(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20240220BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240220BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/00 L
C08G18/00 G
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2019195106
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】593139123
【氏名又は名称】株式会社ロジャースイノアック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 昌仁
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039900(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196607(WO,A1)
【文献】特開2012-246397(JP,A)
【文献】特開2006-124578(JP,A)
【文献】特開2002-214985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分、整泡剤、触媒、イソシアネート成分を含むポリウレタン反応組成物と、造泡用気体とからメカニカルフロス法により得られるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ヒマシ油系ポリオール、および、カシューナッツ系ポリオールを含み、
前記ポリウレタン反応組成物にはコアシェルゴム粒子
とジプロピレングリコールが含まれ、
JIS K6400-2D法に準拠した25%CLD硬度が0.05MPa以下であり、
JIS K6400-4に準拠した圧縮永久歪が10%以下であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記コアシェルゴム粒子の量は、前記イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物に0.5~5.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリウレタンフォーム
を備えるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低硬度、低通気かつ低圧縮永久歪のポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオール成分、整泡剤、触媒、イソシアネート成分を含むポリウレタン反応組成物と、造泡用気体とからメカニカルフロス法により得られるポリウレタンフォームは、低硬度、低通気性であるため、シール材として用いることが提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-214895号公報
【文献】特開2005-227392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ポリオール成分、整泡剤、触媒、イソシアネート成分を含むポリウレタン反応組成物と、造泡用気体とからメカニカルフロス法により得られるポリウレタンフォームは、二物体間で圧縮されるシール材用として、圧縮永久歪がさらに低いものが望ましい。
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪のポリウレタンフォームの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、ポリオール成分、整泡剤、触媒、イソシアネート成分を含むポリウレタン反応組成物と、造泡用気体とからメカニカルフロス法により得られるポリウレタンフォームであって、前記ポリウレタン反応組成物には、コアシェルゴム粒子が含まれ、JIS K6400-2D法に準拠した25%CLD硬度が0.05MPa以下であり、JIS K6400-4に準拠した圧縮永久歪が10%以下であることを特徴とする。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、前記コアシェルゴム粒子の量は、前記イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物に0.5~5.0重量%であることを特徴とする。
【0008】
請第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、シール材に用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリウレタン反応組成物にコアシェルゴム粒子が含まれていることによってポリウレタンフォームの圧縮永久歪が小さくなり、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪でシール材に好適なポリウレタンフォームが得られる。
なお、コアシェルゴム粒子は、粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したものである。粒子状コア成分は、架橋されたゴム状ポリマーまたはエラストマーを主成分とするものであり、また、シェル成分は、粒子状コア成分の表面に、コア成分とは異なるシェル成分ポリマーをグラフト重合して被覆したものであり公知のものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】実施例の一部について配合と評価を示す表である。
【
図4】他の実施例と比較例について配合と評価を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のポリウレタンフォームの実施形態について説明する。本発明のポリウレタンフォームは、ポリウレタン反応組成物と、造泡用気体とからメカニカルフロス法により得られる。
【0012】
