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特許7440199パレット搬送装置及びパレット搬送静止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】パレット搬送装置及びパレット搬送静止方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20240220BHJP
   B23Q 41/02 20060101ALI20240220BHJP
   B65G 35/06 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B23Q7/00 E
B23Q41/02 A
B65G35/06 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019134313
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021016919
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 進司
(72)【発明者】
【氏名】小野田 雅也
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117117(JP,A)
【文献】特開2000-198526(JP,A)
【文献】特開2018-144113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00
B23Q 41/02
B65G 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット(21)を長手方向に沿って移動可能に搭載するパレットレール(16)と、前記パレットレール(16)に沿って循環可能に設けられ幅方向に延びる凹凸(27a,27b)が長手方向に交互に連続して設けられた循環ベルト(27)と、前記パレット(21)に形成され前記凹凸(27a,27b)に係合可能な被凹凸(26a,26b)と、前記パレットレール(16)に設けられ前記パレットレール(16)に前記パレット(21)が搭載状態で前記凹凸(27a,27b)に前記被凹凸(26a,26b)を係合させるように前記循環ベルト(27)を支持するベルト支持装置(40)とを備えたパレット搬送装置において、
前記ベルト支持装置(40)は、
前記パレットレール(16)の長手方向に連続して設けられて前記循環ベルト(27)が移動可能に載置される載置具(41)と、
前記載置具(41)をそこに載置された前記循環ベルト(27)の前記凹凸(27a,27b)を前記被凹凸(26a,26b)に押しつけるように付勢する付勢手段(46)を有し、
前記載置具(41)の前記パレットレール(16)方向の長さ(L)が前記パレット(21)の長さ(S)以下に制限された
ことを特徴とするパレット搬送装置。
【請求項2】
載置具(41)の付勢手段(46)による可動範囲(R)が循環ベルト(27)の凹凸(27a,27b)の高さ(h)未満に制限された請求項1記載のパレット搬送装置。
【請求項3】
付勢手段(46)による載置具(41)の付勢力が0.8~1.2Nとされた請求項1又は2記載のパレット搬送装置。
【請求項4】
パレットレール(16)にパレット(21)を搭載し、前記パレットレール(16)の長手方向に連続して設けられた載置具(41)に循環ベルト(27)を移動可能に載置し、前記パレットレール(16)に沿う前記循環ベルト(27)の凹凸(27a,27b)に前記パレット(21)に形成された被凹凸(26a,26b)を係合させ、前記循環ベルト(27)を循環させて前記パレット(21)を搬送し、前記循環ベルト(27)の循環を停止させて前記パレット(21)を静止させるパレット搬送静止方法であって、
前記載置具(41)の前記パレットレール(16)方向の長さ(L)を前記パレット(21)の長さ(S)以下に制限し、
前記循環ベルト(27)の循環を停止させて前記パレット(21)を静止させた時に前記パレット(21)の静止位置に予め設けられて前記循環ベルト(27)を移動可能に搭載する前記載置具(41)を介して前記循環ベルト(27)の前記凹凸(27a,27b)を前記パレット(21)の前記被凹凸(26a,26b)に押しつける
ことを特徴とするパレット搬送静止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを載せるパレットを循環ベルトに係止させて搬送するパレット搬送装置及びパレット搬送静止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインにおいて、各加工ステーションに対してワークを載せるパレットをパレットレールに搭載し、そのパレットを係止させた循環ベルトを循環させることによりパレットを搬送するパレット搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このパレット搬送装置では、循環ベルトとして、幅方向に延びる凹凸が長手方向に交互に連続して設けられたいわゆる歯付きベルトを用い、その凹凸に係合可能な被凹凸をパレットに形成し、パレットレールにパレットが搭載状態で凹凸に被凹凸を係合させるようにしている。
【0004】
このような従来のパレット搬送装置では、パレットを係止させた循環ベルトを循環させることによりパレットを搬送するので、その循環ベルトの循環を停止させるとパレットの搬送も停止されることになる。このため、例えば、パレットが加工ステーションに対峙した状態で循環ベルトの循環を停止させることにより、そのパレットに搭載されたワークに対して各加工ステーションにおける加工が可能になるとしている。
【0005】
