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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240220BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240220BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
B65D65/40 D
B32B27/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020005899
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113259
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 泰宏
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196929(JP,A)
【文献】特開平04-169231(JP,A)
【文献】特開昭61-104847(JP,A)
【文献】特開2006-152288(JP,A)
【文献】特開2015-196788(JP,A)
【文献】特開2010-077211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02;5/12-5/22
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層(A)、熱可塑性樹脂層(B)及び第2樹脂層(A)がこの順に積層された包装用フィルムであって、
前記包装用フィルムを用いて製造される包装袋には液体が充填され、
前記第1樹脂層(A)及び前記第2樹脂層(A)の各々は、ジアミンとジカルボン酸との縮合重合によって合成されるポリアミド樹脂からなり、
前記第1樹脂層(A)及び前記第2樹脂層(A)の厚みの合計は、1μm以上、10μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂層(B)の厚みは、5μm以上、14μm以下であり、
前記第1樹脂層(A)及び前記第2樹脂層(A)の厚みの合計は、前記熱可塑性樹脂層(B)の厚みよりも薄い、包装用フィルム。
【請求項2】
前記第1樹脂層(A)及び前記第2樹脂層(A)の各々は、融点が220℃を超えるポリアミド樹脂からなる、請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項3】
前記第1樹脂層(A)及び前記第2樹脂層(A)の各々に含まれるポリアミド樹脂は、ナイロン610(NY610)、MXDナイロン(MXDNY)、ナイロン66(NY66)、ナイロン46(NY46)、ナイロン9T(NY9T)、ナイロン6T(NY6T)、及びナイロン6I(NY6I)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層(B)は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、及びポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂かなる樹脂層である、請求項1~3のいずれかに記載の包装用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
個別に包装された液体スープ、詰め替え用に包装されたシャンプー等は、液体の内容物が、包装用袋に高速で充填され、包装されている。
【0003】
特許文献1は、高速充填を目的とした包装材料を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-315409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高温でのシール時にシールトラブルが起きない、特にシールバーにフィルムの融着が起きない包装用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、特定の包装用フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、下記の包装用フィルムを提供する。
【0008】
項1.
包装用フィルムであって、少なくとも、ジアミンとジカルボン酸との縮合重合によって合成されるポリアミド樹脂からなる樹脂層(A)を含む、フィルム。
【0009】
項2.
包装用フィルムであって、少なくとも、融点が220℃を超えるポリアミド樹脂からなる樹脂層(A)を含む、前記項1に記載のフィルム。
【0010】
項3.
前記ポリアミド樹脂は、ナイロン610(NY610)、MXDナイロン(MXDNY)、ナイロン66(NY66)、ナイロン46(NY46)、ナイロン9T(NY9T)、ナイロン6T(NY6T)、及びナイロン6I(NY6I)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、前記項1又は2に記載のフィルム。
【0011】
項4.
更に、熱可塑性樹脂層(B)を含む、前記項1~3のいずれかに記載のフィルム。
【0012】
項5.
前記熱可塑性樹脂層(B)は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、及びポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂かなる樹脂層である、前記項1~4のいずれかに記載のフィルム。
【0013】
本発明の包装用フィルムは、耐熱性に優れており、高温でもシールバーに融着しないことから、高速充填・包装に適している。
【0014】
本発明は、高温でヒートシールされてもトラブルが発生しない(シールバーに融着が起きない)安定したシール性を持った包装材を作製できる包装用フィルムである。本発明の包装用フィルムを用いて、安定したシール条件を持った包装材を作製することができる。
