(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】アルキル化の方法
(51)【国際特許分類】
C07C 319/14 20060101AFI20240220BHJP
C07B 59/00 20060101ALI20240220BHJP
C07C 323/44 20060101ALI20240220BHJP
C07C 319/20 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C07C319/14
C07B59/00
C07C323/44
C07C319/20
(21)【出願番号】P 2018556797
(86)(22)【出願日】2017-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2017060401
(87)【国際公開番号】W WO2017186969
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-08
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】305040710
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500545366
【氏名又は名称】キングス カレッジ ロンドン
【住所又は居所原語表記】Strand, London WC2R 2LS United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】カン,イムティアズ
(72)【発明者】
【氏名】マックロビー,グレーム
(72)【発明者】
【氏名】キルヤヴァイネン,アナ
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】阪野 誠司
【審判官】宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530814(JP,A)
【文献】特表2013-528159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(I)
(式中、
X
1は、C
1~4アルキルまたはハロから選択されるX基であり、
Y
1は、水素またはC
1~4アルキルから選択されるY基であり、
Z
1は、C
1~4アルキルであるZ基であり、かつ
Qは、[
11C]C
1~4アルキル-または[
18F]-C
1~4フルオロアルキル-である)の化合物を得るための方法であって、
(i)式II:
【化2】
(II)
(式中、
X
11およびX
12は同一であり、かつその両方がX
1について定義したX基であり、
Y
11およびY
12は同一であり、かつその両方がY
1について定義したY基であり、かつ
Z
11およびZ
12は同一であり、かつその両方がZ
1について定義したZ基である)
の化合物を還元するステップと、
(ii)前記ステップ(i)の生成物に塩基を加えて、[
11C]C
1~4アルキル-LG
1または[
18F]-C
1~4フルオロアルキル-LG
2(式中、LG
1およびLG
2は、独立してハロまたは-O-SO
2-R
1基であり、R
1は、置換されていてもよいC
6~10のアリール、置換されていてもよいC
1~4アルキル、またはC
1~4フルオロアルキルを表す)のいずれかと反応させるステップと
を含み、
ステップ(ii)において加えられる塩基:チオールのモル比が0.2~0.75の範囲内であ
り、
ステップ(ii)が5~10分間105~110℃の温度で実行され、
固相抽出(SPE)を使用して、ステップ(ii)で得られた反応混合物を精製するステップ(iii)をさらに含む、
方法。
【請求項2】
前記式IIの化合物が、式IIa:
【化3】
(IIa)
(式中、
X
11およびX
12が同一であり、かつその両方が請求項1に定義されるX基であり、
Y
11およびY
12が同一であり、かつその両方が請求項1に定義されるY基であり、かつ
Z
11およびZ
12が同一であり、かつその両方が請求項1に定義されるZ基である)
の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記X基がハロである、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記Y基がC
1~4アルキルである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記Z基がメチルである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記X基がクロロであり、前記Y基がメチルであり、かつ前記Z基がメチルである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
還元するステップ(i)が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)、遊離ホスフィン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、塩酸中の亜鉛、酢酸中の亜鉛、塩酸中のマグネシウム、エタノール中のテルル化水素ナトリウム(NaTeH)、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
4)、塩化アンモニウム中のインジウム、および水素化ナトリウム(NaH)から選択される還元剤またはトリフェニルホスホンもしくはホスフィンなどの固体に結合した還元剤を使用して実行される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
還元するステップ(i)が、NaBH
4を使用して実行される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応させるステップ(ii)において、前記チオール生成物を[
18F]-C
1~4フルオロアルキル-LG
2と反応させる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記式Iの化合物が、
【化4-1】
である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記式IIの化合物が、
【化5】