メカニカルフロス法は、ポリウレタン反応組成物に造泡用気体を圧縮して混入させた混合原料を、オークスミキサーまたは先端を絞ったノズルに供給してオークスミキサーまたはノズルから吐出することによりポリウレタンフォームを形成する方法である。メカニカルフロス法では、混合原料の吐出時にそれまで圧縮されていた造泡用気体が膨張して気泡を形成し、その状態でポリオール成分とイソシアネート成分が反応して硬化することによりポリウレタンフォームが形成される。このため、ポリウレタンフォームのセル内には造泡用気体が含まれている。
【0013】
ポリウレタン反応組成物は、ポリオール成分、整泡剤、触媒、イソシアネート成分が含まれ、さらに本発明ではコアシェルゴム粒子が含まれる。
ポリオール成分は、ポリオールからなる。ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオール、植物油系ポリオールなどが挙げられる。なお、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
ポリエーテル系ポリオールは、エステル系ポリオールと比べてポリウレタンフォームが加水分解しにくい特徴がある。
ポリエーテル系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等、ポリウレタン用のポリエーテル系ポリオールを使用することができる。ポリエーテル系ポリオールは、官能基数2~4、分子量400~8000が好ましく、より好ましくは2000~4000である。ポリエーテル系ポリオールは、2種類以上併用してもよい。
【0015】
ポリエステル系ポリオールとしては、比較的耐加水分解性に優れるポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールがあり、分子量は、500~2000が好ましい。ポリカーボネート系ポリオールは特に耐加水分解性に優れる。ポリカーボネート系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどの多価アルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアルキレンカーボネート、ジフェニルカーボネートなどとの脱アルコール反応によって得られるものが挙げられる。ポリカーボネート系ポリオールは、2種類以上併用してもよい。
【0016】
植物油系ポリオールは、疎水系ポリエーテルポリオールと良く混ざり、疎水性発揮に有効なため、シール材用ポリウレタンフォームには好ましいポリオールである。
植物油系ポリオールとしては、ヒマシ油、ヒマワリ油、菜種油、亜麻仁油、綿実油、キリ油、ヤシ油、ケシ油、トウモロコシ油、ナッツ油等に由来するものが挙げられる。ヒマシ油系のポリオールとナッツ油系のポリオールは好適なものである。
【0017】
ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、ヒマシ油とポリオールとの反応物、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとのエステル化反応物などを挙げることができる。ヒマシ油あるいはヒマシ油脂肪酸と反応させるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロプレングリコールなどの2価のポリオール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ソルビトールなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。ヒマシ油系ポリオールは、官能基数2~3、分子量300~3000が好ましく、より好ましくは500~1000である。
ナッツ系ポリオールとしては、ピーナッツ系、カシューナッツ系などを挙げることができる。ナッツ系ポリオールの官能基数は2~3、分子量300~3000が好ましく、より好ましくは500~1000である。
植物油系ポリオールは、2種類以上併用してもよい。また、反応基を持たないオイル系も有効である。
【0018】
整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。整泡剤の量は、適宜決定されるが、例としてポリオール成分100重量部当たり0.01~12重量部を挙げる。
【0019】
触媒としては、ポリウレタンフォーム用のアミン系触媒、有機金属触媒が単独または併用される。アミン系触媒としては、モノアミン化合物、ジアミン化合物、トリアミン化合物、ポリアミン化合物、環状アミン化合物、アルコールアミン化合物、エーテルアミン化合物等が挙げられ、これらの1種類でもよく、2種類以上併用してもよい。有機金属触媒としては、有機錫化合物、有機鉄化合物、有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物等を挙げることができ、これらの1種類でもよく、あるいは2種類以上用いてもよい。触媒の量は、適宜決定されるが、例としてポリオール成分100重量部当たり0.05~5重量部を挙げる。
【0020】
コアシェルゴム粒子は、粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したコアシュル構造を有するポリマー微粒子である。コアシェルゴム粒子の粒径は、体積平均粒子径が10~2000nmであるのが好ましく、50~800nmがより好ましく、100~600nmが更に好ましく、200~400nmが特に好ましい。コアシェルゴム粒子は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物中に0.5~5.0重量%含まれるのが好ましい。コアシェルゴム粒子の量が少なすぎると、低圧縮永久歪効果が得にくくなる。一方、コアシェルゴム粒子の量が多すぎると、ポリウレタンフォームの起泡状態が低下すると共に、コストが嵩むようになる。
【0021】
コアシェルゴム粒子は、ポリオール成分等との混合を容易にするため、ポリプロピレングリコールにコアシェルゴム粒子を分散させたコアシェルゴム粒子分散液としてポリウレタン反応組成物に添加するのが好ましい。コアシェルゴム粒子分散液は、コアシェルゴム粒子:ポリプロピレングリコール(重量比)が、40:60~50:50が好ましい。なお、コアシェルゴム粒子分散液のポリプロピレングリコールは、溶媒として機能する。
【0022】
また、任意の添加剤をポリウレタン反応組成物に添加してもよい。任意の添加剤として、例えば、鎖延長剤、架橋剤、充填剤、染料、顔料、酸化防止剤、難燃剤等を挙げることができる。
