(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
(21)【出願番号】P 2020040225
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0094177
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、タク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、ビヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0124371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090485(US,A1)
【文献】特開2014-082434(JP,A)
【文献】特開2019-041093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、
第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、
前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、
前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、
前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、
前記第1及び第2外部電極から離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、
を含み、
前記第1から第4外部電極はニッケルを含む焼成電極であり、前記焼成電極上に順次積層された第1めっき層及び第2めっき層をそれぞれ含み、
前記第1めっき層及び第2めっき層は前記本体の第3面及び第4面にそれぞれ延びて配置され
、
前記第1外部電極の前記第1めっき層及び第2めっき層と前記第2外部電極の前記第1めっき層及び第2めっき層とは前記本体の第3面において互いに離隔し、
前記第3外部電極の前記第1めっき層及び第2めっき層と前記第4外部電極の前記第1めっき層及び第2めっき層とは前記本体の第4面において互いに離隔し、
前記第1及び第2内部電極はそれぞれビアホールを含み、
前記第1貫通電極は前記第2内部電極のビアホールを貫通し、
前記第2貫通電極は前記第1内部電極のビアホールを貫通する、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記焼成電極は、前記本体の第1面及び第2面のみに配置される、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1貫通電極は第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、
前記第2貫通電極は第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
第1及び第2内部電極は互いに点対称をなすT字型であり、
前記第1及び第4連結電極は第2内部電極の未配置領域を貫通し、
前記第2及び第3連結電極は第1内部電極の未配置領域を貫通する、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
第1及び第2内部電極は互いに点対称をなす長方形であり、
前記第1内部電極は第2及び第3ビアホールを含み、
前記第2内部電極は第1及び第4ビアホールを含み、
前記第1及び第4連結電極は第2内部電極の第1及び第4ビアホールを貫通し、
前記第2及び第3連結電極は第1内部電極の第2及び第3ビアホールを貫通する、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1及び第4連結電極の間隔又は第2及び第3連結電極の間隔D1の割合(D1/D3)は2.08から4.7の範囲内である、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1連結電極又は第2連結電極の直径D2の割合(D2/D3)は0.375から0.52の範囲内である、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記本体の厚さT
1に対する、前記第1又は第2めっき層が前記本体の第3面及び第4面に延びた長さT
2の割合(T
2/T
1)は1/3から2/5の範囲内である、請求項1
から7のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記焼成電極は中心線平均粗さ(Ra)が1nmから100nmの範囲内である、請求項1
から8のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記本体の第3面及び第4面に延びた第1めっき層の厚さをt
2とし、前記焼成電極上に配置される第1めっき層の厚さをt
1とするとき、t
2≧t
1の関係を満たす、請求項1から
9のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記本体の第3面及び第4面に延びた第2めっき層の厚さをt
4とし、前記第1めっき層上に配置される第2めっき層の厚さをt
3とするとき、t
4≧t
3の関係を満たす、請求項1から
10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1めっき層はニッケルを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記第2めっき層は銅又はスズを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第1及び第2内部電極はニッケルを含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記第1及び第2貫通電極はニッケルを含む、請求項1から