である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記還元するステップ(i)および前記反応させるステップ(ii)が、同一の容器中で実行される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応させるステップ(ii)が、エタノール溶液中で実行される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
塩基:チオールの前記比が0.5~0.75である、請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記前記反応ステップ(ii)が5分間実行される、請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応させるステップ(ii)が0.02~0.04mmolのチオールを含む、請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応させるステップ(ii)が0.02~0.035mmolのチオールを含む、請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応させるステップ(ii)が0.03~0.035mmolのチオールを含む、請求項1乃至
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応させるステップ(ii)が0.005~0.025mmolの塩基を含む、請求項1乃至
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応させるステップ(ii)が0.01~0.025mmolの塩基を含む、請求項1乃至
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記反応させるステップ(ii)が0.02~0.025mmolの塩基を含む、請求項1乃至
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記反応させるステップ(ii)が110℃の温度で実行される、請求項1乃至
21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記式Iの化合物が、
【化6-1】
であり、
前記式IIの化合物が、
【化7】
であり、
塩基:チオールの前記比が0.2~0.75であり、かつ
前記反応させるステップ(ii)が110℃で5分間実行される、
請求項1乃至
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記SPEが、1または複数の逆相SPEカートリッジを使用して実行される、請求項
1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記SPEが、1または複数のエンバイロメンタルtC18 SPEカートリッジを使用して実行される、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記SPEが、2つのtC18 SPEカートリッジを使用して実行される、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
塩基性アセトニトリル水溶液を使用して前記tC18 SPEカートリッジから化学的不純物が除去され、かつ前記式Iの精製された化合物が、エタノール溶液を用いて前記tC18 SPEカートリッジから溶出される、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記エタノール溶液が酸性化エタノール溶液である、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が自動化されている、請求項1乃至
28のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学合成の分野に属する。より詳細には、本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)トレーサーの合成において有用な新規の方法、および前記方法において有用な新規の中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2004/007440号および同第2006/136846号には、放射性標識されたグアニジン誘導体および中枢神経系(CNS)の受容体を画像化するためのそれらの使用が記載されており、また、前駆化合物からのこれらの放射性標識された誘導体の合成が教示されている。例えば、国際公開第2006/136846号には、式(A):
【0003】
【化1】
(式中、
R
1は水素またはC
1~4アルキルであり、
R
2およびR
4は、それぞれ独立して、C
1~4アルキル、[
11C]-C
1~4アルキル、および[
18F]-C
1~4フルオロアルキルから選択され、ただし、R
2およびR
4のうちの少なくとも1つは、[
11C]-C
1~4アルキルまたは[
18F]-C
1~4フルオロアルキルであり、かつ
R
3はハロである)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物が教示されている。
【0004】
国際公開第2006/136846号には、上記式(A)の化合物が、11Cまたは18Fの好適な供給源を式(B):
【0005】
【化2】
(式中、R
2またはR
4の一方は水素であり、かつ他方は、水素、C
1~4アルキル、またはベンジルなどのチオール保護基であり、R
1は水素またはC
1~4アルキルであり、かつR
3はハロである)の前駆化合物と反応させることによって合成されることが教示されている。
【0006】
国際公開第2006/136846号には、R2が水素である上記式(B)の前駆化合物を得る方法は、式(C):
【0007】
【化3】
(式中、R
3はハロであり、かつP
1はチオール保護基である)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を式(D):
【0008】
【化4】
(式中、R
1は水素またはC
1~4アルキルであり、かつR
4は式(B)の所望の化合物について定義される通りである)の化合物と反応させるHu et al(J.Med.Chem.1997;40(26):4281~9)によって開示された方法に基づくことも教示されている。
【0009】
この方法は最近、以下の18F標識されたS-フルオロアルキルジアリールグアニジン:
【0010】
