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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】浴室
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/12 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A47K3/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019177347
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021052925
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】半田 昌浩
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-34184(JP,A)
【文献】特開2019-141739(JP,A)
【文献】特開2016-158823(JP,A)
【文献】特開平8-13824(JP,A)
【文献】特開平10-273957(JP,A)
【文献】特開2007-222565(JP,A)
【文献】特開2013-063170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/12
E04H 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の浴槽の側面に沿うように取り付けられる、浴室用補助椅子であって、
浴室の壁面に固定される支持部と、
前記支持部により支持される台部と、
前記台部を覆うように取り付けられるカバーと、
を備え、
前記カバーは、前記台部と前記浴槽の框の上面に亘って取り付けられ、
前記カバーの一部が前記框の上面に配置される、浴室用補助椅子。
【請求項2】
浴室の浴槽の側面に沿うように取り付けられる、浴室用補助椅子であって、
浴室の壁面に固定される支持部と、
前記支持部により支持される台部と、
前記台部を覆うように取り付けられるカバーと、
を備え、
前記台部は、前記カバーが取り付けられる基板を有し、
前記カバーの下面には、前記基板の周縁に係合する少なくとも1つの突出部が設けられている、浴室用補助椅子。
【請求項3】
前記浴室の壁面がパネルにより構成され、
前記パネルの背面には補強部材が取り付けられ、前記パネルを挟んで、前記支持部と前記補強部材とが固定されている、請求項1に記載の浴室用補助椅子。
【請求項4】
前記パネルは、複数のパネル材と、前記パネル材を連結する連結材とを備え、
前記補強部材は、前記連結材に固定されている、請求項に記載の浴室用補助椅子。
【請求項5】
前記台部が、前記浴槽の側面と接するように配置される、請求項1から4のいずれかに記載の浴室用補助椅子。
【請求項6】
前記浴室の壁面がパネルにより構成され、
前記パネルの背面には補強部材が取り付けられ、前記パネルを挟んで、前記支持部と前記補強部材とが固定されており、
前記基板は、前記パネル及び前記浴槽の側面に沿う辺と、これらの辺を連結する円弧状の辺と、を有する扇形状に形成されている、請求項に記載の浴室用補助椅子。
【請求項7】
前記突出部の少なくとも1つは、前記浴槽の側面に沿うように設けられている、請求項2または6に記載の浴室用補助椅子。
【請求項8】
前記カバーは、前記台部に支持される第1部位と、前記浴室の框上に配置される第2部位とを備え、
前記第2部位は前記第1部位よりも肉厚が薄く形成されている、請求項1からのいずれかに記載の浴室用補助椅子。
【請求項9】
補助椅子付き浴室であって、
前記補助椅子は、浴槽の側面に沿うように取り付けられ、
浴室の壁面に固定される支持部と、
前記支持部により支持される台部と、
前記台部を覆うように取り付けられるカバーと、
を備え、
前記浴室の壁面がパネルにより構成され、
前記パネルは、複数のパネル材と、前記パネル材を連結する連結材とを備え、
前記パネルの背面には補強部材が取り付けられ、前記パネルを挟んで、前記支持部と前記補強部材とが固定され、
前記補強部材は、一の前記連結材に、当該連結材の外側に前記パネル材に沿って延びるように固定され、
前記支持部は、前記補強部材において前記連結材の外側に延びる部分に固定されている補助椅子付き浴室
【請求項10】
前記連結材は、上下方向に延びるように形成され、
前記補強部材は、上下方向に延びるように形成され、
前記補強部材の上端が前記カバーの上方に配置され、
