(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】広告決定装置、広告決定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20240220BHJP
H04N 21/2668 20110101ALI20240220BHJP
H04N 21/422 20110101ALI20240220BHJP
H04N 21/4223 20110101ALI20240220BHJP
【FI】
G06Q30/0251
H04N21/2668
H04N21/422
H04N21/4223
(21)【出願番号】P 2021550569
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2020034856
(87)【国際公開番号】W WO2021065460
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2019182984
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】志村 典孝
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】古川 哲也
【審判官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0072936(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020963(US,A1)
【文献】特開2017-107610(JP,A)
【文献】特開2004-171151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0215507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0271570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157256(US,A1)
【文献】特開2003-111106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
H04N21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴者が身に着けているセンシング装置が前記視聴者からセンシングした当該視聴者の
生体に関する情報および当該視聴者の動きに関する情報を少なくとも含む活動情報と、前記視聴者の視聴番組の情報とを取得する取得手段と、
前記視聴者の前記活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行う状態分析手段と、
前記視聴者の過去の番組の視聴履歴と、前記視聴者の属性情報とに基づいて、前記視聴者が興味を持つ商品情報を分析する視聴者分析手段と、
前記視聴者の現在の前記視聴番組と、前記状態の分析の結果と
、前記視聴者が興味を持つ商品情報の分析結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する広告決定手段と、
を備える広告決定装置。
【請求項2】
前記広告決定手段は、さらに、前記視聴者の識別情報に基づいて特定した前記視聴者の属性情報に基づいて、前記番組再生装置に出力する広告を決定する
請求項1に記載の広告決定装置。
【請求項3】
前記広告決定手段は、さらに、前記視聴者の識別情報に基づいて特定した前記視聴者の過去の番組の視聴履歴に基づいて、前記番組再生装置に出力する広告を決定する
請求項1または請求項2に記載の広告決定装置。
【請求項4】
コンピュータが、
視聴者が身に着けているセンシング装置が前記視聴者からセンシングした当該視聴者の
生体に関する情報および当該視聴者の動きに関する情報を少なくとも含む活動情報と、前記視聴者の視聴番組の情報とを取得し、
前記視聴者の前記活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行い、
前記視聴者の過去の番組の視聴履歴と、前記視聴者の属性情報とに基づいて、前記視聴者が興味を持つ商品情報を分析し、
前記視聴者の現在の前記視聴番組と、前記状態の分析の結果と
、前記視聴者が興味を持つ商品情報の分析結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する
広告決定方法。
【請求項5】
広告決定装置のコンピュータを、
視聴者が身に着けているセンシング装置が前記視聴者からセンシングした当該視聴者の
生体に関する情報および当該視聴者の動きに関する情報を少なくとも含む活動情報と、前記視聴者の視聴番組の情報とを取得する取得手段、
前記視聴者の前記活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行う状態分析手段、
前記視聴者の過去の番組の視聴履歴と、前記視聴者の属性情報とに基づいて、前記視聴者が興味を持つ商品情報を分析する視聴者分析手段、
前記視聴者の現在の前記視聴番組と、前記状態の分析の結果と