【0015】
本発明は、高温でのシール時に適した包装用フィルムであり、この包装用フィルムから成る包装材を用いて、高速充填・包装を良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装用フィルムは、高温でのシール時にシールトラブルが起きない、特にシールバーにフィルムの融着が起きない包装用フィルムである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
[1]包装用フィルム
本発明の包装用フィルムは、高温でのシール時にシールトラブルが起きない、特にシールバーにフィルムの融着が起きない特徴を含むことで、例えば液体スープ、詰め替え用シャンプー等の液体の内容物を、包装袋に個別に高速で充填し、包装する(シールする)際に、使用に適した包装用フィルムである。
【0019】
本発明の包装用フィルムは、内容物を充填し、包装する際に、シールバーを高温にすることができ充填した包装袋を閉じるシール時間を短縮することが可能であり、これにより充填及び包装の更なる高速化を図ることができる。
【0020】
本発明が記す「高温」とは、融点220℃以下のポリアミド樹脂がシールバーに融着してしまうシール温度である。
【0021】
(1)樹脂層(A)
本発明の包装用フィルムは、少なくとも、ジアミンとジカルボン酸との縮合重合によって合成されるポリアミド樹脂からなる樹脂層(A)を含む。
【0022】
本発明の包装用フィルムが使用するジアミンとジカルボン酸との縮合重合によって合成されるポリアミド樹脂は、好ましくは、融点が230℃以上である。
【0023】
例えば、環状アミドの開環重合によって合成されるポリアミド樹脂は、一般に、融点が220℃以下である。
【0024】
本発明の包装用フィルムは、少なくとも、融点が220℃を超えるポリアミド樹脂からなる樹脂層(A)を含む。
【0025】
前記ポリアミド樹脂は、好ましくは、融点が230℃以上の樹脂である。
【0026】
樹脂層(A)は、本発明の包装用フィルムを用いて、そのシールバーを用いて、袋を閉じる時、袋の外側の層であり、シールバーに直接触れる層である。
【0027】
本発明の包装用フィルムは、シールバー(包装する為のバー)に直接触れる層(樹脂層(A))に耐熱性に優れる樹脂(例えばNY66等)用いる。本発明の包装用フィルムを用いて、そのシールバーのシール温度を上げて、袋を閉じる部分(シーラント層)早い時間で溶融接着させることで、シール時間を短縮すること、また、シールバーに融着しない為、安定したシールが出来るつまり充填速度を上げることが可能である。
【0028】
前記樹脂は、ジアミンとジカルボン酸の縮合重合によって合成されるポリアミド樹脂で、融点が220℃を超える樹脂として、好ましくは、ナイロン610(NY610、融点:230℃)、MXDナイロン(MXDNY、融点:240℃)、ナイロン66(NY66、融点:260℃)、ナイロン46(NY46、融点:290℃)、ナイロン9T(NY9T、融点:310℃)、ナイロン6T(NY6T、融点:320℃)、及びナイロン6I(NY6I、融点:320℃)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である。
【0029】
ナイロン610は、ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+セバシン酸(炭素数10)の共縮重合反応物であり、融点:230℃である。ナイロン66は、ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+アジピン酸(炭素数6)の共縮重合反応物であり、融点:260℃である。ナイロン9Tは、ノナンジアミン(炭素数9)+テレフタル酸の共縮重合反応物であり、融点:310℃である。ナイロン6Tは、ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+テレフタル酸の共縮重合反応物であり、融点:320℃である。ナイロン6Iは、ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+イソフタル酸の共縮重合反応物であり、融点:320℃である。
【0030】
樹脂(ポリアミド等)の融点
本発明の包装用フィルムは、融点が220℃を超える樹脂を用いる。前記樹脂は、好ましくは、融点が230℃以上の樹脂である。本発明の包装用フィルムは、シールバーに直接触れる樹脂層(A)に、融点が220℃を超える耐熱性に優れる樹脂用いることで、そのシールバーのシール温度を上げて、袋を閉じる部分(シーラント層)を早い時間で溶融接着させることができ、シール時間を短縮し、シールバーに融着しない為、安定したシールが出来、充填速度を上げ、短時間に包装することが可能である。前記樹脂として、好ましくは、ポリアミドを用いる。
【0031】
前記樹脂(ポリアミド等)の融点は、ISO 11357-3に準拠した測定方法により測定した融点である。
【0032】
樹脂(ポリアミド等)の相対粘度
本発明の包装用フィルムは、融点が220℃を超える樹脂として、好ましくは、ポリアミドを用いる。前記樹脂(ポリアミド等)の相対粘度は、JIS K6920-2:2009に準拠した測定方法により、96%H2SO4を溶媒とし、試料濃度1.0重量%、温度25℃の条件で測定した相対粘度であり、好ましくは3.0~5.5であり、より好ましくは3.2~4.2である。
【0033】
樹脂(ポリアミド等)の密度
本発明の包装用フィルムは、融点が220℃を超える樹脂として、好ましくは、ポリアミドを用いる。前記樹脂(ポリアミド等)の密度は、ISO 1183-3に準拠した測定方法により測定した密度であり、好ましくは1g/cm3~2g/cm3であり、より好ましくは1.1g/cm3~1.5g/cm3である。
【0034】