14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、MLCC(Multi Layer Ceramic Capacitor)を利用した電子機器の使用が急増している。特にスマートフォン(Smart Phone)の場合、5G時代が到来するにつれて、キャパシタ(Capacitor)の数量が増加し、高容量化が必要とされた。これに対し、技術的にはセット製品の小型化によってMLCC及びインダクタなどの受動素子の実装面積が減少しており、これにより、受動素子の小型化及び薄型化がより一層求められている。よって、積層セラミックキャパシタ及びインダクタをIC及びAPとパッケージ(Package)化するか、基板の内部に内蔵する(Embedding)か又はAPの下端部にLSC型に実装して実装自由度を高める方案が提示されている。
【0003】
上記の場合、単に実装面積の減少にとどまらず、基板内で発生するESLの減少にも効果が大きいため、厚さの薄い積層セラミックキャパシタ製品への需要が増加している。
【0004】
しかし、内蔵型キャパシタ(embedded capacitor)、表面実装型キャパシタ(surface-mount capacitor)などの厚さの非常に小さい薄型(low profile)キャパシタに適用される下面電極の場合、下面電極と金属めっき層の間の密着力が弱いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は基板実装又は内蔵時の固着強度が改善された積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は小型化、薄型化が可能でありながらも信頼性が向上した積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、上記本体を貫通して上記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、上記本体を貫通して上記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、上記第1及び第2外部電極から離隔し、上記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、上記第1から第4外部電極はニッケルを含む焼成電極であり、上記焼成電極上に順次積層された第1めっき層及び第2めっき層を含み、上記第1めっき層及び第2めっき層は上記本体の第3面及び第4面に延びて配置される、積層セラミックキャパシタが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、本体を貫通する貫通電極と連結される外部電極にニッケルを含む焼成電極を適用して、積層セラミックキャパシタの固着強度を向上させることができる。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、めっき層が本体の側面に配置されるようにして実装時のはんだとの接合面積を増加させることができ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態によれば、外部電極の表面が所定の中心線平均粗さ(Ra)を有することにより、外部電極上にニッケルめっき層を形成することができる。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態によれば、薄型(low profile)でありながらも基板との密着力が改善された積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態によれば、焼成時のミスマッチなどによるクラック発生を防止して製品の信頼性を向上させることができる。
【0013】
但し、本発明の多様かつ有益な長所と効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図4a】
図1のX及びY方向断面図であり、第1内部電極の断面を観察した図である。
【
図4b】
図1のX及びY方向断面図であり、第2内部電極の断面を観察した図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図5のII-II'線に沿った断面図である。
【
図8a】
図5のX及びY方向断面図であり、第1内部電極の断面を観察した図である。
【
図8b】
図5のX及びY方向断面図であり、第2内部電極の断面を観察した図である。
【
図9a】
図5のX及びY方向断面図であり、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示したものであり、第1内部電極の断面を観察した図である。
【
図9b】
図5のX及びY方向断面図であり、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示したものであり、第2内部電極の断面を観察した図である。
【
図10a】
図5のX及びY方向断面図であり、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示したものであり、第1内部電極の断面を観察した図である。
【
図10b】
図5のX及びY方向断面図であり、本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示したものであり、第2内部電極の断面を観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張することがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0016】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、X方向は第1方向、L方向又は長さ方向、Y方向は第2方向、W方向又は幅方向、Z方向は第3方向、T方向又は厚さ方向と定義されることができる。
【0018】
以下、
図1から
図3を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタについて詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は誘電体層111及び上記誘電体層111を挟んで配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向(X方向)に対向する第5及び第6面S5、S6、第2方向(Y方向)に対向する第3及び第4面S3、S4、第3方向(Z方向)に対向する第1及び第2面S1、S2を含む本体110と、上記本体110を貫通して上記第1内部電極121と連結される第1貫通電極131と、上記本体110を貫通して上記第2内部電極122と連結される第2貫通電極132と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1貫通電極131と連結される第1及び第2外部電極141、144と、上記第1及び第2外部電極141、144から離隔し、上記第2貫通電極132と連結される第3及び第4外部電極142、143と、を含むことができる。
