(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】複数の回折次数を持つスペクトル符号化プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240220BHJP
A61B 1/07 20060101ALI20240220BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20240220BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20240220BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B1/00 523
A61B1/00 730
A61B1/00 732
A61B1/07 732
A61B1/07 733
G01J3/18
G01J3/36
G02B23/26 B
G02B23/26 C
(21)【出願番号】P 2020008811
(22)【出願日】2020-01-23
(62)【分割の表示】P 2019501932の分割
【原出願日】2017-07-14
【審査請求日】2020-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】ト ドクホ
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】井久田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】カン ドンギュン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-527930(JP,A)
【文献】国際公開第2015/116951(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/116939(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/034824(WO,A1)
【文献】特開2005-308764(JP,A)
【文献】再公表特許第WO2016/075758(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー撮像のためのスペクトル符号化内視鏡検査プローブを備えるシステムであって、
照明光を導く導光要素と、
前記導光要素に接続された光集束要素と、
回折格子要素であって、少なくとも前記回折格子要素は、複数の波長の光ビームのセットの光ビームが前記回折格子要素に同じ角度で入射し、複数の次数で同じ角度で回折されるよう構成され、
前記光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含み、
前記光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられる、回折格子要素と、
前記照明光を導く前記導光要素とは異なる、収集された光を導く第2の導光要素と、
少なくとも1つの検出器と、
前記複数の次数で回折された光からの情報に基づき、カラー画像を形成するよう適合され、かつ構成されるプロセッサと
を備え、
前記第2の導光要素は、前記収集された光を前記少なくとも1つの検出器に渡すように
動作する複数の検出ファイバを含み、
前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバの各々は、前記照明光の前記導光要素と間隔を空けて配置され、また、前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバは、互いに間隔を空けて配置され、それにより、(i)前記導光要素と、前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバとの間に空間が延在し、(ii)前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバの各々の間に空間が延在し、
前記複数の検出ファイバは、前記照明光を導くための前記導光要素を囲み、前記複数の検出ファイバは、前記照明光を導くための前記導光要素の周りに配置され、かつ/または、前記複数の検出ファイバは、前記照明光を導くための前記導光要素の外周に沿って配置される、のうちの1つ以上であ
り、
前記複数の検出ファイバは、前記光集束要素の側面に取り付けられるか、或いは前記光集束要素の側面の近くに取り付けられる、
システム。
【請求項2】
前記複数の次数のうちの回折次数Aと前記複数の次数のうちの回折次数Bとにおいて、Bに対するAの比が2未満であり、
前記回折次数Aと関連付けられた第1の波長の光は、前記回折次数Bと関連付けられた第2の波長の光と同じ角度で回折され、
前記第1の波長が前記第2の波長よりも短い、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の検出ファイバは、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、または8本よりも多い検出ファイバを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の検出ファイバのうち1つ以上は、固定されるか、または、前記照明光を導くための前記導光要素と共に回転する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の検出ファイバは、遠位端および近位端を有するファイババンドルを形成し、前記ファイババンドルの前記遠位端は、前記ファイババンドルの前記近位端のファイバアレイ形状とは異なるファイバアレイ形状を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検出器は、分光計を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記分光計は、ピクセルを有するラインセンサ、またはピクセルを有するセンサアレイを含み、前記ピクセルの各々は、より小さい複数のピクセルで作られる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
(i)前記分光計は前記センサアレイを含み、前記センサアレイの各ピクセルは、矩形ピクセルである、
(ii)前記分光計は前記センサアレイを含み、前記センサアレイの各ピクセルは、24μm×500μmの矩形ピクセルである、および
(iii)前記分光計は前記センサアレイを含み、前記センサアレイは、スペクトル情報が第1の軸に沿っており、前記第2の導光要素からの空間情報が、前記第1の軸と直交する第2の軸に沿っている画像を生成するように動作する、
のうち1つ以上である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
(i)前記システムは、ビームブロックをさらに備える、および
(ii)前記システムは、ビームブロックをさらに備え、前記ビームブロックは、所定の視野における角度以外の角度で回折される光を遮断するように動作するように、前記回折格子要素の周りに位置付けられる、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビームブロックは、(i)回折角度がサンプルを照明する前記回折された光の回折角度よりも小さい他の次数で回折された光ビームを遮断するように動作し、または、(ii)前記複数の次数ではない次数で回折された光ビームを遮断するように動作する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ビームブロックは管材料である、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ビームブロックは、固定されるか、または、前記照明光を導くための前記導光要素と共に回転するように動作する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
スペクトル的に分散された光の前記複数の次数は、-m次、-(m+1)次、および-(m+2)次の回折次数であり、ここでmは整数である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記スペクトル符号化内視鏡検査プローブの視野の外側に位置付けられたビームブロックをさらに備え、前記ビームブロックは、前記複数の次数ではない次数で回折された光ビームを遮断するように動作する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の導光要素は、1つまたは複数の角度研磨された光ファイバを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
第1の方向で前記光ビームのセットを走査するためのスキャナをさらに備え、
