(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】患者健康記録ベース器具制御を備える遠隔操作手術システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240220BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240220BHJP
A61B 34/37 20160101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B34/20
A61B34/37
(21)【出願番号】P 2019524330
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(86)【国際出願番号】 US2017061131
(87)【国際公開番号】W WO2018089812
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ノーリン,ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】アズィズィアン,マーディ
(72)【発明者】
【氏名】ディマイオ,サイモン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モーア,ポール ダブリュ.
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0041368(US,A1)
【文献】特開2007-111126(JP,A)
【文献】特開2011-206180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35 34/20 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具と手術器具アクチュエータとを
含む手術システムの作動方法であって、
前記手術システムのプロセッサが、
外科処置の1つ以上の手術段階を示す外科処置情報をユーザか
ら受信するステップと、
前記プロセッサが
、第1のロボット手術器具の動作中に前記手術器具アクチュエータ
の動作状態をトラッキングするステップと、
前記プロセッサが、
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第1の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータの動作を第1の安全モードで制御するステップと、を含み、
前記第1の安全モードは、前記第1の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限する、
方法。
【請求項2】
前記プロセッサが、電子ユーザインタフェースで、手術患者の医学的状態を記述する特性を含む手術患者の健康記録情報を受信するステップと、
前記プロセッサが、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造を用いて、前記手術患者の前記受信する健康記録情報に基づいて、前記第1のロボット手術器具の前記第1の安全モードを前記手術器具の前記第1の
手術段階と一致させるステップとを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記第1のロボット手術器具が第1の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサが、電子ユーザインタフェースで、手術患者の医学的状態を記述する特性を含む手術患者の健康記録情報を受信するステップと、
前記プロセッサが、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造を用いて、前記手術患者の前記受信する健康記録情報を第1のメッセージと一致させるステップとを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセッサが、
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第2の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータの動作を第2の安全モード
で制御するステップを更に含み、前記第2の安全モードは、前記第2の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第2の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータの動作を第2の安全モード
で制御するステップであって、前記第2の安全モードは、前記第2の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限する、制御するステップと、
前記プロセッサが、前記第1のロボット手術器具が前記第1の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示するステップと、
前記プロセッサが、前記第1のロボット手術器具が前記第2の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第2のメッセージを表示するステップと、を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造を用いて、前記手術患者の前記受信する健康記録情報を第1のメッセージと一致させるステップと、
前記プロセッサが、前記第1のロボット手術器具が第1の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示するステップと、を更に含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項8】
手術器具と、手術器具アクチュエータとを含む、手術システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサ上で実行可能な指令セットを保持するメモリデバイスと、を含み、
前記指令セットは、当該手術システムに、
外科処置の1つ以上の手術段階を示す外科処置情報をユーザか
ら受信すること、
第1のロボット手術器具の動作中に前記手術器具アクチュエータ
の動作状態をトラッキングすること、及び
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第1の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータの動作を第1の安全モードで制御すること、
を含む操作を実行させ
、
前記第1の安全モードは、前記第1の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限する、
手術システム。
【請求項9】
前記操作は、
電子ユーザインタフェースで、手術患者の医学的状態を記述する特性を含む手術患者の健康記録情報を受信すること、及び
プロセッサによって、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造を用いて、前記手術患者の前記受信する健康記録情報に基づいて、前記第1のロボット手術器具の前記第1の安全
モードを前記手術器具の前記第1の
手術段階と一致させることを更に含む、
請求項8に記載の手術システム。
【請求項10】
前記操作は、
前記第1のロボット手術器具が第1の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示することを更に含む、
請求項8に記載の手術システム。
【請求項11】
前記操作は、
電子ユーザインタフェースで、手術患者の医学的状態を記述する特性を含む手術患者の健康記録情報を受信すること、及び
プロセッサによって、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造を用いて、前記手術患者の前記受信する健康記録情報を第1のメッセージと一致させることを更に含む、
請求項8に記載の手術システム。
【請求項12】
前記操作は、