【0020】
このとき、上記第1から第4外部電極141、142、143、144はニッケルを含む焼成電極であってもよい。また、上記第1から第4外部電極141、142、143、144は上記焼成電極141a、142a、143a、144a上に順次積層された第1めっき層141b、142b、143b、144b及び第2めっき層141c、142c、143c、144cをそれぞれ含み、上記第1めっき層141b、142b、143b、144b及び第2めっき層141c、142c、143c、144cは上記本体の第3面及び第4面に延びて配置されることができる。
【0021】
本体110は誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。上記本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体形状やこれと類似した形状からなることができる。上記本体110は焼成過程で上記本体110に含まれたセラミック粉末の収縮によって、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0022】
本体110は厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面S1、S2、上記第1及び第2面S1、S2と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第3及び第4面S3、S4、及び第1及び第2面S1、S2と連結され、第3及び第4面S3、S4と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第5及び第6面S5、S6を有することができる。このとき、第1、第2、第3及び第4面S1、S2、S3、S4のうちから選択された一面が実装面になることができる。
【0023】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用しないと確認できないほど一体化することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、上記誘電体層111を形成する原料は十分な静電容量が得られるものであれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料はBaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられる。上記誘電体層111を形成する材料はチタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に本発明の目的に応じて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されたものであってもよい。
【0025】
本体110の最下部の内部電極の下部及び最上部の内部電極の上部には所定の厚さの第1及び第2カバー部112、113が形成されることができる。このとき、第1及び第2カバー部112、113は誘電体層111と同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電体層を本体110の最上部の内部電極の上部と最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも一層以上積層して形成されることができる。
【0026】
内部電極121、122は誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0027】
このとき、第1及び第2内部電極121、122はそれぞれ第1及び第2絶縁部121a、122aを含むことができる。第1及び第2絶縁部121a、122aはそれぞれ第1及び第2内部電極121、122が形成されない領域を意味し、第1及び第2内部電極121、122がそれぞれ異なる極性の外部電極にのみ連結されることができるようにする役割を行うことができる。即ち、第1連結電極131は第1絶縁部121aによって第2内部電極122から離隔し、第2連結電極132は第2絶縁部122aによって第1内部電極121から離隔する。
【0028】
第1及び第2内部電極121、122が第1及び第2貫通電極131、132によって第1から第4外部電極141、142、143、144とそれぞれ連結されるようにすることにより、誘電体層111を挟んで第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる面積を最大化することができ、これにより、積層セラミックキャパシタ100のキャパシタ容量が顕著に増加することができる。
【0029】
第1及び第2内部電極121、122はニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記導電性ペーストの印刷方法としてはスクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
貫通電極131、132はニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記貫通電極131、132を形成する方法は特に制限されず、例えば、誘電体層111、第1内部電極121及び第2内部電極122が積層された積層体を形成し、その後、レーザードリル(Laser Drill)、穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを利用して本体110を第3方向(Z方向)に貫通し、前述した導電性ペーストを充填して貫通電極131、132を形成することができる。
【0031】
一例として、内部電極121、122と貫通電極131、132は同一の金属成分を含むことができる。上記同一の金属成分はニッケル(Ni)であってもよいが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよい。本発明による積層セラミックキャパシタの内部電極121、122と貫通電極131、132が同一の金属成分を含む場合、焼成開始温度及び/又は焼成収縮率を一致させることができ、クラックやデラミネーションなどが発生することを防止することができる。
