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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】傘
(51)【国際特許分類】
   A45B 25/22 20060101AFI20240220BHJP
   A45B 25/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A45B25/22
A45B25/02 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023179224
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2023120424の分割
【原出願日】2023-07-25
【審査請求日】2023-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503288381
【氏名又は名称】株式会社秋本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】大久保 正徳
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-206505(JP,A)
【文献】特開平04-114604(JP,A)
【文献】登録実用新案第3107166(JP,U)
【文献】特開平07-095904(JP,A)
【文献】米国特許第05121764(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 25/22
A45B 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中軸に設けられた上ロクロに対して周方向に複数設けられる親骨が、前記上ロクロに回動可能に接続される内骨と、前記内骨に対して傘の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂により形成されて先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨と、を備える傘。
【請求項2】
上ロクロ及び下ロクロを有する中軸と、
前記上ロクロに対して周方向に複数設けられる親骨であって、
基端が前記上ロクロに回動可能に接続される内骨と、
前記内骨に対して傘の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨と、を備える親骨と、
前記下ロクロに対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロに回動可能に接続され、先端が前記内骨の先端部に回動可能に接続される受骨と、
を備える傘。
【請求項3】
中軸に設けられた上ロクロに対して周方向に複数設けられる親骨が、前記上ロクロに回動可能に接続される内骨と、前記内骨に対して傘の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨と、を備える傘。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記外骨は、中実で、断面形状は前記傘の内側及び外側方向に扁平である傘。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記内骨は金属製である傘。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記親骨の延びる方向において、前記内骨と、前記中軸に設けられた下ロクロに対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロに回動可能に接続され、先端が前記内骨の先端部に回動可能に接続される受骨との接続点から前記内骨と前記外骨との接続中心までの距離は、前記親骨の長さの1/30以下である傘。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記内骨は、
基端が前記上ロクロに回動可能に接続される内骨本体と、
樹脂製で、前記内骨本体に固定され、前記外骨及び、前記中軸に設けられた下ロクロに対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロに回動可能に接続され、先端が前記内骨の先端部に回動可能に接続される受骨が回動可能に接続される支点継手と、を備える傘。
【請求項8】
請求項に記載の傘において、
前記外骨は、前記中軸の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部を備え、
前記支点継手の先端部には、前記軸部を回動可能に受ける軸受部を備える一対の腕部と、前記外骨の回動時に前記外骨の基端部の外面を抑え、前記外骨に基準位置への復元力を付与するヒンジバネと、が形成されている傘。
【請求項9】
請求項に記載の傘において、
前記外骨は、前記中軸の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部を備え、
前記支点継手には、前記軸部を回動可能に受ける軸受部を備える一対の腕部が形成され、
少なくとも一方の前記軸部は、前記軸受部を通って前記腕部の外側まで延び、