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第2の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータを第2の安全モード
で制御するステップを更に含み、前記第2の安全モードは、前記第2の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限する、
請求項8に記載の手術システム。
【請求項13】
前記操作は、
前記トラッキングの結果に基づいて、前記第1のロボット手術器具が第2の
手術段階にあること
を判断して、前記
手術器具アクチュエータを第2の安全モード
で制御することを更に含み、前記第2の安全モードは、前記第2の手術段階と関連する前記第1のロボット手術器具の動作を制限し、
前記第1のロボット手術器具が前記第1の手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示することと、
前記第1のロボット手術器具が前記第2の
手術段階にあることに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第2のメッセージを表示すること
と、を更に含む、
請求項8に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2016年11月11日に出願された米国特許出願第62/421,064号の優先権の利益を主張し、その全文を本明細書に参照として援用する。
【0002】
発明的な態様は、手術中に使用される医療デバイスと関連する。より具体的には、それらの態様は、ビデオライブラリデータベースと通信する医療デバイスに実装される手術計画ツールと関連する。
【背景技術】
【0003】
外科医は、典型的には、外科的処置を行う前に広範な研究を行う。従来、外科医は、写真又は図面のような一般的な解剖学的モデルの研究に制約されていた。より近年では、様々な術前診断処置(例えば、X線、CT、MRIなど)が、患者特異的な解剖学的情報を利用可能にしている。
【0004】
場合によっては、追加的な関連する解剖学的及び外科的処置情報を外科医に利用可能にすることが望ましい。1つの態様では、特定の患者に対して手術を計画する外科医に、その特定の患者に対して行われた以前の外科的処置の手術部位ビデオ記録を提供することが望ましい。別の態様では、特定の患者に対して計画された外科的処置に類似する他の患者に対する外科的処置の1以上(1つ又はそれよりも多く)の手術ビデオ記録を外科医に提供することが望ましい。1つの態様では、外科医が特定の外科的処置を行う前に、そのような情報を外科医に提供することが望ましい。そして、別の態様では、この情報を外科医に術中に提供することが望ましいことがある。
【0005】
1つの態様では、様々な患者が受けた様々な処置の術中手術部位ビデオ記録を含むビデオデータベースを構成することが望ましい。1つの態様では、ビデオが記録されているときに、医療デバイスを使用する外科医がリアルタイムでビデオ記録を強調表示(ハイライト)してビデオ記録に注釈を付けることを可能にする入力を更に含むように、ビデオ記録を行い得る医療デバイスを構成することが望ましい。1つの態様では、ビデオデータベースの個々の記録を検索し、関連するビデオ記録を識別し、特定の外科的処置のためのこの関連情報を外科医に提供するように、コンピュータベースのパターンマッチングアルゴリズムを構成することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
以下の要約は、基本的な理解を提供するために発明的な主題の特定の態様を導入する。この要約は、発明的な主題の広範な概観でなく、鍵となる要素又は重要な要素を特定したり或いは発明的な主題の範囲を境界付けたりすることを意図しない。この要約は、発明的な主題の様々な態様及び実施形態に関連する情報を含むが、その唯一の目的は、幾つかの態様及び実施形態を、以下のより詳細な説明の前文として一般的な形態で提示することである。
【0007】
手術器具と手術器具アクチュエータとを含む遠隔操作手術システムにおける手術患者健康記録の術中使用のための方法が提供される。ユーザからユーザ入力コマンドを受信してロボット手術器具の動作を制御する。ユーザ入力コマンドに応答して、ロボット手術器具の動作中に、ロボット器具の手術器具アクチュエータ状態のアクチュエータ状態をトラッキング(追跡)する。ロボット手術器具が所定のアクチュエータ状態に移行することに応答して、ロボット器具の手術器具アクチュエータ状態を安全モードに移行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】最小侵襲遠隔操作手術システムの平面図である。
【
図4】遠隔操作手術システムの図式的な例示である。
【
図9】手術計画ツールを使用する方法のフロー図である。
【
図10】幾つかの実施形態に従ったコンピュータ可読ストレージデバイス中のストレージアトラス情報構造を表す例示的な図である。
【
図11】幾つかの実施形態に従った、個々の手術からの記録されたビデオ情報を対応する手術器具アクチュエータ状態と関連付ける、ストレージデバイス中のアトラス内に含められる第7の情報構造の例を表す例示的な図である。
【
図12A】手術器具が幾つかの実施形態に従った3つの異なる例示的な動作状態において示される例示的な手術器具及び例示的なアクチュエータアセンブリを示す例示的な図である。
【
図12B】手術器具が幾つかの実施形態に従った3つの異なる例示的な動作状態において示される例示的な手術器具及び例示的なアクチュエータアセンブリを示す例示的な図である。
【
図12C】手術器具が幾つかの実施形態に従った3つの異なる例示的な動作状態において示される例示的な手術器具及び例示的なアクチュエータアセンブリを示す例示的な図である。
【
図13】幾つかの実施形態に従った、異なる例示的な手術患者健康記録特性を手術リスク管理情報と関連付け、特定の外科的処置に対応する、コンピュータ可読ストレージデバイス中に格納されるアトラスの例示的な第8の情報構造を表す、図である。
【
図14】幾つかの実施形態に従った、警告メッセージを提示し、手術患者健康記録情報に少なくとも部分的に基づいて手術器具を安全状態に移行させる、プロセッサの構成を表す、例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この記述、及び発明的な態様、実施態様、実装、又は適用を例示する添付の図面は、限定的なものと考えられてならない。即ち、請求項が、保護された発明を定義する。この記述及び請求項から逸脱せずに、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的な変更が行われてよい。場合によっては、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、又は技法は、詳細に示されず或いは記載されない。2以上(2つ又はそれよりも多く)の図中の同等の数字は、同一又は類似の要素を表す。
【0010】
1つの実施形態、実装、又は適用を参照して詳細に記載される要素は、実用的な場合にはいつでも、それらが具体的に示されておらず或いは記載されていない他の実施形態、実装、又は適用に含められてよい。例えば、ある要素が1つの実施形態を参照して詳細に記載され、第2の実施形態を参照して記載されないならば、その要素は、それにも拘わらず、第2の実施形態に含まれるものとして主張されることがある。よって、以下の記述における不要な反復を避けるために、1つの実施形態、実装、又は適用と関連して示され且つ記載される1以上の要素は、特段の記述がない限り、1以上の要素がある実施形態又は実装を機能的でなくしない限り、或いはそれらの要素のうちの2以上の要素が矛盾する機能を提供しない限り、他の実施形態、実装、又は態様に組み込まれてよい。
【0011】
本発明の態様は、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商業化されているda Vinci(登録商標)Surgical System(特に、da Vinci XiTMHDTM Surgical Systemとして市販されているModel IS4000)を使用した実施の観点から主に記載されている。しかしながら、当業者は、本明細書に開示する発明的な態様が、ロボット的な実施形態及び実装並びに該当する場合には非ロボット的な実施形態及び実装を含む様々な方法で具現され且つ実施されてよいことを理解するであろう。da Vinci(登録商標)Surgical System(例えば、Model IS4000 da Vinci(登録商標)XiTM Surgical System、 Model IS3000 da Vinci(登録商標)Surgical System)に関する実施は、例示に過ぎず、本明細書に開示する発明的な態様の範囲を制限するものと考えられてならない。