【化5】
の取得に成功するための方法として、Robins et al(2010 Bioorg Med Chem Lett;20:1749~51)によっても報告されている。
【0011】
国際公開第2011/141568号では、以下の構造:
【0012】
【化6】
の二量体前駆化合物を使用することによって、上記の方法をさらに発展させた。
【0013】
上記のジスルフィド前駆体は、上記の放射性標識されたグアニジン誘導体を得るために、放射性標識されたアルキル化剤との反応前にチオールへと還元される。
【0014】
特に自動化を目的として、放射性標識されたグアニジン誘導体の合成を改良する余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【0016】
一態様では、本発明は、式I:
【0017】
【化7】
(I)
(式中、
X
1は、C
1~4アルキルまたはハロから選択されるX基であり、
Y
1は、水素またはC
1~4アルキルから選択されるY基であり、
Z
1は、C
1~4アルキルであるZ基であり、かつ
Qは、[
11C]C
1~4アルキル-または[
18F]-C
1~4フルオロアルキル-である)の化合物を得るための方法であって、
(i)式II:
【0018】
【化8】
(II)
(式中、
X
11およびX
12は同一であり、かつその両方がX
1について定義したX基であり、
Y
11およびY
12は同一であり、かつその両方がY
1について定義したY基であり、かつ
Z
11およびZ
12は同一であり、かつその両方がZ
1について定義したZ基である)の化合物を還元するステップと、
(ii)ステップ(i)の生成物に塩基を加えて、[
11C]C
1~4アルキル-LG
1または[
18F]-C
1~4フルオロアルキル-LG
2(式中、LG
1およびLG
2は、独立してハロまたは-O-SO
2-R
1基であり、R
1は、置換されていてもよいC
6~10アリール、置換されていてもよいC
1~4アルキル、またはC
1~4フルオロアルキルを表す)のいずれかと反応させるステップと
を含み、
ステップ(ii)において加えられる塩基:チオールのモル比が約0.2~1.0の範囲内である、
方法に関する。
【0019】
本発明の方法は自動化のために特に好適である。さらには、本発明の方法の使用は、以前の方法と比べて向上した収率およびより低い不純物レベルで、式Iの化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、反応溶液のpHを増加させるために3.5%の水と共にエタノール中のNaBH
4のみを使用した時の粗[
18F]GE-179のトレースを示す。
【
図2-1】
図2Aは、最適化の前および後の[
18F]GE-179の粗反応物のHPLCトレースである。
【
図2-2】
図2Bは、最適化の前および後の[
18F]GE-179の粗反応物のHPLCトレースである。
【
図3-1】
図3Aは、粗[
18F]GE-179の精製の前および後のHPLCトレースである。
【
図3-2】
図3Bは、粗[
18F]GE-179の精製の前および後のHPLCトレースである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求される本発明の主題をさらに明白かつ簡潔に記載し示すために、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される特定の用語には、以下の定義が与えられる。本明細書における特定の用語の例示は、非限定的な例として考慮されるべきである。
【0022】
用語「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」は、本出願を通じてその慣習的な意味を有し、薬剤または組成物が列挙された本質的な特徴または構成要素を有さなければならないが、他の特徴または構成要素がさらに存在してもよいことを意味する。用語「含んでいる(comprising)」は、好ましいサブセットとして、他の特徴または構成要素が存在しない、列挙された構成要素を組成物が有することを意味する「実質的に~からなる(consisting essentially of)」を含む。
【0023】
「アルキル」という用語は、単独でまたは組合せで、一般式CnH2n+1を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。そのような基の例としては、メチル、エチル、およびイソプロピルが挙げられる。
【0024】
「フルオロアルキル」は、上記で定義された通りのアルキル基であって、1または複数のフッ素原子で置換されているものである。一実施形態では、前記1または複数のフッ素原子は、好適には18F原子である。本発明の一実施形態では、フッ素は基の末端において水素を置換しており、すなわち-アルキレン-フルオロである。
【0025】
「ハロゲン」または「ハロ-」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素から選択される置換基を意味する。
【0026】
「塩基」という用語は、プロトン受容体という化学的意味で、本明細書中で使用される。
【0027】
ハロゲン化アルキルと反応させる本発明の方法のステップは好適な溶媒中で実行される。好適な溶媒としては、塩基の存在下の、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、またはアセトニトリルが挙げられる。一実施形態では、このステップのための好適な溶媒はエタノールである。ある特定の実施形態では、塩基は、炭酸カリウム、水酸化カリウム、もしくは水素化ナトリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはジメチルアミノピリジン)などの有機塩基である。一実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。式I中のQが[18F]-C1~4フルオロアルキル-である一実施形態では、塩基は、18F-フッ化物を調製するための方法においてQMAカラムから18F-フッ化物を溶出するために使用したものと同じ試薬である。塩基:チオールの特定のモル比が、以前の方法と比べて高い収率かつ相対的に不純物無しで放射性標識された粗生成物を得るのに特に有利であることを本発明者らは見出した。
【0028】