前記軸部に嵌められるコイル部と、前記コイル部から延びて前記内骨に接続する第1腕部と、前記コイル部から延びて前記外骨に接続する第2腕部とを備え、前記外骨に基準位置への復元力を付与するねじりコイルバネを備える傘。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記外骨は、前記中軸の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部を備え、
前記内骨の先端部には、前記軸部を回動可能に受ける軸受部を備える一対の腕部が形成され、
少なくとも一方の前記軸部は、前記軸受部を通って前記腕部の外側まで延び、
前記軸部に嵌められるコイル部と、前記コイル部から延びて前記内骨に接続する第1腕部と、前記コイル部から延びて前記外骨に接続する第2腕部とを備え、前記外骨に基準位置への復元力を付与するねじりコイルバネを備える傘。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記外骨を前記内骨から離れた状態で前記内骨に接続し、前記外骨に前記復元力を付与する波形棒状バネを備え、
前記波形棒状バネは、第1端側が前記内骨に接続され、第2端側が前記外骨に接続され、中央部に、前記第2端側の変形に対して前記第2端側に復元力を付与する波形部が形成されている傘。
【請求項12】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の傘において、
前記親骨は、第1端が前記内骨の先端面から前記内骨の内部に挿入された状態で前記内骨に固定され、第2端が前記外骨に接続され、前記外骨を前記内骨から離れた状態で前記内骨に接続し、前記外骨に基準位置への復元力を付与するコイルバネを備える傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上ロクロから放射状に延びる親骨の中間にコイルバネを設け、風圧に対して親骨を復帰可能に折曲させ、風圧を受け流すようにした傘がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-206505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の傘は、既存の傘の親骨の中間にコイルバネを設けただけであり、風圧を大きく柔らかく受け流すことができず、風圧に対し、親骨がバタつきやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば以下の通りである。以下では、図面の符号を参照のために用いている。
〔1〕図1を参照し、上ロクロ(22)及び下ロクロ(23)を有する中軸(21)と、
前記上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)であって、
基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、
前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂により形成されて先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、
前記下ロクロ(23)に対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロ(23)に回動可能に接続され、先端が前記内骨(31)の先端部に回動可能に接続される受骨(4)と、
を備える傘(1)。
〔2〕〔1〕に記載の傘(1)において、
前記外骨(32)の長さは、前記内骨(31)の長さに対して120%以上である傘(1)。
〔3〕図5を参照し、〔1〕に記載の傘(1)において、
前記外骨(32)は、中実で、断面形状は前記傘(1)の内側及び外側方向に扁平である傘(1)。
〔4〕〔1〕に記載の傘(1)において、
前記内骨(31)は金属製である傘(1)。
〔5〕図6を参照し、〔1〕に記載の傘(1)において、
前記親骨(3)の延びる方向において、前記内骨(31)と前記受骨(4)との接続点(F)から前記内骨(31)と前記外骨(32)との接続中心(S)までの距離(H)は、前記親骨(3)の長さの1/30以下である傘(1)。
〔6〕図10を参照し、〔1〕から〔3〕、及び〔5〕のいずれか一つに記載の傘(1)において、
前記内骨(31)は、
基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨本体(310)と、
樹脂製で、前記内骨本体(310)に固定され、前記外骨(32)及び前記受骨(4)が回動可能に接続される支点継手(53)と、を備える傘(1)。
〔7〕図11を参照し、〔6〕に記載の傘(1)において、
前記外骨(32)は、前記中軸(21)の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部(321)を備え、
前記支点継手(53)の先端部には、前記軸部(321)を回動可能に受ける軸受部(312,312A)を備える一対の腕部(311)と、前記外骨(32)の回動時に前記外骨(32)の基端部の外面を抑え、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与するヒンジバネ(521,522)と、が形成されている傘(1)。
〔8〕図11を参照し、〔6〕に記載の傘(1)において、
