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特許7440133半導体パッケージ用離型フィルム及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用離型フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B32B27/40
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022566068
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021009158
(87)【国際公開番号】W WO2022154204
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0006356
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522421565
【氏名又は名称】シルテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン ガン-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョン-ウン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127091(JP,A)
【文献】特開2014-212239(JP,A)
【文献】特開2007-084722(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093178(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0143071(US,A1)
【文献】米国特許第03957724(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B32B 27/40
B29C 33/68
B29C 43/18
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージのモールディング工程のためのものであり、モールディングツールに配置される半導体パッケージ用離型フィルム(release film)であって、
第1ポリウレタン層部;及び前記第1ポリウレタン層部上に配置された第2ポリウレタン層部;を含み、
前記第1ポリウレタン層部は、前記第2ポリウレタン層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、
前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、
前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む、半導体パッケージ用離型フィルム。
【請求項2】
前記第1面は、前記第1微細凹凸によって5μm以上の表面粗さ(surface roughness)(Ra)を有し、
前記第2面は、前記第2微細凹凸によって5μm以上の表面粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
前記第1ポリウレタン層部と前記第2ポリウレタン層部との間に配置された中間層部をさらに含む、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項4】
前記中間層部は接着層である、請求項3に記載の離型フィルム。
【請求項5】
前記接着層はウレタン系ポリマーを含む、請求項4に記載の離型フィルム。
【請求項6】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有する、請求項3に記載の離型フィルム。
【請求項7】
前記第1ポリウレタン層部と前記第2ポリウレタン層部は同一の物質構成を有する、請求項3に記載の離型フィルム。
【請求項8】
前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部と異なる物質構成を有する、請求項1又は3に記載の離型フィルム。
【請求項9】
前記第2ポリウレタン層部は無機物をさらに含み、
前記無機物により、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に前記第2微細凹凸が形成される、請求項8に記載の離型フィルム。
【請求項10】
前記離型フィルムは、30μm~120μm範囲の厚さを有する、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項11】
前記第1ポリウレタン層部の厚さは10μm~70μmで、
前記第2ポリウレタン層部の厚さは10μm~70μmである、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項12】
半導体パッケージのモールディング工程のためのものであり、モールディングツールに配置される半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法であって、
第1マットフィルム(matte film)上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部を形成する段階;
第2マットフィルム上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部を形成する段階;
前記第1マットフィルムに形成された前記第1ポリウレタン層部と、前記第2マットフィルムに形成された前記第2ポリウレタン層部とを中間層部の介在下で相互接合し、前記第1ポリウレタン層部上に前記中間層部と前記第2ポリウレタン層部が順次配置された接合構造を形成する段階;及び
前記第1ポリウレタン層部から前記第1マットフィルムを除去し、前記第2ポリウレタン層部から前記第2マットフィルムを除去する段階;を含み、
前記第1ポリウレタン層部は、前記中間層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、
前記第2ポリウレタン層部は、前記中間層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、
前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む、半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部を形成する段階及び前記接合構造を形成する段階は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行う、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部を形成する段階及び前記接合構造を形成する段階は、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行う、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記中間層部は接着層である、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記接着層はウレタン系ポリマーを含む、請求項15に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と異なる物質構成を有する、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有する、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記第1ポリウレタン層部から前記第1マットフィルムを除去しながら、前記第1ポリウレタン層部の前記第1面に第1離型剤を塗布し、粘着フィルムを付着させる段階;及び
前記第2ポリウレタン層部から前記第2マットフィルムを除去しながら、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に第2離型剤を塗布する段階;をさらに含む、請求項12に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項20】
半導体パッケージのモールディング工程のためのものであり、モールディングツールに配置される半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法であって、
マットフィルム(matte film)上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部を形成する段階;
前記第1ポリウレタン層部上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部を形成する段階;及び
前記第1ポリウレタン層部から前記マットフィルムを除去する段階;を含み、
前記第1ポリウレタン層部は、前記第2ポリウレタン層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、
前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、
