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  • 特許-二重特異性融合ポリペプチド化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】二重特異性融合ポリペプチド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20240220BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61K38/10
A61P19/02
A61P19/08
A61P19/10
A61P29/00 101
A61P1/02
A61P35/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022558554
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2021088266
(87)【国際公開番号】W WO2022052471
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202010946404.5
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518042143
【氏名又は名称】シャンシー・ミコ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ツイチン
【審査官】牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-502346(JP,A)
【文献】特表2013-500990(JP,A)
【文献】特表2008-505614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/00- 7/66
A61K 38/00- 38/55
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(Ia)又は式(Ib)で示される構造を有するポリペプチド化合物、又はその薬学的に許容される塩
Y-ID-X 式(Ia)又は
X-ID-Y 式(Ib)
(式中、Yは、カルシウム感知受容体作動薬であり、
IDは、分子内のジスルフィド結合であり
Xは、骨形成成長ペプチド様ペプチド、または骨髄間葉系幹細胞刺激剤であり、
Yは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むペプチド鎖であり、前記ペプチド鎖Yのアミノ末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Yのカルボキシル末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、および
Xは、式(IIIa)で示されるアミノ酸配列を含むペプチド鎖であり、
Xaa -Xaa -Xaa -Xaa -Xaa -Xaa (IIIa)
式中、Xaa は、チロシンであり、
Xaa は、システイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、およびヒスチジンからなる群から選択され、
Xaa は、フェニルアラニン、およびチロシンからなる群から選択され、
Xaa はグリシンであり、
Xaa はグリシンであり、
Xaa がシステインである場合、Xaa は存在せず、
Xaa が2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、およびヒスチジンからなる群から選択される場合、Xaa はシステインであり、
前記ペプチド鎖Xのアミノ末端は遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Xのカルボキシル末端は遊離しているか又は化学的修飾されている、または
Xは、式(IIIc)で示される構造を有する環状ペプチドであり、
Cyclo (Xaa -Xaa -Xaa -Xaa -Xaa -Xaa ) (IIIc)
式中、Xaa は、チロシンであり、
Xaa は、アルギニン、およびグリシンからなる群から選択され、
Xaa は、フェニルアラニンであり、
Xaa は、グリシンであり、
Xaa は、グリシンであり、
Xaa は、システインであり、Xaa のアミノ基がXaa のカルボキシ基とペプチド結合を形成する
【請求項2】
前記X又はYのアミノ末端の化学的修飾は、アシル化、スルホニル化、アルキル化及びPEG化からなる群から選択され、前記X又はYのカルボキシ末端の化学的修飾は、アミド化、スルホニル化及びPEG化からなる群から選択される、請求項1に記載のポリペプチド化合物。
【請求項3】
前記アミノ末端の化学的修飾はアセチル化、ベンゾイル化、又はスルホニル化され、前記アミノ末端のアルキル化はC1-6アルキル化又はアラルキル化であり、前記カルボキシ末端の化学的修飾はカルボキシ基におけるOHがNH又はスルホンアミドで置換される、請求項2に記載のポリペプチド化合物。
【請求項4】
前記分子内ジスルフィド結合は、XにおけるシステインYにおけるシステインの間に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物。
【請求項5】
Xは、下記の配列番号2~配列番号6配列番号12、配列番号13、及び配列番号15~配列番号18からなる群から選択されるペプチド鎖である、請求項1に記載のポリペプチド化合物
(1)配列番号2
N-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OH
(2)配列番号3
N-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH
(3)配列番号4
N-D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH
(4)配列番号5
N-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(5)配列番号6
N-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(6)配列番号12
N-D-Tyr-D-His-D-Tyr-Gly-Gly-L-Cys-OH
(7)配列番号13
N-D-Tyr-D-Pro-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(8)配列番号15
Cyclo(D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(9)配列番号16
Cyclo(L-Tyr-Gly-L-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(10)配列番号17
Cyclo(D-Tyr-Gly-D-Phe-Gly-Gly-D-Cys)、および
(11)配列番号18
Cyclo(D-Cys-Gly-Gly-D-Phe-Gly-D-Tyr)。
【請求項6】
下記の配列番号7~配列番号11、配列番号21、配列番号22、及び配列番号24~配列番号27のうちの1つのポリペプチド化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載のポリペプチド化合物:
(1)配列番号7
【化1】
(2)配列番号8
【化2】
(3)配列番号9
【化3】
(4)配列番号10
【化4】
(5)配列番号11
【化5】
(6)配列番号21
【化6】
(7)配列番号22
【化7】
(8)配列番号24
【化8】
(9)配列番号25
【化9】
(10)配列番号26
【化10】
および
(11)配列番号27
【化11】
【請求項7】
カルシウム感知受容体作動薬効果及び/又は骨形成成長ペプチド様効果を発揮する医薬品の製造における、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物の使用。
【請求項8】
医薬品の製造における請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物の使用において、
前記医薬品は、副甲状腺ホルモン上昇疾患、悪性高カルシウム血症、転移性骨疾患、パジェット病、変形性関節症、関節リウマチ、骨軟化症、軟骨石灰化症、軟骨無形成症、骨軟骨炎、嚢胞性骨形成不全症、先天性低ホスファターゼ症、線維性病変、線維性骨異形成症、多発性骨髄腫、溶骨性骨病変、人工関節周囲の骨溶解、歯周病、骨粗鬆症、骨代謝回転異常、高代謝回転型骨病変、慢性腎臓病-骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)およびそれらの組合せからなる群から選択される疾患を予防及び/又は治療するために用いられる、使用
【請求項9】
前記副甲状腺ホルモン上昇疾患は、原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進、三次性副甲状腺機能亢進である、請求項8に記載の使用
【請求項10】
前記二次性副甲状腺機能亢進は、慢性腎臓病の血液透析及び/又は腹膜透析によって引き起こされる副甲状腺ホルモン上昇である、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、発明の名称が「二重特異性融合ポリペプチド化合物」である、2020年09月10日に中国特許庁へ提出された中国特許出願202010946404.5に基づく優先権を主張し、その全内容は、全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医薬品の技術分野に属し、具体的には、副甲状腺ホルモン上昇類疾患及び/又は血液系関連疾患を治療するために用いられる二重特異性融合ポリペプチド化合物、及び該化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
中国では、慢性腎臓病(CKD)の発生率が10.8%に達し、そのうち末期腎不全による尿毒症の患者の割合が1%~2%であり、約138万人である。腎不全の症状には、貧血やアシドーシス、カリウム、ナトリウム、リン、カルシウムの代謝障害などが含まれる。末期腎不全による尿毒症の患者に対する維持透析治療では、副甲状腺ホルモンレベルの上昇類疾患の二次疾患、例えば、よく見られる長期合併症である二次性副甲状腺機能亢進(secondary hyperparathyroidism、SHPT)が引き起こされることがある。
【0004】
二次性副甲状腺機能亢進とは、慢性腎不全、腸吸収不良症候群、ファンコニ症候群及び尿細管性アシドーシス、ビタミンD欠乏又は抵抗などの状況で、副甲状腺は、長時期にわたって低血中リンカルシウム、低血中マグネシウム、又は高血中リンの刺激を受けて過剰なPTHを分泌して、血中カルシウム、血中マグネシウムを向上させるか或いは血中リンを減少しようとする一種の慢性的な代償性の臨床症状を指す。SHPTの進行は、骨疾患、軟部組織の石灰化及び血管の石灰化を引き起こし、患者の発症率と死亡率に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
従来、SHPT治療案には、手術、介入、および活性型ビタミンD、従来のリン吸着剤、及びシナカルセトを主に用いた薬物療法が含まれる。活性型ビタミンDは、現在、SHPTの治療に最も広く用いられている薬剤であり、ビタミンD受容体アゴニストとも呼ばれ、VDRに作用してPTH合成を減少させて治療効果を達成する最も慣用されている薬剤であるが、低カルシウム血症及び高リン血症を引き起こすリスクがあり、悪化した軟組織石灰化及び血管石灰化につながる可能性がある。
【0006】
カルシウム感知受容体(calcium-sensing receptor、CaSR)の機能の発見は、カルシウム感知受容体作動薬の発見の基になっている。研究によると、CaSRは、幾つかの細胞型によって発現されるGタンパク質共役受容体であり、細胞外カルシウムイオン(Ca2+)濃度の変動を検出し、PTH分泌を変化させることで反応するものである。CaSRは、Ca2+を介して活性化され、小胞輸送を阻害することにより数秒から数分以内にPTH分泌を阻害し、また、この過程は受容体のプロテインキナーゼC(PKC)リン酸化作用によって調節される。また、CaSRは、骨芽細胞及び腎臓でも発現され、腎臓で腎臓のCa2+排泄を調節する。1996年に成功に開発された、カルシウム構造模倣薬であるカルシウム受容体作動薬(cacimimetics)は、CaR膜貫通ドメインに作用し、カルシウム親和性を向上させ、カルシウム用量-反応曲線を左にシフトさせ、高イオンカルシウムと類似する一連のシグナル反応を産生するように副甲状腺細胞を「欺い」て、CaSRを活性化し、PTHの合成と分泌を阻害し、最後に血中カルシウムと血中リンの降下を引き起こすことができる。
【0007】