【0032】
本明細書において、貫通電極131、132の形状は円形であるが、四角形や三角形などの形状を有してもよく、その形状は特に限定されない。また、貫通電極131、132は本体の幅方向(Y方向)を基準に5~65%を占めるように形成することができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
本発明の一例として、本体110の厚さは100μm以下であってもよい。上記本体110の厚さは第1面及び第2面の間の垂直距離であり、下限は特に制限されないが、例えば、5μm以上であってもよい。上記本体110の厚さが100μm以下になるように製作することにより、本発明による積層セラミックキャパシタを基板内蔵用積層セラミックキャパシタ及び/又はAPの下端部にLSC型に実装することができるキャパシタに適用することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第1から第4外部電極141、142、143、144は本体110の両面に配置されることができる。上記第1及び第2外部電極141、144は本体110の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置され、前述した第1貫通電極131によって電気的に連結されることができる。また、上記第3及び第4外部電極142、143は上記第1及び第2外部電極141、144から離隔し、本体110の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置されることができ、前述した第2貫通電極132によって電気的に連結されることができる。
【0035】
上記構造の積層セラミックキャパシタ100は本体110の上面及び下面を連結する側面のマージン部を減少させることにより、第1及び第2内部電極121、122が形成される領域を増加させるため、積層セラミックキャパシタ100のキャパシタ容量を顕著に向上させることができる。即ち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は側面に外部電極が配置されない電極構造を有し、内部電極が本体を貫通する貫通電極によって外部電極と連結される構造を有するため、キャパシタ容量をより顕著に向上させることができる。
【0036】
以下、
図2を参照して、第1外部電極141を基準に外部電極の構造について説明するが、これは第2から第4外部電極142、143、144に同一に適用されることができる。
【0037】
図2を参照すると、第1外部電極141は第1焼成電極141a、第1及び第2めっき層141b、141cを含むことができる。上記第1焼成電極141aは銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを焼成して形成された焼成電極であってもよい。上記第1焼成電極141aのように、外部電極を焼成電極で形成する場合、本体及び内部電極との同時焼成が可能であるという長所があり、貫通電極と外部電極の間の固着強度をより向上させることができる。
【0038】
本発明の一例によれば、上記本体の厚さT
1に対する、上記第1又は第2めっき層が上記本体の第3面及び第4面に延びた長さT
2の割合(T
2/T
1)は1/3から2/5の範囲内であってもよい。上記第1又は第2めっき層が上記本体の第3面及び第4面に延びた長さT
2とは、本体の端からめっき層までのZ方向の距離のうち最短距離を意味することができ、第1外部電極141及び第2外部電極144のめっき層の延びた長さの和又は第3外部電極142及び第4外部電極143のめっき層の延びた長さの和を意味することができる。上記第1外部電極141及び第2外部電極144のめっき層の延びた長さの和又は第3外部電極142及び第4外部電極143のめっき層の延びた長さの和は、ランダムに選択された5カ所の距離の平均値であってもよい。
図2を参照すると、第1外部電極141のめっき層の延びた長さをT
bとし、第2外部電極144のめっき層の延びた長さをT
aとするとき、上記第1又は第2めっき層が上記本体の第3面及び第4面に延びた長さT
2はT
aとT
bの和(T
a+T
b)を意味することができる。
【0039】
上記本体の厚さT1に対する、上記第1又は第2めっき層が上記本体の第3面及び第4面に延びた長さT2の割合(T2/T1)を前述した範囲内に維持することにより実装時の優れた固着力を示すことができる。また、前述した割合を満たす場合、焼成電極と誘電体層の界面が露出する部位を減らして耐湿信頼性を向上させることができる。
【0040】
一例として、本発明の焼成電極141a、142a、143a、144aは表面の中心線平均粗さ(Ra)が1nmから100nmの範囲内であってもよい。本明細書において「中心線平均粗さ(Ra)」とは、仮想の中心線に対する距離の平均値を意味することができ、上記中心線平均粗さ(Ra)が1nmから100nmの範囲内の外部電極は前述した範囲の表面粗さを有する外部電極を意味することができ、前述した範囲を満たす表面粗さを人為的に形成した外部電極を意味することができる。
【0041】
上記中心線平均粗さ(Ra)は上記焼成電極141a、142a、143a、144aの表面上に形成されている粗度に対して仮想の中心線を想定し、上記粗度の仮想の中心線を基準にそれぞれの距離(例えば、r1、r2、r3・・・rn)を測定した後、下記の式のように各距離の平均値を求めて算出された値から誘電体層の中心線平均粗さ(Ra)を算出することができる。
【0042】
【0043】
上記範囲を満たす中心線平均粗さ(Ra)を有する焼成電極は物理的又は化学的方法で表面改質(Surface modification)して形成することができる。前述した粗度を付与することができれば表面改質方法は特に制限されず、例えば、酸性又は塩基性溶液による表面処理又は研磨材を利用した物理的研磨などの方法を用いることができる。
【0044】
一般にニッケルなどを含む焼成電極の場合、焼成過程で表面に酸化層が形成されるため、めっき層を形成することが困難であり、形成されためっき層が剥離しやすいなどの問題点がある。しかし、本発明の一実施形態による焼成電極が前述した範囲の中心線平均粗さ(Ra)を満たすように表面改質された場合、酸化層が除去されるか、又は所定の粗度を有する表面が形成されるため、焼成電極とめっき層の密着力を強化することができ、めっき層の剥離を防止することができる。
【0045】