【0012】
様々な態様に従って、本開示は、外科的処置のパフォーマンスをビデオ記録するように構成された医療デバイスを含む手術計画ツールを記載する。ビデオ記録を様々なメタデータ、例えば、医療者によって作成されるハイライトと共に埋め込むことができる。加えて、ビデオ記録を様々なメタデータ、例えば、ビデオの特定の主題、ビデオ記録が対応する患者の識別、患者に関する経歴的情報又は医学的情報、及び類似のものを記述する、文字注釈でタグ付けすることができる。1つの態様において、タグ付きメタデータは、ビデオ記録に埋め込まれる。
【0013】
更なる態様によれば、本開示は、外科的処置の1以上の段階において使用される手術器具を含む遠隔操作医療デバイスを記載する。外科的処置の異なる段階は、異なる患者に対する異なるリスクレベルと関連付けられることがある。幾つかの態様では、患者に対するリスクレベルが、医療者によって手動で或いは専門家システム又は人工知能を介して自動的に、少なくとも部分的に、患者の健康記録に基づいて決定されてよい。手術器具は、複数のアクチュエータ状態において作動可能な1以上の手術器具アクチュエータによって制御される。手術器具を制御するアクチュエータのアクチュエータ状態が、外科的処置中にトラッキングされる。幾つかの実施形態において、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造は、患者が外科的処置中に潜在的に増大したリスクにある状態に手術器具が移行することに応答して、手術器具アクチュエータ状態を外科医に提示するための手術ガイダンス情報と関連付ける。幾つかの実施形態において、外科医に提示される手術ガイダンス情報は、少なくとも部分的に、手術患者の健康記録に基づいて決定される。幾つかの実施形態では、コンピュータ可読ストレージデバイス内の情報構造が、手術器具アクチュエータ状態を、少なくとも外科的処置の幾つかの態様に関して、手術器具アクチュエータを、患者がより少ないリスクにある、従って、より安全な、アクチュエータの安全動作モードに移行させる使用のための、安全移行情報と関連付ける。幾つかの実施形態において、手術器具アクチュエータの安全動作モードは、手術患者の健康記録に少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0014】
手術器具アクチュエータ状態を手術ガイダンス又はアクチュエータ安全状態情報と関連付けるビデオ記録及び情報構造を、ローカルに又はクラウドデータ格納サービス上に実装される電子医療記録データベース上にアーカイブすることができる。ビデオ記録は、関心を有するヘルスケアプロバイダに利用可能にされることができる。情報構造は、外科的ガイダンスを提供するよう並びに外科的処置の実行中に手術器具アクチュエータ状態を制御するよう、遠隔操作医療デバイスと一緒の使用のために利用可能にされることができる。
【0015】
ヘルスケアプロバイダは、上述のメタデータタグを使用して、関心を有するビデオ及び情報構造関係についての患者ヘルスケア記録に基づいて、医療デバイスデータベースを検索することができる。加えて、1つの態様において、手術計画ツールは、コンピュータベースのパターンマッチング及び分析アルゴリズムを含む。1つの態様において、パターンマッチングアルゴリズムは、電子医療記録データベースに格納されるビデオを選別して(culls through)、ビデオ記録中の視覚特性と医療者によって作成された関連メタデータタグとの間の相関を識別する。手術計画ツールは、これらの相関を新たに直面する解剖学的構造に適用することにより、処置を遂行する医療者が、患者の解剖学的構造、好適な外科的アプローチ、病態、潜在的な合併症等についての決定を行うのを支援することができる。別の態様では、パターンマッチングアルゴリズムは、(プライベートな又は公共の又は両方の)電子医療記録データベースに格納されるビデオを選別して、ビデオ記録中の視覚特性と患者健康記録情報と間の相関を識別して、健康記録情報と相関する解剖学的特性を識別する。手術計画ツールは、解剖学的構造とヘルスケア記録との間のこれらの相関を現在の患者の解剖学的構造及び健康記録に適用し、それにより、現在の患者に関与する外科的処置を計画し且つ実行する医療者を支援する。
【0016】
(最小侵襲遠隔操作手術システム)
ここで図面を参照すると、同等の参照番号は幾つかの図を通じて同等の部品を表しており、
図1は、手術台14の上に横たわる患者12に対して最小侵襲的な診断又は外科的処置を実施するために典型的に使用される、最小侵襲遠隔操作手術システム10の平面図である。システムは、処置中の外科医18による使用のための外科医コンソール16を含む。1人以上(1人又はそれよりも多く)の助手20が処置に参加することもある。最小侵襲遠隔操作手術システム10は、患者側カート22と、電子機器カート24とを更に含む。患者側カート22は、外科医18が外科医コンソール16を通じて手術部位を見る間に、患者12の身体にある最小侵襲性切開部を通じて少なくとも1つの取り外し可能に連結された手術器具26を操作することができる。立体視内視鏡のような内視鏡28によって手術部位の画像を取得することができ、患者側カート22によって内視鏡28を操作して内視鏡28を方向付けることができる。電子機器カート24に配置されるコンピュータプロセッサを使用して、外科医コンソール16を通じた外科医18への後続の表示のために手術部位の画像を処理することができる。一度に使用される手術器具26の数は、一般的に、他の要因の中でも、診断的処置又は外科的処置及び手術室内の空間制約に依存する。処置中に使用される手術器具26のうちの1以上を変更することが必要であるならば、助手20は手術器具26を患者側カート22から取り外し、それを手術室内のトレイ30からの別の手術器具26と交換することができる。
【0017】
図2は、外科医コンソール16の斜視図である。外科医コンソール16は、深さ知覚を可能にする手術部位の調整された(coordinated)立体視ビューを外科医18に提示する左眼ディスプレイ32と右眼ディスプレイ34とを含む。コンソール16は、1以上の制御入力36を更に含む。(
図1に示す)患者側カート22での使用のために設置される1以上の手術器具が、外科医18の1以上の制御入力36の操作に応答して移動する。制御入力36は、(
図1に示す)それらの関連する手術器具26と同じ機械的自由度を提供して、外科医18にテレプレゼンス(telepresence)、又は外科医が手術器具26を直接的に制御しているという強い感覚(sense)を有するよう制御入力36が器具26と一体的であるという知覚(perception)を提供することができる。この目的を達成するために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)を利用して、手術器具26からの位置、力、及び触覚の感覚(sensations)を、制御入力36を通じて外科医の両手に伝えてよい。
【0018】
外科医コンソール16は、外科医が処置を直接的にモニタリングすることができ、必要であるならば物理的に存在することができ、電話又は他の通信媒体を通じてよりもむしろ患者側の助手と直接的に話すことができるよう、患者と同じ部屋内に配置されるのが普通である。しかしながら、外科医は、遠隔手術を可能にする異なる部屋、全く異なる建物、又は患者から離れた他の場所に配置されることができる。
【0019】