一方、このパレット搬送装置では、循環ベルトとして歯付きベルトを用いているけれども、循環ベルトはパレットレールに沿わして循環させる必要から可撓性を有し、その凹凸にパレットにおける被凹凸を係合させたとしても、それらの間には循環に必要な隙間が生じる。このため、このパレット搬送装置は、循環ベルトの循環における位置を正確に制御できたとしても、その循環ベルトに係止されるパレットの位置がその隙間分ずれることになる。
【0006】
このようなズレが循環ベルトとパレットの間に生じると、循環ベルトの循環を正確に制御したとしても、パレットを加工ステーションに対して正確に対峙させることが困難となる。このために、従来のパレット搬送装置は、パレットを加工ステーションに対して正確に対峙させる為のパレット移動係止機構を設けている。この従来のパレット搬送装置における一般的なパレット移動係止機構は、各加工ステーションに臨むように各パレットに形成された係止穴と、各加工ステーションに設けられた固定用シリンダを備えたものが例示される。
【0007】
ここで、この固定用シリンダは係止穴に挿入されるピンを出没可能に構成された流体圧シリンダであって、固定用シリンダが伸張作動させたピンを係止穴に挿入させることにより、パレットを加工ステーションに対して正確に対峙させ、その状態でその移動を禁止するように構成されるとしている。その一方、固定用シリンダを収縮作動させてピンを係止穴から抜くことにより、その後のパレットの移動を可能にするとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-93032号公報(段落番号0020及び図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ピンを出没可能な流体圧シリンダを用いたパレット移動係止機構にあっては、パレットを加工ステーションに対峙させるべく循環ベルトの循環を停止させた後にピンを伸長動作させて係止穴に挿入させることになり、加工後のパレットの移動にあっては、そのピンを収縮動作させて係止孔から抜いた後に行う必要がある。
【0010】
このため、流体圧シリンダにおけるピンの伸長又は収縮動作に必要な時間と、その伸長又は収縮動作の完了の有無を検出するセンサの確認時間が、パレットを搬送する時間と別に必要となり、パレットの搬送に必要な時間を増加させる不具合があった。
【0011】
また、パレットの停止を狭いピッチで複数回行うような場合、パレット移動係止機構である流体圧シリンダも狭いピッチで複数設けることが必要となる。けれども、流体圧シリンダの互いの干渉を回避するために、その流体圧シリンダの外形よりも小さなピッチで流体圧シリンダを設置することはできない。これは、流体圧シリンダの外形よりも小さなピッチでパレットを複数回に亘って停止させることができないことを意味し、パレットを停止させる位置のピッチが制限される不具合もあった。
【0012】
本発明の目的は、循環ベルトの凹凸とパレットにおける被凹凸との隙間をなくしてパレットを正確に位置決めし得るパレット搬送装置及びパレット搬送静止方法を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、比較的小さなピッチであっても、パレットを正確に停止し得るパレット搬送装置及びパレット搬送静止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、パレットを長手方向に沿って移動可能に搭載するパレットレールと、パレットレールに沿って循環可能に設けられ幅方向に延びる凹凸が長手方向に交互に連続して設けられた循環ベルトと、パレットに形成され凹凸に係合可能な被凹凸と、パレットレールに設けられパレットレールにパレットが搭載状態で凹凸に被凹凸を係合させるように循環ベルトを支持するベルト支持装置とを備えたパレット搬送装置の改良である。
【0015】
その特徴有る構成は、ベルト支持装置が、循環ベルトが移動可能に載置される載置具と、その載置具をそこに載置された循環ベルトの凹凸を被凹凸に押しつけるように付勢する付勢手段を有するところにある。
【0016】
この場合、載置具のパレットレール方向の長さがパレットの長さ以下に制限され、載置具がパレットレールの長手方向に連続して設けられることが好ましい。そして、載置具の付勢手段による可動範囲を循環ベルトの凹凸の高さ未満に制限し、付勢手段による載置具の付勢力を0.8~1.2Nとすることが好ましい。
【0017】
また、別の本発明は、パレットレールにパレットを搭載し、パレットレールの長手方向に連続して設けられた載置具に循環ベルトを移動可能に載置し、パレットレールに沿う循環ベルトの凹凸にパレットに形成された被凹凸を係合させ、循環ベルトを循環させてパレットを搬送し、循環ベルトの循環を停止させてパレットを静止させるパレット搬送静止方法の改良である。

【0018】
その特徴ある点は、循環ベルトの循環を停止させてパレットを静止させた時に循環ベルトの凹凸をパレットの被凹凸に押しつけるところにある。
【0019】
載置具のパレットレール方向の長さをパレットの長さ以下に制限し、この凹凸の被凹凸への押しつけは、パレットの静止位置に予め設けられて循環ベルトを移動可能に搭載する載置具を介して行われることが好ましい。





【発明の効果】
【0020】
本発明のパレット搬送装置及びパレット搬送静止方法では、ベルト支持装置が、循環ベルトの循環を停止させて所望の位置にパレットを静止させた時に循環ベルトの凹凸を被凹凸に押しつけるので、互いに係合する循環ベルトの凹凸とパレットにおける被凹凸との間の隙間は潰されて無くなり、循環ベルトに対してパレットを正確な位置に維持させることになる。
【0021】
このため、循環ベルトの循環及び停止を正確に制御することにより、従来技術で必要とされたパレット移動係止機構なるものを用いることなく、所望の位置に正確に静止したパレットをその位置に確実に維持することが可能となる。