、前記視聴者が興味を持つ商品情報の分析結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する広告決定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告決定装置、広告決定方法、プログラム。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送においては、番組の放送の間に、広告を放送している。広告を放送する関連する技術として特許文献1が開示されている。特許文献1には、蓄積されているユーザ嗜好性情報と、ユーザ属性情報と、推奨コンテンツのメタデータとに基づいて、ユーザに提示する推奨コンテンツを選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような、テレビ放送においては、より広告効果の高い、広告の配信の仕組みが求められている。
【0005】
本発明は上述の課題を解決する広告決定装置、広告決定方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による広告決定装置は、視聴者の活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行う状態分析手段と、前記視聴者の現在の視聴番組と、前記状態の分析の結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する広告決定手段と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態による広告決定方法では、コンピュータが、視聴者の活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行い、前記視聴者の現在の視聴番組と、前記状態の分析の結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する。
【0008】
本発明の一実施形態によるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、広告決定装置のコンピュータを、視聴者の活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行う状態分析手段、前記視聴者の現在の視聴番組と、前記状態の分析の結果とに基づいて、前記視聴番組の広告出力期間に前記視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する広告決定手段、として機能させるプログラムを記録している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より広告効果の高い、広告の配信の仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による広告配信システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態による広告決定装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本実施形態による広告決定装置の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態による広告決定装置の処理フローを示す第一の図である。
【
図5】本実施形態による広告決定装置の処理フローを示す第二の図である。
【
図6】本実施形態による広告決定装置の最小構成を示す図である。
【
図7】本実施形態による最小構成の広告決定装置の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による広告決定装置を説明する。
図1は本実施形態による広告決定装置を備えた広告配信システムの概要を示す図である。
この図で示すように本実施形態による広告配信システム100は、広告決定装置1、広告構成装置2、配信装置3を、少なくとも備えて構成される。広告決定装置1は、通信ネットワークを介して広告構成装置2に接続して広告構成装置2と通信する。広告構成装置2は、広告決定装置1と配信装置3と通信ネットワークを介して接続する。
【0012】
視聴者が利用する端末4は、視聴者の家に設置されたホームルータ7や、インターネットや公衆無線回線等の通信ネットワークを介して広告決定装置1に接続して広告決定装置1と通信する。端末4は、視聴者が身に着ける。端末4は、無線回線を介してセンシング装置5に接続してセンシング装置5と通信する。センシング装置5は、視聴者の生体情報、運動量、状態量などを示す活動情報を計測する。視聴者が利用するテレビ6は、ホームルータ7、および、インターネットや公衆無線回線等の通信ネットワークを介して配信装置3に接続して配信装置3と通信する。属性提供装置8は、外部の企業によって管理される。属性提供装置8は、インターネットや公衆無線回線等の通信ネットワークを介して広告決定装置1に接続して広告決定装置1と通信する。属性提供装置8はインターネットや公衆無線回線等の通信ネットワーク、および、ホームルータ7を介して端末4とも接続して端末4と通信し得る。
【0013】