[11C]C1~4アルキル-LG1は、放射化学の技術分野において周知の方法を使用して調製することができる。例えば、[11C]ヨウ化メチルは、水素化アルミニウムリチウムを用いて[11C]二酸化炭素を還元した後、ヨウ化水素酸と反応させることによって調製することができる。[11C]二酸化炭素は、通常、微量の酸素を含有する窒素ガスからの14N(ρ,α)11C反応によって製造される。[11C]メチルトリフレートは、[11C]ヨウ化メチルから、または[11C]メタンから調製される[11C]臭化メチルの気相反応によって調製することができる。全てのこれらの方法は、「Aspects on the Synthesis of 11C-Labelled Compounds」、Chapter 3 of Handbook of Radiopharmaceuticals(2003 Welch&Redvanly eds.pp 141-194)において、より詳細に記載されている。好ましい[11C]C1~4アルキル-LG1は、[11C]メチル-LG1または[11C]エチル-LG1から選択され、かつLG1は好ましくはヨウ素である。
【0029】
[18F]-C1~4フルオロアルキル-LG2は、[18F]フッ化物を使用してジハロゲン化アルキルまたはスルホン酸アルキルを放射性標識することによって調製することができる。[18F]フッ化物は、通常、[18O]水標的の照射の産物である水溶液として得られる。求核性の放射性標識反応において使用するために好適となるように[18F]フッ化物を反応性の求核性試薬に変換するために、様々なステップを実行することが広く行われている。これらのステップには、[18F]-フッ化物イオンからの水の除去および好適な対イオンの提供が含まれる(Handbook of Radiopharmaceuticals 2003 Welch&Redvanly eds.ch.6 pp 195~227)。好適な対イオンとしては、ルビジウムまたはセシウムなどの大きいがソフトな金属イオン、Kryptofix(商標)などのカリウムと錯体形成したクリプタンド、またはテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。好ましい[18F]-C1~4フルオロアルキル-LG2は、[18F]-フルオロエチル-LG2であり、ここでLG2は、好ましくはスルホネート、最も好ましくはトシレートである。
【0030】
二量体前駆体は、国際公開第2011/141568号に記載の方法によって得ることができる。要約すると、Hu et al(1997 J Med Chem;40:4281~4289)に記載の方法にしたがって、ジエチルエーテル中の第一級アミンとの臭化シアンの反応、またはテトラヒドロフラン中の水素化ナトリウムまたはハロゲン化アルキルとのアリールシアナミドのアルキル化によって、シアナミド出発材料を調製する。ニトロベンゼンスルホニルクロリド出発材料は市販されている。第1のステップでは、ニトロベンゼンスルホニルクロリド出発材料を還元してアミノベンゼンチオール中間体を形成する。ジスルフィドは、アミノベンゼンチオール中間体のヨウ素酸化によって本発明の方法において得られる。
【0031】
本発明の方法の一実施形態では、前記式IIの化合物は、式IIa:
【0032】
【化9】
(IIa)
(式中、
X
11およびX
12は同一であり、かつその両方が本明細書中に定義されるX基であり、
Y
11およびY
12は同一であり、かつその両方が本明細書中に定義されるY基であり、かつ
Z
11およびZ
12は同一であり、かつその両方が本明細書中に定義されるZ基である)の化合物である。
【0033】
本発明の方法の一実施形態では、前記X基はハロである。
【0034】
本発明の方法の一実施形態では、前記Y基はC1~4アルキルである。
【0035】
本発明の方法の一実施形態では、前記Z基はメチルである。
【0036】
本発明の方法の一実施形態では、前記X基はクロロであり、前記Y基はメチルであり、かつ前記Z基はメチルである。
【0037】
本発明の方法の一実施形態では、前記還元するステップ(i)は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、遊離ホスフィン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、塩酸中の亜鉛、酢酸中の亜鉛、塩酸中のマグネシウム、エタノール中のテルル化水素ナトリウム(NaTeH)、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、塩化アンモニウム中のインジウム、および水素化ナトリウム(NaH)から選択される還元剤またはトリフェニルホスホンもしくはホスフィンなどの固体に結合した還元剤を使用して実行される。
【0038】
本発明の方法の一実施形態では、前記還元するステップ(i)は、NaBH4を使用して実行される。
【0039】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)で、チオール生成物を[18F]-C1~4フルオロアルキル-LG2と反応させる。
【0040】
本発明の方法の一実施形態では、前記式Iの化合物は、
【0041】
【0042】
上記式Iの化合物は、本明細書中で[18F]-GE179とも称され、すなわちN-(2-クロロ-5-(2-[18F]-フルオロ-エチルチオ))-フェニル-N’-(3-メチルチオ)-フェニル-N’-メチルグアニジンである。
【0043】
本発明の方法の一実施形態では、前記式IIの化合物は、
【0044】
【0045】
本発明の方法の一実施形態では、前記還元するステップ(i)および前記反応させるステップ(ii)は、同一の容器中で実行される。
【0046】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップは、エタノール溶液中で実行される。
【0047】
本発明の方法の一実施形態では、塩基:チオールの前記比は約0.2~1.0である。
【0048】
本発明の方法の一実施形態では、塩基:チオールの前記比は約0.2~0.5である。
【0049】
本発明の方法の一実施形態では、塩基:チオールの前記比は約0.5~1.0である。
【0050】
本発明の方法の一実施形態では、塩基:チオールの前記比は約0.5~0.75である。
【0051】
本発明の方法の一実施形態では、塩基:チオールの前記比は約0.7~0.75である。
【0052】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応ステップ(ii)は約5~15分間実行される。