前記補強部材の下端が前記カバーの下方に配置されている、請求項9に記載の補助椅子付き浴室
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室に設けられる種々の補助椅子が提案されている。例えば、特許文献1には、浴槽と浴室の壁面との間に亘って掛け渡される補助椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5839231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の補助椅子は、浴槽と浴室の壁面の2箇所に取り付けなければならず、施工が煩雑であった。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、施工の煩雑性を低減することができる、浴室用補助椅子を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、浴室の浴槽の側面に沿うように取り付けられる、浴室用補助椅子であって、浴室の壁面に固定される支持部と、前記支持部により支持される台部と、前記台部を覆うように取り付けられるカバーと、を備えている。
【0006】
上記浴室用補助椅子において、前記浴室の壁面がパネルにより構成され、前記パネルの背面には補強部材が取り付けられ、前記パネルを挟んで、前記支持部と前記補強部材とが固定されているものとすることができる。
【0007】
上記浴室用補助椅子において、前記パネルは、複数のパネル材と、前記パネル材を連結する連結材とを備えることができ、前記補強部材は、前記連結材に固定することができる。
【0008】
上記浴室用補助椅子において、前記カバーは、前記台部と前記浴槽の框の上面に亘って取り付けられ、前記カバーの一部を前記框の上面に配置することができる。
【0009】
上記浴室用補助椅子において、前記台部は、前記浴槽の側面と接するように配置することができる。
【0010】
上記浴室用補助椅子において、前記台部は、前記カバーが取り付けられる基板を有し、前記カバーの下面には、前記基板の周縁に係合する少なくとも1つの突出部が設けられているものとすることができる。
【0011】
上記浴室用補助椅子において、前記基板は、前記パネル及び前記浴槽の側面に沿う辺と、これらの辺を連結する円弧状の辺と、を有する扇形状に形成することができる。
【0012】
上記浴室用補助椅子において、前記突出部の少なくとも1つは、前記浴槽の側面に沿うように設けることができる。
【0013】
上記浴室用補助椅子において、前記カバーは、前記台部に支持される第1部位と、前記浴室の框上に配置される第2部位とを備え、前記第2部位は前記第1部位よりも肉厚が薄く形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る浴室用補助椅子によれば、施工の煩雑性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室の斜視図である。
図2図1の平面図である。
図3】補助椅子を上方から見た斜視図である。
図4】補助椅子を下方から見た斜視図である。
図5】補助椅子を第1パネル側から見た斜視図である。
図6】補助椅子からカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図7図6の状態を第4パネル側から見た斜視図である。
図8】カバーを下側から見た斜視図である。
図9】補助椅子の使用例を示す斜視図である。
図10】台部の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る浴室用補助椅子(以下、単に補助椅子という)の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下では、補助椅子について説明する前に、この補助椅子が取り付けられる浴室及び浴槽の概要について説明する。
【0017】
<1.浴室の概要>
図1は本実施形態に係る浴室の斜視図、図2図1の平面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浴室は、ユニット工法で形成される浴室ユニットからなる。浴室ユニットは建物内に形成された略正方形状の設置空間に配置される。ここでは、説明の便宜のため、図2に示すように、この設置空間を側方から囲むコ字状の3つの壁を、第1壁10、第2壁20、及び第3壁30と称することとする。具体的には、図2の第1方向において第1壁10と第2壁20とが対向し、第1壁10及び第2壁20の右端部同士が第3壁30によって連結されており、この第3壁30は、第1方向と直交する第2方向に延びている。また、特に断りのない限り、第2方向の長さを「幅」と称することとする。
