(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】薄膜抵抗およびその製造方法、ならびに、薄膜抵抗を備えた電子部品
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240220BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L27/04 P
(21)【出願番号】P 2019061163
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 文悟
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-218901(JP,A)
【文献】特開2017-212299(JP,A)
【文献】特開2008-172173(JP,A)
【文献】特開2014-103205(JP,A)
【文献】特開2014-165458(JP,A)
【文献】特開2005-268746(JP,A)
【文献】特開平06-085100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/04
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロム珪化物を含む抵抗層を用意する工程と、
レーザ光を前記抵抗層の一部の領域に照射し、前記抵抗層における前記レーザ光の照射部にクロムを凝集させることにより、クロムの集塊からなるクロム凝集体を前記抵抗層の一部の領域に形成する工程と、を含む、薄膜抵抗の製造方法。
【請求項2】
前記クロム凝集体を形成する工程は、前記抵抗層を遮断可能なエネルギを有するレーザ光を用い、当該レーザ光を前記抵抗層に対して交差方向から、かつ、焦点をずらして前記抵抗層に照射することにより行う、請求項1に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項3】
前記クロム凝集体を形成する工程は、前記レーザ光を照射することにより、前記抵抗層に前記クロム凝集体を複数形成することを含む、請求項1または2に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項4】
前記クロム凝集体を形成する工程は、前記レーザ光を照射することにより、前記クロム凝集体を粒状または層状に形成することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項5】
前記クロム凝集体を形成する工程は、前記レーザ光を照射することにより、前記抵抗層の厚さを超える幅を有するクロム凝集体を形成することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項6】
前記抵抗層を用意する工程では、1μm以下の厚さを有する抵抗層を用意する、請求項1~5のいずれか一項に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項7】
前記クロム凝集体を形成する工程は、前記レーザ光の照射領域を調整することにより、
前記抵抗層の抵抗値を減少する方向に調整する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項8】
前記薄膜抵抗の製造方法は、
前記抵抗層を遮断可能なエネルギを有するレーザ光を用い、当該レーザ光を前記抵抗層に対して交差方向から前記抵抗層に焦点を合わせて照射し、前記抵抗層にトリミング痕を形成して前記抵抗層の抵抗値を増加する方向に調整する工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の薄膜抵抗の製造方法。
【請求項9】
半導体層と、
前記半導体層の上に配置された薄膜抵抗と、を含み、
前記薄膜抵抗は、
クロム珪化物を含み、第1抵抗を有する導電性の抵抗領域と、
前記抵抗領域に接続され、前記第1抵抗未満の第2抵抗を有する導電性の低抵抗領域であって、クロムの集塊からなるクロム凝集体およびクロム珪化物を含み、前記クロム珪化物に対する前記クロム凝集体の割合が前記抵抗領域よりも高い前記低抵抗領域と、を含む、電子部品。
【請求項10】
前記半導体層は、機能デバイスを含むデバイス領域、および、前記デバイス領域外の外側領域を含み、
前記薄膜抵抗は、前記外側領域に形成されている、請求項9に記載の電子部品。
【請求項11】
前記
半導体層の上に形成され、絶縁主面を有する絶縁層をさらに含み、
前記薄膜抵抗は、前記絶縁主面の上に形成されている、請求項9または10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記
半導体層の上に形成され、複数の絶縁層が積層された絶縁積層構造を有し、
前記薄膜抵抗は、前記絶縁積層構造内に形成されている、請求項9に記載の電子部品。
【請求項13】
前記絶縁積層構造内に形成された高電圧側の第1配線と、
前記絶縁積層構造内に形成された低電圧側の第2配線と、をさらに含み、
前記薄膜抵抗は、前記第1配線および前記第2配線の間に接続されている、請求項12に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜抵抗およびその製造方法、ならびに、薄膜抵抗を備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、クロム珪化物からなる薄膜抵抗を備えた電子部品を開示している。薄膜抵抗の抵抗値は、レーザ光を利用したトリミングによって増加方向に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、クロム珪化物を含む抵抗層を備える一方で、当該抵抗層の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗およびその製造方法、ならびに、そのような薄膜抵抗を備えた電子部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、クロム珪化物を含む抵抗層と、クロムの集塊からなり、前記抵抗層に形成されたクロム凝集体と、を含む、薄膜抵抗を提供する。
この薄膜抵抗によれば、クロム珪化物の比抵抗未満の比抵抗を有するクロム凝集体が抵抗層に形成されている。これにより、クロム珪化物を含む抵抗層を備える一方で、当該抵抗層の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗を提供できる。
【0006】
本発明の一実施形態は、クロム珪化物を含む抵抗層を用意する工程と、レーザ光を前記抵抗層に照射し、前記抵抗層における前記レーザ光の照射部にクロムを凝集させることにより、クロムの集塊からなるクロム凝集体を前記抵抗層に形成する工程と、を含む、薄膜抵抗の製造方法を提供する。
この薄膜抵抗の製造方法によれば、クロム珪化物の比抵抗未満の比抵抗を有するクロム凝集体が抵抗層に形成される。これにより、クロム珪化物を含む抵抗層を備える一方で、当該抵抗層の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗を製造し、提供できる。
【0007】
本発明の一実施形態は、主面を有する支持基板と、クロム珪化物を含む抵抗層、および、クロムの集塊からなり、前記抵抗層に形成されたクロム凝集体を含み、前記主面の上に形成された薄膜抵抗と、を含む、電子部品を提供する。
この電子部品によれば、クロム珪化物の比抵抗未満の比抵抗を有するクロム凝集体が抵抗層に形成されている。これにより、クロム珪化物を含む抵抗層を備える一方で、当該抵抗層の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗を含む電子部品を提供できる。
【0008】
本発明の一実施形態は、複数の絶縁層が積層された絶縁積層構造と、クロム珪化物を含む抵抗層、および、クロムの集塊からなり、前記抵抗層に形成されたクロム凝集体を含み、前記絶縁積層構造内に形成された薄膜抵抗と、を含む、電子部品を提供する。
この電子部品によれば、クロム珪化物の比抵抗未満の比抵抗を有するクロム凝集体が抵抗層に形成されている。これにより、クロム珪化物を含む抵抗層を備える一方で、当該抵抗層の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗を含む電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品を示す模式的な平面図であって、第1形態例に係る薄膜抵抗が組み込まれた形態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、クロム凝集体が形成された領域を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、トリミング痕が形成された領域を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図9A】
図9Aは、第2形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図9B】
図9Bは、第3形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図9C】
図9Cは、第4形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図9D】
図9Dは、第5形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図9E】
図9Eは、第6形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図9F】
図9Fは、第7形態例に係る薄膜抵抗を示す平面図である。
【
図10A】
図10Aは、
図2に対応する部分の断面図であって、
図1に示す電子部品の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る電子部品を示す模式的な平面図であって、第1形態例に係る薄膜抵抗が組み込まれた形態を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る電子部品および第2実施形態に係る電子部品の第1形態例に係る電気的構造を示す回路図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る電子部品および第2実施形態に係る電子部品の第1形態例に係る電気的構造を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品1を示す模式的な平面図であって、第1形態例に係る薄膜抵抗35が組み込まれた形態を示す平面図である。
電子部品1は、導体材料もしくは半導体材料、または、半導体材料の性質等を利用して形成される種々の機能デバイスを含む半導体装置である。電子部品1は、支持基板の一例としての半導体層2を含む。
【0011】
半導体層2は、直方体形状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A,5B,5C,5Dを含む。第1主面3は、デバイス形成面である。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。
【0012】
半導体層2は、Si(シリコン)を含むSi半導体層であってもよい。Si半導体層は、Si半導体基板およびSiエピタキシャル層を含む積層構造を有していてもよい。Si半導体層は、Si半導体基板からなる単層構造を有していてもよい。
半導体層2は、SiC(炭化シリコン)を含むSiC半導体層であってもよい。SiC半導体層は、SiC半導体基板およびSiCエピタキシャル層を含む積層構造を有していてもよい。SiC半導体層は、SiC半導体基板からなる単層構造を有していてもよい。
【0013】
半導体層2は、化合物半導体材料を含む化合物半導体層であってもよい。化合物半導体層は、化合物半導体基板および化合物半導体エピタキシャル層を含む積層構造を有していてもよい。化合物半導体層は、化合物半導体基板からなる単層構造を有していてもよい。
化合物半導体材料は、III-V族化合物半導体材料であってもよい。半導体層2は、III-V族化合物半導体材料の一例としてのAlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0014】
半導体層2は、デバイス領域6および外側領域7を含む。デバイス領域6は、機能デバイスが形成された領域である。デバイス領域6は、半導体層2の側面5A~5Dから内方領域に間隔を空けて設定されている。デバイス領域6は、この形態では平面視においてL字形状に形成されている。デバイス領域6の平面形状は、任意であり、
図1に示される平面形状に限定されない。
【0015】
機能デバイスは、第1主面3および/または第1主面3の表層部を利用して形成されている。機能デバイスは、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、半導体受動デバイスを含んでいてもよい。
受動デバイス(半導体受動デバイス)は、抵抗、コンデンサおよびコイルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0016】
半導体スイッチングデバイスは、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MISFET(Metal Insulator Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)、および、JFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