【0053】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応ステップ(ii)は約5~10分間実行される。
【0054】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応ステップ(ii)は約4.5~5.5分間実行される。
【0055】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応ステップ(ii)は約5.5分間実行される。
【0056】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.02~0.04mmolのチオールを含む。
【0057】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.02~0.035mmolのチオールを含む。
【0058】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.03~0.035mmolのチオールを含む。
【0059】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.005~0.025mmolの塩基を含む。
【0060】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.01~0.025mmolの塩基を含む。
【0061】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約0.02~0.025mmolの塩基を含む。
【0062】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約80~120℃の温度で実行される。
【0063】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約100~120℃の温度で実行される。
【0064】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約105~110℃の温度で実行される。
【0065】
本発明の方法の一実施形態では、前記反応させるステップ(ii)は約110℃の温度で実行される。
【0066】
本発明の方法の一実施形態では、前記式Iの化合物は、
【0067】
【0068】
【化13】
であり、
塩基:チオールの前記比は約0.2~0.75であり、かつ
前記反応させるステップ(ii)は約110℃で約5.5分間実行される。
【0069】
一実施形態では、本発明の方法は、固相抽出(SPE)を使用してステップ(ii)において得られた反応混合物を精製するステップ(iii)をさらに含む。
【0070】
本発明の方法の一実施形態では、前記SPEは、1または複数の逆相SPEカートリッジを使用して実行される。
【0071】
本発明の方法の一実施形態では、前記SPEは、1または複数のtC18 SPEカートリッジを使用して実行される。
【0072】
本発明の方法の一実施形態では、前記SPEは、2つのtC18 SPEカートリッジを使用して実行される。
【0073】
本発明の方法の一実施形態では、前記SPEは、2つのエンバイロメンタルtC18 SPEカートリッジを使用して実行される。
【0074】
本発明の方法の一実施形態では、前記化学的不純物は、塩基性アセトニトリル水溶液を使用して前記tC18 SPEカートリッジから除去され、かつ前記精製された式Iの化合物は、エタノール溶液を用いて前記tC18 SPEカートリッジから溶出される。一実施形態では、前記エタノール溶液は酸性化エタノール溶液である。
【0075】
本発明の方法の一実施形態では、前記方法は自動化されている。
【0076】
PETトレーサー、特に[18F]-トレーサーは、現在、自動化放射性物質合成装置において簡便に調製されることが多い。Tracerlab(商標)およびFastlab(商標)(両方とも、GE Healthcare Ltdより)などの、そのような装置について市販されているいくつかの例がある。そのような装置は、一般に「カセット」を含み、これは使い捨てできることが多く、この中で、放射性物質合成を行うために装置に適合した放射化学が行われる。カセットは、流体経路、反応容器、および試薬バイアルを受け入れるためのポート、ならびに放射性物質合成後のクリーンアップステップにおいて使用される任意の固相抽出カートリッジを通常含む。
【0077】
本明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合、または、請求項の文言と実質的な差のない等価の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図されている。本文に述べられた全ての特許および特許出願は、それらが個別に組み込まれたかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
実施例の簡単な説明
実施例1は、[18F]フルオロエチルトシレートの合成を記載する。
【0079】
実施例2は、1,1’-(5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロ-5,1-フェニレン))ビス(3-メチル-3-(3-(メチルチオ)フェニル)グアニジン)の合成を記載する。
【0080】
実施例3は、FASTlab(商標)での[18F]フルオロエチルトシレートを用いた二量体前駆体のアルキル化を記載する。
【0081】
実施例4は、精製のために使用したSPE処理を記載する。
【0082】
実施例で使用される頭字語および略語のリスト
chem.imp. 化学的不純物
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
eq 当量
EtOH エタノール
Et(OTs)2 エチルジトシレート
FEtOTs フルオロエチルトシレート
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
MeCN アセトニトリル
min 分
OTs トシレート
QMA 第四級メチルアンモニウム
RCY 放射性化学物質の収率
RV 反応容器
SPE 固相抽出
temp. 温度
実施例
実施例1:[
18
F]フルオロエチルトシレートの合成
【0083】
【化14】
18O濃縮水中の[
18F]フッ化物水溶液(約4.5mL、200MBq -1.5GBq)を、テフロン線を通して合成装置へと送った。放射能(activity)をQMA SPEカートリッジ上にトラップし、[