視聴者はテレビ6を用いて放送会社が放送する番組を視聴する。この時、視聴者はセンシング装置5を身に着けている。センシング装置5は、検出した視聴者の活動情報を端末4とホームルータ7を介して広告決定装置1へ送信する。広告決定装置1は、属性提供装置8から視聴者の属性情報を取得する。そして広告決定装置1は、視聴者の活動情報と、視聴者の属性情報と、視聴者の過去の番組の視聴履歴とに基づいて、視聴者に配信する広告を決定する。
【0014】
広告決定装置1は、視聴者に配信する広告の情報を広告構成装置2へ出力する。広告構成装置2は、視聴者に配信する広告を構成したデータを配信装置3へ出力する。配信装置3はテレビ6から取得した配信要求に基づいて、広告決定装置1により決定され、広告構成装置2により生成された広告データを、テレビ6へ配信する。これによりテレビ6は、番組内や番組間の広告表示時間に、受信した広告データが示す広告を表示する。
【0015】
広告決定装置1は、上述の広告の決定の処理において、視聴者が番組を視聴している際の活動情報に基づいて感情を判定し、判定された感情に基づいて、視聴者が利用するテレビ6に配信する広告を決定する。これにより、視聴者が番組を視聴している際の感情に基づいて決定された広告を視聴者に視聴させることができる。このため、視聴者に対する広告効果がより高い広告の配信の仕組みを提供することができる。
【0016】
図2は広告決定装置のハードウェア構成を示す図である。
この図が示すように広告決定装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース等を記憶した記憶部104(
図2では「データベース」と表記)、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。広告構成装置2、配信装置3、端末4、センシング装置5、テレビ6、ホームルータ7、属性提供装置8も、同様のハードウェアを備えたコンピュータである。
【0017】
図3は広告決定装置の機能ブロック図である。
広告決定装置1のCPU101は電源が投入されると起動し、予め記憶する広告決定プログラムを実行する。これにより広告決定装置1は、入出力部11、視聴者分析部12、状態分析部13、広告決定部14、の各機能を発揮する。
【0018】
入出力部11は、広告決定装置1と外部装置との間で送受信した情報の入出力を行う。
視聴者分析部12は、視聴者の過去の番組の視聴履歴と、視聴者の属性情報とに基づいて、当該視聴者を分析する。
状態分析部13は、視聴者の活動情報に基づいて現在の前記視聴者の状態の分析を行う。
広告決定部14は、視聴者の現在の視聴番組と、状態の分析の結果とに基づいて、視聴番組の広告出力期間に視聴者の番組再生装置であるテレビ6に出力する広告を決定する。広告決定部14は、視聴者分析部12の分析結果に基づいて、テレビ6に出力する広告を決定してもよい。
以下、広告配信システム100の処理の詳細について説明する。
【0019】
<属性提供装置の処理>
まず視聴者の属性情報を提供する属性提供装置8の処理について説明する。視聴者は、端末4等を用いてインターネット等に接続されたウェブサーバにアクセスし、当該ウェブサーバから送信されたウェブページに掲載されている各種情報を取得する。この時、視聴者は、端末4に表示された当該ウェブページ中のバナー広告等をクリックし、広告情報を取得する場合もある。属性提供装置8は、端末4のIP(Internet Protocol)アドレスやユーザ(視聴者)ID(Identifier)と、端末4が取得した各種情報を取得し、端末4を利用する視聴者の属性情報を解析する。視聴者の属性情報とは、年齢、性別、趣味嗜好、家族構成、収入、ウェブページの閲覧履歴など視聴者に関連する情報である。属性提供装置8は、DMP(Data Management Platform)の機能を備えており、公知のDMPとしての上述した解析の処理を行い、端末4を利用する視聴者の属性情報を解析し、視聴者が利用する端末4のIPアドレスや視聴者IDに紐づけて属性情報を記憶する。IPアドレスや視聴者IDは、視聴者の識別情報である。
【0020】
<端末4及びセンシング装置5の処理>
ユーザはテレビ6に映る番組を視聴する際、センシング装置5を身に着ける。センシング装置5は、一例としては腕時計型の端末であって、視聴者の単位時間当たりの脈拍等の活動情報をセンシングする。脈拍をセンシングする技術は公知の技術を利用するものであってよく、その機能がセンシング装置5に内蔵される。センシング装置5は、視聴者の活動情報として、脈拍以外の生体情報を取得してよい。例えばセンシング装置5によって取得される生体情報は、視聴者の、体温、単位時間当たりの呼吸の回数、肌表面の導電性、血圧、音声、などであってよい。一例としてセンシング装置5は、手首の血流の音を計測し、その音の強弱に基づいて、単位時間当たりの脈拍をセンシングするようにしてよい。
【0021】
センシング装置5は、他の手法によって単位時間当たりの脈拍をセンシングしてもよい。またセンシング装置5は、生体情報以外の視聴者の活動情報をセンシングするようにしてもよい。センシング装置5は、活動情報として、視聴者の加速度、加速度に基づいて算出した運動量、睡眠時間、睡眠深度、歩行数、歩行時間、脈拍停止(心拍停止)の有無などをセンシングするようにしてもよい。センシング装置5は、これらの活動情報を、公知の技術によりセンシングすればよい。
【0022】