カルシウム感知受容体作動薬(calcimimetics)は、副甲状腺細胞への細胞外カルシウムイオンの作用を模倣するかひいては強化することがことができる。カルシウム感知受容体(calcium sensing receptor、CaSR)の作動薬(例えば、シナカルセット:cinacalcet)は、SHPTの治療に用いられ、効果が良好である。シナカルセットは、CaSRに対してアロステリック活性化作用を産生することができる。また、シナカルセットは、長期培養したヒト副甲状腺細胞を直接阻害する効果を示し、副甲状腺細胞の増殖周期を調節し、それにより副甲状腺の体積に影響を与えることができることが発見され、そのため、現在、「可逆性・化学性副甲状腺の摘出」とも呼ばれており、臨床研究のホットスポットとなっている。シナカルセットは、PTHを効果的に低下させるだけでなく、過形成性副甲状腺の体積も減少させることができ、それにより副甲状腺摘出術の目的を達成すると考えられている。日本や他の国では、この薬のリストにより副甲状腺摘出術の割合が明らかに減少した。一般には、シナカルセットは、耐性が良好で、2つのよく見られる有害反応が低カルシウム血症及び胃腸管の副作用である。なお、カルシウム感知受容体作動薬は、副甲状腺功能亢進症を治療するのに用いられる際に、主に副甲状腺ホルモンのレベルを低下させることで働き、貧血などの慢性腎不全の合併症には改善作用を示さない。
【0008】
上記の現状を鑑みて、SHPTの治療は大きく進行してきたが、依然としてミネラル骨代謝障害が完全かつ継続的に直されなく、SHPT患者の少なくとも半数においては病状が適切に制御されていなく、また、従来のSHPT治療薬は、腎不全に関連する貧血の症状を改善することができない。SHPTの治療は、所望の目標に至らないので、さらなる研究が必要とされる。治療効果がより高く、副作用がより少ない副甲状腺ホルモンのレベルを低下させる化合物を続いて開発するのは、二次性副甲状腺機能亢進および腎不全の治療にとって重要な意味がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一態様では、本発明は、活性二重特異性融合ポリペプチド化合物を提供することを目的とする。本発明により提供される活性ポリペプチド化合物は、二重標的作用活性を有し、2つの異なる面で調節又は治療の作用を発揮することができる。また、本発明により開示される活性ポリペプチド化合物は、カルシウム感知受容体に結合し、そしてカルシウム感知受容体を活性化して副甲状腺素のレベルを低下させることができるとともに、オステオゲニック成長ペプチド様作用を生じることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の本発明の目的を実現するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
本発明は、まず、下記の式(Ia)又は式(Ib)で示される構造又はその薬学的に許容される塩である活性二重特異性融合ポリペプチド化合物、を提供する。
Y-ID-X 式(Ia)、又は
X-ID-Y 式(Ib)
式中、Yは、カルシウム感知受容体作動薬であり、
IDは、XとYを連結する分子内のジスルフィド結合又はリンカーであり、
Xは、オステオゲニック成長ペプチド様ペプチド、間葉系幹細胞刺激剤である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における前記Yは、下記の式(IIa)又は式(IIb)で示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖である。
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 式(IIa)、
Xaa13-Xaa12-Xaa11-Xaa10-Xaa-Xaa-Xaa式(IIb)、
式中、Xaaは、システイン、ホモシステイン、又はS-メチルシステインであり、
Xaaは、アラニン、又はアルギニンであり、
Xaaは、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa10は、アルギニン、アラニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa11は、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa12は、アラニンであり、
Xaa13は、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
前記ペプチド鎖Yのアミノ末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Yのカルボキシル末端は、遊離しているか又は化学的修飾されている。
【0012】
本発明の実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるペプチド鎖YにおけるXaa、Xaa10、Xaa11、Xaa13は、独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン及びホモアルギニンから選択される一つまたは複数であることが可能である。Xaa11及びXaa13は、正に帯電したアミノ酸残基である。
【0013】
幾つかの別実施形態において、前記Yは、下記の式(IIa)、又は(IIb)で示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖である。
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 式(IIa)、
Xaa13-Xaa12-Xaa11-Xaa10-Xaa-Xaa-Xaa式(IIb)、
式中、Xaaは、L-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、L-ホモシステイン、又はS-メチル-D-システインであり、
Xaaは、D-アラニン、又はD-アルギニンであり、
Xaaは、D-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa10は、D-アルギニン、D-アラニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa11は、D-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa12は、D-アラニンであり、
Xaa13は、D-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
また、前記ペプチド鎖Yのアミノ基端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Yのカルボキシ基端は、遊離しているか又は化学的修飾されている。
【0014】
本発明の具体的な実施例において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における前記ペプチド鎖Yにおけるアミノ酸は、D-型アミノ酸である。
【0015】
本発明の幾つかの具体的な実施例において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における前記Yは、配列番号1で示される構造のポリペプチド:Ac-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NH(配列番号1)である。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における前記Xは、下記の式(IIIa)又は式(IIIb)で示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖である。
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIa)、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIb)、
式中、Xaaは、チロシン、ホモチロシン、又は3-クロロチロシンであり、
Xaaは、システイン、ホモシステイン、S-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンであり、
Xaaは、フェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシンであり、
Xaaはグリシンであるか、Xaaはグリシンであるか、又はXaa-Xaaはアミノ基置換C1-20アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、
Xaaがシステイン又はホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、
XaaがS-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンである場合、Xaaがシステイン又はホモシステインであり、
前記ペプチド鎖Xのアミノ末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Xのカルボキシル末端は、遊離しているか又は化学的修飾されている。
【0017】
幾つかのより具体的な実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における前記Xは、式(IIIa)又は式(IIIb)で示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖である。
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIa)、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIb)、
式中、Xaaは、L-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、
Xaaは、L-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、L-ホモシステイン、S-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンであり、
Xaaは、L-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-トリプトファン、D-チロシン、又はL-チロシンであり、
Xaaはグリシンであるか、Xaaはグリシンであるか、又はXaa-Xaaはアミノ基置換C1-20アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、
XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、
XaaがS-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンである場合、XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインであり、
前記ペプチド鎖Xのアミノ末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Xのカルボキシル末端は、遊離しているか又は化学的修飾されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるペプチド鎖XにおけるXaaは、L-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、Xaaは、L-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインであり、XaaはL-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-トリプトファン、D-チロシン、又はL-チロシンであり、Xaa-Xaaはアミノ基で置換されたC1-12アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、Xaaが存在しない。或いは、ペプチド鎖XにおけるXaaはL-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、XaaはS-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンであり、XaaはL-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-トリプトファン、D-チロシン、又はL-チロシンであり、Xaa-Xaaはアミノ基で置換されたC1-12アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、XaaはL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインである。
【0019】
幾つかの別実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるペプチド鎖XにおけるXaa-Xaaは、アミノ基で置換されたC1-8アルキルモノカルボン酸で置き換えられている。これらの実施形態において、Xaa-Xaaがアミノ基で置換されたアルキルモノカルボン酸で置き換えられていることは、Xaa-Xaaがアミノ基で置換されたアルキルモノカルボン酸で直接に置換され、アミノ基で置換されたアルキルモノカルボン酸がそのアミノ基を介してXaaのカルボキシ基とアミド結合を形成し、アミノ基で置換されたアルキルモノカルボン酸におけるカルボキシ基がペプチド鎖Xのカルボキシ基端となるか、又はアミノ基で置換されたアルキルモノカルボン酸がそのカルボキシ基を介してXaaのアミノ基とアミド結合を形成することである。