前記外骨(32)は、前記中軸(21)の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部(321)を備え、
前記支点継手(53)には、前記軸部(321)を回動可能に受ける軸受部(312,312A)を備える一対の腕部(311)が形成され、
少なくとも一方の前記軸部(321)は、前記軸受部(312,312A)を通って前記腕部(311)の外側まで延び、
前記軸部(321)に嵌められるコイル部(511)と、前記コイル部(511)から延びて前記内骨(31)に接続する第1腕部(512)と、前記コイル部(511)から延びて前記外骨(32)に接続する第2腕部(513)とを備え、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与するねじりコイルバネ(51)を備える傘(1)。
〔9〕図7を参照し、〔1〕から〔5〕のいずれか一つに記載の傘(1)において、
前記外骨(32)は、前記中軸(21)の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部(321)を備え、
前記内骨(31)の先端部には、前記軸部(321)を回動可能に受ける軸受部(312,312A)を備える一対の腕部(311)が形成され、
少なくとも一方の前記軸部(321)は、前記軸受部(312,312A)を通って前記腕部(311)の外側まで延び、
前記軸部(321)に嵌められるコイル部(511)と、前記コイル部(511)から延びて前記内骨(31)に接続する第1腕部(512)と、前記コイル部(511)から延びて前記外骨(32)に接続する第2腕部(513)とを備え、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与するねじりコイルバネ(51)を備える傘(1)。
〔10〕図12を参照し、〔1〕から〔5〕のいずれか一つに記載の傘(1)において、
前記外骨(32)を前記内骨(31)から離れた状態で前記内骨(31)に接続し、前記外骨(32)に前記復元力を付与する波形棒状バネ(54)を備え、
前記波形棒状バネ(54)は、第1端側が前記内骨(31)に接続され、第2端側が前記外骨(32)に接続され、中央部に、前記第2端側の変形に対して前記第2端側に復元力を付与する波形部(521)が形成されている傘(1)。
〔11〕図13を参照し、〔1〕から〔5〕のいずれか一つに記載の傘(1)において、
前記親骨(3)は、第1端が前記内骨(31)の先端面から前記内骨(31)の内部に挿入された状態で前記内骨(31)に固定され、第2端が前記外骨(32)に接続され、前記外骨(32)を前記内骨(31)から離れた状態で前記内骨(31)に接続し、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与するコイルバネ(56)を備える傘(1)。
〔12〕図10を参照し、親骨(3)の先端側を構成する外骨(32)が、前記親骨(3)の基端側を構成する内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与され、受骨(4)の先端が前記内骨(31)の先端部に接続される前記傘(1)に用いられる支点継手(53)であって、
前記内骨(31)は、基端が前記傘(1)の中軸(21)に回動可能に接続される内骨本体(310)と、前記支点継手(53)とを備え、
前記支点継手(53)は、樹脂製で、前記内骨本体(310)の先端に固定され、前記外骨(32)及び前記受骨(4)が回動可能に接続される支点継手(53)。
〔13〕図11を参照し、〔12〕に記載の支点継手(53)において、
前記外骨(32)は、前記中軸(21)の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部(321)を備え、
前記支点継手(53)には、前記軸部(321)を回動可能に受ける軸受部(312,312A)を備える一対の腕部(311)と、前記外骨(32)の回動時に前記外骨(32)の基端部の外面を抑え、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与するヒンジバネ(521,522)と、が形成されている支点継手(53)。
〔14〕図11を参照し、〔12〕に記載の支点継手(53)において、
前記外骨(32)は、前記中軸(21)の軸方向に直交する第1方向の両側に延びる軸部(321)を備え、
前記支点継手(53)には、前記軸部(321)を回動可能に受ける軸受部(312,312A)を備える一対の腕部(311)が形成され、
少なくとも一方の前記軸部(321)は、前記軸受部(312,312A)を通って前記腕部(311)の外側まで延び、
ねじりコイルバネ(51)のコイル部(511)が前記軸部(321)に嵌められ、前記ねじりコイルバネ(51)の前記コイル部(511)から延びる第1腕部(512)が前記支点継手(53)に接続し、前記ねじりコイルバネ(51)の前記コイル部(511)から延びる第2腕部(513)が前記外骨(32)に接続し、前記外骨(32)に基準位置への復元力を付与する支点継手(53)。
〔15〕親骨(3)が、基端が中軸(21)に設けられた上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂により形成されて先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、を備える傘(1)。