図3は、電子機器カート24の斜視図である。電子機器カート24は、内視鏡28と連結されることができ、外科医コンソール上の外科医への或いはローカルに又は遠隔に配置された他の適切なディスプレイ上へのような後続の表示のために取込み画像(captured images)を処理するコンピュータプロセッサを含む。例えば、立体視内視鏡が使用されるならば、電子機器カート24上のコンピュータプロセッサが取込み画像を処理して、手術部位の調整された立体視画像を外科医に提示することができる。そのような調整(coordination)は、対向する画像間の整列(アライメント)を含むことができ、立体視内視鏡の立体作動距離を調整することを含むことができる。別の例として、画像処理は、以前に決定されたカメラ較正パラメータを使用して、光学収差のような画像キャプチャデバイスの撮像誤差を補償することを含むことができる。任意的に、電子機器カート内の機器は、外科医コンソール又は患者側カートに統合されてよく、或いはそれは手術室内の様々な他の場所に分配されてよい。
【0020】
図4は、(
図1の最小侵襲遠隔操作手術システム10のような)遠隔操作手術システム50を概略的に例示している。(
図1の外科医コンソール16のような)外科医コンソール52が、最小侵襲的な処置中に(
図1の患者側カート22のような)患者側カート54を制御するために外科医によって使用されることができる。患者側カート54は、立体視内視鏡のような撮像デバイスを使用して、手術部位の画像を取り込み、取り込んだ画像を(
図1の電子機器カート24のような)電子機器カート56に配置されるコンピュータプロセッサに出力することができる。コンピュータプロセッサは、典型的には、コンピュータプロセッサの不揮発性メモリデバイスに格納されるコンピュータ可読コードを実行することを目的とする1以上のデータ処理ボードを含む。1つの態様において、コンピュータプロセッサは、如何なる後続の表示にも先立って、取り込んだ画像を様々な方法において処理することができる。例えば、コンピュータプロセッサは、組み合わせられた画像を外科医コンソール52を介して外科医に表示するに先立って、取り込んだ画像を仮想制御インタフェースでオーバーレイすることができる。
【0021】
追加的に又は代替的に、取込み画像は、電子機器カート56の外側に配置されるコンピュータプロセッサによる画像処理を受けることができる。1つの態様において、遠隔操作手術システム50は、電子機器カート56に配置されるコンピュータプロセッサに類似する(破線によって示すような)任意的なコンピュータプロセッサ58を含み、患者側カート54は、外科医コンソール52上での表示に先立って、画像処理のために取り込んだ画像をコンピュータプロセッサ58に出力する。別の態様では、取込み画像は、先ず、電子機器カート56にあるコンピュータプロセッサによる画像処理を受け、次に、外科医コンソール52に表示するに先立って、コンピュータプロセッサ58による追加的な画像処理を受ける。遠隔操作手術システム50は、破線によって示すように、任意的なディスプレイ60を含むことができる。ディスプレイ60は、電子機器カート56に配置されたコンピュータプロセッサとコンピュータプロセッサ58とに連結され、これらのコンピュータプロセッサによって処理された取込み画像は、外科医コンソール52のディスプレイに表示されることに加えて、ディスプレイ60に表示されることができる。
【0022】
図5は、本発明の実施形態に従った最小侵襲遠隔操作手術システムの患者側カート500の斜視図である。患者側カート500は、1以上の支持アセンブリ510を含む。手術器具マニピュレータ512が、各支持アセンブリ510の端に取り付けられる。加えて、各支持アセンブリ510は、任意的に、手術のために患者を基準として取り付けられた手術器具マニピュレータ512を位置決めするために使用される、1以上の電力供給されないロック可能なセットアップジョイントを含むことができる。描写のように、患者側カート500は、フロア上に位置する。他の実施形態では、患者側カートの動作部分を壁、天井、患者の身体522も支持する手術台526、又は他の手術室機器に取り付けることができる。更に、患者側カート500は、4つの手術器具マニピュレータ512を含むものとして示されているが、より多い又はより少ない手術器具マニピュレータ512が使用されてよい。
【0023】
機能的な最小侵襲遠隔操作手術システムは、一般的に、遠隔操作手術システムのユーザが患者の身体522の外側から手術部位を見ることを可能にするビジョンシステム部分を含む。ビジョンシステム(vision system)は、典型的には、ビデオ画像を取り込むためのカメラ器具528と、取り込んだビデオ画像を表示するための1以上のビデオディスプレイとを含む。幾つかの手術システム構成において、カメラ器具528は、カメラ器具528の遠位端から患者の身体522の外側の1以上の撮像センサ(例えば、CCD又はCMOSセンサ)に画像を転送する光学系を含む。代替的に、(複数の)撮像センサは、カメラ器具528の遠位端に位置付けられることができ、(複数の)センサによって生成される信号は、処理及び1以上のビデオディスプレイ上での表示のためにリード線に沿って或いは無線で送信されることができる。ビデオディスプレイの一例は、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商業化されている手術システム内の外科医コンソール上の立体視ディスプレイである。
【0024】
図5を参照すると、各手術器具マニピュレータ512に取り付けられているのは、患者の身体522内の手術部位で作動する手術器具520である。各手術器具マニピュレータ512は、関連する手術器具が1以上の機械的自由度(例えば、全部の6つのデカルト自由度、5つ以下のデカルト自由度など)で動くことを可能にする様々な形態において提供されることができる。典型的には、機械的又は制御的拘束は、患者を基準として静止したままである器具上の運動中心の周りでその関連する手術器具を動かすよう、各マニピュレータ512を制約し、この運動中心は、典型的には、器具が身体内に入る位置に配置される。
【0025】
1つの態様において、手術器具520は、コンピュータ支援遠隔操作を通じて制御される。機能的最小侵襲遠隔手操作術システムは、遠隔操作手術システムのユーザ(例えば、外科医又は他の医療者)から入力を受信する制御入力を含む。制御入力は、手術器具520が連結される1以上のモータのような、1以上のコンピュータ制御される遠隔操作アクチュエータと通信する。このようにして、手術器具520は、医療者の制御入力の動きに応答して動く。1つの態様では、1以上の制御入力が、
図2に示す外科医コンソール16のような外科医コンソールに含められる。外科医は、外科医コンソール16の制御入力36を操作して、患者側カート500の遠隔操作アクチュエータを作動させることができる。遠隔操作アクチュエータによって生成される力は、ドライブトレーン機構を介して伝達され、ドライブトレーン機構は、遠隔操作アクチュエータからの力を手術器具520に伝動する。
【0026】
図5を参照すると、1つの態様において、手術器具520及びカニューレ524は、手術器具520がカニューレ524を通じて挿入された状態で、マニピュレータ512に取り外し可能に連結される。マニピュレータ512の1以上の遠隔操作アクチュエータは、手術器具512を全体的に移動させる。マニピュレータ512は、器具キャリッジ530を更に含む。手術器具520は、器具キャリッジ530に取り外し可能に接続される。1つの態様において、器具キャリッジ530は、手術器具520が手術器具520のエンドエフェクタの様々な動きに変換する多数のコントローラ動作を提供する1以上の遠隔操作アクチュエータを内側に収容する。よって、器具キャリッジ530内の遠隔操作アクチュエータは、器具を全体的に移動させるというよりもむしろ、手術器具520の1以上のコンポーネントのみを移動させる。器具全体又は器具のコンポーネントのいずれかを制御するための入力は、外科医又は他の医療者が制御入力(「マスタ」コマンド)に提供する入力が手術器具による対応する動作(「スレーブ」応答)に変換されるような入力である。
【0027】
代替的な実施形態において、器具キャリッジ530は、遠隔操作アクチュエータを収容しない。手術器具520のエンドエフェクタの様々な動きを可能にする遠隔操作アクチュエータは、器具キャリッジ530から離れた場所、例えば、患者側カート500の他の場所に収容される。ケーブルベースの力伝動機構又は類似機構は、遠隔配置された遠隔操作アクチュエータの各遠隔操作アクチュエータの動きを器具キャリッジ530に配置された対応する器具インタフェース接続アクチュエータ出力に伝達するために使用される。幾つかの実施形態において、手術器具520は、長手方向(z軸)回転のような手術器具の第1の動きを制御する第1のアクチュエータに機械的に連結される。手術器具520は、二次元(x,y)運動のような手術器具の第2の動きを制御する第2のアクチュエータに機械的に連結される。手術器具520は、ジョーエンドエフェクタの開閉のような手術器具の第3の動きを制御する第3のアクチュエータに機械的に連結される。