【0020】
また、幾つかの別実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるXは、下記の式(IIIc)及び(IIId)で示される構造を有する環状ペプチドである。
Cyclo(Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa) (IIIc)
Cyclo(Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa) (IIId)
式中、Xaaは、チロシン、ホモチロシン、又は3-クロロチロシンであり、
Xaaは、システイン、ホモシステイン、S-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンであり、
Xaaは、フェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
Xaaがシステイン又はホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又はXaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成し、
XaaがS-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンである場合、Xaaがシステイン又はホモシステインであり、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又はXaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成する。
【0021】
別の幾つかの具体的な実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるXは、式(IIIc)及び(IIId)で示される構造を有する環状ペプチドである。
Cyclo(Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa)(IIIc)
Cyclo(Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa)(IIId)
式中、Xaaは、L-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、
Xaaは、L-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、S-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、又は、グリシン、又はD-プロリンであり、
Xaaは、D-フェニルアラニン、L-フェニルアラニン、D-トリプトファン、又はD-チロシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
XaaがL-システイン、D-システイン、又はD-ホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又はXaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成する、
XaaがS-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、グリシン、又はD-プロリンである場合、XaaがL-システイン、D-システイン、又はD-ホモシステインであり、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又はXaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成する。
【0022】
本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物における環状ペプチドXは、酵素分解に効果的に抵抗することができるので、安定性が向上し、そして生体利用率及び代謝安定性が改善される。
【0023】
本発明の幾つかの具体的な実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるXは、下記の配列番号2~配列番号6及び配列番号12~配列番号18で示される構造を有するペプチド鎖である。
(1)配列番号2
N-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OH、
(2)配列番号3
N-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH、
(3)配列番号4
N-D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH、
(4)配列番号5
N-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH、
(5)配列番号6
N-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(6)配列番号12
N-D-Tyr-D-His-D-Tyr-Gly-Gly-L-Cys-OH
(7)配列番号13
N-D-Tyr-D-Pro-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(8)配列番号14
Cyclo(D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(9)配列番号15
Cyclo(D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(10)配列番号16
Cyclo(L-Tyr-Gly-L-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(11)配列番号17
Cyclo(D-Tyr-Gly-D-Phe-Gly-Gly-D-Cys)
(12)配列番号18
Cyclo(D-Cys-Gly-Gly-D-Phe-Gly-D-Tyr)。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物におけるIDは、XとYとの間に形成した分子内ジスルフィド結合、又はリンカーである。
Xのシステイン、ホモシステイン又はS-メチルシステインと、Yのシステイン、ホモシステイン又はS-メチルシステインとの間に、前記分子内ジスルフィド結合が形成される。
前記リンカーはアミノ基置換C1-8アルキル酸、ポリエチレングリコールポリマー鎖、又は1~10個のアミノ酸からなるペプチドセグメントであり、前記ペプチドセグメントにおけるアミノ酸はプロリン、アルギニン、アラニン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、グルタミン、アスパラギン及びグリシンから選ばれる。本発明の幾つかの具体的な実施形態において、前記リンカーは、(1)(Gly-Ser)(ここで、nは0、1、2、又は3である)(2)Gly-Ser-Gly、又は(3)Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser、(4)4-アミノ酪酸又は6-アミノカプロン酸、(5)(PEG)(ここで、mは1、2、3、4、又は5である)である。
【0025】
幾つかの実施形態において、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物では、N末端(アミノ基端)、C末端(カルボキシ基端)、又はその両末端でペプチド修飾を行うことができる。前記ペプチド鎖Xとペプチド鎖Yのアミノ基端の化学的修飾には、アシル化、スルホニル化、アルキル化及びPEG化の修飾が含まれる。前記ペプチド鎖Xとペプチド鎖Yのカルボキシ基端の化学的修飾には、アミド化、スルホニル化及びPEG化の修飾が含まれる。本発明の幾つかの具体的な実施形態において、前記アミノ基端の化学的修飾は、アミノ基がアセチル化、ベンゾイル化又はスルホニル化されることであり、また、前記アミノ基端のアルキル化は、C1-6アルキル化又はアラルキル化されることであり、また、前記カルボキシ基端の化学的修飾は、カルボキシ基におけるOHがNH2で置換されるか、又は被スルホンアミド置換される。本発明の幾つかの具体的な実施形態において、アセチル化及びアミド化を通じてN末端及びC末端で修飾されている。
【0026】
本発明の具体的な実施形態において、本発明に係る式(Ia)又は式(Ib)で示される二重特異性融合ポリペプチド化合物は、下記の配列番号7~配列番号11及び配列番号19~配列番号27のうちの1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
(1)配列番号7
【化1】
(2)配列番号8
【化2】
(3)配列番号9
【化3】
(4)配列番号10
【化4】
(5)配列番号11
【化5】
(6)配列番号19
【化6】
(7)配列番号20
【化7】
(8)配列番号21
【化8】
(9)配列番号22
【化9】
(10)配列番号23
【化10】
(11)配列番号24
【化11】
(12)配列番号25
【化12】
(13)配列番号26
【化13】
(14)配列番号27
【化14】
上記の構造においては、「Ac」はアセチル基のエンドキャッピング基であり、「NH」は、アミドエンドキャッピング基である。
【0027】
本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物には、前記ポリペプチド化合物の各アミノ酸の側鎖基で化学的な修飾により改造して得られた誘導体がさらに含まれる。前記誘導体は、ポリペプチド化合物におけるシステインが持つチオール基から形成したチオエーテル、チオグリコシドであるか、又はそれがシステイン又はシステイン含有ペプチドと形成したジスルフィド結合含有化合物である。
或いは、前記誘導体は、ポリペプチド化合物におけるチロシンが持つフェノール性ヒドロキシ基から形成したエステル系、エーテル系、グリコシド系化合物である。
或いは、前記誘導体は、ポリペプチド化合物と金属イオンとからなる複合体、錯体又はキレートである。
或いは、前記誘導体は、チロシン、フェニルアラニンが持つフェニル環が置換された後に形成した誘導体である。
或いは、前記誘導体は、前記ポリペプチド化合物から形成した水和物又は溶媒和物である。
【0028】
なお、本発明に開示される二重特異性融合ポリペプチド化合物の他の変異体、特に、保存性アミノ酸を置換することのみで得られた任意の変異体も本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0029】
本発明で提供される二重特異性融合ポリペプチド化合物は、遊離ポリペプチドの形態又は塩の形態で存在することができる。いくつかの実施形態において、前記塩とは、薬学的に許容される塩を指す。本発明の「薬学的に許容される塩」は、従来の化学的方法で親化合物、塩基性または酸性部分から合成することができる。一般的には、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態と化学量論的量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)とを反応させる、又はこれらの化合物の遊離塩基形態と化学量論的量の適切な酸とを反応させることにより調製することができる。
【0030】
本発明で提供される二重特異性融合ポリペプチド化合物は、構造を接続することにより構築され、マルチターゲット作用を有する活性ポリペプチドに属し、カルシウム感知受容体(CasR)を活性化するだけでなく、オステオゲニック成長ペプチド様効果も有する。
【0031】
二重ターゲット作用に基づいて構築した活性ポリペプチド化合物は、単一標ターゲットのポリペプチドに対して、複数の効果を発揮することができる。(1)カルシウム感知受容体を活性化し、細胞内シグナル伝達経路を通じて血漿副甲状腺ホルモン(PTH)のレベルを低下させ、また、骨芽細胞表面のカルシウム感知受容体を介して、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路を活性化し、それにより刺激骨芽細胞の増殖と分化を刺激し、破骨細胞において破骨細胞の分化とアポトーシスを引き起こすことにより破骨細胞の骨吸収作用を阻害する効果、(2)オステオゲニック成長ペプチド受容体を活性化し、骨芽細胞と線維芽細胞の増殖を刺激し、骨の石灰化を促進し、骨の形成を促進する効果。
【0032】