本発明の一実施形態による第1めっき層141bはニッケルを含むめっき層であってもよく、第2めっき層141cは銅又はスズを含むめっき層であってもよい。上記第1めっき層141bはニッケルを含むことにより第1焼成電極141aとの密着性を向上させることができる。また、上記第2めっき層141cが銅又はスズを含むことにより、導電性、めっき密着性及びはんだ付け性に優れた外部電極を形成することができる。
【0046】
本発明の一実施形態において、本体110の第3面及び第4面に延びた第1めっき層の厚さをt
2とし、焼成電極上に配置される第1めっき層の厚さをt
1とするとき、t
2≧t
1の関係を満たすことができる。
図2は本実施形態の焼成電極及びめっき層の構造を示す模式図である。
図2を参照すると、第2焼成電極142a上に第1めっき層142b及び第2めっき層142cが順次積層されることができ、上記第1めっき層142b及び第2めっき層142cは本体110の第3面及び第4面に延びて配置されることができる。このとき、第2焼成電極142a上に積層される第1めっき層142bの厚さt
1は本体110の第3面及び第4面に延びて配置される第1めっき層142bの厚さt
2より小さいか等しくてもよい。上記本体110の第3面及び第4面に延びた第1めっき層142bの厚さt
2と、焼成電極142a上に配置される第1めっき層142bの厚さt
1の関係を満たす場合、優れたはんだ付け性と共に耐湿信頼性を向上させることができる。
【0047】
本発明の他の実施形態において、本体110の第3面及び第4面に延びた第2めっき層142cの厚さをt
4とし、第1めっき層142b上に配置される第2めっき層142cの厚さをt
3とするとき、t
4≧t
3の関係を満たすことができる。
図2は本実施形態の第1めっき層142b及び第2めっき層142cの構造を示す模式図である。
図2を参照すると、第1めっき層142b上に第2めっき層142cが積層されることができ、上記第1めっき層142b及び第2めっき層142cは本体110の第3面及び第4面に延びて配置されることができる。このとき、第1めっき層142b上に積層される第2めっき層142cの厚さt
3は本体110の第3面及び第4面に延びて配置される第2めっき層142cの厚さt
4より小さいか等しくてもよい。上記本体110の第3面及び第4面に延びた第2めっき層142cの厚さt
4と、第1めっき層142b上に配置される第2めっき層142cの厚さt
3の関係を満たす場合、優れたはんだ付け性と共に耐湿信頼性を向上させることができる。
【0048】
一例として、本発明の第1から第4外部電極141、142、143、144は厚さが1μmから30μmの範囲内であってもよい。上記第1から第4外部電極141、142、143、144の厚さは前述した焼成電極、第1めっき層及び第2めっき層が積層された全厚さを意味することができ、本体から外部電極の表面に対する垂直距離を意味することができる。外部電極の厚さを上記範囲に調節することにより、表面実装用又は基板内蔵用としての使用時に多くの空間を占めることなく、かつ優れた実装性を有することができる。
【0049】
図5、
図6及び
図7は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示した図面である。以下、
図5、
図6及び
図7を参照して本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタについて詳細に説明する。
【0050】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ200は第1内部電極221、誘電体層211及び第2内部電極222が積層された本体210、第1から第4連結電極231、232、233、234、及び第1から第4外部電極241、242、243、244を含むことができる。上記誘電体層211、第1及び第2内部電極221、222、第1から第4外部電極241、242、243、244の成分及び構成などについては前述した通りであるため、省略する。
【0051】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ200は第1連結電極231、第2連結電極232、第3連結電極233及び第4連結電極234を含み、上記第1及び第4連結電極231、234は第1及び第2外部電極241、244と電気的に接続し、上記第2及び第3連結電極232、233は第3及び第4外部電極242、243と電気的に接続することができる。上記のように、第1外部電極と第2外部電極及び第3外部電極と第4外部電極を連結する連結電極がそれぞれ複数配置されることにより外部電極と本体の固着力をより向上させることができる。
【0052】
図8aおよび
図8bは第1内部電極221及び第2内部電極222の形状を示す断面図である。
図8aおよび
図8bを参照すると、第1内部電極221及び第2内部電極222は互いに点対称をなすT字型であってもよい。上記第1内部電極221はT字型の電極パターンを有することができ、電極パターンが形成されていない電極未配置領域222aは絶縁領域であってもよい。また、上記第2内部電極222はT字型の電極パターンを有することができ、電極パターンが形成されていない電極未配置領域221aは絶縁領域であってもよい。
【0053】
上記電極パターンを有する積層セラミックキャパシタにおいて、第1及び第4連結電極231、234は第1内部電極221と接続し、第2内部電極222の未配置領域221aを貫通することができる。また、第2及び第3連結電極232、233は第2内部電極222と接続し、第1内部電極221の未配置領域222aを貫通することができる。内部電極の未配置領域に連結電極が貫通する構造を有することにより、本発明による積層セラミックキャパシタは相互インダクタンスを相殺してESLを改善することができ、ビアホールが内部電極上に形成される構造に比べてキャパシタ容量を上昇させることができる。
【0054】
一例として、第1及び第2内部電極321、322の未配置領域321a、322aはラウンド状であってもよい。
図9aおよび
図9bを参照すると、第1内部電極321はT字型の電極パターンを有することができ、内部電極が配置されていない未配置領域322aはラウンド状であってもよい。また、第2内部電極322はT字型の電極パターンを有することができ、内部電極が配置されていない未配置領域321aはラウンド状であってもよい。上記のように内部電極パターンの陥入部をラウンド状に形成する場合、キャパシタ容量をより上昇させることができる。