18O]H
2Oを別個のバイアル中に捕捉して後の回収を可能とした。炭酸カリウム(K
2CO
3)(0.7~3mg、5.1~21.7μmol)および4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(K
222)(3.7~12mg、9.8~31.9μmol)を含有するエタノール水溶液を用いて放射能(radioactivity)を反応容器中に溶出した。炭酸塩およびK
222を溶解するためならびにQMAカートリッジを溶出するために使用したH
2OおよびEtOHの体積を変化させた(H
2O(0.33mL)中の15mg/mLのK
2CO
3およびEtOH(1.32mL)中の15mg/mLのK
222を含有する1mLの溶液;または14.2mg K
2CO
3/0.2mL H
2Oおよび79mg K
222/1.3mL EtOHを含有する90μLの溶液;または14.2mgのK
2CO
3および79mgのK
222を有する200μLのH
2Oおよび1.3mLのEtOHのいずれか)。QMAカートリッジから反応容器への[
18F]フッ化物の溶出を確実にするために、高濃縮の塩基/K
222溶液(90μL、9μLのH
2Oおよび61μLのEtOH)を200μLの水で希釈した。
【0084】
蒸発ステップは共沸法であり、溶出液(約90μL)をシリンジ1中に引き、その後に水(約120μL)、そしてアセトニトリル(約400μL)と続けた。これにより、トラップされた18FをQMAカートリッジから反応容器中に溶出させ、以下の条件:
a)100℃/1分
b)120℃/10分
c)105℃/1.2分
を使用して乾燥させ、無水[18F]F-/K222/K+複合体を得た。
【0085】
乾燥時間は合計で約12分であった。乾燥ステップの約5.7分において、1×500ulのMeCNをRVに加えて、残っているあらゆる水を共沸的に除去した。乾燥をさらに6.3分間続けた。
【0086】
18F-フッ化物の乾燥後、無水MeCNまたはDMSO中のエチレンジトシレート(Et(OTs)2、2.7~18.5mg、7.4~19.2μmol)を反応容器中に加えた。標識反応を2.5~15分間、86~105℃で行った。
【0087】
下記の表は、[18F]FEtOTs放射性標識の反応条件および放射性化学物質の達成された収率(RCY)を示す。
【0088】
【表1】
*単離されていない収率
高い[
18F]FEtOTsのRCYを達成するために3.5mg(9.5μmol)のEt(OTs)
2で十分であった。MeCNは反応溶媒として最良の選択肢であった。MeCNを用いることで[
18F]FEtOTsの高い放射性化学物質の収率が得られ、MeCNはアルキル化ステップの前に蒸発によって反応混合物からより容易に除去される。
【0089】
80℃または105℃のいずれかのN2気流下でMeCNを蒸発して飛ばし、EtOHで残留物を溶解することによって、反応溶媒はMeCNからEtOHに変化した。
【0090】
実施例2:1,1’-(5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロ-5,1-フェニレン))ビス(3-メチル-3-(3-(メチルチオ)フェニル)グアニジン)の合成
5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロベンゼンアミニウム)クロリドの合成
【0091】
【化15】
塩化スズ(II)(33.32g、175.74mmol)を30%の塩酸(99.7mL)中に溶解し、125℃に予備加熱した油浴中にフラスコを沈める前に4-クロロ-3-ニトロベンゼン-1-スルホニルクロリド(5.00g、19.553mmol)を加えた。3時間後、全ての固体材料は溶解し、反応混合物を室温へと冷却させて自発的結晶化を引き起こした。
【0092】
結晶(スズの夾雑を伴う)を濾過し、水(250mL)中に溶解し、かつ、全ての2-クロロ-5-メルカプトベンゼンアミニウムクロリドが5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロベンゼンアミニウム)クロリドへと変換されたことがHPLC分析により確認されるまで、ヨウ素溶液(50mg/mL)の部分を加えた。溶液を濾過し、水(400mL)を濾液に加えた後、攪拌し、NaOH溶液(約1mL、10%)を使用して中和した。ジエチルエーテル(4×150mL)を用いて溶液を抽出し、硫酸マグネシウム(無水)で乾燥し、濾過した。エーテル溶液にHCl(乾燥、ジエチルエーテル中1M、10mL)を加え、溶液を濾過し、濾液を真空下で乾燥することにより、5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロベンゼンアミニウム)クロリドをオフホワイトの粉末(21,47g、63%)として得た。
【0093】
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ 7.154(d、J=8.3Hz、2H)、δ 6.865(d、J=2.2Hz、2H)、δ 6.783(dd、J1=2.2Hz、J2=8.3Hz、2H)、δ 4.080(ブロード s、4H)
1,1’-(5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロ-5,1-フェニレン))ビス(3-メチル-3-(3-(メチルチオ)フェニル)グアニジン)の合成
【0094】
【化16】
5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロベンゼンアミニウム)クロリド(1.0g、2.6mmol)とN-メチル-N-(3-(メチルチオ)フェニル)シアナミド(1.83g、10.3mmol)との混合物を130℃に加熱した。この半固体の緩速攪拌融解物を17時間そのままにした後(1時間後のHPLC収量 約80%)、室温に冷却した。固体をDCM(25mL)中に溶解し、水(3×200mL)で抽出し、合わせた水相をDCM(50mL)で逆抽出した。水相をNaHCO
3で中和し、ジエチルエーテル(3×150mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム(約5g)で乾燥し、濾過し、減圧下で乾燥状態まで濃縮することにより、1,1’-(5,5’-ジスルファンジイルビス(2-クロロ-5,1-フェニレン))ビス(3-メチル-3-(3-(メチルチオ)フェニル)グアニジン)(1.16g、1.7mmol、67%、HPLC純度 94.8%)をオフホワイトの粉末として得た。