本発明は、医薬品の製造における前記の二重特異性融合ポリペプチド化合物及び前記の医薬組成物の使用をさらに提供する。本発明で提供される二重特異性融合ポリペプチド化合物は、副甲状腺ホルモン上昇類疾患、悪性高カルシウム血症、転移性骨疾患、パジェット病、変形性関節症、関節リウマチ、骨軟化症、軟骨石灰化症、軟骨無形成症、骨軟骨炎、嚢胞性骨形成不全症、先天性低ホスファターゼ症、線維性病変、線維性骨異形成症、多発性骨髄腫、溶骨性骨病変、人工関節周囲の骨溶解、歯周病、骨粗鬆症、骨代謝回転異常、高代謝回転型骨病変、又は慢性腎臓病-ミネラルおよび骨病気(CKD-MBD)うちの少なくとも一種を予防及び/又は治療することができる。前記副甲状腺ホルモン上昇類疾患は、原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進、三次性副甲状腺機能亢進であることが好ましい。前記二次性副甲状腺機能亢進は、慢性腎臓病の血液透析及び/又は腹膜透析によって引き起こされる副甲状腺ホルモン上昇であることが好ましい。
【0033】
本発明で提供される二重特異性融合ポリペプチド化合物は、正常の副甲状腺ホルモン(PHT)のレベルを有意に低下させ、血清リンレベルを向上させ、血清カルシウムレベルを低下させることができ、低カルシウム血症、低リン血症、及び/又は副甲状腺ホルモン上昇による疾患を予防及び/又は治療するために用いることができる。
【0034】
本発明は、慢性腎臓病(即ち、ステージ1~4)に関連する副甲状腺機能亢進症を罹患している患者において血中PTHのレベルを低下させることにより該疾患を治療即ち改善または予防する方法、を提供する。該方法は、PTHのレベルを低下させて副甲状腺の作動を抑制するために、これを必要とする患者に投薬することを含む。
【0035】
薬力学的活性試験で使用される薬物は、アミノ酸配列如配列番号7~11のいずれか一項に記載されているポリペプチド化合物である。
【0036】
別の一態様では、本発明は、本発明に係る二重特異性融合ポリペプチド化合物を含む医薬組成物をさらに提供する。前記医薬組成物は、任意選択的に、薬学的に許容される添加物、賦形剤、担体及び溶剤のうちの少なくとも一種をさらに含む。
【0037】
本発明の「薬学的に許容される」とは、物質または組成物が製剤を含む他の成分及び/又はその治療に用いられる哺乳動物と化学的および/または毒物学的に適合しなければならないことを指す。
【0038】
本発明の「薬学的に許容される添加物」は、投与剤形又は医薬組成物の一貫性に関連する薬学的に許容される材料、混合物又は溶媒を意味する。各添加物は混合する際に、患者に投与する際に本発明に開示される化合物の薬能を大幅に低下させる相互作用、及び薬学的に許容されない医薬組成物をもたらす相互作用を回避するために、医薬組成物の他の成分と適合しなければならない。
【0039】
別段の説明がない限り、本発明で使用される全ての専門用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明に関する全ての特許及び刊行物は、援用によりその全体が本発明に組み込まれる。
【0040】
「任意選択」又は「任意選択的」という用語は、後で説明するイベント又は状況が起こる可能性があるが必ず起こるわけではないことを意味し、該説明には、該イベント又は状況が起こる場合又は起こらない場合が含まれる。
【0041】
「天然アミノ酸」という用語は、自然に存在する20種類全てのアミノ酸を表す。「非天然アミノ酸」という用語は、L-アミノ酸を対応するD-アミノ酸で置き換え、例えばD-AlaでL-Alaを置き換えること、又は以下のルートによりL又はDアミノ酸及びアミノアルキル酸への適切な修飾を行うことを意味する。
【0042】
「α」炭素上の絶対「S」配置は、通常「L」型又は天然型配置と呼ばれる。「α」炭素上の「R」配置は、通常「D」型アミノ酸と呼ばれる。2つの「α-置換基」(例えば、水素又はメチル)が同じである場合、アミノ酸がGly又はAibであり、かつキラルではない。
【0043】
本発明に用いられる「アミノ酸」とは、天然及び非天然アミノ酸を指す。アミノ酸の立体配置は接頭辞「L-」、又は「D-」(アキラルなグリシンを除く)を含む三文字のコードで示される。例えば、L型のアミノ酸は、アラニン(「L-Ala」又は「A」)、アルギニン(「L-Arg」又は「R」)、アスパラギン(「L-Asn」又は「N」)、アスパラギン酸(「L-Asp」又は「D」)、システイン(「L-Cys」又は「C」)、グルタミン(「L-Gln」又は「Q」)、グルタミン酸(「L-Glu」又は「E」)、グリシン(「Gly」又は「G」)、ヒスチジン(「L-His」又は「H」)、イソロイシン(「L-Ile」又は「I」)、ロイシン(「L-Leu」又は「L」)、リジン(「L-Lys」又は「K」)、メチオニン(「L-Met」又は「M」)、フェニルアラニン(「L-Phe」又は「F」)、プロリン(「L-Pro」又は「P」)、セリン(「L-Ser」又は「S」)、スレオニン(「L-Thr」又は「T」)、トリプトファン(「L-Trp」又は「W」)、チロシン(「L-Tyr」又は「Y」)、及びバリン(「L-Val」又は「V」)がある。L-ノルロイシンとL-ノルバリンは、それぞれ(NLeu)及び(NVal)で表す。19種類の自然に存在するキラルアミノ酸は、相応するD-異性体を有し、接頭辞「D-」を含む三文字の略語:アラニン(「D-Ala」又は「a」)、アルギニン(「D-Arg」又は「r」)、アスパラギン(「D-Asn」又は「a」)、アスパラギン酸(「D-Asp」又は「d」)、システイン(「D-Cys」又は「c」)、グルタミン(「D-Gln」又は「q」)、グルタミン酸(「D-Glu」又は「e」)、ヒスチジン(「D-His」又は「h」)、イソロイシン(「D-Ile」又は「i」)、ロイシン(「D-Leu」又は「l」)、リジン(「D-Lys」又は「k」)、メチオニン(「D-Met」又は「m」)、フェニルアラニン(「D-Phe」又は「f」)、プロリン(「D-Pro」又は「p」)、セリン(「D-Ser」又は「s」)、スレオニン(「D-Thr」又は「t」)、トリプトファン(「D-Trp」又は「w」)、チロシン(「D-Tyr」又は「y」)、及びバリン(「D-Val」又は「v」)で示される。
【0044】
本発明のアミノ酸の表記は、配置が明記されていない場合、アミノ酸の名称又は3文字のコードのみで表れるアミノ酸はL-異性体及びD-異性体を含む。非天然アミノ酸の名称の前に接頭辞「L」又は「D」が付く場合、それが表す単一の配置を指す。例えば、「アラニン」又は「Ala」がD-Ala及びL-Ala、「システイン」又は「Cys」がD-Cys及びL-Cys、ホモシステインがD-ホモシステイン及びL-ホモシステインを表す。
【0045】
通常、「アミノ酸残基」はペプチド、ポリペプチド又はタンバク質のモノサブユニットに関して使用され、通常、「アミノ酸」は遊離分子に関して使用されるが、本発明では、「アミノ酸」及び「アミノ酸残基」という用語が交換可能に使用される。
【0046】
2つのアミノ酸してが互いに連結して1つのペプチド結合を形成するが、複数個のアミノ酸が互いに連結して複数個のペプチド結合を形成する。多個のアミノ酸が互いに連結して形成された複数個のペプチド結合を含有する一本の鎖状構造は、「ペプチド鎖」又は「ペプチドセグメント」と呼ばれる。本明細書で用いられる「ペプチド」及び「ポリペプチド」とは、分子サイズに関係なく、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基鎖から構成されるポリマーを指す。本発明における「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語が交換可能に使用される。
【0047】
別段の明記がない限り、ペプチド配列は、アミノ基末端(N末端)からカルボキシル末端(C末端)の順に示される。
【0048】
本発明で使用される「リンカー」という用語は、ポリペプチドフラグメントXとポリペプチドフラグメントYを連結するために用いられる連結フラグメントであり、その自身がペプチド鎖X及びペプチド鎖Yの生理活性に影響を与えない条件を満足すれば、その長さ及び構造に制限がない。リンカーは、2つのペプチドセグメントに一定のスペース間隔を提供するできるため、互いに干渉することなく正確に折りたたむようになる。さらに、リンカーは、2つのペプチドセグメントが相互作用の可能性を提供し、同士間の相乗作用を促進する。リンカーは、疎水性リンカー、柔軟な親水性リンカー、及びペプチドフラグメントリンカーがある。本発明における疎水性リンカーは、主に、4-アミノ酪酸や6-アミノカプロン酸などのアミノアルカン酸類である。親水性リンカーとしてよく使用されるのは、例えば、(PEG)(ここで、mは1、2、3、4、又は5である)などのPEGポリマーである。ペプチドフラグメントリンカーは1~10個のアミノ酸からなるペプチドフラグメントである。調製の便利さなどの点から、リンカーは、制限酵素切断部位を含み、長さが1~10個のアミノ酸のポリペプチドフラグメントである。いくつかの実施形態において、リンカーは、長さが2~8個のアミノ酸であるフラグメントである。また、いくつかの実施形態において、リンカーは、長さが3個のアミノ酸であるフラグメントである。本発明の実施形態において、リンカーを構成するアミノ酸は、プロリン、アルギニン、フェニルアラニン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、グルタミン、アスパラギン及びグリシンから選択される。本発明の実際の調製実施例においては、前記リンカーは、L-Gly-L-Ser-L-Gly、(L-Gly-L-Ser)、(L-Gly-L-Ser)、又はL-Ser-L-Gly-L-Gly-L-Ser-L-Gly-L-Gly-L-Serであった。前記のリンカーは、2つの部分のペプチド鎖を分離し、同士間の立体障害効果を低減する。また、リンカーは生体内で加水分解することができ、各ペプチドセグメントが活性効果を発揮するのに有利である。
【0049】
本発明で使用される「カルシウム感知受容体作動薬」という用語は、「カルシウム模倣剤」、カルシウム感知受容体活性剤とも呼ばれ、カルシウム感知受容体(CaSR)の細胞外ドメイン(ECD)、膜貫通ドメイン、又は細胞内ドメイン(ICDs)に結合し、副甲状腺細胞の細胞表面に発見されたCaSRを活性化し、そして細胞シグナル経路を活性化し、PTHの合成と分泌を阻害することを実現できる物質を指す。カルシウム感知受容体作動薬は、小分子化合物又はポリペプチド分子とすることができる。カルシウム感知受容体作動薬には、NPS R-568、NPS R-467に代表される第1世代のフェニルアルキルアミン系カルシウム感知受容体作動薬、シナカルセトに代表されるフェニルアルキルアミン系カルシウム感知受容体作動薬、エテルカルセチドに代表される第3世代のポリペプチド系カルシウム感知受容体作動薬、及び類似な活性を有する他の活性ポリペプチドが含まれるが、これらに限られなく、例えば、本発明に係る化合物におけるペプチド鎖Yが挙げられる。
【0050】
オステオゲニック成長ペプチド様ペプチド(オステオゲニック成長ペプチド受容体活性剤)とは、オステオゲニック成長ペプチド受容体シグナル経路を活性化し、骨芽細胞の増殖と分化を促進し、骨髄造血幹細胞や間葉系幹細胞の分裂と増殖を刺激することができ、また、造血幹細胞における自己回復能力を維持し、巨核球の成長を抑制することができる物質を指す。骨形成成長ペプチドは、MAPキナーゼ、Src及びRhoA経路を活性化することができる。MAP経路が活性化されると、有糸分裂が増加し、骨芽細胞、骨髓造血幹細胞、間葉系幹細胞に対する分裂及び増殖効果を有する。それに対して、Src及びRhoA経路が活性化されると、骨芽細胞の内因性オステオゲニック成長ペプチドの自己分泌発現を調節し、塩基ホスファターゼの分泌を促進し、I型コラーゲン、オステオカルシン、Cbfα1 mRNAの転写をアップレギュレートし、カルシウム塩の沈着と基質の石灰化を促進し、骨形成を促進し、骨折治癒を加速し、骨密度を増加することが可能になる。オステオゲニック成長ペプチド様ペプチドには、免疫応答性OGPが含まれ、具体的には、遊離OGP、OGP(10~14)、組換えOGP及びOGP-骨形成成長ペプチド結合タンパク質(OGP binding protein、OGPBP)、及びそれと類似の活性を有する天然又は人工合成ポリペプチドなどの化合物が含まれるが、これらに限定されなく、例としては、本発明に係る化合物におけるペプチド鎖Xである。
【0051】
間葉系幹細胞刺激剤、間葉系幹細胞は、骨髓間質細胞とも呼ばれる。間葉系幹細胞は、骨髓中の造血幹細胞(HSC)に対する機械的な支持作用を有し、また、造血を調節するさまざまなサイトカイン(例えば、IL-6、IL-11、LIF、M-CSF及びSCFなど)を分泌して造血を支持することもでき、さらに、骨形成系細胞、線維芽細胞、網状細胞、脂肪細胞及び内皮細胞へ分化できる潜在的な分化能力を持つ。間葉系幹細胞刺激剤とは、造血を調節するサイトカインを分泌する刺激を間葉系幹細胞に与え、そして造血機能を促進することができ、かつ/又は間葉系幹細胞を増殖と分化に誘導できる物質を指す。間葉系幹細胞刺激剤には、免疫応答性OGPが含まれ、具体的には、遊離OGP、OGP(10~14)、組換えOGP及びOGP-骨形成成長ペプチド結合タンパク質(OGP binding protein、OGPBP)、及びそれと類似の活性を有する天然又は人工合成ポリペプチドなどの化合物が含まれるが、これらに限定されなく、例としては、本発明に係る化合物におけるペプチド鎖Xである。
【0052】