前記プロセッサは、(i)前記複数の次数の各々における波長のセットを、前記複数の次数の各々における波長の第1のサブセットと、波長の前記第1のサブセットとは異なる波長の第2のサブセットとに分割し、(ii)前記複数の次数の各々における波長の前記第1のサブセットのための前記第1の方向の第1のカーネルによる平滑化処理機能を、前記複数の次数で回折された前記光からの前記情報に適用し、(iii)前記複数の次数の各々における波長の前記第2のサブセットのための第2のカーネルによる平滑化処理機能を、前記複数の次数で回折された前記光からの前記情報に適用するようにさらに構成され、
前記第1のカーネルは、前記複数の次数の各々における波長の前記第1のサブセットのための第1のサイズであり、
前記第2のカーネルは、前記複数の次数の各々における波長の前記第2のサブセットのための第2のサイズであり、
前記第1のサイズは、前記第2のサイズとは異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記カラー画像が極座標での画像であり、
前記複数の次数の各々における波長の前記第1のサブセットが、前記極座標での画像の半径の第1の範囲と関連付けられ、
前記複数の次数の各々における波長の前記第2のサブセットが、前記極座標での画像の半径の第2の範囲と関連付けられ、
前記半径の第1の範囲は、前記半径の第2の範囲よりも小さく、
前記第1のカーネルの前記第1のサイズは、前記第2のカーネルの前記第2のサイズよりも大きい、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
カラー撮像のためのスペクトル符号化内視鏡検査プローブを備えるシステムであって、
照明光を導く導光要素と、
前記導光要素に接続された光集束要素と、
回折格子要素であって、少なくとも前記回折格子要素は、複数の波長の光ビームのセットの光ビームが前記回折格子要素に同じ角度で入射し、複数の次数で同じ角度で回折されるよう構成され、
前記光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含み、
前記光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられる、回折格子要素と、
収集された光を導く第2の導光要素と、
少なくとも1つの検出器と、
前記複数の次数で回折された光からの情報に基づき、カラー画像を形成するよう適合され、かつ構成されるプロセッサと
を備え、
前記第2の導光要素は、前記収集された光を前記少なくとも1つの検出器に渡すように動作する複数の検出ファイバを含み、
前記複数の検出ファイバは、遠位端および近位端を有するファイババンドルを形成し、前記複数の検出ファイバの各々は、前記ファイババンドルの前記遠位端に配置された遠位端と、前記ファイババンドルの前記近位端に配置された近位端とを有し、前記ファイババンドルの前記遠位端は、前記ファイババンドルの前記近位端のファイバアレイ形状とは異なるファイバアレイ形状を有し、それにより、(i)前記ファイババンドルの前記遠位端は、前記ファイババンドルの前記遠位端のファイバが各ファイバの少なくとも2つの側で互いに隣接して配置されるようなファイバアレイ形状を有し、(ii)前記ファイババンドルの前記近位端は、リボン形状であるファイバアレイ形状、又は、前記複数のファイバの各端部を一列に配置するファイバアレイ形状を有
し、
前記複数の検出ファイバは、前記光集束要素の側面に取り付けられるか、或いは前記光集束要素の側面の近くに取り付けられる、
システム。
【請求項19】
カラー撮像のためのスペクトル符号化内視鏡検査プローブを備えるシステムであって、
照明光を導く導光要素と、
前記導光要素に接続された光集束要素と、
回折格子要素であって、少なくとも前記回折格子要素は、複数の波長の光ビームのセットの光ビームが前記回折格子要素に同じ角度で入射し、複数の次数で同じ角度で回折されるよう構成され、
前記光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含み、
前記光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられる、回折格子要素と、
前記照明光を導く前記導光要素とは異なる、収集された光を導く第2の導光要素と、
少なくとも1つの検出器と、
前記複数の次数で回折された光からの情報に基づき、カラー画像を形成するよう適合され、かつ構成されるプロセッサと
を備え、
前記第2の導光要素は、前記収集された光を前記少なくとも1つの検出器に渡すように動作する複数の検出ファイバを含み、
前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバの各々は、前記照明光の前記導光要素と間隔を空けて配置され、また、前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバは、互いに間隔を空けて配置され、それにより、(i)前記導光要素と、前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバとの間に空間が延在し、(ii)前記第2の導光要素の前記複数の検出ファイバの各々の間に空間が延在し、
前記複数の検出ファイバは、前記光集束要素の側面に取り付けられるか、或いは前記光集束要素の側面の近くに取り付けられ、
前記システムは、ビームブロックをさらに備え、
前記ビームブロックは、前記スペクトル符号化内視鏡検査プローブの所定の視野の外側に位置付けられ、また、前記所定の視野での角度以外の角度で回折される光を遮断するように動作するように、前記回折格子要素の周りに位置付けられる、
システム。
【請求項20】
(i)前記ビームブロックは管材料である、
(ii)前記ビームブロックは、(a)回折角度がサンプルを照明する前記回折された光の回折角度よりも小さい他の次数で回折された光ビームを遮断するように動作し、または、(b)前記複数の次数ではない次数で回折された光ビームを遮断するように動作する、および
(iii)前記ビームブロックは、固定されるか、または、前記照明光を導くための前記導光要素と共に回転するように動作する、
のうち1つ以上である、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/363,119号の利益を主張する。米国仮特許出願第62/363,119号は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、内視鏡に関する。より詳細には、本開示は、スペクトル符号化内視鏡プローブ(spectrally encoded endoscopic probe)を例示する。
【背景技術】
【0003】
医療用プローブは、患者の体の内側の画像を提供する機能を有する。異物を挿入することによって生じる、人の体へのダメージの可能性を考慮すると、プローブは、可能な限り小さいことが好ましい。さらに、小血管、小さい管、小さい針、クラックなどの小さい通路内で撮像する機能には、小さいサイズのプローブが必要となる。
【0004】
1つの有用な医療用プローブは、スペクトル符号化内視鏡検査(spectrally encoded endoscopy:「SEE」)技術を利用する。SEEは、ミリメートル未満の径のプローブを介して高精細度の撮像を実行できる、小型内視鏡技術である。SEEは、サンプルの空間情報を符号化するために波長を使用し、それによって、小さい径の内視鏡プローブを介して高解像度の撮像を実行することを可能にする。SEEは、広帯域光を用いて、1つまたは複数の光ファイバに入力することによって実現され得る。ファイバの遠位端において、回折性または分散的な光学要素が、サンプル全体にわたって光を分散させ、この光がレンズを通り、次に光ファイバを通って戻る。光は、分光計などの波長検出装置によって検出され、各々の分析可能な波長が、サンプル上の異なる点からの反射率に対応する。SEE技術、および0.5mm、すなわち500μmの径を有するSEEプローブの原理は、例えば、D.YelinらによるNature Vol.443、765-765(2006年)、ならびに米国特許出願公開第2007/0233396号、および同第2008/0013960号に記載されている。SEEは、二次元および三次元の高品質画像を生成することができる。
【0005】
波長の機能として光強度を検出することによって、画像が再現され得る。しかし、空間位置を符号化するために、SEE画像が波長情報を利用するので、したがって、重要なカラー情報が失われるか、または空間情報と絡み合う。従来の内視鏡は、カラー情報を診断の手掛かりとして用いることがある。
【0006】