【0022】
また、従来技術で必要とされたパレット移動係止機構なるものが不要となることから、その存在に起因するパレットを停止させる位置のピッチの制限は無くなる。このため、本発明では、比較的小さなピッチであっても、パレットを正確に停止し得るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明実施形態のパレット搬送装置を示す図6のA部拡大図である。
図2】そのパレットレールに搭載されたパレットを上方から見た図である。
図3図2のB-B線断面図である。
図4】その第2プーリの取付け状態を示す図6のC部拡大図である。
図5図4をD方向から観た図である。
図6】そのパレット搬送装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1図6に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX,Y,Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、モータ等の電動機におけるステータを製造するラインに設けられるものを例示し、図6に示すように、この製造ラインは3台の加工ステーション11~13がX軸方向に所定の間隔で一列に並ぶものを示す。
【0026】
各加工ステーション11~13は箱形形状を成し、内部には図示しない工作機が設置される。そして、各加工ステーション11~13における工作機は、パレット搬送装置10によって搬送される図示しないワークに対して絶縁部材の挿入、各相のコイルのリード線のカシメ、溶接等、各種加工を順に行い、図示しないステータを自動的に製造するものとする。そして、パレット搬送装置10は、待機位置と点在して設置された複数の加工ステーション11~13とを連結するパレットレール16と、そのパレットレール16に搭載されたパレット21を備える。
【0027】
ここで、複数の加工ステーション11~13はX軸方向に直線的に配置され、そのX軸の延長線上に待機位置となる待機テーブル14が設置される。複数の加工ステーション11~13にはパレットレール16が固定される架台11a~13aがそれぞれ形成され、待機テーブル14にはパレットレール16が固定される天板14aが設けられる。
【0028】
図3に示すように、この実施の形態におけるパレットレール16は、断面においてZ軸方向に長い方形を成す支持板18と、その支持板18の上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール19を備える。支持板18の下端には取付板17が溶接され、その取付板17が各加工ステーション11~13における架台11a~13a及び待機テーブル14における天板14aに直接ネジ止めされる(図3では、第3加工ステーション13における天板13aに固定されたものを示す。)。
【0029】
即ち、図6に示すように、各加工ステーション11~13における架台11a~13a及び天板14aにパレットレール16がネジ止めされることにより、そのパレットレール16は待機テーブル14上における待機位置と複数の加工ステーション11~13とを連結するように固定される。
【0030】
図3に示すように、パレット21は、パレットレール16を跨いでそのレール16上を移動可能に構成された直線運動ブロック21aと、そのブロック21aにねじ止めされた台座21bと、その台座21bの下側に設けられた係止部材26とを有する。
【0031】
この直線運動ブロック21aはパレットレール16における直線運動ガイドレール19と対に販売される市販のものであって、図2に示すように、台座21bに対して直線運動ブロック21aが2個、X軸方向に離間して設けられる。この直線運動ブロック21aを用いることにより、その幅方向(Y軸方向)の移動を禁止しつつパレット21がパレットレール16上を移動する抵抗を軽減するものである。これによりパレット21はパレットレール16に移動可能に搭載される。
【0032】
そして、図示しないが、パレット21における台座21bには、図示しないワークを搭載するためのワーク支持具が更に搭載され、パレット21は、そのワーク支持具を介して図示しないワークを搭載可能に構成される。なお、係止部材26の詳細については後述する。
【0033】
図6に戻って、このパレット搬送装置10は、そのパレット21が搭載される待機テーブル14上の待機位置と、その待機位置から離間する複数の加工ステーション11~13との間をパレットレール16に沿って搬送する搬送手段22を備える。この実施の形態におけるパレット搬送手段22は、パレットレール16に沿って循環可能に設けられた循環ベルト27を備える。
【0034】
具体的に、パレットレール16の長手方向における両端には、循環ベルト27が掛け回される第1及び第2プーリ23,24が設けられる。この実施の形態における第1及び第2プーリ23,24は同形同大の同一品からなり、第1プーリ23を回転駆動する第1アクチュエータ28と、第2プーリ24を回転駆動する第2アクチュエータ29が更に設けられる。
【0035】
この実施の形態では第1及び第2プーリ23,24の双方が回転する場合を示し、図5に示す第2プーリ24を代表して説明すると、この第2プーリ24は、循環ベルト27が掛け回されるプーリ本体部24aと、その本体部24aの両側に循環ベルト27を幅方向から挟むフランジ24b,24cを備える。
【0036】
図6に戻って、第1及び第2アクチュエータ28,29は、第1及び第2プーリ23,24を回転可能な電気駆動式のサーボモータである。そして、回転軸に第1プーリ23が取付けられた第1サーボモータ28が第1加工ステーション11に取付けられ、回転軸29aに第2プーリ24が取付けられた第2サーボモータ29が待機テーブル14に取付けられる。
【0037】