鎖延長剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ジプロピレングリコール(DPG)等を挙げることができる。鎖延長剤を配合する場合、鎖延長剤の量は、ポリオール成分100重量部に対して0.5~20重量部が好ましい。
架橋剤としては、グリセリン、ブタンテトラオール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール、ジエタノールアミン、ポリアミンを挙げることができる。架橋剤を配合する場合、架橋剤の量は、ポリオール成分100重量部に対して0.5~10重量部が好ましい。
充填剤としては、アルミナ三水和物、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、粘土等を挙げることができる。
【0023】
イソシアネート成分としては、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れのイソシアネートでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
【0024】
例えば、2官能のイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
【0025】
また、2官能以上のイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)を挙げることができる。3官能以上のイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、等を挙げることができる。また、イソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。イソシアネートインデックスは90~110が好ましい。なお、イソシアネートインデックスは、ウレタン原料中に含まれる活性水素基1モルに対するイソシアネート基のモル数を100倍した値であり、[(発泡原料中のイソシアネート当量/発泡原料中の活性水素の当量)×100]で計算される。
【0026】
造泡用気体としては、ポリオールとイソシアネートとの反応等に悪影響を与えない気体、例えば乾燥空気あるいは窒素等が好適である。造泡用気体は、ポリウレタンフォームの見掛け密度が100~800kg/m3、10倍発泡~1.4倍発泡となる量が好ましく、具体的には、ポリウレタン反応組成物における混合割合が31~91体積%となるようにするのが好ましい。なお、造泡用気体の混合割合とは、造泡用気体を除いたポリウレタン反応組成物100体積部に対する造泡用気体の体積%をいう。
【0027】
本発明のポリウレタンフォームの製造は、前記のように、ポリウレタン反応組成物に造泡用気体を圧縮して混入させた混合原料を、オークスミキサーまたは先端を絞ったノズルに供給してオークスミキサーまたはノズルから吐出するメカニカルフロス法で行われる。また、混合原料の吐出は、離形紙上に連続的に吐出する連続製造方法、あるいは成形型内に吐出するモールド成形法の何れでもよい。
【0028】
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K6400-2D法に準拠した25%CLD硬度(25%圧縮荷重)が0.05MPa以下であり、0.04MPa以下が好ましい。本発明のポリウレタンフォームは、25%CLD硬度が0.05MPa以下であるため、シール材として二物体間で圧縮されて使用された場合に、圧縮により両物体に密着して良好なシール性を得ることができる。
【0029】
本発明のポリウレタンフォームは、JIS K6400-4に準拠した圧縮永久歪が10%以下である。本発明のポリウレタンフォームは、圧縮永久歪が10%以下の低圧縮永久歪のものであるため、シール材として二物体間で圧縮されて長期使用された場合、シール不良の発生を防ぐことができる。
【0030】
本発明のポリウレタンフォームは、低通気性であり、シール材として好適である。例えばポリウレタンフォームが、リング状にされて容器本体に被さる蓋の内周に設けられ、容器本体と蓋間で圧縮されて容器本体と蓋間をシールする場合や、二物体の結合部に設けられ、二物体間で圧縮されてシールする場合などに好適である。
【0031】
本発明のポリウレタンフォームに対する通気性試験は、次のようにして行われる。厚み2mmのポリウレタンフォームから、
図1に示すような外径38mm×内径34mm、厚み2mmのリング状(環状)に打ち抜いて作製したサンプルを、
図2に示す通気性測定室のサンプルセット位置にセットする。
【0032】
通気性測定室は、上面に外部と通じる管状の押圧部が、測定室内のサンプルセット位置へ向けて突出して取り付けられている。管状の押圧部は、サンプルの中央穴の外周部分を圧縮し、サンプルの中央穴については測定室の外部と通じるようにする部分であり、管状の押圧部を交換することによって、管状の押圧部の下面と測定室内のサンプルセット位置間の間隔(サンプルの圧縮量)を調節することができる。
【0033】
測定室内にセットしたサンプルの中央穴の外周部分を、管状の押圧部の下面と測定室内の底面との間で所定の圧縮率で圧縮し、該圧縮部分で管状の押圧部内と測定室内の間をシールする。なおサンプルの圧縮率(%)は、[(元厚み-圧縮時の厚み)/元厚み×100]で算出される。
【0034】
サンプルの外周部分を圧縮した状態で、測定室内に窒素ガスを供給して測定室内の圧力を増加させ、測定室内の圧力が10kPaに上昇した時点で、測定室内への窒素ガスの供給を停止する。測定室内の窒素ガスは、サンプルの外周部分の側面からサンプル内に進入し、サンプルの中央穴内を経て測定室外へ少しずつ逃散し、これにより、測定室内の圧力が徐々に上昇する。そして、測定室内への窒素ガスの供給停止時点(測定室内の圧力10気圧)から測定室内の圧力が5kPaに低下するまでの時間を、通気時間として測定する。
本発明のポリウレタンフォームは、圧縮率30%時の通気時間が240秒以上であって、良好な低通気性を有する。
【0035】
また、本発明のポリウレタンフォームは、見掛け密度(JIS K 7222:2005準拠)が、200~500kg/m3であるのが好ましい。ポリウレタンフォームは、見掛け密度が低すぎたり、高すぎたりすると、二物体間で圧縮された際に、両物体への密着性が低くなってシール性が低下するようになる。
【0036】
本発明のポリウレタンフォームは、シール材として用いられる場合、打ち抜きやモールド成形によって、例えばリング(オーリング)形状に形成されたり、二物体の結合部に嵌まる形状などに形成されたりして使用される。