機能デバイスは、受動デバイス(半導体受動デバイス)、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。集積回路は、SSI(Small Scale Integration)、LSI(Large Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)またはULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)を含んでいてもよい。
【0017】
外側領域7は、デバイス領域6の外側の領域である。外側領域7は、機能デバイスを含まない。外側領域7は、この形態では、側面5A~5Dおよびデバイス領域6の間の領域に区画されている。外側領域7は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。外側領域7の配置および平面形状は、任意であり、
図1に示される配置および平面形状に限定されない。外側領域7は、平面視において第1主面3の中央部に形成されていてもよい。
【0018】
電子部品1は、抵抗回路10を含む。この形態では、1つの抵抗回路10が形成された例について説明するが、複数(2つ以上)の抵抗回路10が形成されていてもよい。抵抗回路10は、機能デバイスに電気的に接続されている。
抵抗回路10は、外側領域7に形成されている。これにより、抵抗回路10がデバイス領域6に与える電気的な影響を抑制し、デバイス領域6が抵抗回路10に与える電気的な影響を抑制できる。一例として、デバイス領域6および抵抗回路10の間の寄生容量を抑制できる。つまり、ノイズの低減およびQ値の向上を図ることができる。
【0019】
以下、抵抗回路10の構造について具体的に説明する。
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3は、
図2に示す領域IIIの拡大図である。
図4は、
図2に示す領域IVの拡大図である。
図2~
図4を参照して、電子部品1は、デバイス領域6および外側領域7において、半導体層2の第1主面3の上に形成された絶縁積層構造12を含む。絶縁積層構造12は、複数(この形態では4層)の絶縁層が積層された積層構造を有している。絶縁層の積層数は任意であり、
図2に示される積層数に限定されない。絶縁積層構造12は、4層未満の絶縁層を含んでいてもよいし、5層以上の絶縁層を含んでいてもよい。
【0020】
絶縁積層構造12は、この形態では、半導体層2の第1主面3側からこの順に積層された第1絶縁層13、第2絶縁層14、第3絶縁層15および第4絶縁層16を含む。第1~第4絶縁層13~16に係る「第1」、「第2」、「第3」および「第4」の用語は、図中の絶縁層を識別するために付したものであり、順列を付することを意図しない。
第1~第4絶縁層13~16は、絶縁主面をそれぞれ有している。第1~第4絶縁層13~16の絶縁主面は、それぞれ平坦に形成されている。第1~第4絶縁層13~16の絶縁主面は、第1主面3に対して平行にそれぞれ延びている。第1~第4絶縁層13~16の絶縁主面は、それぞれ研削面であってもよい。第1~第4絶縁層13~16の絶縁主面は、研削痕をそれぞれ有していてもよい。
【0021】
第1~第4絶縁層13~16は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造をそれぞれ有していてもよい。この場合、酸化シリコン層の上に窒化シリコン層が形成されていてもよいし、窒化シリコン層の上に酸化シリコン層が形成されていてもよい。
第1~第4絶縁層13~16は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造をそれぞれ有していてもよい。第1~第4絶縁層13~16は、同一種からなる絶縁材料によって形成されていてもよいし、異なる絶縁材料によって形成されていてもよい。第1~第4絶縁層13~16は、同一種からなる絶縁材料によって形成されていることが好ましい。第1~第4絶縁層13~16は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造をそれぞれ有している。
【0022】
第1~第4絶縁層13~16の厚さTIは、それぞれ、100nm以上3500nm以下であってもよい。厚さTIは、それぞれ、100nm以上500nm以下、500nm以上1000nm以下、1000nm以上1500nm以下、1500nm以上2000nm以下、2000nm以上2500nm以下、2500nm以上3000nm以下、または、3000nm以上3500nm以下であってもよい。厚さTIは、それぞれ、100nm以上1500nm以下であることが好ましい。第1~第4絶縁層13~16の厚さTIは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0023】
絶縁積層構造12は、第1~第4絶縁層13~16内に形成された複数の配線を含む。絶縁積層構造12は、より具体的には、配線回路形成層21および抵抗回路形成層22を含む。
配線回路形成層21は、第1絶縁層13および第2絶縁層14を含む。また、配線回路形成層21は、第1絶縁層13および第2絶縁層14に形成された配線回路を含む。配線回路形成層21の配線回路は、デバイス領域6から外側領域7に引き回されている。配線回路形成層21の具体的な構造については、後述する。
【0024】
抵抗回路形成層22は、配線回路形成層21の上に形成されている。抵抗回路形成層22は、第3絶縁層15および第4絶縁層16を含む。また、抵抗回路形成層22は、第3絶縁層15および第4絶縁層16に形成された抵抗回路10を含む。抵抗回路10は、配線回路形成層21の配線回路を介してデバイス領域6(機能デバイス)に電気的に接続されている。
【0025】
図1~
図3を参照して、抵抗回路10は、第1ビア電極23および第2ビア電極24を含む。第1ビア電極23は、第3絶縁層15に埋め込まれ、第3絶縁層15の絶縁主面から露出している。第2ビア電極24は、第1ビア電極23から間隔を空けて第3絶縁層15に埋め込まれ、第3絶縁層15の絶縁主面から露出している。
第1ビア電極23は、この形態では、平面視において円形状に形成されている。第1ビア電極23の平面形状は任意である。第1ビア電極23は、平面視において三角形状、四角形状もしくは六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0026】
第1ビア電極23は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、一方側の第1端部23aおよび他方側の第2端部23bを含む。第1端部23aは、第3絶縁層15の絶縁主面から露出している。第2端部23bは、第3絶縁層15内に位置している。第1ビア電極23は、断面視において第1端部23aから第2端部23bに向けて幅が狭まる先細り形状に形成されている。
【0027】
第1端部23aは、この形態では、第3絶縁層15の絶縁主面から第4絶縁層16に向けて突出した第1突出部23cを含む。第1突出部23cは、第1ビア電極23の主面および側面によって形成されている。
第1ビア電極23は、本体層25およびバリア層26を含む積層構造を有している。本体層25は、第3絶縁層15に埋め込まれている。本体層25は、タングステン(W)または銅(Cu)を含んでいてもよい。本体層25は、この形態では、タングステン層27からなる単層構造を有している。
【0028】
バリア層26は、第3絶縁層15および本体層25の間に介在されている。バリア層26は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。バリア層26は、この形態では、第3絶縁層15からこの順に形成されたTi層28およびTiN層29を含む。Ti層28は、第3絶縁層15に接している。TiN層29は、本体層25に接している。バリア層26は、Ti層28またはTiN層29からなる単層構造を有していてもよい。
【0029】
第2ビア電極24は、この形態では、平面視において円形状に形成されている。第2ビア電極24の平面形状は任意である。第2ビア電極24は、平面視において三角形状、四角形状もしくは六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
第2ビア電極24は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、一方側の第1端部24aおよび他方側の第2端部24bを含む。第1端部24aは、第3絶縁層15の絶縁主面から露出している。第2端部24bは、第3絶縁層15内に位置している。第2ビア電極24は、断面視において第1端部24aから第2端部24bに向けて幅が狭まる先細り形状に形成されている。
【0030】
第1端部24aは、この形態では、第3絶縁層15の絶縁主面から第4絶縁層16に向けて突出した第2突出部24cを含む。第2突出部24cは、第2ビア電極24の主面および側面によって形成されている。
第2ビア電極24は、本体層30およびバリア層31を含む積層構造を有している。本体層30は、第3絶縁層15に埋め込まれている。本体層30は、タングステン(W)または銅(Cu)を含んでいてもよい。本体層30は、この形態では、タングステン層32からなる単層構造を有している。
【0031】
バリア層31は、第3絶縁層15および本体層30の間に介在されている。バリア層31は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。バリア層31は、この形態では、第3絶縁層15からこの順に形成されたTi層33およびTiN層34を含む。Ti層33は、第3絶縁層15に接している。TiN層34は、本体層30に接している。バリア層31は、Ti層33またはTiN層34からなる単層構造を有していてもよい。
【0032】
図2~
図4を参照して、抵抗回路10は、絶縁積層構造12内に形成された薄膜抵抗35を含む。薄膜抵抗35は、抵抗回路形成層22に形成されている。つまり、薄膜抵抗35は、第1主面3の上に形成されている。薄膜抵抗35は、より具体的には、第1主面3から絶縁積層構造12の積層方向に間隔を空けて形成されている。
薄膜抵抗35は、外側領域7に形成されている。これにより、薄膜抵抗35がデバイス領域6に与える電気的な影響を抑制し、デバイス領域6が薄膜抵抗35に与える電気的な影響を抑制できる。一例として、デバイス領域6および薄膜抵抗35の間の寄生容量を抑制できる。つまり、ノイズの低減およびQ値の向上を図ることができる。
【0033】
薄膜抵抗35は、より具体的には、第3絶縁層15および第4絶縁層16の間の領域に介在されている。薄膜抵抗35は、第3絶縁層15の絶縁主面の上に膜状に形成されている。薄膜抵抗35は、第3絶縁層15の絶縁主面を専有している。第3絶縁層15の絶縁主面の上には、デバイス領域6および外側領域7において薄膜抵抗35以外の膜状または層状の配線は形成されていない。第3絶縁層15は、薄膜抵抗35を形成するために設けられている。
【0034】
図5は、薄膜抵抗35を示す平面図である。
図6は、
図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、クロム凝集体37が形成された領域を拡大して示す模式的な断面図である。
図8は、トリミング痕38が形成された領域を拡大して示す模式的な断面図である。
図5および
図6を参照して、薄膜抵抗35は、第1ビア電極23および第2ビア電極24に跨るように形成されている。これにより、薄膜抵抗35は、第1ビア電極23および第2ビア電極24に電気的に接続されている。薄膜抵抗35は、この形態では、平面視において四角形状(より具体的には長方形状)に形成されている。薄膜抵抗35の平面形状は、任意であり、四角形状に限定されない。
【0035】
薄膜抵抗35は、一方側の第1端部35a、他方側の第2端部35b、ならびに、第1端部35aおよび第2端部35bを接続する接続部35cを含む。第1端部35aは、第1ビア電極23を被覆している。第1端部35aは、より具体的には、第1ビア電極23の第1端部23a(第1突出部23c)を被覆している。第1端部35aは、第1ビア電極23の主面および側面に沿って膜状に形成されている。
【0036】
第2端部35bは、第2ビア電極24を被覆している。第2端部35bは、より具体的には、第2ビア電極24の第1端部24a(第2突出部24c)を被覆している。第2端部35bは、第2ビア電極24の主面および側面に沿って膜状に形成されている。
接続部35cは、第1端部35aおよび第2端部35bの間の領域を帯状に延びている。接続部35cは、この形態では、第1端部35aおよび第2端部35bを結ぶ直線に沿って帯状に延びている。第1端部35a、第2端部35bおよび接続部35cは、この形態では、一様な幅で形成されている。
【0037】
薄膜抵抗35は、クロム珪化物を含む抵抗層36、および、クロムの集塊からなり、抵抗層36に形成されたクロム凝集体37を含む。抵抗層36は、この形態では、結晶化したクロム珪化物を含む。抵抗層36は、いわゆる、金属珪化物薄膜抵抗である。金属珪化物薄膜抵抗からなる抵抗層36によれば、導電性ポリシリコン等と異なり、薄膜化および平面面積の縮小を適切に図ることができる。
【0038】
これにより、平坦性を確保しながら、第3絶縁層15および第4絶縁層16の間の領域に抵抗層36を適切に介在させることができる。また、抵抗層36の平面面積を適切に縮小できるから、デザインルールを緩和できる。これにより、抵抗層36を外側領域7に適切に配置できる。よって、抵抗層36およびデバイス領域6の相互間における電気的影響を適切に抑制できる。