【0028】
図6は、細長いチューブ中心線軸611を有する細長いチューブ610によって連結される近位制御機構640と遠位部分650とを含む手術器具520の側面図である。手術器具520は、患者の身体内に挿入されるように構成され、外科的又は診断的処置を実行するために使用される。手術器具520の遠位部分650は、図示の鉗子、針ドライバ、焼灼デバイス、切削ツール、撮像デバイス(例えば、内視鏡若しくは超音波プローブ)、又は類似物のような、様々なエンドエフェクタ654のうちのいずれかを提供することができる。手術エンドエフェクタ654は、開閉するジョー、又は経路に沿って並進するナイフのような、機能的機械的自由度を含むことができる。図示の実施形態において、エンドエフェクタ654は、リスト652(手首部)によって細長いチューブ610に連結され、リスト652は、エンドエフェクタが細長いチューブ中心線軸611に対して方向付けられることを可能にする。手術器具520は、(例えば器具の内側の半導体メモリに)格納される情報を含んでもよく、それは永久的であってよく、或いは手術器具520を作動させるように構成される手術システムによって更新可能であってよい。従って、手術システムは、手術器具520と手術システムの1以上のコンポーネントとの間の一方向又は双方向の情報通信を提供することがある。
【0029】
図7は、手術器具マニピュレータ512の斜視図である。器具マニピュレータ512は、手術器具が取り付けられていない状態で示されている。器具マニピュレータ512は、器具キャリッジ530を含み、器具キャリッジ530には、手術器具(例えば、手術器具520)を取り外し可能に接続することができる。器具キャリッジ530は、複数の遠隔操作アクチュエータを収容する。各遠隔操作アクチュエータは、アクチュエータ出力705を含む。手術器具が器具マニピュレータ512上に装着されるとき、器具近位制御機構(例えば、
図6にある近位制御機構640)の1以上の器具入力(図示せず)は、対応するアクチュエータ出力705と機械的に連結される。1つの態様において、この機械的連結は直接的であり、アクチュエータ出力705は対応する器具入力と直接的に接触する。別の態様において、この機械的連結は、器具マニピュレータ512と関連する手術器具との間に滅菌バリアを提供するように構成されたドレープのコンポーネントのような中間インタフェースを通じて起こる。
【0030】
1つの態様において、対応する遠隔操作アクチュエータによる1以上の器具入力の動作は、手術器具の機械的自由度の動きをもたらす。例えば、1つの態様において、器具マニピュレータ512に取り付けられた手術器具は、
図6に示す手術器具520である。
図6を参照すると、1つの態様において、対応する遠隔操作アクチュエータによる近位制御機構640の1以上の器具入力の動作は、細長いチューブ610(並びに取り付けられたリスト652及びエンドエフェクタ654)を、細長いチューブ中心線軸611の周りで近位制御機構640に対して回転させる。別の態様では、対応する遠隔操作アクチュエータによる1以上の器具入力の動作は、エンドエフェクタ654を細長いチューブ中心線軸611に対して方向付ける、リスト652の動作をもたらす。別の態様において、対応する遠隔操作アクチュエータによる1以上の器具入力の動作は、エンドエフェクタ654の1以上の可動要素(例えば、ジョー部材、ナイフ部材など)の動作をもたらす。従って、器具キャリッジ530の遠隔操作アクチュエータの作動によって器具マニピュレータ512上に装着される手術器具の様々な機械的自由度を移動させることができる。
【0031】
(記録されたビデオに注釈を付けること)
図8は、例示的な手術計画ツール800の概略図を示している。1つの態様において、手術計画ツール800は、電子医療デバイス記録データベース830とデータ通信する遠隔操作手術システム850を含む。ここに示す遠隔操作手術システム850は、
図4に示す遠隔操作手術システム850と類似している。1つの態様において、電子医療記録データベース830は、特定の病院で治療を受けた患者の医療記録を含む。データベース830は、病院で構内に(on-site)配置されるサーバ上に実装されることができる。イントラネットネットワークを通じて病院コンピュータからデータベース830に含められる医療記録エントリにアクセスすることができる。代替的に、例えば、多数のクラウドデータストレージサービスのうちの1つを使用して、データベース830を、病院から構外に(off-site)配置される遠隔サーバ上に実装することができる。この場合、データベース830の医療記録エントリは、クラウドサーバに格納され、インターネットアクセスを有するコンピュータによってアクセスされることができる。
【0032】
1つの態様では、外科的処置が、遠隔操作手術システム850を用いて第1の患者に対して行われる。遠隔操作手術システム850と関連付けられる撮像デバイスが、手術部位の画像を取り込み、取り込んだ画像を外科医コンソール52のディスプレイにビデオのフレームとして表示する。1つの態様では、外科医コンソール52にいる医療者が、外科医コンソール52の入力デバイスを使用して、表示されるビデオに示される特定の患者解剖学的構造を強調表示(ハイライト)し或いは注釈する。そのような入力デバイスの一例が、
図2に示す制御入力36であり、それは表示されるビデオ上にオーバーレイされるグラフィックユーザインタフェースと共に動作するカーソルに連結される。グラフィックユーザインタフェースは、既存のマニピュレータのいずれかを入力デバイスとして再目的化すること(repurposing)を含む、QWERTYキーボード、マウス及び対話型スクリーンディスプレイのようなポインティングデバイス、タッチスクリーンディスプレイ、又はデータ又は文字入力のための他の手段を含むことができる。従って、医療者は、表示される画像中の特定の関心組織を強調表示するか或いは文字注釈を入力することができる。
【0033】
1つの態様において、手術部位ビデオは、電子機器カート56に配置されるディスプレイに追加的に表示される。1つの態様において、電子機器カートのディスプレイは、電子機器カートのディスプレイに視聴(viewing)のために表示される画像に示される患者解剖学的構造の特定部分を強調表示し或いは注釈するために医療者によって使用可能なタッチスクリーンユーザインタフェースである。ユーザは、タッチスクリーンユーザインタフェース上に表示される患者解剖学的構造の部分に触れることによって、表示される画像の部分を強調表示することができる。加えて、QWERTYキーボードを含むグラフィックインタフェースを表示画像上にオーバーレイすることができる。ユーザはQWERTYキーボードを使用して文字注釈を入力することができる。
【0034】
1つの態様において、遠隔操作手術システム850と関連付けられる撮像デバイスによって取り込まれる手術部位ビデオは、遠隔操作手術システム850によって記録され、ユーザにリアルタイムで又は略リアルタイムで表示されることに加えて、データベース830に格納される。ユーザによって作成された記録されたビデオと関連付けられるハイライト(強調表示)及び/又は注釈もデータベース830に格納されることができる。1つの態様において、ユーザによって作成されたハイライトは、データベース830へのその格納に先立って、記録されたビデオに埋め込まれる。後に、視聴のために、記録されたビデオを検索することができる。1つの態様では、記録されたビデオの視聴者(viewer)は、ハイライトが表示されるか或いは表示から抑制されるかを選択することができる。同様に、記録されたビデオと関連付けられる注釈も、データベース830に格納されることができる。1つの態様において、ユーザによって作成された注釈は、記録されたビデオにタグを付けるために使用され、記録されたビデオに含まれる主題を識別する手段として提供するために使用されることができる。例えば、1つの注釈は、特定の病態の条件を記述してよい。この注釈は、録画されたビデオにタグを付けるために使用される。後に、この病態に関する記録された処置を見ることを欲する人は、キーワード検索を用いてビデオを探し出すことができる。