以前より、SEEプローブにおいてカラー撮像を実行する方法が提案されてきた。ベンチトップ設定における、カラーSEE撮像のための3本の励起ファイバの使用が例示された(Optics Express、17(17)、15239-15247;2009年、および米国特許第9,254,089号)。このベンチトップ設定において、各々が赤色、緑色、および青色のスペクトル帯である、3つの光ビームが用いられた。これらの光ビームは、異なる角度で格子状に入射し、3つのスペクトル帯全てが同じ回折角となった。その結果、組織上の各点が、3つのスペクトル帯で照明された。しかしこのシステムは製造、および組み立てが容易ではなく、生体撮像(in vivo imaging)に使用するために、複数のファイバを、複数のチャネルの回転接合部を通過させて送らなければならない。複数のファイバはプローブのサイズを大きくして、適用可能な使用数、および使用の侵入性を減少させる。さらに、小さい格子面上の複数の格子パターンを含んだ、カラーSEEの他のソリューションは、作製してSEE装置に組み合わせるのが困難、および/または高価となり得る。過去のシステムのこれらの困難を克服するプローブが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本明細書の上記で示した欠点の少なくともいくつかに対処および/または克服して、以前のシステムのサイズ、回転接合部、または作製の要件を必要とせず、カラーでの観察(color viewing)をもたらし得る新しいカラーSEEプローブを提供することが、有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも第1の実施形態は、カラー撮像のためにスペクトル符号化内視鏡検査プローブ(spectrally encoded endoscopy probe)であってよい。このプローブは、照明光を導く導光要素(light guiding component)と、光集束要素(light focusing component)と、回折格子要素(grating component)とを備えてよい。スペクトル符号化内視鏡検査プローブは、複数の波長の光ビームのセットが、回折格子要素によって異なる次数で同じ角度で回折され得るように構成される。光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含む。光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられてよい。
【0009】
第1の実施形態の一態様において、複数の波長は、400nm~1200nmであってよい。異なる次数の絶対値の最小値は、2であってよい。
【0010】
第1の実施形態の一態様において、複数の波長は400nm~800nmであってよい。異なる次数の絶対値の最小値は、3であってよい。
【0011】
第1の実施形態の一態様において、光ビームのセットの中の各光ビームは、複数の波長範囲の中の異なる波長範囲と関連付けられ得る。各光ビームは、異なる回折次数(diffraction order)で回折され得る。各光ビームは、実質的に同じ角度範囲で回折され得る。
【0012】
第1の実施形態の一態様において、複数の波長範囲の中の各波長範囲のスペクトル幅は、30nmよりも大きくてよい。
【0013】
第1の実施形態の一態様において、角度範囲は、10°よりも大きくてよい。
【0014】
第1の実施形態の一態様において、導光要素は、単一の光ファイバで構成され得る。
【0015】
第1の実施形態の一態様において、照明光は、広帯域の可視光を含み得る。
【0016】
第1の実施形態の一態様において、回折格子要素を出るスペクトル的に分散された光は、400nm~1000nmの波長を有してよく、ゼロ次の透過(zeroth order of transmission)では回折されなくてよい。
【0017】
第1の実施形態の一態様において、スペクトル的に分散された光の複数の次数は、-m次、-(m+1)次、および-(m+2)次であってよく、ここでmは整数である。
【0018】
第1の実施形態の一態様において、スペクトル的に分散された光の複数の次数は、-3次、-4次、および-5次から成る第1のセットと、-4次、-5次、および-6次から成る第2のセットと、-5次、-6次、および-7次から成る第3のセットと、から選択される次数のセットであってよい。
【0019】
第1の実施形態の一態様において、回折格子要素を出るスペクトル的に分散された光は、ゼロ次の透過では回折されなくてよい。
【0020】
第1の実施形態の一態様において、光集束要素は、屈折率分布形(GRIN)レンズ、またはボールレンズであってよい。
【0021】
第1の実施形態の一態様において、プローブは、前方ビュー(forward view)のプローブであってよい。
【0022】
第1の実施形態の一態様において、プローブは、側方ビュー(side view)のプローブであってよい。
【0023】
第1の実施形態の一態様において、回折格子要素の空間周波数と、複数の次数のうちの1つとの積の絶対値は、2000/mmよりも大きくてよい。
【0024】
第1の実施形態の一態様において、回折格子要素は、1.0μmより大きい溝深さを有するバイナリ回折格子であってよい。
【0025】
第1の実施形態の一態様において、回折格子要素は、0.5未満のデューティーサイクルを有するバイナリ回折格子であってよい。
【0026】
第1の実施形態の一態様において、異なる次数のうちの回折次数Aと異なる次数のうちの回折次数Bとにおいて、Bに対するAの比は、2未満であってよい。ここで、回折格子要素は、回折次数Bと関連付けられた第2の波長の光を回折するときと同じ角度で、回折次数Aと関連付けられた第1の波長の光を回折する。第1の波長は、第2の波長よりも小さくてもよい。
【0027】
少なくとも第2の実施形態は、カラー撮像のためにスペクトル符号化内視鏡検査プローブを備える、システムであってよい。このプローブは、照明光を導くための導光要素、光集束要素、回折格子要素を備えてよい。導光要素、光集束要素、および回折格子要素は、複数の波長の光ビームのセットが、異なる次数で同じ角度で回折され得るよう構成されてよい。光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含んでよい。光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられてよい。システムは、収集された光を導くための第2の導光要素、少なくとも1つの検出器、およびプロセッサも備えてよい。プロセッサは、複数の次数で回折された光からの情報に基づき、カラー画像を形成するよう適合され、かつ構成され得る。
【0028】
第2の実施形態の一態様において、少なくとも1つの検出器は、分光計を備えてよい。
【0029】
第2の実施形態の一態様において、スペクトル的に分散された光の複数の次数は、-m、-(m+1)、および-(m+2)回折次であってよく、ここでmは整数である。
【0030】
第2の実施形態の一態様において、システムは、複数の次数ではない次数で回折された光ビームを遮断するために、プローブの視野の外側に位置付けられたビームブロックをさらに備えてもよい。
【0031】
第2の実施形態の一態様において、第2の導光要素は、1つまたは複数の角度研磨された光ファイバを備えてよい。
【0032】
第2の実施形態の一態様において、第1の方向の光ビームのセットを走査するためのスキャナをさらに含んでよい。プロセッサは、第1の方向のカーネルによる平滑化処理機能(smoothing function with kernel)を、複数の次数で回折された光からの情報に適用するよう、さらに構成され得る。このカーネルは、複数の次数の各々における波長の第1のサブセットのための、第1のサイズである。このカーネルは、複数の次数の各々における波長の第2のサブセットのための、第2のサイズである。第1のサイズは、第1のサイズとは異なってよい。
【0033】
第2の実施形態の一態様において、カラー画像は、極座標での画像(polar image)であってよい。複数の次数の各々における波長の第1のサブセットは、極座標での画像の半径の第1の範囲と関連付けられてよい。複数の次数の各々における波長の第2のサブセットは、極座標での画像の半径の第2の範囲と関連付けられてよい。半径の第1の範囲は、半径の第2の範囲よりも小さくてもよい。カーネルの第1のサイズは、カーネルの第2のサイズよりも大きくてよい。
【0034】
少なくとも第3の実施形態は、カラー撮像のためにスペクトル符号化内視鏡検査プローブを備える、システムであってよい。このプローブは、照明光を導く導光要素、第1の回折格子を備える集光要素、およびレンズを備えてもよい。システムは、収集された光を導くための第2の導光要素、少なくとも1つの検出器、およびプロセッサも備えてよい。プロセッサは、収集された光からの情報に基づき、カラー画像を形成するよう適合され、かつ構成され得る。スペクトル符号化内視鏡検査プローブは、複数の波長の収集された光ビームのセットが、異なる次数で回折されて、集光要素によって第2の導光要素の中に結合されるよう、構成され得る。収集された光ビームのセットは、少なくとも3つの光ビームを含んでよい。収集された光ビームのセットの中の各光ビームは、異なる波長と関連付けられてよい。スペクトル符号化内視鏡検査プローブは、第2の導光要素の中に結合される、収集された光ビームのセットの中の収集された光ビームの各々が、実質的に単一次数で第1の回折格子によって回折されるよう、構成されてよい。
【0035】