【0039】
抵抗層36は、クロム珪化物の一例として、CrSi、CrSi2、CrSiNおよびCrSiOのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。CrSiNは、クロム窒化物でもある。CrSiOは、クロム酸化物でもある。抵抗層36は、この形態では、CrSiからなる。
抵抗層36は、1μm以下の厚さTRを有している。厚さTRは、500nm以下であることが好ましい。厚さTRは、0.1nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。厚さTRは、0.1nm以上5nm以下、5nm以上10nm以下、10nm以上20nm以下、20nm以上40nm以下、40nm以上60nm以下、60nm以上80nm以下、または、80nm以上100nm以下であってもよい。厚さTRは、1nm以上5nm以下であることが最も好ましい。
【0040】
抵抗層36のシート抵抗値RTは、100Ω/□以上50000Ω/□以下であってもよい。シート抵抗値RTは、100Ω/□以上5000Ω/□以下、5000Ω/□以上10000Ω/□以下、10000Ω/□以上15000Ω/□以下、15000Ω/□以上20000Ω/□以下、20000Ω/□以上25000Ω/□以下、25000Ω/□以上30000Ω/□以下、30000Ω/□以上35000Ω/□以下、35000Ω/□以上40000Ω/□以下、40000Ω/□以上45000Ω/□以下、または、45000Ω/□以上50000Ω/□以下であってもよい。
【0041】
抵抗層36の総重量に対するクロムの含有量は、5重量%以上50重量%以下であってもよい。Crの含有量は、5重量%以上10重量%以下、10重量%以上20重量%以下、20重量%以上30重量%以下、30重量%以上40重量%以下、または、40重量%50重量%以下であってもよい。
図5~
図7を参照して、クロム凝集体37は、抵抗層36の任意の領域に不規則に複数形成されている。
図5および
図6では、クロム凝集体37が形成された領域がクロスハッチングによって示されている。クロム凝集体37は、クロムからなる。クロム凝集体37は、微量のシリコンを含んでいてもよい。クロム凝集体37は、抵抗層36の比抵抗ρ1未満の比抵抗ρ2(ρ2<ρ1)を有している。
【0042】
クロム凝集体37は、抵抗層36に電気的に接続されている。クロム凝集体37は、抵抗層36に直列接続されていてもよいし、抵抗層36に並列接続されていてもよい。複数のクロム凝集体37は、互いに直接接続されていてもよいし、抵抗層36を介して互いに電気的に接続されていてもよい。複数のクロム凝集体37は、互いに電気的に接続されることにより、抵抗層36内において全体として抵抗層36の抵抗値未満の抵抗値を有する低抵抗領域37aを形成している。
【0043】
抵抗層36の抵抗値は、クロム凝集体37によって低下される。抵抗層36の抵抗値は、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合が調整されることにより、減少方向に調整される。抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を増加させることにより、抵抗層36の抵抗値をクロムの抵抗値に近づけることができる。これとは反対に、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を減少させることにより、抵抗層36の抵抗値を、クロム珪化物の抵抗値に近づけることができる。
【0044】
クロム凝集体37は、クロム珪化物が溶融し、再度硬化するときにクロム珪化物に含まれるクロムが凝集することによって形成されている。クロム凝集体37は、この形態では、レーザ光を抵抗層36に照射し、抵抗層36におけるレーザ光の照射部にクロムを凝集させることによって形成されている。
レーザ光の照射前後において、抵抗層36の平面面積および厚さTRは殆ど変化しない。レーザ照射法によれば、抵抗層36のサイズを維持しながら、クロム凝集体37を形成できる。また、レーザ照射法によれば、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を適切に制御できる。これにより、抵抗層36の抵抗値を柔軟に減少方向に調整できる。
【0045】
複数のクロム凝集体37は、抵抗層36の全域に形成されていてもよいし、抵抗層36の一部の領域に形成されていてもよい。ただし、抵抗層36の全域に複数のクロム凝集体37を形成する場合、抵抗層36の全域にレーザ光を照射する必要があるため、製造時間が増加する。また、抵抗層36の全域に複数のクロム凝集体37を形成する場合には、クロムからなる薄膜抵抗35を形成する方が合理的である。したがって、複数のクロム凝集体37は、抵抗層36の一部が残存する態様で形成されることが好ましい。
【0046】
一例として、複数のクロム凝集体37は、抵抗層36において0%を超えて50%以下の領域に形成されることが好ましい。複数のクロム凝集体37は、抵抗層36において、0%を超えて5%以下の領域、5%以上10%以下の領域、10%以上15%以下の領域、15%以上20%以下の領域、20%以上30%以下の領域、30%以上40%以下の領域、または、40%以上50%以下の領域に形成されていてもよい。これらの場合、製造遅延を抑制しながら、抵抗層36の抵抗値を減少方向に適切に微調整できる。
【0047】
別の例として、複数のクロム凝集体37は、抵抗層36の抵抗値が0%を超えて50%以下の範囲で減少するように形成されてもよい。複数のクロム凝集体37は、抵抗層36の抵抗値が、0%を超えて5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上30%以下、30%以上40%以下、または、40%以上50%以下の範囲で減少するように形成されてもよい。これらの場合、製造遅延を抑制しながら、抵抗層36の抵抗値を減少方向に適切に微調整できる。
【0048】
薄膜抵抗35は、粒状または層状(膜状)に形成された1つまたは複数のクロム凝集体37を含む。薄膜抵抗35は、複数のクロム凝集体37が互いに連なった1つまたは複数の層状(膜状)のクロム凝集体37を含んでいてもよい。薄膜抵抗35は、抵抗層36の厚さTRを超える幅WC(TR<TC)を有する1つまたは複数のクロム凝集体37を含む。
【0049】
薄膜抵抗35は、抵抗層36の厚さTR未満の厚さTC(TC<TR)を有する1つまたは複数のクロム凝集体37を含んでいてもよい。薄膜抵抗35は、抵抗層36の厚さTRを超える厚さTC(TR<TC)を有する1つまたは複数のクロム凝集体37を含んでいてもよい。
薄膜抵抗35は、抵抗層36の下面および上面から露出する1つまたは複数のクロム凝集体37を含んでいてもよい。薄膜抵抗35は、抵抗層36の下面または上面から部分的に露出する1つまたは複数のクロム凝集体37を含んでいてもよい。薄膜抵抗35は、抵抗層36によって全域が被覆された1つまたは複数のクロム凝集体37を含んでいてもよい。
【0050】
図5、
図6および
図8を参照して、薄膜抵抗35は、抵抗層36に形成されたトリミング痕38を含む。
図5および
図6では、トリミング痕38がドット状のハッチングによって示されている。
トリミング痕38は、抵抗層36(クロム珪化物)の一部が消失した領域である。トリミング痕38は、より具体的には、抵抗層36(クロム珪化物)の一部がレーザ照射法によって消失したレーザ加工痕である。
【0051】
トリミング痕38は、この形態では、抵抗層36(接続部35c)においてクロム凝集体37が形成された領域(低抵抗領域37a)から間隔を空けて形成されている。トリミング痕38は、第1端部35aおよび第2端部35bのいずれか一方または双方に形成されていてもよい。
トリミング痕38は、抵抗層36が延びる方向に交差する方向に延びている。トリミング痕38は、この形態では、抵抗層36が延びる方向に直交する方向に延びている。トリミング痕38は、抵抗層36が延びる方向に延びていてもよい。
【0052】
トリミング痕38は、抵抗層36から間隔を空けて不規則に形成された複数の導電性残渣物39aを含む。複数の導電性残渣物39aは、抵抗層36から分離した部分である。複数の導電性残渣物39aは、より具体的には、レーザ照射法によって抵抗層36から脱離された部分である。複数の導電性残渣物39aは、抵抗層36から電気的に絶縁されている。
【0053】
トリミング痕38は、複数の導電性残渣物39aを被覆する絶縁物39bを含む。絶縁物39bは、抵抗層36および導電性残渣物39aの間に介在している。絶縁物39bは、複数の導電性残渣物39aの間に介在している。
絶縁物39bは、この形態では、酸化シリコンを含む。絶縁物39bは、クロム珪化物のシリコンに起因して形成された酸化シリコンを含んでいてもよいし、後述する保護層40の一部を含んでいてもよい。絶縁物39bによって、抵抗層36および複数の導電性残渣物39aの間の絶縁性が高められる。
【0054】
抵抗層36の抵抗値は、トリミング痕38の個数、形状、長さ、配置等によって増加方向に調整される。抵抗層36の抵抗値は、クロム凝集体37およびトリミング痕38の組み合わせによって、減少方向および増加方向の双方向に調整される。これにより、薄膜抵抗35の抵抗値を適切に調整できる。トリミング痕38は必ずしも形成されている必要はない。したがって、トリミング痕38を有さない抵抗層36が形成されてもよい。
【0055】
薄膜抵抗35は、種々の形態を取り得る。以下、
図9A~
図9Fを参照して、薄膜抵抗35の他の形態例について説明する。
図9Aは、第2形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Aを参照して、薄膜抵抗35は、平面視において抵抗層36においてクロム凝集体37を含む領域(低抵抗領域37a)に重なるトリミング痕38を有していてもよい。
【0056】
この形態では、トリミング痕38の全部が、クロム凝集体37を含む領域(低抵抗領域37a)に形成されている。トリミング痕38の一部が、クロム凝集体37を含む領域(低抵抗領域37a)に位置していてもよい。つまり、クロム凝集体37を含む領域(低抵抗領域37a)を横切るトリミング痕38が形成されていてもよい。
図9Bは、第3形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Bを参照して、複数のトリミング痕38を含む薄膜抵抗35が形成されてもよい。
【0057】
複数のトリミング痕38は、接続部35cが延びる方向に交差する方向にそれぞれ延びている。複数のトリミング痕38は、この形態では、接続部35cが延びる方向に直交する方向にそれぞれ延びている。複数のトリミング痕38は、この形態では、1つまたは複数(この形態では3つ)の第1トリミング痕38Aおよび1つまたは複数(この形態では3つ)の第2トリミング痕38Bを含む。
【0058】
複数の第1トリミング痕38Aは、接続部35cにおいて長手方向に沿って延びる一方の辺に間隔を空けて形成されている。複数の第2トリミング痕38Bは、接続部35cにおいて長手方向に沿って延びる他方の辺に間隔を空けて形成されている。複数の第2トリミング痕38Bは、長手方向に沿って複数の第1トリミング痕38Aと交互に形成されている。これにより、薄膜抵抗35は、平面視において全体として葛折り状に形成されている。
【0059】
図9Cは、第4形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Cを参照して、異なる幅をそれぞれ有する第1端部35a、第2端部35bおよび接続部35cを含む薄膜抵抗35が形成されてもよい。
第1端部35aは、より具体的には、接続部35cとは異なる幅で形成されている。第2端部35bは、接続部35cとは異なる幅で形成されている。第2端部35bは、この形態では、第1端部35aと等しい幅で形成されている。第2端部35bは、第1端部35aとは異なる幅で形成されていてもよい。接続部35cは、第1端部35aの幅および第2端部35bの幅よりも狭い幅を有している。
【0060】
第1端部35aは、この形態では、平面視において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。第1端部35aの平面形状は任意である。第1端部35aは、平面視において三角形状、六角形状等の多角形状に形成されていてもよい。第1端部35aは、平面視において円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
第2端部35bは、平面視において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。第2端部35bの平面形状は任意である。第2端部35bは、平面視において三角形状、六角形状等の多角形状に形成されていてもよい。第2端部35bは、平面視において円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
【0061】
図9Dは、第5形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Dを参照して、異なる幅をそれぞれ有する第1端部35a、第2端部35bおよび接続部35cを含む薄膜抵抗35が形成されてもよい。
第1端部35aは、接続部35cとは異なる幅で形成されている。第2端部35bは、接続部35cとは異なる幅で形成されている。第2端部35bは、この形態では、第1端部35aと等しい幅で形成されている。第2端部35bは、第1端部35aとは異なる幅で形成されていてもよい。