【0035】
(格納されたビデオの検索)
場合によっては、医療者が、所与の患者に対して行われた過去の外科的処置のビデオ記録を見ることができることが望ましい。1つの態様では、ある医学的状態を治療するための第1の外科的処置を以前に受けた患者は、引き続き、同じ医学的状態の再発を治療するために或いは第1の外科的処置の手術部位の近くに位置する解剖学的構造を治療するために、第2の外科的処置を必要とする。1つの態様において、第1の外科的処置の手術部位事象は、手術部位ビデオ記録に取り込まれ、ビデオ記録は、患者の電子医療記録の一部としてデータベース830に保存される。その患者に対して第2の外科的処置を実施するに先立って、医療者はデータベース830の検索を行って、患者の初期の外科的処置のビデオ記録を探し出すことができる。
【0036】
場合によっては、患者に対して外科的処置を実施することを計画する医療者が、その患者に類似する特定の特性を有する人に対して行われた類似の外科的処置のビデオ記録を見ることができることが望ましい。1つの態様において、外科的処置の手術部位ビデオ記録は、各ビデオ記録がデータベース830中にアーカイブされる前に、患者の年齢、性別、肥満度指数(body mass index)、遺伝情報、患者が受けた処置の種類などのような、メタデータ情報でタグ付けされることができる。1つの態様において、ビデオ記録にタグ付けするために使用されるメタデータ情報は、患者のその時点で存在する医療記録から自動的に検索され、次に、ビデオ記録がデータベース830中にアーカイブされる前にビデオ記録をタグ付けするために使用される。従って、患者に対して医療処置を実施するに先立って、医療者は、その患者と共通する特定の特性を共有する患者に対して行われた類似の処置のビデオ記録について、データベース830を検索することができる。例えば、医療者が肥満度指数の上昇した65歳の男性患者に対して前立腺摘除術を実施するために遠隔操作手術システム850を使用することを計画しているならば、医療者は、類似の上昇した肥満度指数を有する類似の年齢の他の男性に対して遠隔操作手術システム850を使用して実施された前立腺摘除術の手術部位ビデオ記録について、データベース830を検索することができる。
【0037】
1つの態様では、外科的処置のビデオ記録が、データベース830によって(破線によって示す)任意的なパーソナルコンピュータ820に通信され、外科的処置を実行することを計画する医療者による視聴のために利用可能にされる。追加的に又は代替的に、初期の外科的処置のビデオ記録は、データベース830によって遠隔操作手術システム850に通信されて、術前又は術中視聴のために利用可能にされることができる。1つの態様において、ビデオ記録は、遠隔操作手術システム850によって外科医コンソール52に配置されるディスプレイに表示される。別の態様において、第1の外科的処置のビデオ記録は、電子機器カート56に配置されるディスプレイに表示される。
【0038】
(クラウドベースのビデオデータベース)
1つの態様において、データベース830は、クラウドデータストレージサービスを使用して遠隔サーバに実装され、複数のヘルスケアプロバイダによってアクセス可能である。
図8を参照すると、破線によって示すように、手術計画ツール800は、任意的に、(破線によって示すような)遠隔操作手術システム850と、(破線によって示すような)パーソナルコンピュータ840とを含む。1つの態様では、遠隔操作手術システム50及びパーソナルコンピュータ820が第1のヘルスケアプロバイダに配置され、遠隔操作手術システム850及びパーソナルコンピュータ840が第2のヘルスケアプロバイダに配置される点を除き、遠隔操作手術システム850は、遠隔操作手術システム50と類似し、パーソナルコンピュータ840は、パーソナルコンピュータ820と類似する。1つの態様では、第1の患者が、医学的状態の外科的治療を必要とし、第1のヘルスケアプロバイダで遠隔操作手術システム50を使用する外科的処置を受ける。外科的処置のビデオ記録が、データベース830にアーカイブされる。後に、第2の患者が、同じ医学的状態の外科的治療を必要とし、第2のヘルスケアプロバイダで遠隔操作手術システム850を使用する外科的治療を受けることを計画する。第2の患者に対し外科的処置を実施するに先立って、医療者は、安全なインターネット接続を通じてデータベース830にアクセスし、類似の処置の手術部位ビデオ記録についてデータベース830を検索する。1つの態様において、第2の患者を治療する医療者は、第1の患者の身元に関する知識を取得せずに、データベース830から第1の患者の外科的処置のビデオ記録を検索することができる。このようにして、第1の患者のプライバシーが維持される。1つの態様において、第1の患者の外科的処置のビデオ記録は、第1の患者を治療した医療者によって作成されるハイライト及び/又は注釈を含む。
【0039】
(コンピュータベースのパターンマッチング及び分析)
手術計画ツール800は、コンピュータ実行可能コードの形態で実装されるパターンマッチング及び分析アルゴリズムを含むことができる。1つの態様において、パターンマッチング及び分析アルゴリズムは、手術計画ツール800の不揮発性メモリデバイスに格納され、データベース830中にアーカイブされるビデオ記録を分析するように構成される。先に議論したように、データベース830中にアーカイブされるビデオ記録の各々には、特定のメタデータ情報がタグ付けされ或いは埋め込まれることができる。このメタデータ情報は、患者の年齢、性別、及び患者の健康又は病歴を記述する他の情報のような、情報を含むことができる。加えて、先に議論したように、メタデータ情報は、医療者によって作成されるハイライト又は注釈を含むことができる。1つの態様において、これらのハイライト及び注釈は、ビデオ記録と共に埋め込まれ、データベース830内のビデオと共にアーカイブされる。メタデータは、最高レベルの外科的技能を表す最適一致(ベストマッチ)を選択するようにパターンマッチングアルゴリズムを設計することが可能であるよう、外科的実行のスキルの客観的格付け又は主観的格付けのいずれかを含むこともできる。
【0040】
1つの態様において、パターンマッチング及び分析アルゴリズムは、データベース830に格納される複数のビデオ記録中で共有される形状及び色のパターンを識別する画像分析コンポーネントを含む。次に、パターンマッチング及び分析アルゴリズムは、ビデオ記録のこのサブセットと関連付けられるタグ付きメタデータを検討して、いずれかの単語又は句がこのサブセット内のビデオと頻繁に関連付けられているか否かを決定する。医療者が患者解剖学的構造、好適な外科的アプローチ、共存症(co-morbilities)、病態、潜在的な合併症などについての決定を行うのを支援するために、パターンマッチング及び分析アルゴリズムによって実行されるこれらの分析を使用することができる。
【0041】
(手術計画ツールを使用する方法)
図9は、手術計画ツールを使用する方法900を示している。1つの態様において、手術計画ツールは、
図8での手術計画ツール800に類似している。910で、医療デバイスは、医療患者、例えば、患者が患う医学的状態を記述する事実又は特性を受信する。医療デバイスは、遠隔操作外科システム(例えば、
図1での遠隔操作手術システム10又は
図4での遠隔操作手術システム50)に配置されるユーザインタフェースを介して或いは代替的に
図2でのパーソナルコンピュータ820と類似のパーソナルコンピュータを通じて、この事実又は状況を受信することができる。920で、医療デバイスは、910で受信する事実又は特性を使用して、医療デバイスデータベースから外科的処置の少なくとも1つの関連ビデオ記録を検索する。930で、医療デバイスは、ビデオ記録を使用して、手術計画情報を決定する。1つの態様において、手術計画情報は、記録される処置で使用される器具の種類を含む。940で、医療デバイスは、930で決定される手術計画情報をユーザに表示する。
【0042】
(外科的処置を誘導するために患者健康記録を使用する方法)