前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む、半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法。
【請求項21】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階及び前記第2ポリウレタン層部を形成する段階は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行う、請求項20に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項22】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階及び前記第2ポリウレタン層部を形成する段階は、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行う、請求項20に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項23】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階後、前記第1ポリウレタン層部上に中間層部形成用溶液を塗布し、前記中間層部形成用溶液から中間層部を形成する段階をさらに含み、
前記第2ポリウレタン層部は前記中間層部上に形成する、請求項20に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項24】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有する、請求項23に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項25】
前記第2ポリウレタン形成用溶液は無機物を含み、前記無機物により、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に前記第2微細凹凸が形成される、請求項20又は23に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項26】
前記無機物は、シリカ(silica)、炭酸カルシウム(CaCO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち少なくとも一つを含む、請求項25に記載の離型フィルムの製造方法。
【請求項27】
前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に第1離型剤を塗布し、粘着フィルムを付着させる段階;及び
前記第1ポリウレタン層部から前記マットフィルムを除去しながら、前記第1ポリウレタン層部の前記第1面に第2離型剤を塗布する段階;をさらに含む、請求項20に記載の離型フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー基盤のフィルム部材及びその製造方法に関し、より詳細には、半導体パッケージ用離型フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子のパッケージング過程において、モールディング工程は、モールディング物質で各チップが実装されたキャリア基板をカプセル化する工程である。半導体素子の密封にはモールド成形装置が使用され、モールディング物質としては、エポキシ樹脂に無機材料と各種副材料が添加されたEMC(epoxy molding compound)が主に使用される。モールド樹脂を含むモールディング材料がモールド金型に注入され、成形が行われる。
【0003】
パッケージング過程において、モールド材料の硬化が完了した後、モールド金型と成形品とを離型する方法としては、モールド金型とモールド樹脂との間に離型フィルムを介在させる方法が使用され得る。前記離型フィルムは、モールド成形装置内に供給され、成形加工温度に温度が調節されたモールド金型に引き込まれ、真空吸着でモールド金型に密着し、その上にモールド樹脂が充填される。それによって、前記モールド金型と前記モールド樹脂との間に前記離型フィルムが配置され得る。前記モールド樹脂が硬化された時点にモールド金型が開放されると、成形品が離型フィルムから剥離され得る。
【0004】
従来の離型フィルムは、主にETFE(ethylene tetrafluoroethylene)樹脂で製造されている。ETFE離型フィルムは熱可塑性を有し、主に押出機を用いたT-ダイ(die)吐出方式で製造される。前記ETFE離型フィルムは熱可塑性を有するので、EMCモールディング工程時に要求される高い加熱温度では、前記離型フィルムが圧力に耐えることができず、エッジ(egde)部分が破裂するという問題が発生するおそれがあり、これによって、モールド成形装置が汚染されるという問題がある。よって、前記ETPE離型フィルムは、約165℃以下の温度で主に使用されるという限界を有する。また、前記ETFE離型フィルムを用いてEMCモールディングを行う場合、EMCで発生するフューム-ガス(fume-gas)が離型フィルムを透過する透過性が高いので、フューム-ガス(fume-gas)によるモールド汚染が発生し、これによって、モールドを頻繁に洗浄する周期が要求されるので、生産性が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が達成しようとする技術的課題は、半導体パッケージのモールディング工程時、高温及び高圧条件でも破裂せずに耐えることができる優れた機械的物性を有すると共に、優れた離型性を有する半導体パッケージ用離型フィルムを提供することにある。
【0006】
また、本発明が達成しようとする技術的課題は、半導体パッケージのモールディング工程時、フューム-ガス(fume-gas)によるモールド汚染及びそれによる生産性低下などの問題を防止又は最小化できる半導体パッケージ用離型フィルムを提供することにある。
【0007】
また、本発明が達成しようとする技術的課題は、上記の半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されなく、言及していない他の課題は、下記の記載から当業者に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によると、半導体パッケージ用離型フィルム(release film)であって、第1ポリウレタン層部;及び前記第1ポリウレタン層部上に配置された第2ポリウレタン層部;を含み、前記第1ポリウレタン層部は、前記第2ポリウレタン層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む半導体パッケージ用離型フィルムが提供される。
【0010】
前記第1面は、前記第1微細凹凸によって5μm以上の表面粗さ(surface roughness)を有することができ、前記第2面は、前記第2微細凹凸によって5μm以上の表面粗さを有することができる。
【0011】
前記第1ポリウレタン層部と前記第2ポリウレタン層部との間に中間層部がさらに配置され得る。
【0012】
前記中間層部は接着層であり得る。
【0013】
前記接着層は、ウレタン系ポリマーを含むことができる。
【0014】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有することができる。
【0015】
前記第1ポリウレタン層部と前記第2ポリウレタン層部は、同一の物質構成を有することができる。
【0016】
前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部と異なる物質構成を有することができる。
【0017】
前記第2ポリウレタン層部は無機物をさらに含むことができ、前記無機物により、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に前記第2微細凹凸が形成され得る。
【0018】
前記離型フィルムは、例えば、約30μm~120μm範囲の厚さを有することができる。
【0019】
前記第1ポリウレタン層部の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であり得る。
【0020】
前記第2ポリウレタン層部の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であり得る。
【0021】
前記中間層部の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であり得る。
【0022】
本発明の他の実施例によると、半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法であって、第1マットフィルム(matte film)上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部を形成する段階;第2マットフィルム上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部を形成する段階;前記第1マットフィルムに形成された前記第1ポリウレタン層部と、前記第2マットフィルムに形成された前記第2ポリウレタン層部とを中間層部の介在下で相互接合し、前記第1ポリウレタン層部上に前記中間層部と前記第2ポリウレタン層部が順次配置された接合構造を形成する段階;及び前記第1ポリウレタン層部から前記第1マットフィルムを除去し、前記第2ポリウレタン層部から前記第2マットフィルムを除去する段階;を含み、前記第1ポリウレタン層部は、前記中間層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、前記第2ポリウレタン層部は、前記中間層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法が提供される。
