態では、「少なくとも1個の基で置換されている」は、置換基の指し示されている基からの選択肢4つで独立して置き換えられる、指定されている原子又は基上における水素4個を指す。
【0029】
本明細書における「アルキル」という用語は、18個までの炭素原子、例えば1から12個、更に、例えば1から8個、更になお、例えば1から6個の炭素原子を有する直鎖状及び分岐状飽和炭化水素基から選択される炭化水素基を指す。アルキルの代表的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等を含むが、それらに限定されない。
【0030】
置換アルキルは、非置換アルキルの水素原子の代わりに、非置換アルキル基上に存在する水素の数までの1個若しくは複数の置換基、例えば1、2若しくは3個の置換基、又は1~4個の置換基を含むアルキル基である。アルキル基に好適な置換基は、別途指定されていなければ、ハロゲン、D、CN、オキソ、ヒドロキシル、置換又は非置換C1~C4アルコキシ、置換又は非置換C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を環員として含有する置換又は非置換3~7員環ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を環員として含有する置換又は非置換ヘテロアリール、アミノ、-NH(C1~C4アルキル)、-N(C1~C4アルキル)2、-S(=O)0~2(C1~C4アルキル)、-S(=NR)(=O)(C1~C4アルキル)、-C(=O)(C1~C4アルキル)、-C(=NOH)(C1~C4アルキル)、-CO2H、-CO2(C1~C4アルキル)、-S(=O)1~2NH2、-S(=O)1~2NH(C1~C4アルキル)、-S(=O)1~2N(C1~C4アルキル)2、-CONH2、-C(=O)NH(C1~C4アルキル)、-C(=O)N(C1~C4アルキル)2、-C(=NOH)NH(C1~C4アルキル)、-OC(=O)(C1~C4アルキル)、-NHC(=O)(C1~C4アルキル)、-NHC(=NOH)(C1~C4アルキル)、-NH(C=O)NH2、-NHC(=O)O(C1~C4アルキル)、-NHC(=O)NH(C1~C4アルキル)、NHC(=NOH)NH(C1~C4アルキル)、-NHS(=O)1~2(C1~C4アルキル)、-NHS(=O)1~2NH2、並びに-NHS(=O)1~2NH(C1~C4アルキル)から選択され得、置換C1~C4アルコキシ、置換C3~C6シクロアルキル、置換3~7員環ヘテロシクロアルキル、置換アリール、及び置換ヘテロアリールに対する置換基は、ハロゲン、D、-CN、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、アミノ、-NH(C1~C4アルキル)、-N(C1~C4アルキル)2から独立して選択される基3個までである。アルキル基に対する置換基は、特記しない限り、例えばハロゲン、CN、オキソ、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C3~C6シクロアルキル、フェニル、アミノ、-NH(C1~C4アルキル)、-N(C1~C4アルキル)2、C1~C4アルキルチオ、C1~C4アルキルスルホニル、-C(=O)(C1~C4アルキル)、-CO2H、-CO2(C1~C4アルキル)、-OC(=O)(C1~C4アルキル)、-NHC(=O)(C1~C4アルキル)、及び-NHC(=O)O(C1~C4アルキル)を含む。
【0031】
本明細書における「アルコキシ」という用語は、酸素架橋を介して付着した1~18個の炭素原子を含む直線状又は分岐状アルキル基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、2-ペンチルオキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ、3-メチルペントキシを指す。典型的には、アルコキシ基は、酸素架橋を介して付着した1~6個の炭素原子、より一般的には、1~4個の炭素原子を含む。
【0032】
「置換アルコキシ」は、アルコキシのアルキル部上に1個又は複数の、例えば1、2又は3個の置換基を含有するアルコキシ基である。特記しない限り、好適な置換基は、例えば、ヒドロキシル及びアミノが、置換アルコキシ基の酸素に直接付着している炭素上に通常存在しないことを除いて、アルキル基について上で列挙されている置換基から選択される。
【0033】
本明細書における「アルケニル」という用語は、少なくとも1つのC=C二重結合、及び2から18個、例えば2から6個の炭素原子を含む、直鎖状及び分岐状炭化水素基から選択される炭化水素基を指す。アルケニル基の例は、エテニル又はビニル(-CH=CH2)、プロパ-1-エニル(-CH=CHCH3)、プロパ-2-エニル(-CH2CH=CH2)、2-メチルプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、ブタ-1,3-ジエニル、2-メチルブタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、及びヘキサ-1,3-ジエニル基から選択され得る。付着点は、不飽和炭素又は飽和炭素上であり得る。
【0034】
「置換アルケニル」は、非置換アルケニルの水素原子の代わりに、非置換アルケニル基上に存在する水素の数までの、1個又は複数の置換基、例えば1、2若しくは3個の置換基、又は1から4個の置換基を含有するアルケニル基である。特記しない限り、好適な置換基は、例えば、アルキル基について上で列挙されている置換基から選択される。
【0035】
本明細書における「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの-C≡C-三重結合、及び2から18個、例えば2から6個の炭素原子を含む、直鎖状及び分岐状炭化水素基から選択される炭化水素基を指す。アルキニル基の例は、エチニル(-C≡CH)、1-プロピニル(-C≡CCH3)、2-プロピニル(プロパルギル、-CH2C≡CH)、1-ブチニル、2-ブチニル、及び3-ブチニル基を含む。付着点は、不飽和炭素又は飽和炭素上であり得る。
【0036】
「置換アルキニル」は、非置換アルキニルの水素原子の代わりに、非置換アルキニル基上に存在する水素の数までの、1個又は複数の置換基、例えば1、2若しくは3個の置換基、又は1から4個の置換基を含有するアルキニル基である。特記しない限り、好適な置換基は、例えば、アルキル基について上で列挙されている置換基から選択される。
【0037】
「アルキレン」という用語は、1から10個の炭素原子、及び、他の分子成分に付着する2つの空いている原子価を有する二価アルキル基を指す。アルキレンに付着している2つの分子成分は、同一の炭素原子、又は異なる炭素原子上であり得、したがって、例えば、プロピレンは、1,1-二置換、1,2-二置換又は1,3-二置換であり得る3-炭素アルキレンである。別途示されない限り、アルキレンは、1から6個の炭素原子、又は1から4個の炭素原子を有する部分を指す。アルキレンの代表的な例は、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、sec-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、n-ヘキシレン、3-メチルヘキシレン、2,2-ジメチルペンチレン、2,3-ジメチルペンチレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン、n-ノニレン、n-デシレン等を含むが、それらに限定されない。「置換アルキレン」は、1個又は複数の、例えば1、2又は3個の置換基を含有するアルキレン基であり、特記しない限り、好適な置換基は、例えば、アルキル基に好適と記載されている置換基から選択される。
【0038】
同様に、「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、二重結合又は三重結合をそれぞれ有するアルキレン基を指し、これらは、長さが典型的には2~6個、また、多くは2~4個の炭素原子であり、アルキレン基について一般的に説明されるように置換されていてもよい。
【0039】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義されている1個又は複数のハロ基により置換されている、本明細書で定義されているアルキルを指す。特記しない限り、ハロアルキルのアルキル部は、1~4個の炭素原子を有する。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、又はペルハロアルキルを含むポリハロアルキルであり得る。モノハロアルキルは、アルキル基内に1個のヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロを有し得る。ジハロアルキル及びポリハロアルキル基は、アルキル内に、2個以上の同一のハロ原子、又は異なるハロ基の組合せを有し得る。典型的には、ポリハロアルキルは、6個、又は4個、又は3個、又は2個までのハロ基を含有する。ハロアルキルの例は、限定はしないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルを含む。過ハロ-アルキルは、すべてハロ原子で置き換えられる水素原子を有するアルキル、例えば、トリフルオロメチルを指す。例えば、ハロアルキル基は、特に規定がなければ、モノフルオロ-、ジフルオロ-及びトリフルオロ-置換メチル及びエチル基、例えばCF3、CF2H、CFH2及びCH2CF3を含む。
【0040】
「アルコキシ」という用語は、アルキル-O-を指し、アルキルは、上で定義されている。アルコキシの代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を含むが、それらに限定されない。典型的には、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子、より一般的には1~4個の炭素原子を有する。
【0041】
「置換アルコキシ」は、アルコキシのアルキル部上に、1個又は複数の、例えば1、2又は3個の置換基を含有するアルコキシ基である。特記しない限り、好適な置換基は、ヒドロキシル及びアミノが、置換「アルキル-O」基の酸素に直接付着している炭素上に通常存在しないことを除いて、アルキル基について上で列挙されている置換基から選択される。
【0042】
本明細書で使用されている「ハロアルコキシ」という用語は、ハロアルキル-O-を指し、ハロアルキルは、上で定義されている。ハロアルコキシの代表的な例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、2-クロロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロポキシ等を含むが、それらに限定されない。典型的には、ハロアルキルオキシ基、例えば、モノフルオロ、ジフルオロ及びトリフルオロ置換メトキシ基、並びにエトキシ基は、1~4個の炭素原子、及び3個までのハロゲンを有する。
【0043】
本明細書における「シクロアルキル」という用語は、3から20個の炭素原子を含有し、、単環式及び多環式(例えば、二環式及び三環式、アダマンタニル及びスピロシクロアルキル)基を含む飽和及び部分的不飽和の環状炭化水素基から選択される炭化水素基を指す。モノシクロアルキル基は、3から20個の炭素原子を含有する、例えば3から8個の炭素原子を有する環状炭化水素基であり、単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデカニル、シクロドデカニル及びシクロヘキセニルを含むが、それらに限定されない。ビシクロアルキル基は、架橋ビシクロアルキル、縮合ビシクロアルキル、及びスピロシクロアルキルを含む。架橋ビシクロアルキルは、単環式環の2個の隣接していない炭素原子が、1から3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち、-(CH2)n-形態の架橋基、式中、nは、1、2、3である)により連結している、単環式シクロアルキル環を含有する。架橋ビシクロアルキルの代表的な例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、及びビシクロ[4.2.1]ノナン等を含むが、それらに限定されない。縮合ビシクロアルキルは、フェニル、単環式シクロアルキル、又は単環式ヘテロアリールに縮合している単環式シクロアルキル環を含有する。代表的な縮合ビシクロアルキルは、ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン、5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン、及びデカヒドロナフタレン等を含むが、それらに限定されない。スピロシクロアルキルは、二環式環系を形成する炭素原子を共有する2つの単環式環系を含有する。代表的なスピロシクロアルキルは、
【0044】
【化2】
【0045】
等を含むが、それらに限定されない。二環式シクロアルキル基は、例えば、7から12個の炭素原子を有し、モノシクロアルキル又はビシクロアルキルは、シクロアルキル環内に含有されるいずれかの炭素原子を介して親分子部分に付着している。トリシクロアルキル基は、1)架橋ビシクロアルキル環の2個の隣接していない炭素原子が、1から3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち-(CH2)n-形態の架橋基、式中、nは、1、2、3である)により連結している架橋ビシクロアルキル環、又は2)各環上における2個の共有されていない環原子が、1から3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち-(CH2)n-形態の架橋基、式中、nは、1、2、3である)により連結している縮合ビシクロアルキル環を指す、本明細書で使用されている架橋トリシクロアルキルを含み、記載されている「縮合ビシクロアルキル環」は、モノシクロアルキル環に縮合しているモノシクロアルキル環を指す。架橋トリシクロアルキル基の例は、アダマンタニル
【0046】
【化3】
【0047】
を含むが、それらに限定されない。本明細書で使用される架橋トリシクロアルキルは、環原子のいずれかを介して親分子部分に付加されている。記載されている環原子は、詳細には環骨格上の炭素原子を指す。シクロアルキルは、飽和していてよい、又は少なくとも1つの二重結合を有していてよい(すなわち部分的に不飽和)が、完全に共役しておらず、芳香族が本明細書で定義されている通り、芳香族ではない。シクロアルキルは、例えば、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置換されていてよい。
【0048】
「置換シクロアルキル」は、非置換基上の水素の数までの、1~3個(1、2、3個)、又は3個超の置換基により置換されているシクロアルキル基である。典型的には、置換シクロアルキルは、1~4、又は1から2個の置換基を有する。特記しない限り、好適な置換基は、例えば、アルキル基について上で列挙されている置換基から選択される。
【0049】
本明細書の「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式」という用語は、O、N及びSから独立して選択されるヘテロ原子により置き換えられている少なくとも1個の環炭素原子を有する、上で定義されている「シクロアルキル」を指す。ヘテロシクリルは、例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有し、N、C又はSは、環状環系において独立して酸化され得る。N原子は、更に置換されて、第三級アミン又はアンモニウム塩を形成し得る。ヘテロシクリルの付着点は、ヘテロ原子又は炭素上にあり得る。本明細書における「ヘテロシクリル」は、例えば、5-、6-、及び/又は7-員環のシクロアルキル、ヘテロ環式又は炭素環式芳香族環と縮合している、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5-から7-員環の飽和又は部分的不飽和炭素環式環(ヘテロ環式環)も指すが、但し、ヘテロ環式環が炭素環式芳香族環と縮合している場合、付着点はヘテロ環式環にあること、並びに、ヘテロ環式環がシクロアルキルと縮合している場合、付着点は、シクロアルキル又はヘテロ環式環にあってよいことを条件とする。本明細書における「ヘテロシクリル」は、例えば、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む脂肪族スピロ環式環も指す。環は、飽和されていてよく、又は少なくとも1つの二重結合(すなわち部分的に不飽和)を有していてよい。ヘテロシクリルは、例えば、オキソで置換されていてもよい。付着点は、炭素又はヘテロ原子であり得る。ヘテロシクリルは、本明細書で定義されているヘテロアリールではない。
【0050】
ヘテロ環の例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、モルホリニル、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ジチエタニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサチアニル、ジオキセパニル、オキサチエパニル、オキサアゼパニルジチエパニル、チアゼパニル及びジアゼパン、ジチアニル、アザチアニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、インドリニル、ジオキサニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、ピリミジノニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルを含むが、それらに限定されない。置換ヘテロ環は、1個又は複数のオキソ部分で置換されている環系、例えばピペリジニルN-オキシド、モルホリニル-N-オキシド、1-オキソ-1-チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-1-チオモルホリニル、
【0051】
【化4】
【0052】
も含む。
【0053】
「置換ヘテロシクリル」は、特記しない限り、アルキル基に好適な上記の置換基から選択される1~5個(例えば1又は2又は3個)の置換基により独立して置換されているヘテロシクリル基である。
【0054】
「アリール」という用語は、環部分に5~15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基を指す。典型的には、アリールは、5-及び6-員環の炭素環式芳香族環、例えば、フェニル;二環式環系、例えば、少なくとも1個の環が、例えば、ナフタレン、インダン及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリンから選択される炭素環式及び芳香族である、7から12員環の二環式環系;並びに三環式環系、例えば、少なくとも1個の環が炭素環式及び芳香族、例として、フルオレンである、10から15員環の三環式環系から選択される基を指す。
【0055】
いくつかの実施形態では、アリール基は、任意選択で、例えば、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、5-から7-員環のシクロアルキル又はヘテロ環式環(以下の「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式」で定義されている)に縮合している5及び6-員環の炭素環式芳香族環から選択されるが、但し、炭素環式芳香族環がヘテロ環式環と縮合している場合、付着点は、炭素環式芳香族環にあること、及び、炭素環式芳香族環がシクロアルキル基と縮合している場合、付着点は、炭素環式芳香族環又はシクロアルキル基にあってよいことを条件とする。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価基は、置換フェニレン基と名付けられる。自由原子価を有する炭素原子から1個の水素原子を除去することで、名称が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素基に由来する二価基は、対応する一価基の名称に「-イデン」を加えることにより名付けられ、例えば、2つの付着点を有するナフチル基は、ナフチリデンといわれる。しかし、アリールは、決して、以下で別に定義されているヘテロアリールを包含しない、またそれと重複しない。したがって、1個又は複数の炭素環式芳香族環が、ヘテロ環式芳香族環(例えば、以下で定義されているヘテロアリール)と縮合している場合、生じる環系は、本明細書で定義されているヘテロアリールであり、アリールではない。
【0056】
「置換アリール」は、特記しない限り、アルキル基に好適な上記の置換基から選択される、非置換アリール上にあり得る水素原子に置き換わる、アリール環上の1個又は複数の置換基、典型的には1から5個の置換基を有するアリール基である。
【0057】
本明細書における「ヘテロアリール」という用語は、例えば、N、O及びSから選択される少なくとも1個、例として、1から4個のヘテロ原子、又はいくつかの実施形態では、1から3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である5-から7-員環の芳香族単環式環;例えば、N、O及びSから選択される、少なくとも1個、例えば、1から4個のヘテロ原子、又はいくつかの実施形態では、1から3個、又は他の実施形態では、1若しくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素であり、少なくとも1個の環が芳香族であり、少なくとも1個のヘテロ原子が、芳香族環に存在し、付着点が、任意の環上、及び炭素又はヘテロ原子上である、8-から12-員環の二環式環;並びに、例えば、N、O及びSから選択される、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、1から4個、又はいくつかの実施形態では、1から3個、又は他の実施形態では、1若しくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素であり、少なくとも1個の環が芳香族であり、少なくとも1個のヘテロ原子が、芳香族環に存在し、付着点が、任意の環上である11-から14-員環の三環式環から選択される基を指す。