センシング装置5は、視聴者の活動情報をセンシングしている間に、センシング装置5がホームルータ7に接続してホームルータ7と通信しているかを判定する。センシング装置5がホームルータ7に接続してホームルータ7と通信している場合には、センシング装置5は、センシングされた活動情報と、予め記憶している視聴者(ユーザ)のIDとを、広告決定装置1へ送信すると決定する。そして、センシング装置5は、視聴者IDと活動情報とを含む広告決定装置1への送信要求を端末4へ送信する。端末4は、センシング装置5から受信した視聴者IDと活動情報を、ホームルータ7を介して、広告決定装置1へ送信する。
【0023】
他方、テレビ6は電源がONとなりチャンネルが指定されている状況において、そのチャンネル番号や、出力している番組の識別情報(番組ID)を含む視聴データを、ホームルータ7を介して広告決定装置1へ送信する。
【0024】
テレビ6はテレビ放送信号に含まれる広告取得URL(Uniform Resource Locator)を検出する。テレビ6は広告取得URLを検出すると広告取得要求を生成する。テレビ6は、広告取得URLが示す宛先に、広告取得要求を送信する。
【0025】
テレビ6は、広告取得要求の送信に応じて配信装置3から送信された広告データを受信する。この広告データは、上述した広告決定装置1により視聴者に対して決定された広告の映像と音声を含むデータである。テレビ6は、受信した広告データに含まれる映像と音声を、広告放送時間にモニタとスピーカとを用いて出力する。
【0026】
<広告決定装置の処理>
図4は広告決定装置の処理フローを示す第一の図である。
広告決定装置1は、予め、視聴者IDと、当該視聴者IDの家に設置されているホームルータ7のIPアドレスとの対を、ユーザテーブルに記憶する。また広告決定装置1は、視聴者IDとIPアドレスに紐づけて、当該視聴者IDが示す視聴者が過去に視聴した番組を特定する番組ID(視聴履歴)をユーザテーブルに記憶する。当該視聴履歴は、過去に、テレビ6から受信した視聴データに基づいて、広告決定装置1が記憶した情報である。
【0027】
そして、広告決定装置1は、視聴者IDが示す各視聴者についての分析を行う。具体的には、視聴者分析部12は、視聴者分析処理が未処理のフラグに紐づいてユーザテーブルに記録されている視聴者IDとIPアドレスとを特定する(ステップS101)。視聴者分析部12は未処理の視聴者IDを読み取る。視聴者分析部12は、視聴者IDとIPアドレスとを含む属性情報送信要求を、属性提供装置8へ送信する(ステップS102)。
【0028】
属性提供装置8は、属性情報送信要求に含まれる視聴者IDとIPアドレスを検出する。属性提供装置8は、視聴者IDとIPアドレスに紐づいて予め記憶する視聴者の属性情報を読み取る。属性提供装置8が視聴者IDまたはIPアドレスの一方に紐づけて属性情報を記憶している場合、属性提供装置8は、視聴者IDまたはIPアドレスの何れか一方に紐づいて予め記憶する視聴者の属性情報を読み取るようにしてもよい。属性提供装置8は、IPアドレスまたは視聴者IDの少なくとも一方と属性情報とを含む提供情報を生成し、生成された提供情報を広告決定装置1へ送信する。
【0029】
広告決定装置1の入出力部11は、提供情報を取得する(ステップS103)。入出力部11は、提供情報を、視聴者分析部12へ出力する。視聴者分析部12は、視聴者IDまたはIPアドレスに紐づけて属性情報をユーザテーブルに記録する。視聴者分析部12は、未処理の視聴者IDとIPアドレスと属性情報と視聴履歴とを読み取る。視聴者分析部12は、視聴者IDとIPアドレスで特定できる視聴者について、属性情報と視聴履歴とを分析し、当該視聴者が興味を持つ商品カテゴリや商品識別情報(商品情報)を特定する(ステップS104)。
【0030】
より具体的には、視聴者分析部12は、過去に機械学習によって生成した視聴者分析モデルを記憶する。視聴者分析モデルは、属性情報と視聴履歴とを入力とし、商品カテゴリや商品識別情報を出力する。視聴者分析部12は、ユーザテーブルから読み取った属性情報と視聴履歴とを視聴者分析モデルに入力し、その結果の出力となる商品カテゴリや、商品識別情報を特定する。視聴者分析部12は、視聴者が興味を持つ複数の商品カテゴリや、商品識別情報を特定するようにしてよい。視聴者分析部12は、属性情報と視聴履歴とを用いて、他の手法により、商品カテゴリや、商品識別情報を特定するようにしてよい。
【0031】
なお、属性情報には、上述したように、年齢、性別、趣味嗜好、家族構成、収入、ウェブページの閲覧履歴が含まれる。このような属性情報により、例えば、収入の比較的高い高齢男性等の視聴者の分類(高齢男性、高齢女性、学生など)を行い、その分類に応じた、商品カテゴリや、商品識別情報を特定することができる。視聴者分析部12は、視聴者IDおよびIPアドレスに紐づけて、商品カテゴリや商品識別情報をユーザテーブルに記録する(ステップS105)。視聴者分析部12は、視聴者が番組を視聴する前に、視聴者分析結果の生成を行っておく。
【0032】
図5は広告決定装置の処理フローを示す第二の図である。
上述のようなある視聴者についての視聴者分析結果が生成された状況で、当該視聴者が番組を視聴する。この場合、端末4が活動情報と視聴者IDとを広告決定装置1へ送信する。またテレビ6が視聴データを広告決定装置1へ送信する。広告決定装置1の入出力部11は、端末4の送信した活動情報と視聴者IDとを受信する(ステップS201)。また入出力部11は、テレビ6の送信した視聴データを受信する(ステップS202)。