この第1及び第2サーボモータ28,29の取付構造は同一であるので、待機テーブル14に第2サーボモータ29を取付ける構造を代表して説明すると、図4及び図5に示すように、待機テーブル14に取付けられたパレットレール16の支持板18における端部に第2サーボモータ29がその回転軸29aをY軸方向に向けて取付けられる。そして、Y軸方向に延びる第2サーボモータ29の回転軸29aに第2プーリ24が取付けられる。
【0038】
循環ベルト27は、いわゆる歯付きベルトであって、図1に詳しく示すように、幅方向に延びる凹凸27a,27bが長手方向に交互に連続して形成され、その凹凸27a,27bに係合可能な被凹凸26a,26bがパレット21における係止部材26に形成される。
【0039】
図6に示す様に、パレットレール16の両端部には、循環ベルト27を、その凹凸27a,27bが外側になるようにした状態で、パレットレール16のパレット11が搭載する上側に延設するアイドルプーリ31がそれぞれ設けられる。このアイドルプーリ31は、パレットレール16における支持板18の長手方向の両側においてパレット11の搭載側で有る上側にそれぞれ設けられ、このアイドルプーリ31は、循環ベルト27をパレットレール16に沿わせてパレットレール16の長手方向の端部にまで案内して支持するように構成される。
【0040】
また、パレットレール16の両端部には、アイドルプーリ31とともに、パレットレール16の長手方向の内側から循環ベルト27を第1及び第2プーリ23,24に押し付けて掛け回す掛け回しプーリ32が、アイドルプーリ31とともに第1及び第2プーリ23,24を挟む下側にそれぞれ設けられる。
【0041】
第2プーリ24側のもので詳しく説明すると、図4に示すように、第2プーリ24の循環ベルト27が掛け回される外周には、循環ベルト27における凹凸27a,27bが掛合可能な被凹凸24d,24eが周方向に連続して形成され、掛け回しプーリ32は、アイドルプーリ31とともに、パレットレール16の長手方向の内側から循環ベルト27を第2プーリ24に掛け回すように構成される。
【0042】
この掛け回しプーリ32は、パレットレール16における支持板18の長手方向の両側において、位置調整機構35を介してそれぞれ設けられる。この位置調整機構35は、図4及び図5に示すように、支持板18に長手方向に延びて設けられた小レール35aと、その小レール35aに移動可能に設けられた枢支台35bと、支持板18に取付けられた支持台35cと、その支持台35cに設けられ枢支台35bを小レール35aに沿って移動させるネジ部材35dとを備える。
【0043】
掛け回しプーリ32は位置調整機構35における枢支台35bに枢支され、その枢支台35bをネジ部材35dにより移動させてその位置を支持板18の長手方向において調整することにより、掛け回しプーリ32の位置をパレットレール16の長手方向に調整可能に構成される。
【0044】
そして、パレットレール16の両端に設けられた掛け回しプーリ32を互いに離間させることによりそれらの掛け回された循環ベルト27を張設させることが可能となり、循環ベルト27を張設させると、この掛け回しプーリ32とアイドルプーリ31の間の循環ベルト27は第1及び第2プーリ23,24にそれぞれ押し付けられて、その凹凸27a,27bは第1及び第2プーリ23,24における被凹凸24d,24eに隙間無く係合することになる。これにより、第1及び第2プーリ23,24の回転により、その循環ベルト27をずらすことなく循環させることが可能なように構成される。
【0045】
ここで、図4における符号33は、アイドルプーリ31近傍の支持板18に設けられたベルト受け33であって、このベルト受け33はアイドルプーリ31間に掛け渡される上側のベルト27cに平行に設けられ、そのアイドルプーリ31近傍の上側のベルト27cが撓んだ場合にその上側のベルト27cに接触してそれ以上に撓むことや振動することを抑制するものである。
【0046】
図6に示すように、第1プーリ23は第1加工ステーション11に設けられ、第2プーリ24は待機テーブル14に設けられるので、この第1及び第2プーリ23,24に掛け回されて張設された循環ベルト27は、パレットレール16に沿って待機位置とその待機位置から最も遠い第1加工ステーション11とを連結するように設けられる。
【0047】
第1及び第2プーリ23,24を回転させる第1及び第2サーボモータ28,29にはコントローラ61からの制御出力がそれぞれ接続され、コントローラ61は、その第1サーボモータ28と第2サーボモータ29を同期制御するように構成される。そして、このコントローラ61からの指令によりその第1及び第2サーボモータ28,29が同期制御されて駆動すると、それらの回転軸とともに第1及び第2プーリ23,24が同時に回転し、循環ベルト27が張設された状態で第1及び第2プーリ23,24を回転駆動させると、そこに掛け回されてパレットレール16の長手方向に延びる循環ベルト27を循環させることになる。
【0048】
この循環ベルト27は、その凹凸27a,27bが外側を向くように設けられるので、図1に示す様に、パレットレール16に沿って設けられた循環ベルト27の上側のベルト27cでは、その凹凸27a,27bが上方を向いた状態でパレットレール16に沿うことになり、パレット21における台座21bの下側に設けられた係止部材26には、その凹凸27a,27bに係合する被凹凸部26a,26bがその下面に形成される。
【0049】
即ち、パレット21がパレットレール16に搭載されて、この係止部材26がパレットレール16に沿って設けられた上側のベルト27cに上側から重合すると、その循環ベルト27に形成された凹凸27a,27bが係止部材26における被凹凸26a,26bに係合する様に構成される。
【0050】