図10は、幾つかの実施形態に従ったコンピュータ可読ストレージデバイス内のストレージアトラスを表す例示的な図である。ストレージアトラス1002は、以前の外科的処置に関する第1の情報構造1006と、遠隔操作医療デバイス動作に関する第2の情報構造1008と、外科的処置中に外科的処置を手術器具作動と関連付ける第3の情報構造1010と、患者健康記録を外科的処置に関連付ける第4の情報構造1012と、患者健康記録を医療処置中の手術器具作動に関連付ける第5の情報構造1014とを含む。幾つか実施態様において、ストレージアトラス1002は、手術患者リスクと手術患者健康記録との間の相関を提供する第6の情報構造1016を含む。幾つかの実施形態において、ストレージアトラス1002は、外科処置段階のビデオ画像と外科処置中の手術器具アクチュエータ状態との間の相関を提供する第7の情報構造1018を含む。
【0043】
幾つかの実施形態において、様々な情報構造1004~1020内の情報は、患者健康記録と外科的処置結果/リスクとの間の相関を識別するために評価される。幾つかの実施形態において、様々な情報構造1010~1020内の情報は、患者安全懸念/リスクと外科的処置の段階との間の相関を識別するために評価される。幾つかの実施形態において、遠隔操作外科的処置は、患者安全懸念/リスクと手術器具作動状態との間の相関を識別するために評価される。これらの評価は、例えば、機械学習(ML)技法を含んでよい。幾つかの実施態様において、ストレージアトラス1002は、手術結果/リスクと手術器具アクチュエータ状態との間の相関を提供する第8の情報構造1020を含む。
【0044】
ストレージアトラス1002は、患者及び手術に関するデータを含む。幾つかの実施形態において、ストレージアトラス1002は、手術シーンのビデオ画像と、文字及びテレストレーションタグ1022のような対応する注釈とを含む。幾つかの実施態様において、ストレージアトラス1002は、外科的処置中の手術器具アクチュエータ状態の記録1024を含む。
【0045】
図11は、ストレージデバイス1004中のアトラス1002内に含められる第7の情報構造1018の一例を表す例示的な図であり、それは幾つかの実施形態に従って個々の手術からの記録されたビデオ情報を対応する手術器具アクチュエータ状態情報と関連付ける。1つの態様では、手術中のビデオ記録画像及び手術器具アクチュエータ状態は、ビデオ画像内に示される事象の発生の時刻の経時的記録を生成するために並びに外科的処置中の手術器具アクチュエータ状態の発生の時刻の対応する経時的記録を提供するために、タイムスタンプされる(t1,t2...tn)。よって、タイムスタンプは、外科的処置を使用してビデオ画像を手術器具アクチュエータ状態と一時的に整列させる間に記録される。
【0046】
手術中、ユーザは、ビデオ記録及び機械手術器具作動状態記録に、手術の段階を示すメタデータで注釈を付けてよい。注釈は、例えば、ビデオ情報及び/又は手術器具作動状態情報にタグ付けされた書込みノート、ビデオ記録中の画像の着色又はハイライト(例えば、テレストレーション)の1以上又は組み合わせを含んでよい。注釈は、それらを対応するビデオ記録情報及び対応する記録された機械ツール状態情報と一時的に整列させる使用のために、タイムスタンプされてよい。
【0047】
外科的処置は、外科的リスクと関連することがある。幾つかの外科的リスクは、医療処置の特定の段階とより強く関連付けられる。幾つかの態様では、手術の異なる段階が、異なる段階の間の異なる手術器具の使用によって境界付けられる。その上、幾らかの患者は、彼らを外科的処置の特定の段階にある他の患者よりも大きな外科的リスクに置く医療状態を有する。例えば、外科的処置の間に、慢性高血圧を有する患者は、その状態を有さない患者よりも、トレンデレンブルグ体位を必要とする処置の段階の間に、脳卒中のリスクがより高い。
【0048】
遠隔操作手術システムでは、異なる器具が外科的処置の異なる段階で使用されることがある。その上、同じ器具は、外科的処置の異なる段階で異なるアクチュエータ状態において使用されることがある。よって、幾つかの手術では、器具の変化は、異なるレベルのリスクに対応する異なる手術段階への移行を示し、幾つかの外科的処置では、手術器具アクチュエータの状態の変化が、異なるレベルのリスクに対応する異なる手術段階への移行を示す。本明細書で使用するとき、アクチュエータ状態(actuator state)という用語は、外科医又は他の外科チームメンバから受信する入力コマンドに応答して、モータのようなアクチュエータによって決定される手術器具の機械的配置(mechanical disposition)を指す。
【0049】
図12A~
図12Cは、手術器具が幾つかの実施形態に従った3つの異なる例示的な動作状態で示された、例示的な手術器具1202及びアクチュエータアセンブリ1203を示す例示的な図である。例示的な器具1202は、開放状態及び閉鎖状態とそれらの間の部分的に開放した状態/部分的に閉鎖した状態の連続体との間で移行し得るジョーエンドエフェクタ1204を含む。例示的な器具1202は、異なる二次元(x,y)位置状態の間を移動することができる2自由度(2dof)リスト1206も含む。例示的なアクチュエータアセンブリ1203は、幾つかの実施形態ではジョーエンドエフェクタ1204を作動させるために使用されるジョーモータ(JM)を含む、第1のアクチュエータ1208を含む。例示的なアクチュエータアセンブリ1203は、幾つかの実施形態ではリスト1206を作動させるために使用されるリストモータ(WM)を含む、第2のアクチュエータ1210を含む。手術中、手術器具1202は、外科的処置中の異なる段階に対応する複数の作動状態を通じて移行してよい。
図12Aに表すように、例えば、外科的処置は、第1のアクチュエータ1208、JMが、ジョーエンドエフェクタ1204を完全開放状態に配置し、第2のアクチュエータ1210、WMが、リスト12061206を第1の位置状態(x1,y1)に配置する、第1の段階を含んでよい。
図12Bに表すように、例えば、外科的処置は、第1のアクチュエータ1208がジョーエンドエフェクタ1204を完全閉鎖状態に移行させ、第2のアクチュエータ1210がリスト1206を第2の位置状態(x2,y2)に移行させる、第2の段階を含んでよい。
図12Cに表すように、例えば、外科的処置は、第1のアクチュエータ1208がジョーエンドエフェクタ1204を部分的に開放した状態/部分的に閉鎖した状態に配置し、第2のアクチュエータ1210がリスト1206を第3の位置状態(x3,y3)に移行させる、第3の状態を含んでよい。
【0050】
外科医は、患者の健康記録によって示されるような手術患者の医療状態に基づいて外科的処置を調整してよい。外科医は、手術中に予防措置を講じて、患者の健康記録に基づいて患者に対するリスクを逓減させることがある。例えば、患者の健康記録は、遠隔操作外科的処置の或る段階の外科的リスクと相関する状態を患うことを示すことがある。遠隔操作外科的処置の段階の間のそのような患者に対するリスクを低減するために講じられる予防措置は、例えば、器具の作動を制御することを含む。
【0051】
図13は、幾つかの実施形態に従った、特定の外科的処置に対応する並びに異なる例示的な手術患者健康記録特性を外科的リスク管理情報と関連付ける、コンピュータ可読ストレージデバイス1004に格納されるアトラス1002の例示的な第8の情報構造1020を表す例示的な図である。情報構造1020の第1の列は、患者健康記録(HR)特性1,2,3,4,5のリストを示している。情報構造1020の第2の列は、外科的処置の段階でHR特性と関連付けられる外科的リスクを示している。具体的には、例えば、HR特性1は、外科的処置の段階1におけるリスク1と関連付けられており、HR特性3は、外科的処置の段階3におけるリスク2と関連付けられており、HR特性5は、外科的処置の段階5におけるリスク3と関連付けられている。情報構造1020の第3の列は、HR特性がリスクの増加と関連付けられるときの手術段階中の手術器具作動状態を示している。例えば、HR特性1は、手術器具アクチュエータ状態Xと関連付けられており、HR特性3は、手術器具アクチュエータ状態Yと関連付けられており、HR特性5は、手術器具アクチュエータ状態Zと関連付けられている。情報構造1020の第4の列は、HR特性に基づいて、外科的処置の異なる段階で手術チームに提示されるべきメッセージを示している。例えば、HR特性1は、段階1及び手術作動状態Xと関連付けられるメッセージAと関連付けられており、HR特性3は、段階3及び手術作動状態Yと関連付けられるメッセージBと関連付けられており、HR特性5は、段階5及び手術作動状態Zに関連付けられるメッセージCと関連付けられている。情報構造1020の第5の列は、HR特性に基づいて、外科的処置の異なる段階で使用されるべき手術器具アクチュエータ安全モードを示している。例えば、HR特性1は、段階1及び手術作動状態Xと関連付けられた安全モードLと関連付けられており、HR特性3は、段階3及び手術作動状態Yと関連付けられた安全モードMと関連付けられており、HR特性5は、段階5及び手術作動状態Zと関連付けられた安全モードNと関連付けられている。