【0033】
入出力部11は、活動情報と視聴データのそれぞれの通信データから、ホームルータ7のIPアドレスを検出する(ステップS203)。入出力部11は、受信した活動情報、視聴者ID、視聴データ、それらを送信したホームルータ7のIPアドレス、を状態分析部13と広告決定部14へ出力する。状態分析部13は、活動情報、視聴データ、視聴者ID、IPアドレスを取得する。状態分析部13は、活動情報、視聴データを、視聴者IDとIPアドレスに紐づけてユーザテーブルに記録する。
【0034】
状態分析部13は、取得した活動情報に含まれる視聴者の生体情報を読み取る(ステップS204)。状態分析部13は生体情報に基づいて、その視聴者IDが示す視聴者の感情状態を算出する(ステップS205)。感情状態の算出手法は後述する。感情状態は、感情A、感情B、感情C、感情Dなどの複数の感情に分類される。例えば感情状態は、感情A、感情B、感情C、感情Dとして、それぞれ、怒りの度合、幸福の度合、悲しみの度合、緊張の度合などに分類されてよい。状態分析部13は、視聴者ID、IPアドレス、感情状態を含む、状態分析結果を広告決定部14へ出力する。
【0035】
広告決定部14は、視聴者IDとIPアドレスに紐づいてユーザテーブルに記録される商品カテゴリや商品識別情報を読み取る(ステップS206)。広告決定部14は視聴者IDとIPアドレスに紐づいてユーザテーブルに記録される視聴データを読み取る。広告決定部14は視聴データに含まれる番組IDを読み取る(ステップS207)。
【0036】
ここで、広告決定装置1は、一例として、番組ID、その番組IDが示す番組において視聴させることのできる広告を示す広告ID、その広告が示す広告対象商品の商品カテゴリや商品識別情報を紐づけて広告テーブルに記録している。また広告決定装置1は、広告ID、その広告IDが示す広告を放送した時の広告効果が高い視聴者のその時点での感情を紐づけて広告テーブルに記録している。
【0037】
広告決定部14は、読み取った番組IDに紐づいて広告テーブルに記録されている1つまたは複数の広告IDの中から、ユーザテーブルから読み取った商品カテゴリや商品識別情報に紐づいて記録される1つまたは複数の広告IDを特定する(ステップS208)。また広告決定部14は、その特定した1つまたは複数の広告IDの中から、状態分析部13によって分類された現在の視聴者の感情に紐づいて広告テーブルに記録されている1つまたは複数の広告IDを決定する(ステップS209)。広告決定部14は決定した1つまたは複数の広告ID、番組ID、視聴者ID、IPアドレスを含む広告決定情報を、広告構成装置2へ送信する(ステップS210)。
【0038】
<感情状態の算出手法について>
なお、上述の広告決定装置1の状態分析部13は、生体情報に基づいて感情状態を算出している。具体的には、状態分析部13は、過去に取得した脈拍と4つの感情との関係に基づいて、機械学習により感情算出モデルを生成する。状態分析部13は、脈拍の情報を感情算出モデルに入力し、その結果、感情を示す値を算出する。脈拍の情報としては、単位時間当たりの脈拍回数、脈拍の間隔、などの情報であってよい。状態分析部13は、生体情報のうち、視聴者の、体温、単位時間当たりの呼吸の回数、肌表面の導電性、血圧、音声、など、脈拍以外の他の情報をさらに用いて、視聴者の感情を算出してもよい。または状態分析部13は、脈拍以外の他の1つまたは複数の情報を用いて、視聴者の感情を算出してもよい。例えば、状態分析部13は、日本再表2015-182077号公報(日本特願2016-523127号)等に記載される公知の感情推定手法を用いて、視聴者の感情を算出してよい。
【0039】
<番組IDの特定について>
上述の処理において、広告決定装置1は、視聴データに含まれるテレビの音声に基づいて、視聴者が視聴する番組を特定してもよい。例えば広告決定装置1は、視聴データに含まれる音声フィンガープリントのデータを取得し、取得した音声フィンガープリントのデータと、各番組が保持する音声データとを比較することで音声フィンガープリントを解析して、番組を特定する番組IDを決定してもよい。
【0040】
広告構成装置2は、広告決定装置1から広告決定情報を取得すると、広告スケジュールを生成する。広告スケジュールは、テレビ6において番組が放送されている時間内における広告開始時刻から広告終了時刻までの広告出力期間や、番組が終了し、次の番組が始まるまでの広告出力期間にテレビ6に出力する1つまたは複数の広告の広告IDと、その出力の順番を少なくとも含む。具体的には広告構成装置2は、広告決定情報に含まれる番組IDに基づいて、広告出力時間(広告出力期間)と広告開始時刻を検出する。番組IDに応じた広告出力時間と広告開始時刻は、予め広告構成装置2がデータベース等の記憶部104に記憶していればよい。広告構成装置2は、番組IDに基づいて検出した広告出力時間(例えば、15分)に基づいて、広告決定情報に含まれる1つまたは複数の広告IDから、広告の出力時間の合計が15分となる1つまたは複数の広告の広告IDを特定する。広告構成装置2は、特定した広告IDに対応する各広告の出力順番を決定する。そして、広告構成装置2は、広告ID、各広告IDに対応する広告映像のアクセス先URL、広告IDごとの出力順番、広告開始時刻、番組ID、視聴者ID、IPアドレスを含む広告スケジュールを生成する。なお各広告IDに対応する広告映像データのアクセス先URLは、予め広告構成装置2が記憶している。広告構成装置2は、広告スケジュールを配信装置3へ出力する。配信装置3は広告スケジュールをデータベース等の記憶部104に記憶する。