【実施例】
【0037】
以下の原料を用い、
図3、
図4の表に示す配合からなるポリウレタン反応組成物に、造泡用気体(窒素)の混合割合を85体積%にして、メカニカルフロス発泡機で混合、撹拌を行い、離形紙上に連続的に吐出して120~240℃に加熱し、厚み2mmのシート状のポリウレタンフォームを作製した。
・ポリオール1:ポリエーテルポリオール、製品名;PP-3000、三洋化成工業社製、分子量3000、官能基数3、プロピレンオキサイド含有率100%
・ポリオール2:ヒマシ油系ポリオール、製品名;HS 3G-500B、豊国製油社製、分子量2500、官能基数2.2
・ポリオール3:ヒマシ油系ポリオール、製品名;HS CM-025P、豊国製油社製、分子量840、官能基数3
・ポリオール4:カシューナッツ系ポリオール、製品名;NX-9203、Cardolite社製、分子量1350、官能基数2
・鎖延長剤:ジプロピレングリコール
・コアシェルゴム粒子分散液1:製品名;MX-714、カネカ社製、コアシェルゴム粒子/ポリプロピレングリコール(分子量400)=40/60重量比
・コアシェルゴム粒子分散液2:製品名;MX-710、カネカ社製、コアシェルゴム粒子/ポリプロピレングリコール(分子量1000)=40/60重量比
・架橋剤:グリセリン
・金属触媒:有機酸塩系触媒、製品名;EP73660A、PANTECHNOLOGY社製
・整泡剤:シリコーン系整泡剤、製品名;SZ-1952、東レ・ダウコーニング社製
・イソシアネート:ポリメリックMDI(クルードMDI)、製品名;M5S、BASFイノアックポリウレタン社製、NCO%:34%
【0038】
なお、
図3及び
図4の表のポリウレタン反応組成物欄における各成分の数値は重量部であり、合計量はイソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量である。
また、コアシェルゴム粒子含有率は、合計量(イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量)に含まれるコアシェルゴム粒子の含有率であり、コアシェルゴム粒子分散液中のゴム粒子の量を算出し、合計量(イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量)で除算して、%表示した値である。
【0039】
各実施例及び各比較例について、見掛け密度(kg/m3)、通気性(秒)、圧縮永久歪(%)、25%CLD硬度(MPa)を測定し、各測定結果に対する評価と総合評価を行った。
【0040】
見掛け密度は、JIS K 7222:2005に準拠して測定した。
通気性(秒)は、前記の通気性測定方法にしたがって、圧縮率50%と圧縮率30%について行った。通気性評価は、圧縮率50%の場合に1800秒より大で、かつ圧縮率30%の場合に180秒より大の場合に「×」、圧縮率50%の場合に1800秒以下で、かつ圧縮率30%の場合に180秒以下の場合に「◎」とした。
【0041】
圧縮永久歪(%)は、JIS K6400-4に準拠し、厚み2mmのサンプルを厚み方向に50%圧縮し、所定温度(70℃)にて22時間静置し、その後、常温(23℃)にて圧縮応力を解放して30分経過後のサンプルの厚みを測定し、下記の式により算出した。
圧縮永久歪(%)=[(圧縮前の厚み-圧縮解放後の厚み)/圧縮前の厚み]×100
圧縮永久歪評価は、圧縮永久歪が20%以上の場合「×」、15~20%未満の場合「△」、8~15%未満の場合「〇」、8%未満の場合「◎」とした。
【0042】
25%CLD硬度(MPa)は、JIS K6400-2D法に準拠し、厚み2mmのサンプルを1mm/minの速度で25%圧縮したときの圧縮応力である。
25%CLD硬度評価は、25%CLD硬度が0.04MPaを超える場合「×」、0.03を超え0.04以下の場合「〇」、0.03以下の場合「◎」とした。
また、コアシェルゴム粒子及び架橋剤の量を0重量部とする比較例1の25%CLD硬度の値(100%)に対する、各実施例及び各比較例の25%CLD硬度の値の%を25%CLD硬度上昇率として算出し、評価した。25%CLD硬度上昇率の評価は、150%以上の場合「×」、115~150%未満の場合「〇」、115%未満の場合「◎」とした。
【0043】
総合評価は、各評価のうち最も低い評価を採用した。すなわち、各評価に1つでも「×」が存在する場合、総合評価「×」とし、各評価のうち最低の評価として「△」が存在する場合、総合評価「△」、各評価のうち最低評価として「〇」が存在する場合、総合評価「〇」、各評価が全て「◎」の場合、総合評価「◎」とした。
【0044】
<コアシェルゴム粒子分散液1を使用した実施例>
・実施例1-1
実施例1-1は、ポリオール成分として、ポリオール1を49.0重量部、ポリオール2を10.0重量部、ポリオール3を17.0重量部、ポリオール4を20.0重量部配合し、鎖延長剤3.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を2.0重量部、架橋剤を0重量部、金属触媒を4.0重量部、整泡剤を8.0重量部とし、イソシアネートインデックスを103としてイソシアネートを配合した例である。実施例1-1は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.71重量%である。
【0045】
実施例1-1のポリウレタンフォームは、見掛け密度290kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で302秒、評価「◎」、圧縮永久歪は14.0%、評価「〇」、25%CLD硬度は0.027MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率103%、評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-1のポリウレタンフォームは、コアシェルゴム粒子を0.71重量%含有するため、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0046】
・実施例1-2