本発明で使用される用語「アルキル基」又は「アルキル」とは、1~20個の炭素原子を含む飽和直鎖または分岐鎖の一価炭化水素基を指し、ここで、前記アルキル基は、任意選択的に1個又は複数個の本発明に記載されている置換基で置換されることができる。特に詳細な説明のない限り、アルキル基は1~20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~12個の炭素原子を含有する。幾つかの別実施形態において、アルキル基は2~12個の炭素原子を含有する。幾つかの別実施形態において、アルキル基は1~6個の炭素原子を含有する。幾つかの別実施形態において、アルキル基は2~6個の炭素原子を含有する。また、幾つかの別実施形態において、アルキル基は1~4個の炭素原子を含有する。さらに、いくつかの実施形態において、アルキル基は1~3個の炭素原子を含有する。前記アルキル基は、任意選択的に1個又は複数個の本発明に記載されている置換基で置換されることができる。
【0053】
本明細書に用いられる「チオール含有基」又は「チオール含有部分」は、硫黄-水素結合(-SH)を含み、かつ生理学的条件下で別のスルフヒドリル基と反応してジスルフィド結合を形成することができる官能基を意味する。本発明では、他のチオール基とジスルフィド結合を形成できるチオール基は「活性チオール基」と呼ばれる。
【0054】
ペプチド治療剤は、ペプチド酵素の攻撃を受けやすいものである。エキソペプチダーゼは、通常にペプチド若しくはタンバク質のアミノ末端又はカルボキシル末端からアミノ酸残基を切断する非特異的酵素である。アミノ酸配列内で切断を行うエンドペプチダーゼも、非特異的なものである可能性がある。ただし、エンドペプチダーゼは、特定のアミノ基配列(認識部位)を認識し、認識部位又はそれらの部位の近くでペプチドを切断する場合が多い。従って、タンパク質分解から保護するために化合物への修飾を行うことが企図されている。ペプチドをタンパク質分解から保護するための1つのアプローチは、化学的修飾又はペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端に対する「キャッピング(capping)」が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドセグメントのN端(N末端)及びC端(C末端)は、遊離することができる。C末端が遊離である場合、置換基が付加されないか又は「-OH」で表される。N末端が遊離である場合、置換基が付加されないか又は「H」で表される。別の幾つかの具体的な実施形態において、本発明のペプチドセグメントは、化学的に修飾されてもよい。
【0056】
本発明で使用される「化学的修飾」又は「キャッピング」という用語は、交換可能に使用され、化合物の一端または両端へ共有結合修飾により保護基を導入することを指す。適切な保護基は、ペプチドの生物活性を低下させることがなく、ペプチド末端をキャップするのに役立つ。チオール基含有アミノ酸を含め、前記化合物のアミノ末端、又はカルボキシル末端、或いはその両端に位置する任意の残基を化学的に修飾することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、アセチル化により化合物のアミノ末端が化学的修飾されてN-アセチル基ペプチドが生じる(本発明に記載されている構造又は式中で「Ac-」として表される)。幾つかの別実施形態において、アミド化により前記ペプチドのカルボキシル末端が化学的修飾されてC末端に第一級カルボキサミド(本明細書に記載されているペプチド配列、構造又は式中で「-NH」として表される)が生じる。いくつかの実施形態において、それぞれアセチル化とアミド化によりアミノ基末端とカルボキシル末端の両端が化学的修飾される。ただし、他のエンドキャッピング基が使用する可能もである。例えば、アミノ基末端は、アセチル基やベンゾイル基などの基でアシル化することでキャップするか、天然又は非天然アミノ酸、例えば、アセチル基でキャップされたβ-アラニンでキャップするか、ベンジルやブチルなどの基でアルキル化することでキャップするか、或いはスルホニル化してスルホンアミドを形成することでキャップすることができる。同様に、カルボキシル末端は、エステル化されるか、又は二級アミド及びアシルスルホンアミドへ変換することができる。いくつかの実施形態において、アミノ基末端又はカルボキシル末端にはポリエチレングリコール(PEG)部分を連結するための部位が含まれてもよい。即ち、アミノ末端又はカルボキシル末端は、適切に官能化されたPEGと反応することで化学的に修飾されてもよい。「PEG」とは、ポリエチレングリコールを指す。
【0058】
本発明に係る「副甲状腺ホルモン上昇類疾患」とは、慢性腎臓病の血液透析及び/又は腹膜透析に起因した副甲状腺ホルモンが正常範囲よりもその以上に上昇したことによる疾患を指す。副甲状腺ホルモン(PTH)は、主に脊椎動物におけるカルシウムとリンの代謝を調節するし、血中カルシウムレベルの増加や血中リンレベルの減少を促進する機能として働く。PTH上昇類疾患には、副甲状腺機能亢進及び副甲状腺ホルモンのレベルの増加に引き起こされる低カルシウム血症、低リン血症、骨格脱灰、尿路結石、腎臓損傷、神経筋興奮性の低下、心血管系疾患などが含まれる。
【0059】
上記の「副甲状腺機能亢進」とは、原発性、二次性、および三次性副甲状腺機能亢進を指す。副甲状腺機能亢進は、原発性、二次性、三次性副甲状腺機能亢進に具体的に分類される。原発性副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺の成長が実際に自主的(autonomous)であり、通常に副甲状腺腺腫などの腫瘍に起因し、不可逆的であり得る。該腺腫は、通常、ビタミンD受容体を示さずに天然ホルモン型のビタミンDである1,25-ジヒドロキシビタミンDへの抵抗を示している。二次性副甲状腺機能亢進では、例えば、1,25-ジヒドロキシビタミンDの欠乏及び/又は抵抗に関連する副甲状腺過形成は、通常にホルモン代謝作用への抵抗に起因し、適応性があり、また、可逆的である。二次性副甲状腺機能亢進は、腎症、骨軟化症、腸吸収不良症候群の患者に発生する。
【0060】
三次性副甲状腺機能亢進は、生物学的機能亢進の副甲状腺が自主的増殖の状態になっていることで特徴付けされる。三次性副甲状腺機能亢進は、二次性副甲状腺機能亢進を患う患者に発生し得る。この場合、二次性副甲状腺機能亢進に関連する可逆的過形成は不可逆的な成長欠如に転換し、該増加した組織はビタミンD受容体を有している。副甲状腺機能亢進症のすべての形態では、骨損失やミネラル含有量の減少などの骨異常が存在するのが一般であり、腎臓の損傷が存在し得る。従って、副甲状腺機能亢進は、カルシウム、リン、骨の異常な代謝によっても特徴づけられる。
【0061】
本発明に係る化合物は、単一の活性試薬として投与することができ、または、同じ又は類似の治療活性を有しかつそれらの併用投与に対して安全かつ有効的であると確認された他の化合物を含む他の治療剤と併用して投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、骨芽細胞MC3T3-E1 Subclone4及び線維芽細胞NIH/3T3への実施例1のポリペプチドのインビトロでの増殖効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、特定の実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態は、これらに限定されない。本発明の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであり、本発明を限定するものではないので、本発明の方法を前提とした本発明に対する任意の改良も本発明の保護範囲に属するものとする。一般的に、本発明の化合物は、本発明に係る方法により製造することができ、当業者も、公知の方法を用いて、順序又は順序の異なる合成工程を選択して、本発明に係る構造を有するポリペプチド化合物を生成することができる。以下の反応態様及び実施例は、本発明の内容をさらに例示するために使用される。
【0064】
本発明に係るポリペプチド化合物は、組換え法および合成法によって調製することができる。本発明の実施例では、本発明に記載されている生理学的効果を有する人工的に合成したポリペプチド化合物を使用した。
【0065】
本発明に記載されているポリペプチド化合物は、固相合成法(SPPS)、液相合成法及び酵素合成法で調製することができることが当業者であれば分かる。このなる調製仕方によって得られた本発明に係るポリペプチド化合物は、いずれも本発明の範囲内のものに属する。例えば、ポリペプチド化合物が固相合成法により調製されることが一般的である。前記の固相合成には、ポリスチレン-スチレン架橋樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレン-エチレングリコール系樹脂などの従来樹脂を選択することができる。例としては、王氏樹脂(Wang Resin)、Fmoc-Pro-CTC、Rink Amide Linker MBHA樹脂が挙げられる。樹脂は、連結順番に従って選択される。
【0066】
例えば、まず、カルボキシ基端のアミノ酸のカルボキシ基と高分子固相担体とを共有結合により連結し、α-アミノ基の保護基としてFmoc、Boc又はCBzを使用でき、C末端からN末端へ所定の順で脱保護、縮合、再脱保護、縮合の繰り返し過程を経て、保護基を有するペプチド鎖樹脂を得、そして、樹脂を切断しかつ保護基を除去する工程を経て、所望のペプチドセグメントを得ることができる。また、アミノ基端のアミノ酸のアミノ基と高分子固相担体を共有結合で連結し、逆の順序で合成し、N末端からC末端へ所定の順に従って脱保護、縮合、再脱保護、縮合の繰り返されるプロセスを経つことで、保護基を有するペプチド鎖樹脂を得、そして、樹脂を切断し、保護基を除去するステップを経つことで、所望のペプチドセグメントを得ることもできる。ポリペプチド化合物を固相合成により調整する場合、選択された樹脂の種類に応じて、カルボキシル末端が遊離しているポリペプチドを得ることができ、カルボキシル末端がアミド化修飾されたペプチド鎖を得ることもできる。
【0067】
本発明では、不溶性ポリマー支持体(樹脂)上でペプチドのC末端から段階的にペプチド鎖を合成する。いくつかの実施形態においては、アミド結合、エステル結合又はエーテル結合を形成することでペプチドのC末端アミノ酸を樹脂上に掛けるように、合成を開始する。このアプローチにより、C末端がぞれぞれアミド、カルボン酸、またはアルコールであるペプチド鎖を最終的に放出することが可能となる。
【0068】
Fmocに基づくSPPSでは、C末端のアミノ酸及び合成に使用される他のすべてのアミノ酸のα-アミノおよび側鎖官能基(存在する場合)を、区別して保護(直交保護)することが必要であり、それにより、合成過程において適切な塩基(例えば、20%ピペリジン溶液)を利用して、ペプチドを樹脂から時期尚早に切断するか又は側鎖保護基(一般、酸感受性保護基で保護されている)を脱保護することがなく、α-アミノ保護基を選択的に除去することができる。アミノ酸のカルボキシ基を活性エステルに活性化して、それと樹脂のN末端に掛けたアミノ酸のブロックされていないα-アミノ基と反応させることにより、アミノ酸のカップリングを行った。各カップリングと脱保護の後、ペプチド-樹脂を過剰な溶媒(例えば、DMF、DCM及びジエチルエーテル)で洗浄する。所望のペプチド配列を合成するまで、α-アミノの脱保護とカップリングの順を繰り返た。その後、適切な溶解液(通常、側鎖反応を制限するための適切なスカベンジャーの存在下で行われる)を使用して樹脂からペプチドを切断し、その同時に側鎖官能基が脱保護される。得られたペプチドを、逆相HPLCにより最終的に精製する。
【0069】
ポリペプチド化合物の構造を同定する際には、QE同定解析、質量分析法タンバク質N末端配列解析、ポリペプチドタンバク質N-端配列解析を使用して一次構造を確認し、円二色性スキャン分析を使用して二次構造を決定する。
【0070】
本発明の実施例のポリペプチド化合物のQE同定解析は、エンドプロテイナーゼ(一般にはTrypsin)を使用してタンバク質ポリペプチドサンプルを酵素加水分解し、次に、LC/MS/MS(nanoLC-QE)を使用して酵素加水分解後のサンプルを分析する。最後に、MASCOTなどの質量分析マッチングソフトウェアを使用してLC/MS/MSデータを分析することで、標的タンバク質ポリペプチド分子の定性的な同定情報を取得する。
【0071】
本発明の実施例のポリペプチド化合物の質量分析法によるタンバク質N末端の配列解析に用いられる実験方法は、それぞれトリプシン、キモトリプシン及びGlu-C酵素を使用してタンバク質を酵素加水分解し、次に、LC-MS/MS(Xevo G2-XS QTof、waters)を使用して酵素加水分解後のペプチドセグメントサンプルを分析する。
【0072】
本発明の実施例のポリペプチド化合物のポリペプチドタンバク質N-端の配列解析では、自動タンバク質ポリペプチドシークエンシング装置により試験サンプルのN末端配列を分析することである。ソフトウェアPPSQ Analysisで、サンプル名称、サンプル番号、測定サイクル数、メソッドファイル選択を設定し、設定が完了した後に測定を開始した。データ及びスペクトルの処理は、PPSQで生じた生データとスペクトルをPPSQ DataProcessingソフトウェアによってピークを識別し、対応するスペクトルを導出する。
【0073】