【0058】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5-から7-員環のシクロアルキル環に縮合している5-から7-員環のヘテロ環式芳香族環を含む。環の一方のみが少なくとも1個のヘテロ原子を含む、そのような縮合した二環式ヘテロアリール環系では、付着点は、ヘテロ芳香族環、又はシクロアルキル環であってよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5-から7-員環のアリール環に縮合している5-から7-員環のヘテロ環式芳香族環を含む。環の一方のみが少なくとも1個のヘテロ原子を含む、そのような縮合した二環式ヘテロアリール環系では、付着点は、ヘテロ芳香族環、又はアリール環であり得る。非限定的な例は、キノリニル及びキナゾリニルを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、別の5-から7-員環のヘテロ環式芳香族環に縮合している5-から7-員環のヘテロ環式芳香族環を含む。非限定的な例は、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジニル及び1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニルを含む。
【0061】
ヘテロアリール基におけるS及びO原子の合計数が1を超える場合、そのようなヘテロ原子は、互いに隣接していない。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基におけるS及びO原子の合計数が2以下である。いくつかの実施形態では、芳香族ヘテロ環におけるS及びO原子の合計数は、1以下である。
【0062】
ヘテロアリール基の例は、ピリジル、シンノリニル、ピラジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、チエニル、トリアジニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、フタラジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、トリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピラゾリル、ピロロピリジニル(例えば1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)、ピラゾロピリジニル(例えば1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル)、ベンゾオキサゾリル(例えばベンゾ[d]オキサゾール-6-イル)、プテリジニル、プリニル、1-オキサ-2,3-ジアゾリル、1-オキサ-2,4-ジアゾリル、1-オキサ-2,5-ジアゾリル、1-オキサ-3,4-ジアゾリル、1-チア-2,3-ジアゾリル、1-チア-2,4-ジアゾリル、1-チア-2,5-ジアゾリル、1-チア-3,4-ジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フロピリジニル、ベンゾチアゾリル(例えばベンゾ[d]チアゾール-6-イル)、インダゾリル(例えば1H-インダゾール-5-イル)及び5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンを含むが、それらに限定されない。
【0063】
「置換ヘテロアリール」は、非置換ヘテロアリール上にあり得る水素原子に置き換わる、ヘテロアリール環上に1個又は複数の置換基、典型的には、特記しない限り、アルキル基に好適な上記の置換基から選択される1、2又は3個の置換基を有するヘテロアリール基である。
【0064】
本明細書で開示されている化合物は、不斉中心を含有し得、したがって、鏡像異性体として存在し得る。本明細書で開示されている化合物が、2つ以上の不斉中心を所有する場合、これらは更に、ジアステレオ異性体として存在し得る。鏡像異性体及びジアステレオ異性体は、立体異性体のより広い分類に入る。例えば材料の分割による、又は不斉合成による光学活性体の調製の仕方は当業界で周知である。実質的に純粋な分割鏡像異性体、そのラセミ混合物、並びにジアステレオ異性体の混合物のような考えられる立体異性体すべてが、含まれるように意図されている。本明細書で開示されている化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩の立体異性体すべてが含まれるように意図されている。別途具体的に言及されていない限り、1つの異性体への言及は、考えられる異性体のいずれにも適用される。異性体組成物が特定されていない場合は常に、考えられる異性体すべてが含まれる。
【0065】
本明細書で開示されている化合物が、オレフィン二重結合を含有する場合、特に規定がなければ、そのような二重結合は、E及びZ幾何異性体の両方を含むことを意味する。
【0066】
「薬学的に許容できる塩」は、例えば、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、及び硝酸塩から選択される無機酸を伴う塩、並びに、例えば、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、アルカン酸塩、例えば酢酸塩、及びHOOC-(CH2)n-COOHを伴い、式中、nは、0から4から選択される塩から選択される有機酸を伴う塩を含むが、それに限定されない。同様に、薬学的に許容できるカチオンの例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、及びアンモニウムを含むが、それらに限定されない。
【0067】
更に、本明細書で開示されている化合物が、酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することにより得られる。反対に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、例えば薬学的に許容できる付加塩は、遊離塩基を好適な有機溶媒に溶解し、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、溶液を酸で処理することにより生成できる。当業者は、非毒性の薬学的に許容できる付加塩を調製するために、過度の実験なしで使用され得る様々な合成方法論を認識する。
【0068】
「処置すること」、「処置する」若しくは「処置」又は「緩和」は、本明細書で開示されている少なくとも1つの化合物及び/若しくは、もしあれば、少なくとも1つのその立体異性体並びに/又は少なくとも1つの薬学的に許容できるその塩を、それらを必要とすることが認識されている、例えば、癌を有する対象に投与する工程を指す。
【0069】
「有効量」という用語は、本明細書で開示されている、もしあれば、少なくとも1つの化合物及び/若しくは少なくとも1つのその立体異性体並びに/又は少なくとも1つの薬学的に許容できるその塩の、上で定義されているように、対象における疾患又は障害を「処置する」のに有効な量を指す。
【0070】
「約」という用語が、数値を修飾するために使用される場合、これは、数値の5%の差異を意味する。「約」という用語が、数字範囲を修飾するために使用される場合、これは、下限及び上限に対する5%の差異を意味する。
【0071】
本発明の様々な実施形態が、本明細書に記載されている。各実施形態で特定されている特徴は、他の特定されている特徴と組み合わせて、本発明の更なる実施形態を得られることが認識される。以下の挙げられている実施形態は、本発明の代表である。
【0072】
実施形態1. 式I
【0073】
【化5】
【0074】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、L1、L2、X1及びX2は、本明細書で定義される:
R1は、C1~C6アルキル、C3~C8シクロアルキル、C4~8シクロアルケニル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~8員環ヘテロシクリル、アリール、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択される任意選択で置換されている基から選択され、R1に対する任意選択の置換基は、D、ハロ、-OH、オキソ、CN、N3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから独立して選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R7、-C(O)N(R8aR8b)、-C(=NR9)N(R8aR8b)、-C(O)R7、-SO0~2R10、-SO(=NR9)R10、-SO1~2N(R8aR8b)、-N(R8aR8b)、-N(R8a)C(O)R10、-N(R8a)C(=NR9)R10、-N(R8a)SO1~2R10、-N(R8c)C(O)N(R8aR8b)、-N(R8c)C(=NR9)N(R8aR8b)、-N(R8c)SO1~2N(R8aR8b)及び-N(R8a)CO2R10から独立して選択される1から4個の置換基であり、R7、R8a、R8b及びR8cは、独立して、H、又はD、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R9は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R10は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe及びNMe2から独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、R1の同一の、又は隣接した炭素原子上の2個の置換基は、任意選択で、一緒になって、飽和又は芳香族であり得、任意選択で、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有し、D、Me、ハロ、OH、オキソ、C1~C4アルコキシ、NH2、C1~C4アルキルアミノ及びジ(C1~C4アルキル)アミノから独立して選択される1~2個の基により任意選択で置換されていてもよい5~6員環を形成し得、
R2は、アリール、並びにN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として含有するヘテロアリールから選択され、R2は、D、ハロ、-OH、=O、CN、N3、CF3、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する4~8員環ヘテロシクリル、-CO2R11、-C(O)N(R12aR12b)、-C(=NR13)N(R12aR12b)、-C(O)R11、-SO0~2R14、-SO(=NR13)R14、-SO1~2N(R12aR12b)、-N(R12aR12b)、-N(R12a)C(O)R11、-N(R12a)C(=NR13)R11、-N(R12a)SO1~2R14、-N(R12c)C(O)N(R12aR12b)、-N(R12c)C(=NR13)N(R12aR12b)、-N(R12c)SO1~2N(R12aR12b)及び-N(R12a)CO2R14から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換され、R11、R12a、R12b及びR12cは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R13は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R14は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R3は、H、D及びFから選択され、
R4は、H、D、F、並びにD、ハロ、-OH、=O、CN、N3、-CO2R15、-C(O)N(R16aR16b)、-C(=NR17)N(R16aR16b)、-C(O)R15、-SO0~2R18、-SO(=NR17)R18、-SO1~2N(R16aR16b)、-N(R16aR16b)、-N(R16a)C(O)R15、-N(R16a)C(=NR17)R15、-N(R16a)SO1~2R18、-N(R16c)C(O)N(R16aR16b)、-N(R16c)C(=NR17)N(R16aR16b)、-N(R16c)SO1~2N(R16aR16b)及び-N(R16a)CO2R18から独立して選択される1から3個の置換基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルから選択され、R15、R16a、R16b及びR16cは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、R17は、H、CN、OH、C1~C4アルキル及びC1~C4アルコキシから独立して選択され、R18は、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により任意選択で置換されているC1~C4アルキルであり、
R5及びR6は、Hと、C1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル、並びにN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を環員として含有する飽和又は不飽和4~6員環ヘテロシクリルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基は、D、ハロ、-OH、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ及びC3~C6シクロアルキルから独立して選択される1から3個の置換基であり、
R2及びR4は、任意選択で、環化して、追加のC5~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R5及びR6は、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、N、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
L1は、結合、-C(R19aR19b)-、-C(O)NR20-及び-C(R19aR19b)NR20-から選択され、R19a、R19b及びR20は、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、そのそれぞれは、D、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されており、
L2は、結合及び-C(R21aR21b)-から選択され、R21a及びR21bは、H、並びにD、ハロ、OH、NH2、NHMe、NMe2、-OPO3H2及びC1~C4アルコキシから独立して選択される1~3個の基により、任意選択で置換されているC1~C4アルキルから独立して選択され、
X1は、CR22a及びNから選択され、R22aは、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択され、
X2は、CR22b及びNから選択され、R22bは、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物及び/又はその立体異性体、互変異性体、安定同位体若しくは薬学的に許容できる塩が、本明細書で開示されている。
【0075】
実施形態2. X1及びX2がNである、実施形態1による化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0076】
実施形態3. X1がCHであり、X2がCR22bであり、R22bが、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される、実施形態1による化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0077】
実施形態4. X1がNであり、X2がCR22bであり、R2b2が、H、ハロ、CN及びC1~C3アルキルから選択される、実施形態1による化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0078】
実施形態5. R1が、フェニル、ピリジン、ピリドン、ピラジン、ピリダジン、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラン、1,2,5-オキサジアゾール(フラザン)及びチオフェンから選択され、そのそれぞれが、オキソ、D、ハロ、CN、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6-シクロアルキルから独立して選択される1又は2個の基により任意選択で置換されている、実施形態1~4による化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0079】
実施形態6. R1が、R1aから選択され、R1aが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロフラン、オキセタン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン(チアシクロヘキサン)及びテトラヒドロチオフラン(チアシクロペンタン)から選択され、そのそれぞれが、オキソ、D、ハロ、CN、ヒドロキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C8シクロアルキル、-COOR23、-SO2R24、-N(R25aR25b)、-N(R25a)C(O)R24、- N(R25a)SO2R24、-N(R25a)COOR24、-CON(R25aR25b)及び-SO2N(R25aR25b)から独立して選択される1又は2個の基により任意選択で置換されており、各R23、R25a及びR25bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R24が、C1~C4アルキルである、実施形態1~5による化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0080】
実施形態7. R2が、フェニルであり、ハロ、D、CN、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、C3~C6シクロアルキル、-SR26、-SO2R26、-N(R27aR27b)、-N(R27a)C(O)R26及び-SO2N(R27aR27b)から独立して選択される3個までの基により任意選択で置換されており、各R27a及びR27bが、H、C1~C4アルキル及びC1~C4ハロアルキルから独立して選択され、R26が、C1~C4アルキルである、実施形態1~6のいずれかの化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0081】
実施形態8. R2が、チオフェン、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン又はピリダジンであり、D、ハロ、CN、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-SO2R28、-N(R29aR29b)、-N(R29a)C(O)R28及び-SO2N(R29aR29b)から独立して選択される3個までの基により任意選択で置換されており、各R29a及びR29bが、H、C1~C4アルキル及びC1~C4ハロアルキルから独立して選択され、R28が、C1~C4アルキルである、実施形態1~7のいずれかの化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0082】
実施形態9. R3がHであり、L1及びL2が結合であり、R4が、メチル又はエチルであり、フルオロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、-OP(O)(OH)2、メトキシ又はエトキシにより任意選択で置換されている、実施形態1~8の化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0083】
実施形態10. L1及びL2が結合であり、R3及びR4が、H又はDである、実施形態1~8の化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0084】
実施形態11. L1が-C(O)NH-である、実施形態1~8の化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0085】
実施形態12. 式IA
【0086】
【化6】
【0087】
(式中、R1が、フェニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール若しくはチアゾールであり、これらが、D、F、Cl、Br、CN、Me、Et、Pr、i-Pr、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、CH2F、CHF2、CF3、MeO、EtO、i-PrO、PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、-O(シクロプロピル)、-(CH2)2OH、-(CH2)2OMe、-(CH2)C(OH)CH2OH、-(CH2)2NHSO2NH2、-C(OH)(CH3)3、-O(CH2)2OH、-O(CH2)2OMe、-O(CH2)C(OH)CH2OH及び-O(CH2)2NHSO2NH2から独立して選択される2個までの基で置換されていてよく、