【0018】
この浴室ユニットは、第1壁10、第2壁20、及び第3壁30に対向するように配置される第1パネル11、第2パネル21、及び第3パネル31を有している。また、後述する浴槽7及び洗い場100を挟んで、第3パネル31と反対側には第4パネル41及びドア42が配置されている。さらに、第1パネル11及び第4パネル41において互いに近接する端部同士を連結するコーナーパネル51が設けられている。コーナーパネル51は、第1パネル11及び第4パネル41に対して約45度の角度で延びるように配置されている。
【0019】
したがって、第1パネル11の幅は、コーナーパネル51の分だけ、第1面10よりも短くなっている。また、第4パネル41は、コーナーパネル51の端部から浴室の第1方向の中心付近までの範囲に設けられ、ドア42は、第4パネル41よりも第2パネル21側には設けられている。ドア42の構成は、特には限定されず、浴室に出入りできるような開き戸、引き戸、折り戸などの公知のドアで構成することが出来る。さらに、上記各パネル11,21,31,41,51の上端部を連結する天井パネル108が設けられている。なお、コーナーパネル51、第1~第4パネル11~41、天井パネル108は、公知の材料、例えば、樹脂被覆鋼板などで形成されている。このうち、第1~第3パネル10~30は、複数のパネル材(本実施形態では2枚)を第1方向あるいは第2方向に連結することで、構成されている。各パネル11~31において、2枚のパネル材は、上下方向に延びる金属などで形成された連結材500により連結されている。また、第1パネル11と第3パネル31、第3パネル31と第2パネル21も連結材500で連結されている。連結材500は、断面C字状の柱材であり、パネル材の裏面縁に取り付けられた補強柱を隣り合わせた状態で挟み込み弾性嵌合している。なお、連結材500の構成は特には限定されず、パネル材同士、あるいはパネル同士を連結するように上下方向に延びる部材であればよい。
【0020】
また、この浴室には、第1パネル11から第2パネル21に亘って延びる浴槽7と、この浴槽7に隣接する洗い場100と、が設けられている。洗い場100は、浴槽7、コーナーパネル51、第4パネル41、ドア42、及び第2パネル21によって囲まれた領域であり、設置空間の下面に配置される防水パン101を有している。この防水パン101は、FRPや、発泡体が中間層に設けられ外層がFRPもしくは金属板からなるサンドイッチパネルで形成されている。また、図2に示すように、この防水パン101には、第1方向の中央付近で、浴槽7に近接する位置に、開口(図示省略)が形成されており、この開口を塞ぐように、長方形状の蓋部材102が設けられている。開口は、防水パン101の下方に設けられた排水口(図示省略)に通じるように形成されており、毛を捕捉するネット部材(図示省略)が着脱自在に取り付けられている。また、蓋部材102は、開口を塞ぐように取り付けられるが、開口の周縁と蓋部材102との間には隙間が形成されており、防水パン101上の水や湯は、この隙間から開口内へ流れ込むようになっている。
【0021】
<2.浴槽>
次に、浴槽7について説明する。浴槽7は、その長辺側が第3パネル31に接し、第1パネル11から第2パネル21に亘って延びるように形成されている。浴槽7において第1パネル11と接する第1端部71の幅X1は、第2パネル21と接する第2端部72の幅X2よりも小さくなっている。したがって、浴槽7の幅は、全体として、第2パネル21から第1パネル11側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている。浴槽7の底面は、深部と浅部からなり、第1パネル11側が一段上がった浅部となっている。
【0022】
このような外形とするため、浴槽7の第4パネル側の側面73は、曲面によって形成されている。すなわち、この側面73は、第2端部72から第1端部71側にいくにしたがって、第4パネル41側にやや膨れ、幅が最も広くなる。そこから第1端部71側にいくにしたがって緩やかに幅が狭くなるように形成され、幅が最も狭くなる。さらに、そこから第1端部71に近づくにしたがって幅が緩やかに広くなり、第1端部71において第1パネル11に接している。
【0023】
また、浴槽7の内部空間(湯貯め部分)74の平面形状は、概ね浴槽7の外形の平面形状に沿うように形成されている。
【0024】
<3.コーナーパネル>