本発明の実施例のポリペプチド化合物の初歩構造を決定するには、質量分析法を使用して検出を行い、高分解能質量分析法を使用してタンパク質の相対分子量を測定し、ポリペプチドの相対分子量の情報を正確かつ確実に得た。
【0074】
以下の略語が本発明で使用されている。
r.t:室温
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
O:水
CHCN:アセトニトリル
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
Fmoc:9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル基
Boc:tert-ブトキシカルボニル基
t-Bu:t-ブチル
Trt:トリチル基
DCM:ジクロロメタン
TIS:トリイソプロピルシラン
TFA:トリフルオロ酢酸
EtO:ジエチルエーテル
NMP:1-メチルピロリジン-2-オン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
EDT:エタンジチオール
TA:チオアニソール
PyBOP:1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート
【実施例
【0075】
調製実施例
実施例1:活性ポリペプチド(配列番号10)の調製
【0076】
【化15】
【0077】
(1)ペプチドセグメントAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NH(配列番号1で示されるポリペプチド配列)の調製は、C末端からN末端へ合成を行った。
(1-1)樹脂の前処理:Rink Amide Resin樹脂を秤量し、250mLの反応試験管に入れ、DCMで樹脂を膨潤させてDMFで洗浄した後、ピペリジン/DMF溶液を加えて脱保護を行い、DMFで洗浄し、ニンヒドリンをすっかり引き出し、樹脂の色を検出したところ、樹脂は紫がかった黒色であった。
(1-2)S1アミノ酸の連結:Fmoc-D-Arg(pbf)-OH及びPyBOPをを秤量しDMFで溶解した後、DIEAを加えた。窒素を導入して、撹拌しながら1.5~3時間反応させた。反応終了後、樹脂をニンヒドリンで検出したところ、樹脂が無色透明であり、反応が終わったことが示される。溶剤をすっかり引き出した後、DMFで樹脂を洗浄し、ピペリジン/DMF溶液を加えて20~30分間脱保護した。脱保護終了後、試薬をすっかり引き出し、DMFで樹脂を洗浄し、溶剤をすっかり引き出した。ニンヒドリンで樹脂の色を検出したところ、樹脂は紫がかった黒色であり、次のステップに進んだ。
(1-3)Fmoc-D-Ala-OHを秤量し、ステップ(1-2)に示す工程でS2アミノ酸を連結した。
(1-4)Fmoc-D-Arg(pbf)-OHを秤量し、ステップ(1-2)に示す工程でS3アミノ酸を連結した。続いて、ステップ(1-4)を2回繰り返し、S4およびS5アミノ酸Fmoc-D-Arg(pbf)-OHを連結した。
(1-5)Fmoc-D-Ala-OHを秤量し、ステップ(1-2)に示す工程でS6アミノ酸を連結した。
(1-6)Fmoc-D-Cys(trt)-OHを秤量し、S7アミノ酸を連結した。
(1-7)N-端アセチル化:DMFを5-15℃まで冷却し、そして、無水酢酸とピリジンを加えて混合溶剤1を調製した。ステップ(1-6)で得られた樹脂を冷却し、そこに調製した混合溶剤1を加えた。添加終了後、温度を制御しながら1~2時間反応させた。ニンヒドリンで検出した樹脂の色が無色透明となった後、溶剤をすっかり引き出し、DMFで樹脂を洗浄した後溶剤をすっかり引き出した。
(1-8)樹脂の収縮:反応試験管にメタノールを加えて樹脂を収縮させ、DCMで樹脂を膨潤させ、収縮を2~4回繰り返し、その後、収縮後の樹脂を真空乾燥箱オーブンに入れて乾燥させた。
(1-9)ペプチドセグメントの切断:155mL TFA、8mL TIS(トリイソプロピルシラン)、4.12mL EDT(エタンジチオール)、2mL TA(チオアニソール)、4.12mL水および2mLアニソールをよく混合して溶解液を調製した。ペプチドセグメントの切断終了後、サンドコアファンネルでろ過し、減圧下で溶剤を除去した後、残りの液体にメチル-tert-ブチルエーテルを加えて低温度で結晶化させた。遠心分離で結晶化溶液を除去し、メチル-tert-ブチルエーテルで沈殿物を洗浄し、25℃~35℃下で真空乾燥させて、ペプチドセグメントAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHの粗製品のペプチドを得た。
LC-MS(ESI):m/z 930.3[M+H]
【0078】
(2)ペプチドセグメントHN-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH(配列番号5で示されるポリペプチド配列)の調製には、C末端からN末端へ合成を行った。
(2-1)樹脂の前処理:2-CTC樹脂を秤量し、DCMで樹脂を膨潤させた。
(2-2)S8アミノ酸の連結:Fmoc-L-Cys(Trt)-OHを秤量しDCMで溶解し、DIEAを加えた。得られた混合物を反応試験管に加え、窒素を導入して、撹拌しながら1~3時間反応させた後、メタノールとDIEAとの混合溶液(DIEA:メタノール(v/v)=1:9)を加えて、反応を10~20分間ブロックさせた。溶剤をすっかり引き出した後、樹脂をDCM、続いてDMFで洗浄した。ピペリジン/DMF溶液を加えて20~30分間脱保護した。脱保護終了後、試薬をすっかり引き出し、DMFで樹脂を洗浄して溶剤をすっかり引き出した。ニンヒドリンで検出した樹脂の色が紫がかった黒色であり、次のステップに進んだ。
(2-3)Fmoc-Gly-OHを秤量し、(1-2)で示す工程でS9アミノ酸を連結した。ステップ(2-3)を繰り返して、S10アミノ酸Fmoc-Gly-OHを連結した。
(2-4)Fmoc-D-Phe-OHを秤量し、(1-2)で示す工程でS11アミノ酸を連結した。
(2-5)Fmoc-Aib-OHを秤量し、(1-2)で示す工程でS12アミノ酸を連結した。
(2-6)Fmoc-D-Tyr(t-Bu)-OHを秤量し、S13アミノ酸を連結した。
(2-7)(1-8)で示す工程で樹脂の収縮を行った。
(2-8)ペプチドセグメントの切断:155mL TFA、8mL TIS、4.12mL EDT、2mL TA、4.12mL水および2mLアニソールを均一に混合して溶解液を調製した。ペプチドセグメントの切断終了後、サンドコアファンネルでろ過し、減圧下で溶剤を除去した後、残りの液体にメチル-tert-ブチルエーテルを加えて低温度で結晶化させた。遠心分離で結晶化溶液を除去し、メチル-tert-ブチルエーテルで沈殿物を洗浄し、25℃~35℃下で真空乾燥させて、ペプチドセグメントHN-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OHの粗製品のペプチドを得た。LC-MS(ESI):m/z 631.6[M+H]
ペプチドセグメントの切断を完了し、サンドコアファンネルでろ過し、減圧下でを溶剤除去した後、残りの液体にメチル-tert-ブチルエーテルを加えて低温度で結晶化させた。遠心分離で結晶化溶液を除去し、また、メチル-tert-ブチルエーテルで沈殿物を洗浄し、25℃~35℃下で真空乾燥させて、ペプチドセグメントを得た。
【0079】
(3)連結:実施例1のステップ(1-9)で調製された粗製品のペプチドAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHおよび実施例1のステップ(2-8)で調製された粗製品のペプチドHN-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OHを秤量し精製水を加えて溶解した後、DMSOを加えて反応させ、均一に混合した後、20℃~30℃に維持しながら撹拌して反応させた。HPLCは反応の終わりを検出し、ポリペプチド(配列番号10)の溶液を得た。
【0080】
(4)精製:実施例1のステップ(3)で得られたペプチドの粗溶液を0.45μmフィルターメンブレンでろ過した後、10μmのC-18シリカゲルを充填した20mm×150mmカラムを使用して分取HPLCで精製し、検出波長を220nmである。移動相Aを0.1%TFAとし、移動相Bをアセトニトリルとし、グラジエント溶離後、ポリペプチドを含有する生成物の画分を収集した。純度が95.8%であった。収集した画分を合わせて、減圧下で溶剤を除去した後、ポリペプチド化合物を凍結乾燥した。得られた最終生成物を分析型RP-HPLC(保持時間)およびLC-MSより同定した。LC-MS(ESI):m/z 1558.5[M+H]。QEにより同定解析したところ、得られたポリペプチド化合物の配列が配列番号に10示す。
実施例2:活性ポリペプチド(配列番号11)の調製
【0081】
【化16】
【0082】
(1)ペプチドセグメントH-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH(配列番号6で示されるポリペプチド配列)の調製:実施例1におけるステップ(2)の製造方法に従って、2-CTC樹脂を使用し、順にFmoc-L-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-D-Phe-OH、Fmoc-D-Arg(pbf)-OH、Fmoc-D-Tyr(t-Bu)-OHを連結し、ペプチドセグメントH-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH粗製品のペプチドを得た。LC-MS(ESI):m/z 702.8[M+H]
【0083】
(2)連結:実施例1ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHおよび実施例2ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドH-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OHを秤量し、精製水を加えて溶解した後、DMSOを加えて反応させた。HPLCは反応の終了を検出し、ポリペプチド(配列番号11)の溶液を得た。
【0084】
(3)精製:実施例1のステップ(4)の方法により、フリーズドライポリペプチド化合物を調製した。得られた最終生成物を分析型RP-HPLC(保持時間)およびLC-MSより同定した。LC-MS(ESI):m/z 1629.3[M+H]。QEにより同定解析したところ、得られたポリペプチド化合物の配列が配列番号に11示す。
実施例3:活性ポリペプチド(配列番号7)の調製
【0085】
【化17】
【0086】
(1)ペプチドセグメントHN-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OH(配列番号2で示されるポリペプチド配列)の調製:実施例1におけるステップ(2)の製造方法に従って、2-CTC樹脂を使用し、順にFmoc-Gly-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-L-Phe-OH、Fmoc-L-Cys(Trt)-OH、Fmoc-D-Tyr(t-Bu)-OHを連結し、ペプチドセグメントHN-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OHの粗製品ペプチドを得た。LC-MS(ESI):m/z546.2[M+H]
【0087】
(2)連結:実施例1ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHおよび実施例3ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドHN-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OHを秤量し、精製水を加えて溶解した後、そしてDMSOを加えて反応させた。HPLCは反応の終了を検出し、ポリペプチド(配列番号7)の溶液を得た。
【0088】
(3)精製:実施例1のステップ(4)の方法によりフリーズドライポリペプチド化合物を調製した。得られた最終生成物を分析型RP-HPLC(保持時間)およびLC-MSより同定した。LC-MS(ESI):m/z1473.2[M+H]。QEにより同定解析したところ、得られたポリペプチド化合物の配列が配列番号に7示す。
実施例4:活性ポリペプチド(配列番号8)の調製
【0089】
【化18】
【0090】
(1)ペプチドセグメントHN-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH(配列番号3で示されるポリペプチド配列)の調製:実施例1におけるステップ(2)の製造方法に従って、2-CTC樹脂を使用し、順にFmoc-Gly-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-D-Phe-OH、Fmoc-L-Cys(Trt)-OH、Fmoc-D-Tyr(t-Bu)-OHを連結し、ペプチドセグメントHN-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH粗製品のペプチドを得た。LC-MS(ESI):m/z 546.2[M+H]