パレット21における被凹凸26a,26bが循環ベルト27における凹凸27a,27bに係合すると、循環ベルト27と独立したパレット21の長手方向の移動は禁止され、これによりパレット21は循環ベルト27に係止される。このように歯付きベルトである循環ベルト27は、パレットレール26に搭載されたパレット21が係止可能なものとなる。
【0051】
このため、パレット21が係止された循環ベルト27を循環させると、パレット21が循環ベルト27とともにパレットレール16上を移動し、循環ベルト27が沿うパレットレール16に沿ってそのパレット21を、そこに搭載された図示しないワークとともに搬送可能なものとなる。
【0052】
そして、支持板18には、循環ベルト27が弛んで係止部材26から離間し、循環ベルト27の凹凸27a,27bと係止部材26における被凹凸26a,26bとの係合が解除されることを防止するベルト支持装置40が設けられる。
【0053】
図1図3に示すように、このベルト支持装置40は、係止部材26が係合する上側のベルト27cが長手方向に移動可能に載置される載置具41と、その載置具41を付勢して、そこに載置される上側のベルト27cの凹凸27a,27bをパレット21の係止部材26における被凹凸26a,26bに押し付ける付勢手段46を有する。
【0054】
具体的に、図1及び図3に示す様に、載置具41は、上側のベルト27cの下方にあって、その上側のベルト27cの長手方向に延びる底板42と、その両側に立設されて上側のベルト27cを幅方向の両側から挟む一対の側壁43,43と、その一対の側壁43,43間に設けられた複数のローラ44とを有する。
【0055】
図1に示す様に、底板42及びその両側に立設された一対の側壁43,43の循環ベルト27方向の長さLは、パレット21における台座21bのパレットレール16方向における長さSと略同一又は僅かに小さく形成され、図3に示す様に、一対の側壁43,43の上縁には、循環ベルト27の両脇が落ち込む段部43bがそれぞれ形成されるものとする。
【0056】
図1及び図2に示すように、この実施の形態では、4コのローラ44が一対の側壁43,43の間に循環ベルト27方向に並んでそれぞれ回転可能に設けられる場合を示し、一対の側壁43,43の間にあって側縁が段部43bに進入した上側のベルト27cは、この四つのローラ44に接触し、それらのローラ44が回転することにより、循環ベルト27を抵抗無く循環させるように構成される。そして、図2の拡大図に示す様に、一対の側壁43,43の長手方向の両側には、循環ベルト27をその間に導くような傾斜面43aがそれぞれ形成される。
【0057】
一方、付勢手段46は、このような載置具41を、そこに載置された上側のベルト27cの凹凸27a,27bをパレット21の係止部材26における被凹凸26a,26bに押しつけるように付勢するものであって、パレットレール16における支持板18にはハウジング47が取付けられる。このハウジング47は複数の載置具41(図では二つ)を支持するものであって、このハウジング47には、鉛直方向に向けて支持軸48が貫通して軸方向に移動可能に設けられる。
【0058】
支持軸48は、その上端に載置具41が取付けられるものであって、単一の載置具41は2本の支持軸48により支持されるものとする。図1に示す様に、二つの載置具41を支持するハウジング47には、その長手方向に所定に間隔を開けて4本の支持軸48が設けられ、この4本の支持軸48の上端に二つの載置具41が別々に独立して取付けられるものとする。ここで、図の符号50は、ハウジング47に設けられて、支持軸48を軸方向に移動可能に支持するスライドブッシュ50を示す。
【0059】
載置具41とハウジング47の間の支持軸48には、付勢手段となるコイルスプリング46が圧縮された状態で介装され、このコイルスプリング46の伸長しようとする力は、ハウジング47から載置具41を離間させる方向に作用して、その載置具41にパレット21が対向していたのであれば、その載置具41に載置された上側のベルト27cをパレット21における係止部材26に押し付けるように構成される。そして、この実施の形態では、このコイルスプリング46による付勢力は0.8~1.2Nとされるものとする。
【0060】
このため、図1の両側の載置具41のように、載置具41にパレット21が対向していないと、支持軸48はコイルスプリング46の付勢力によりZ軸方向上方に移動することになる。けれども、ハウジング47を貫通した支持軸48の下部にはリング状物51が取付けられる。このリング状物51は、支持軸48が載置具41と共に上昇して、このリング状物51がハウジング47の下面に当接すると、支持軸48のそれ以上の上昇を禁止するように構成される。よって、このリング状物51は、載置具41における可動範囲を制限するものとなる。
【0061】
この実施の形態における載置具41の可動範囲R、即ち、載置具41に載置された上側のベルト27cをパレット21における係止部材26に押し付けた状態から、パレット21が存在しなくなった状態での載置具41の上昇量Rは、循環ベルト27の凹凸27a,27bの高さh未満となるように構成される。また、図3の拡大図に示す様に、一対の側壁43,43の上縁に形成される段部43bの深さFは、載置具41における可動範囲Rより大きく、かつ循環ベルト27の厚さD(図1)より小さくなるように形成される。
【0062】
このような載置具41と付勢手段46を有するベルト支持装置40は、少なくとも、パレット21の搬送を停止させて、そのパレット21を停止させておく必要のある場所に設けられるものとする。
【0063】
この実施の形態では、各加工ステーション11~13を連結するようにパレット搬送装置10を設けており、各加工ステーション11~13における工作機は、パレット搬送装置10によって搬送される図示しないワークに対して各種加工を順に行うものであるので、この図示しないワークを搭載したパレット21は、各加工ステーション11~13に対峙した状態で、各加工ステーション11~13の工作機による加工が終了するまで、その搬送を停止させておく必要がある。このため、この各加工ステーション11~13に対峙する位置に、少なくともベルト支持装置40が設けられることになる。