【0023】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部を形成する段階及び前記接合構造を形成する段階は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行うことができる。
【0024】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部を形成する段階及び前記接合構造を形成する段階は、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行うことができる。
【0025】
前記中間層部は接着層であり得る。
【0026】
前記接着層は、ウレタン系ポリマーを含むことができる。
【0027】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と異なる物質構成を有することができる。
【0028】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有することができる。
【0029】
前記離型フィルムの製造方法は、前記第1ポリウレタン層部から前記第1マットフィルムを除去しながら、前記第1ポリウレタン層部の前記第1面に第1離型剤を塗布し、粘着フィルムを付着させる段階;及び前記第2ポリウレタン層部から前記第2マットフィルムを除去しながら、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に第2離型剤を塗布する段階;をさらに含むことができる。
【0030】
本発明の他の実施例によると、半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法として、マットフィルム(matte film)上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部を形成する段階;前記第1ポリウレタン層部上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部を形成する段階;及び前記第1ポリウレタン層部から前記マットフィルムを除去する段階;を含み、前記第1ポリウレタン層部は、前記第2ポリウレタン層部の反対側に第1面を有し、前記第1面は、離型性のための第1微細凹凸を有し、前記第2ポリウレタン層部は、前記第1ポリウレタン層部の反対側に第2面を有し、前記第2面は、離型性のための第2微細凹凸を有し、前記第1及び第2ポリウレタン層部は、架橋結合を有する熱硬化性ポリウレタンを含む半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法が提供される。
【0031】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階及び前記第2ポリウレタン層部を形成する段階は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行うことができる。
【0032】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階及び前記第2ポリウレタン層部を形成する段階は、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行うことができる。
【0033】
前記第1ポリウレタン層部を形成する段階後、前記第1ポリウレタン層部上に中間層部形成用溶液を塗布し、前記中間層部形成用溶液から中間層部を形成する段階をさらに含むことができ、前記第2ポリウレタン層部は前記中間層部上に形成することができる。
【0034】
前記中間層部は、前記第1ポリウレタン層部と同一の物質構成を有することができる。
【0035】
前記第2ポリウレタン形成用溶液は無機物を含み、前記無機物により、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に前記第2微細凹凸が形成され得る。
【0036】
前記無機物は、シリカ(silica)、炭酸カルシウム(CaCO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0037】
前記離型フィルムの製造方法は、前記第2ポリウレタン層部の前記第2面に第1離型剤を塗布し、粘着フィルムを付着させる段階;及び前記第1ポリウレタン層部から前記マットフィルムを除去しながら、前記第1ポリウレタン層部の前記第1面に第2離型剤を塗布する段階;をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の各実施例によると、半導体パッケージのモールディング工程時、高温及び高圧条件でも破裂せずに耐えることができる優れた機械的物性を有すると同時に、優れた離型性を有する半導体パッケージ用離型フィルムを具現することができる。また、本発明の各実施例によると、半導体パッケージのモールディング工程時、フューム-ガス(fume-gas)によるモールド汚染及びそれによる生産性低下の問題を防止又は最小化できる半導体パッケージ用離型フィルムを具現することができる。また、本発明の各実施例によると、上記の離型フィルムを比較的容易な方法で製造することができる。
【0039】
実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムを用いると、半導体パッケージの不良率を低下させ、生産性を向上させることができ、製造されたパッケージの特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルム(release film)の断面図である。
【0041】
図2】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの断面図である。
【0042】
図3a-3d】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0043】
図4a-4d】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0044】
図5a-5d】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0045】
図6a-6d】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0046】
図7】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法に適用され得る装置及びこれを用いた製造工程を説明するための図である。
【0047】
図8a-8c】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための図である。
【0048】
図9】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための図である。
【0049】
図10】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムを適用した半導体パッケージのモールディング工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、添付の各図面を参照して本発明の各実施例を詳細に説明する。
【0051】
以下で説明する本発明の各実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに明確に説明するために提供されるものであって、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されることはなく、下記の実施例は、多くの他の形態に変形可能である。
【0052】
本明細書で使用された用語は、特定の実施例を説明するために使用され、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用される単数形態の用語は、文脈上、異なる場合を明確に指摘するものでない限り、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使用される「含む(comprise)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、言及した形状、段階、数字、動作、部材、要素及び/又はこれらのグループの存在を特定するものであって、一つ以上の他の形状、段階、数字、動作、部材、要素及び/又はこれらのグループの存在又は付加を排除するものではない。また、本明細書で使用された「連結」という用語は、各部材が直接連結されたことを意味するだけでなく、各部材の間に他の部材がさらに介在して間接的に連結されたことまで含む概念である。
【0053】