【0095】
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ 7.300(t、J=7.9Hz、2H)、δ 7.298(d、J=8.3Hz、2H)、δ 7.175(t、J=1.9Hz、2H)、δ 7.122(ddd、J1=1.0、J2=1.8Hz、J3=7.9Hz、2H)、δ 7.108(d、J=2.3Hz、2H)、δ 7.054(ddd、J1=1.0、J2=2.2Hz、J3=7.9Hz、2H)、δ 7.049(dd、J1=2.3、J2=8.3Hz、2H)、δ 3.893(ブロードs、4H)、δ 3.338(s、6H)、δ 2.494(s、6H).
実施例3:FASTlab(商標)上での[
18
F]フルオロエチルトシレートを用いた二量体前駆体のアルキル化
【0096】
【化17】
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)を用いて二量体前駆体を単量体チオールに還元した。還元剤と二量体前駆体とを混合する異なる方法を研究した。異なる量のNaBH
4を試験した(1~10mg、26~260umol、二量体のモル量に対して1.6~16当量)。研究したNaBH
4の最低量は26μmol、1.6当量であり、二量体前駆体を効果的かつ迅速にチオールに還元するのに十分であることが観察された。
【0097】
遊離チオールへの二量体前駆体の還元を[18F]フルオロエチルトシレート標識反応と並行してFASTlab試薬バイアル中で行った。室温でNaBH4のエタノール溶液を使用して95%を超える還元が5分で達成された。
【0098】
図1は、反応溶液のpHを増加させるために3.5%の水と共にエタノール中のNaBH
4のみを使用した時の粗[
18F]GE-179のトレースを示す。[
18F]GE-179の単離されなかった放射性化学物質の収率は53%であった。収率は粗トレースおよび単離された粗放射能(crude activity)から算出した。
【0099】
計量化学を使用するアルキル化条件の最適化:
・研究したパラメーター:前駆体の量、時間、および温度
・化学的不純物レベルおよび放射性化学物質の収率の最適化
・下記表に詳述する計12の実験
【0100】
【表2】
下記の表は、最高のRCYおよび最少の不純物量のための最良の反応条件をまとめたものである:
【0101】
【表3】
[
18F]GE-179用の分析方法:
0~1分 40%(B)
1~25分 40~95%(B)
25~30分 95%(B)
30~31分 95~40%(B)
31~33分 40%(B)
カラム
Luna C18(2)カラム、5u、150×4.6mm
移動相
移動相A(ポンプA):アセトニトリル(ポンプB)
ループサイズ 20μL
ポンプ速度 1mL/分
UV感度 0.2AUF
波長 254nm
移動相A:0.8%のトリエチルアミン(TEA)[TEA(8mL)および精製水(990mL)]。85%のH
3PO
4(約2.2mL)でpHを約7~7.5に調整し、校正したpH計を使用してpHを測定する。
【0102】
図2は、最適化の前および後の[
18F]GE-179の粗反応物のHPLCトレースである。1つ目のトレースは最適化前、2つ目は後の粗液である。不純物のレベルが顕著に減少したことが分かる。
【0103】
実施例4:固相抽出精製
FASTlab(商標)上で粗[18F]GE-179を精製するための固相抽出方法を以下の通りに開発した:
溶出液A:0.8%TEA[TEA(8ml)およびH2O(900ml)]、85%のH3PO4(約2.4ml)でpHを約7に調整。水10(ml)を水(1000μl)から取り出し、TEA(8ml)を加え、リン酸でpHを7に調整した。
【0104】
FASTlab(商標)Wash Eluent(50mL):50mLのメスシリンダーを使用して測定した洗浄溶出液(A)(30mL)を50mlの瓶に注ぐ。洗浄溶出液を含有する、50mLのメスシリンダーを使用して測定したアセトニトリル(B)(20mL)を50mlの瓶に注ぎ、混合する。
【0105】
1)カセットに2つの大きいエンバイロメンタルtC18カートリッジを装着する。処理の間、FASTlab(商標)上でエタノール(5mL)、続いて水(5mL)を用いてコンディショニングする。
【0106】
2)粗反応物を水(8mL)で希釈し、HCl(0.1M、4mL)を含有する外部バイアルに加えた。1つ目のコンディショニングされた大きいtC18に装着。(2つのシリンジの装着)
3)1回目の洗浄:1つ目のSPEのみ、FASTlab(商標)洗浄溶出液(2×5mL)での洗浄
4)2回目の洗浄:1つ目および2つ目のSPE、FASTlab(商標)洗浄溶出液(3×5mL)での洗浄
5)3回目の洗浄:2つ目のSPEのみ、水(2×7mL)での洗浄
6)酸性化エタノール(エタノール(50ml)およびHCl(4M)(300μL):1×2mLでの溶出
7)調合体積:30mL(10mM PBS溶液(28ml)および酸性化エタノール(2ml))
上記洗浄溶出液を溶出液A(30ml)およびMeCN(20ml)から作った(40%のMeCN:60%の溶出液A)。溶出液A:0.8%のTEA(TEA(8ml)およびH2O(900ml))、85%のH3PO4(約2.4ml)を用いてpHを約7~7.5に調整。
【0107】
図3は、SPEの精製の前および後の粗調製物を示す。
【0108】
該方法は、約10.000μgの前駆体の出発量から約50μg(1.7μg/ml)の全化学物質含有量に化学物質含有量を低下させることができた一方、調合された単離された非崩壊矯正収率14~19%を与えた。粗RCPは約60%であり、かつ処方されたRCPは99%より高かった。
本発明は、以下の態様を含む。
<1>
式I:
【化1】
(I)
(式中、
X
1
は、C
1~4
アルキルまたはハロから選択されるX基であり、
Y
1
は、水素またはC
1~4
アルキルから選択されるY基であり、
Z
1
は、C
1~4
アルキルであるZ基であり、かつ
Qは、[
11
C]C
1~4
アルキル-または[
18
F]-C
1~4
フルオロアルキル-である)の化合物を得るための方法であって、
(i)式II:
【化2】
(II)
(式中、
X
11
およびX
12
は同一であり、かつその両方がX
1
について定義したX基であり、
Y
11
およびY
12
は同一であり、かつその両方がY
1
について定義したY基であり、かつ
Z
11
およびZ
12