【0064】
けれども、図6に示すように、この載置具41は、パレットレール16における支持板18に、その長手方向に連続して複数設けられるものとする。即ち、この実施の形態では、待機位置14と複数の加工ステーション11~13とを連結させるパレットレール16の全長において載置具41が連続するように、その載置具41を支持するハウジング47も連続して複数設けられるものとする。
【0065】
一方、ハウジング47より下方の支持板18には、両端が第1及び第2プーリ23,24に掛け回された循環ベルト27の、掛け回しプーリ32間に延びる下側のベルト27dを支持して、その下側のベルト27dの弛みを抑制するベルトレール56が取付部材57を介して取付けられる。図3に示すように、ベルトレール56は、下側のベルト27dを受ける平板56aの両側にフランジ56bがそれぞれ立ち上げられたような断面形状を成す長尺物であって、取付部材57は、そのベルトレール56にその長手方向に所定の間隔を空けて、そのベルトレール56をパレットレール16における支持板18に取付ける様に複数設けられる。
【0066】
次に、上記パレット搬送装置を用いた本発明におけるパレット搬送静止方法を説明する。
【0067】
本発明におけるパレット搬送静止方法は、パレットレール16にパレット21を搭載し、そのパレットレール16に沿う循環ベルト27の凹凸27a,27bにパレット21に形成された被凹凸26a,26bを係合させ、この状態で循環ベルト27を循環させてパレット21を搬送し、又は循環ベルト27の循環を停止させてパレット21を所望の位置に静止させるパレット搬送静止方法の改良である。
【0068】
その特徴有る点は、循環ベルト27の循環を停止させて所望の位置にパレット21を静止させた時に循環ベルト27の凹凸27a,27bをパレット21の被凹凸26a,26bに押しつけるところにある。
【0069】
この実施の形態では、待機位置14と複数の加工ステーション11~13との間でパレット21を搬送するものであり、パレット21には加工用の図示しないワークが搭載されものとする。図示しないワークのパレット21への搭載は、待機位置のパレットレール16にパレット21を搭載した状態で行われるか、又は、予めワークが搭載されたパレット21を待機位置のパレットレール16に搭載することにより行われるものとする。
【0070】
パレットレール16にパレット21が搭載されると、パレット21における台座21bの下側に設けられた係止部材26はパレットレール16に沿って設けられた上側のベルト27cに上側から重合することになり、これにより係止部材26の被凹凸部26a,26bに、循環ベルト27の凹凸27a,27bが係合することになる。
【0071】
このように、パレット21における被凹凸26a,26bが循環ベルト27における凹凸27a,27bに係合すると、循環ベルト27と独立したパレット21の長手方向の移動は禁止される。よって、その後、循環ベルト27を循環させることにより、そのパレット21を搬送させることが可能となる。
【0072】
循環ベルト27の循環は、図6に示す第1及び第2プーリ23,24を回転させることにより行われ、その第1及び第2プーリ23,24の回転は、それらを回転駆動させる第1及び第2サーボモータ28,29をコントローラ61からの指令により同期して駆動させることにより行われる。第1及び第2プーリ23,24がそれぞれ同一方向に同一の速度で回転し、それらに掛け回された循環ベルト27が循環することにより、循環ベルト27に係止されたパレット21をパレットレール16に沿って搬送することになる。
【0073】
この実施の形態では、待機位置からパレット21が搬送されると、そのパレット21は最初に第3加工ステーション13に対峙する。第3加工ステーション13に対峙した段階で第1及び第2サーボモータ28,29は停止され、循環ベルト27の循環を停止することにより、その循環ベルト27に係止されたパレット21を第3加工ステーション13に対峙した状態で静止させて維持する。そして、第3加工ステーション13における図示しない工作機を作動させ、パレット21に載った図示しないワークに対して定められた加工を行う。
【0074】
第3加工ステーション13における加工が終了した後には、再び、第1及び第2サーボモータ28,29を同期制御して第1及び第2プーリ23,24を同時に同方向に同じ速度で回転させ、循環ベルト27を循環させてパレット21を再び搬送させる。
【0075】
このように、パレット21を順次各加工ステーション11~13に対峙させて図示しないワークに対して加工を施す。すると、最終的に待機位置から最も離れた第1加工ステーション11に対峙した段階で第1及び第2サーボモータ28,29は停止され、循環ベルト27の循環を停止することにより、その循環ベルト27に係止されたパレット21を待機位置から最も遠い第1加工ステーション11に対峙して静止させて維持する。そして、パレット21に載った図示しないワークに対して第1加工ステーション11における加工を行い、これにより各ワークステーション11~13における一連の加工を終了させる。
【0076】
一方、各加工ステーション11~13における加工が終了した後は、第1加工ステーション11に対峙したパレット21を逆方向に移動させて待機位置に戻す。このパレット21の後退は循環ベルト27を逆方向に循環させることにより行われる。循環ベルト27の逆方向への循環は第1及び第2サーボモータ28,29の回転方向を逆にして第1及び第2プーリ23,24を同期して逆方向に回転させる。
【0077】