本開示の、これらまたは他の目的、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と共に、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むと、明らかになろう。
【0036】
本開示のさらなる目的、特徴、および利点は、本開示の例示的な実施形態を示す添付の図面と共に捉えると、以下の詳細な説明から明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】
図2は、一実施形態で使用され得るプローブの概略。
【
図3】
図3は、一実施形態の一部分で回折された光を例示する図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の一部分の概略を示す図である。
【
図6】
図6は、別の実施形態の一部分の概略を示す図である。
【
図7】
図7は、別の実施形態の一部分の概略を示す図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態の一部分の概略を示す図である。
【
図9】
図9は、複数の検出ファイバを伴う、別の実施形態の一部分のプロファイルを例示する図である。
【
図10】
図10は、複数の検出ファイバを伴う、別の実施形態の一部分の正面を例示する図である。
【
図11】
図11は、別の実施形態の一部分の概略を示す図である。
【
図12】
図12は、一実施形態で使用され得る、例示的な撮像コンソールの概略を示す図である。
【
図14】
図14は、別の実施形態の一部分を例示する図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の要素の、回折パワー分布を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面を通して、別途記載しない限り、同じ参照番号および記号は、例示の実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を表示するために使用される。さらに対象の開示を、図面を参照して次に詳細に説明するが、それは例示的な実施形態に関連して成される。添付の特許請求の範囲によって定義された、対象の開示の本来の範囲および趣旨から逸脱することなく、説明する例示的な実施形態に対して、変更および改変が実施され得ることが意図される。
【0039】
第1の実施形態-側方ビュー
本開示によるSEEプローブシステム100の例示的な実施形態を、
図1に示す。この例示的なSEEプローブシステム100は、光源110、プローブ120、分光計142、および画像プロセッサ150を含んでもよい。この実施形態において、光源110からの広帯域光は、照明光ファイバ112であり得る導光要素に結合される。
【0040】
広帯域光は大きい帯域幅を有し、スペクトル的に分散された次元に沿った空間分解能を可能にする。いくつかの実施形態において、広帯域光は、青色帯域の光波長(λB1~λBNを含む)、緑色帯域の光(λG1~λGN)、および赤色帯域の光(λR1~λRN)を含む、広帯域可視光源である。例えば、青色帯域は400~500nmの光を含み、緑色帯域は500~600nmの光を含み、赤色帯域は600~800nmを含む。他の実施形態において、広帯域光の波長は、血液、組織など特定の特徴を識別するために最適化され、例えば1200nmなど、近赤外域の中に広がってもよい。一実施形態において、各波長帯域は、30nmよりも長い波長範囲であってもよい。一実施形態は、SEEがカラー画像を生成することを可能にする、少なくとも3つの帯域を含んでよい。さらなる帯域を使用して、追加の情報を得てもよい。
【0041】
広帯域光源110は、複数の光源を含んでもよく、または単一の光源であってもよい。広帯域光源110は、レーザー、OLED、LED、ハロゲンランプ、白熱ランプ、レーザーによって励起されるスーパーコンティニューム光源、および/または蛍光ランプのうちの、1つまたは複数を含み得る。広帯域光源110は、光を提供して、次にその光を少なくとも3つの帯域に分割することができる任意の光源であってよく、これら少なくとも3つの帯域の各帯域はさらに分散されて、次に空間情報をスペクトル符号化するために用いられる光をもたらす。広帯域光源110は、SEEプローブシステム100の別の要素と結合されるファイバであってもよく、または結合される自由空間であってもよい。
【0042】
導光要素は、照明ファイバ112、またはSEEプローブ120に接続された何らかの他の光導波路であってもよい。照明ファイバ112は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、またはダブルクラッドファイバであってもよい。好ましくは、単一のファイバが照明ファイバ112として使用される。プローブ120またはその部分は、矢印で示すように回転または振動され得る。例えば、照明ファイバおよび照明光学系を、ガルバノモータを介して回転させてもよい。
【0043】
図2は、
図1に例示した実施形態で使用され得るプローブ120の概略を示す、SEEプローブシステム100の一部分の例示である。この特定のプローブは側方ビューのプローブであってよく、そのため、このプローブからの画像は、プローブの直接正面ではなく側方に位置された、組織または他の撮像されるサンプルから反射されることになる。導光要素112(照明ファイバとして示す)は、広帯域光をプローブ120に伝播させる。第2の導光要素140(検出ファイバとして示す)は、光をサンプル200から収集する。プローブ120は、光集束要素122、およびスペーサ124に取り付けられて示される回折格子要素126を含む。導光要素112が取り付けられた光集束要素122の部分は、好ましくはレンズの研磨された端部である。第2の導光要素122は、例えばGRINレンズまたはボールレンズであってよく、角度研磨されたスペーサ124に固定され得る。スペーサ124は、限定ではないが、ガラス、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、またはプラスチックで作られてよい。導光要素112は、第2の導光要素122の中央に合わせてもよく、または中央に合わせなくてもよい。第2の導光要素122は、光集束要素であってもよい。中央に合わせた場合、第2の導光要素122から出る光の方向は、第2の導光要素122の光軸に対して実質的に平行である。中央に合わせていない場合、第2の導光要素122から出る光の方向は、中央から外れた量に応じて、第2の導光要素122の光軸に対してある角度を持つ。
【0044】
回折格子126は、乾式エッチング、湿式エッチング、ナノインプリント、およびソフトリソグラフィなどの技法によって作製され得る。回折格子126は、スペーサ124上に直接形成してもよい。例えば、回折格子126を伴うスペーサ124は、エッチングされたガラス格子をさいの目に切って角度研磨によって作製され得る。回折格子126は、限定ではないが、バイナリ回折格子、ブレーズド回折格子、またはホログラフィック回折格子であってよい。
図16は、一実施形態に使用され得る回折格子126の、多くの回折次数の全体にわたる回折パワー分布のシミュレーション結果の例示であり、ここで、凡例中のTおよびRは、それぞれ透過と反射とを表わす。
【0045】
回折格子126の機能は、
図3によって例示される。青色帯域の光(λ
B1~λ
BN)、緑色帯域の光(λ
G1~λ
GN)、および赤色帯域の光(λ
R1~λ
RN)は、入射角θ
iと実質的に同じ角度で回折格子126に入射する。回折角θ
dは、数式(1)などの回折格子の式によって決定され得る。
n
isinθ
i+n
dsinθ
d=-mGλ (1)
【0046】
ここで、niは、回折格子126の入射側の材料の屈折率を表わし、ndは、回折格子の回折側の材料の屈折率を表わし、mは回折次数、Gは回折格子126の空間周波数、およびλは光の波長である。例示的な実施形態において、回折条件は、ni=1.5037、nd=1、θi=42.81°、およびG=860/mmである。いくつかの実施形態において、回折格子126は、空間周波数Gと緑色光の回折次数mGとの積の絶対値|mGG|は、2000/mmより大きく、2500/mmより大きく、または3000/mmより大きくなるよう、設計される。本発明者は、|mGG|が増加すると、実施形態の視野(FOV)が広がることを確認した。FOVは、各回折次数に関連付けられた重複する光ビームを生成する各波長帯域に関連付けられた、照明角度の角度範囲である。
【0047】
赤色、緑色、および青色光が、入射角θiと実質的に同じ角度で回折格子126上に入射するが、分散のために、ある程度差が有り得ることを理解されたい。それらの差によるサンプル200上の波長シフトは、必要に応じて画像プロセッサ150によって、画像再現のプロセスために補われてよい。例えば、赤色光および青色光の入射角θiは、1.0°以下で変化し得る。入射角θiに関する実質的とは、光学要素の分散特性によって、2.0°未満、1.0°未満、または0.5°未満のばらつきを意味する。
【0048】