併せて、本明細書において、一つの部材が他の部材「上に」位置しているとしたとき、これは、一つの部材が他の部材に接している場合のみならず、各部材の間に更に他の部材が存在する場合も含む。本明細書で使用された用語「及び/又は」は、該当の列挙した項目のうちいずれか一つ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。また、本明細書で使用される「約」、「実質的に」などの程度の用語は、固有の製造及び物質許容誤差を勘案して、その数値や程度の範疇又はこれに近接した意味で使用され、本願の理解を促進するために提供された正確な数値又は絶対的な数値が言及された開示内容を侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0054】
以下、添付の各図面を参照して本発明の各実施例について詳細に説明する。添付の図面に示した領域やパートのサイズや厚さは、明細書の明確性及び説明の便宜性のために多少誇張する場合がある。詳細な説明全体にわたって同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0055】
図1は、本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルム(release film)の断面図である。
【0056】
図1を参照すると、本実施例に係る離型フィルムは、第1ポリウレタン層部P10、及び第1ポリウレタン層部P10上に配置された第2ポリウレタン層部P20を含むことができる。一実施例において、第1ポリウレタン層部P10と第2ポリウレタン層部P20との間に中間層部P15が提供され得る。
【0057】
第1及び第2ポリウレタン層部P10、P20は、架橋結合を有する熱硬化性(thermosetting)ポリウレタンを含むことができる。第1ポリウレタン層部P10における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%以上又は約90wt%以上であり得る。一実施例において、第1ポリウレタン層部P10における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%乃至100wt%であり得る。これと同様に、第2ポリウレタン層部P20における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%以上又は約90wt%以上であり得る。一実施例において、第2ポリウレタン層部P20における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%乃至100wt%であり得る。第1及び第2ポリウレタン層部P10、P20のそれぞれは、主要構成物質として熱硬化型ポリウレタンを含んだり、熱硬化型ポリウレタンで構成され得る。また、場合によって、第1及び第2ポリウレタン層部P10、P20のうち少なくとも一つは、熱硬化型ポリウレタン以外に、他のポリマー物質や他の添加物、例えば、架橋反応のための開始剤(activator)、レベリング剤及び/又は消泡剤を一部(少量)含むこともできる。
【0058】
第1ポリウレタン層部P10は、中間層部P15の反対側に第1面S10を有することができ、第1面S10は、少なくとも離型性を向上させるための第1微細凹凸N10を有することができる。図面上、第1ポリウレタン層部P10の下面が第1面S10であってもよく、第1ポリウレタン層部P10の上面に中間層部P15が接合されてもよい。第2ポリウレタン層部P20は、中間層部P15の反対側に第2面S20を有することができ、第2面S20は、少なくとも離型性を向上させるための第2微細凹凸N20を有することができる。図面上、第2ポリウレタン層部P20の上面が第2面S20であってもよく、第2ポリウレタン層部P20の下面に中間層部P15が接合されてもよい。
【0059】
第1面S10は、第1微細凹凸N10によって約5μm以上の表面粗さ(surface roughness)(Ra)を有することができる。一実施例において、第1面S10の表面粗さ(Ra)は約5μm乃至20μm程度であり得る。第2面S20は、第2微細凹凸N20によって約5μm以上の表面粗さ(Ra)を有することができる。一実施例において、第2面S20の表面粗さ(Ra)は約5μm乃至20μm程度であり得る。しかし、第1面S10及び第2面S20の表面粗さ(Ra)は、上述したものに限定されなく、場合によって、異なる形に設計され得る。
【0060】
中間層部P15は、一種の接着層(bonding layer or adhesive layer)であり得る。前記接着層は、第1ポリウレタン層部P10と第2ポリウレタン層部P20とを相互ボンディング(接合)するのに使用され得る。前記接着層は、ウレタン系ポリマーを含むことができる。前記ウレタン系ポリマーは、熱硬化型ウレタン樹脂液から硬化されて形成されたものであり得る。前記ウレタン系ポリマーは、熱硬化性ポリウレタンを含むことができる。
【0061】
中間層部P15は、第1ポリウレタン層部P10及び/又は第2ポリウレタン層部P20と同様に、イソシアネート又はポリオールを含む活性水素化合物のウレタン結合を含むウレタン系ボンディング材を含むことができる。一実施例において、中間層部P15は、第1ポリウレタン層部P10及び/又は第2ポリウレタン層部P20と同一の物質構成を有することができる。一部の実施例において、第1ポリウレタン層部P10と第2ポリウレタン層部P20は同一の物質構成を有することができる。この場合、第1ポリウレタン層部P10、中間層部P15及び第2ポリウレタン層部P20は、一体化された一つの層構造(基材層構造)を構成することができる。しかし、中間層部P15は、第1ポリウレタン層部P10及び第2ポリウレタン層部P20のうち少なくとも一つと異なる物質構成を有することもできる。
【0062】
本発明の実施例に係る前記離型フィルムは、約30μm~120μm範囲の厚さ(総厚さ)を有することができる。前記離型フィルムの厚さは、例えば、約50μm~100μm程度であり得る。このような厚さ条件で、前記離型フィルムは、モールディング工程に適した優れた機械的物性を有することができる。一方、第1ポリウレタン層部P10の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であってもよく、中間層部P15の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であってもよく、第2ポリウレタン層部P20の厚さは、例えば、約10μm~70μm程度であってもよい。第1ポリウレタン層部P10の厚さは、第2ポリウレタン層部P20の厚さと同一又は類似であり得る。中間層部P15の厚さは、第1ポリウレタン層部P10及び第2ポリウレタン層部P20のそれぞれの厚さと同一又は異なってもよい。後者の場合、中間層部P15の厚さは、第1ポリウレタン層部P10及び第2ポリウレタン層部P20のそれぞれの厚さより薄くてもよい。上記の各厚さ条件を満足する場合、離型フィルムの容易な形成(製造)及び機械的物性の向上に有利になり得る。
【0063】
図2は、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの断面図である。
【0064】
図2を参照すると、本実施例に係る離型フィルムは、第1ポリウレタン層部P11、第1ポリウレタン層部P11上に配置された中間層部P16、及び中間層部P16上に配置された第2ポリウレタン層部P22を含むことができる。第1及び第2ポリウレタン層部P11、P22は、架橋結合を有する熱硬化性(thermosetting)ポリウレタンを含むことができる。第1ポリウレタン層部P11における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%以上又は約90wt%以上であり得る。一実施例において、第1ポリウレタン層部P11における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%乃至100wt%であり得る。第2ポリウレタン層部P22における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約60wt%以上又は約80wt%以上であり得る。一実施例において、第2ポリウレタン層部P22における熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約60wt%乃至97wt%程度であったり、約60wt%乃至100wt%であり得る。第1及び第2ポリウレタン層部P11、P22のそれぞれは、主要構成物質として熱硬化型ポリウレタンを含んだり、熱硬化型ポリウレタンで構成され得る。また、場合によって、第1及び第2ポリウレタン層部P11、P22のうち少なくとも一つは、熱硬化型ポリウレタン以外に他のポリマー物質や他の添加物(例えば、レベリング剤、消泡剤など)を一部(少量)含むこともできる。
【0065】
第1ポリウレタン層部P11は、中間層部P16の反対側に第1面S11を有することができ、第1面S11は、少なくとも離型性を向上させるための第1微細凹凸N11を有することができる。図面上、第1ポリウレタン層部P11の下面が第1面S11であってもよく、第1ポリウレタン層部P11の上面に中間層部P16が接合されてもよい。第2ポリウレタン層部P22は、中間層部P16の反対側に第2面S22を有することができ、第2面S22は、少なくとも離型性を向上させるための第2微細凹凸N22を有することができる。図面上、第2ポリウレタン層部P22の上面が第2面S22であってもよく、第2ポリウレタン層部P22の下面に中間層部P16が接合されてもよい。第1面S11及び第2面S22のそれぞれの表面粗さ(Ra)の範囲条件は、図1において第1面S10及び第2面S20に対して説明したのと同一又は類似であり得る。