【0062】
接続部35cは、第1端部35aの幅および第2端部35bの幅よりも狭い幅を有している。接続部35cは、この形態では、平面視において第1端部35aおよび第2端部35bの間の領域を葛折り状に延びている。
第1端部35aは、この形態では、平面視において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。第1端部35aの平面形状は任意である。第1端部35aは、平面視において三角形状、六角形状等の多角形状に形成されていてもよい。第1端部35aは、平面視において円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
【0063】
第2端部35bは、平面視において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。第2端部35bの平面形状は任意である。第2端部35bは、平面視において三角形状、六角形状等の多角形状に形成されていてもよい。第2端部35bは、平面視において円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
図9Eは、第6形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Fを参照して、第1端部35a、第2端部35bおよび接続部35cに加えて、引き出し部35dをさらに含む薄膜抵抗35が形成されてもよい。
【0064】
引き出し部35dは、接続部35cから、接続部35cが延びる方向に交差する方向に引き出されている。引き出し部35dは、より具体的には、接続部35cが延びる方向に直交する方向に引き出されている。引き出し部35dは、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
引き出し部35dは、トリミング痕38が形成される領域である。この形態では、1つのトリミング痕38が、引き出し部35dに形成されている。複数のトリミング痕38が、引き出し部35dに形成されていてもよい。トリミング痕38を有さない引き出し部35dが形成されていてもよい。
【0065】
クロム凝集体37は、接続部35cおよび/または引き出し部35dに形成されていてもよい。
図9Eでは、クロム凝集体37が接続部35cおよび引き出し部35dに形成された例が示されている。
図9Fは、第7形態例に係る薄膜抵抗35を示す平面図である。以下では、
図1~
図8において述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図9Fを参照して、複数(この形態では、2つ)の第1ビア電極23および複数(この形態では、2つ)の第2ビア電極24に電気的に接続された薄膜抵抗35が形成されてもよい。つまり、抵抗回路10は、複数の第1ビア電極23および複数の第2ビア電極24を含んでいてもよい。
【0066】
第1ビア電極23の個数および第2ビア電極24の個数は、任意である。第1ビア電極23の個数および第2ビア電極24の個数は、互いに異なっていてもよい。第1ビア電極23の個数は、第2ビア電極24の個数未満であってもよい。
第1ビア電極23の個数は、第2ビア電極24の個数を超えていてもよい。1つの第1ビア電極23が形成されている一方で、複数の第2ビア電極24が形成されていてもよい。複数の第1ビア電極23が形成されている一方で、1つの第2ビア電極24が形成されていてもよい。
【0067】
第1形態例、第2形態例、第3形態例、第4形態例、第5形態例、第6形態例、第7形態例に係る薄膜抵抗35の特徴は、それらの間で任意の態様および任意の形態で組み合わされることができる。第1~第7形態例に係る薄膜抵抗35の特徴のうちの少なくとも2つの特徴が組み合わされた形態を有する薄膜抵抗35が採用されてもよい。たとえば、第7形態例に係る薄膜抵抗35の特徴が、第1~第6形態例に係る薄膜抵抗35に組み込まれてもよい。
【0068】
図2~
図4を再度参照して、抵抗回路10は、薄膜抵抗35を被覆する保護層40を含む。保護層40は、第3絶縁層15および第4絶縁層16の間の領域に介在し、薄膜抵抗35を被覆している。保護層40は、より具体的には、抵抗層36の露出面およびクロム凝集体37の露出面に沿って膜状に形成されている。
保護層40は、さらに、トリミング痕38を被覆している。保護層40は、トリミング痕38において、導電性残渣物39aを被覆していてもよい。保護層40は、トリミング痕38において絶縁物39bの一部または全部を形成していてもよい。
【0069】
保護層40は、抵抗層36(薄膜抵抗35)の平面形状に整合する平面形状を有している。保護層40は、抵抗層36の側面に連なる側面を有していてもよい。保護層40の側面は、抵抗層36の側面に面一に形成されていてもよい。
保護層40は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。この場合、酸化シリコン層の上に窒化シリコン層が形成されていてもよいし、窒化シリコン層の上に酸化シリコン層が形成されていてもよい。保護層40は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。保護層40は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0070】
保護層40の厚さは、1nm以上5μm以下であってもよい。保護層40の厚さは、1nm以上10nm以下、10nm以上50nm以下、50nm以上100nm以下、100nm以上200nm以下、200nm以上400nm以下、400nm以上600nm以下、600nm以上800nm以下、または、800nm以上1μm以下であってもよい。
【0071】
保護層40の厚さは、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。
保護層40の厚さは、抵抗層36の厚さTR以上であることが好ましい。抵抗層36の厚さTR以上の厚さを有する保護層40によれば、抵抗層36に形成された隆起を適切に埋めることができる。
【0072】
抵抗回路10は、第1下側配線層41および第2下側配線層42を含む。第1下側配線層41は、第3絶縁層15内に形成されている。第1下側配線層41は、より具体的には、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上に形成され、第3絶縁層15によって被覆されている。第1下側配線層41は、第1ビア電極23を介して薄膜抵抗35に電気的に接続されている。
【0073】
第2下側配線層42は、第3絶縁層15内に形成されている。第2下側配線層42は、より具体的には、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上に形成され、第3絶縁層15によって被覆されている。第2下側配線層42は、第1下側配線層41から間隔を空けて形成されている。第2下側配線層42は、第2ビア電極24を介して薄膜抵抗35に電気的に接続されている。
【0074】
これにより、薄膜抵抗35は、第1下側配線層41および第2下側配線層42に直列接続されている。薄膜抵抗35は、平面視において第1下側配線層41および第2下側配線層42を結ぶライン上に形成されている。薄膜抵抗35は、この形態では、平面視において第1下側配線層41および第2下側配線層42の間の領域を直線状に延びている。
第1下側配線層41および第2下側配線層42は、第1厚さTL1をそれぞれ有している。第1厚さTL1は、100nm以上3000nm以下であってもよい。第1厚さTL1は、それぞれ、100nm以上500nm以下、500nm以上1000nm以下、1000nm以上1500nm以下、1500nm以上2000nm以下、2000nm以上2500nm以下、または、2500nm以上3000nm以下であってもよい。
【0075】
第1厚さTL1は、100nm以上1500nm以下であることが好ましい。第1下側配線層41の第1厚さTL1および第2下側配線層42の第1厚さTL1は、互いに異なっていてもよい。第1下側配線層41の第1厚さTL1および第2下側配線層42の第1厚さTL1は、互いに等しいことが好ましい。
図3を参照して、第1下側配線層41は、一方側の第1端部41a、他方側の第2端部41b、ならびに、第1端部41aおよび第2端部41bを接続する接続部41cを含む。第1端部41aは、平面視において薄膜抵抗35の第1端部35aに重なっている。第1端部41aは、第1ビア電極23を介して薄膜抵抗35の第1端部35aに電気的に接続されている。
【0076】
第2端部41bは、平面視において薄膜抵抗35外の領域に位置している。第2端部41bは、この形態では、外側領域7に位置している。接続部41cは、平面視において第1端部41aおよび第2端部41bの間の領域を帯状に延びている。接続部41cは、この形態では、第1端部41aおよび第2端部41bを結ぶ直線に沿って帯状に延びている。
【0077】
第1下側配線層41は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。第1下側配線層41は、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層された第1バリア層43、本体層44および第2バリア層45を含む。
第1バリア層43は、この形態では、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層されたTi層46およびTiN層47を含む積層構造を有している。第1バリア層43は、Ti層46またはTiN層47からなる単層構造を有していてもよい。
【0078】
本体層44は、第1バリア層43の抵抗値および第2バリア層45の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体層44は、第1バリア層43の厚さおよび第2バリア層45の厚さを超える厚さを有している。本体層44は、Al、Cu、AlSiCu合金、AlSi合金およびAlCu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。本体層44は、この形態では、AlCu合金層48からなる単層構造を有している。
【0079】
第2バリア層45は、この形態では、本体層44の上からこの順に積層されたTi層49およびTiN層50を含む積層構造を有している。第2バリア層45は、Ti層49またはTiN層50からなる単層構造を有していてもよい。
図4を参照して、第2下側配線層42は、一方側の第1端部42a、他方側の第2端部42b、ならびに、第1端部42aおよび第2端部42bを接続する接続部42cを含む。第1端部42aは、平面視において薄膜抵抗35の第2端部35bに重なっている。第1端部42aは、第2ビア電極24を介して薄膜抵抗35の第2端部35bに電気的に接続されている。
【0080】
第2端部42bは、平面視において薄膜抵抗35外の領域に位置している。第2端部42bは、この形態では、外側領域7に位置している。接続部42cは、平面視において第1端部42aおよび第2端部42bの間の領域を帯状に延びている。接続部42cは、この形態では、第1端部42aおよび第2端部42bを結ぶ直線に沿って帯状に延びている。
【0081】
第2下側配線層42は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。第2下側配線層42は、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層された第1バリア層53、本体層54および第2バリア層55を含む。
第1バリア層53は、この形態では、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層されたTi層56およびTiN層57を含む積層構造を有している。第1バリア層53は、Ti層56またはTiN層57からなる単層構造を有していてもよい。
【0082】
本体層54は、第1バリア層53の抵抗値および第2バリア層55の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体層54は、第1バリア層53の厚さおよび第2バリア層55の厚さを超える厚さを有している。本体層54は、Al、Cu、AlSiCu合金、AlSi合金およびAlCu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。本体層54は、この形態では、AlCu合金層58からなる単層構造を有している。
【0083】
第2バリア層55は、この形態では、本体層54の上からこの順に積層されたTi層59およびTiN層60を含む積層構造を有している。第2バリア層55は、Ti層59またはTiN層60からなる単層構造を有していてもよい。
抵抗回路10は、第1上側配線層61および第2上側配線層62を含む。第1上側配線層61は、第3絶縁層15の上に形成されている。第1上側配線層61は、絶縁積層構造12の最上配線層の1つを形成している。第1上側配線層61は、第1下側配線層41に電気的に接続されている。
【0084】
第2上側配線層62は、第1上側配線層61から間隔を空けて第3絶縁層15の上に形成されている。第2上側配線層62は、絶縁積層構造12の最上配線層の1つを形成している。第2上側配線層62は、第2下側配線層42に電気的に接続されている。
これにより、薄膜抵抗35は、第1下側配線層41を介して第1上側配線層61に電気的に接続されている。また、薄膜抵抗35は、第2下側配線層42を介して第2上側配線層62に電気的に接続されている。薄膜抵抗35は、第1下側配線層41および第2下側配線層42を介して第1上側配線層61および第2上側配線層62に直列接続されている。