又は、R1が、非芳香族シクロアルキル若しくはヘテロ環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、3-オキセタニル、3-若しくは4-ピペリジニル、4-若しくは3-ピペリジン-2-オニル、3-若しくは4-チアシクロペンタン、3-チアシクロヘキサン、3-テトラヒドロフランであり、環硫黄が、スルホキシド若しくはスルホン酸化状態に酸化されていてよく、これらの環のそれぞれが、D、F、Cl、CN、アミノ、NHMe、NMe2、Me、Et、i-Pr、シクロプロピル、NHSO2Me、NHCOMe、オキソ、OH、OMe、-CH2OH及びCF3から独立して選択される1~3個の基で置換されていてよく、1,4-二置換シクロヘキシルが、1及び4位に付着している基の間において、cis若しくはtrans相対立体化学を、例えば、これらの基の間において、trans相対配向を有し得、
R2が、D、アミノ、ハロ、CF3、CN、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルキル、C1~C4ハロアルコキシ、-COOR30、-SO2R31、-N(R32aR32b)、-N(R32a)C(O)R31、-SO2N(R32aR32b)及び-N(R32a)SO2R31から独立して選択される1~2個の基により、任意選択で置換されているフェニル、ピリジン又はチエニルであり、各R30、R32a及びR32bが、H及びC1~C4アルキルから独立して選択され、R31が、C1~C4アルキルであり、
R4が、H、D及び-CH2R*から選択され、R*が、H,-OH、F、-NH2、-NHMe、-NMe2、-OP(O)(OH)2及び-OMeから選択され、
R5及びR6が、H、並びにC1~C4アルキルから選択される任意選択で置換されている基から独立して選択され、R5及びR6に対する任意選択の置換基が、D、ハロ、-OH、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシから独立して選択される1から3個の置換基であり、R5及びR6が、任意選択で、環化して、C3~C6シクロアルキル環、又はN、O及びSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する4~6員環ヘテロ環式環を形成し得、
R22bが、H、ハロ及びC1~C3アルキルから選択される)の化合物である、実施形態1の化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0088】
実施形態13. 式IB
【0089】
【化7】
【0090】
(式中、R1、R2、R5、R6及びR22bは、実施形態12で定義されている通りである)の化合物である、実施形態1の化合物。
【0091】
実施形態14. 式IC
【0092】
【化8】
【0093】
(式中、R33は、H、D及び-CH2R*から選択され、R*は、H及びC1~C4アルキルから選択され、
R34は、H、D及び-CH2R*から選択され、R*は、H、-OH、F、-NH2、-NHMe、-NMe2、-OP(O)(OH)2及び-OMeから選択され、
Zは、O若しくは2Hであり、
R1、R2、R5、R6及びR22bは、実施形態12で定義されている通りである)の化合物である、実施形態1の化合物。
【0094】
実施形態15. 式ID
【0095】
【化9】
【0096】
(式中、R35及びR36は、H、F、CN、-CF3、OMe、OCF3、SMe並びにC1~C4アルキル、C3~C6シクロアルキル及びC1~C4アルコキシルから選択される任意選択の置換されている基から独立して選択され、任意選択の置換基は、ハロゲンから独立して選択される1から3個の置換基であり、
Z1及びZ2は、CH及びNから独立して選択され、
R1、R5、R6及びR22bは、実施形態12で定義されている通りである)の化合物である、実施形態1の化合物。
【0097】
実施形態16. R1が、
【0098】
【化10】
【0099】
から選択され、各R1Aが、H、Me、Et、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、CH2F、CF2H及びCF3から独立して選択され、R1B、R1C及びR1Dが、H、Me、Et、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、t-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、CH2F、CF2H、CF3、MeO、EtO、PrO、i-PrO、c-PrO、BuO、t-BuO、s-BuO、i-BuO、OCF3、c-PrO、Me3(OH)C-、CN、Cl及びFから独立して選択される、実施形態12~15のいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容できるその塩。
【0100】
実施形態17. 以下の化合物から選択される、実施形態1の化合物、及び薬学的に許容できるその塩:
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
5-(3-クロロベンジル)-6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((3-(トリフルオロメチル)イソオキサゾール-5-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-5-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン、
(S)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセトアミド、
N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパンアミド、
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)-N-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド及び
(S)-5-(2-((1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ)エチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン。
【0101】
実施形態18. 少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と混和した、実施形態1~17のいずれか1つによる化合物を含む薬学的組成物。
【0102】
実施形態19. 治療併用剤を更に含む、実施形態18の薬学的組成物。
【0103】
実施形態20. 治療併用剤が、抗癌化合物、鎮痛剤及び抗炎症剤化合物から選択される、実施形態19の薬学的組成物。
【0104】
実施形態21. 癌を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、治療有効量の実施形態1~17のいずれかによる化合物、又は実施形態18~20のいずれかの薬学的組成物を投与する工程を含む方法。
【0105】
実施形態22. 癌が、腺腫、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、結腸癌、表皮癌、濾胞状癌、泌尿生殖器癌、膠芽腫、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、肝細胞腫、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、例えば小細胞又は非小細胞肺癌、白血病、例えばAML又はCML、多発性骨髄腫、リンパ障害、黒色腫を含む皮膚癌、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精巣癌、及び甲状腺癌から選択される、実施形態21の方法。
【0106】
実施形態23. 医薬として使用するための、実施形態1~17のいずれか1つによる化合物。
【0107】
実施形態24. 癌を処置するための医薬の製造における、実施形態1から17のいずれか1つによる化合物、若しくは薬学的に許容できるその塩の使用、又は、医療における、とりわけ癌、例えば実施形態22で挙げられているものを処置するための、実施形態1から17のいずれか1つによる化合物、若しくは薬学的に許容できるその塩の使用。
【0108】
実施形態25. 患者における炎症性疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で開示されている実施形態1~17のいずれかによる化合物、又は実施形態18~20のいずれかの薬学的組成物、及び/若しくは薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を投与する工程を含み、炎症性疾患が、関節リウマチ、乾癬又は湿疹から選択される方法。
【0109】
式Iの化合物のいくつかの実施形態及び上記の他の実施形態では、X1は、例えばNであり、X2はCR22bであり、R22bは、H、ハロ又はC1~C4アルキルである。一実施形態では、R22bは、H又はCH3である。
【0110】
式Iの化合物のいくつかの実施形態及び上記の他の実施形態では、L1及びL2は、例えば、結合であり、又はL1は、-C(O)NH-であり、L2は、-CH(CH2R34)-であり、R34は、H、D及び-CH2R*から選択され、R*は、H,-OH、F、-NH2、-NHMe、-NMe2、-OP(O)(OH)2及び-OMeから選択され、
式Iの化合物のいくつかの実施形態及び上記の他の実施形態では、R5及びR6は、独立して、H、CH3又はメトキシメチルであり、R5及びR6は、例えば、その両方がメチルである、又はそれぞれH及びメトキシメチルである。
【0111】
先述の実施形態のいくつかでは、R3及びR4の少なくとも1つは水素であり、又は、R21a及びR21bの少なくとも1つは水素であり、キラル中心を含有し(例えば、本明細書に記載されている式-CHR*-の基を形成し)、これらの実施形態のいくつかでは、これは、以下の立体化学
【0112】
【化11】
【0113】
を有し、例えば、R*は、-CH3、-CH2OH、-CH2NH2、-CH2NHMe、-CH2NMe2、-CH2F、-CH2OMe、-CH(OH)Me、-CH2OP(O)(H)2又は-CH(OH)CH2OHである。
【0114】
いくつかの実施形態では、キラル配置を有する式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物は、鏡像異性体過剰として示されるので、化合物は、光学活性である。例えば、本開示のそのような化合物は、反対の鏡像異性体を実質的に含まない、すなわち、化合物の少なくとも95%は、上で示されているキラリティーを有する。
【0115】
先述の化合物のいくつかの実施形態では、R2は、以下に記載するように任意選択で置換されているアリール又はヘテロアリールであり、通例、R2は、フェニル、チエニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びピリミジニルから選択される任意選択で置換されている基である。置換フェニル及びピリジニルは、例えばR2に対する。
【0116】
R2は、多くは、上記の実施形態について記載されているものから選択される少なくとも1個の基で置換される。いくつかの実施形態では、R2は、非置換である、又は、ハロ(F、Cl、Br又はI)、メチル、メトキシ、-SMe、メチルスルホニル、シアノ及びシクロプロピルから独立して選択される1~2個の基で置換されている、フェニル、3-チエニル、2-チアゾリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル又は4-ピリジニルである。いくつかの実施形態では、R2はフェニルであり、F、Cl、Br、I、SMe、CH2F、CHF2、CF3又はメチルスルホニルに付着するL2に対するメタ位における少なくとも1つの位置で置換される。
【0117】
いくつかの実施形態では、式Iにおける構造の-C(R3R4)-L1-L2-R2部は、以下の式
【0118】
【化12】
【0119】
(式中、R*は、H、CH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHMe、CH2NMe2、CH2OMe、CFH2、CF2H、CF3又はCH2OP(O)(OH)2であり、R2A及びR2Bは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、SO2Me、Me、OMe、CFH2、CF2H、CF3及びSMeから選択される)を有する。
【0120】
これらの実施形態では、R2A及びR2Bの少なくとも1つは、典型的にはH以外であり、例えば、R2A及びR2Bの少なくとも1つは、ハロ、例えばF、Cl、Br、I又はCF3である。
【0121】
いくつかの実施形態では、式Iにおける構造の-C(R3R4)-L1-L2-R2部は、以下の式
【0122】
【化13】
【0123】
(式中、R*は、H、CH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHMe、CH2NMe2、CH2OMe、CFH2、CF2H、CF3又はCH2OP(O)(OH)2であり、R3A及びR3Cは、H、F、Cl、Br、I、CN、SO2Me、Me、OMe、CH2F、CF2H、CF3及びSMeから独立して選択される)を有する。
【0124】
これらの実施形態では、R3A及びR3Cの少なくとも1つは、典型的にはH以外であり、例えば、R3A及びR3Cの少なくとも1つは、ハロ、例えばF、Cl、Br、I又はCF3である。
【0125】
いくつかの実施形態では、式Iにおける構造の-C(R3R4)-L1-L2-R2部は、以下の式
【0126】
【化14】
【0127】
(式中、R*は、H、CH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHMe、CH2NMe2、CH2OMe、CFH2、CF2H、CF3又はCH2OP(O)(OH)2であり、R4A及びR4Bは、H、F、Cl、Br、I、CN、-SO2Me、Me、OMe、OCF3、CFH2、CF2H、CF3及びSMeから独立して選択される)を有する
【0128】
これらの実施形態では、R4A及びR4Bの少なくとも1つは、典型的にはH以外であり、例えば、R4A及びR4Bの少なくとも1つはCF3である。
【0129】
いくつかの実施形態では、式Iにおける構造の-C(R3R4)-L1-L2-R2部は、以下の式
【0130】
【化15】
【0131】
(式中、R*は、H、CH3、CH2F、CHF2又はCF3であり、R**は、H、CH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHMe、CH2NMe2、CH2OMe、CFH2、CF2H、CF3又はCH2OP(O)(OH)2であり、R2は、以前の実施形態で定義されている通りである)を有する。
【0132】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物、及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物も、本明細書で開示されている。
【0133】
タンパク質Erkと、有効量の、本明細書で開示されている式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩を接触させる工程を含む、ERKの活性を阻害する方法が、本明細書で更に開示されている。
【0134】
患者におけるERKの阻害により、処置可能な疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。
【0135】
患者におけるErkの阻害により処置可能な疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。
【0136】
患者における癌を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式Iの化合物(例えば式IA、IB、IC及びID)及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、癌は、結腸癌、胃癌、白血病、リンパ腫、黒色腫又は膵臓癌である。
【0137】
患者における炎症性疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とすることが認識されている患者に、有効量の、本明細書で開示されている式Iの化合物(例えば式IA、IB、IC及びID)及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物を投与する工程を含む方法が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬又は湿疹である。
【0138】
Erkの阻害に反応する疾患、例えば癌又は炎症性疾患を処置するための薬物の調製における、式Iの化合物(例えば式IA、IB、IC及びID)及び/又は薬学的に許容できるその塩の使用が、本明細書で更に開示されている。いくつかの実施形態では、癌は、結腸癌、胃癌、白血病、リンパ腫、黒色腫又は膵臓癌である。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬又は湿疹である。
【0139】
式Iの化合物(例えば式IA、IB、IC及びID)及び/又は薬学的に許容できるその塩、並びに薬学的に許容できる担体を含む薬学的組成物は、様々な公知の方法で、例えば経口、局所、直腸、非経口で、吸入スプレーにより、又はインプラントリザーバーを経由して投与できるが、ある所定のケースにおける最も好適な経路は、詳細な宿主、並びに、有効成分が投与される状態の性質及び重症度によって決まる。本明細書で使用されている「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内及び頭蓋内注射又は点滴技術を含む。本明細書で開示されている組成物は、単位剤形で都合よく提示され得、当業界で周知の方法のいずれかにより調製され得る。
【0140】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、固体剤形、例えばカプセル剤、錠剤、トローチ剤、ドラジェ剤、粒剤及び散剤で、又は液体剤形、例えばエリキシル剤、シロップ剤、エマルション剤、分散体及び懸濁液剤で経口投与され得る。式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、無菌液体剤形、例えば分散体、懸濁液剤又は液剤でも非経口投与され得る。式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩の投与にも使用され得る他の投与形態は、局所投与用の軟膏剤、クリーム剤、ドロップ剤、経皮パッチ剤若しくは散剤、眼内投与用の眼科用液剤若しくは懸濁液剤形態、すなわち点眼薬、吸入若しくは鼻腔内投与用のエーロゾルスプレー剤若しくは粉末組成物、又は直腸若しくは膣投与用のクリーム剤、軟膏剤、スプレー剤若しくは坐剤を含む。
【0141】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、並びに粉末担体、例えばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸を含有するゼラチンカプセル剤も使用できる。類似した希釈剤は、圧縮錠剤を作製するために使用できる。錠剤及びカプセル剤の両方は、一定期間にわたり継続して薬物を放出するために、持続放出生成物として製造できる。圧縮錠剤は、何らかの不快な味をマスクし、錠剤を大気から保護するために糖コーティング若しくはフィルムコーティングされていてよく、又は、胃腸管において選択的に崩壊させるために、腸溶コーティングされていてよい。
【0142】
経口投与用の液体剤形は、患者による受け入れを高めるために、着色剤及び香味剤から選択される少なくとも1つの作用剤を更に含み得る。
【0143】
一般に、水、好適な油、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液、及び関連した糖溶液及びグリコール、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコールは、非経口液剤に好適な担体の例であり得る。非経口投与用の液剤は、本明細書で開示されている少なくとも1つの化合物の水溶性塩、少なくとも1つの好適な安定化剤、及び必要な場合は、少なくとも1つの緩衝物質を含み得る。単体の、又は組み合わせた抗酸化剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸は、好適な安定化剤の例であり得る。クエン酸及びその塩、並びにナトリウムEDTAは、好適な安定化剤の例としても使用され得る。更に、非経口液剤は、例えば、塩化ベンザルコニウム、メチル-及びプロピルパラベン、並びにクロロブタノールから選択される少なくとも1つの防腐剤を更に含み得る。
【0144】
薬学的に許容できる担体は、例えば、薬学的組成物の有効成分と適合し(かつ、いくつかの実施形態では、有効成分を安定化することが可能である)、処置される対象に有害ではない担体から選択される。例えば、可溶化剤、例としてシクロデキストリン(本明細書で開示されている少なくとも1つの化合物及び/又は少なくとも1つの薬学的に許容できる塩と、特定の、より可溶性な複合体を形成できる)は、有効成分を送達するための薬学的賦形剤として利用できる。他の担体の例は、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム及び顔料、例えばD&C Yellow # 10を含む。好適な薬学的に許容できる担体は、当業界で標準的な参考書Remington's Pharmaceutical Sciences, A. Osolで開示されている。
【0145】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、癌の処置における効き目について、in vivoアッセイにより検査され得る。例えば、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、癌を有する動物(例えば、マウスモデル)に投与され得、その治療効果を入手できる。そのようなテストの1つ又は複数における肯定的な結果は、科学知識の宝庫を拡充するのに十分であり、したがって、テストした化合物及び/又は塩の実用性を実証するのに十分である。結果に基づき、動物、例えばヒトでの適切な投与量の範囲及び投与経路も判定できる。