これにより、循環ベルト27も逆方向に循環し、その循環ベルト27が係止されたパレット21を戻すことができる。そして、パレット21が待機位置に戻った段階で第1及び第2サーボモータ28,29は停止され、循環ベルト27の循環を停止することにより、その循環ベルト27に係止したパレット21をパレットレール16の待機位置に静止させて維持する。
【0078】
パレットレール16の待機位置では、パレット21に搭載された図示しないワークを交換し、又は加工済みのワークが搭載されたパレットを取り外して別の新たワークが搭載されたパレット21を新たにパレットレール16に搭載し、再び各加工ステーション11~13にまで搬送し、各加工ステーション11~13における加工がこの別のワークに対してなされることになる。
【0079】
このように、本発明では、第1及び第2プーリ23,24を同期して回転させて循環ベルト27を循環させ、及び必要に応じてその循環を停止させて、それに係合されたパレット21を搬送し、又は所定の位置に静止させている。
【0080】
特に、この実施の形態では、図6に示すように、アイドルプーリ31と掛け回しプーリ32により、パレットレール16の長手方向の内側から循環ベルト27を第1及び第2プーリ23,24に押し付けて掛け回し、それぞれの循環ベルト27を張設させるように構成されているので、循環ベルト27の凹凸27a,27bは第1及び第2プーリ23,24における被凹凸24d,24e(図4)に隙間無く係合することになる。このため、第1及び第2プーリ23,24の回転運動をそのまま循環ベルト27の循環運動に正確に変換することができる。
【0081】
そして、第1及び第2プーリ23,24を回転駆動する第1及び第2アクチュエータとして、第1及び第2サーボモータ28,29を用い、それらをコントローラ61からの指令により同期制御して駆動させるので、一方のプーリ23が回転して引っ張られる側のベルト27は他方のプーリ24によりその一方のプーリ23に向かって押し出され、一方のプーリ23が回転して押し出す側のベルト27は他方のプーリ24により引っ張られることになる。これにより、一方のプーリのみが回転する場合に比較して循環ベルト27の撓みや延び等を抑制することができる。よって、その循環ベルト27の循環速度にムラが生じることを回避することができ、このように循環速度のムラを回避することにより、その循環ベルト27を精度良く循環させることができ、その循環ベルト27に係止したパレット21の搬送精度を高めることができる。
【0082】
一方、循環ベルト27とパレット21との関係においては、図1に示す様に、循環ベルト27として歯付きベルトを用い、その凹凸27a,27bにパレット21における被凹凸26a,26bを係合させているけれども、それらの間には隙間が生じる。このため、循環ベルト27の循環における位置を正確に制御できたとしても、その循環ベルト27に係止されるパレット21の位置はその隙間分ずれることになる。
【0083】
けれども、パレットレール16における支持板18には、少なくともパレット21を所定の位置に停止させておく必要のある場所、即ち、各加工ステーション11~13に対峙する場所に必ず支持装置40が設けられている。このため、循環ベルト27の循環を停止させて、パレット21を各加工ステーション11~13に対峙させると、同時にそのパレット21は支持装置40にも対峙することになる。
【0084】
パレット21が停止して支持装置40に対峙すると、支持装置40における付勢手段46は、載置具41を、そこに載置された上側のベルト27cの凹凸27a,27bをパレット21の係止部材26における被凹凸26a,26bに押しつけるように付勢する。すると、互いに係合する循環ベルト27の凹凸27a,27bとパレット21における被凹凸26a,26bとの間の隙間はその付勢力により潰されて無くなり、循環ベルト27に対してパレット21を正確な位置に維持されることになる。
【0085】
この実施の形態では、凹凸27a,27bの被凹凸26a,26bへの押しつけが、パレット21の静止位置に予め設けられて循環ベルト27を移動可能に搭載する載置具41を介して行われるので、その押しつけに際して循環ベルト27を痛めることもなく、付勢手段46による載置具41の単位面積あたりの付勢力が0.8~1.2Nであるので、過度な付勢手段を用いることなく、その循環ベルト27の凹凸27a,27bとパレット21における被凹凸26a,26bとの間の隙間を確実に押しつぶすことができる。
【0086】
このように、本発明にあっては、凹凸27a,27bと被凹凸26a,26bとの間の隙間を無くして、パレット21を正確な位置に静止させることが可能となるので、従来技術において、パレットの正確な位置決めの為に必要とされたパレット移動係止機構なるものを必要としない。このため、従来のパレット移動係止機構におけるピンの伸長又は収縮動作に必要な時間や、その伸長又は収縮動作の完了の有無を検出するセンサの確認時間が不要と成る。
【0087】
このため、本発明では、循環ベルト27の循環を停止させると、直ちに各加工ステーション11~13における加工を開始することができ、その加工が終了した後に直ちに循環ベルト27の循環を開始することによりパレット21を直ちに搬送することが可能となる。よって、パレット移動係止機構なるものを必要とする従来のものに比較して、その動作及び確認に必要な時間が不要と成ることから、迅速なパレット21の搬送が可能となるのである。
【0088】
また、従来のパレット搬送装置において必要とされたパレット移動係止機構を本発明では不要とするので、パレット移動係止機構を設けることにより生じるパレットを停止させる位置のピッチの制限も無くなり、本発明では、パレット21の静止を狭いピッチで複数回行うようなことも可能となる。
【0089】
一方、循環ベルト27の循環を停止させて、従来のパレット移動係止機構なるものを用いることなく、パレット21を正確な位置に静止させて維持し、その状態でパレット21に搭載された図示しないワークを加工すると、その加工時にワークに加わる外力はパレット21を移動させる方向に付勢することにもなる。