【0085】
第1上側配線層61は、平面視において薄膜抵抗35から間隔を空けて形成されている。第1上側配線層61は、平面視において薄膜抵抗35に重なっていない。薄膜抵抗35の全体は、平面視において第1上側配線層61から露出している。
第2上側配線層62は、平面視において薄膜抵抗35から間隔を空けて形成されている。第2上側配線層62は、平面視において薄膜抵抗35に重なっていない。薄膜抵抗35の全体は、平面視において第2上側配線層62から露出している。
【0086】
つまり、薄膜抵抗35は、平面視において第1上側配線層61および第2上側配線層62の間の領域に形成されている。これにより、薄膜抵抗35および第1上側配線層61の間の領域において寄生容量を抑制できる。また、薄膜抵抗35および第2上側配線層62の間の領域において寄生容量を抑制できる。
薄膜抵抗35は、この形態では、平面視において第1上側配線層61および第2上側配線層62から間隔を空けて形成されている。これにより、薄膜抵抗35および第1上側配線層61の間の領域において寄生容量を適切に抑制できる。
【0087】
第1上側配線層61および第2上側配線層62は、第2厚さTL2をそれぞれ有している。第2厚さTL2は、第1厚さTL1以上(TL1≦TL2)である。第2厚さTL2は、より具体的には、第1厚さTL1を超えている(TL1<TL2)。
第2厚さTL2は、100nm以上15000nm以下であってもよい。第2厚さTL2は、100nm以上1500nm以下、1500nm以上3000nm以下、3000nm以上4500nm以下、4500nm以上6000nm以下、6000nm以上7500nm以下、7500nm以上9000nm以下、9000nm以上10500nm以下、10500nm以上12000nm以下、12000nm以上13500nm以下、また、13500nm以上15000nm以下であってもよい。
【0088】
第1上側配線層61の第2厚さTL2および第2上側配線層62の第2厚さTL2は、互いに異なっていてもよい。第1上側配線層61の第2厚さTL2および第2上側配線層62の第2厚さTL2は、互いに等しいことが好ましい。
図3を参照して、第1上側配線層61は、一方側の第1端部61a、他方側の第2端部61b、ならびに、第1端部61aおよび第2端部61bを接続する接続部61cを含む。第1端部61aは、平面視において第1下側配線層41の第1端部41aに重なる領域に位置している。
【0089】
第2端部61bは、平面視において薄膜抵抗35外の領域に位置している。第2端部61bは、この形態では、平面視においてデバイス領域6に位置している。第2端部61bは、外側領域7に位置していてもよい。接続部61cは、平面視において第1端部61aおよび第2端部61bの間の領域を帯状に延びている。接続部61cは、この形態では、第1端部61aおよび第2端部61bを結ぶ直線に沿って帯状に延びている。
【0090】
第1上側配線層61は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。第1上側配線層61は、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層された第1バリア層63、本体層64および第2バリア層65を含む。
第1バリア層63は、この形態では、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層されたTi層66およびTiN層67を含む積層構造を有している。第1バリア層63は、Ti層66またはTiN層67からなる単層構造を有していてもよい。
【0091】
本体層64は、第1バリア層63の抵抗値および第2バリア層65の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体層64は、第1バリア層63の厚さおよび第2バリア層65の厚さを超える厚さを有している。本体層64は、Al、Cu、AlSiCu合金、AlSi合金およびAlCu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。本体層64は、この形態では、AlCu合金層68からなる単層構造を有している。
【0092】
第2バリア層65は、この形態では、本体層64の上からこの順に積層されたTi層69およびTiN層70を含む積層構造を有している。第2バリア層65は、Ti層69またはTiN層70からなる単層構造を有していてもよい。
図4を参照して、第2上側配線層62は、一方側の第1端部62a、他方側の第2端部62b、ならびに、第1端部62aおよび第2端部62bを接続する接続部62cを含む。第1端部62aは、平面視において第2下側配線層42の第2端部42bに重なる領域に位置している。
【0093】
第2端部62bは、平面視において薄膜抵抗35外の領域に位置している。第2端部62bは、この形態では、平面視においてデバイス領域6に位置している。第2端部62bは、平面視において外側領域7に位置していてもよい。接続部62cは、平面視において第1端部62aおよび第2端部62bの間の領域を帯状に延びている。接続部62cは、この形態では、第1端部62aおよび第2端部62bを結ぶ直線に沿って帯状に延びている。
【0094】
第2上側配線層62は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。第2上側配線層62は、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層された第1バリア層73、本体層74および第2バリア層75を含む。
第1バリア層73は、この形態では、配線回路形成層21(第2絶縁層14)の上からこの順に積層されたTi層76およびTiN層77を含む積層構造を有している。第1バリア層73は、Ti層76またはTiN層77からなる単層構造を有していてもよい。
【0095】
本体層74は、第1バリア層73の抵抗値および第2バリア層75の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体層74は、第1バリア層73の厚さおよび第2バリア層75の厚さを超える厚さを有している。本体層74は、Al、Cu、AlSiCu合金、AlSi合金およびAlCu合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。本体層74は、この形態では、AlCu合金層78からなる単層構造を有している。
【0096】
第2バリア層75は、この形態では、本体層74の上からこの順に積層されたTi層79およびTiN層80を含む積層構造を有している。第2バリア層75は、Ti層79またはTiN層80からなる単層構造を有していてもよい。
図1~
図4を参照して、抵抗回路10は、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84を含む。第1ロングビア電極83は、第1下側配線層41および第1上側配線層61に電気的に接続されている。第2ロングビア電極84は、第2下側配線層42および第2上側配線層62に電気的に接続されている。
【0097】
これにより、薄膜抵抗35は、第1ビア電極23、第1下側配線層41および第1ロングビア電極83を介して第1上側配線層61に電気的に接続されている。または、薄膜抵抗35は、第2ビア電極24、第2下側配線層42および第2ロングビア電極84を介して第2上側配線層62に電気的に接続されている。
第1ロングビア電極83は、薄膜抵抗35の側方に形成されている。第1ロングビア電極83は、この形態では、第1ビア電極23および第2ビア電極24を結ぶ直線上に位置している。
【0098】
第2ロングビア電極84は、第1ロングビア電極83から間隔を空けて薄膜抵抗35の側方に形成されている。第2ロングビア電極84は、この形態では、薄膜抵抗35を挟んで第1ロングビア電極83に対向している。第2ロングビア電極84は、第1ビア電極23および第2ビア電極24を結ぶ直線上に位置している。
これにより、薄膜抵抗35は、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84を結ぶ直線上に位置している。薄膜抵抗35は、第1ビア電極23、第2ビア電極24、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84を結ぶ直線上に位置している。薄膜抵抗35は、この形態では、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84を結ぶ直線に沿って延びている。
【0099】
第1ロングビア電極83は、この形態では、平面視において円形状に形成されている。第1ロングビア電極83の平面形状は任意である。第1ロングビア電極83は、平面視において三角形状、四角形状もしくは六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
第1ロングビア電極83は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に薄膜抵抗35を横切っている。第1ロングビア電極83は、第3絶縁層15および第4絶縁層16を貫通して第3絶縁層15および第4絶縁層16に埋め込まれ、第4絶縁層16の絶縁主面から露出している。
【0100】
第1ロングビア電極83は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、一方側の第1端部83aおよび他方側の第2端部83bを含む。第1端部83aは、第4絶縁層16の絶縁主面から露出している。第1端部83aは、第1上側配線層61の第1端部61aに電気的に接続されている。
第2端部83bは、第3絶縁層15内に位置している。第2端部83bは、第1下側配線層41の第2端部41bに電気的に接続されている。第1ロングビア電極83は、断面視において第1端部83aから第2端部83bに向けて幅が狭まる先細り形状に形成されている。
【0101】
第1ロングビア電極83は、薄膜抵抗35に対して第3絶縁層15側に位置する下側部分83c、および、薄膜抵抗35に対して第4絶縁層16側に位置する上側部分83dを有している。第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、上側部分83dの長さは、下側部分83cの長さ以上である。上側部分83dの長さは、より具体的には、下側部分83cの長さを超えている。
【0102】
第1ロングビア電極83は、本体層85およびバリア層86を含む積層構造を有している。本体層85は、第3絶縁層15および第4絶縁層16に埋め込まれている。本体層85は、タングステン(W)または銅(Cu)を含んでいてもよい。第1ロングビア電極83は、この形態では、タングステン層87からなる単層構造を有している。
バリア層86は、本体層85および第3絶縁層15、ならびに、本体層85および第4絶縁層16の間に介在されている。バリア層86は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。バリア層86は、この形態では、第3絶縁層15からこの順に形成されたTi層88およびTiN層89を含む。
【0103】
Ti層88は、第3絶縁層15および第4絶縁層16に接している。TiN層89は、本体層85に接している。バリア層86は、Ti層88またはTiN層89からなる単層構造を有していてもよい。
第2ロングビア電極84は、この形態では平面視において円形状に形成されている。第2ロングビア電極84の平面形状は任意である。第2ロングビア電極84は、平面視において三角形状、四角形状もしくは六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0104】
第2ロングビア電極84は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に薄膜抵抗35を横切っている。第2ロングビア電極84は、第3絶縁層15および第4絶縁層16を貫通して第3絶縁層15および第4絶縁層16に埋め込まれ、第4絶縁層16の絶縁主面から露出している。
第2ロングビア電極84は、第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、一方側の第1端部84aおよび他方側の第2端部84bを含む。第1端部84aは、第4絶縁層16の絶縁主面から露出している。第1端部84aは、第2上側配線層62の第1端部62aに電気的に接続されている。
【0105】
第2端部84bは、第3絶縁層15内に位置している。第2端部84bは、第2下側配線層42の第2端部42bに電気的に接続されている。第2ロングビア電極84は、断面視において第1端部84aから第2端部84bに向けて幅が狭まる先細り形状に形成されている。
第2ロングビア電極84は、薄膜抵抗35に対して第3絶縁層15側に位置する下側部分84c、および、薄膜抵抗35に対して第4絶縁層16側に位置する上側部分84dを有している。第3絶縁層15の絶縁主面の法線方向に関して、上側部分84dの長さは、下側部分84cの長さ以上である。上側部分84dの長さは、より具体的には、下側部分84cの長さを超えている。
【0106】
第2ロングビア電極84は、本体層90およびバリア層91を含む積層構造を有している。本体層90は、第3絶縁層15および第4絶縁層16に埋め込まれている。本体層90は、タングステン(W)または銅(Cu)を含んでいてもよい。第2ロングビア電極84は、この形態では、タングステン層92からなる単層構造を有している。