【0052】
図13の例示的な第8の情報構造1020の第1の行を参照すると、例えば、結腸切除外科的処置の間に、手術の段階1は、切開(dissection)を含むことがある。リスク1は、EHRによって示されるような以前の手術からの癒着に起因する尿管又は膀胱への損傷を伴うことがある。メッセージAは、完全暴露が構築されるまで腸の授動(mobilization)が制限されるべきことを示してよい。手術器具安全作動状態Lは、器具アームに利用可能な力を、通常の非安全モード動作中に利用可能なレベルより小さいレベルに減少させることにより、起こり得る授動損傷を制限することを含んでよい。
【0053】
図13の例示的な第8の情報構造1020の第3の行を参照すると、例えば、前立腺切除外科的処置の間に、手術の段階3は、効力(potency)及び禁欲(continency)に関与する神経の付近の切開を含むことがある。リスク2は、付近の焼灼エネルギの適用に起因する神経損傷を伴うことがある。メッセージBは、焼灼器具の所定の範囲内の神経組織の存在を示してよい。手術器具安全作動状態Mは、焼灼通電機能の作動を防止することを含んでよい。
【0054】
例えば、
図13の例示的な第8の情報構造1020の第5の行を参照すると、例えば、肝腫瘍切除を含む外科的処置の間に、手術の段階5は、腫瘍塊の切開を含むことがある。リスク3は、その塊付近の肝臓内の大血管の損傷を伴うことがある。メッセージCは、その血管が現在の手術画像上にマッピングされた術前画像によって決定されるような切開進行に近いと予測されることを示してよい。手術器具安全作動状態Nは、それらが動脈に物理的に接触しないように、手術器具の動きを通常の非安全モード動作中に利用可能な範囲未満の範囲に制限することを含んでよい。
【0055】
図14は、幾つかの実施形態に従った、プロセス1402を実行して警告メッセージを提示し且つ手術患者の健康記録情報に少なくとも部分的に基づいて手術器具を安全モードに移行させるようなプロセッサ58の構成(configuration)を表す例示的なフロー図である。コンピュータプログラムコードが、プロセス1402を実行するためにプロセッサ58の1以上のCPUを構成するよう、幾つかの実施形態において使用される。ブロック1404では、手術患者の健康記録(HR)情報が、電子機器カート56と関連付けられるコンピュータ処理システムへの入力で受信される。ブロック1406では、外科処置の1以上の手術段階を示す外科的処置情報が、電子機器カート56と関連付けられるコンピュータ処理システムの入力で受信される。外科的処置中に使用される幾つかの器具について、器具の使用への移行は、異なる手術段階への移行を示す。外科的処置中に使用される幾つかの器具について、器具の異なるアクチュエータ状態への移行は、異なる手術段階への移行を示す。ブロック1408において、
図13の例示的な第8の情報構造1020は、患者が増大したリスクにある1以上の外科的処置段階を識別するために、受信した患者HR情報のHR特性を1以上の外科的処置段階と一致(マッチ)させるよう使用される。ブロック1410において、例示的な第8の情報構造1020は、患者が増大したリスクにある1以上の識別された外科的処置段階を1以上の識別された段階を示す手術器具アクチュエータ状態情報と一致させるよう使用される。ブロック1412において、例示的な第8の情報構造1020は、患者が増大したリスクにある1以上の識別された外科的処置段階を外科チームへの提示のための1以上の対応する警告メッセージと一致させるよう使用される。ブロック1414において、例示的な第8の情報構造1020は、患者が増大したリスクにある1以上の識別された外科的処置段階を対応する手術器具安全作動状態についての情報と一致させるよう使用される。
【0056】
外科的処置の実行中、ブロック1416は、手術器具アクチュエータの動作状態をトラッキングして、ブロック1410において決定される手術器具アクチュエータ状態情報に基づいて、手術処置が、受信したHR特性を有する患者が増大したリスクにあるブロック1408において識別された段階に移行しているときを決定する。判定ブロック1418では、現在の器具アクチュエータ状態がブロック1410において識別された、識別されたアクチュエータ状態と一致するか否かについての決定が行われる。一致がないことに応答して、制御ループはブロック1416に戻り、トラッキングは継続する。一致があることに応答して、ブロック1420は、ブロック1312において識別された、識別されたアクチュエータ安全モード制御情報を使用して、手術器具アクチュエータを安全モード動作に移行させて、受信したヘルスケア記録を有する患者に対するリスクを低減させる。ブロック1422は、外科的処置の識別された段階の間に受信したヘルスケア記録を有する患者に対して起こり得る増大したリスクに関するメッセージを外科チームに提示するように、ディスプレイデバイス32、34、及び/又は60を構成する。幾つかの実施形態において、制御は、次に、ブロック1416に戻ってよく、ブロック1416は、例えば、他の識別されたアクチュエータ状態移行情報に基づいて、手術器具アクチュエータ状態をトラッキングし続けてよい。
【0057】
例示的な実施形態を示し且つ記載したが、広範な修正、変更及び置換が、前述の開示において想定されており、ある場合には、実施形態の一部の構成(features)は、他の構成の対応する使用を伴わずに利用されてよい。例えば、幾つかの実施形態において、プロセッサ58は、仮想手術器具と仮想手術器具アクチュエータとを含む仮想手術システムを実施する命令を含むストレージデバイス1004のようなメモリデバイスに連結される。メモリデバイス1004は、プロセッサ58に操作(operations)を実行させるようプロセッサ58上で実行可能な指令セットを含む。幾つかの実施形態において、それらの操作は、ユーザからユーザ入力コマンドを受信して第1の仮想ロボット手術器具の動きを制御することを含む。それらの操作は、ユーザ入力コマンドに応答する第1の仮想ロボット手術器具の移動中に第1の仮想ロボット手術器具の仮想手術器具アクチュエータ状態をトラッキングすることを更に含む。それらの操作は、その上更に、第1のロボット手術器具が第1のアクチュエータ状態に移行することに応答して、第1の仮想ロボット器具の仮想手術器具アクチュエータ状態を第1の安全モードに移行させることを含む。
【0058】
その上、幾つかの実施形態において、それらの操作は、第1の健康特徴(health feature)を含む手術患者の健康記録情報を、電子ユーザインタフェースで受信することを含む。それらの操作は、コンピュータ可読ストレージデバイス内で、受信した第1の健康特徴を仮想手術器具の第1の仮想アクチュエータ状態と一致させることと、ストレージデバイス1004内で、受信した第1の健康特徴を第1のメッセージと一致させることとを更に含む。それらの操作は、ユーザからユーザ入力コマンドを受信して、第1の仮想ロボット手術器具の動きを制御することを更に含む。それらの操作は、ユーザ入力コマンドに応答する第1の仮想ロボット手術器具の移動中に、第1の仮想ロボット手術器具の仮想手術器具アクチュエータ状態をトラッキングすることを更に含む。それらの操作は、第1の仮想ロボット手術器具が第1の仮想アクチュエータ状態に移行することに応答して、第1の仮想ロボット器具の仮想手術器具アクチュエータ状態を第1の安全モードに移行させることを更に含む。それらの操作は、第1の仮想ロボット手術器具が第1の仮想アクチュエータ状態に移行することに応答して、ユーザデバイスディスプレイに第1のメッセージを表示することを更に含む。
【0059】
当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。よって、開示の範囲は、後続の請求項によってのみ限定されるべきであり、請求項は、本明細書に開示する実施形態の範囲と一致する方法において広く解釈されるべきことが適切である。