回折格子126は、デューティーサイクル(開口幅/期間)が0.5未満で、高い回折効率が可能なバイナリ回折格子であってよい。デューティーサイクルは、好ましくは0.4未満であってよい。溝深さは1μmより大きく、好ましくは1.1μmより大きく、または1.2μmよりも大きくてよい。
【0049】
照明光の青色帯域、照明光の緑色帯域、および照明光の赤色帯域を、サンプル200上で重複させるために、青色帯域の光の回折次数m
B、緑色帯域の光の回折次数m
G、赤色帯域の光の回折次数m
Rは、以下の数式(2)を満たすよう制限される。
【数1】
【0050】
一実施形態において、Xが青色、緑色、および赤色の波長帯域を表わす1~Nの整数である、3つの波長(λ
BX、λ
GX、λ
RX)の光は、全て実質的に同じ角度θ
iで回折格子126上に入射し、全て実質的に同じ角度θ
dで回折される本出願人は、このことが波長帯域の縁部に制限をもたらし、それによって以下の数式(3)のセットが、波長帯域の縁部を条件付けることを確認した。本開示に関して、実質的に同じ角度θ
dで回折されることは、各波長帯域の縁部が、分光計142において5、4、3、2、または1ピクセル内で、またはいくつかの実施形態においては分光計142の計測許容値内で、実質的に同じ回折角を有するよう、波長帯域の縁部が選択されることを意味する。各波長帯域の縁部は、特定の回折次数の特定の角度範囲において回折される、波長範囲を形成する。上記の説明において、例えばGRINレンズまたはスペーサからの、いかなる材料分散も企図されない。これら、または他の光学要素からの材料分散も、角度θ_dに影響し得る。しかし、材料分散の影響が、較正ステップを介して最小限に抑えられるか、または取り除くことができることが企図される。各波長帯域は、全ての波長帯域が実質的に同じ角度範囲を有するよう、選択される。一実施形態において、角度範囲は10°よりも大きくてよい。
【数2】
【0051】
好ましくは、mB/mRの比は2より小さく、そのため波長帯域は分光計142のセンサ上で重複しない。
【0052】
好ましくは、mGは-4以下であり、それによって3つの異なる波長帯域(例えば赤色、緑色、および青色波長RGB)の重複は、400~800nmの波長帯域内で実現され得る。いくつかの好ましい実施形態において、mGは、-4、-5、または-6である。いくつかの好ましい実施形態において、mGとGとの絶対値の積は、広い視野で実現できるよう、2000/mm以上である。好ましくは、mGとGとの絶対値の積は、2500/mm以上、3000/mm以上、またはそれより大きい。しかし、異なる波長が400nm未満または800nmより大きい、他の実施形態も用いられてよい。全ての重複する帯域の帯域幅が400nm~800nmである一実施形態において、異なる回折次数の絶対値の最小値は3である。全ての重複する帯域の帯域幅が400nm~1200nmである一実施形態において、異なる回折次数の絶対値の最小値は2である。
【0053】
表1は、いくつかの例示的な回折次数、ならびに、赤色 緑色、および青色の波長範囲を示す。
【表1】
【0054】
図13Aは、m
Gが-4と等しいとき、帯域幅ボックス1370によって囲まれた緑色光と青色光との重複を示すための、数式(3)でプロットした実施例1の例示である。
図13Aはまた、m
Gが-4と等しいとき、帯域幅ボックス1372によって囲まれた緑色光と赤色光との重複を例示する。
図13Bは、m
Gが-5と等しいこと以外は
図13Aと同様の方法で、緑色、青色、および赤色光の重複を示すための、数式(3)でプロットした実施例2の例示である。
図13Cは、m
Gが-6と等しいこと以外は
図13Aと同様の方法で、緑色、青色、および赤色光の重複を示すための、数式(3)でプロットした実施例3の例示である。
図13Dは、UV、IR、および可視光が使用される実施形態の例示であり、帯域幅ボックス1374がUVと可視光との重複を示し、帯域幅ボックス1376がIRと可視光との重複を示す。
図13Eおよび
図13Fは、任意の波長帯域A、B、Cが使用される実施形態の例示である。帯域幅ボックス1378および1380は、波長帯域の重複を例示する。
【0055】
サンプル200(例えば組織または生体内サンプル)上に回折された光(例えば赤色、緑色、および青色光)を照明した後、光は、サンプル200によって反射し、散乱した光ルミネッセンスである。この光は、回折格子126を通して検出ファイバ140によって収集される(
図2参照)。代替の実施形態において、検出ファイバ140によって収集された光は、回折格子126を通過しない。
【0056】
光を収集するために使用する検出ファイバ140は、レンズ122の側面上、または側面の近くに取り付けてよい。検出ファイバ140は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、またはダブルクラッドファイバであってもよい。この特定の実施形態において、回折格子126は、スペーサ124および検出ファイバ140の両方に取り付けられる。しかし他の実施形態において、検出ファイバは回折格子126に取り付けられない。検出ファイバ140は、任意で照明光学系と共に回転されてもよく、または固定されてもよい。回転される場合、検出ファイバ140は、回転接合部を介して回転しない第2の検出ファイバに接続され得る。
【0057】
図1に示すように、収集された光は、検出ファイバ140を介して分光計142に送達される。分光計142は、3つの波長帯域(例えば青色、緑色、および赤色光)の1Dスペクトルデータを得る。この1Dスペクトルデータは、サンプル200上の3つの照明ライン(RGB)からの情報に相当する。
【0058】
図1のプローブ120は、矢印で示すようにモータによって光学軸周りに回転し、それによって照明光ラインがサンプルを走査し、2Dデータ(波長および時間)を分光計142によって得ることができる。このモータは、例えばガルバノモータ、ステッピングモータ、圧電性モータ、またはDCモータであってよい。回転接合部が、プローブを回転させるために使用されてもよい。例えば、スペクトル符号化されるラインを矢印の方向に回転させることによって、円形領域を撮像できる。この円形領域は、SEEプローブに対して概ね垂直に位置させることができ、それによって
図1に示す例示的なSEEプローブは、光がθ
d=-θ
iの角度で回折されるようにmおよびGを選択する場合、前方ビューの撮像を実行できる。あるいは、プローブ120を、同様の2Dデータをもたらすために振動させてもよい。分光計142において、収集された光の波長が読み取られてよく、それを使用してサンプルのライン画像を生成することができる。
【0059】
分光計、および1つまたは複数の検出器が、収集された光を検出した後、画像プロセッサ150が、赤色、緑色、および青色の3つの2D画像(152R、152B、152G)を、データから生成する。他の実施形態において、2つ、4つ、またはそれよりも多くの2D画像が、回折光の適切な重複次数でプローブを使用して形成される。
【0060】
画像プロセッサ150は、赤色画像152R、緑色画像152G、および青色画像152Bの、3つの実質的に単色画像から、2Dカラー画像158を構築する。このカラー画像158は、実際の色の画像(true color image)をシミュレートするように作り出されるか、または例えば組織タイプの差を目立たせるために調整され得る。いくつかの実施形態において、2つまたは4つの色調の画像が、カラー画像158の代わりに、またはカラー画像158に加えて構築され得る。
【0061】
プロセッサ150によって、3つの実質的に単色画像(152R、152G、152B)が作り出され、2Dのカラー画像158に組み合わされるとき、カラー較正プロセスが適用され得る。
【0062】
一実施形態は、3つの波長帯域(赤色,緑色,および青色)の基準スペクトル、ならびにそれらの基準RGB値を利用する、カラー較正方法を使用してもよい。基準RGB値は、3つのスペクトルのセットであってよい。それらは、SEEシステムによって目標物から得られたスペクトルデータが基準スペクトルに対して明確であるときに、目標画像がRGBモニターで有し得るピクセル値である。
【0063】
【数3】
例えば基準スペクトルは、サンプル200自体からSEEシステム100によって得られた、スペクトルデータセットの平均であってよい。別の実施形態において、基準スペクトルは、別の同様の組織、基準サンプル、または人工組織サンプルからSEEシステム100によって得られた、スペクトルデータとすることができる。さらに別の実施形態において、基準スペクトルは、SEEシステムによって得られた白色較正チャートのスペクトルデータと、対象組織の反射スペクトルデータとの乗算によって作り出してもよい。
【0064】
【数4】
例えば、基準スペクトルが白色に見える組織から生成される場合、基準RGB値は、8ビット値で(255,255,255)、または(200,200,200)などとすることができる。基準スペクトルがピンク色に見える組織から生成される場合、基準RGB値は、8ビット値で(250,100,180)などであってよい。
【0065】