バリア層91は、本体層90および第3絶縁層15、ならびに、本体層90および第4絶縁層16の間に介在されている。バリア層91は、この形態では、複数の電極層が積層された積層構造を有している。バリア層91は、この形態では、第3絶縁層15からこの順に形成されたTi層93およびTiN層94を含む。
【0107】
Ti層93は、第3絶縁層15および第4絶縁層16に接している。TiN層94は、本体層90に接している。バリア層91は、Ti層93またはTiN層94からなる単層構造を有していてもよい。
図2を参照して、配線回路形成層21は、機能デバイスおよび薄膜抵抗35を電気的に接続する配線95を含む。配線95は、第1絶縁層13および第2絶縁層14内に選択的に形成され、デバイス領域6から外側領域7に引き回されている。
【0108】
配線95は、より具体的には、デバイス領域6において機能デバイスに電気的に接続された1つまたは複数の接続配線層96を含む。1つまたは複数の接続配線層96は、第1絶縁層13の上および第2絶縁層14の上のいずれか一方または双方に形成されている。
図2では、2つの接続配線層96が第1絶縁層13の上に形成された例が示されている。
1つまたは複数の接続配線層96は、デバイス領域6から外側領域7に選択的に引き回されている。接続配線層96は、第1下側配線層41(第2下側配線層42)や第1上側配線層61(第2上側配線層62)と同様の積層構造を有している。接続配線層96についての具体的に説明は省略する。
【0109】
配線95は、1つまたは複数の接続ビア電極97を含む。1つまたは複数の接続ビア電極97は、1つまたは複数の接続配線層96を任意の第1下側配線層41(第2下側配線層42)や任意の第1上側配線層61(第2上側配線層62)に接続する。
1つまたは複数の接続ビア電極97は、第1絶縁層13の上および第2絶縁層14の上のいずれか一方または双方に形成されている。
図2では、2つの接続ビア電極97によって1つの接続配線層96が第1下側配線層41に接続された例が示されている。
【0110】
接続ビア電極97は、第1ビア電極23(第2ビア電極24)や第1ロングビア電極83(第2ロングビア電極84)と同様の積層構造を有している。接続ビア電極97についての具体的に説明は省略する。
第1上側配線層61の第2端部61bは、接続ビア電極97を介して任意の接続配線層96に接続されていてもよい。第2上側配線層62の第2端部62bは、接続ビア電極97を介して任意の接続配線層96に接続されていてもよい。
【0111】
図2を参照して、絶縁積層構造12の上には最上絶縁層101が形成されている。最上絶縁層101は、第1上側配線層61および第2上側配線層62を被覆している。最上絶縁層101は、平面視において第1上側配線層61および第1ロングビア電極83の接続部を被覆している。最上絶縁層101は、平面視において第2上側配線層62および第2ロングビア電極84の接続部を被覆している。
【0112】
外側領域7において最上絶縁層101には、第1パッド開口102および第2パッド開口103が形成されている。第1パッド開口102は、第1上側配線層61の一部の領域を第1パッド領域104として露出させている。第1パッド開口102は、より具体的には、第1上側配線層61において第1上側配線層61および第1ロングビア電極83の接続部以外の領域を第1パッド領域104として露出させている。
【0113】
第2パッド開口103は、第2上側配線層62の一部の領域を第2パッド領域105として露出させている。第2パッド開口103は、より具体的には、第2上側配線層62において第2上側配線層62および第2ロングビア電極84の接続部以外の領域を第2パッド領域105として露出させている。
最上絶縁層101は、この形態では、パッシベーション層106および樹脂層107を含む積層構造を有している。
図1では、明瞭化のため、樹脂層107がハッチングによって示されている。
【0114】
パッシベーション層106は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。この場合、酸化シリコン層の上に窒化シリコン層が形成されていてもよいし、窒化シリコン層の上に酸化シリコン層が形成されていてもよい。
パッシベーション層106は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。パッシベーション層106は、絶縁積層構造12とは異なる種からなる絶縁材料によって形成されていることが好ましい。パッシベーション層106は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0115】
樹脂層107は、感光性樹脂を含んでいてもよい。感光性樹脂は、ポジティブタイプまたはネガティブタイプであってもよい。樹脂層107は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。樹脂層107は、ポリアミドまたはポリベンゾオキサゾールからなることが好ましい。
第1ビア電極23、第1下側配線層41、第1ロングビア電極83および第1上側配線層61は、薄膜抵抗35に接続される第1配線を形成している。第1配線の一端(第1ビア電極23)は、絶縁積層構造12内において薄膜抵抗35に接続され、第1配線の他端(第1上側配線層61)は外部に露出する外部端子となる。
【0116】
第2ビア電極24、第2下側配線層42、第2ロングビア電極84および第2上側配線層62は、薄膜抵抗35に接続される第2配線を形成している。第2配線の一端(第2ビア電極24)は、絶縁積層構造12内において薄膜抵抗35に接続され、第2配線の他端(第2上側配線層62)は外部に露出する外部端子となる。第1配線に高電圧が印加され、第2配線に低電圧が印加されてもよい。第1配線に低電圧が印加され、第2配線に高電圧が印加されてもよい。
【0117】
以上、電子部品1は、薄膜抵抗35を含む。薄膜抵抗35は、クロム珪化物を含む抵抗層36、および、クロムの集塊からなり、抵抗層36に形成されたクロム凝集体37を含む。この薄膜抵抗35によれば、クロム珪化物の比抵抗ρ1未満の比抵抗ρ2(ρ2<ρ1)を有するクロム凝集体37が抵抗層36に形成されている。これにより、クロム珪化物を含む抵抗層36を備える一方で、当該抵抗層36の抵抗値未満の抵抗値を有する薄膜抵抗35、および、当該薄膜抵抗35を備えた電子部品1を提供できる。
【0118】
抵抗層36の抵抗値は、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合によって減少方向に調整できる。抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を増加させることにより、抵抗層36の抵抗値をクロムの抵抗値に近づけることができる。
これとは反対に、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を減少させることにより、抵抗層36の抵抗値を、クロム珪化物の抵抗値に近づけることができる。したがって、抵抗層36の一部の領域にクロム凝集体37を形成することによって、抵抗層36の抵抗値を、減少方向に調節できる。
【0119】
薄膜抵抗35において抵抗層36は、クロム珪化物が消失したトリミング痕38を有していてもよい。トリミング痕38によって、抵抗層36の抵抗値を増加方向に調整できる。したがって、クロム凝集体37およびトリミング痕38の双方を形成することにより、抵抗層36の抵抗値を減少方向および増加方向に調整できる。これにより、抵抗層36の抵抗値を適切に微調整できる。
【0120】
図10A~
図10Uは、
図1に示す電子部品1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図10A~
図10Uは、
図2に対応する部分の断面図である。
図10Aを参照して、半導体層2が用意される。半導体層2は、デバイス領域6および外側領域7を含む。次に、半導体層2の第1主面3の上に、絶縁積層構造12の配線回路形成層21が形成される。配線回路形成層21は、第1絶縁層13、第2絶縁層14、1つまたは複数の接続配線層96、および、1つまたは複数の接続ビア電極97を含む。配線回路形成層21の形成工程についての説明は省略する。
【0121】
次に、
図10Bを参照して、第1下側配線層41および第2下側配線層42のベースとなる第1ベース配線層111が、配線回路形成層21の上に形成される。第1ベース配線層111の形成工程は、配線回路形成層21の上からこの順に第1バリア層112、本体層113および第2バリア層114を形成する工程を含む。
第1バリア層112の形成工程は、配線回路形成層21の上からこの順にTi層およびTiN層をこの順に形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。本体層113の形成工程は、第1バリア層112の上にAlCu合金層を形成する工程を含む。AlCu合金層は、スパッタ法によって形成されてもよい。
【0122】
第2バリア層114の形成工程は、本体層113の上からこの順にTi層およびTiN層をこの順に形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
次に、
図10Cを参照して、所定パターンを有するマスク115が、第1ベース配線層111の上に形成される。マスク115は、第1ベース配線層111における第1下側配線層41および第2下側配線層42を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口116を有している。
【0123】
次に、第1ベース配線層111の不要な部分が、マスク115を介するエッチング法によって除去される。これにより、第1ベース配線層111が、第1下側配線層41および第2下側配線層42に分割される。マスク115は、その後、除去される。
次に、
図10Dを参照して、第1下側配線層41および第2下側配線層42を被覆する第3絶縁層15が、配線回路形成層21の上に形成される。第3絶縁層15は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
【0124】
次に、
図10Eを参照して、第1下側配線層41を露出させる第1ビアホール117および第2下側配線層42を露出させる第2ビアホール118が、第3絶縁層15に形成される。この工程では、まず、所定パターンを有するマスク119が、第3絶縁層15の上に形成される。マスク119は、第3絶縁層15において第1ビアホール117および第2ビアホール118を形成すべき領域を露出させる複数の開口120を有している。
【0125】
次に、第3絶縁層15の不要な部分が、マスク119を介するエッチング法によって除去される。これにより、第1ビアホール117および第2ビアホール118が第3絶縁層15に形成される。マスク119は、その後、除去される。
次に、
図10Fを参照して、第1ビア電極23および第2ビア電極24のベースとなるベース電極層121が、第3絶縁層15の上に形成される。ベース電極層121の形成工程は、第3絶縁層15の上からこの順にバリア層122および本体層123を形成する工程を含む。
【0126】
バリア層122の形成工程は、第3絶縁層15の上からこの順にTi層およびTiN層を形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。本体層123の形成工程は、バリア層122の上にタングステン層を形成する工程を含む。タングステン層は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図10Gを参照して、ベース電極層121の除去工程が実施される。ベース電極層121は、第3絶縁層15が露出するまで除去される。ベース電極層121の除去工程は、研削によってベース電極層121を除去する工程を含んでいてもよい。
【0127】
ベース電極層121の研削工程は、この形態では、研磨剤(砥粒)を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって実施される。ベース電極層121の研削工程は、第3絶縁層15の絶縁主面の平坦化工程を含んでいてもよい。これにより、第1ビア電極23が、第1ビアホール117内に形成される。また、第2ビア電極24が、第2ビアホール118内に形成される。
【0128】
次に、
図10Hを参照して、第3絶縁層15の絶縁主面に付着した研磨剤(砥粒)が、薬液を用いた洗浄によって除去される。この工程では、研磨剤(砥粒)と共に第3絶縁層15の一部が薬液によって除去される。これにより、第1ビア電極23の一部が、第3絶縁層15から突出する第1突出部23cとして形成される。また、第2ビア電極24の一部が、第3絶縁層15から突出する第2突出部24cとして形成される。
【0129】
次に、
図10Iを参照して、抵抗層36のベースとなるベース抵抗層124が、第3絶縁層15の絶縁主面の上に形成される。ベース抵抗層124は、クロム珪化物を含む。ベース抵抗層124は、クロム珪化物の一例として、CrSi、CrSi
2、CrSiNおよびCrSiOのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。ベース抵抗層124は、この形態では、CrSiからなる。ベース抵抗層124は、スパッタ法によって形成されてもよい。
【0130】
次に、保護層40のベースとなるベース保護層125が、ベース抵抗層124の上に形成される。ベース保護層125は、酸化シリコンを含む。ベース保護層125は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、ベース抵抗層124(CrSi)が結晶化される。ベース抵抗層124の結晶化工程は、ベース抵抗層124(CrSi)が結晶化する温度および時間でアニール処理する工程を含む。ベース抵抗層124は、400°以上600°以下の温度で、60分以上120分以下の間、加熱されてもよい。ベース抵抗層124の結晶化工程は、ベース抵抗層124の形成工程後、保護層40の形成工程に先立って実施されてもよい。