コーナーパネル51は、第1面10及び第4面40の隅部において、第1パネル11及び第4パネル41に対し、約45°の角度で連結された縦長のパネルである。また、図1及び図2に示すように、このコーナーパネル51には、下から上に、湯桶などを置くためのカウンター52、水栓具53、及び鏡54が、この順で配置されている。カウンター52は、第1パネル11、コーナーパネル51、及び第4パネル41に接するように取り付けられ、洗い場100側の端面が円弧状に形成されている。カウンター52は、コーナーパネル51から直交するように浴室空間に向けて延びている。水栓具53は、湯水を排出する吐水口を供え、さらにシャワーホース55が連結されている。したがって、水栓具53を操作することで、シャワーホース55に連結されたシャワーヘッド56から湯水を流すことができるようになっている。なお、シャワーヘッド56は、第1パネル11に設けられた取付具57に、取り外し可能に設置されている。水栓具53は、コーナーパネル51から直交するように浴室空間に向けて取り付けられている。
【0025】
<4.補助椅子>
次に、補助椅子について、図3図5も参照しつつ説明する。図3は補助椅子を上方から見た斜視図、図4は補助椅子を下方から見た斜視図、図5は補助椅子を第1パネル側から見た斜視図である。この補助椅子600は、第1パネル11側において、浴槽7の側面73に沿うように取り付けられるものである。以下、詳細に説明する。
【0026】
補助椅子600は、第1パネル11に固定される支持部6と、この支持部6の上部に固定される板状の台部8と、この台部8に取り付けられるカバー9と、を備えている。また、図1に示すように、第1パネル11の裏面、つまり洗い場100とは反対側の面には、矩形状の補強板(補強部材)505が取り付けられている。より詳細に説明すると、補強板505の第2方向の端部が、第1パネル11の連結材500にビスなどによって固定され、第4パネル41側に延びている。すなわち、補強板505は、浴槽7の側面73よりも第4パネル41側に配置されている。そして、補助椅子600の支持部6は、第1パネル11の洗い場100側の面に固定されるが、第1パネル11を貫通するボルトなどによって補強板505に固定されている。
【0027】
図4に示すように、支持部6は、第2方向に所定間隔をおいて配置された一対の直角三角形状の側板61,62と、両側板61,62の斜辺同士を連結する連結板63とを備え、これらが一体的に形成されている。各側板61,62は、第1パネル11に沿う第1辺611,621、第1辺611,621の上端から第1方向に延びる第2辺612,622、及び第1辺611,621と第2辺612,622とを結ぶ斜辺613,623と、を備えている。第1辺611,621及び第2辺612,622には、それぞれ第1フランジ614,624及び第2フランジ615,625が連結されている。第1フランジ614,624は、側板61,62と直交するように第1辺611,621に連結され、第1パネル11に接するように延びている。そして、この第1フランジ614,624が、ボルトによって補強板505に連結されている。第2フランジ615,625は、側板61,62と直交するように第2辺612,622に連結され、水平方向に延びるように形成されている。そして、各第2フランジ615,625には、台部8が固定されるようになっている。また、第1辺611,621と第2辺612,622との連結部分には、矩形状の切り欠き615,625が形成されており、後述するように、台部8の一部が嵌め込まれる。
【0028】
なお、第2フランジ615,625は、第1方向において、第1パネル11から離れるにしたがって、上方に向かうようにやや傾斜している。
【0029】
次に、台部8について、図6及び図7も参照しつつ説明する。図6は、補助椅子からカバーを取り外した状態を示す斜視図、図7図6の状態を第4パネル側から見た斜視図である。図6及び図7に示すように、台部8は、平面視扇形状の基板81と、この基板81の第1パネル11側の端縁に連結された断面L字形の係合部82と、この係合部82の第1パネル11側の端部に連結され下方に延びる第1フランジ83と、基板81の浴槽7側の端縁に沿って形成された第2フランジ84と、を備えている。
【0030】
基板81は、第1パネル11に沿って第2方向に延びる第1辺811と、第1辺811の浴槽7側の端部から第1方向に延びる第2辺812と、第1辺811及び第2辺812を連結する円弧状の第3辺813と、を備えている。第1辺811には上述したように、係合部82が連結されており、この係合部82は、上述した支持部6の切り欠き615,625に嵌め込まれている。また、係合部82の端部と直交するように連結された第1フランジ83は、第1パネル11に接するように延びており、ボルトによって補強板505に連結されている。