【0066】
これは線形なプロセス(linear process)であり、したがって座標系変換処理(例えば極から直交)の前、または後のいずれかで行うことができる。第4のステップは、3つの較正した画像を2Dカラー画像158に組み合わせることである。ガンマ補正処理を、カラー較正処理後に適用してもよい。
【0067】
前方ビューの撮像において、得られた2Dデータ(波長および時間)は、極座標系から直交座標系に座標系を変えることによって、2D画像に変換され得る。一実施形態において、波長は極座標系の半径に変換されてよく、次にそれは直交座標系に変換される。
【0068】
図17Aに例示する2D極座標での画像1758を得るとき、より短い半径領域(小さい視野角度領域、FOV中心、
図17Aの1754)は、より長い半径領域(大きい視野角度領域、FOV縁部、
図17Aの1756)と比較して、接線方向においてオーバーサンプリングされ得る。一実施形態において、極座標での画像1758の半径がゼロと第1の閾値との間であるとき、角度方向で収集されたデータ点の数は、第2の数よりも多い第1の数であってよい。第2の数は、極座標での画像1758の半径が、第2の閾値と第3の閾値との間であるとき、角度方向で収集されたデータ点の数である。第2および第3の閾値の両方は、第1の閾値よりも大きい。したがって、SNRを増加させるため、半径に依拠して(より大きいサイズのカーネルは、より小さい半径)異なるカーネルサイズを用いた座標系変換の前に、ラインセンサ分光計142によって得られるカラースペクトル帯域(例えばR、G、B)の各2Dデータに平滑化処理機能を適用することは、効果的となり得る。例えば、カラースペクトル帯域の最短波長が、
図5に例示するようにFOVの中心にある場合、
図17Bに例示するように、各スペクトル帯域の分光計データ1790におけるデータサブセット1794(より長い波長)ではなくデータサブセット1792(より短い波長)に、走査角度方向に沿った、より大きいカーネルによるに平滑化処理機能を適用することは効果的である。
【0069】
図15A~
図15Cは、一実施形態によって得られることがある例示的データを示す。
図15Aに例示するように、サンプル200は、内側の茶色の半円、中央の白色の円、およびピンク色の外側円を含み得る。SEEプローブは、サンプル200から光を収集し、その光、各波長帯域が各曲線周りで得るグラフ例示データによって例示されるように分光計データを生成する、分光計142を送る。
【0070】
分光計データは、画像プロセッサ150に送られる。画像プロセッサ150は、
図15Bで例示するように、赤色画像152R、緑色画像152G、および青色画像152Bを生成する。次に画像プロセッサ150は、赤色画像152R、緑色画像152G、および青色画像152Bを組み合わせて、
図15Cに例示するようなカラー画像1558を生成する。
【0071】
複数の分光計を、分光計142として使用してもよい。例えば、青色および緑色の収集光が1つの分光計に送達され、赤色光が別の分光計に送達されてもよい。同様に、複数の検出器(図示せず)が、複数の分光計からの光を検出してもよい。複数の分光計は、1つまたは複数の要素を共有してよい。
【0072】
第2の実施形態-前方ビュー
図4は、一実施形態が実行され得る、前方ビューのSEEプローブシステム400の例示である。前方ビューのSEEプローブシステムは、光源110とプローブ420との間の回転接合部114の使用も例示する。
【0073】
図5に示すように、導光要素112(照明ファイバとして示される)が、広帯域光をプローブ120へ伝播させる。第2の導光要素140(検出ファイバとして示される)が、光を収集する。プローブ420は、光集束要素122、およびスペーサ524に取り付けられて示される回折格子要素126を含む。スペーサは鏡面528を有する。鏡528は、例えば反射コーティング、金属コーティング、または全内部反射を用いて実現され得る。導光要素122は、例えばGRINレンズまたはボールレンズであってよく、角度研磨されたスペーサ524に固定される。スペーサ524は、限定ではないが、ガラス、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、またはプラスチックで作られてよい。
【0074】
示すように、光送達された徹底的な照明ファイバ112は、レンズ122によって僅かに集束され、表面528によって反射されて、回折格子126によって回折される。各カラー帯域幅の最短波長光(λR1、λG1、λB1)は、前方ビュー方向でサンプル200へ回折される。
【0075】
検出ファイバ140は、200サンプルを反射した光を収集する。検出ファイバ140は、1つまたは複数のマルチモードファイバであってよい。複数のファイバが、例えばレンズ122およびスペーサ524の周りに並べられてよい。いくつかの実施形態において、4、5、6、7、8本、またはさらに多くの検出ファイバ140がある。いくつかの実施形態において、検出ファイバ140のアレイは、1つまたは複数の位置に「穴」を有し、他の光学要素か、またはフラッシング手段などの機械要素を収容し得る。検出ファイバ140は、固定されていてもよく、またはレンズ122およびスペーサ524と共に回転してもよい。好ましくは、検出ファイバ140は高いNAを有する。NAは、0.2よりも大きくてよい(より好ましくは、...0.3、0.4、0.5、0.6)。
【0076】
図6は、回折格子626が使用され、この新しい回折格子626のパラメータに従ってビュー領域がシフトされること以外は、
図5に例示した前方ビューのプローブ420と実質的に同様である、例示的な前方ビューのSEEプローブ620の別の実施形態の例示である。さらにスペーサ624は、表面628からの光の入射角が最適となるよう、最適化される。この設計において、格子パラメータ(屈折率、空間周波数、および入射角)ならびに角度は、各カラー帯域幅で最長波長光(λ
RN、λ
GN、λ
BN)が、前方ビューの方向でサンプル200へ回折されるよう、最適化される。
【0077】
撮像に使用されない、次に高い回折次数(m
B-1)が、ノイズをシステムに導入し得る。一実施形態において(例えばm
B=-6)、この使用されない、より高い次数の帯域の回折角度は、最大角度より大きく、そのため光は、プローブ検出光学系の視野外で回折され、システムのノイズに対する実質的な一因とはならない。好ましくは、数式(5)で表わす以下の条件が、次に高い次数における回折が実質的に生じないよう満たされる。
【数7】
【0078】
一実施形態において、回折格子626は、照明のための回折効率が隣接する回折次数よりも高くなるよう、最適化され得る。例えば一実施形態において、n
i=1.5037、n
d=1、θ
i=42.81°、G=860/mm、溝深さ=1.45μm、およびデューティーサイクル=0.16である。視野(FOV)中心、およびFOV縁部の回折効率を、以下の表2に列挙する。表2Aは、FOV縁部だが隣接する次数において同じである、波長の回折効率も例示する。ここで、表中の回折効率は、TEおよびTMの回折効率の平均である。回折効率は、各チャネル(青色、緑色、赤色)のFOV中心波長とFOV縁部波長との間にあり、ゼロではない。一実施形態において、入射角θ
iが全内部反射(TIR)の臨界角よりも大きいとき、回折格子のゼロ次(m=0)の透過に関連付けられた透過光は実質的に存在せず、一方で、より高い次数の回折格子によって回折された光は、回折格子を通過する。
【表2A】
【0079】
一実施形態において、回折格子626は、照明のための回折効率が、隣接する回折次数の回折効率よりも高くなるよう最適化され得る。例えば一実施形態において、n
i=1.5037、n
d=1、θ
i=38.67°、G=800/mm、溝深さ=1.7μm、およびデューティーサイクル=0.2である。視野(FOV)中心、およびFOV縁部の回折効率を、以下の表2Bに列挙する。表2Bは、同じFOV縁部だが隣接する次数である波長の回折効率も例示する。
【表2B】
【0080】
一実施形態において、回折格子626は、回折効率が青色(415~475nm)、緑色(498~570nm)、赤色(622.5~712.5nm)のそれぞれ-6次、-5次,-4次のために最適になるように、最適化され得る。例えば一実施形態において、ni=1.5037、nd=1、θi=36.0°、G=650/mm、溝深さ=1.8μm、およびデューティーサイクル=0.25である。
【0081】
前方ビューのSEEプローブ720の、さらに別の例示的な実施形態が
図7に例示され、以前に例示したSEEプローブと実質的に同様である。プローブ720は、ビームブロック730をさらに備える。ビームブロック730は、回折格子126の周りに位置付けられ、それによって対象の視野における角度以外の角度で回折される光を遮断する。例えば、ビームブロック730は、回折角度がサンプル200を照明する回折された光よりも小さい、他の次数を遮断し得る。ビームブロック730は、このような光を吸収、反射、または散乱させ得る。ビームブロック730は管材料であってよく、固定式でもよい。ビームブロック730は、プローブ120と共に回転してもよい。