【0066】
中間層部P16は、第1ポリウレタン層部P11と同一の物質構成を有することができる。よって、第1ポリウレタン層部P11と中間層部P16は、一体化された一つの層構造をなすことができる。一方、第2ポリウレタン層部P22は、第1ポリウレタン層部P11及び中間層部P16と異なる物質構成を有することができる。この場合、第2ポリウレタン層部P22は、無機物をさらに含むことができ、前記無機物により、第2ポリウレタン層部P22の第2面S22に第2微細凹凸N22が形成され得る。より具体的に説明すると、第2ポリウレタン層部P22は、熱硬化性ポリウレタンで構成された基材層部、及び前記基材層部内に含有された無機物を含むことができ、前記無機物によって第2微細凹凸N22が形成され得る。前記無機物は、例えば、粒子(複数の粒子)形態を有することができる。また、前記無機物は、例えば、シリカ(silica)、炭酸カルシウム(CaCO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち少なくとも一つを含むことができる。しかし、本発明の実施例で使用され得る無機物の種類は、上述したものに限定されなく、多様に変化可能である。第2ポリウレタン層部P22が前記無機物を含む場合、前記無機物は、一種のフィラー(filler)であると言える。この場合、第2ポリウレタン層部P22において、前記熱硬化性ポリウレタンと前記無機物の総量に対する前記熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約60wt%以上又は約80wt%以上であり得る。例えば、第2ポリウレタン層部P22において、前記熱硬化性ポリウレタンと前記無機物の総量に対する前記熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約60wt%乃至97wt%程度であり得る。前記無機物を除いた残りの領域において、第2ポリウレタン層部P22の熱硬化性ポリウレタンの含有量は、約80wt%乃至100wt%であり得る。前記無機物を除いた残りの領域において、第2ポリウレタン層部P22は、主要構成物質として熱硬化型ポリウレタンを含んだり、熱硬化型ポリウレタンで構成され得る。また、場合によって、第2ポリウレタン層部P22は、熱硬化型ポリウレタン以外に、他のポリマー物質や他の添加物(例えば、レベリング剤、消泡剤など)を一部(少量)含むこともできる。
【0067】
図2の実施例において、離型フィルムの総厚さ及び各層部P11、P16、P22の厚さ範囲は、図1の離型フィルムに対して説明したのと同一又は類似であり得るので、これについての反復説明は排除する。
【0068】
図2の離型フィルム構造において、中間層部P16は場合によって排除され得る。すなわち、図2の離型フィルムは、中間層部P16なしで、第1ポリウレタン層部P11、及びその上に形成された第2ポリウレタン層部P22を含むことができる。このとき、第2ポリウレタン層部P22は、第1ポリウレタン層部P11の上面に直接接触(接合)し得る。
【0069】
図3a乃至図3dは、本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0070】
図3aを参照すると、第1マットフィルム(matte film)M10上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部P10を形成することができる。第1マットフィルムM10は、マット(matte)処理されたフィルムであって、ここで、マット処理は、表面に微細凹凸を形成する無光処理を意味し得る。第1マットフィルムM10は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムであり得るが、第1マットフィルムM10の物質は、これに限定されなく、多様に変化可能である。
【0071】
第1マットフィルムM10のマット処理された表面(図面上の上面)上に前記第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、これから硬化された第1ポリウレタン層部P10を形成すると、第1マットフィルムM10に接合された第1ポリウレタン層部P10の第1面S10に第1微細凹凸N10が形成され得る。第1マットフィルムM10のマット処理された表面(図面上の上面)の形状は、第1ポリウレタン層部P10の第1面S10に転写されたものであると言える。前記第1ポリウレタン形成用溶液は、ウレタン系ソース物質、溶媒及び硬化剤などを含むことができる。
【0072】
図3bを参照すると、第2マットフィルムM20上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部P20を形成することができる。第2マットフィルムM20は、例えば、PETフィルムであり得るが、これに限定されなく、物質は多様に変化可能である。
【0073】
第2マットフィルムM20のマット処理された表面(図面上の上面)上に前記第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、これから硬化された第2ポリウレタン層部P20を形成すると、第2マットフィルムM20に接合された第2ポリウレタン層部P20の第2面S20に第2微細凹凸N20が形成され得る。第2マットフィルムM20のマット処理された表面(図面上の上面)の形状は、第2ポリウレタン層部P20の第2面S20に転写されたものであると言える。前記第2ポリウレタン形成用溶液は、ウレタン系ソース物質、溶媒及び硬化剤などを含むことができる。
【0074】
図3cを参照すると、図3aの段階で第1マットフィルムM10に形成された第1ポリウレタン層部P10と、図3bの段階で第2マットフィルムM20に形成された第2ポリウレタン層部P20とを中間層部P15の介在下で相互接合し、第1ポリウレタン層部P10上に中間層部P15と第2ポリウレタン層部P20が順次配置された接合構造を形成することができる。
【0075】
例えば、第1マットフィルムM10に形成された第1ポリウレタン層部P10上に中間層部形成用溶液を塗布し、前記塗布された中間層部形成用溶液上に第2ポリウレタン層部P20を接合(ボンディング)させることによって、図3cに示したような接合構造を形成することができる。ここで、前記中間層部形成用溶液は、一種の接着液であってもよく、これから形成された中間層部P15は、一種の接着層(bonding layer or adhesive layer)であってもよい。前記接着層は、ウレタン系ポリマーを含むことができる。前記ウレタン系ポリマーは、熱硬化型ウレタン樹脂液から硬化されて形成されたものであり得る。前記ウレタン系ポリマーは、熱硬化性ポリウレタンを含むことができる。
【0076】
中間層部P15は、第1ポリウレタン層部P10と同一の物質構成を有することができる。また、中間層部P15は、第2ポリウレタン層部P20と同一の物質構成を有することができる。また、第1ポリウレタン層部P10と第2ポリウレタン層部P20は、同一の物質構成を有することができる。この場合、第1ポリウレタン層部P10、中間層部P15及び第2ポリウレタン層部P20は、一体化された一つの層構造(基材層構造)を構成することができる。しかし、中間層部P15は、第1ポリウレタン層部P10及び第2ポリウレタン層部P20のうち少なくとも一つと異なる物質構成を有することもできる。
【0077】
図3dを参照すると、第1ポリウレタン層部P10から前記第1マットフィルム(図3cのM10)を除去し、第2ポリウレタン層部P20から前記第2マットフィルム(図3cのM20)を除去することができる。図3dの結果物は、図1で説明した離型フィルムと同一であり得る。図3a乃至図3dで説明した離型フィルムの製造方法は、「ボンディング方式」による離型フィルムの製造方法であると言える。
【0078】
図4a乃至図4dは、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0079】
図4aを参照すると、図3cの接合構造と同一の構造を有する接合構造が設けられ得る。ただし、図4aでは、図3cの接合構造を上下ひっくり返して示した。ここでは、前記接合構造の一部のみを短い長さで示したが、実際に、前記接合構造は、ロール(roll)形態で巻かれ得る長さ(相当長い長さ)を有することができる。
【0080】
図4bを参照すると、第1ポリウレタン層部P10から前記第1マットフィルム(図4aのM10)を除去し、第1ポリウレタン層部P10の第1面S10に第1離型剤R10を塗布することができる。第1離型剤R10は、例えば、シリコーン(silicone)又はフッ素(fluorine)を含む離型剤溶液であり得る。
【0081】
図4cを参照すると、第1離型剤R10上に粘着フィルムA10を付着させることができる。粘着フィルムA10は、臨時フィルムであって、着脱が容易な程度の接着力を有することができる。一実施例において、図4b及び図4cの各段階において、第1ポリウレタン層部P10から前記第1マットフィルム(図4aのM10)を除去しながら、第1ポリウレタン層部P10の第1面S10に第1離型剤R10を塗布することができ(図4b)、第1離型剤R10上に粘着フィルムA10を付着させることができる(図4c)。