【0041】
テレビ6は、視聴者が番組を視聴している際に、上述した広告取得要求を生成する。テレビ6はホームルータ7を介して、配信装置3へ広告取得要求を送信する。この広告取得要求のデータにはホームルータ7のIPアドレスが含まれる。配信装置3は、広告取得要求のデータから当該広告取得要求を送信したホームルータ7のIPアドレスを検出する。配信装置3は、そのIPアドレスを含む広告スケジュールを、データベース等の記憶部104から読み取る。配信装置3は、読み取った広告スケジュールを、ホームルータ7へ送信する。ホームルータ7は広告スケジュールをテレビ6へ出力する。
【0042】
テレビ6は、広告スケジュールに基づいて広告の映像や音声をモニタやスピーカから出力する。具体的には、テレビ6の制御装置(CPU101)が、広告スケジュールに含まれる広告の出力順番に基づいて、広告IDを特定する。テレビ6の制御装置は、広告開始時刻に達すると、広告IDに紐づくアクセス先URLに広告映像データの配信要求を送信する。アクセス先URLは、配信装置3が広告映像データを記憶している場合には、配信装置3が広告映像データを特定するための情報であってよい。配信装置3は、テレビ6からの配信要求に基づいて、広告映像データをストリーミング方式などによりテレビ6へ送信する。テレビ6は、広告映像データを出力する。
【0043】
なお上述の広告スケジュールに、広告配信データが含まれていてもよい。この場合、テレビ6は、受信した広告スケジュールに含まれる各広告IDに対応する広告配信データを、広告開始時刻に出力順番に基づいて出力する。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述の処理によれば、広告決定装置1は、視聴者の感情に基づいて、その感情の時に配信される広告効果の高い広告を、視聴者が視聴している番組において出力することが許された広告の中から決定する。従って、視聴者に広告効果の高い広告を、番組に応じて配信することができる。
【0045】
なお上述の処理においては、広告決定装置1は、活動情報に含まれる感情状態によって、広告を決定している。しかしながら、広告決定装置1は、活動情報に含まれる感情状態以外の情報に基づいて、広告を決定するようにしてもよい。例えば、広告決定部14は、ステップS209の処理において、ステップS208で特定した1つまたは複数の広告IDの中から、状態分析部13によって分類された現在の視聴者の運動量に紐づいて広告テーブルに記録されている1つまたは複数の広告IDを決定してもよい。または、広告決定部14は、ステップS209の処理において、ステップS208で特定した1つまたは複数の広告IDの中から、状態分析部13によって分類された現在の視聴者の歩行数や歩行時間に紐づいて広告テーブルに記録されている1つまたは複数の広告IDを決定してもよい。この場合、ユーザが番組を視聴する番組再生装置がテレビ6ではなく端末4であり、番組が音声放送であるような場合、端末4から出力される音声放送において適切な広告を出力することができる。
【0046】
図6は、広告決定装置の最小構成を示す図である。
図7は、最小構成の広告決定装置の処理フローを示す図である。
図6で示すように、広告決定装置1は、少なくとも、状態分析部13と、広告決定部14とを備えればよい。
状態分析部13は、視聴者の活動情報に基づいて現在の視聴者の状態の分析を行う(ステップS301)。
広告決定部14は、視聴者の現在の視聴番組と、状態の分析の結果とに基づいて、視聴番組の広告出力期間に視聴者の番組再生装置に出力する広告を決定する(ステップS302)。
【0047】
上述の広告決定装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0048】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0049】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細に対しては、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0050】
この出願は、2019年10月3日に出願された日本特願2019-182984号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、広告の配信に利用することができる。本発明によれば、より広告効果の高い広告の配信の仕組みを提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・広告決定装置
2・・・広告構成装置
3・・・配信装置
4・・・端末
5・・・センシング装置
6・・・テレビ
7・・・ホームルータ
8・・・属性提供装置
11・・・入出力部
12・・・視聴者分析部(視聴者分析手段)
13・・・状態分析部(状態分析手段)
14・・・広告決定部(広告決定手段)