【0082】
前方ビューのSEEプローブ420のさらに別の例示的な実施形態が、
図8に例示される。この実施形態において、受光角が非対称で、回折された光の特定の次数と関連付けられた特定の視野以外の光を収集しない、検出ファイバ840は角度研磨された遠位端を有する。例えば、回折角度が、サンプル200上に回折される特定の照明光よりも小さい、他の次数における回折された光。代替の実施形態において、角度研磨された遠位端を有する代わりに、検出ファイバ840は遠位端にプリズムを有してもよい。本実施形態でも例示されるのは、照明ファイバ112、レンズ122、およびスペーサ524と共に回転する検出ファイバ840である。
【0083】
図9および
図10は、検出ファイバが、ファイババンドル940を形成する複数の検出ファイバ940a~zを備える、実施形態の例示である。検出ファイバ940a~zは、
図9および
図10に例示するように、スペーサ524および回折格子126の周りに並べられた、複数のファイバを含んでよい。
図9および
図10に示すように、例示的なプローブ420は、複数(本例では8本)の検出ファイバ940a~zで囲まれる。検出ファイバの各々からの光は、画像プロセッサ150による画像処理において、一緒に、または選択的に使用され得る。時間ゲートを使用して、どの検出ファイバを使用するかを選択してもよい。これは、例えば時間ゲートされた露出、またはガルバノスキャナを伴う2Dカメラ、およびラインカメラによって実施され得る。
【0084】
図14は、単一の分光計1442が、いかにしてファイババンドル940の複数のファイバからデータを集めるよう適合され得るか、の例示である。
図14に示すように、ファイババンドル940の入力側1440aにおける、ファイババンドル940の個々のファイバは、リングを形成し得る。リング形状は例示的なものであり、多角形、楕円形、または他の形状などが、ファイババンドルの入力側に使用されてもよい。一方でファイババンドルの出力側1440bは、ファイバリボンを伴うようなアレイを形成し得る。
【0085】
分光計1442は、出力側1440bから光を集めるためのコリメートレンズ1482を含み得る。コリメートレンズ1482は、単レンズ、レンズのセット、またはレンズのアレイであってよい。レンズのアレイは、ファイババンドル940の各ファイバのための単レンズを含み得る。コリメートレンズ1482は、出力側1440bからの光を実質的に平行にし得る。
【0086】
コリメートレンズ1482は、鏡および偏光子などの1または光学要素と共に、1つまたは複数の回折格子もしくはプリズムなどの波長分散要素1484に、光を導いてよい。波長分散要素1484は、
図14に例示するように光を分散させる。
図14において、青色光は点線で示され、緑色光は実線で示され、赤色光は破線で示される。
【0087】
次にスペクトル的に分散された光は、集束レンズ1486によって集束され得る。集束レンズ1486は、単レンズ、レンズのセット、またはレンズのアレイであってよい。次に集束レンズ1486は、スペクトル的に分散された光をセンサアレイ1442上に集束させ得る。センサアレイ1488の各ピクセルは、24μm×500μmの矩形ピクセルであってよい。各ピクセルは、標準的なセンサアレイ144において、より小さい複数の方形ピクセルで作られた論理ピクセルであってよい。集束レンズ1486がレンズアレイである場合、このレンズアレイは、各矩形ピクセルのためのレンズを含み得る。センサアレイ1488は、スペクトル情報が第1の軸に沿っており、各ファイバからの空間情報が、第1の軸と直交する第2の軸に沿っている画像を生成することができる。
【0088】
図11は、前方ビューのSEEプローブ420を含む、例示的な実施形態の一部分の例示である。本実施形態において、照明ファイバ112および検出ファイバ140は、
図5で例示した実施形態と比べると、交換されている。この場合、照明光は回折されないが、回折格子は、特定の光のみを検出ファイバ140上に確実に伝播するよう、使用される。この代替の実施形態は、照明導波管112に取り付けられた円筒形レンズ1122も含んでよい。この代替の実施形態は、サンプル200上の照明光が、前の実施形態のスペクトル符号化されるラインとは対照的に白色ラインであるように、円筒形レンズ1122に取り付けられたプリズム1124も含んでよい。サンプル200からの反射光は、収集されて、スペーサ524上の回折格子126を通って検出ファイバ140に沿って通過し、表面528によって反射されてレンズ122によって集束される。照明ファイバ112および検出ファイバ140は、共に回転し得る。白色ラインは、プローブの視野の径方向に沿って整合されてもよく、プローブと共に回転する。白色ラインは、プリズム134の収差によって、視野の中心に対して非対称であってよく、それによって1つの次数のみで回折された光は、検出ファイバ140に結合される。
【0089】
いくつかの実施形態において、前方ビューまたは側方ビューのいずれかであってよいプローブは、使い捨てプローブである。これらの実施形態において、照明ファイバ112および検出ファイバ140は、取り外し可能であってよい。この例示的な機能によると、確実に清潔なプローブを、人の体であり得る対象の中に挿入するよう、プローブは使い捨てであってよい。
【0090】
様々な例示的な実施形態によると、マルチクラッドファイバを利用してもよい。マルチクラッドファイバは、光が広がる方向によって、異なるコア径を有するかのように機能し得る。したがって、このようなマルチクラッドファイバは、照明ファイバおよび検出ファイバの両方として使用してもよい。マルチクラッドファイバが回転接合部に接続される場合、プローブの連続的な回転が実行され得る。
【0091】
システムおよびソフトウェアに関連する開示
本発明の実施形態はまた、上述の実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行するために、一時的もしくは非一時的な記憶媒体に記録された、コンピュータ実行可能命令(例えば1つまたは複数のプログラム)を読み取って実行し、および/もしくは上述の実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行するための、1つもしくは複数の回路を含む、1つもしくは複数のコンピュータによって実現されてよく、ならびに、上述の実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行するために、例えば記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み取って実行することで、および/もしくは上述の実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行するために、1つもしくは複数の回路を制御することで、システムもしくは装置のコンピュータで実行される方法によって、実現されてよい。例えばコンピュータシステムは、画像プロセッサの一部または画像プロセッサに取り付けられており、画像検出器および光学的な第2の検出器から受け取った情報を、取得して改変してもよい。
【0092】
一実施形態において、画像プロセッサ150は、1つまたは複数のコンピュータユニットと、高解像度マルチメディアインターフェース(HDMI)を介して画像プロセッサ150に接続され得る、1つまたは複数のディスプレイユニットとを含む。任意で、別個の画像サーバは、イーサネットケーブルまたはワイヤレスアクセスポイントを介して接続されたプロセッサ150に接続された、別のコンピュータユニットである。
【0093】
図12は、画像プロセッサ150の例示であり、コマンドが、画像プロセッサ150に位置され得るユーザーインターフェースユニット/装置を介して、1つまたは複数のプロセッサ161に送信されてよい。画像プロセッサは、I/Oインターフェースを含んでよく、ここでコマンドは、1つまたは複数の、1つの含まれるか、または別個に取り付けられた、タッチパネルスクリーン、キーボード、マウス、ジョイスティック、ボールコントローラ、および/またはフットペダルを介して受け取られる。ユーザー/オペレータはコマンドを開始させて、画像プロセッサ150を使用して例示的な前方ビューのSEEプローブを通して、人の体の内部であり得る対象についての情報を、観察または集めてもよい。例えば、ユーザーがコマンドを入力すると、それによってコマンドは実行するためにCPU161に送信される。
【0094】
画像プロセッサ150は、CPU161、記憶部/RAM162、I/Oインターフェース163、および検出器インターフェース164を含んでもよい。さらに画像プロセッサ150は、1つまたは複数のデバイスも備えてよい。画像プロセッサは、1つまたは複数の汎用コンピュータを含んでもよく、またはASIC、DSP、FPGA、GPU、FPUなどの特定用途プロセッサを含んでもよい。
【0095】