は同一であり、かつその両方がZ
1
について定義したZ基である)の化合物を還元するステップと、
(ii)前記ステップ(i)の生成物に塩基を加えて、[
11
C]C
1~4
アルキル-LG
1
または[
18
F]-C
1~4
フルオロアルキル-LG
2
(式中、LG
1
およびLG
2
は、独立してハロまたは-O-SO
2
-R
1
基であり、R
1
は、置換されていてもよいC
6~10
のアリール、置換されていてもよいC
1~4
アルキル、またはC
1~4
フルオロアルキルを表す)のいずれかと反応させるステップと
を含み、
ステップ(ii)において加えられる塩基:チオールのモル比が約0.2~1.0の範囲内である、
方法。
<2>
前記式IIの化合物が、式IIa:
【化3】
(IIa)
(式中、
X
11
およびX
12
が同一であり、かつその両方が<1>に定義されるX基であり、
Y
11
およびY
12
が同一であり、かつその両方が<1>に定義されるY基であり、かつ
Z
11
およびZ
12
が同一であり、かつその両方が<1>に定義されるZ基である)の化合物である、<1>に記載の方法。
<3>
前記X基がハロである、<1>または<2>のいずれかに記載の方法。
<4>
前記Y基がC
1~4
アルキルである、<1>乃至<3>のいずれかに記載の方法。
<5>
前記Z基がメチルである、<1>乃至<4>のいずれかに記載の方法。
<6>
前記X基がクロロであり、前記Y基がメチルであり、かつ前記Z基がメチルである、<1>乃至<5>のいずれかに記載の方法。
<7>
還元するステップ(i)が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4
)、遊離ホスフィン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、塩酸中の亜鉛、酢酸中の亜鉛、塩酸中のマグネシウム、エタノール中のテルル化水素ナトリウム(NaTeH)、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
4
)、塩化アンモニウム中のインジウム、および水素化ナトリウム(NaH)から選択される還元剤またはトリフェニルホスホンもしくはホスフィンなどの固体に結合した還元剤を使用して実行される、<1>乃至<6>のいずれかに記載の方法。
<8>
還元するステップ(i)が、NaBH
4
を使用して実行される、<1>乃至<7>のいずれかに記載の方法。
<9>
前記反応させるステップ(ii)において、前記チオール生成物を[
18
F]-C
1~4
フルオロアルキル-LG
2
と反応させる、<1>乃至<8>のいずれかに記載の方法。
<10>
前記式Iの化合物が、
【化4-1】
である、<1>乃至<9>のいずれかに記載の方法。
<11>
前記式IIの化合物が、
【化5】
である、<1>乃至<10>のいずれかに記載の方法。
<12>
前記還元するステップ(i)および前記反応させるステップ(ii)が、同一の容器中で実行される、<1>乃至<11>のいずれかに記載の方法。
<13>
前記反応させるステップ(ii)が、エタノール溶液中で実行される、<1>乃至<12>のいずれかに記載の方法。
<14>
塩基:チオールの前記比が約0.2~1.0である、<1>乃至<13>のいずれかに記載の方法。
<15>
塩基:チオールの前記比が約0.5~1.0である、<1>乃至<14>のいずれかに記載の方法。
<16>
前記前記反応ステップ(ii)が約5~15分間実行される、<1>乃至<15>のいずれかに記載の方法。
<17>
前記前記反応ステップ(ii)が約5~10分間実行される、<1>乃至<16>のいずれかに記載の方法。
<18>
前記前記反応ステップ(ii)が約5分間実行される、<1>乃至<17>のいずれかに記載の方法。
<19>
前記反応させるステップ(ii)が約0.02~0.04mmolのチオールを含む、<1>乃至<18>のいずれかに記載の方法。
<20>
前記反応させるステップ(ii)が約0.02~0.035mmolのチオールを含む、<1>乃至<19>のいずれかに記載の方法。
<21>
前記反応させるステップ(ii)が約0.03~0.035mmolのチオールを含む、<1>乃至<20>のいずれかに記載の方法。
<22>
前記反応させるステップ(ii)が約0.005~0.025mmolの塩基を含む、<1>乃至<21>のいずれかに記載の方法。
<23>
前記反応させるステップ(ii)が約0.01~0.025mmolの塩基を含む、<1>乃至<22>のいずれかに記載の方法。
<24>
前記反応させるステップ(ii)が約0.02~0.025mmolの塩基を含む、<1>乃至<23>のいずれかに記載の方法。
<25>
前記反応させるステップ(ii)が約80~120℃の温度で実行される、<1>乃至<24>のいずれかに記載の方法。
<26>
前記反応させるステップ(ii)が約100~120℃の温度で実行される、<1>乃至<25>のいずれかに記載の方法。
<27>
前記反応させるステップ(ii)が約105~110℃の温度で実行される、<1>乃至<26>のいずれかに記載の方法。
<28>
前記反応させるステップ(ii)が約110℃の温度で実行される、<1>乃至<27>のいずれかに記載の方法。
<29>
前記式Iの化合物が、
【化6-1】
であり、
前記式IIの化合物が、
【化7】
であり、
塩基:チオールの前記比が約0.7~0.75であり、かつ
前記反応させるステップ(ii)が約110℃で約5分間実行される、
<1>乃至<28>のいずれかに記載の方法。
<30>
固相抽出(SPE)を使用して、ステップ(ii)で得られた反応混合物を精製するステップ(iii)をさらに含む、<1>乃至<29>のいずれかに記載の方法。
<31>
前記SPEが、1または複数の逆相SPEカートリッジを使用して実行される、<30>に記載の方法。
<32>
前記SPEが、1または複数のエンバイロメンタルtC18 SPEカートリッジを使用して実行される、<30>に記載の方法。
<33>
前記SPEが、2つのtC18 SPEカートリッジを使用して実行される、<32>に記載の方法。
<34>
塩基性アセトニトリル水溶液を使用して前記tC18 SPEカートリッジから化学的不純物が除去され、かつ前記式Iの精製された化合物が、エタノール溶液を用いて前記tC18 SPEカートリッジから溶出される、<33>に記載の方法。
<35>
前記エタノール溶液が酸性化エタノール溶液である、<34>に記載の方法。
<36>
前記方法が自動化されている、<1>乃至<35>のいずれかに記載の方法。