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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】コンパクトな直接測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 7/02 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G01G7/02
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020012523
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2020148761
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】19161918.8
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・レバー
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・ビルラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ラング
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-129015(JP,A)
【文献】米国特許第02685200(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第03136049(DE,A)
【文献】実開平05-057631(JP,U)
【文献】特表2010-529424(JP,A)
【文献】特開2006-329989(JP,A)
【文献】実開昭53-054053(JP,U)
【文献】特開昭48-041767(JP,A)
【文献】特開平06-230023(JP,A)
【文献】米国特許第05902932(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-9/00,21/00-23/48
G01L 1/00-1/26,5/00-5/28,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁力補償方式の直接測定システム(100)であって、当該電磁力補償方式の直接測定システム(100)が、
動力伝達連結部を介して力補償装置(120)に接続される荷重レシーバ(101)と、
前記動力伝達連結部によって離間される少なくとも2つの平行な誘導部材(131、132)を有する平行な多部品誘導機構とを有し、
前記力補償装置(120)が、少なくとも1つの永久磁石(121)と、制御可能な電気回路に電気的に接続されるコイル(122)とを有し、
前記動力伝達連結部が単一部品のコイルボディ(110)として設計され、前記コイル(122)が前記平行な誘導部材(131、132)の間で前記コイルボディ上に配置され前記制御可能な電気回路に電気的に接続される、電磁力補償方式の直接測定システム(100)であって、
前記コイルボディ(110)が、互いから電気的に絶縁される少なくとも2つの導体トラック(141、142)を有し、第1の前記導体トラック(141)が前記コイルに向かう方に延びており、第2の前記導体トラック(142)が前記コイルから離れる方に延びており、
前記制御可能な電気回路に電気的に一体化される少なくとも1つの前記誘導部材(131、132)が、互いから絶縁される2つの電流導体(133、134)を有し、前記コイルボディ(110)の各導体トラック(141、142)が少なくとも1つの前記誘導部材(131、132)のそれぞれの電流導体(133、134)に接続されることを特徴とする、または
2つの平行な誘導部材(131、132)が前記制御可能な電気回路に電気的に一体化され、前記コイルボディ(110)の各導体トラック(141、142)が、前記2つの平行な誘導部材(131、132)のそれぞれの前記電流導体に接続されることを特徴とする、電磁力補償方式の直接測定システム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の直接測定システムであって、
前記コイルボディ(110)が非導電材料から構成されることを特徴とする、直接測定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の直接測定システムであって、
前記コイルボディ(110)の材料が少なくとも部分的に、プラスチック添加物としての、非導電性のレーザ活性化金属を付着された熱可塑性物質であり、前記熱可塑性物質の上で、前記導体トラック(141、142)がレーザによって活性化されることを特徴とする、直接測定システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の直接測定システムであって、
前記力補償装置(120)が、
少なくとも1つの永久磁石(121)と、
少なくとも1つの極磁片(123)と、
デバイスハウジング(125)と
を有し、
前記永久磁石(121)、前記極磁片(123)、および前記デバイスハウジング(125)が、互いに永続的に接続され、
前記コイルボディ(110)が、