本発明の包装用フィルムは、シーラント層以外のシールバーに直接触れている樹脂層が耐熱性に優れる樹脂で形成されていることから、耐熱性が有り、そのシール温度も上げても、そのシールバーに直接触れている樹脂層を形成する樹脂はシールバーに融着する恐れが無い。本発明の包装用フィルムは、破れが発生せず、一定以上シール温度が上げることができ、充填及び包装速度を上げること(高速充填・包装)ができる。
【0035】
(2)熱可塑性樹脂層(B)
本発明の包装用フィルムは、好ましくは、更に、熱可塑性樹脂層(B)を含む。本発明の包装用フィルムは、熱可塑性樹脂層(B)を含むことで、フィルムに、前記耐熱性に加えて、強度を付与することができる。
【0036】
熱可塑性樹脂層(B)は、本発明の包装用フィルムを用いて、そのシールバーを用いて、袋を閉じる時、前記樹脂層(A)よりも袋の内側の層であり、後記シーラント層よりも外側の層であり、シールバーに直接触れない層である。
【0037】
前記熱可塑性樹脂層(B)は、好ましくは、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、及びポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂かなる樹脂層である。
【0038】
熱可塑性樹脂層(B)は、熱可塑性樹脂層(A)に用いている樹脂群から選ばれる樹脂又は、別の好ましい態様として、環状アミドの開環重合によって合成されるポリアミド樹脂、融点が220℃以下の樹脂からなる樹脂層である。
【0039】
前記環状アミドの開環重合によって合成されるポリアミド樹脂は、一般に、融点が220℃以下である。
【0040】
前記樹脂は、融点が220℃以下の樹脂として、好ましくは、ナイロン6(NY6、ε-カプロラクタム(炭素数6)、融点220℃)、ナイロン11(NY11、ウンデカンラクタム(炭素数11)、融点190℃)、ナイロン12(NY12、ラウリルラクタム(炭素数12)、融点180℃)、及びナイロン612(NY612、カプロラクタム(炭素数6)とラウリルラクタム(炭素数12)とのωアミノ酸同士の共縮重合体、融点:220℃)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である。
【0041】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)
熱可塑性樹脂層(C)は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を好ましく用いること
ができる。
【0042】
EVOHのエチレン含量は、好ましくは55モル%程度以下であり、より好ましくは20モル%~50モル%程度、更に好ましくは25モル%~44モル%程度である。
【0043】
EVOHの酢酸ビニル成分のケン化度は、好ましくは90モル%程度以上であり、より好ましくは95モル%程度以上である。
【0044】
EVOHは、更に少量のプロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン;不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物);不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含んでも良い。
【0045】
EVOHのメルトインデックス(MI)は、好ましくは0.5g/10分~50g/10分(210℃、2,160g荷重)であり、より好ましくは、1g/10分~35g/10分(210℃、2,160g荷重)である。EVOHのMIは、好ましくは0.5g/10分以上の粘度であることで、良好に溶融押出しすることができる。EVOHのMIは、好ましくは50g/10分以下であることで、製膜性が良好である。
【0046】
EVOHの市販品として、例えば、DC3203FB、DT2904RB(三菱ケミカル(株)製)等を好ましく用いることができる。
【0047】
(3)その他の成分
樹脂層(A)、熱可塑性樹脂層(B)等の各層は、必要に応じて他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、滑剤、核剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0048】
(4)層構成
本発明の包装用フィルムは、樹脂層(A)の単膜としたり、樹脂層(A)/熱可塑性樹脂層(B)/樹脂層(A)の3層多層にしたりすることができる。
【0049】
各層の厚み
本発明の包装用フィルムの総厚みは、好ましくは5μm~50μm程度であり、より好ましくは10μm~30μm程度であり、更に好ましくは12μm~25μm程度であり、例えば15μm程度で使用する。
【0050】
本発明の包装用フィルムは、樹脂層(A)の例えば2層合計の厚みは、好ましくは1μm~10μm程度であり、より好ましくは2μm~9μm程度であり、更に好ましくは4μm~6μm程度であり、例えば6μm程度で使用する。
【0051】
本発明の包装用フィルムは、熱可塑性樹脂層(B)の厚みは、好ましくは5μm~14μm程度であり、より好ましくは6μm~13μm程度であり、更に好ましくは9μm~11μm程度であり、例えば9μm程度で使用する。
【0052】
[2]包装用フィルムの製造方法
本発明の包装用フィルムを製造する方法は、特に限定されず、好ましく、従来公知の積層体を形成する製造方法を採用することができる。
【0053】
本発明の包装用フィルムの各層の樹脂組成物を、例えば、樹脂層(A)の単膜としたり、樹脂層(A)/熱可塑性樹脂層(B)/樹脂層(A)の3層多層にしたりして、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しして、フラット状の多層の包装用フィルムを調製する製造方法を、好ましく採用することができる。
【0054】
得られた包装用フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)しても良い。延伸倍率は、例えば、縦延伸(MD)2.5~4.5倍、横延伸(TD)2.5~5.0倍である。