〔16〕上ロクロ(22)及び下ロクロ(23)を有する中軸(21)と、
前記上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)であって、
基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、
前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、
前記下ロクロ(23)に対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロ(23)に回動可能に接続され、先端が前記内骨(31)の先端部に回動可能に接続される受骨(4)と、
を備える傘(1)。
〔17〕中軸(21)に設けられた上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)が、前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える傘(1)。
〔18〕上ロクロ(22)及び下ロクロ(23)を有する中軸(21)と、
前記上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)であって、
基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、
前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂により形成され、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、
前記下ロクロ(23)に対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロ(23)に回動可能に接続され、先端が前記内骨(31)の先端部に回動可能に接続される受骨(4)と、
を備える傘(1)。
〔19〕上ロクロ(22)及び下ロクロ(23)を有する中軸(21)と、
前記上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)であって、
基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、
前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与され、前記内骨の長さに対して120%以上の長さを有し、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、
前記下ロクロ(23)に対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロ(23)に回動可能に接続され、先端が前記内骨(31)の先端部に回動可能に接続される受骨(4)と、
を備える傘(1)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】傘の概略構成図である。
図2】傘を下方から見た斜視図である。
図3】ダボの構造を説明するための拡大図。
図4】無風時~強風時の外骨の可変状態を説明するための図である。
図5図5(A)は、断面円形の外骨を示す斜視図である。図5(B)は、断面が、扁平した円形の外骨を示す斜視図である。
図6図6(A)は、接続中心、接続点、支持構造を説明するための図である。図6(B)は、軸を用いた内骨と外骨の接続方法を示す図である。図6(C)は、弾性部材を用いた内骨と外骨の接続方法を示す図である。
図7図7(A)は、内骨及び外骨の接続機構において、接触接続とねじりコイルバネを組み合わせたものを示す側面図である。図7(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図8図8(A)は、図7の接続機構において穴部の一部が開放された受け部となっている接続機構を示す側面図である。図8(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図9図9(A)は、ヒンジバネを図7の接続機構に付加した接続機構を示す側面図である。図9(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図10図10(A)は、図7の接続機構における内骨の先端部を支点継手とした接続機構を示す側面図である。図10(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図11図11(A)は、図9の接続機構における内骨の先端部を支点継手とした接続機構を示す側面図である。図11(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図12図12(A)は、非接触接続と波形棒状バネを組み合わせた接続機構を示す側面図である。図12(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
図13図13(A)は、非接触接続と円筒コイルバネを組み合わせた接続機構を示す側面図である。図13(B)は、該接続機構を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1.傘1の基本構成)
図1は、傘1の概略構成図である。本明細書では、図1の上下を上下として説明する。
傘1は、中軸2、親骨3、受骨4を備える。