シャフト領域(111)と、
前記コイル(122)のための巻線領域(119)であって、前記巻線領域が前記シャフト領域(111)と同心に延在する、巻線領域(119)と、
前記シャフト領域(111)と前記巻線領域(119)とを接続するバー(150)とを有することと、
同時に、前記デバイスハウジング(125)が前記直接測定システム(100)のハウジングを形成し、前記コイルボディ(110)のための通路(128)が前記ハウジングの上側端部および下側端部のところに形成されることと
を特徴とする、直接測定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の直接測定システムであって、
前記コイルボディ(110)が周囲の隙間から離間される前記通路(128)を通して誘導され、この隙間が、前記コイルボディ(110)と前記デバイスハウジング(125)との間の水平方向の最大の遊びを画定することを特徴とする、直接測定システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の直接測定システムであって、
前記バー(150)を基準として隆起している少なくとも1つのノブ(151)が前記バー(150)の上に形成され、前記ノブが垂直方向の最大の遊びとして前記極磁片(123)までの距離を画定することを特徴とする、直接測定システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の直接測定システムであって、
少なくとも1つの補強材(154)が前記シャフト領域(110)と前記バー(150)との間に形成され、前記少なくとも1つの補強材(154)を装着するための凹部(124)が前記極磁片(123)上に形成され、
前記補強材(154)および前記凹部(124)が、前記デバイスハウジング(125)を基準とした前記コイルボディ(110)の耐歪曲性をもたらすようにすることを特徴とする、直接測定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の直接測定システムであって、
前記制御可能な電気回路に電気的に一体化される前記2つの平行な誘導部材(131、132)が導電性材料から完全に構成されるか、または少なくとも1つの導電性表面を有し、
前記コイルボディがその端部上にそれぞれの端部表面(112)を有し、前記端部表面がそれぞれ、前記2つの導体トラック(141、142)のうちの一方に電気的に接続される接点として形成され、前記端部表面(112)を介してそれぞれの前記誘導部材(131、132)が前記制御可能な電気回路に接触して電気的に一体化されることを特徴とする、直接測定システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の直接測定システムであって、
前記力補償装置(120)がデバイスハウジング(125)を有し、
平行な固定脚部(136)および平行な可動脚部(137)の両方が適切な打ち抜き孔(135)により前記平行な誘導部材(131、132)内に形成され、前記平行な脚部が少なくとも1つの誘導部分(138)を介して接続され、
前記平行な誘導部材(131、132)が、その前記平行な固定脚部(136)のところで、
電気絶縁接着剤により前記デバイスハウジング(125)に永続的に取り付けられるか、または
接着剤により電気絶縁中間層の上において前記デバイスハウジング(125)に永続的に取り付けられる
ことを特徴とする、直接測定システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の直接測定システムであって、
前記力補償装置(120)がデバイスハウジング(125)を有し、
平行な固定脚部(136)および平行な可動脚部(137)の両方が適切な打ち抜き孔(135)により前記平行な誘導部材(131、132)内に形成され、前記平行な脚部が少なくとも1つの誘導部分(138)を介して接続され、
前記平行な誘導部材(131、132)がその前記平行な固定脚部(136)のところでそれぞれの回路基板(161、162)に永続的にはんだ付けされ、前記平行な誘導部材がそれぞれの前記回路基板の構成要素であること、および
前記回路基板(161、162)がねじ(129)または接着剤により前記デバイスハウジング(125)に取り付けられること
を特徴とする、直接測定システム。
【請求項11】
請求項10に記載の直接測定システムであって、
前記回路基板(161、162)が、可撓性の導電ストリップ(163)を介して接続される単一部品の回路基板モジュール(160)として形成されることを特徴とする、直接測定システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の直接測定システムであって、
位置センサ(170)を有し、
動作するように構成されている状態において、前記位置センサ(170)が上側の前記誘導部材(131)の上または下側の前記誘導部材(132)の下に配置されることを特徴とする、直接測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、荷重レシーバと、コイルおよび永久磁石を有する力補償装置とを備える電磁力補償方式の直接測定システム(electromagnetic force-compensation direct measuring system)に関する。