実施例1-2は、実施例1-1において、ポリオール1を48.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を3.0重量部とし、他の成分を実施例1-1と同様にした例である。実施例1-2は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率1.06重量%である。
【0047】
実施例1-2のポリウレタンフォームは、見掛け密度286kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で298秒、評価「◎」、圧縮永久歪は9.4%、評価「〇」、25%CLD硬度は0.028MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率105%、評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-2のポリウレタンフォームは、実施例1-1よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例1-1よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0048】
・実施例1-3
実施例1-3は、実施例1-1において、ポリオール1を47.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を4.0重量部とし、他の成分を実施例1-1及び1-2と同様にした例である。実施例1-3は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率1.42重量%である。
【0049】
実施例1-3のポリウレタンフォームは、見掛け密度292kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で306秒、評価「◎」、圧縮永久歪は8.8%、評価「〇」、25%CLD硬度は0.029MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率111%、評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-3のポリウレタンフォームは、実施例1-1及び1-2よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例1-1及び1-2よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0050】
・実施例1-4
実施例1-4は、実施例1-1において、ポリオール1を45.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を6.0重量部とし、他の成分を実施例1-1~1-3と同様にした例である。実施例1-4は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率2.12重量%である。
【0051】
実施例1-4のポリウレタンフォームは、見掛け密度285kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で288秒、評価「◎」、圧縮永久歪は6.9%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.031MPa、評価「〇」、25%CLD硬度上昇率117%、評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-4のポリウレタンフォームは、実施例1-1~1-3よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例1-1~1-3よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0052】
・実施例1-5
実施例1-5は、実施例1-1において、ポリオール1を43.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を8.0重量部とし、他の成分を実施例1-1~1-4と同様にした例である。実施例1-5は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率2.83重量%である。
【0053】
実施例1-5のポリウレタンフォームは、見掛け密度282kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で299秒、評価「◎」、圧縮永久歪は5.3%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.032MPa、評価「〇」、25%CLD硬度上昇率122%、評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-5のポリウレタンフォームは、実施例1-1~1-4よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例1-1~1-4よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0054】
・実施例1-6
実施例1-6は、実施例1-1において、ポリオール1を41.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液1を10.0重量部とし、他の成分を実施例1-1~1-5と同様にした例である。実施例1-6は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率3.54重量%である。
【0055】
実施例1-6のポリウレタンフォームは、見掛け密度277kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で271秒、評価「◎」、圧縮永久歪は5.2%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.034MPa、評価「〇」、25%CLD硬度上昇率130%、評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。実施例1-6のポリウレタンフォームは、実施例1-1~1-5よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例1-1~1-5よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0056】