【0146】
吸入による投与では、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、加圧パック又はネブライザーからエーロゾルスプレー体裁の形態で都合よく送達され得る。式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、製剤化できる粉末としても送達され得、この粉末組成物は、吹送粉末吸入器デバイスの補助により吸入できる。例示的な吸入用送達系の1つは、定量吸入(MDI)エーロゾルであり得、これは、例えば、フルオロカーボン及び炭化水素から選択される少なくとも1つの好適な噴射剤中の、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩の懸濁液剤又は液剤として製剤化され得る。
【0147】
眼内投与では、眼科用調製物は、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩が、化合物を角膜及び眼の内部領域に浸透させるのに十分な期間眼の表面に接触して維持されるように、適切な眼科用ビヒクル中の式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩の液剤又は懸濁液剤の、適切な質量パーセンテージで製剤化され得る。
【0148】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩の投与に有用な薬学的剤形は、ハード及びソフトゼラチンカプセル剤、錠剤、非経口注射剤、並びに経口懸濁液剤を含むが、それらに限定されない。
【0149】
投与量は、要因、例えば受容個体の年齢、健康及び体重、疾患の程度、同時処置のタイプ、行っていれば処置の回数、並びに望ましい効果の性質によって決まる。一般に、有効成分の一日投与量は、例えば、1日につき0.1から2000ミリグラム変化させてよい。例えば、1日につき1回又は複数回で10~500ミリグラムが、望ましい結果を得るのに有効になり得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、カプセル剤中に1、5、10、15、20、25、50、75、80、85、90、95、100、125、150、200、250、300、400、及び500mgの量で存在し得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、単位カプセル剤の多数は、標準的なツーピースハードゼラチンカプセル剤に、例えば、粉末で100ミリグラムの式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、150ミリグラムのラクトース、50ミリグラムのセルロース、及び6ミリグラムのステアリン酸マグネシウムをそれぞれ充填することにより調製され得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、並びに消化可能な油、例えば大豆油、綿実油又はオリーブ油の混合物を調製でき、容積式ポンプによってゼラチンに注射して、75又は100ミリグラムの有効成分を含有するソフトゼラチンカプセル剤を形成できる。カプセル剤を洗浄し、乾燥させる。
【0153】
いくつかの実施形態では、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、錠剤中に1、5、10、15、20、25、50、75、80、85、90、95、100、125、150、200、250、300、400、及び500mgの量で存在し得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、錠剤の多数は、投与単位が、例えば、100ミリグラムの式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの微結晶セルロース、11ミリグラムのデンプン、及び98.8ミリグラムのラクトースを含むように、従来の手順により調製され得る。適切なコーティングは、例えば、嗜好性を増大させる、又は、吸収を遅延させるように適用され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、注射による投与に好適な非経口組成物は、10体積%のプロピレングリコール中で、1.5質量%の式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩を撹拌することにより調製され得る。溶液は、注射用に水で求められる体積に作製され、滅菌される。
【0156】
いくつかの実施形態では、水性懸濁液は、経口投与用に調製できる。例えば、100ミリグラムの微粉化した式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩、100ミリグラムのナトリウムカルボキシメチルセルロース、5ミリグラムの安息香酸ナトリウム、1.0グラムのソルビトール溶液、U.S.P.及び0.025ミリリットルのバニリンを含む水性懸濁液を、それぞれ5ミリリットル使用できる。
【0157】
同剤形は、一般的に、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩が、段階的に、又は、少なくとも1つの他の治療剤と共に投与される場合に使用できる。薬剤を物理的に組み合わせて投与する場合、剤形及び投与経路は、組み合わせる薬剤の適合性に応じて選択されるべきである。したがって、「同時投与」という用語は、少なくとも2つの作用剤を付随して、又は順次投与すること、或いは、少なくとも2つの活性成分をその固定用量組合せとして投与することを含むように理解される。
【0158】
式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物及び/又は薬学的に許容できる塩は、単体の有効成分として、又は、例えば、少なくとも1つの第2の有効成分と組み合わせて投与され得、この第2の有効成分は、例えば、患者における結腸癌、胃癌、白血病、リンパ腫、黒色腫及び膵臓癌を含む、癌のような標的疾患の処置に有用なことが公知の他の有効成分から選択される。
【0159】
本明細書で使用されている「光学的異性体」又は「立体異性体」という用語は、本開示の所定の化合物で存在し得、幾何異性体を含む様々な立体異性体の配置のいずれかを指す。置換基が、炭素原子のキラル中心で付着し得ることは理解される。「キラル」という用語は、鏡像相手に重ね合わせることができない性質を有する分子を指すが、「アキラルな」という用語は、鏡像相手に重ね合わせることができる分子を指す。本開示は、化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体又はラセミ化合物を含む。「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像の立体異性体の対である。鏡像異性体の対が1:1の混合物は、「ラセミ」混合物である。この用語は、適切な場合は、ラセミ混合物を指定するために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、Cahn-Ingold-Prelog lR-SJ系に従って特定した。化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素における立体化学は、R又はSにより特定され得る。絶対配置が不明な分割した化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)と指定できる。本明細書に記載されているある化合物は、1つ又は複数の不斉中心、又は軸を含有するので、絶対立体化学の観点から(R)-又は(S)-と定義できる鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及び他の立体異性体を生じ得る。
【0160】
出発材料及び合成手順の選択に応じて、化合物は、不斉炭素原子の数に応じて、考えられる異性体の1つの形態で、又はその混合物として、例えば純粋光学的異性体として、又は異性体の混合物、例えばラセミ化合物及びジアステレオ異性体混合物として、存在し得る。本開示は、ラセミ混合物、ジアステレオ異性体混合物、及び光学的に純粋な形態を含む、そのような考えられる異性体すべてを含む。光学活性(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製され得る、又は、従来の技術を使用して分割され得る。化合物が、二重結合を含有する場合、置換基は、指定されない限りE又はZ配置であり得る。化合物が、二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、特記しない限りcis-又はtrans-配置を有し得る。すべての互変異性型も含まれることが意図されている。
【0161】
多くのケースでは、本開示の化合物は、アミノ及び/又はカルボキシル基、又はそれに類似した基が存在するため、酸性及び/又は塩基性塩を形成することが可能である。本明細書で使用されている、「塩(salt)」又は「塩(salts)」という用語は、本開示の化合物の酸付加又は塩基付加塩を指す。「塩」は、詳細には「薬学的に許容できる塩」を含む。「薬学的に許容できる塩」という用語は、本開示の化合物の生物学的有効性及び性質を保ち、典型的には、生物学的に、又は他の点で望ましくないことがない塩を指す。
【0162】
薬学的に許容できる酸付加塩は、無機酸及び有機酸で形成され得、例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アルミニウム、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプロン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロロプロカイン、クロルテオフィロン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エデト酸カルシウム、エタンジスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、エチレンジアミン、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムコ酸塩)、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、ヒドロキシナフトエ酸塩(キシナホ酸塩)、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リチウム、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロカイン、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩である。追加の好適な塩の列挙は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第20版、Mack Publishing Company、Easton, Pa.、(1985年)、並びにHANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS : PROPERTIES, SELECTION, AND USE、Stahl及びWermuth著(Wiley-VCH、Weinheim、Germany、2002年)で見出せる。塩が由来し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸を含む。塩が由来し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、スルホサリチル酸を含む。
【0163】
薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機又は有機塩基で形成され得、無機又は有機対イオンを有し得る。
【0164】
そのような塩基塩に対する無機対イオンは、例えば、周期表のIからXII列からアンモニウム塩及び金属を含む。ある実施形態では、対イオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、1から4個のC1~C4アルキル基を有するアルキルアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅から選択され、特に好適な塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩を含む。
【0165】
塩が由来し得る有機塩基は、例えば、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂を含む。好適な有機アミンは、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンを含む。
【0166】
本開示の薬学的に許容できる塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分から合成され得る。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態と化学量論量の適切な塩基(例えば水酸化、炭酸、重炭酸Na、Ca、Mg又はK)を反応させることにより、又は、これらの化合物の遊離塩基形態と化学量論量の適切な酸を反応させることにより調製され得る。そのような反応は、典型的には、水若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中で実行する。一般的に、実行可能な場合は、エーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。
【0167】
本明細書において示されている式のいずれかは、化合物の非標識形態(すなわち、すべての原子が天然の同位体存在率で存在し、同位体濃縮されていない化合物)、並びに同位体濃縮又は標識形態を表すように意図されている。同位体濃縮又は標識化合物は、化合物の少なくとも1個の原子が、同一元素であるが、天然に存在する原子質量又は原子質量分布と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられていることを除き、本明細書において示されている式により描写されている構造を有する。本開示の濃縮又は標識化合物中に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えば2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36CI、125Iをそれぞれ含む。本開示は、本明細書で定義されている、様々な同位体標識化合物、例えば放射性同位体、例として3H及び14C、又は非放射性同位体、例えば2H及び13Cが、これらの同位体の天然存在率を著しく上回るレベルで存在するものを含む。これらの同位体標識化合物は、例えば、薬剤若しくは基質組織分布アッセイを含む代謝研究(14Cを用いる)、反応速度研究(例えば2H又は3Hを用いる)、検出若しくは撮像技術、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)若しくは単一光子放射断層撮影法(SPECT)に、又は患者の放射性処置に有用である。詳細には、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT研究に特に望ましいことがある。同位体標識した式Iの化合物は、一般的に、当業者に公知である従来の技術により、又は、以前に用いられている標識していない試薬の代わりに適切な同位体標識した試薬を使用した、添付の実施例及び調製物に記載されているものに類似したプロセスにより調製され得る。
【0168】
更に、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)での置換は、代謝安定性の高さから生じるある治療利点、例えばin vivo半減期の増加、又は投与必要量の減少、又は治療指数の改善が得られる。この文脈における重水素は、天然の同位体存在率のレベルを実質的に上回って組み込まれる場合、式Iの化合物の置換基とされることは理解される。本開示は、化合物の同位体濃縮されたものを含む化合物、例えば、重水素化されたもの、並びに重水素化されていないものを含む。重水素化されたものは、単一の箇所で、又は複数の箇所で重水素化されていてよい。
【0169】
そのような同位体、詳細には重水素を同位体濃縮した化合物に組み込む程度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本明細書で使用されている「同位体濃縮係数」という用語は、試料における特定された同位体の同位体存在率と、濃縮されていない試料における天然の同位体存在率の間における比を意味する。本開示の化合物における置換基が、重水素を表す場合、そのような化合物は、指定された重水素原子それぞれに対して、少なくとも3500(指定された重水素原子それぞれで52.5%の重水素組込み)、少なくとも4000(60%の重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組込み)、少なくとも5000(75%の重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組込み)、少なくとも6000(90%の重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組込み)、少なくとも6600(99%の重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0170】
本開示による薬学的に許容できる溶媒和物は、結晶化溶媒が、同位体置換され得るもの、例えばD2O、d6-アセトン、d6-DMSO、並びに、富化されていない溶媒との溶媒和物を含む。
【0171】
本発明の化合物、例えば、水素結合の供与体及び/又は受容体として作用することが可能である基を含有する、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物は、好適な共結晶形成剤で共結晶を形成することが可能であり得る。これらの共結晶は、公知の共結晶形成手順により、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物から調製され得る。そのような手順は、すり潰す工程、加熱する工程、同時昇華させる工程、同時溶融する工程、又は、結晶化条件下で、式I(例えば式IA、IB、IC及びID)の化合物と共結晶形成剤を、溶液中で接触させる工程、及び、共結晶を単離し、それにより形成する工程を含む。好適な共結晶形成剤は、WO2004078163に記載されているものを含む。したがって、本開示は、式Iの化合物(例えば式IA、IB、IC及びID)を含む共結晶が更に得られる。
【0172】
本明細書で使用されている「薬学的に許容できる担体」という用語は、当業者に公知である任意の、及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素等、並びにそれらの組合せ(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版、Mack Printing Company、1990年、1289~1329頁を参照されたい)を含む。ある従来の担体が、有効成分と混合できないこと以外は、治療又は薬学的組成物におけるその使用が想定される。
【0173】
本開示の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的又は医学的反応、例えば、酵素若しくはタンパク質活性の還元若しくは阻害を導く、又は症状を好転させる、状態を緩和する、疾患の進展を遅くする、若しくは遅延させる、又は疾患を防止すること等ができる、本開示の化合物の量を指す。非限定的な一実施形態では、「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合、(1)(i)ERK1/2等のキナーゼにより媒介される、又は(ii)ERK1/2等のキナーゼの活性に関連する、又は(iii)(通常の、又は異常な)ERK1/2の活性により特徴付けられる、状態又は障害又は疾患を少なくとも部分的に緩和する、阻害する、防止する、かつ/或いは、好転させる、或いは(2)ERK1/2の活性を低下させる、又は阻害する、或いは(3)ERK1/2の発現を低下させる、又は阻害するのに有効な本開示の化合物の量を指す。
【0174】
別の非限定的な実施形態では、「治療有効量」という用語は、細胞、又は組織、又は非細胞生物学的材料、又は媒体に投与される場合、ERK1/2の活性を少なくとも部分的に低下させる、若しくは阻害する、又はERK1/2の発現を少なくとも部分的に低下させる、若しくは阻害するのに有効な本開示の化合物の量を指す。
【0175】
本明細書で使用されている「対象」という用語は、動物を指す。典型的には、動物は、哺乳動物である。対象は、例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性又は女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類も指す。特定の実施形態では、対象は、霊長類である。一実施形態では、対象は、ヒトである。
【0176】
本明細書で使用されている「阻害する」、「阻害」又は「阻害すること」という用語は、所定の状態、活性、効果、症状若しくは障害、又は疾患の低減又は抑制、或いは、生物学的活性又はプロセスのベースライン活性の著しい低下を指す。
【0177】
本明細書で使用されている、疾患又は障害のいずれかを「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、一実施形態では、疾患又は障害を好転させることを指す(すなわち、疾患、又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅くする、又は停止する、又は低下させること)。別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、患者では識別可能でないことがあるものを含む、少なくとも1つの物理的パラメーターを緩和する、又は好転させることを指す。更に別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメーターの安定化)又はその両方で、疾患又は障害を調節することを指す。更に別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、疾患又は障害の発症又は進展を遅延させることを指す。