【0131】
次に、
図10Jを参照して、所定パターンを有するマスク126が、ベース保護層125の上に形成される。マスク126は、ベース保護層125において保護層40を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口127を有している。次に、ベース保護層125の不要な部分が、マスク126を介するエッチング法によって除去される。これにより、保護層40が形成される。
【0132】
次に、ベース抵抗層124の不要な部分が、マスク126および保護層40をマスクとするエッチング法によって除去される。これにより、抵抗層36が形成される。マスク126は、その後、除去される。マスク126は、保護層40の形成工程後、抵抗層36の形成工程に先立って除去されてもよい。
次に、
図10Kを参照して、保護層40および薄膜抵抗35を被覆する第4絶縁層16が、第3絶縁層15の上に形成される。第4絶縁層16は、CVD法によって形成されてもよい。
【0133】
次に、
図10Lを参照して、第1下側配線層41を露出させる第1ビアホール128および第2下側配線層42を露出させる第2ビアホール129が、第3絶縁層15および第4絶縁層16に形成される。
この工程は、まず、所定パターンを有するマスク130が、第4絶縁層16の上に形成される。マスク130は、第4絶縁層16において第1ビアホール128および第2ビアホール129を形成すべき領域を露出させる複数の開口131を有している。
【0134】
次に、第3絶縁層15および第4絶縁層16の不要な部分が、マスク130を介するエッチング法によって除去される。これにより、第1ビアホール128および第2ビアホール129が第3絶縁層15および第4絶縁層16に形成される。マスク130は、その後、除去される。
次に、
図10Mを参照して、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84のベースとなるベース電極層132が、第4絶縁層16の上に形成される。ベース電極層132の形成工程は、第4絶縁層16の上からこの順にバリア層133および本体層134を形成する工程を含む。
【0135】
バリア層133の形成工程は、第4絶縁層16の上からこの順にTi層およびTiN層を形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。本体層134の形成工程は、バリア層133の上にタングステン層を形成する工程を含む。タングステン層は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図10Nを参照して、ベース電極層132の除去工程が実施される。ベース電極層132は、第4絶縁層16が露出するまで除去される。ベース電極層132の除去工程は、研削によってベース電極層132を除去する工程を含んでいてもよい。
【0136】
ベース電極層132の研削工程は、この形態では、研磨剤(砥粒)を用いたCMP法によって実施される。ベース電極層132の研削工程は、第4絶縁層16の絶縁主面の平坦化工程を含んでいてもよい。これにより、第1ロングビア電極83および第2ロングビア電極84が、第1ビアホール128内および第2ビアホール129内にそれぞれ形成される。
【0137】
ベース電極層132の研削工程の後、第4絶縁層16の絶縁主面に付着した研磨剤(砥粒)が、薬液を用いた洗浄によって除去されてもよい。第4絶縁層16の一部は、薬液によって研磨剤(砥粒)と共に除去されてもよい。この場合、第1ロングビア電極83の一部は、第4絶縁層16から突出する突出部として形成されてもよい。また、第2ロングビア電極84の一部は、第4絶縁層16から突出する突出部として形成されてもよい。
【0138】
次に、
図10Oを参照して、第1上側配線層61および第2上側配線層62のベースとなる第2ベース配線層135が、第4絶縁層16の上に形成される。第2ベース配線層135の形成工程は、第4絶縁層16の上からこの順に第1バリア層136、本体層137および第2バリア層138を形成する工程を含む。
第1バリア層136の形成工程は、第4絶縁層16の上からこの順にTi層およびTiN層をこの順に形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。本体層137の形成工程は、第1バリア層136の上にAlCu合金層を形成する工程を含む。AlCu合金層は、スパッタ法によって形成されてもよい。
【0139】
第2バリア層138の形成工程は、本体層137の上からこの順にTi層およびTiN層をこの順に形成する工程を含む。Ti層およびTiN層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
次に、
図10Pを参照して、所定パターンを有するマスク139が、第2ベース配線層135の上に形成される。マスク139は、外側領域7において第2ベース配線層135における第1上側配線層61および第2上側配線層62を形成すべき領域を被覆し、それ以外の領域を露出させる開口140を有している。
【0140】
次に、第2ベース配線層135の不要な部分が、マスク139を介するエッチング法によって除去される。これにより、第2ベース配線層135が、第1上側配線層61および第2上側配線層62に分割される。また、これにより、配線回路形成層21および抵抗回路形成層22を含む絶縁積層構造12が、半導体層2の第1主面3の上に形成される。マスク139は、その後、除去される。
【0141】
次に、
図10Qを参照して、パッシベーション層106が、絶縁積層構造12の上に形成される。パッシベーション層106は、窒化シリコンを含む。パッシベーション層106は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図10Rを参照して、トリミング痕38が、抵抗層36の所定の領域に形成される(
図5、
図6および
図8参照)。この工程では、レーザ光を抵抗層36に照射するレーザ光照射工程が実施される。この工程では、抵抗層36を遮断可能なエネルギを有するレーザ光が、抵抗層36に焦点を合わせて抵抗層36に照射される。
【0142】
レーザ光のエネルギは、レーザ光の照射部におけるクロム珪化物が消失し、抵抗層36から脱離した複数の導電性残渣物39aが形成される程度に調整される。これにより、抵抗層36にトリミング痕38が形成される。また、この工程では、複数の導電性残渣物39aを被覆する絶縁物39bが形成される。
絶縁物39bは、抵抗層36および導電性残渣物39aの間に介在している。絶縁物39bは、複数の導電性残渣物39aの間に介在している。絶縁物39bは、クロム珪化物のシリコンに起因して形成されたSiO2を含んでいてもよいし、保護層40において溶融した部分を含んでいてもよい。絶縁物39bによって、抵抗層36および複数の導電性残渣物39aの間の絶縁性が高められる。
【0143】
トリミング痕38の形成工程は、抵抗層36の抵抗値を増加方向に調整する工程を含む。これにより、抵抗層36の抵抗値が所望の値に合わせ込まれる。抵抗層36の抵抗値は、トリミング痕38の個数、形状、長さ、配置等によって増加方向に調整される。
また、
図10Sを参照して、クロム凝集体37が、抵抗層36の所定の領域に形成される(
図5~
図7参照)。この工程では、レーザ光を抵抗層36に照射するレーザ光照射工程が実施される。抵抗層36におけるレーザ光の照射部では、クロム珪化物が溶融し、クロム珪化物に含まれるクロムが集塊状に凝集する。これにより、抵抗層36にクロム凝集体37が形成される。クロム凝集体37は、微量のシリコンを含んでいてもよい。クロム凝集体37は、レーザ光が照射された部分に複数形成される。
【0144】
レーザ光のエネルギは、レーザ光の照射部におけるクロム珪化物の全部が消失せずに、抵抗層36(クロム珪化物)およびクロム凝集体37が接続された状態で残存する程度に調節される。この工程では、抵抗層36を遮断可能なエネルギを有するレーザ光が、抵抗層36から焦点をずらして抵抗層36に照射される。
これにより、トリミング痕38の形成工程と同じレーザ照射装置を用いて、クロム凝集体37を形成できる。つまり、新たなレーザ照射装置を使用せずに、クロム凝集体37の形成工程を実施できる。
【0145】
レーザ光の焦点は、抵抗層36に対して下側(半導体層2側)にずれていてもよいし、抵抗層36に対して上側(第4絶縁層16側)にずれていてもよい。これにより、抵抗層36に複数のクロム凝集体37が形成される。
クロム凝集体37の形成工程は、抵抗層36の抵抗値を減少方向に調整する工程を含む。これにより、抵抗層36の抵抗値が所望の値に合わせ込まれる。抵抗層36の抵抗値は、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合によって減少方向に調整される。抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合は、抵抗層36に対するレーザ光の照射部を移動させることによって調整できる。
【0146】
抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を増加させることにより、抵抗層36の抵抗値をクロムの抵抗値に近づけることができる。これとは反対に、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を減少させることにより、抵抗層36の抵抗値を、クロム珪化物の抵抗値に近づけることができる。
レーザ光の照射前後において、抵抗層36の平面面積および厚さTRは殆ど変化しない。したがって、レーザ照射法によれば、抵抗層36の大型化および厚膜化を抑制しながら、クロム凝集体37を形成できる。また、レーザ照射法によれば、抵抗層36内に占めるクロム凝集体37の割合を適切に制御できる。これにより、抵抗層36の抵抗値を柔軟に減少方向に調整できる。
【0147】
複数のクロム凝集体37は、抵抗層36の全域に形成されてもよいし、抵抗層36の一部の領域に形成されてもよい。ただし、抵抗層36の全域に複数のクロム凝集体37を形成する場合、抵抗層36の全域にレーザ光を照射する必要があるため、製造時間が増加する。また、抵抗層36の全域に複数のクロム凝集体37を形成する場合には、クロムからなる薄膜抵抗35を形成する方が合理的である。したがって、クロム凝集体37は、抵抗層36の一部が残存する態様で形成されることが好ましい。
【0148】
トリミング痕38の形成工程(
図10R参照)およびクロム凝集体37の形成工程(
図10S参照)の工程順は任意である。トリミング痕38の形成工程の後に、クロム凝集体37の形成工程が実施されてもよい。この場合、クロム凝集体37の形成工程は、トリミング痕38の形成工程において増加した抵抗値を減少方向に調整(微調整)する工程を含んでいてもよい。
【0149】
クロム凝集体37の形成工程の後に、トリミング痕38の形成工程が実施されてもよい。この場合、トリミング痕38の形成工程は、クロム凝集体37の形成工程において減少した抵抗値を増加方向に調整(微調整)する工程を含んでいてもよい。
トリミング痕38の形成工程およびクロム凝集体37の形成工程が任意の順序で交互に複数回実施されてもよい。トリミング痕38の形成工程を複数回実施した後に、クロム凝集体37の形成工程を複数回実施してもよい。クロム凝集体37の形成工程を複数回実施した後に、トリミング痕38の形成工程を複数回実施してもよい。
【0150】
次に、
図10Tを参照して、樹脂層107となる感光性樹脂が、パッシベーション層106の上に塗布される。感光性樹脂は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。感光性樹脂は、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールからなることが好ましい。次に、感光性樹脂が、選択的に露光された後、現像される。これにより、第1パッド開口102および第2パッド開口103のベースとなる複数の開口141を有する樹脂層107が形成される。
【0151】
次に、
図10Uを参照して、パッシベーション層106の不要な部分が、樹脂層107を介するエッチング法によって除去される。これにより、第1上側配線層61および第2上側配線層62をそれぞれ露出させる第1パッド開口102および第2パッド開口103が形成される。以上を含む工程を経て、電子部品1が製造される。
図11は、本発明の第2実施形態に係る電子部品151を示す模式的な平面図であって、第1形態例に係る薄膜抵抗35が組み込まれた形態を示す平面図である。以下では、電子部品1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0152】
電子部品1は、外側領域7に形成された1つの抵抗回路10(薄膜抵抗35)を含む。これに対して、
図11を参照して、電子部品151は、外側領域7に形成された複数(2以上。この形態では4つ)の抵抗回路10(薄膜抵抗35)を含む。抵抗回路10(薄膜抵抗35)の個数は任意であり、機能デバイスの形態に応じて5つ以上形成されていてもよい。
【0153】