【0002】
[0002]以下では直接測定システムとしても特徴づけられる、電磁力補償方式の直接測定システムは、動力伝達連結部を介して力補償装置に荷重レシーバが直接に接続されることを特徴とする。
【背景技術】
【0003】
[0003]電磁力補償を利用することにより、はかり皿および/または荷重レシーバにかかる荷重によって生じる力が力補償装置によって補償される。この力補償装置は少なくとも1つの永久磁石およびコイルから構成され、ここで、補償力(compensation force)を発生させるコイルを通って流れる電流が測定される。この測定値は、加えられる荷重に比例する。しかし、この測定値は、永久磁石の磁界内でのコイルの位置によって決定され、したがってコイルは測定値の記録時に磁石との関係で常に同じ位置を有さなければならない。荷重の適用後のコイルの位置は位置センサによって決定され、コイルのところの電流は、永久磁石との関係での荷重によるコイルの変位を補償されるようになるまで、増大する。こうすることにより、コイル電流の測定が行われ、これが加えられる荷重の重量の大きさ(質量)を表す。
【0004】
[0004]直接測定システムがCH593481A5に開示されている。この特許明細書では、荷重レシーバが動力伝達連結部を介して力補償装置に直接に結合される。位置センサの可動側が動力伝達連結部に取り付けられるが、位置センサの固定側が、ハウジングに対して固定される荷重セルの領域におよび/または力補償装置の固定領域に堅固に接続される。
【0005】
[0005]この直接測定システムは好適には低荷重領域で使用される。測定の精度は、直接測定システム内の位置センサの分解能および配置により実質的に決定される。荷重レシーバさらには力補償装置のコイルが、荷重セルの固定領域を基準として正確に誘導されなければならない。これが平行な誘導機構を介して行われ、この平行な誘導機構の平行な可動脚部が動力伝達連結部に接続され、この平行な誘導機構の平行な固定脚部がハウジングに対して固定される荷重セルの領域に堅固に接続される。平行な可動脚部および平行な固定脚部が、狭い断面を有する弾性軸受により2つの剛体の平行な誘導部分(parallel guide)を介して互いに接続される。しかし、ばね式の平行な誘導部分が使用されてもよく、この場合は狭い断面を有する弾性軸受が排除される。荷重レシーバに荷重が加えられる場合、動力伝達連結部が荷重方向に変位させられ、この変位により平行な誘導部分が歪み、またこの変位により狭い断面を有する弾性軸受または弾性の平行な誘導部分が曲げられる。
【0006】
[0006]平行な誘導機構は、そのばね定数により、通常はリセット力(reset force)を有し、このリセット力が同様に、荷重レシーバに加えられる荷重と同じようにコイルを変位させるものであり、このリセット力が同様に補償されるべきである。
【0007】
[0007]米国特許第3,968,850(A)号では、CH593481A5と同様に、力補償装置のコイルが、細線(ワイヤ;以下同じ)を介する制御可能な電気回路に電気的に接続される。このデザインの欠点は、細線が、電気的接続に加えて、荷重セルの固定部分から可動部分への機械的接続も確立することである。それにより、追加のばね定数が直接測定システムに組み込まれ、この追加のばね定数が平行な誘導機構に作用し、測定結果を歪ませる可能性がある。細線は、通常、はんだ付けされ、追加的に生じるばね定数を可能な限り低く一定に保つことを目的として特に細くなるようにおよび精巧となるように設計される。しかし、これらの精巧な細線は取り付けることが困難であり、細線のうちの1つの細線がすぐに緩む可能性があり、その場合にはかりの機能が失われる。
【0008】
[0008]コイル電気回路を介する荷重セルの可動領域と固定領域との機械的接続により生じるばね定数は、主として、低荷重領域において、および/または高分解能の計量結果が存在する場合に、荷重セルの結果に影響する。ばね定数の非常に小さい変化でも測定結果に変化を生じさせるのに十分なためである。
【0009】
[0009]少なくとも2つの平行な誘導部材を備える平行な誘導機構がEP1726926A1に開示されている。これらは、例えば、ばね式の膜状の平行な誘導部材であってよく、ここでは、平行な固定脚部および平行な可動脚部の両方が適切な打ち抜き孔によって形成され、上記平行な脚部が少なくとも1つの平行な誘導部分を介して接続される。
【0010】
[0010]さらに、例えばEP1726926A1で開示されているように、複数の計量デバイスのための直接測定システムを備えるコンパクトな計量モジュールを主として用いる場合、位置受信器に接続される平行な誘導機構の部品および/または動力伝達連結部の部品の異なる熱膨張を理由として、直接測定システムのゼロ点移動が悪影響を受ける、ことが示されている。
【0011】
[0011]EP1925919A1が、平行な多部品誘導機構と、荷重レシーバとを有する電磁力補償方式の直接測定システムを提案しており、ここでは、平行な誘導機構の少なくとも1つの部品が電気信号を伝送するように設計される。この場合、荷重レシーバが動力伝達連結部を介して力補償装置に接続され、上記力補償装置が、少なくとも1つの永久磁石と、制御可能な電気回路に電気的に接続されるコイルとを有する。
【0012】