【0178】
本明細書で使用されているように、対象が、処置から生物学的に、医学的に又はクオリティオブライフとして利益を得られると予想される場合、そのような対象は、処置を「必要とする」。
【0179】
本明細書で使用されている「a」、「an」、「the」という用語、及び本開示に関して(とりわけ特許請求の範囲に関して)使用される類似した用語は、本明細書において別途指示がない限り、又は、文脈に明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。
【0180】
本明細書に記載されている方法はすべて、本明細書において別途指示がない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順で行うことができる。本明細書で提示される実施例のいずれか及びすべて、又は例示的な言葉(例えば「例えば」)の使用は、本発明をより良好に解明することしか意図されておらず、別途請求されている本発明の範囲に限定を課さない。
【0181】
本開示の化合物のある不斉原子(例えば、炭素)は、ラセミ又は鏡像異性的に濃縮された、例えば(R)-、(S)-又は(R,S)-配置で存在し得る。ある実施形態では、各不斉原子は、少なくとも50%鏡像異体過剰率、少なくとも60%鏡像異体過剰率、少なくとも70%鏡像異体過剰率、少なくとも80%鏡像異体過剰率、少なくとも90%鏡像異体過剰率、少なくとも95%鏡像異体過剰率、又は少なくとも99%鏡像異体過剰率の(R)-又は(S)-配置を有し、すなわち、光学活性化合物では、多くは、例えば、1個の鏡像異性体を使用して、他の鏡像異性体を実質的に排除する。置換基は、炭素-炭素二重結合を有する原子において、可能であればcis-(Z)-又はtrans-(E)-形態で存在し得、別途指示がない限り、その両方が本開示に含まれる。
【0182】
したがって、本明細書で使用されているように、本開示の化合物は、考えられる異性体、回転異性体、アトロプ異性体、若しくは互変異性体の1つの形態であり得、又は、それらの混合物として、例えば、実質的に純粋な幾何学的(cis-又はtrans-)異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体(対掌体)、ラセミ化合物若しくはそれらの混合物として存在し得る。本明細書で使用されている「実質的に純粋」又は「実質的に他の異性体を含まない」は、好ましい異性体の量に対し、5質量%未満、例えば、2質量%未満の他の異性体を含有する生成物を意味する。
【0183】
生じた異性体混合物のいずれも、成分の物理化学的な差に基づいて、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、純粋又は実質的に純粋な幾何異性体又は光学異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ化合物として分離できる。
【0184】
最終生成物又は中間体の生じたラセミ化合物のいずれも、公知の方法により、例えば、光学活性酸又は塩基と得たそのジアステレオ異性体塩を分離し、光学活性酸性又は塩基性化合物を遊離させることにより、光学対掌体に分割できる。詳細には、塩基部分は、したがって、本開示の化合物を、例えば、光学活性酸、例として、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ-O,O'-p-トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸又はカンファー-10-スルホン酸と形成された塩の分別結晶により、その光学対掌体に分割するのに用いられ得る。ラセミ生成物は、キラルクロマトグラフィー、例えば、キラル吸着剤を使用した高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によっても分割できる。
【0185】
更に、本開示の化合物は、その塩を含めて、その水和物の形態でも得られる、又は、その結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。本開示の化合物は、本質的に、又は設計により、薬学的に許容できる溶媒(水を含む)との溶媒和物を形成し得、したがって、本開示は、溶媒和及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物(薬学的に許容できるその塩を含む)と、1つ又は複数の溶媒分子の分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、通例、薬学業界で使用され、受容個体に対して無害なことが公知なもの、例えば、水、エタノールである。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0186】
式Iの化合物は、スキーム1に例証されている一般的な合成方法により作製され得る。5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン(1)は、好適な溶媒、例えばTHF又はDMF中で、好適な塩基、例えば水素化ナトリウム又はカリウムヘキサメチルジシラジドと反応させることにより、化合物2でN-アルキル化させて、化合物3を形成できる。化合物3及び化合物4のカップリングは、化合物3をボロン酸又はピナコールエステルに変換するパラジウム触媒化学反応、次いで、周知のパラジウムの助けを借りた条件下で、化合物4との後続の反応を使用して実行して、式5の化合物を形成できる。或いは、化合物4におけるZ1は、ボロン酸又はピナコールエステルに変換され得、これを、次いで、同様のパラジウム触媒化学反応の下で化合物3と反応させて、化合物5を形成する。パラジウムの助けを借りた条件下での、化合物5とアミン6の反応は、式7の化合物を形成し、これは、式Iの化合物である。
【0187】
【化16】
【0188】
中間体5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン1は、当業者に多くの公知の方法によって作製され得る。スキーム2は、2つの一般的な合成方法を例証する。容易に利用できるジブロモチオフェンカルボン酸(8)は、低温下で、アルキル金属、例えばn-ブチルリチウム又はイソプロピルマグネシウムクロリドと反応させ、生じたジアニオンを、化合物9と反応させて、アルコールを形成し、これを、次いで、好適な溶媒、例えばトルエン中で、上昇温度にて、好適な触媒、例えば硫酸又はp-トルエンスルホン酸により触媒されるラクトン10に環化する。10のラクタム1への変換は、高温にてアンモニアを使用して達成され得る。或いは、チオフェン-3-カルボン酸11は、以前に記載されているものと同一の方法を使用して、化合物13に変換され得る。化合物13は、好適な溶媒、例えばアセトニトリル又は酢酸中で、好適な臭素化試薬、例えばNBS又はBr2と反応させることにより、臭化物1に変換される。
【0189】
【化17】
【0190】
スキーム3及び4は、いくつかの例では、式IAの化合物の調製を例証するが、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X1、X2、L1及びL2が、式Iに包含される他の選択肢である、式Iの好適な化合物を調製する方法は、必要な中間体1、2及び4を作製するための多くの公知の方法を考慮すると、当業者に容易に明らかになる方法であり、したがって、化合物を調製するのに、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X1、X2、L1及びL2の他の実施形態と等しく適用可能である。
【0191】
【化18】
【0192】
スキーム3は、式IAの化合物に対するある合成方法を例証する。中間体1は、好適な溶媒、例えばTHF又はDMF中で、好適な塩基、例えば水素化ナトリウム又はカリウムヘキサメチルジシラジドと反応させることにより、化合物14でN-アルキル化させて、化合物15を形成する。化合物15のボロン酸ピナコールエステル16への変換は、周知のパラジウムの助けを借りた条件下で、パラジウム触媒化学反応を使用して実行する。ボロン酸ピナコールエステル16及び化合物17のカップリングは、パラジウム触媒化学反応を使用して実行して、化合物18を得ることができる。パラジウムの助けを借りた条件下での化合物18とアミン15の反応は、式19の化合物を形成し、これは、式IAの化合物である。
【0193】
【化19】
【0194】
スキーム4は、中間体15に対する代替合成方法を例証する。ジブロモチオフェンカルボン酸8は、多くの周知のアミド調製方法を使用すること、例えば塩化チオニルと反応させること、及び、続いて中間体酸塩化物とアミン20の反応により、既に組み込まれたR2及びR4の側鎖含有基を有するアミド21に変換される。化合物20は、低温下でアルキル金属、例えばn-ブチルリチウムと反応し、生じたジアニオンを、化合物9と反応させて、アルコール22を形成し、これを、次いで、好適な溶媒、例えばトルエン中で、上昇温度にて、好適な触媒、例えば硫酸又はp-トルエンスルホン酸により触媒される化合物15に環化した。
【実施例
【0195】
以下の実施例は、本開示のある実施形態、並びにその作製及び使用の仕方を例証する。これらは、本発明の範囲を限定することを意図されていない。
【0196】
以下の実施例では、以下の略語が使用される。
【0197】
9-BBN 9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
B2pin2 ビス(ピナコラト)ジボロン
BPO 過酸化ジベンゾイル
dba ジベンジリデンアセトン
DAST ジエチルアミノ硫黄三フッ化物
DCE 1,2-ジクロロエテン
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDCI 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
KHNDS カリウムヘキサメチルジシラジド
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LG 脱離基
MeOH メタノール
MsCl 塩化メタンスルホニル
NaHMDS ナトリウムヘキサメチルジシラジド
NBS N-ブロモスクシンイミド
NMP N-メチル-2-ピロリドン
(dppf)Cl2 [1,1'ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
PE 石油エーテル
PG 保護基
PPTS p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
Prep-TLC 分取薄層クロマトグラフィー
PTSA p-トルエンスルホン酸
TBAF フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
TBAI ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
TEA トリエチルアミン
TES トリエチルシリル
TFA トリフルオロ酢酸
TfOH トリフル酸
THF テトラヒドロフラン
THP テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TsCl 塩化4-トルエンスルホニル
キサントホス 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
【0198】
中間体1
(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチルメタンスルホネート
【0199】
【化20】
【0200】
工程1. メチル2-(トリフルオロメチル)イソニコチネート
250-mLオートクレーブにおける、MeOH(150mL)中の4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(20g、88.5mmol)の溶液に、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(1.44g、1.77mmol)、続いて TEA(17.9g、177.0mmol)を添加した。オートクレーブに、8atmまでCOを入れ、80℃にて18h撹拌し、8atmにてCOの圧力を維持した。混合物をrtに冷却し、MeOHを真空で除去した。残渣をEtOAc(500mL)に溶解し、水(200mL×2)及びブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をPE/EtOAc(10/1、50mL)に溶解し、シリカゲルの小型パッドを通して濾過して、触媒を除去した。濾液を濃縮して表題化合物(15.4g、収率:84%)を得た。
【0201】
工程2. (2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メタノール
氷水で冷却した、MeOH(100mL)中の上記工程1の生成物(15.4g、75.0mmol)の溶液に、内部温度を30℃未満に維持しつつ、NaBH4(7.1g、187.7mmol)を少しずつ添加した。添加を完了した後で、混合物をrtにて2h撹拌してから、アセトン(20mL)でクエンチした。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(200mL)に溶解し、水(50mL×3)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(11.8g、収率:88%)を得た。
【0202】
工程3. (2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチルメタンスルホネート
氷水で冷却した、DCM(3mL)中の上記工程2の生成物(50mg、0.282mmol)及びTEA(43mg、0.423mmol)の溶液に、MsCl(38mg、0.339mmol)を添加した。混合物を、rtにて1h撹拌した。反応混合物をDCM(20mL)で希釈し、これを飽和Na2CO3水溶液(10mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(69mg、収率:96%)を得た。MS(ESI)m/z=256.1[M+H]+
【0203】
中間体2
2-ブロモ-6,6-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0204】
【化21】
【0205】
工程1. 2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チオフェン-3-カルボン酸
窒素下で、-70℃までのドライアイス/アセトン浴中において、THF(1500mL)中のチオフェン-3-カルボン酸(75g、585mmol)の溶液に、内部温度を-55℃未満に維持しつつ、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N、562mL、1404mmol)をゆっくり添加した。固体形態が、添加中に観察できた。添加を完了した後で、反応を-70℃にて30min撹拌してから、温度を-60℃未満に維持しつつ、アセトン(44.2g、761mmol)を滴下添加した。添加を完了した後で、反応混合物を-70℃にて10min、氷水浴中で2h撹拌した。反応混合物を、塩酸(4N、800mL)で0℃にてクエンチし、1h撹拌した。有機相を分離し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮して、粗生成物(約85g、液体及び半固体)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0206】
工程2. 6,6-ジメチルチエノ[2,3-c]フラン-4(6H)-オン
トルエン(1000mL)中の上記工程1の粗生成物(85g、液体及び半固体)に、PTSA一水和物(30g、160mmol)及び水(75mL)を添加した。混合物を100℃にて18h還流させた。反応混合物をrtに冷却し、EtOAc(1000mL)で希釈し、NaOH水溶液(2N、1000mL)及びブライン(1000mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮して、粗表題化合物(48g、収率:2工程で49%)を得た。
【0207】
工程3. 6,6-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
3-Lオートクレーブに、上記工程2の生成物(110g、654mmol)及び濃縮水酸化アンモニウム(28%、1000mL)の溶液を入れた。混合物を170℃にゆっくり加熱し、この温度にて18h撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、DCM/イソプロパノール(10/1、500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗生成物を得、これをPE/EtOAc(10/1、1100mL)で粉砕し、固体を濾過し、真空で乾燥させて、表題化合物(77g、収率:70%)を得た。
【0208】
工程4. 2-ブロモ-6,6-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
アセトニトリル(720mL)中の、上記工程3の生成物(60g、358.8mmol)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(36mL)の懸濁液に、少しずつ NBS(70.25g、394.7mmol)を添加した。rtにて18h撹拌した後で、混合物を真空で濃縮した。残渣をEtOAc(2L)に溶解し、これを飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(500mL×4)及びブライン(1000mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮した。残渣をPE/EtOAc(1/2、200mL)で粉砕し、固体を濾過し、真空で乾燥させて、表題化合物(83.6g、収率:81%)を得た。MS(ESI)m/z=246.1&248.2[M+H]+
【0209】
中間体3
4-(1-ブロモエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
【0210】
【化22】
【0211】
工程1. 1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エタノール
0℃に冷却した、THF(1.3L)中の4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(190g、840.7mmol)の溶液に、内部温度を<5℃に保つような速度で、イソプロピルマグネシウムクロリド(THF中の2N、462mL、924mmol)を添加した。添加を完了した後で、混合物を約10℃にて0.5h撹拌し、0℃に再度冷却し、内部温度を<10℃に保ちつつ、アセトアルデヒド(55.48g、1.26mol)を添加した。添加を完了した後で、混合物を約10℃にて30min撹拌してから、飽和水溶液NH4Clでクエンチした。生じた溶液を濃縮して、THFの大半を除去し、水溶液を、EtOAc(1.0L×3)で抽出した。合わせた有機層を、水(500mL×3)及びブライン(500mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮して、表題化合物(150mg、収率:93%)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0212】
工程2. 4-(1-ブロモエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
THF(2L)中の上記工程1の生成物(200g、1.05mol)及びCBr4(524g、1.57mol)の溶液に、PPh3(412g、1.57mol)を、rtにて数回に分けて添加した。添加を完了した後で、混合物をrtにて1h撹拌した。追加のCBr4(87g、0.26mol)及びPPh3(68.5g、0.26mol)を順次添加した。反応混合物をrtにて1h撹拌し、濾過し、濾液を真空で濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=2/1)により精製して、表題化合物(173g、収率:65%)を得た。MS(ESI)m/z=254.1&256.0[M+H]+
【0213】
中間体4
(R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル メタンスルホネート
【0214】
【化23】
【0215】
工程1. (R)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1,2-ジオール
t-BuOH/H2O(60mL/60mL)中のAD-ミックス-ベータの溶液に、1-クロロ-3-ビニルベンゼン(4.8g、35mmol)をrtにて滴下添加した。混合物を、rtにて終夜撹拌してから、飽和NaHSO3水溶液(100mL)でクエンチした。反応混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4/1)により精製して、表題化合物(5.2g、収率:86%)を得た。
【0216】
工程2. (R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタノール
0℃に冷却した、DCM(50mL)中の上記工程1の生成物(5.2g、30mmol)の溶液に、イミダゾール(5.1g、75mmol)及びTBSCl(4.5g、30mmol)を順次添加した。混合物を氷水浴上で1h撹拌し、DCM(200mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1)により精製して、表題化合物(7.3g、収率:85%)を得た。