【0031】
第2フランジ84は、基板81の第2辺812と直交するように下方に延びており、浴槽7の側面73と対向している。支持部6に対する台部8の位置は、この第2フランジ84と浴槽7の側面73と間の隙間が所定の長さとなるように、調整されている。
【0032】
また、基板81は、支持部6の第2フランジ615,625にボルトや溶接などで固定される。また、これら第2フランジ615,625は、上記のように、第1パネル11から離れるにしたがって、上方に向かうようにやや傾斜しているため、これに連結された基板81も同様に傾いている(図7参照)。したがって、例えば、基板81上、あるいはこれに取り付けられるカバー9上の水は、第1パネル11側に向かって流れるようになっている。
【0033】
ここまで説明した支持部6及び台部8は、金属板等を折り曲げることで形成されているが、材料は特には限定されない。台部8の縁部、特に第3辺813を、安全性を向上させるため、ゴムなどで被覆しておいてもよい。
【0034】
続いて、カバー9について、図8も参照しつつ説明する。図8は、カバーを下側から見た斜視図である。図3図5に示すように、カバー9は、台部8の基板81に着脱自在に取り付けられる板状の部材であり、台部8に取り付けられた状態では、その一部が、浴槽7上に載っている。
【0035】
より詳細に説明すると、図8に示すように、カバー9は、台部8の基板81が取り付けられる扇形状の第1部位91と、この第1部位91の第3パネル側の端部に連結され、浴槽7の框上に配置される三角形状の第2部位92とが、一体的に連結されたものであり、硬質あるいは軟質の樹脂材料などで形成されている。そして、第1部位91と第2部位92の上面は面一となるように連結されている。
【0036】
第1部位91は、第1パネル11に沿う第1辺911と、第1方向に沿って延びる第2辺912と、第1辺911及び第2辺912を連結する円弧状の第3辺913と、を有している。そして、第1部位91の下面には、台部8の基板81の上面が接するようになっている。第1部位91の下面には、第1辺911に沿って下方に突出する第1突出部914が形成されており、この第1突出部914は、図5に示すように、台部8の係合部82に嵌まるようになっている。
【0037】
また、第1部位91の第3辺913に沿っては、下方にやや突出する壁部915が形成されており、この壁部915が、基板81の第3辺813を覆うようになっている。また、この壁部915の下端部には、2箇所において、内側に突出する抜け止め部916が形成されている。すなわち、これら抜け止め部916は、第1部位91と平行に延びており、図4に示すように、これら抜け止め部916と第1部位91との隙間に基板81が配置されるようになっている。これにより、カバー9が、基板81から上方へと離脱するのを防止するようになっている。
【0038】
さらに、第1部位91の下面には、第2辺912の2箇所において下方に突出する第2突出部917が形成されており、図4に示すように、この第2突出部917が、基板81の第2辺812と係合するようになっている。すなわち、第2突出部917は、基板81の第2フランジ84と、浴槽7の側面73との間に配置される。このように、カバー9は、第1突出部914、第2突出部917、及び壁部915によって、基板81の周縁に係合し、面方向にずれないようになっている。
【0039】
次に、第2部位92について説明する。第2部位92は、第1部位91の第1辺911と連続し、第1パネル11に接する第1辺921と、第1部位91の第2辺912と連結される第2辺922と、これら第1辺921及び第2辺922を連結する円弧状の第3辺923とを有している。第1部位91の第2辺912と第2部位92の第2辺922は共通の辺である。
【0040】
上述したように、第1部位91と第2部位92とは、上面が面一であるが、第2部位92が、第1部位91よりも薄く形成されているため、両者91,92の境界、つまり第2辺912,922には段差が形成されている。そして、図4に示すように、この段差が、浴槽7の側面73に接するとともに、第2部位92は、浴槽7の框上に配置される。
【0041】
以上のように構成された補助椅子600は、例えば、次のように使用される。すなわち、図9に示すように、使用者は、この補助椅子600に座りながら、まず、脚のみを浴槽7に浸し、これに続いて、体を浴槽7に入れることができる。したがって、この補助椅子600により、入浴の補助を行うことができる。
【0042】
<5.特徴>
上記のように構成された浴室は、次のような効果を得ることができる。