中軸2は、中軸本体21と、上ロクロ22及び下ロクロ23を有し、下端に、使用者が握るハンドル24が設けられる。
【0008】
中軸本体21は、長手状、かつ円柱状である。
上ロクロ22は、中軸本体21の上部に固定される。
下ロクロ23は、傘1が閉じた状態では、中軸本体21の下部にある下はじき26により保持される。傘1を開く際には、下はじき26の保持解除操作が行われ、下ロクロ23は、中軸本体21上を移動可能となる。そして、中軸本体21において下はじき26よりも上方で上ロクロ22よりも下方に設けられた上はじき25による保持位置まで、下ロクロ23は、使用者により上方へスライドする。または、下ロクロ23は、付勢部材による上方への付勢力により止め鋲231に当接するまで(上はじき25による保持位置まで)、上方へスライドする。そして、下ロクロ23が上はじき25に該位置で保持されることにより、図1に示すように、傘1は開いた状態(拡開状態)となる。傘1を閉じる場合、使用者は、上はじき25の保持解除操作を行い、下ロクロ23を下はじき26による保持位置まで下方にスライドさせ、下ロクロ23が下はじき26によりその位置で保持されることで、傘1が閉じた状態となる。
【0009】
親骨3は、上ロクロ22に対して周方向に複数設けられ(図2参照)、その数は適宜であり例えば8本ある。親骨3は、先端側が、少なくとも傘1の内側及び外側に折れ曲がり、傘1に対する風圧を逃がすことができるようになっている。このような親骨3間に亘ってシート7(図2)が張られている。外骨32を内骨31に対して上下に折れ曲がり、かつ元の姿勢に復帰可能にすることで、傘1にかかる風圧を逃がすことができる。また、各外骨32が上側に折れ曲がってしまい、傘1がいわゆるオチョコとなってしまうことを防ぐことができる。
【0010】
シート7は、各親骨3の変形に追従できる伸縮性を有し、20%以上の伸縮性を有することが好ましい。シート7は、中心部が中軸本体21の上端部である石づき211に通され、石づき211、各親骨3の延びる方向における複数個所、及び親骨3の先端に嵌められるつゆ先33に、縫い合わせ、または接着等により接続される。親骨3は、傘1の拡開時には、外側に凸となるように湾曲し(図4)、水平面からの傾斜角θ(図4(A))は例えば10°となる。
【0011】
親骨3は、内骨31及び外骨32を備える。
内骨31は、基端が上ロクロ22に回動可能に接続され、中軸2に対して傘1の内側及び外側に回動できる。内骨31は、曲がり難く、強く折れないことが好ましい。内骨31の材質は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ合金等の金属であってもよいし、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂等の樹脂であってもよい。内骨31の剛性あるいは機械的強度を高くすることで、外骨32の基端を強固に支持でき、外骨32の円滑な角度可変を実現でき、ひいては傘1が風圧を受けた際に傘1のバタつきを抑制できる。例えば、内骨31は、アルミ合金でプレス成形され、軽量化のため、U字状の断面形状を有する。また、内骨31は、長さ方向に亘ってほぼ同一の断面形状となる、
【0012】
外骨32は、内骨31に対して傘1の内側及び外側に折曲可能に接続され、傘1の拡開時には基準位置への復元力が付与される。
【0013】
受骨4は、親骨3毎にあり、下ロクロ23に対して周方向に複数設けられる。受骨4の基端は、下ロクロ23に回動可能に接続され、中軸2に対して傘1の内側及び外側に回動できる。受骨4の先端は、ダボ61の一対の腕部611(図3)間に差し込まれ、該腕部611に回動可能に保持される軸612(図3)が通される。このような手段により、受骨4の先端は、内骨31の先端部に回動可能に接続される。
【0014】
受骨4も、内骨31と同様、剛性あるいは機械的強度が高いことが好ましく、その材質、断面形状は、内骨31と同じであってもよい。
【0015】
(2.内骨31及び外骨32の機能及びデザイン)
特許文献1では、1本の親骨を中間で分割し、コイルバネで接続しており、内骨及び外骨の機能及びデザインに差をつける概念はなかった。
本実施形態では、風圧に対する親骨3のバタつきを抑えるため、内骨31及び外骨32の機能及びデザインが全く異なっている。具体的に、本実施形態では、外骨32は、樹脂製で先細り形状を有する。
【0016】
図4(A)は無風時、図4(B)は弱風時、図4(C)はやや強風時、図4(D)は強風時の外骨32の状態を示す。図4(A)~(D)では、外骨32の無風時の状態を実線で示し、風による変形状態を1点鎖線で示す。図4(A)~(D)では、中軸2の下側の図示を省略している。
本実施形態では、外骨32を、内骨31に対して折曲可能とし、内骨31に対して大きく変形させることを可能にしている。同時に、外骨3を樹脂製で先細り形状を有するものとすることで、外骨32に柔軟性を付与し、撓ることを可能にしている。これらが調和し、外骨32は、風圧に対して大きく撓り柔軟に可変可動できる。これにより、本実施形態の傘1は、風圧を大きく逃がすことができるとともに、その際の傘1のバタつきを抑制でき、使用者が傘1を楽にかつ安全に使用できる。
【0017】
(3.撓る機能に関する外骨32の構成)
(3-1.外骨32の材質)