複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)は、それぞれ、配線回路形成層21を介してデバイス領域6(機能デバイス)に電気的に接続されている。複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)は、それぞれ独立してデバイス領域6に電気的に接続されていてもよい。複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)のうちの少なくとも2つは互いに並列または直列に接続されていてもよい。
【0154】
この形態では、複数の抵抗回路10が第1形態例に係る薄膜抵抗35をそれぞれ含む。しかし、複数の抵抗回路10は、第1~第7形態例に係る薄膜抵抗35のいずれか1つをそれぞれ含んでいてもよい。
複数の抵抗回路10のうちの少なくとも2つは、同一形態例に係る薄膜抵抗35を含んでいてもよい。複数の抵抗回路10は、異なる形態例に係る薄膜抵抗35を含んでいてもよい。複数の抵抗回路10は、第1~第7形態例に係る薄膜抵抗35の特徴のうちの少なくとも2つの特徴が組み合わされた形態を有する薄膜抵抗35を含んでいてもよい。
【0155】
以上、電子部品151によっても、電子部品1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は他の形態で実施できる。
前述の各実施形態では、1つまたは複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)が、外側領域7に形成される例について説明した。しかし、前述の各実施形態において、1つまたは複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)が、デバイス領域6に形成されていてもよい。
【0156】
また、前述の各実施形態において、1つまたは複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)が、デバイス領域6および外側領域7にそれぞれ形成されていてもよい。また、1つまたは複数の抵抗回路10(薄膜抵抗35)が、外側領域7に代えてデバイス領域6だけに形成されていてもよい。
前述の各実施形態では、第1上側配線層61および第2上側配線層62が、絶縁積層構造12の最上配線層を形成している例について説明した。しかし、第1上側配線層61および第2上側配線層62は、絶縁積層構造12の最上配線層でなくてもよい。この場合、第1~第4絶縁層13~16と同様の構造を有する絶縁層および第1下側配線層41(第2下側配線層42)や第1上側配線層61(第2上側配線層62)と同様の構造を有する配線層が、任意の態様および任意の周期で第4絶縁層16の上に積層されていてもよい。
【0157】
前述の各実施形態では、薄膜抵抗35が第3絶縁層15の絶縁主面を専有している例について説明した。しかし、前述の各実施形態において、第1下側配線層41(第2下側配線層42)や第1上側配線層61(第2上側配線層62)と同様の構造を有する配線層が、第3絶縁層15の絶縁主面の上に形成されていてもよい。しかし、このような構造は製造工数の増加や平坦性確保の難化が懸念されるため、薄膜抵抗35が第3絶縁層15の絶縁主面を専有している構造が好ましい。
【0158】
第1実施形態に係る電子部品1および第2実施形態に係る電子部品151は、
図12に示される電気的構造を有していてもよい。
図12は、第1実施形態に係る電子部品1および第2実施形態に係る電子部品151の第1形態例に係る電気的構造を示す回路図である。
図12を参照して、電子部品1,151は、演算増幅回路201を含む。演算増幅回路201は、正側電源端子202、負側電源端子203、非反転正側電源端子204、反転正側電源端子205、出力端子206、トランジスタTrA1~TrA14(半導体スイッチングデバイス)および抵抗RA1~RA4(受動デバイス)を含む。
【0159】
正側電源端子202には、電源電圧VDDが入力される。負側電源端子203には、基準電圧VSSが入力される。基準電圧VSSは、グランド電圧であってもよい。非反転正側電源端子204には、非反転電圧VIN+が入力される。反転正側電源端子205には、反転電圧VIN-が入力される。演算増幅回路201は、非反転電圧VIN+および反転電圧VIN-の差電圧を増幅し、出力端子206から出力する。つまり、演算増幅回路201は、差動演算増幅回路である。
【0160】
トランジスタTrA1~TrA14は、半導体層2においてデバイス領域6にそれぞれ形成されている。つまり、デバイス領域6に形成された機能デバイスは、トランジスタTrA1~TrA14によって形成された回路網を含む。トランジスタTrA1~TrA3,TrA7~TrA10は、それぞれp型MISFETからなる。トランジスタTrA4~TrA6,TrA11~TrA14は、それぞれn型MISFETからなる。
【0161】
一方、抵抗RA1~RA4は、半導体層2において外側領域7に形成されている。抵抗RA1~RA4のうちの少なくとも1つまたは全部は、薄膜抵抗35によって形成されている。抵抗RA1~RA4は、電流値設定抵抗を形成し、電流増幅率を決定する。抵抗RA1~RA4は、配線回路形成層21(接続配線層96および接続ビア電極97)を介してトランジスタTrA1~TrA14によって形成された回路網に選択的に接続される。
【0162】
トランジスタTrA1のゲートには、バイアス電圧Vb1が入力される。トランジスタTrA1のドレインは、正側電源端子202に接続されている。トランジスタTrA1のソースは、トランジスタTrA2のソースおよびトランジスタTrA3のソースに接続されている。トランジスタTrA2のゲートは、非反転正側電源端子204に接続されている。トランジスタTrA3のゲートは、反転正側電源端子205に接続されている。
【0163】
トランジスタTrA4のゲートには、バイアス電圧Vb2が入力される。トランジスタTrA4のドレインは、トランジスタTrA5のソースおよびトランジスタTrA6のソースに接続されている。
トランジスタTrA4のソースは、負側電源端子203に接続されている。トランジスタTrA5のゲートは、非反転正側電源端子204に接続されている。トランジスタTrA6のゲートは、反転正側電源端子205に接続されている。
【0164】
トランジスタTrA7のゲートは、トランジスタTrA8のゲートに接続されている。トランジスタTrA7のゲートおよびトランジスタTrA8のゲートには、バイアス電圧Vb3が入力される。トランジスタTrA7のソースは、抵抗RA1を介して正側電源端子202に接続されている。
トランジスタTrA7のドレインは、トランジスタTrA9のソースに接続されている。トランジスタTrA8のソースは、抵抗RA2を介して正側電源端子202に接続されている。トランジスタTrA8のドレインは、トランジスタTrA10のソースに接続されている。
【0165】
トランジスタTrA9のゲートは、トランジスタTrA10のゲートに接続されている。トランジスタTrA9のゲートおよびトランジスタTrA10のゲートには、バイアス電圧Vb4が入力される。
トランジスタTrA9のドレインは、トランジスタTrA11のドレインに接続されている。トランジスタTrA10のドレインは、トランジスタTrA12のドレインに接続されている。
【0166】
トランジスタTrA7のドレインおよびトランジスタTrA9のソースの接続部には、トランジスタTrA6のドレインが接続されている。トランジスタTrA8のドレインおよびトランジスタTrA10のソースの接続部には、トランジスタTrA5のドレインが接続されている。
トランジスタTrA11のゲートは、トランジスタTrA12のゲートに接続されている。トランジスタTrA11のゲートおよびトランジスタTrA12のゲートには、バイアス電圧Vb5が入力される。
【0167】
トランジスタTrA11のソースは、トランジスタTrA13のドレインに接続されている。トランジスタTrA12のソースは、トランジスタTrA14のドレインに接続されている。
トランジスタTrA13のゲートは、トランジスタTrA14のゲートに接続されている。トランジスタTrA13のゲートおよびトランジスタTrA14のゲートは、トランジスタTrA11のドレインに接続されている。
【0168】
トランジスタTrA13のソースは、抵抗RA3を介して負側電源端子203に接続されている。トランジスタTrA14のソースは、抵抗RA4を介して負側電源端子203に接続されている。
この形態では、演算増幅回路201がトランジスタTrA1~TrA6を含む例について説明した。しかし、トランジスタTrA1~TrA3を備えない演算増幅回路201が採用されてもよいし、トランジスタTrA4~TrA6を備えない演算増幅回路201が採用されてもよい。
【0169】
第1実施形態に係る電子部品1および第2実施形態に係る電子部品151は、
図13に示される電気的構造を有していてもよい。
図13は、第1実施形態に係る電子部品1および第2実施形態に係る電子部品151の第2形態例に係る電気的構造を示す回路図である。
図13を参照して、電子部品1,151は、電流増幅型の定電流レギュレータ211を含む。定電流レギュレータ211は、正側電源端子212、負側電源端子213、出力端子214、トランジスタTrB1~TrB12(半導体スイッチングデバイス)、抵抗RB1~RB3(受動デバイス)およびコンデンサC(受動デバイス)を含む。
【0170】
正側電源端子212には、電源電圧VDDが入力される。負側電源端子213には、基準電圧VSSが入力される。基準電圧VSSは、グランド電圧であってもよい。定電流レギュレータ211は、電源電圧VDDおよび基準電圧VSSの電位差に応じた定電流を出力端子214から出力する。
トランジスタTrB1~TrB12、抵抗RB1,RB3およびコンデンサCは、半導体層2においてデバイス領域6にそれぞれ形成されている。つまり、デバイス領域6に形成された機能デバイスは、トランジスタTrB1~TrB12、抵抗RB1,RB3およびコンデンサCによって形成された回路網を含む。
【0171】
トランジスタTrB1~TrB4,TrB7は、それぞれn型MISFETからなる。トランジスタTrB5,TrB6は、それぞれnpn型BJTからなる。トランジスタTrB8~TrB12は、それぞれp型MISFETからなる。抵抗RB1,RB3は、それぞれポリシリコン抵抗によって形成されていてもよい。
抵抗RB2は、半導体層2において外側領域7に形成される。抵抗RB2は、薄膜抵抗35によって形成されている。抵抗RB2は、電流値設定抵抗を形成し、電流増幅率を決定する。抵抗RB2は、配線回路形成層21(接続配線層96および接続ビア電極97)を介してトランジスタTrB1~TrB12、抵抗RB1,RB3およびコンデンサCによって形成された回路網に選択的に接続される。
【0172】
トランジスタTrB1のゲートは、トランジスタTrB2のゲートに接続されている。トランジスタTrB1のゲートおよびトランジスタTrB2のゲートは、トランジスタTrB1のドレインに接続されている。
トランジスタTrB1のドレインは、抵抗RB1を介して正側電源端子212に接続されている。トランジスタTrB1のソースは、負側電源端子213に接続されている。トランジスタTrB2のソースは、トランジスタTrB1のソースに接続されている。
【0173】
トランジスタTrB3のゲートは、トランジスタTrB4のゲートに接続されている。トランジスタTrB3のゲートおよびトランジスタTrB4のゲートは、トランジスタTrB3のドレインに接続されている。
トランジスタTrB3のソースは、負側電源端子213に接続されている。トランジスタTrB2のドレインは、トランジスタTrB1のゲートおよびトランジスタTrB2のゲートに接続されている。トランジスタTrB4のソースは、負側電源端子213に接続されている。
【0174】
トランジスタTrB5のベースは、トランジスタTrB6のベースに接続されている。トランジスタTrB5のベースおよびトランジスタTrB6のベースは、トランジスタTrB5のコレクタに接続されている。トランジスタTrB5のエミッタは、抵抗RB2を介して負側電源端子213に接続されている。トランジスタTrB6のエミッタは、負側電源端子213に接続されている。
【0175】
トランジスタTrB7のゲートは、トランジスタTrB6のコレクタに接続されている。トランジスタTrB7のドレインは、トランジスタTrB2のドレインに接続されている。トランジスタTrB7のソースは、負側電源端子213に接続されている。
抵抗RB3は、コンデンサCとの間でRC直列回路215を形成している。RC直列回路215は、トランジスタTrB7のゲートおよび負側電源端子213の間に接続されている。
【0176】
トランジスタTrB8~TrB12のゲートは、互いに接続されている。トランジスタTrB8~TrB12のゲートは、それぞれトランジスタTrB7のゲートに接続されている。トランジスタTrB8~TrB12のドレインは、それぞれ正側電源端子212に接続されている。
トランジスタTrB8のソースは、トランジスタTrB3のドレインに接続されている。トランジスタTrB9のソースは、トランジスタTrB5のコレクタに接続されている。トランジスタTrB10のソースは、トランジスタTrB6のコレクタに接続されている。
【0177】
トランジスタTrB11のソースは、トランジスタTrB8,TrB9,TrB10,TrB12のゲートおよびトランジスタTrB7のドレインに接続されている。トランジスタTrB12のソースは、出力端子214に接続されている。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 電子部品
2 半導体層
3 第1主面
6 デバイス領域
7 外側領域
12 絶縁積層構造
15 第3絶縁層
35 薄膜抵抗
36 抵抗層
37 クロム凝集体
38 トリミング痕
151 電子部品
TR 厚さ
WC 幅