【0090】
これども、上記パレット搬送装置10による循環ベルト27の循環は、第1プーリ23を第1アクチュエータ28により回転駆動させるとともに、第2プーリ24を第1アクチュエータ28と同期制御された第2アクチュエータ29により回転駆動させており、循環ベルト27の循環の停止も、第1及び第2アクチュエータ28,29の双方が第1及び第2プーリ23,24の回転を積極的に停止させることにより行われる。
【0091】
してみると、加工時のワークを介してパレット21に加わる付勢力は、循環ベルト27の搬送方向の両側において掛け回された第1及び第2プーリ23,24を回転させる力となり、第1及び第2アクチュエータ28,29としてそれらの力に対抗し得るものを用いることにより、ワークに加わる外力に対しても、正確な位置に静止させたパレット21をその位置に確実に維持することが可能となる。
【0092】
特に、この実施の形態では、第1及び第2プーリ23,24を回転駆動する第1及び第2アクチュエータ28,29として、第1及び第2プーリ23,24の回転速度及び回転トルクを可変可能である電気駆動式のサーボモータを用いるので、その循環ベルト27を精度良く循環させることができ、その循環ベルト27を停止させた場合には、例え循環ベルト27にテンションが加えられても、その停止状態を確実に維持して、そこに係止されたパレット21の静止状態を確実に維持することができるものとなるのである。
【0093】
また、この実施の形態では、載置具41を、パレットレール16の長手方向に連続して設けたので、各加工ステーション11~13に対峙する場所以外にも載置具41が設けらることになり、加工ステーション11~13の位置が変更され、又は新たに加工ステーションが追加されたような場合であっても、その位置の変更又は追加された加工ステーションに合わせて、新たにベルト支持装置40を追加して設けるようなことは不要と成り、加工ステーションの設置や変更の自由度が増すことになる。
【0094】
そして、載置具41の付勢手段46による可動範囲Rが循環ベルト27の凹凸27a,27bの高さh未満に制限されているので、ある載置具41から隣接する載置具41にパレット21が移動する場合であっても、上側のベルト27cがその隣接する載置具41から離脱することはなく、安定して循環ベルト27を循環させることができ、それに係止されたパレット21を安定して搬送し及び静止させることが可能となるのである。
【0095】
なお、上述した実施の形態では、第1及び第2アクチュエータ28,29である第1及び第2サーボモータを同期制御して駆動し、第1及び第2プーリ23,24を同時に同方向に同じ速度で回転させる場合を説明したが、循環ベルト27の循環速度にムラを生じさせない限り、第1及び第2プーリ23,24のいずれか一方を回転させて、循環ベルト27を循環させるようにしても良い。
【0096】
また、上述した実施の形態では、単一のパレット21をパレットレール16に搭載して、そのパレット21を往復搬送する場合を説明したが、パレットレール16に複数のパレット21を搭載しても良く、この場合パレットレール16と別に循環用の別のレールを用いて、それら複数のパレット21を循環させるようにしても良い。
【0097】
また、上述した実施の形態では、第1及び第2アクチュエータ28,29が電気駆動式のサーボモータである場合を説明したが、第1及び第2プーリ23,24を回転可能である限り、サーボモータに代えて流体圧シリンダや流体圧モータを第1及び第2アクチュエータ28,29として用いても良い。
【0098】
また、上述した実施の形態では、載置具41の長さLをパレット21の長さSと同一又はそれ以下に制限し、そのような載置具41がパレットレール16の長手方向に連続して設けられる場合を説明したが、パレット21の搬送を停止させて、そのパレット21を静止させておく必要のある場所に設けられる限り、その他のところに載置具41を必ずしも設けることを必要とするものではない。
【0099】
また、上述した実施の形態では、載置具41の長さLをパレット21の長さSと同一又はそれ以下に制限したけれども、そのパレット21を静止させておく必要のある場所を含む限り、パレット21の長さSを超える長さLを有する載置具41を用いても良い。例えば、パレットレール16の全長に亘る長さの載置具41を用い、そこに載置された循環ベルト27の凹凸27a,27bを、付勢手段46がパレットレール16に搭載されたパレット21の被凹凸26a,26bに押しつけるような構造であっても良い。
【0100】
また、上述した実施の形態では、付勢手段46におけるハウジング47が二つの載置具41を支持する場合を説明したけれども、単一のハウジング47が支持する載置具41の数は二つに限られず、一つであっても良く、三つ以上であっても良い。例えば、パレットレール16の全長に亘る長さを有する単一の載置具41を、それと同様な長さを有する単一のハウジング47により、複数の支持軸48を介して支持するようにしても良い。
【0101】
更に、上述した実施の形態では、載置具41をコイルスプリング46により付勢する場合を説明したけれども、載置具41を付勢する付勢手段はコイルスプリング46に限られず、一定の力を加えられる限り、別のものであっても良い。例えば、リーフスプリング等の他のスプリングや、空圧機器や、油圧機器やトルクモータ等により、載置具41を付勢するようにしても良い。
【符号の説明】
【0102】
10 パレット搬送装置
16 パレットレール
21 パレット
26a,26b 被凹凸
27 循環ベルト
27a,27b 凹凸
40 ベルト支持装置
41 載置具
46 コイルスプリング(付勢手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6