風圧に対して大きく撓りかつ元に戻る外骨32の機能を十分なものにするため、外骨32は、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂により形成されている。熱可塑性樹脂は、ポリカーボネートであってもよい。繊維系フィラーは、グラスファイバーやカーボンファイバー、セルロースファイバー等であってもよい。繊維系フィラーを含む樹脂組成物で外骨32を形成することにより、外骨32に剛性(特に曲げ弾性)、クリープ特性、撓りからの復元性、耐久性を高い水準で付与でき、また、外骨32の成形性を良好にできる。
【0018】
(3-2.外骨32のデザイン)
(3-2-1.外骨32の形状)
図5(A)は、断面円形の外骨32を示し、図5(B)は、断面が扁平した円形の外骨32を示す。
外骨32は、大きくしなやかな撓りを可能とするために、先細り形状を有する。これにより、外骨32を、先細り形状としない場合に比べて大きく撓らせることができる。外骨32は、図5(A)に示すように、断面形状が円形であってもよく、またその他の形状であってもよい。外骨32は、傘1の内側及び外側方向に撓りやすくするために、図5(B)に示すように、傘1の内側及び外側方向に扁平であってもよい。外骨32は、扁平であれば、楕円形状であってもよく、その他の形状であってもよい。外骨32は、中実であってもよい。
【0019】
(3-2-2.外骨32の長さ)
外骨32の可変量を大きくし、傘1への風圧をより軽減するため、親骨3の延びる方向において、外骨32の長さは、内骨31の長さに対して120%以上であることが好ましい。
【0020】
(4.外骨32の支持構造)
図6(A)は、接続中心S、接続点F、支持構造6を説明するための図である。
内骨31と外骨32の接続方法は、図6(B)に示す軸を用いる方法と、図6(C)に示す弾性部材を用いる方法がある。軸を用いる場合、該軸が、内骨31と外骨32との接続中心Sとなる。コイルバネ等の弾性部材を用いる場合、該弾性部材の長手方向の中心が内骨31と外骨32との接続中心Sとなる。受骨4の先端は、内骨31に固定されるダボに軸を用いて接続される。該軸が、受骨4と内骨31の接続点Fとなる。
【0021】
ここで、図6(A)に示すように、外骨32の支持構造6として、内骨31、受骨4、中軸本体21における上ロクロ22及び下ロクロ23間の部分212、が互いに回動可能に接続され、三角形状の骨組みが構成されている。荷重を受けても各要素に軸方向にのみ荷重がかかるトラス構造が知られるところ、上記支持構造6は、トラス構造に近似しており、外骨32の基端からの荷重の入力に対し、強固な構造体となっている。
【0022】
内骨31と外骨32との接続中心Sは、支持構造6における最も強度、剛性が高い頂点である接続点Fの近傍にあることが好ましい。具体的には、親骨3の延びる方向において、接続点Fから内骨31と外骨32との接続中心Sまでの距離Hが、親骨3の長さの1/30以下であることが好ましい。例えば、距離Hは25mm以下であることが好ましい。これにより、本実施形態では、支持構造6によって外骨32の基端を強固に支持できるので、外骨32が円滑に変形でき、外骨32の可変に起因して傘1に生じるブレやガタツキを抑制できる。
【0023】
(5.内骨31と外骨32の接続方式)
(5-1.接触、非接触)
内骨31と外骨32の接続方式は、以下のA1)とA2)がある。
A1)内骨31と外骨32を、軸と軸受部により接触させた状態で接続するとともに、
可変装置により外骨32に復元力を付与する。
A2)内骨31と外骨32を、可変装置により離した状態で接続するとともに、
該可変装置により外骨32に復元力を付与する。
【0024】
(5-2.支点継手53)
内骨31と外骨32の接続方式は、A1)に包含される以下のB)を含む。
B)内骨31と外骨32を、支点及び継手を内蔵した多機能パーツである支点継手53(
図10、11)により接触させた状態で接続するとともに、外部の可変装置により、
または内蔵する可変部により外骨32に復元力を付与する。
【0025】
(5-3.可変装置)
外骨32に復元力を付与する可変装置としては、以下のC1)~C4)を例示できる。C1)ねじりコイルバネ51(図9
C2)ヒンジバネ521,522(図9
C3)波形棒状バネ54(図12
C4)円筒コイルバネ56(図13
【0026】
(6.A1)接触接続とC1)ねじりコイルバネ51の組み合わせ)
図7(A)は、内骨31及び外骨32の接続機構5を示す側面図である。図5(B)は、接続機構5を示す横断面図であり、内骨31にのみハッチを入れている。
接続機構5では、内骨31の先端部には、先端側に突出し、水平方向に対向する一対の腕部311が形成されている。腕部311には、腕部311を貫通する穴部312(軸受部)が形成されている。この腕部311間に、外骨32の基端部が配置されている。外骨32は、基端部から水平方向(中軸2の軸方向に直交する第1方向)の両外側に延びる軸部321を備える。穴部312は、軸部321を回動可能に受ける。
【0027】
外骨32は、ねじりコイルバネ51により、親骨3の延びる方向に沿う基準位置(拡開時において傘1に風圧がかかっていない状態の外骨32の位置)への復元力が付与される。ねじりコイルバネ51のコイル部511は、腕部311から外方側に突き出た軸部321に嵌められる。コイル部511の一端から延びる腕部512(第1腕部)の先端は、内方側に折り曲げられ、内骨31の側面に形成された穴部313に差し込まれて腕部512に接続される、例えば接着剤等にて腕部512に接合される。同様に、コイル部511の他端から延びる腕部513(第2腕部)の先端は、内方側に折り曲げられ、外骨32の側面に形成された穴部322に差し込まれて腕部513に接続される、例えば接着剤等にて腕部513に接合される。このような接続機構5は、外骨32を内骨31に対して上下方向に円滑に折り曲げ可能とし、かつ外骨32に基準位置への復元力を付与する構成を、簡素な構成で実現できる。