<コアシェルゴム粒子分散液2を使用した実施例>
・実施例2-1
実施例2-1は、ポリオール成分として、ポリオール1を49.0重量部、ポリオール2を10.0重量部、ポリオール3を17.0重量部、ポリオール4を20.0重量部配合し、鎖延長剤3.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を2.0重量部、架橋剤を0重量部、金属触媒を4.0重量部、整泡剤を8.0重量部とし、イソシアネートインデックスを103としてイソシアネートを配合した例である。実施例2-1は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.71重量%である。
【0057】
実施例2-1のポリウレタンフォームは、見掛け密度301kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で298秒、評価「◎」、圧縮永久歪は12.2%、評価「〇」、25%CLD硬度は0.026MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率98%、評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。実施例2-1のポリウレタンフォームは、コアシェルゴム粒子含有率が0.71重量%のため、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0058】
・実施例2-2
実施例2-2は、実施例2-1において、ポリオール1を48.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を3.0重量部とし、他の成分を実施例2-1と同様にした例である。実施例2-2は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率1.06重量%である。
【0059】
実施例2-2のポリウレタンフォームは、見掛け密度293kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で305秒、評価「◎」、圧縮永久歪は8.5%、評価「〇」、25%CLD硬度は0.027MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率102%、評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。実施例2-2のポリウレタンフォームは、実施例2-1よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例2-1よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0060】
・実施例2-3
実施例2-3は、実施例2-1において、ポリオール1を47.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を4.0重量部とし、他の成分を実施例2-1及び2-2と同様にした例である。実施例2-3は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率1.42重量%である。
【0061】
実施例2-3のポリウレタンフォームは、見掛け密度296kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で290秒、評価「◎」、圧縮永久歪は7.2%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.027MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率102%、評価「◎」であり、総合評価「◎」であった。実施例2-3のポリウレタンフォームは、実施例2-1及び2-2よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例2-1及び2-2よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0062】
・実施例2-4
実施例2-4は、実施例2-1において、ポリオール1を45.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を6.0重量部とし、他の成分を実施例2-1~2-3と同様にした例である。実施例2-4は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率2.12重量%である。
【0063】
実施例2-4のポリウレタンフォームは、見掛け密度290kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で311秒、評価「◎」、圧縮永久歪は6.9%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.028MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率106%、評価「◎」であり、総合評価「◎」であった。実施例2-4のポリウレタンフォームは、実施例2-1~2-3よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例2-1~2-3よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0064】
・実施例2-5
実施例2-5は、実施例2-1において、ポリオール2を43.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を8.0重量部とし、他の成分を実施例2-1~2-4と同様にした例である。実施例2-5は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率2.83重量%である。
【0065】