【0091】
(2)連結:実施例1ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHおよび実施例4ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドHN-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH(90mg)を秤量し、精製水を加えて溶解した後、そしてDMSOを加えて反応させ、均一に混合した後30℃~40℃に保持しながら、撹拌して10時間反応させた。HPLCは反応の終了を検出し、ポリペプチド(配列番号8)の溶液を得た。
【0092】
(3)精製:実施例1のステップ(4)の方法によりフリーズドライポリペプチド化合物を調製した。得られた最終生成物を分析型RP-HPLC保持時間)およびLC-MS より同定した。LC-MS(ESI):m/z 1473.2[M+H]。QEにより同定解析したところ、得られたポリペプチド化合物の配列が配列番号に8示すようなものであった。
実施例5:活性ポリペプチド(配列番号9)の調製
【0093】
【化19】
【0094】
(1)ペプチドセグメントHN -D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH (配列番号4で示されるポリペプチド配列)の調製:実施例1におけるステップ(2)の製造方法に従って、2-CTC樹脂を使用し、順にFmoc-Gly-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-D-Phe-OH、Fmoc-D-Cys(Trt)-OH、Fmoc-D-Tyr(t-Bu)-OHを連結し、ペプチドセグメントHN -D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH粗製品のペプチドを得た。LC-MS(ESI):m/z 546.2[M+H]
【0095】
(2)連結:た実施例1ステップ(1)で調製された粗製品のペプチドAc-D-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Arg-D-Arg-D-Ala-D-Arg-NHおよび実施例5のステップ(1)で調製された粗製品のペプチドHN-D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OHを秤量し、精製水を加えて溶解した後、そしてDMSOを加えて反応させた。HPLCは反応の終了を検出し、ポリペプチド(配列番号9)の溶液を得た。
【0096】
(3)精製:実施例1のステップ(4)の方法によりフリーズドライポリペプチド化合物を調製した。得られた最終生成物を分析型RP-HPLC(保持時間)およびLC-MSより同定した。LC-MS(ESI):m/z 1473.2[M+H]。QEにより同定解析したところ、得られたポリペプチド化合物の配列が配列番号に9示す。
実施例6
【0097】
上記の調製過程に従って、固相合成法を使用し、順にアミノ酸を連結し、Xペプチド鎖とYペプチド鎖をそれぞれ調製し、最後、実施例1における連結方法に従って、チオール基縮合により、X鎖とY鎖を連結し、以下の配列番号19~配列番号22で示されるポリペプチド化合物を調製した。必要とされるアミノ酸原料はいずれも市販されている。
【0098】
(1)配列番号19
【化20】
(2)配列番号20
【化21】
(3)配列番号21
【化22】
(4)配列番号22
【化23】
【0099】
以上のポリペプチド化合物の他に、ポリペプチド化合物におけるX鎖の部分は、そのアミノ基末端とカルボキシル末端を連結して、環状ペプチドを調製することもできる。まず、実施例1における配列番号5と同じ又は類似の固相合成方法により、カルボキシル末端およびアミノ基末端が遊離しているX鎖を調製した。その後、適切なpH下で、(Boc)Oと反応させ、選択的にアミノ基を保護し、活性エステル法によりカルボキシ基端をp-ニトロフェノールエステルに調製し、TFAでアミノ酸のBoc保護基を除去し、0.1M NaHCOと0.1M NaCOを塩基とし、ジオキサンを溶剤とし、室温下で反応させ、20%程度の収率で環状ペプチドXを得た。
【0100】
最後、実施例1におけるペプチド鎖の連結方法に従って、環状ペプチドXとY鎖をジスルフィド結合により連結し、以下の配列番号23~配列番号27で示されるポリペプチド化合物を得た。
(5)配列番号23
【化24】
(6)配列番号24
【化25】
(7)配列番号25
【化26】
(8)配列番号26
【化27】
(9)配列番号27
【化28】
效果実施例
【0101】
(1)正常ラットの血清Ca、PおよびPTHに対する単回静脈内注射の効果
試験方法:体重250~280gのSPFグレードのSDラットをランダムに7群分け、6群の投与群と1群のブランク対照群(Vehicle=生理食塩水)であった。試験サンプルは生理食塩水で溶液を調製して投与し、被験化合物を0.5mg/kg、1.5mg/kgおよび4.5mg/kgの投与量でそれぞれ単回尾静脈内(1mL/kg)に注射した。投与前の0時間、投与後の4、8および16時間で血清カルシウム(mmol/L)とリンのレベル(mmol/L)を検出した。
【0102】
データ処理:graphpad6.0ソフトウェアを使用して、各グループおよび各時点でのPTH、カルシウム、リンの濃度を統計的に分析した。
【0103】
実験結果:各群のラットの血中カルシウムレベルの変化の実験結果を下表1に、ラットの血中リンレベルの変化の実験結果を下表2に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1から分かるように、本発明の実施例1~2で調製されたポリペプチドを正常ラットに単回尾静脈ボーラス注射により投与し、投与後の4時点、8時点および16時間でそれぞれサンプルを採取し、投与前(0h)と比べて、各投与量の投与群のラットの血中カルシウムレベルが0、4、8、16時間で有意に減少した(P≦0.01)。
【0106】
【表2】
【0107】
表2から分かるように、本発明の実施例1~2で調製されたポリペプチドを正常ラットに単回尾静脈ボーラス注射により投与し、血中リン濃度を増加させる効果を有した。投与前(0h)と比べて、低投与量群(0.5mg/kgおよび1.5mg/kg)ではラットの血中リンレベルが0~4時間に上昇し、かつ4時間で最高に上昇し、また、高投与量群(4.5mg/kg)では、0~8時間に上昇し、かつ8時間で最高に上昇した。
【0108】
(2)被験化合物のカルシウムセンサー受容体CASRカルシウム模倣剤の活性測定
CaSR活性化実験において、均一系時間分解螢光(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence、HTRF)IP-1(myoInositol 1 phosphate)競合法により、CaSRに対する実施例1のポリペプチドの効果を検出した。実験結果、実施例1のポリペプチドはCaSRアゴニストの一種であり、1.2mMのCa2+濃度下でHEK293-CaSR細胞株に対して有意なアゴニスト活性を示し、EC50が84.68uMであったこと、および、Ca2+が存在しなかった場合、HEK293-CaSR細胞株に対するアゴニスト活性が弱く、EC50が979.60uMであったことが示された。このように、実施例1のポリペプチドがCaSRを活性化する効果を有し、また、この活性化過程にCa2+の相乗作用が必要である。
【0109】
(3)5/6の腎摘出ラットの血漿PTHに対する被験化合物の効果
雄のSDラットを選択し、偽手術群と5/6腎摘出群(5/6Nx)に分けた。腎摘出群のラットに対して、5/6腎摘出術を行い、二次性副甲状腺機能亢進症ラットモデルの誘発を加速するために手術の2週間後に高リン食を与えた。高リン飼料を3週間与えた後、モデル化したラットを選択し、5/6Nx群(Vehicle)、陽性対照薬のエテルカルセチド(3.0mg/kg)、実施例1の化合物(0.5、1.0、2.0、4.0mg/kg)という6つの群にランダムに分けた。皮下注射投与を毎週3回、連続6週間行った。それぞれ初回投与前、初回投与後、及び2、4、6週目の投与4時間後に、ラットから採血し、血漿と血清を分離し、各時点の血漿中のPTH含有量を検出した。
【0110】
【表3】
【0111】
5/6腎摘出群(Vehicle)と比べて、実施例1(1.0、2.0、4.0mg/kg)投与群および陽性薬のエテルカルセチド(3.0mg/kg)のラットは、初回投与、連続投与の2、4、6週目の異なる時点で、投与4時間後、ラット血漿中のPTH含有量が有意に減少し、血漿PTHの減少が90%以上と高かった。
【0112】
(4)実施例1のポリペプチドオステオゲニック成長ペプチド様活性の実証
CyQUANT細胞増殖検出キットを使用して、骨芽細胞MC3T3-E1 Subclone4および線維芽細胞NIH/3T3に対する実施例1のポリペプチドのインビトロでの増殖効果を測定した。実験では、骨形成成長ペプチドOGPを陽性対照として使用した。実施例1のポリペプチドとOGPを以下の濃度として10-8mol/L、10-9mol/L、10-10mol/L、10-11mol/L、10-12mol/L、10-13mol/L、10-14mol/L、10-15mol/L、10-16mol/L調製した。細胞受試プレートの各ウェルから100μLの培地を廃棄し、2×CyQuant検出試薬を調製し、各ウェルに100μLの試薬を加え、細胞プレートを37℃、5%COインキュベーターインキュベートに60分間置いた。蛍光値はボトムリーディングモードで読み取た。励起発光波長が480/535nmであった。
%Control=(化合物ウェルの読取データ - ブランク対照ウェルの読取データ)/(基本対照ウェルの読取データ - ブランク対照ウェルの読取データ)×100
【0113】
図1実験データは、10-8から10-13Mの実施例1のポリペプチドは、骨芽細胞MC3T3-E1 Subclone 4細胞の増殖を有意に刺激することができ、10-8から10-16MのOGPより増殖効果が顕著であった、ことを示す。実施例1のポリペプチドは、10-8Mで線維芽細胞NIH3T3の増殖を有意に刺激することができ、その有効量が10-8MのOGPのそれに匹敵する。
【0114】
(5)アデニン強制経口投与ラットの皮質骨粗鬆症に対する実施例1のポリペプチドの効果
Yokozawz法を参照しながら、SDラットにアデニン強制経口投与を行って慢性腎不全の動物モデルを確立し、高リン食を与えて二次性副甲状腺機能亢進症モデルを共に誘発し、実験が終了するまでこのように餌を与えていた。血漿中のPTHの含有量に基づいてモデルラット化されたラットをスクリーニングした。PTH含有量および体重に従って、モデルラット化されたラットを、生理食塩水群、エテルカルセチド(3.0mg/kg、生理食塩水に溶解した)、実施例1(1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、生理食塩水に溶解した)という5つの群にランダムに分け、毎週3回、連続6週間、ラットあたりに1.0ml/kgで、皮下注射を行った。6週間後、ラットの左大腿骨を採取し、筋肉と結合組織を取り除き、大腿骨を4%ホルマリン溶液に入れ、24時間後に、Micro CTスキャンを実行し、データ分析を完了した。
【0115】
【表4】
【0116】
アデニン誘発したSHPTラット模型ラットは、皮質骨粗鬆化が発生し、皮質骨多孔性が有意に増加した。アデニンモデル群(Vehicle)のラットと比べて、実施例1投与群ラットの皮質骨多孔性が有意に減少した(表4に示している)。実施例1のポリペプチドを6週間連続投与すると、アデニン誘発したSHPTラットの皮質骨多孔性を有意に低減し、皮質骨密度を向上させることができ、その效果がエテルカルセチドよりも優れた。
【0117】
以上の内容は、好適な具体実施形態と合わせて本発明に対するさらなる詳細な説明である。本発明の具体的な実施がこれらの説明のみに限られると認めるのは不適切である。当業者にとって、本発明の思想を逸脱することなく、若干の簡単な推論又は置換を行うこともでき、これらも本発明の保護範囲に属するものと見なすべきである。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]下記の式(Ia)又は式(Ib)で示される構造、又はその薬学的に許容される塩であるポリペプチド化合物。
Y-ID-X 式(Ia)又は
X-ID-Y 式(Ib)
(式中、Yは、カルシウム感知受容体作動薬であり、
IDは、XとYを結合する分子内のジスルフィド結合又はリンカーであり、
Xは、オステオゲニック成長ペプチド様ペプチド、骨髄間葉系幹細胞刺激剤である。)
[項目2]前記Yは、下記の式(IIa)又は式(IIb)で示されるアミノ酸配列を含むペプチド鎖であり、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 式(IIa)
Xaa13-Xaa12-Xaa11-Xaa10-Xaa-Xaa-Xaa 式(IIb)
式中、Xaaは、システイン、ホモシステイン、又はS-メチルシステインであり、
Xaaは、アラニン、又はアルギニンであり、