【0055】
上記では、内部電極の未配置領域が四角形及びラウンド状を有する場合を例に挙げたが、これは一つの例示に過ぎず、本発明の内部電極パターンの形状はこれに制限されるものではなく、三角形、多角形などの多様な形態も本発明の権利範囲に属する。
【0056】
図10a、
図10b、及び
図11は本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
図10a、
図10b及び
図11を参照すると、第1及び第2内部電極421、422は互いに点対称をなし、長方形であってもよい。上記第1内部電極421は第2及び第3ビアホールを含み、上記第2内部電極422は第1及び第4ビアホールを含むことができる。このとき、第1及び第4連結電極431、434は第1内部電極421と接続されており、上記第2内部電極422の第1及び第4ビアホールを貫通することができる、また、第2及び第3連結電極432、433は第2内部電極422と接続されており、上記第1内部電極421の第2及び第3ビアホールを貫通することができる。上記第1及び第4連結電極431、434が上記第2内部電極422の第1及び第4ビアホールを貫通して配置されることにより、上記第1及び第4連結電極431、434は上記第2内部電極422と電気的に絶縁されることができる。また、上記第2及び第3連結電極432、433が上記第1内部電極421の第2及び第3ビアホールを貫通して配置されることにより、上記第2及び第3連結電極432、433は上記第1内部電極421と電気的に絶縁されることができる。
【0057】
図11は第1及び第4連結電極431、434の間隔又は第2及び第3連結電極432、433の間隔D1、第1連結電極から第4連結電極431、432、433、434の直径D2及び第1ビアホールと第2ビアホールの間の間隔又は第3ビアホールと第4ビアホールの間の幅D3を示す図面である。
【0058】
図11を参照すると、本実施形態の第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1及び第4連結電極431、434の間隔又は第2及び第3連結電極432、433の間隔D1の割合(D1/D3)は2.08から4.7の範囲内であってもよい。上記割合(D1/D3)は2.08以上、2.20以上、2.30以上、2.40以上、2.50以上、2.60以上、2.70以上、2.80以上、2.90以上、3.00以上、3.05以上、3.10以上又は3.15以上であってもよく、4.700以下、4.695以下、4.690以下又は4.688以下であってもよいが、これに制限されるものではない。第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1及び第4連結電極の間隔又は第2及び第3連結電極の間隔D1の割合(D1/D3)が上記範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)が減少し、特に上記割合が3.125以上の場合、ESL減少効果が極大化することができる。
【0059】
本発明の他の実施形態において、第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1連結電極又は第2連結電極の直径D2の割合(D2/D3)は0.375から0.52の範囲内であってもよい。上記第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1連結電極又は第2連結電極の直径D2の割合(D2/D3)は0.375以上、0.380以上、0.385以上、0.390以上、0.395以上、0.400以上、0.405以上又は0.410以上であってもよく、0.52以下であってもよい。上記第1ビアホールと第2ビアホールの間の幅D3に対する第1連結電極又は第2連結電極の直径D2の割合(D2/D3)が前述した範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。特に、上記割合が0.41以上の場合、ESL減少効果が極大化することができ、0.52以上の場合、キャパシタの容量が減少する可能性がある。
【0060】
以下、本発明による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。このような製造方法の説明によって前述した積層セラミックキャパシタの構造はより明確になることができる。
【0061】
まず、誘電体層からなるセラミックグリーンシートの一面に所定の厚さに導電性金属を含むペーストを印刷したシートを積層して誘電体層及び上記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含む本体を製造する。本体の上下部には内部電極が含まれない誘電体層を積層して第1カバー部及び第2カバー部を形成することができる。
【0062】
上記カバー部を形成した後、レーザードリル(Laser Drill)や穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを利用して本体にビア(H)を形成する。その後、ビア(H)に導電性ペーストを塗布するか又はめっきなどの方法を利用して導電性物質を満たして第1及び第2貫通電極を形成する。
【0063】
その後、本体の一面に、第1及び第2貫通電極と連結される第1から第4外部電極を形成する。
【0064】
具体的には、第1から第4外部電極を形成する段階は上記本体上にニッケルを含む第1から第4焼成電極を形成する段階と、上記第1から第4焼成電極上にそれぞれ第1めっき層を形成する段階と、上記第1めっき層上にそれぞれ第2めっき層を形成する段階と、を含んで行われる。
【0065】
焼成電極はニッケルを含む導電性ペーストを塗布し、これを焼成して形成されることができ、第1めっき層はニッケルを含み、電気的又は化学的めっき法によって形成されることができる。また、第2めっき層は銅又はスズを含み、電気的又は化学的めっき法によって形成されることができる。
【0066】
焼成電極を形成した後、か焼及び焼成を行い、上記第1めっき層から第2めっき層を形成して
図1及び
図4a、
図4bに示された積層セラミックキャパシタを完成する。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で当該技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属する。