実施例2-5のポリウレタンフォームは、見掛け密度288kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で272秒、評価「◎」、圧縮永久歪は4.6%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.029MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率110%、評価「◎」であり、総合評価「◎」であった。実施例2-5のポリウレタンフォームは、実施例2-1~2-4よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例2-1~2-4よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0066】
・実施例2-6
実施例1-6は、実施例2-1において、ポリオール1を41.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液2を10.0重量部とし、他の成分を実施例2-1~2-5と同様にした例である。実施例2-6は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率3.54重量%である。
【0067】
実施例2-6のポリウレタンフォームは、見掛け密度292kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で255秒、評価「◎」、圧縮永久歪は4.4%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.030MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率114%、評価「◎」であり、総合評価「◎」であった。実施例2-6のポリウレタンフォームは、実施例2-1~2-5よりもコアシェルゴム粒子含有率が高いため、実施例2-1~2-5よりも圧縮永久歪が小さくなり、25%CLD硬度が僅かに高くなったが、低硬度、低通気性かつ低圧縮永久歪であった。
【0068】
<コアシェルゴム粒子分散液を含まない比較例>
・比較例1
比較例1は、ポリオール成分として、ポリオール1を51.0重量部、ポリオール2を10.0重量部、ポリオール3を17.0重量部、ポリオール4を20.0重量部配合し、鎖延長剤3.0重量部、コアシェルゴム粒子分散液を0重量部、架橋剤を0重量部、金属触媒を4.0重量部、整泡剤を8.0重量部とし、イソシアネートインデックスを103としてイソシアネートを配合した例である。比較例1は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.00重量%である。
【0069】
比較例1のポリウレタンフォームは、見掛け密度295kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で320秒、評価「◎」、圧縮永久歪は31.0%、評価「×」、25%CLD硬度は0.026MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率100%、評価「◎」であり、総合評価「×」であった。比較例1のポリウレタンフォームは、コアシェルゴム粒子含有率が0.00重量%のため、各実施例と比べると圧縮永久歪が大きいものであり、シール材として使用した場合、使用中にシール部に隙間を生じてシール不良になるおそれがある。
【0070】
・比較例2
比較例2は、比較例1において、ポリオール1を48.0重量部、架橋剤を3.0重量部とし、他の成分を比較例1と同様にした例である。比較例2は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.00重量%である。
【0071】
比較例2のポリウレタンフォームは、見掛け密度235kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で285秒、評価「◎」、圧縮永久歪は5.3%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.058MPa、評価「×」、25%CLD硬度上昇率219%、評価「×」であり、総合評価「×」であった。比較例2のポリウレタンフォームは、比較例1に比べて架橋剤を3.0重量部含むことにより、圧縮永久歪が小さくさなったが、25%CLD硬度が高くなったため、シール材として使用した場合に圧縮不良によってシール部に隙間を生じ、シール不良になるおそれがある。
【0072】
・比較例3
比較例3は、比較例1において、ポリオール1を46.0重量部、架橋剤を5.0重量部とし、他の成分を比較例1及び2と同様にした例である。比較例3は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.00重量%である。
【0073】
比較例3のポリウレタンフォームは、見掛け密度233kg/m3、通気性は圧縮率50%で1800秒以上、圧縮率30%で266秒、評価「◎」、圧縮永久歪は5.3%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.0096MPa、評価「×」、25%CLD硬度上昇率362%、評価「×」であり、総合評価「×」であった。比較例3のポリウレタンフォームは、比較例1に比べて架橋剤を5.0重量部含むことにより、圧縮永久歪が小さくさなったが、25%CLD硬度が高くなったため、シール材として使用した場合に圧縮不良によってシール部に隙間を生じ、シール不良になるおそれがある。
・比較例4
比較例4は、比較例1において、ポリオール1を52.0重量部、ポリオール2を10.0重量部、ポリオール3を30.0重量部、ポリオール4を8.0重量部、整泡剤を6.0重量部とし、他の成分を比較例1と同様にした例である。比較例4は、イソシアネート成分を除くポリウレタン反応組成物の合計量は113.0重量部、コアシェルゴム粒子含有率0.00重量%である。
【0074】
比較例4のポリウレタンフォームは、見掛け密度323kg/m3、通気性は圧縮率50%で236秒、圧縮率30%で7秒、評価「×」、圧縮永久歪は6.2%、評価「◎」、25%CLD硬度は0.020MPa、評価「◎」、25%CLD硬度上昇率75.8%、評価「◎」であり、総合評価「×」であった。比較例4のポリウレタンフォームは、比較例1に比べてポリオール1の量を増やしてポリオール4の量を減らしたことにより、高通気性になり、シール材として不向きである。
【0075】
このように、本発明のポリウレタンフォームは、低硬度、低通気かつ低圧縮永久歪であり、シール材として好適である。