【0217】
工程3. (R)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチルメタンスルホネート
氷水浴上で冷却した、DCM(10mL)中の上記工程2の生成物(200mg、0.548mmol)の溶液に、TEA(83mg、0.822mmol)を添加し、続いてMsCl(75mg、0.658mmol)を滴下添加した。混合物をrtにて1h撹拌し、DCM(100mL)で希釈し、飽和Na2CO3水溶液(30mL)、水(30mL)及びブライン(30mL)により洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗表題化合物(300mg)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。MS(ESI)m/z=365.2&367.1[M+H]+
【0218】
中間体5
2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル4-メチルベンゼンスルホネート
【0219】
【化24】
【0220】
工程1. 2-(トリフルオロメチル)-4-ビニルピリジン
DMF(50mL)中のビニルトリフルオロホウ酸カリウム(3.6g、27mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(0.9g、1.1mmol)の溶液に、4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(5.0g、22mmol)、続いてTEA(3.3g、33mmol)を添加した。混合物を、N2下で105℃にて18h撹拌した。rtに冷却した後で、反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、水(50mL×5)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣は、シリカゲルの小型パッド(PE/EtOAc=10/1から2/1)を通して濾過し、濃縮して、表題化合物(2.5g、収率:65%)を得た。
【0221】
工程2. 2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エタノール
THF(10mL)中の上記工程1の生成物(1.3g、7.5mmol)の溶液に、N2下で、9-BBN(THF中0.5N、37.5mL、18.75mmol)を0℃にて滴下添加した。60℃にて2h撹拌した後で、混合物をrtに冷却し、これにNaOH(2.5N、15mL、37.5mmol)を添加し、続いてH2O2(30%、4.3g)をゆっくり添加した。生じた混合物をrtにて18h撹拌した。混合物を濾過し、濾液をEtOAc(100mL)で抽出し、これを水(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4/1から2/1)により精製して、表題化合物(800mg、収率:56%)を得た。
【0222】
工程3. 2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル 4-メチルベンゼンスルホネート
DCM(10mL)中の上記工程2の生成物(650mg、3.42mmol)の溶液に、TEA(691mg、6.84mmol)及びTsCl(978mg、5.13mmol)を0℃にて順次添加した。混合物をrtにて6h撹拌し、EtOAc(100mL)で希釈し、水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20/1から4/1)により精製して、表題化合物(940mg、収率:80%)を得た。MS(ESI)m/z=246.1[M+H]+
【0223】
中間体6
4-(1-ブロモエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン
【0224】
【化25】
【0225】
工程1. 4-(1-エトキシビニル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン
DMF(50mL)中の4-クロロ-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン(4.09g、22.43mmol)及びPd(PPh3)2Cl2(315mg、0.449mmol)の溶液に、トリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(8.91g、24.7mmol)をrtにて添加した。N2下で、85℃にて18h撹拌した後で、反応混合物をrtに冷却し、次いでKF(16g)及び水(70mL)を添加した。混合物をrtにて更に10min撹拌してから、EtOAc(150mL)で希釈した。有機層を分離し、水(100mL×2)及びブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=15/1)により精製して、表題化合物(4.53g、収率:93%)を得た
【0226】
工程2. 1-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)エタノン
THF(40mL)中の上記工程1の生成物(4.53g、20.76mmol)の溶液に、4N HCl水溶液(10.4mL)をrtにて添加した。30℃にて18h撹拌した後で、混合物を濃縮して、THFを除去した。残留水溶液を、飽和NaHCO3水溶液でpH=8~9に調整し、これを、EtOAc(80mL)で抽出した。抽出物を水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(4.49g、粗製物)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0227】
工程3. 1-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)エタノール
氷水で冷却した、MeOH(30mL)中の上記工程2の生成物(3.99g、20.99mmol)の溶液に、NaBH4(953mg、26.19mmol)を少しずつ添加して、内部温度を<30℃に保った。混合物をrtにて0.5h撹拌し、アセトン(10mL)でクエンチし、EtOAc(80mL)で希釈し、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(3.21g、収率:71%)を得た。
【0228】
工程4. 4-(1-ブロモエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン
氷水で冷却した、THF(10mL)中の上記工程3の生成物(2.71g、14.1mmol)及びCBr4(7.02g、21.16mmol)の溶液に、PPh3(5.6g、21.3mmol)をゆっくり添加した。40℃にて1.5h撹拌した後で、反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4/1)により精製して、表題化合物(2.76g、収率:77%)を得た。MS(ESI)m/z=255.1&257.1[M+H]+
【0229】
中間体7
2-(1-ブロモエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン
【0230】
【化26】
【0231】
中間体7は、2-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)ピリジンから開始する中間体6について記載されている手順に従って、合成した。
【0232】
中間体8
2-(1-ブロモエチル)-4-(トリフルオロメチル)チアゾール
【0233】
【化27】
【0234】
工程1. 2-(1-エトキシビニル)-4-(トリフルオロメチル)チアゾール
DMF(50mL)中の2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)チアゾール(4.5g、19.4mmol)及びPd(PPh3)2Cl2(272mg、0.39mmol)の溶液に、トリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(7.7g、21.3mmol)をrtにて添加した。混合物を、N2下で85℃にて4h撹拌した。rtに冷却した後で、KF(20g)及び水(70mL)を反応混合物に添加し、これをrtにて更に10min撹拌した。混合物をEtOAc(150mL)に溶解し、これを、水(80mL×2)及びブライン(80mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1)により精製して、表題化合物(4.4g、収率:92%)を得た
【0235】
工程2. 1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エタノン
THF(40mL)中の上記工程1の生成物(3.9g、17.5mmol)の溶液に、4N HCl水溶液(8.7mL)をrtにて添加した。30℃にて4h撹拌した後で、反応混合物を濃縮して、THFを除去し、残留水溶液を、飽和NaHCO3水溶液でpH=8~9に調整し、DCM(80mL)で抽出した。抽出物を水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(4.85g、粗製物)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0236】
工程3. 1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エタノール
氷水で冷却した、MeOH(40mL)中の上記工程2の生成物(4.35g、22.3mmol)の溶液に、内部温度<30℃を保つように、NaBH4(1.01g、26.76mmol)を少しずつ添加した。rtにて0.5h撹拌した後で、反応混合物をアセトン(2mL)でクエンチし、EtOAc(100mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(3.5g、収率:80%)を得た。
【0237】
工程4. 2-(1-ブロモエチル)-4-(トリフルオロメチル)チアゾール
氷水で冷却した、THF(40mL)中の上記工程3の生成物(3.5g、17.8mmol)及びCBr4(7.06g、21.30mmol)の溶液に、PPh3(5.6g、21.3mmol)をゆっくり添加した。40℃にて1.5h撹拌した後で、反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20/1)により精製して、表題化合物(2.49g、収率:54%)を得た。MS(ESI)m/z=260.0&262.1[M+H]+
【0238】
中間体9
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)酢酸
【0239】
【化28】
【0240】
工程1. エチル2-(2-ブロモ-6,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセテート
THF(15mL)中の中間体2(2.0g、8.126mmol)の撹拌した溶液に、N2下でKHMDS(1N、9.75mL、9.75mmol)を0℃にて添加した。混合物を0℃にて1h撹拌してから、2-ブロモ酢酸エチル(1.63g、9.75mmol)を添加した。反応混合物を、N2下で70℃にて18h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物をEtOAc(80mL)で希釈し、これを、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1/1)により精製して、表題化合物(2.2g、収率:81%)を得た。
【0241】
工程2. エチル2-(2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセテート
ジオキサン(10mL)中の上記工程1の生成物(2.2g、6.62mmol)の溶液に、B2pin2(1.76g、6.95mmol)、KOAc(1.30g、13.24mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(270mg、0.331mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で90℃にて3h撹拌した。rtに冷却した後で、2,4-ジクロロピリミジン(986mg、6.62mmol)、K2CO3(2.28g、16.55mmol)及び水(2mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、110℃にて18h撹拌した。生じた混合物をrtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、100mL)で希釈し、水(60mL×2)及びブライン(60mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3/1から10/1、次いでDCM/MeOH=100/1から50/1)により精製して、表題化合物(538mg、収率:22%)を得た
【0242】
工程3. エチル2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセテート
ジオキサン(10mL)中の上記工程2の生成物(538mg、1.47mmol)の溶液に、1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン(500mg、5.15mmol)、Cs2CO3(958mg、2.94mmol)、Pd2(dba)3(67mg、0.0735mmol)及びキサントホス(85mg、0.147mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で110℃にて2h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物をDCM/メタノール(10/1、80mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から10/1)により精製して、表題化合物(444mg、収率:71%)を得た。
【0243】
工程4. 2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)酢酸
THF/EtOH/H2O(5mL/5mL/1mL)中の上記工程3の生成物(444mg、1.04mmol)に、LiOH・H2O(131mg、3.12mmol)を添加した。50℃にて1.5h撹拌した後で、反応混合物をrtに冷却し、HCl水溶液(4N)でPH=5~6に調整した。混合物をDCM/i-PrOH(3/1、60mL)及び水(30mL)で希釈した。有機層を分離し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗表題化合物(411mg、収率:99%)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。MS(ESI)m/z=399.2[M+H]+
【0244】
中間体10
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパン酸
【0245】
【化29】
【0246】
工程1. エチル2-(2-ブロモ-6,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパノエート
THF(15mL)中の中間体2(2.0g、8.126mmol)の撹拌した溶液に、N2下でKHMDS(1N、9.75mL、9.75mmol)を0℃にて添加した。混合物を0℃にて0.5h撹拌してから、2-ブロモプロパン酸エチル(1.77g、9.75mmol)を添加した。反応混合物を、N2下で70℃にて18h撹拌し、rtに冷却し、EtOAc(80mL)で希釈し、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(2.91g)を得た。
【0247】
工程2. エチル2-(2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパノエート
ジオキサン(15mL)中の上記工程1の生成物(2.91g、約8.13mmol)の溶液に、B2pin2(2.24g、8.83mmol)、KOAc(1.65g、16.8mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(343mg、0.42mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で90℃にて2.5h撹拌した。rtに冷却した後で、2,4-ジクロロピリミジン(1.25g、8.4mmol)、K2CO3(2.32g、16.8mmol)及び水(3mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、110℃にて18h撹拌した。生じた混合物をrtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、150mL)で希釈し、水(60mL×2)及びブライン(60mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から80/1)により精製して、表題化合物(1.28g、収率:40%)を得た。
【0248】
工程3. エチル2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパノエート
ジオキサン(10mL)中の工程2の生成物(1.28g、3.37mmol)の溶液に、1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン(1.15g、11.8mmol)、Cs2CO3(2.20g、6.74mmol)、Pd2(dba)3(154mg、0.168mmol)及びキサントホス(194mg、0.337mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で110℃にて2h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物をDCM/メタノール(10/1、100mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から50/1)により精製して、表題化合物(640mg、収率:43%)を得た。
【0249】
工程4. 2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパン酸
THF/EtOH/H2O(8mL/8mL/1.5mL)中の上記工程3の生成物(640mg、1.45mmol)の溶液に、LiOH・H2O(183mg、4.36mmol)を添加した。混合物を50℃にて1.5h撹拌した。rtに冷却した後で、反応混合物をHCl水溶液(4N)でPH=5~6に調整し、DCM/i-PrOH(3/1、60mL)及び水(30mL)で希釈した。有機層を分離し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗表題化合物(550mg、収率:92%)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。MS(ESI)m/z=413.1[M+H]+
【0250】
中間体11
2-(2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)酢酸
【0251】
【化30】
【0252】
工程1. メチル5-ブロモ-2-(ジブロモメチル)チオフェン-3-カルボキシレート
CCl4(80mL)中のメチル2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(8g、51.2mmol)の溶液に、NBS(27.3g、153.6mmol)、続いてBPO(1.24g、5.1mmol)を添加した。混合物を85℃にて終夜撹拌した。追加のNBS(9.1g、51.1mmol)を反応に添加した。混合物を85℃にて更に4h撹拌した。これをrtに冷却し、シリカゲルの小型パッドを通して濾過して(PEで溶出する)、所望の化合物(10g、収率:63%)を得た。
【0253】
工程2. メチル5-ブロモ-2-ホルミルチオフェン-3-カルボキシレート
EtOH/H2O(200mL/30mL)中の上記工程1の生成物(10g、25.4mmol)の溶液に、AgNO3をrtにて添加した。混合物を65℃にて18h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物を濾過した。濾液をEtOAc(500mL)で希釈し、水(200mL×2)及びブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=40/1)により精製して、表題化合物(6.25g、収率:98%)を得た。
【0254】
工程3. メチル5-ブロモ-2-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)チオフェン-3-カルボキシレート
DCM/HOAc(40/5mL)中の上記工程2の生成物(2.0g、8.0mmol)、(4-メトキシフェニル)メタンアミン(1.7g、12.0mmol)及びNaBH(OAc)3(5.1g、24.0mmol)の溶液を50℃にて18h撹拌した。混合物をDCM(150mL)で希釈し、H2O(50mL)及びブライン(50mL)により洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1から5/1)により精製して、表題化合物(1.9g、収率:64%)を得た。
【0255】
工程4. 5-ブロモ-2-(((4-メトキシベンジル)アミノ)メチル)チオフェン-3-カルボン酸
MeOH(40mL)中の上記工程3の生成物(1.9g、5.15mmol)の溶液に、NaOH水溶液(5N、10mL)を添加した。混合物をrtにて18h撹拌し、rtに冷却し、PHをHCl(6N)により5~6に調整した。形成された沈殿物を濾取し、真空で乾燥させて、粗表題化合物(1.9g、定量的)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0256】