画像プロセッサ150は、ノイズリダクション、座標の歪み補正、コントラスト強調などの、例示的な画像処理を適用するようプログラムされ得る。画像処理の実行後、または実行中でさえ、データは画像プロセッサ150からディスプレイに送信され得る。いくつかの例示的な実施形態において、液晶ディスプレイがディスプレイであってもよい。例えばディスプレイは、本開示の様々な例示的な実施形態による、シングルモードまたは合成カラー画像から得た個々の画像を表示し得る。ディスプレイは、観察データ、人の体のどの部分が観察されるか、患者の名前、オペレータの名前など、画像以外の他の情報も表示し得る。
【0096】
CPU161は、記憶部/RAM162に記憶されたコンピュータ実行可能命令を、読み取って実行するよう構成される。コンピュータ実行可能命令は、本明細書で説明した方法および/または計算を実行するための命令を含み得る。記憶部/RAM162は、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体および/または書き込み可能媒体を含み、例えば磁気ディスク(例えばハードディスク)、光ディスク(例えばDVD、Blu-ray)、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えば不揮発性メモリカード、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、SRAM、DRAM)、EPROM、EEPROMなどを含んでよい。記憶部/RAM162は、コンピュータ可読データおよび/またはコンピュータ実行可能命令を記憶してよい。画像プロセッサ150の要素は、バスを介して通信し得る。
【0097】
I/Oインターフェース163は、キーボード、ディスプレイ、マウス、印刷デバイス、タッチスクリーン、ライトペン、光記憶デバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル、およびネットワーク(有線またはワイヤレス)を含み得る、入力および出力デバイスへの通信インターフェースを提供する。
【0098】
検出器インターフェース163は、入力および出力デバイスへの通信インターフェースも提供する。検出器は、分光計142、分光計内の要素、例えば光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード検出器(APD)、電荷結合デバイス(CCD)、マルチピクセル光子計数器(MPPC)またはその他などの検出システム、および、回転エンコーダ、モータの駆動電圧、熱電対などの、プローブの状態に関する情報を提供する要素も含んでよい。さらに検出器の機能は、記憶部/RAM162に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つまたは複数のプログラム)によって実現され得る。
【0099】
例示的な操作において、ユーザーは例示的なSEEプローブをシース内に設置し、次にこのような配置/構成を人の体の所定位置の中に挿入し得る。事前にシースのみを人の体の中に挿入してもよく、シースの挿入後にSEEプローブをシースの中に挿入することが可能である。例示的なプローブを使用して、人の体の内部を観察することができ、例示的なプローブは、関節鏡検査法、気管支鏡、上顎洞内視鏡、血管内視鏡などの内視鏡として働く。
【0100】
定義
説明の言及で、特定の詳細が、開示された例の完全な理解を提供するために記載される。他の例において、よく知られた方法、手順、要素、および回路は、本開示を不必要に長くしないために、詳細に説明していない。
【0101】
ある要素もしくは部分が、別の要素もしくは部分に対して「上にある(on)」、「対する(against)」「接続される(connected to)」、もしくは「結合される(coupled to)」と本明細書で言及される場合、他の要素もしくは部分に対して直接的に上にある、対する、接続される、もしくは結合されるか、または介在する要素もしくは部分が存在し得ることを、理解されたい。反対に、ある要素が、別の要素もしくは部分に対して「直接上にある(directly on)」、「直接接続される(directly connected to)」、または「直接結合される(directly coupled to)」と言及される場合、介在する要素もしくは部分は存在しない。用語「および/または」が用いられるとき、関連して列挙されたアイテムが提供された場合は、それらのうちの1つまたは複数のいずれか、および全ての組み合わせを含む。
【0102】
「下(under)」、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」、「近位の(proximal)」、「遠位の(distal)」などの空間に関連する用語は、本明細書では、1つの要素または特徴部を、様々な図で示される別の要素または特徴部に対する関係を表わすよう、説明を簡単にするために用いられることがある。しかし空間に関連する用語は、図に示された方向に加えて、使用中または操作中のデバイスの異なる方向を含包するよう意図されていることを理解されたい。例えば、図中のデバイスがひっくり返った場合、他の要素または特徴部の「下方」もしくは「真下」にあるものと表わされた要素は、そのとき他の要素または特徴部の「上方」に方向付けられている。したがって「下方」などの空間に関連する用語は、上方および下方の両方の方向を含包できる。あるいはデバイスが(90°または他の方向に回転して)方向付けられることがあり、本明細書で用いられる空間に関連する記述子は、それに従って解釈されるべきである。同様に、空間に関連する用語「近位の」および「遠位の」も、適用できる場合は交換可能である。
【0103】
本明細書で使用される用語「約(about)」は、例えば10%内、5%内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態において、用語「約」は測定誤差内を意味し得る。
【0104】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/またはセクションを説明するために、本明細書に使用され得る。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部分、またはセクションを、別の領域、部分、またはセクションから区別するためのみに用いられている。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、部分、またはセクションは、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、またはセクションと称することができる。
【0105】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を表わすことだけが目的であり、限定を意図するものではない。本明細書で用いられるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途明確に示さない限り、複数形も含むよう意図されている。用語「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」は、本明細書で用いられるとき、記載された特徴部、整数、ステップ、動作、要素、および/もしくは構成要素の存在を指定するが、明白に記載されていない1つまたは複数の他の特徴部、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/もしくはそれらのグループの存在、または追加を除外しないことを、さらに理解されたい。
【0106】
上記は、本開示の原則を例示するのみである。説明した例示的な実施形態に対する、様々な改変および代替は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明白になるであろう。実際に、本開示の例示的な実施形態による装置、システム、および方法は、任意のSEEシステムまたは他の撮像システム、ならびに、例えば、それらの開示が全体において参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,341,036号、同7,796,270号、同7,843,572号、同7,859,679号、同8,045,177号、同8,145,018号、同8,780,176号、同8,812,087号、同9,295,391号、および同9,254,089号、ならびにPCT公報WO2015/116951、WO2015/116939に記載されたものに使用することができる。
【0107】
図面で説明する例示的な実施形態を説明する際、明瞭にするために特定の専門用語が利用される。しかし、本特許明細書の開示は、選択された特定の専門用語に限定されることは意図されず、各特定の要素が同様の方法で動作する、全ての技術的同等物が含まれることを理解されたい。
【0108】
本開示を、例示的な実施形態を参照して説明したが、本開示は開示された例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、このような全ての改変および同等の構造および機能を含包するよう、最も広い解釈と一致する。