Xaaは、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa10は、アルギニン、アラニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa11は、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
Xaa12は、アラニンであり、
Xaa13は、アルギニン、リジン、又はヒスチジンであり、
前記ペプチド鎖Yのアミノ末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Yのカルボキシル末端は、遊離しているか又は化学的修飾されており、
Xaaは、好ましくD-アラニン、又はD-アルギニンであり、
Xaaは、好ましくD-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa10は、好ましくD-アルギニン、D-アラニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa11は、好ましくD-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンであり、
Xaa12は、好ましくD-アラニンであり、
Xaa13は、好ましくD-アルギニン、D-リジン、又はD-ヒスチジンである、項目1に記載のポリペプチド化合物。
[項目3]前記Xは、下記の式(IIIa)又は式(IIIb)で示されるアミノ酸配列を含むペプチド鎖であり、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIa)
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (IIIb)
式中、Xaaは、チロシン、ホモチロシン、又は3-クロロチロシンであり、
Xaaは、システイン、ホモシステイン、S-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンであり、
Xaaは、フェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシンであり、
Xaaがグリシンであるか、Xaaがグリシンであるか、又はXaa-Xaaがアミノ基置換C1-20アルキルモノカルボン酸で置き換えられ、
Xaaがシステイン又はホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、
XaaがS-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、
又はヒスチジンである場合、Xaaがシステイン又はホモシステインであり、
前記ペプチド鎖Xのアミノ末端は遊離しているか又は化学的修飾されており、前記ペプチド鎖Xのカルボキシル末端は遊離しているか又は化学的修飾されており、
Xaaは、好ましくL-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、
Xaaは、好ましくL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、L-ホモシステイン、S-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンであり、
Xaaは、好ましくL-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-トリプトファン、D-チロシン、又はL-チロシンであり、
Xaaは、好ましくグリシンであり、Xaaはグリシンであり、又はXaa-Xaaはアミノ基置換C1-20アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、
XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインである場合、Xaaが存在しないことが好ましく、
XaaがS-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンである場合、XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインであることが好ましい、項目1又は2に記載のポリペプチド化合物。
[項目4]Xは、式(IIIc)および(IIId)で示される構造を有する環状ペプチドであり、
Cyclo (Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa) (IIIc)
Cyclo (Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa) (IIId)
式中、Xaaは、チロシン、ホモチロシン、又は3-クロロチロシンであり、
Xaaは、システイン、ホモシステイン、S-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンであり、
Xaaは、フェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
Xaaは、グリシンであり、
Xaaがシステイン又はホモシステインである場合、Xaaが存在しなく、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又はXaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成し、
XaaがS-メチルシステイン、2-アミノイソ酪酸、アルギニン、プロリン、グリシン、ホモアルギニン、リジン、シクロヘキシルアラニン、サルコシン、ノルロイシン、又はヒスチジンである場合、Xaaがシステイン若しくはホモシステインであり、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成するか、又は、Xaaのアミノ基とXaaのカルボキシ基とがペプチド結合を形成し、
Xaaは、好ましくL-チロシン、D-チロシン、D-ホモチロシン、又は3-クロロ-D-チロシンであり、
Xaaは、好ましくL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、L-ホモシステイン、S-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンであり、
Xaaは、好ましくL-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-トリプトファン、D-チロシン、又はL-チロシンであり、
Xaaは、好ましくグリシンであり、Xaaはグリシンであり、又はXaa-Xaaはアミノ基置換C1-20アルキルモノカルボン酸で置き換えられており、
XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインである場合、Xaaが存在しないこと好ましく、
XaaがS-メチル-D-システイン、2-アミノイソ酪酸、D-アルギニン、L-アルギニン、L-プロリン、D-プロリン、グリシン、D-ヒスチジン、又はL-シクロヘキシルアラニンである場合、XaaがL-システイン、D-システイン、D-ホモシステイン、又はL-ホモシステインであること好ましい、項目1又は2に記載のポリペプチド化合物。
[項目5]前記X又はYのアミノ基端の化学的修飾には、アシル化、スルホニル化、アルキル化及びPEG化による修飾が含まれ、前記X又はYのカルボキシ基端の化学的修飾には、アミド化、スルホニル化及びPEG化による修飾が含まれる項目1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物。
[項目6]前記アミノ基端の化学的修飾はアミノ基がアセチル化、ベンゾイル化、又はスルホニル化され、前記アミノ基端のアルキル化はC1-6アルキル化又はアラルキル化であり、前記カルボキシ基端の化学的修飾はカルボキシ基におけるOHがNH又はスルホンアミドで置換される、項目5に記載のポリペプチド化合物。
[項目7]前記IDは、XとYの間に形成された分子内ジスルフィド結合又はリンカーであり、
前記分子内ジスルフィド結合は、Xにおけるシステイン、ホモシステイン又はS-メチルシステインとYにおけるシステイン、ホモシステイン又はS-メチルシステインとの間に形成されており、
前記リンカーは、アミノ基置換C1-8アルキル酸、ポリエチレングリコールポリマー鎖、又は1~10個のアミノ酸からなるペプチドセグメントであり、前記ペプチドセグメントにおけるアミノ酸はプロリン、アルギニン、アラニン、スレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、グルタミン、アスパラギン及びグリシンから選ばれ、
又は、前記リンカーは、
(1)(Gly-Ser)(ここで、nは0、1、2、又は3である)、
(2)Gly-Ser-Gly、
(3)Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser、
(4)4-アミノ酪酸又は6-アミノカプロン酸、
(5)(PEG)(ここで、mは1、2、3、4、又は5である)である、項目1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物。
[項目8]Xは、下記の配列番号2~配列番号6及び配列番号12~配列番号18で示される構造を有するペプチド鎖である、項目1又は2に記載のポリペプチド化合物。
(1)配列番号2
N-L-Tyr-L-Cys-L-Phe-Gly-Gly-OH
(2)配列番号3
N-D-Tyr-L-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH
(3)配列番号4
N-D-Tyr-D-Cys-D-Phe-Gly-Gly-OH
(4)配列番号5
N-D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(5)配列番号6
N-D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(6)配列番号12
N-D-Tyr-D-His-D-Tyr-Gly-Gly-L-Cys-OH
(7)配列番号13
N-D-Tyr-D-Pro-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys-OH
(8)配列番号14
Cyclo(D-Tyr-Aib-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(9)配列番号15
Cyclo(D-Tyr-D-Arg-D-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(10)配列番号16
Cyclo(L-Tyr-Gly-L-Phe-Gly-Gly-L-Cys)
(11)配列番号17
Cyclo(D-Tyr-Gly-D-Phe-Gly-Gly-D-Cys)
(12)配列番号18
Cyclo(D-Cys-Gly-Gly-D-Phe-Gly-D-Tyr)
[項目9]下記の配列番号7~配列番号11及び配列番号19~配列番号27のうちの1つのポリペプチド化合物、又はその薬学的に許容される塩である、項目1に記載のポリペプチド化合物。
(1)配列番号7
【化29-1】
(2)配列番号8
【化29-2】
(3)配列番号9
【化29-3】
(4)配列番号10
【化29-4】
(5)配列番号11
【化29-5】
(6)配列番号19
【化29-6】
(7)配列番号20
【化29-7】
(8)配列番号21
【化29-8】
(9)配列番号22
【化29-9】
(10)配列番号23
【化29-10】
(11)配列番号24
【化29-11】
(12)配列番号25
【化29-12】
(13)配列番号26
【化29-13】
(14)配列番号27
【化29-14】
[項目10]カルシウム感知受容体作動薬効果及び/又は骨形成成長ペプチド様効果を発揮する医薬品の製造における、項目1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物の使用。
[項目11]医薬品の製造における項目1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド化合物の使用において、
前記医薬品は、副甲状腺ホルモン上昇類疾患、悪性高カルシウム血症、転移性骨疾患、パジェット病、変形性関節症、関節リウマチ、骨軟化症、軟骨石灰化症、軟骨無形成症、骨軟骨炎、嚢胞性骨形成不全症、先天性低ホスファターゼ症、線維性病変、線維性骨異形成症、多発性骨髄腫、溶骨性骨病変、人工関節周囲の骨溶解、歯周病、骨粗鬆症、骨代謝回転異常、高代謝回転型骨病変、慢性腎臓病-ミネラルおよび骨病気(CKD-MBD)のうちの少なくとも一種の疾患を予防及び/又は治療するために用いられ、
前記副甲状腺ホルモン上昇類疾患は、原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進、三次性副甲状腺機能亢進であることが好ましく、
前記二次性副甲状腺機能亢進は、慢性腎臓病の血液透析及び/又は腹膜透析によって引き起こされる副甲状腺ホルモン上昇であることが好ましい、使用。
図1
【配列表】
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