【0043】
(1)支持部6が第1パネル11にのみ固定されている。すなわち、支持部6は第1パネル11にのみ支えられ、浴槽7や他の部材に支えられるものではないため、施工が煩雑ではなく、清掃も容易である。
【0044】
(2)支持部6は、単に第1パネル11に固定されているだけではなく、第1パネル11の背面に取り付けられた補強板505に固定され、さらに、この補強板505は第1パネル11自体を構成する連結材500に固定されている。そのため、補強板505がパネル材とともに撓むのを防止している。このように、支持部6は、第1パネル11に対して強固に固定されており、使用者の体重を十分に支えることができる。
【0045】
(3)カバー9を柔らかい樹脂材料で形成可能であり、クッション性を持たせることができる。したがって、使用感がよい。また、カバー9が台部8から取り外し可能であるため、カバー9が損傷したときには、交換を行うことができる。さらに、台部8から取り外すことで、清掃も容易になる。
【0046】
(4)カバー9は、台部8の基板81と浴槽7の框に渡って取り付けられるため、台部8と浴槽7との隙間を覆うことができる。したがって、この隙間に体の一部が入り込むのを防止することができる。
【0047】
(5)台部8の基板81及びカバー9が傾斜して取り付けられているため、カバー9の上に水が溜まるのを抑制することができ、清潔である。
【0048】
(6)カバー9の下面に突出部等を一体的に設けて基板81に係合させているため、部品点数を少なくすることができる。また、カバー9の上面には突出部がなく、平坦であるため、使用者の体が引っ掛かることがない。
【0049】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0050】
<6-1>
上記実施形態では、第1パネル11に取り付けられる補強板505の構成は特には限定されず、板状以外の形態でもよい。また、連結材50に固定せず、パネル材にのみ固定することもできる。さらに、このような連結材500、補強板505を使用せずに、支持部6を第1パネル11に固定することもできる。また、支持部6の構成も特には限定されず、第1パネル11に固定可能で、且つ台部8を支持できるような形態であればよい。
【0051】
<6-2>
カバー9は、台部8と浴槽7の框に渡って配置されているが、台部8にのみ配置されるようにすることもできる。
【0052】
<6-3>
カバー9と台部8との固定方法は特には限定されず、種々の態様が可能である。上記実施形態では、基板81の3つの辺811~813の全てに係合する突出部914,917または壁部915を設けているが、全ての辺811~813に係合しなくてもよい。また、基板81に対して固定できるのであれば、突出部や壁部以外の態様でもよい。また、台部8側に突出部などの部材を設け、これをカバー9に係合させることもできる。
【0053】
<6-4>
上記実施形態において、カバー9は、第1部位91と第2部位92とを備え、第2部位92の肉厚が薄くなっているが、同じでもよい。すなわち、段差を設けず、単に台部8と框とに亘って配置されてもよい。但し、段部を設けると、カバー9が浴槽7により密着するため、カバー9の位置ずれをさらに防止することができる。
【0054】
<6-5>
図10に示すように、台部8の第2フランジ84の下端に水平方向に延びる板状の延在部87を設け、この延在部87によって第2フランジ84と浴槽7の側面73との間の隙間を埋めるようにしてもよい。これにより、例えば、第2フランジ84と浴槽7の側面73との間の隙間に手を挟むのを防止することができる。
【0055】
<6-6>
カバー9、基板81等の形状は特には限定されず、上述した扇形以外の形状であってもよい。また、第1パネル11や浴槽7に密着していなくてもよく、多少であれば、離れていてもよい。
【0056】
<6-7>
補助椅子600を設ける位置は、特には限定されず、浴室のいずれかの壁に固定されるとともに、浴槽7に隣接していればよい。したがって、必ずしも浴槽7に密着していなくてもよい。また、上記実施形態で示した浴室や浴槽の構成は一例であり、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
11 第1パネル(パネル)
500 連結材
505 補強板(補強部材)
6 支持部
7 浴槽
8 台部
81 基板
9 カバー
91 第1部位
92 第2部位
914 第1突出部(突出部)
915 壁部(突出部)
917 第2突出部(突出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10