【0082】
図4dを参照すると、第2ポリウレタン層部P20から前記第2マットフィルム(図4cのM20)を除去しながら、第2ポリウレタン層部P20の第2面S20に第2離型剤R20を塗布することができる。第2離型剤R20は、上記の第1離型剤R10と同一の物質であり得る。図4dの構造(フィルム部材)をロール(roll)形態で巻いて保管することができる。必要な場合、図4dの構造(フィルム部材)を適当な幅に切断(すなわち、slitting)し、粘着フィルムA10を除去することができる。
【0083】
図5a乃至図5dは、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0084】
図5aを参照すると、マットフィルム(matte film)M11上に第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第1ポリウレタン形成用溶液から第1ポリウレタン層部P11を形成することができる。マットフィルムM11は、例えば、PETフィルムであり得るが、マットフィルムM11の物質は、これに限定されなく、多様に変化可能である。
【0085】
マットフィルムM11のマット処理された表面(図面上の上面)上に前記第1ポリウレタン形成用溶液を塗布し、これから硬化された第1ポリウレタン層部P11を形成すると、マットフィルムM11に接合された第1ポリウレタン層部P11の第1面S11に第1微細凹凸N11が形成され得る。前記第1ポリウレタン形成用溶液は、ウレタン系ソース物質、溶媒及び硬化剤などを含むことができる。
【0086】
図5bを参照すると、第1ポリウレタン層部P11上に中間層部形成用溶液を塗布し、前記中間層部形成用溶液から中間層部P16を形成することができる。前記中間層部形成用溶液は、前記第1ポリウレタン形成用溶液と同一又は類似であり得る。よって、中間層部P16は、第1ポリウレタン層部P11と同一の物質構成を有することができる。中間層部P16の形成は、第1ポリウレタン層部P11の厚さを適切な高さに増加させる工程であると言うこともできる。
【0087】
図5cを参照すると、中間層部P16上に第2ポリウレタン形成用溶液を塗布し、前記第2ポリウレタン形成用溶液から第2ポリウレタン層部P22を形成することができる。第2ポリウレタン層部P22は、中間層部P16の反対側に第2面S22を有することができ、第2面S22は、少なくとも離型性を向上させるための第2微細凹凸N22を有することができる。
【0088】
第2ポリウレタン層部P22は、第1ポリウレタン層部P11及び中間層部P16と異なる物質構成を有することができる。第2ポリウレタン層部P22は、無機物をさらに含むことができ、前記無機物により、第2ポリウレタン層部P22の第2面S22に第2微細凹凸N22が形成され得る。さらに具体的に説明すると、第2ポリウレタン層部P22は、熱硬化性ポリウレタンで構成された基材層部、及び前記基材層部内に含有された無機物を含むことができ、前記無機物によって第2微細凹凸N22が形成され得る。前記無機物は、例えば、粒子(複数の粒子)形態を有することができる。また、前記無機物は、例えば、シリカ(silica)、炭酸カルシウム(CaCO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち少なくとも一つを含むことができる。しかし、本発明の実施例で使用され得る無機物の種類は、上述したものに限定されなく、多様に変化可能である。
【0089】
第2ポリウレタン層部P22を形成するのに使用する前記第2ポリウレタン形成用溶液は、図5aで説明した前記第1ポリウレタン形成用溶液と同一の溶液に前記無機物が混合された溶液であり得る。
【0090】
図5dを参照すると、第1ポリウレタン層部P11から前記マットフィルム(図5cのM11)を除去することができる。図5dの結果物は、図2で説明した離型フィルムと同一であり得る。図5a乃至図5dで説明した離型フィルムの製造方法は、「反復コーティング方式」による離型フィルムの製造方法であると言える。
【0091】
図6a乃至図6dは、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
【0092】
図6aを参照すると、図5cの構造と同一の構造が設けられ得る。ここでは、前記構造(フィルム構造)の一部のみを短い長さで示したが、実際に、前記構造(フィルム構造)は、ロール(roll)形態で巻かれ得る長さを有することができる。
【0093】
図6bを参照すると、第2ポリウレタン層部P22の第2面S22に第1離型剤R11を塗布することができる。第1離型剤R11は、例えば、シリコーン(silicone)又はフッ素(fluorine)を含む離型剤溶液であり得る。
【0094】
図6cを参照すると、第1離型剤R11上に粘着フィルムA11を付着させることができる。粘着フィルムA11は、臨時フィルムであって、着脱が容易な程度の接着力を有することができる。
【0095】
図6dを参照すると、第1ポリウレタン層部P11から前記マットフィルム(図6cのM11)を除去しながら、第1ポリウレタン層部P11の第1面S11に第2離型剤R22を塗布することができる。第2離型剤R22は、上記の第1離型剤R11と同一の物質であり得る。図6dの構造(フィルム部材)をロール(roll)形態で巻いて保管することができる。必要な場合、図6dの構造(フィルム部材)を適当な幅に切断(すなわち、slitting)し、粘着フィルムA11を除去することができる。
【0096】
図5a乃至図5dを参照して説明した離型フィルムの製造方法において、中間層部P16の形成は、場合によって排除され得る。すなわち、図5bの段階において、中間層部P16を形成することなく、第1ポリウレタン層部P11上に第2ポリウレタン層部P22を形成することができる。このとき、第2ポリウレタン層部P22は、第1ポリウレタン層部P11の上面に直接接触(接合)し得る。このような変形構造は、図6a乃至図6dを参照して説明した離型フィルムの製造方法でも同一に適用され得る。
【0097】
図3a乃至図3d、図4a乃至図4d、図5a乃至図5d、図6a乃至図6dでは、便宜上、各フィルム部材の一部のみを短い長さで示したが、実際に、各フィルム部材は、ロール(roll)形態で巻かれ得る長さを有することができ、これに合う工程が適用され得る。
【0098】
例えば、図3a乃至図3d及び図4a乃至図4dの製造方法において、前記第1ポリウレタン層部P10を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部P20を形成する段階、前記接合構造を形成する段階などは、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行うことができる。この場合、例えば、前記第1ポリウレタン層部P10を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部P20を形成する段階、前記接合構造を形成する段階などは、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行うことができる。
【0099】
これと同様に、図5a乃至図5d及び図6a乃至図6dの製造方法において、前記第1ポリウレタン層部P11を形成する段階、前記中間層部P16を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部P22を形成する段階などは、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いて行うことができる。この場合、例えば、前記第1ポリウレタン層部P11を形成する段階、前記中間層部P16を形成する段階、前記第2ポリウレタン層部P22を形成する段階などは、マイクロ-グラビアコーター(micro-gravure coater)、コンマコーター(comma coater)及びスロットダイコーター(slot die coater)のうちいずれか一つを用いて行うことができる。
【0100】
図7は、本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法に適用され得る装置及びこれを用いた製造工程を説明するための図である。
【0101】
図7を参照すると、本発明の実施例に係る離型フィルムの製造方法に適用され得る装置は、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)工程を用いたコーティング装置であり得る。例えば、前記装置は、ロール(roll)形態で巻き取られたマットフィルム(matte film)10が装着される部分を含むことができ、マットフィルム10の一端を引っ張りながらマットフィルム10を移送するように構成され得る。前記装置は、移送されるマットフィルム10上にポリマー形成用溶液を塗布するコーティングゾーン(coating zone)20、塗布されたポリマー形成用溶液(ポリマー形成用フィルム)から溶媒を除去(乾燥)するための乾燥ゾーン(dry zone)30、及び塗布されたポリマー形成用溶液(ポリマー形成用フィルム)を硬化するための硬化ゾーン(curing zone)40を含むことができる。硬化ゾーン(curing zone)40での硬化は、熱による硬化又は紫外線(UV)による硬化を含んだり、熱による硬化及び紫外線(UV)による硬化を全て含むこともできる。また、前記装置は、コーティング作業が完了したマットフィルム10を再びロール(roll)形態で巻き取るための巻き直しゾーン(re-winding zone)50を含むことができる。