工程5. 2-ブロモ-5-(4-メトキシベンジル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
DMF(30mL)中の上記工程4の生成物(1.9g、粗製物、約5.15mmol)、HOBT(1.0g、7.7mmol)、EDCI(1.5g、7.7mmol)及びTEA(1.6g、15.5mmol)の溶液を50℃にて3h撹拌した。混合物をEtOAc(200mL)で希釈し、水(50×2mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=6/1から3/1)により精製して、表題化合物(800mg、収率:46%)を得た。
【0257】
工程6. 2-ブロモ-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
TFA(10mL)中の上記工程5の生成物(750mg、2.23mmol)の溶液を、75℃にて3h撹拌した。混合物は、氷水(10mL)及び飽和Na2CO3水溶液(50mL)を添加した後で、DCM/MeOH(10/1、50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL)により洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=2/1から1/1)により精製して、表題化合物(450mg、収率:93%)を得た。
【0258】
工程7. エチル2-(2-ブロモ-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセテート
氷水で冷却した、THF(10mL)中の上記工程6の生成物(200mg、0.92mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%、45mg、1.1mmol)を添加した。混合物を0℃にて0.5h撹拌してから、2-ブロモ酢酸エチル(185mg、1.11mmol)を添加した。混合物をrtにて3h撹拌し、EtOAc(100mL)で希釈し、水(30mL)及びブライン(30mL)により洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=2/1~1/1)により精製して、表題化合物(220mg、収率:79%)を得た。
【0259】
工程8. エチル2-(2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセテート
ジオキサン(5mL)中の上記工程7の生成物(220mg、0.73mmol)、B2pin2(194mg、0.76mmol)、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(30mg、0.0365mmol)及びKOAc(143mg、1.46mmol)の混合物を、N2下で80℃にて2h撹拌した。rtに冷却した後で、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(30mg、0.0365mg)、K2CO3(202mg、1.46mmol)及びジオキサン/H2O(10mL/2mL)を添加した。混合物を、N2下で100℃にて終夜撹拌した。rtに冷却した後で、これをEtOAc(100mL)で希釈し、水(30mL×2)及びブライン(30mL)により洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をprep-TLC(シリカゲル、DCM/MeOH=30/1)により精製して、表題化合物(80mg、収率:24%)を得た。
【0260】
工程9. 2-(2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)酢酸
MeOH(2mL)中の上記工程8の生成物(80mg、0.16mmol)の溶液に、NaOH水溶液(5N、2mL)をrtにて添加した。混合物をrtにて終夜撹拌し、濃縮してMeOHを除去した。残渣を、氷水(5mL)で希釈し、6N HCl(aq)でPH=5~6に調整し、DCM/MeOH(50mL)で抽出した。抽出物を無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、表題化合物(30mg、収率:50%)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。MS(ESI)m/z=371.0[M+H]+
【0261】
中間体12
(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メタンアミン
【0262】
【化31】
【0263】
工程1.(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチルメタンスルホネート
氷水で冷却した、DCM(40mL)中の中間体1中の工程2の生成物(2.0g、11.3mmol)の溶液に、TEA((1.7g、16.96mmol)を添加し、続いてMsCl(1.5g、13.56mmol)をゆっくり添加した。混合物を0℃にて1h撹拌し、EtOAc(100mL)で希釈し、水(30mL)、飽和Na2CO3水溶液(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗表題化合物(3.0g)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0264】
工程2. 4-(アジドメチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
DMF(20mL)中の上記工程1の生成物(3.0g、粗製物、約11.3mmol)の溶液に、NaN3(881mg、22.6mmol)を添加した。混合物をrtにて終夜撹拌し、EtOAc(200mL)で希釈し、水(20mL×2)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮して、粗表題化合物(2.5g)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。
【0265】
工程3.(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メタンアミン
氷水で冷却した、MeOH(20mL)中の上記工程2の生成物(2.5g、粗製物、約11.3mmol)の溶液に、SnCl2・2H2O(7.6g、33.9mmol)をゆっくり添加した。混合物をrtにて2h撹拌し、これを、水(5mL)で希釈し、K2CO3でpH8~9に塩基性化した。固体を濾別し、濾液を無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮して、粗表題化合物(695mg、収率:35%)を得、これを、更なる精製一切なしで次の工程に使用した。MS(ESI)m/z=377.1[M+H]+
【0266】
中間体13
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセトアルデヒド
【0267】
【化32】
【0268】
工程1. 2-ブロモ-5-(2,2-ジエトキシエチル)-6,6-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
無水THF(20mL)中の中間体2(4.0g、16.3mmol)の溶液に、KHMDS(THF中1.0N、17.9mmol)をrtにて添加した。混合物をrtにて30min撹拌してから、2-ブロモ-1,1-ジエトキシエタン(3.52g、16.3mmol)を添加した。生じた混合物を100℃にて18h撹拌し、rtに冷却し、EtOAc(200mL)で希釈し、水(50×2mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4/1)により精製して、表題化合物(4.5g、収率:51%)を得た。
【0269】
工程2. 5-(2,2-ジエトキシエチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(8mL)中の上記工程1の生成物(1.1g、4.4mmol)、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(169mg、0.21mmol)及びKOAc(812mg、8.3mmol)の溶液に、N2を入れた。混合物を90℃にて2h撹拌した。rtに冷却した後で、4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(781mg、3.7mmol)、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(151mg、0.19mmol)、K2CO3(1.0g、7.4mmol)及びジオキサン/H2O(10/2mL)を反応混合物に添加し、これを、100℃にて18h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、水(30×2mL)及びブライン(30mL)により洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1)により精製して、表題化合物(410mg、収率:24%)を得た。
【0270】
工程3. 2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセトアルデヒド
THF(10mL)中の上記工程2の生成物(410mg、0.9mmol)の溶液に、HCl水溶液(6N、5mL)を添加した。rtにて3h撹拌した後で、氷水浴中で混合物を冷却され、Na2CO3(aq)によりPH=8~9に調整し、EtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)により洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濃縮して、表題化合物(280mg、収率:81%)を得た。MS(ESI)m/z=383.2[M+H]+
【0271】
(実施例1)
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0272】
【化33】
【0273】
工程1. 2-ブロモ-6,6-ジメチル-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
THF(10mL)中の中間体2(139mg、0.565mmol)の溶液に、N2下で、rtにて撹拌しながらKHMDS(1N、0.678mL、0.678mmol)を添加した。混合物をrtにて30min撹拌してから、中間体1(173mg、0.678mmol)を添加した。LC/MSが、反応の完了を示した後で、反応混合物を、N2下で90℃にて18h撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、H2O(30mL×2)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮した。残渣は、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するprep-TLCを経由して精製して、粗表題化合物を黄色油状物(241mg、粗製物収率:>100%)として得た。
【0274】
工程2. 2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6,6-ジメチル-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(10mL)中の上記工程1の生成物(276mg、0.681mmol)の溶液に、B2pin2(182mg、0.715mmol)、酢酸カリウム(134mg、1.362mmol)及びPd2(dppf)Cl2・CH2Cl2(28mg、0.0341mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で100℃にて2.5h撹拌し、LC/MSが出発材料の消費を示した場合、rtに冷却した。次いで2,4-ジクロロピリミジン(101mg、0.681mmol)、炭酸カリウム(235mg、1.703mmol)及びH2O(2mL)を反応混合物に順次添加した。TLCが、反応の完了を示した後で、反応混合物を、N2下で110℃にて18h撹拌した。反応混合物をrtに冷却した、ジクロロメタン(80mL)で希釈し、H2O(60mL×2)及びブライン(60mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮した。残渣は、ヘキサン/酢酸エチル(1:1~1:2)のフラッシュカラムクロマトグラフィーを経由して精製して、粗生成物を得、これを、ヘキサン/酢酸エチル(1:2)で溶出するprep-TLCにより精製して、所望の化合物(50mg、収率:17%)を白色固体として得た。
【0275】
工程3. 6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(5mL)中の上記工程2の生成物(50mg、0.114mmol)の溶液に、1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン(12mg、0.125mmol)、炭酸セシウム(82mg、0.251mmol)、Pd2(dba)3(5mg、0.0057mmol)及びキサントホス(7mg、0.0114mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で110℃にて2h撹拌し、TLCが反応の完了を示した場合、rtに冷却した。混合物をジクロロメタン/メタノール(10:1、50mL)で希釈し、H2O(30mL×2)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮した。生成物は、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶出するprep-TLCを経由して精製して、所望の化合物を黄色固体として(23mg、収率:41%)得た。
MS (ESI) m/z: 500.1 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ/ppm: 9.54 (s, 1H), 8.67 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.61 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.79 (s, 2H), 3.68 (s, 3H), 1.49 (s, 6H).
【0276】
Table 1(表1)は、当業者により達成できる適切な条件下で、対応する中間体及び試薬を使用することにより、実施例1に記載されている手順に従って調製された実施例を列挙している。
【0277】
【表1A】
【0278】
【表1B】
【0279】
(実施例8)
6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0280】
【化34】
【0281】
工程1. 2-ブロモ-6,6-ジメチル-5-(2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
THF(8mL)中の中間体2(810mg、3.3mmol)の溶液に、N2下でKHMDS(THF中の1N、3.96mL、3.96mmol)を0℃にて添加した。混合物をrtにて0.5h撹拌してから、THF(2mL)中の中間体5(1.14g、3.3mmol)の溶液を添加した。混合物を80℃にて終夜撹拌し、rtに冷却し、飽和水溶液NH4Clでクエンチし、EtOAc(200mL)で抽出した。有機層を、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=8/1から4/1)により精製して、表題化合物(570mg、収率:39%)を得た。
【0282】
工程2. 6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(0.5mL)中の上記工程1の生成物(100mg、0.24mmol)の溶液に、B2pin2(64mg、0.25mmol)、KOAc(47mg、0.478mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(10mg、0.012mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で90℃にて2.5h撹拌した。rtに冷却した後で、4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(50mg、0.24mmol)、K2CO3(66mg、0.48mmol)及びH2O(0.2mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、110℃にて18h撹拌した。生じた混合物をrtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、20mL)で希釈し、水(15mL×2)及びブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をprep-TLC(DCM/MeOH=10/1)により精製して、表題化合物(5.9mg、収率:5%)を得た。
MS (ESI) m/z: 514.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.61 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.63 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.73 (m, 2H), 3.22 - 3.17 (m, 2H), 1.56 (s, 6H).
【0283】
(実施例9)
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0284】
【化35】
【0285】
工程1. 2-ブロモ-6,6-ジメチル-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
THF(100mL)中の中間体2(5.5g、22.34mmol)の撹拌した溶液に、N2下で、KHMDS(1N、26.8mL、26.8mmol)を0℃にて添加した。rtにて30min撹拌した後で、中間体3(6.8g、26.8mmol)を反応混合物に添加した。反応を、N2下で70℃にて18h撹拌した。冷却した後で、混合物をEtOAc(80mL)に溶解し、これを、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=8/1から3/1)により精製して、表題化合物(6.8g、収率:73%)を得た。
【0286】
工程2. 2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-6,6-ジメチル-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(20mL)中の上記工程1の生成物(3.8g、9.06mmol)に、B2pin2(2.37g、9.33mmol)、KOAc(2.66g、27.2mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(370mg、0.453mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で90℃にて4h撹拌した。rtに冷却した後で、2,4-ジクロロピリミジン(1.35、9.06mmol)、K2CO3(2.5g、18.12mmol)及びH2O(5mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、110℃にて10h撹拌した。生じた混合物をrtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、100mL)で希釈し、水(60mL×2)及びブライン(60mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から50/1)により精製して、表題化合物(1.6g、収率:25%)を得た。
【0287】
工程3. 6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(40mL)中の上記工程2の生成物(1.8g、3.97mmol)に、1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン(1.35g、13.9mmol)、Cs2CO3(2.58g、7.94mmol)、Pd2(dba)3(182mg、0.198mmol)及びキサントホス(229mg、0.397mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で110℃にて10h撹拌した。rtに冷却した後で、混合物をDCM/メタノール(10/1、80mL)で希釈し、水(50mL×2)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から10/1)により精製して、表題化合物(1.45g、収率:71%)を得た。
MS (ESI) m/z: 514.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.65 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.73 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.02 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 1.93 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.75 (s, 3H), 1.61 (s, 3H).