【0028】
なお、ねじりコイルバネ51は、内骨31及び外骨32の水平方向における両側に設けられていてもよい。受骨4と内骨31の接続点Fは、内骨31において、内骨31に対する外骨32の接続中心S(軸部321の中心軸)よりも基端側(図7(A)の右側)、かつ接続中心Sの近傍に位置する。
【0029】
図8(A)は、接続機構5Aを示す側面図である。図8(B)は、接続機構5Aを示す横断面図であり、内骨31にのみハッチを入れている。
軸部321を回動可能に受ける腕部311の部位が、接続機構5では、閉じた円状の穴部312であったが、接続機構5Aでは、穴部の一部が開放された受部312A(軸受部)となっている。接続機構5Aのその他の構成は、接続機構5と同様である。受け部312Aの開放された部分の大きさは、少なくとも軸部321が横切ることができる大きさである。本実施形態では、受部312Aは、軸部321を受ける円弧状の部位と、該円弧状の部位から腕部311の先端まで延びて該先端で開放されるスリットと、を含む。本実施形態では、軸部321を受部312Aに差し込み、奥までスライドさせ、ねじりコイルバネ51を設置することで、外骨32を内骨31に接続でき、接続が容易である。
【0030】
(7.C2)ヒンジバネ521,522を図7の接続機構5に付加)
図9(A)は、接続機構5Bを示す側面図である。図9(B)は、接続機構5Bを示す横断面図であり、内骨31にのみハッチを入れている。
接続機構5Bは、接続機構5にヒンジバネ521,522を加えたものであり、その他の構成は、接続機構5と同様である。ヒンジバネ521は、腕部311の間において内骨31の先端面の図9(A)の上側(傘1の外側)から突出し、可撓性を有する。ヒンジバネ521は、外骨32が傘1の外側に回動する際に、外骨32の基端部の外面を抑え、外骨32の基端部を傘1の内側へ付勢する。ヒンジバネ522は、腕部311の間において内骨31の先端面の図9(A)の下側(傘1の内側)から突出し、可撓性を有する。ヒンジバネ522は、外骨32が傘1の内側に回動する際に、外骨32の基端部の外面を抑え、外骨32の基端部を傘1の内側へ付勢する。接続機構5Bでは、外骨32に対し、ねじりコイルバネ51に加え、ヒンジバネ521,522により、外骨32に基準位置への復元力を付与できる。なお、ヒンジバネ521,522は、一方のみが設けられていてもよい。ねじりコイルバネ51は設けられていなくてもよい。ヒンジバネ521,522は、接続機構5A、及び後述する接続機構5C(図10)に設けられていてもよい。
【0031】
(8-1.支点継手53)
図10(A)は、接続機構5Cを示す側面図である。図10(B)は、接続機構5Cを示す横断面図であり、支点継手53にのみハッチを入れている。
接続機構5Cでは、図7の接続機構5において、内骨31の先端部を、内骨31と別体の支点継手53としたものである。他の構成は図7の接続機構5と同様である。本実施形態では、内骨31は、基端が上ロクロ22に回動可能に接続される内骨本体310と、樹脂製で、内骨本体310に固定され、外骨32及び受骨4が回動可能に接続される支点継手53と、を備える。支点継手53の基端部には、内骨本体310の先端部が嵌められて接合する穴部531が形成される。支点継手53の他の構成は、図7の内骨31の先端部と同様である。
【0032】
支点継手53は、適宜の樹脂で形成でき、高剛性、高強度を得るために例えばグラスファイバー等の繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂で形成できる。内骨本体310は、鉄、ステンレス、アルミ合金等の金属製であってもよいし、繊維系フィラーを含む熱可塑性樹脂で形成されていてもよい。外骨32は、支点継手53に対して回動可能に接続する。受骨4は、先端が支点継手53にボス61を介して回動可能に接続される。ボス61は、支点継手53と一体でも別体でもよい。本実施形態では、複雑な形状の部分を樹脂製の支点継手53として、内骨31とは別体にすることで、傘1の製造を容易にできる。外骨32を支持する部分を支点継手53として独立したパーツとしたので、内骨本体310を好適な細さに形成できるとともに、支点継手53を太く形成でき、外骨32を支持するのに必要な強度を容易に確保できる。なお、ねじりコイルバネ51の一端(図10(A)の右端)は、支点継手53に接続するものとしたが、内骨本体310まで延びて内骨本体310に接続してもよい。
【0033】
(8-2.支点継手53にC2)ヒンジバネ521,522を付加)
図11(A)は、接続機構5Dを示す側面図である。図11(B)は、接続機構5Dを示す横断面図であり、支点継手53にのみハッチを入れている。
接続機構5Dは、接続機構5Cにおける支点継手53に、ヒンジバネ521,522を加えたものであり、換言すると、図9の接続機構5Bにおける内骨31の先端部を支点継手53としたものである。
【0034】
(9.A2)非接触接続とC3)波形棒状バネ54の組み合わせ)
図12(A)は、接続機構5Eを示す側面図であり、ズレ防止管55に関しては断面を示している。図12(B)は、接続機構Eを示す横断面図である。