【0102】
図7に示した装置の構成は、例示的なものに過ぎなく、これは多様に変化可能である。一例として、図7では、装置内でポリマー形成用フィルムを硬化させる場合に対して示して説明したが、巻き直しが完了したロール(roll)形態のフィルム部材を所定の乾燥条件で乾燥させることによってポリマー形成用フィルムを硬化させることもできる。これを「養生硬化」又は「巻き取り後の乾燥硬化」であると言える。前記養生硬化は、例えば、約50℃の温度で24時間以上の乾燥条件で行われ得る。しかし、これは例示的なものであって、乾燥条件は多様に変化可能である。本発明の実施例に係る離型フィルムの製造時に適用され得る硬化方式は、コーティング装置内での硬化方式のみならず、上記の養生硬化(巻き取り後の乾燥硬化)方式まで含むことができる。
【0103】
図8a乃至図8cは、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための図である。
【0104】
図8aを参照すると、複数のロール部材RL10を用いて第1フィルム部材FM1を移送しながらロール形態で巻き取ることができる。一実施例において、第1フィルム部材FM1は、図3aで説明したようなフィルム構成を有することができる。第1フィルム部材FM1は、第1マットフィルムM10、及びその上に形成された第1ポリウレタン層部P10を含むことができる。
【0105】
図8bを参照すると、複数のロール部材RL10を用いて第2フィルム部材FM2を移送しながらロール形態で巻き取ることができる。ここで、第2フィルム部材FM2は、図3bで説明したようなフィルム構成を有することができる。一実施例において、第2フィルム部材FM2は、第2マットフィルムM20、及びその上に形成された第2ポリウレタン層部P20を含むことができる。
【0106】
図8cを参照すると、複数のロール部材RL20を用いて図8aの第1フィルム部材FM1及び図8bの第2フィルム部材FM2をボンディングすることができる。図8cにおいて、参照番号FM2'は、第2フィルム部材FM2の第2ポリウレタン層部P20上に中間層部形成用溶液(すなわち、接着用樹脂溶液)が塗布されたフィルム部材を示す。結果的に、図3cで説明したのと同一の構造、すなわち、第1マットフィルムM10に形成された第1ポリウレタン層部P10と、第2マットフィルムM20に形成された第2ポリウレタン層部P20とが中間層部P15の介在下で相互接合された接合構造が形成され得る。
【0107】
図9は、本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法を説明するための図である。
【0108】
図9を参照すると、複数のロール部材RL30を用いてフィルム部材FM3を移送しながらロール形態で巻き取ることができる。ここで、フィルム部材FM3は、図5cのフィルム部材と同一の構造を有することができる。一実施例において、フィルム部材FM3は、マットフィルムM11上に順次コーティングされた第1ポリウレタン層部P11、中間層部P16及び第2ポリウレタン層部P22を含むことができる。
【0109】
図8a乃至図8c及び図9を参照して説明した製造方法において、複数のロール部材RL10、RL20、RL30は、製造装置(コーティング装置)の一部の構成に該当するものであって、例示的なものに過ぎなく、複数のロール部材RL10、RL20、RL30の構成や配置などは多様に変化可能である。
【0110】
付加的に、本発明の他の実施例によると、マットフィルム(matte film)を使用せずに離型フィルムを製造することができる。例えば、マットフィルム(matte film)ではない一般的なPET離型性フィルム(キャリアフィルム)上に第1ポリウレタン層部を形成し、その上に無機物フィラーを含む第2ポリウレタン層部を形成した後、前記PET離型性フィルム(キャリアフィルム)を前記第1ポリウレタン層部から除去してから、前記PET離型性フィルム(キャリアフィルム)が除去されて露出した前記第1ポリウレタン層部の表面上に無機物フィラーを含む第3ポリウレタン層部を形成することができる。この場合、前記第1ポリウレタン層部は、図1及び図2の中間層部P15、P16と同一の物質構成を有することができ、前記第2及び第3ポリウレタン層部は、図2の第2ポリウレタン層部P22と同一の表面粗さ及び物質構成を有することができる。よって、前記第1ポリウレタン層部は、「中間層部」と称することができる。その他にも、多様な方式の構造変形及び製造方式の変化が可能である。
【0111】
以下では、本発明の各実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムの製造方法に適用され得るポリウレタン層の製造過程をより詳細に説明する。
【0112】
本発明の実施例で使用されるポリウレタン樹脂の数平均分子量(又は重量平均分子量)は、約50000乃至500000程度であり得る。ウレタン(ポリウレタン)は、ポリオール(polyol)とイソシアネート(isocyanate)の反応によって得ることができ、触媒を使用して反応速度及び分子量を調節して製造することができる。
【0113】
前記ポリオール(polyol)としては、分子量が約500乃至7000の製品を一つ或いは二つ以上混合して原料として使用することができる。エーテル(ether)系ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、変性ポリプロピレングリコール(modified polypropylene glycol)及びポリテトラメチレングリコール(PTMG)などを使用することができる。ポリエステル(polyester)系ポリオールとしては、分子量が約500乃至7000範囲のポリエチレングリコール(polyethylene glycol)及びポリカーボネート(polycarbonate)系重縮合系であるアジピン酸(adipate)系ポリエステルポリオールと、開環重合系のラクトン(lactone)系ポリオールが使用され得る。また、ポリブタジエングリコール(polybutadiene glycol)とアクリル(acryl)系ポリオールを一つ乃至二つ以上混ぜて使用することができる。しかし、上記の各物質は例示的なものであって、本願はこれに限定されない。
【0114】
前記イソシアネート(isocyanate)物質としては、様々なジイソシアネート(diisocyanate)系物質が使用され得る。例えば、分子量160.1のp-フェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)としてPPDI、分子量174.2のトルエン-ジイソシアネート(toluene-diisocyanate)としてその異性体を含むTDI、分子量210.2の1,5-ナフタレンジイソシアネート(1,5-naphthalene diisocyanate)としてNDI、分子量168.2の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-hexamethylene diisocyanate)としてHDI、分子量250.3の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethane diisocyanate)としてMDI、分子量222.3のイソホロンジイソシアネート(isophoron diisocyanate)としてIPDI、分子量262のシクロヘキシルメタンジイソシアネート(cyclohexylmethane diisocyanate)としてH12MDIなどが使用され得る。しかし、上記の各物質は例示的なものであって、本願はこれに限定されない。
【0115】
また、前記ポリオール及びイソシアネートに付け加えて、鎖延長剤(chain extender)物質がさらに使用され得る。前記鎖延長剤は、ポリウレタンの分子量を増加させ、多様な機能性を付与する役割をすることができる。前記鎖延長剤は、一つ乃至二つ以上を混合して使用することができる。前記鎖延長剤としては、エチレングリコール(ethylene glycol)系物質、プロピレングリコール(propylene glycol)系物質、ブタジエングリコール(butadiene glycol)系物質、シリコーン(silicone)を含む多価アルコール類、フッ素(fluorine)を含む多価アルコール類などが使用され得る。しかし、上記の各物質は例示的なものであって、本願はこれに限定されない。
【0116】