【0288】
(実施例9a及び9b)
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
及び
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ラセミ実施例9は、15% MeOHで溶出するChiralpak OJ-Hカラムで、超臨界流体キラルクロマトグラフィーを使用して分離した。
実施例9a:RTが2.29minの鏡像異性体
MS (ESI) m/z: 514.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.65 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.73 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.02 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 1.93 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.75 (s, 3H), 1.61 (s, 3H).
実施例9b:RTが2.98minの鏡像異性体。
MS (ESI) m/z: 514.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.65 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.73 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.02 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 1.93 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.75 (s, 3H), 1.61 (s, 3H).
【0289】
(実施例10)
6,6-ジメチル-2-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0290】
【化36】
【0291】
工程1. 2-ブロモ-6,6-ジメチル-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
THF(20mL)中の中間体2(1.23mg、5.01mmol)の溶液に、KHMDS(THF中1N、7.52mL、7.52mmol)を0℃にて添加した。混合物をrtにて0.5h撹拌し、中間体8(1.56g、6.01mmol)を添加した。混合物を90℃にて終夜撹拌し、rtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、100mL)で希釈し、水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3/1)により精製して、表題化合物(1.21g、収率:57%)を得た。
【0292】
工程2. tert-ブチル(4-(6,6-ジメチル-4-オキソ-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-2-イル)ピリミジン-2-イル)(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート
ジオキサン(5mL)中の上記工程1の生成物(1.21g、2.85mmol)の溶液に、B2pin2(759mg、2.99mmol)、KOAc(558mg、5.69mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(116mg、0.142mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で90℃にて3h撹拌した。rtに冷却した後で、tert-ブチル(4-クロロピリミジン-2-イル)(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(705mg、2.28mmol)、K2CO3(786mg、5.69mmol)及びジオキサン/H2O(5mL/2mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、100℃にて4h撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、DCM/MeOH(10/1、120mL)で希釈し、水(50mL)及びブライン(50mL)により洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をNa2SO4により精製し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=100/1から50/1)により精製して、表題化合物(1.03g、収率:58%)を得た。
【0293】
工程3. 6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
DCM/MeOH(10mL)中の上記工程2の生成物(1.03g、1.66mmol)の溶液に、HCl(ジオキサン中4N、6mL)を添加した。rtにて2h撹拌した後で、反応混合物を少量に濃縮し、pH8~9まで飽和Na2CO3水溶液を添加した。混合物を、DCM/MeOH(10/1、100mL)で抽出した。抽出物を水(50mL)及びブライン(50mL)により洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣を、逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(H2O/MeOH=80/20から20/80)により精製して、表題化合物(617mg、収率:71%)を得た。
MS (ESI) m/z: 520.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (s, 1H), 8.48 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 5.27 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H), 1.82 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.66 (d, J = 3.6 Hz, 6H).
【0294】
(実施例10a及び10b)
(R)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
及び
(S)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5-(1-(4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0295】
ラセミ実施例10は、25% MeOHで溶出するセルロース-SCカラムで、超臨界流体キラルクロマトグラフィーを使用して分離した。
実施例10a:RTが1.92minの鏡像異性体
MS (ESI) m/z = 520.0 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (s, 1H), 8.48 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 5.27 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H), 1.82 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.67 (s, 3H), 1.66 (s, 3H).
実施例10b:RTが2.46minの鏡像異性体
MS (ESI) m/z = 520.0 [M+H]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (s, 1H), 8.48 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 5.27 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H), 1.82 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.67 (s, 3H), 1.66 (s, 3H).
【0296】
(実施例11)
(S)-5-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0297】
【化37】
【0298】
工程1.(S)-2-ブロモ-5-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6,6-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
THF(5mL)中の中間体2(156mg、0.63mmol)の溶液に、KHMDS(THF中1N、0.75mL、0.75mmol)をrtにて添加した。混合物をrtにて0.5h撹拌し、THF(2mL)中の中間体4(300mg、0.548mmol)の溶液を添加した。混合物を80℃にて終夜撹拌し、rtに冷却し、EtOAc(50mL)で希釈し、水(15mL×2)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4/1)により精製して、表題化合物(125mg、収率:43%)を得た。
【0299】
工程2.(S)-5-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
ジオキサン(2mL)中の上記工程1の生成物(125mg、0.24mmol)の溶液に、B2pin2(65mg、0.25mmol)、KOAc(125mg、27.2mmol)及びPd(dppf)Cl2・CH2Cl2(10mg、0.012mmol)を順次添加した。反応混合物を、N2下で100℃にて2h撹拌した。rtに冷却した後で、4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(50mg、0.24mmol)、炭酸ナトリウム(50mg、0.48mmol)及びジオキサン/H2O(2mL/0.4mL)を順次添加し、反応混合物をN2でフラッシュし、100℃にて18h撹拌した。生じた混合物をrtに冷却し、EtOAc(50mL)で希釈し、H2O(15mL×2)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をprep-TLC(PE/EtOAc=1/2)により精製して、表題化合物(55mg、収率:38%)を得た。
【0300】
工程3.(S)-5-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
MeOH(3mL)中の上記工程2の生成物(55mg、0.09mmol)の溶液に、HCl(MeOH中4N、1mL)をrtにて添加した。混合物をrtにて18h撹拌し、濃縮した。残渣をDCM/MeOH(10/1、50mL)に溶解し、飽和Na2CO3水溶液(15mL)、水(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をprep-TLC(DCM/MeOH=10/1)により精製して、表題化合物(26mg、収率:58%)を得た。
MS (ESI) m/z: 495.3 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.42 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.45 (dd, J = 10.7, 4.7 Hz, 2H), 7.34 - 7.24 (m, 3H), 6.35 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 4.70 - 4.54 (m, 2H), 4.03 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 1.70 (s, 3H), 1.40 (s, 3H).
【0301】
Table 2(表2)は、当業者により達成できる適切な条件下で、対応する中間体及び試薬を使用することにより、実施例9~11に記載されている手順に従って調製された実施例を列挙している。
【0302】
【表2】
【0303】
(実施例14)
(S)-N-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)アセトアミド
【0304】
【化38】
【0305】
DMF(5mL)中の中間体9(100mg、0.25mg)及び(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタノール(47mg、0.28mmol)の溶液に、HATU(142mg、0.38mmol)及びDIPEA(96mg、0.75mmol)を添加した。混合物をrtにて終夜撹拌し、濃縮した。残渣をDCM/MeOH(10/1、60mL)に溶解し、水(30mL×2)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、真空で濃縮した。残渣をprep-TLC(シリカゲル、DCM/MeOH=10/1)により精製して、表題化合物(102mg、収率:74%)を得た。
MS (ESI) m/z: 552.3 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.50 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.48 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.27 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 4.92 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 4.84 (dd, J = 13.8, 6.1 Hz, 1H), 4.09 (s, 2H), 3.68 (s, 3H), 3.57 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 1.49 (s, 3H), 1.45 (s, 3H).
【0306】
(実施例15)
N-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)プロパンアミド
【0307】
【化39】
【0308】
DMF(5mL)中の中間体10(100mg、0.242mg)及び(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタノール(46mg、0.27mmol)の溶液に、HATU(138mg、0.363mmol)及びDIPEA(94mg、0.726mmol)を添加した。混合物をrtにて終夜撹拌し、真空で濃縮した。残渣をDCM/MeOH(10/1、60mL)に溶解し、水(30mL×2)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をprep-TLC(シリカゲル、DCM/MeOH=10/1)により精製して、表題化合物(50mg、収率:37%)を得た。
MS (ESI) m/z: 566.2 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.50 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.18 (s, 0.5H), 8.14 (s, 0.5H), 7.83 (d, J = 7.9 Hz, 0.5H), 7.73 (d, J = 8.0 Hz, 0.5H), 7.50 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 7.41 (s, 0.5H), 7.36 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.33 - 7.22 (m, 3.5H), 6.28 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 4.92 - 4.72 (m, 2H), 4.40 - 4.17 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.57 (dd, J = 9.4, 5.3 Hz, 2H), 1.61 - 1.52 (m, 9H).
【0309】
(実施例16)
2-(6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-5(6H)-イル)-N-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド
【0310】
【化40】
【0311】
化合物は、(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタノールを中間体12に置き換えた、実施例14に記載されている方法に従って調製した。
MS (ESI) m/z: 557.1 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (s, 1H), 8.68 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.60 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 4.42 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 4.10 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 1.53 (s, 6H).
【0312】
(実施例17)
(S)-5-(2-((1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ)エチル)-6,6-ジメチル-2-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0313】
【化41】
【0314】
DCM(5mL)中の中間体13(76mg、0.20mmol)及び(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタノール(34mg、0.20mmol)の溶液に、NaBH(OAc)3(85mg、0.40mmol)、続いてAcOH(40mg、0.6mmol)を添加した。混合物をrtにて終夜撹拌し、DCM/MeOH(10/1、50mL)で希釈し、H2O(15mL×3)及びブライン(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残渣をPrep-TLC(DCM/MeOH=10/1)により精製して、表題化合物(45mg、収率:42%)を得た。
MS (ESI) m/z: 538.3 [M+1]+; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.50 (s, 1H), 8.48 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.47 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 1.7 Hz, 4H), 6.28 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.49 (m, 4H), 2.67 (m, 2H), 1.50 (s, 3H), 1.48 (s, 3H).
【0315】
酵素アッセイ
化合物を、Invitrogen社製LanthaScreen(商標)時間分解蛍光エネルギー移動(TR-FRET)酵素アッセイでテストした。アッセイは、E. coliから精製し、in vitroでMAP2K1により活性化した、GST-タグ付き全長タンパク質として組換え発現させたヒトERK2(マイトジェン活性化キナーゼ1、Invitrogen社、Cat. PV3311)を使用した。基質は、緑色蛍光タンパク質(Invitrogen社、Cat. PV4445)に融合したATF2の組換えトランケート型のバージョン(残基19~96)であった。テスト化合物を調製し、DMSO中において、3倍段階希釈で最終テスト濃度の100×に希釈した。化合物を、次いで、キナーゼ反応緩衝液(Invitrogen社、Cat. PV3189)により4×に更に希釈した。化合物テストのための酵素反応は、20ng/ml ERK2、400nM基質、及びほぼKmである5μM ATPを含有する全反応体積が10μlの白色384ウェルポリプロピレンプレート(Packard社、Cat. 6005214)で行った。アッセイは、キナーゼ反応緩衝液中で希釈した2.5μlのERK2をウェルに入れ、続いて、前処理のため、室温における15-minのインキュベーションに向けて、等体積の4×化合物を添加して開始した。酵素反応は、キナーゼ反応緩衝液中で調製した、5μlの基質及びATPの混合物を添加することにより始めた。1時間の反応後、TR-FRET抗体希釈緩衝液(Invitrogen社、Cat. PV3574)中で調製した、10μlのEDTA(最終10μM)及びテルビウム-標識抗pATF2(pThr71)抗体(最終2nM)(Invitrogen社、Cat.PV4451)の混合物を添加して、酵素反応を止め、TR-FRETシグナルを生成した。室温にてインキュベーションした30分後、以下の設定のTecan Infinite F200 Proでプレートを読み取った:励起340nm(30)/発光1 495nm(10)/発光2 520nm(25)。TR-FRET値は、アクセプター(緑色蛍光タンパク質)シグナルのドナー(テルビウム)シグナルに対する比として計算された無次元数であった。対照の割合を、化合物での処理vs 1% DMSOビヒクルでの処理のパーセンテージとして計算した。用量反応曲線を生成し、IC50は、GraphPad Prismを使用して非直鎖状のシグモイドカーブフィッテングにより計算した。
【0316】
開示されている化合物に対するERK2阻害のIC50値は、Table 3(表3)で列挙されている、A:≦10nM、B:>10nM及び≦100nM、C:>100nM及び≦1μM、D:>1μM。
【0317】
Colo205細胞増殖アッセイ
本明細書で開示されている化合物は、通例MTTアッセイとして公知のColo205細胞増殖アッセイにより、ERK2の阻害についてテストした。このアッセイでは、完全培地は、10%ウシ胎仔血清をRPMI-1640培地(Life technology社)に添加することにより調製した。結腸癌細胞(Colo205細胞株)を、96ウェルプレートのうち、88ウェルのそれぞれに、5,000細胞/ウェル/90μLの播種密度で添加した。細胞を、37℃にて24時間インキュベーションすることによりプレートに付着させた。化合物をDMSO(SIGMA社)に溶解した。テスト化合物の溶液を、段階希釈により完全培地中で調製して、以下の濃度を得た:500μM、150μM、50μM、15μM、5μM、1.5μM、0.5μM、0.15μM及び0.05μM。テスト化合物溶液(10μL)を、細胞を含有する80ウェルのそれぞれに添加した。化合物の最終濃度は、以下であった:50μM、15μM、5μM、1.5μM、0.5μM、0.15μM、0.05μM、0.015μM及び0.005μM。DMSOの最終濃度は、0.5%である。最大増殖を測定するために、細胞を含有する残りの8ウェルに、完全培地のみ(0.5%DMSOを含有する)を添加して、対照群を形成した。バックグラウンドを測定するために、空の残りの8ウェルに、完全培地を添加して、ビヒクル対照群を形成した。プレートを、37℃にて72時間インキュベートした。10μL WST-8溶液(DOJINDO社、Cell Counting KIT-8)を各ウェルに添加した。プレートを、37℃にて2時間更にインキュベートし、次いで、マイクロプレートリーダーを450nmにて使用して、吸光度について読み取った。
【0318】
開示されている化合物に対するColo 205細胞における成長阻害のIC50値は、Table 3(表3)で列挙されている、A':≦0.5μM、B':>0.5μM及び≦1μM、C':>1.0μM及び≦5μM、D':>5μM。
【0319】
【表3】