接続機構5Eでは、外骨32を内骨31から離れた状態で内骨21に対して折り曲げ可能に接続するとともに、波形棒状バネ54により外骨32に基準位置への復元力が付与される。この波形棒状バネ54及びズレ防止管55を含んで親骨3が構成される。ズレ防止管55は、可撓性を有する金属板が筒状に丸められたものであり、内骨31の先端部と、内骨31の先端部から離れた位置にある外骨32の基端部と、に亘って嵌められ、内骨31及び外骨32の外面に接着等により接合される。ズレ防止管55は、円筒のゴム管であってもよいし、円筒のコイルであってもよい。ズレ防止管55は、外骨32が内骨31に対して、断面方向及び軸方向にズレることを抑制する。また、バネ部材としての機能は、波形棒状バネ54の方がズレ防止管55よりも担っているので、ズレ防止管55は無くてもよい。
【0035】
波形棒状バネ54は、棒状のバネ部材であり、内骨31の先端部及び外骨32の基端部の水平方向における両側面に、ズレ防止管55の外側から取り付けられる。波形棒状バネ54の長手方向における両端側には、複数(例えば2つ)のピン541が立設される。一方、内骨31の先端部及び外骨32の基端部において、内骨31及び外骨32の厚み方向の中央部には、内骨31及び外骨32の延びる方向に沿って間隔を空けて穴部314,323が形成されている。ピン541は、穴部314,323に挿入されて接着剤等により接合される。
【0036】
このようにして波形棒状バネ54は、図12(A)の右側である第1端側が内骨31に接続され、図12(A)の左側である第2端が外骨32に接続される。波形棒状バネ54の長手方向中央部には、波形部521が形成されている。波形部521は、図12(A)の左側である第2端側の変形に対して第2端側に復元力を付与する。ダボ61は、内骨31の先端部のける傘1の内側において、ズレ防止管55と重ならない位置に設けられる。内骨31の先端と外骨32の基端の中間点が、内骨31と外骨32の接続中心Sとなる。
【0037】
本例では、外骨32を内骨31に対して軸を使わないで接続するので、適宜の方向に折り曲げることができ、風圧を効率的に逃がすことができる。
【0038】
(10.A2)非接触接続とC4)円筒コイルバネ56の組み合わせ)
図13は、接続機構5Fを示す側面図である。
接続機構5Fでも、外骨32を内骨31から離れた状態で内骨31に対して折り曲げ可能に接続するとともに、外骨32に対して基準位置への復元力を付与する円筒コイルバネ56が設けられる。親骨3は、この円筒コイルバネ56を含んで構成される。接続機構5Eでは、円筒コイルバネ56の第1端は、内骨31の先端面から内骨31の内部に挿入された状態で内骨31に固定されている。円筒コイルバネ56の第2端は、外骨32の基端面から外骨32の内部に挿入された状態で外骨32に固定されている。具体的に、内骨31の先端面には穴部315が形成され、外骨32の基端面には穴部324が形成されている。円筒コイルバネ56の第1端は、穴部315に挿入されて接着等により穴部315に接合される。円筒コイルバネ56の第2端は、穴部324に挿入されて接着等により穴部324に接合される。ダボ61は、内骨31の先端部において傘1の内側に設けられる。
【0039】
本例でも、外骨32を内骨31に対して軸を使わないで接続するので、適宜の方向に折り曲げることができ、風圧を効率的に逃がすことができる。円筒コイルバネ56が内骨31の先端面に接続するので、内骨31の先端にダボ61を設置できる。従って、本例では、受骨4と内骨31の接続点Fを、内骨31の先端に非常に近い位置に配置できるので、外骨32をしっかりと支持でき、外骨32の変形に伴う傘1のガタツキを抑えることができる。
【0040】
本発明は、その特徴から逸脱することなく、実施形態で実施できる。実施形態、変形例、効果は単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。実施形態及び変形例の特徴、構造は、追加でき、また代替の構成を得るために様々な方法で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0041】
1…傘、2…中軸、3…親骨、4…受骨、22…上ロクロ、23…下ロクロ、31…内骨、32…外骨、53…支点継手、310…内骨本体。
【要約】
【課題】傘において、風圧に対する親骨のバタつきを抑制できる技術を提供すること。
【解決手段】上ロクロ(22)及び下ロクロ(23)を有する中軸(21)と、前記上ロクロ(22)に対して周方向に複数設けられる親骨(3)であって、基端が前記上ロクロ(22)に回動可能に接続される内骨(31)と、前記内骨(31)に対して傘(1)の内側及び外側に折曲可能に接続され、前記傘(1)の拡開時に基準位置への復元力が付与されるとともに先細り形状を有することで、風圧に対し、前記内骨(31)に対して折れ曲がることに加えて撓ることができる外骨(32)と、を備える親骨(3)と、前記下ロクロ(23)に対して周方向に複数設けられ、基端が前記下ロクロ(23)に回動可能に接続され、先端が前記内骨(31)の先端部に接続される受骨(4)と、を備える傘(1)。
【選択図】図1
図1
図2
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図6
図7
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図10
図11
図12
図13