前記触媒としては、様々な有機スズ系物質及び有機ビズマス系物質が使用され得る。前記有機スズ系物質(有機スズ系化合物)は、例えば、ジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)、スタナスオクトエート(stannous octoate)、ジブチルスズジアセテート(dibutyltin diacetate)、ジブチルスズジメルカプチド(dibutyltin dimercaptide)などを含むことができる。ここで、ジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)は、(CHCHCHCHSn[CH(CH10COO]で、スタナスオクトエート(stannous octoate)はSn[C15COO]で、ジブチルスズジアセテート(dibutyltin diacetate)は(CHCHCHCHSn[CHCOO]で、ジブチルスズジメルカプチド(dibutyltin dimercaptide)は(CHCHCHCHSn[SC1225]である。前記有機ビズマス系物質(有機ビズマス系化合物)は、分子量が多様であり得るが、例えば、ビスマス(bismuth)を含有したカルボキシレート(carboxylate)系触媒物質を含むことができる。ここで、前記カルボキシレート(carboxylate)系触媒物質は、ビスマス(bismuth)を約9%乃至45%程度含有することができる。しかし、上記の各物質は例示的なものであって、本願はこれに限定されない。
【0117】
ポリウレタン樹脂溶液を製造するための溶媒としては、例えば、DMF(dimethylformamide)、DEF(diethylformamide)、DMSO(dimethylsulfoxaide)、DMAC(dimethylacetamide)、トルエン(toluene)、EA(ethyl acetate)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)を含む様々なアセトン類溶剤などが使用され得る。しかし、上記の各物質は例示的なものであって、本願はこれに限定されない。
【0118】
前記ポリオール、イソシアネート、溶媒などが混合されたポリウレタン製造用樹脂液を製造した後、メラミン(melamine)系硬化剤とその触媒、及び様々な分子量で重合されたイソシアネート(isocyanate)系硬化剤を用いた反応で多様な架橋密度(crosslinking density)を有する高分子硬化物を形成することができる。このとき、熱による硬化方式が適用され得る。
【0119】
以下では、本発明の一実施例に適用され得る硬化性ポリウレタンの組成を説明する。
【0120】
ポリウレタン組成物には、ウレタン反応のための第1物質として、ポリエステル系ポリオール(例えば、分子量500~7000)、ポリエーテル系ポリオール(例えば、分子量200~3000)又はポリカーボネート系ポリオール(例えば、分子量500~8000)などのポリオールを適用することができ、ウレタン反応のための第2物質として、イソシアネート(isocyanate)系物質を適用することができる。前記イソシアネート系物質としては、黄変性ベンゼン環(benzene-ring)を含有した様々なイソシアネート(isocyanate)種類と、非黄変型としてヘキサメチレン(hexamethylene)系、イソホロン(isophorone)系、及びシクロヘキシルメタン(cyclohexylmethane)系を含む様々なイソシアネート(isocyanate)を使用することができる。また、ポリウレタンの分子量を増加させるために、鎖延長剤(chain extender)をさらに使用することができる。前記鎖延長剤としては、エチレングリコール(ethylene glycol)系物質、プロピレングリコール(propylene glycol)系物質、ブタジエングリコール(butadiene glycol)系物質、シリコーン(silicone)を含む多価アルコール類、フッ素(fluorine)を含む多価アルコール類などを使用することができ、このような鎖延長剤をウレタン反応に参加させ、ポリウレタンの分子量を増加させることができる。
【0121】
その他の添加物としては、レベリング剤(leveling agent)、消泡剤、硬化剤などをさらに使用することができる。前記レベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系或いは非シリコーン系を含む変性ポリエーテル系レベリング剤を使用することができ、前記レベリング剤は、約0.1wt%~5wt%程度を混合して使用することができる。前記消泡剤は、脱泡機能のためのものであって、例えば、シリコーン系或いは非シリコーン系消泡剤を使用することができる。前記消泡剤は、約0.1wt%~5wt%程度混合して使用することができる。また、製造されたポリウレタンの硬化反応のための硬化剤としては、メラミン系硬化剤及びいくつかの分子で重合されたイソシアネート(isocyanate)系硬化剤などを使用することができる。また、前記硬化反応は、酸触媒下で促進され得る。
【0122】
図10は、本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルムを適用した半導体パッケージのモールディング工程を説明するための図である。
【0123】
図10を参照すると、本発明の実施例による離型フィルム100を用いて半導体パッケージのモールディング工程を行うことができる。モールディング装置は、第1モールディングツールT10、及びこれに対向する第2モールディングツールT20を含むことができる。第1モールディングツールT10は下部モールディングツールであってもよく、第2モールディングツールT20は上部モールディングツールであってもよい。
【0124】
第1モールディングツールT10に所定の凹状部分(キャビティ領域)が設けられてもよく、前記凹状部分を覆うように離型フィルム100が置かれてもよい。離型フィルム100は、真空吸着方式(すなわち、suction方式)で前記凹状部分の表面に密着するように吸引され得る。第2モールディングツールT20の下面側に複数の半導体素子部210が形成された基板200が配置され得る。前記凹状部分(キャビティ領域)の離型フィルム100部分上にモールディング物質(例:EMC)(図示せず)が配置され得る。前記モールディング物質を溶融するための加熱工程、及び溶融されたモールディング物質を半導体素子部210側に付着させるための真空圧着(compression)工程を行うことができる。
【0125】
本発明の実施例に係る離型フィルム100は、半導体パッケージのモールディング工程時、高温及び高圧条件でも破裂せずに耐えることができる優れた機械的物性を有すると同時に、優れた離型性(剥離性)を有することができる。特に、離型フィルム100は、熱硬化性物質を含むので、熱可塑性物質に基づいた従来の離型フィルムより優れた機械的物性を有することができる。よって、本発明の実施例に係る離型フィルム100は、高温及び高圧の条件でも破裂しない場合がある。また、離型フィルム100は、吸着方式(すなわち、suction方式)でフィルム100を第1モールディングツールT10のキャビティ内に吸引して固定させるとき、所定の高温(例えば、約165℃)条件で瞬間的に伸びる性質が優秀になり得る。よって、離型フィルム100が破裂するという問題が防止され得る。また、本発明の実施例に係る離型フィルム100は、モールディング工程時に発生するフューム-ガス(fume-gas)に対する透過性が低いので、フューム-ガス(fume-gas)によるモールド汚染及び生産性低下の問題が防止され得る。よって、本発明の実施例に係る離型フィルム100を用いると、半導体パッケージの不良率を低下させ、生産性を向上させることができ、製造されたパッケージの特性を向上させることができる。
【0126】
付加的に、本発明の実施例に係る離型フィルム100は、その下面に微細凹凸(図1のN10参照)を有するので、離型フィルム100を第1モールディングツールT10のキャビティ内に吸着によって固定させるとき、離型フィルム100の下面に気泡が発生するという問題を防止できると同時に、離型性(剥離性)も改善することができる。また、離型フィルム100は、その上面にも微細凹凸(図1のN20参照)を有し得るが、上面に形成された微細凹凸は、モールディング物質(例えば、EMC)の底面に転写され得る。よって、半導体パッケージのモールディング層(例えば、EMC層)の下面に微細凹凸が形成され得るが、このようなモールディング層の微細凹凸は、異物の付着を抑制し、スポット及び跡の形成を抑制する役割をすることができる。また、離型フィルム100の上面に形成された微細凹凸は、離型性(剥離性)を改善する役割をすることができる。
【0127】
本明細書では、本発明の好ましい実施例に対して開示し、特定の用語が使用されたが、これは、本発明の技術内容を容易に説明し、発明の理解を促進するための一般的な意味として使用されたものに過ぎなく、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここで開示された実施例以外にも、本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。該当の技術分野で通常の知識を有する者であれば、図1乃至図10を参照して説明した実施例に係る半導体パッケージ用離型フィルム及びその製造方法が、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に置換、変更及び変形可能であることを理解できるだろう。そのため、発明の範囲は、説明した実施例によって定められるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想によって定められるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10