【0055】
例えば、逐次二軸延伸の場合、50℃~80℃のロール延伸機により2.5~4.5倍に縦延伸し、80℃~140℃の雰囲気のテンター延伸機により2.5~5.0倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより180℃~220℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。
【0056】
本発明の包装用フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)しても良く、得られた包装用フィルムは、必要に応じて、その両表面又は片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
【0057】
シーラント層(シーラントフィルム)
本発明の包装用フィルムは、包装袋を作製する為に、好ましくは包装用フィルムの片面にシーラント層を積層したラミネートフィルムを用いる。
【0058】
シーラント層は、本発明の包装用フィルムを用いて、そのシールバーを用いて、袋を閉じる部分(シーラント層)であり、袋の最内側の層であり、樹脂層(A)を介して、シールバーとは反対側の層である。
【0059】
[3]包装袋の製造方法
本発明の包装用フィルムを用いて袋状に加工し、包装袋を製造する。
【0060】
包装袋は、本発明の包装用フィルムの片面にシーラントフィルムを積層したラミネートフィルムを用いて、自動充てん包装機等により成形し得ることができる。包装用フィルムを袋状に加工し、食品を自動包装する装置としては、特に限定されないが、横型ピロータイプ包装機、縦型ピロータイプ包装機、三方シール包装機、四方シール包装機、スティック包装機等を挙げることができる。
【0061】
[4]包装用フィルムの耐熱性
本発明の包装用フィルムは、高速充填・包装用で用いてもシールバーに融着しない、フィルムである。
【0062】
本発明の包装用フィルムは、内容物を充填・包装する(シールする)際に、シールバーに直接触れる層に耐熱性に優れる樹脂を用いることで、耐熱性を有する。
【0063】
本発明の包装用フィルムは、耐熱性は、熱傾斜試験機(ヒートシールテスター)を用いて評価することができる。例えば、熱傾斜試験機を用いて、圧力:0.26MPa(ゲージ圧)下で、シールバーの温度を所定の温度に設定し、ヒートシールする。
【0064】
ヒートシールした際、シールバーにフィルム(樹脂)が融着しない時は、耐熱性は良いと評価できる。ヒートシールした際、シールバーにフィルム(樹脂)が融着する時は、耐熱性は悪いと評価できる。
【0065】
本発明の包装用フィルムは、上記特徴を含むことで、これを用いると、シール温度を高く設定しても、フィルムはシールバーへ融着せず、内容物の充填・包装の更なる高速化が可能である。
【実施例
【0066】
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。
【0067】
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】
(1)包装用フィルムの原料
【0069】
【表1】
【0070】
(2)包装用フィルムの製造
前記原料を用い、表に示した配合により、各樹脂層を形成する為の樹脂組成物を調製した。
【0071】
各樹脂層を構成する樹脂組成物を、押出機(樹脂層(A):290℃、樹脂層(B):250℃)に供給し、樹脂層(A)の単膜構成、及び、樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)の多層構成の順序になるように、Tダイス(樹脂層(A):280℃、樹脂層(B):250℃)より冷却水が循環するチルロール上に共押出しして、フラット状の単層又は3層の樹脂フィルムを得た。
【0072】
このフィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、更に同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して、厚さ15μmの5層の包装用フィルムを得た。
【0073】
前記調製した包装用フィルムを用いて、以下の評価を行った。
【0074】
(3)包装用フィルムの評価
耐熱性の測定方法及び評価方法
機器名:熱傾斜試験機(ヒートシールテスター)
型番:HG-100-2
圧力:0.26MPa(ゲージ圧)
シール面積:10mm×25mm(片面シール)
シール時間:1秒
【0075】
耐熱性の評価方法
〇:ヒートシールした際、シールバーにフィルムが融着せず、耐熱性は良い。
×:ヒートシールした際、シールバーにフィルムが融着し、耐熱性は悪い。
【0076】
耐熱性の測定結果
【0077】
【表2】
【0078】
本発明は、シールバーに直接触れる層に耐熱性に優れる樹脂(例えばNY66(融点:260℃)等)を用いたことで、耐熱性評価結果から、シール温度を高温(例えばシールバー温度:210℃以上)に設定しても、シールバーに樹脂が融着せず、良好であった。
【0079】
(4)本発明の包装用フィルムの効果のまとめ
本発明の包装用フィルムを用いると、液体スープ、詰め替え用シャンプー等の液体の内容物を、包装袋に個別に高速で充填し、包装する(シールする)際に、シール速度を上げて、高速で充填・包装を行うことが可能であると評価できた。本発明の包装用フィルムは、シールバーに直接触れる層の樹脂の融点が、シール温度に比べて高いので、シール温度を上げても、その樹脂は溶けず、シールバーに融着しないと評価できた。本発明の包装用フィルムでは、その融着を抑制する為、融点の高い、例えば、好ましくはNY66を用いる。
【0080】
本発明の包装用フィルムを用いると、シール温度を上げて、そのシール速度を上げて、シーラント層を早く溶かすことができ、シーラント層を溶着させることができる。本発明の包装用フィルムを用いると、内容物を高速で充填・包装を行うことが可能であると評価できた。