[0012]荷重の適用後にコイルの位置を決定するために、EP1925919A1に記載の直接測定システムが位置センサを有する。位置センサの位置が適切なスキャニングを用いて決定され得る。例えば、動力伝達連結部上に配置される隙間が位置センサとして使用され得る。位置センサの位置を制御するための多様な種類のスキャニングが知られており、ここでは、光学スキャニングが好適である。位置センサに接続される平行な誘導機構の部品および/または動力伝達連結部の部品の異なる熱膨張を理由として、直接測定システムのゼロ点移動が悪影響を受ける、ことが示されている。EP1925919A1で教示されているように、位置センサが、可能な限り小さいゼロ点移動を有する電磁力補償方式の直接測定システムを得ることを目的として上側の平行な誘導部材と下側の平行な誘導部材との実質的に中間に配置されなければならない。直接測定システムをゼロ点移動に関して可能な限り影響を受けない状態で維持することを目的として、下側のおよび上側の平行な誘導部材が荷重レシーバと力補償装置との間に配置される。
【0013】
[0013]堅牢性は、その開始状態の安定構造を適合させることなく変化に耐えるためのシステムの能力を表すものである。測定システムの堅牢性は、永久磁石を基準としたコイルの変位方向に作用しないような力に対しての耐性であり、上記変位は荷重によって生じるものである。堅牢性は、荷重セル、例えば直接測定システムの荷重セルなどの高い再現性のために必要である。必要な堅牢性を確保するために、平行な誘導部材が互いを基準として適切な距離のところに配置されなければならない。この距離は、永久磁石を基準としてコイルの意図される方向から逸脱して発生し得る予期される最大の力の成分によって決定される。
【0014】
[0014]上で言及した要求事項により、現在、例えばMettler ToledoからのWMC計量モジュールなどの直接測定システムが市場に存在し、これはコンパクトであるが比較的背の高い構造を有する。この場合、全体の設置高さ(設置したときの高さ;以下同じ)は、常に、平行な誘導機構および/または動力伝達連結部の設置高さと、力補償装置の設置高さとの足した高さになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】CH593481A5
【文献】米国特許第3,968,850(A)号
【文献】EP1726926A1
【文献】EP1925919A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
[0015]したがって、本発明の目的は、電磁力補償方式の直接測定システムのコンパクトさの程度を増加させること、および/または設置高さを低減することである。有利には、この事例では、設置される部品の数が低減され、組み立てが単純化されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0016]この目的は、独立請求項に示される特徴を有するデバイスを用いて達成される。本発明の有利な実施形態が別の従属請求項に示される。
[0017]電磁力補償方式の直接測定システムが知られており、このシステムは、動力伝達連結部を介して力補償装置に接続される荷重レシーバと、動力伝達連結部によって離間される少なくとも2つの平行な誘導部材を有する平行な多部品誘導機構とを有し、力補償装置が、少なくとも1つの永久磁石と、制御可能な電気回路に電気的に接続されるコイルとを有し、少なくとも1つの平行な誘導部材が制御可能な電気回路に電気的に一体化される。本発明によると、動力伝達連結部が単一部品のコイルボディとして設計され、コイルが平行な誘導部材の間で上記コイルボディ上に配置され制御可能な電気回路に電気的に接続されるようにする。
【0018】
[0018]「平行な多部品誘導機構」という用語は、ここでは、複数の構成要素から構成される平行な誘導機構として、ならびに複数の機能領域および/または作用部品を備える平行な誘導機構としての両方の意味で使用される。
【0019】
[0019]動力伝達連結部を単一部品のコイルボディとして形成することにより、コイルを平行な誘導部材の間に配置することが可能となり、それにより、よりコンパクトな構造を有する直接測定システムが得られる。
【0020】
[0020]本発明の改良では、コイルボディが非導電材料から構成される。さらに、コイルボディが、互いから電気的に絶縁される少なくとも2つの導体トラック(conductor track)を有することができ、ここでは、第1の導体トラックがコイルに向かう方に延びており、第2の導体トラックがコイルから離れる方に延びている。コイルボディに一体化される導体トラックが、直接測定システムの製造中における直接測定システムの組み立てを単純化する。
【0021】
[0021]本発明の別の改良では、コイルボディが成形相互接続デバイスとして構成される。電子的なおよび/または機械電子的な組立体のための相互接続デバイスとして機能する、特別なプロセスに従って加えられる金属導体トラックを備える射出成形プラスチック構成要素が、成形相互接続デバイスつまりMID(molded interconnect device)として表される。MIDが非常に多様な手法で製造され得る。導体トラックさらには伝送表面および/または保護表面を加えるための最も重要なプロセスは、ツーショット射出成形、熱間鍛造、マスクライティング(mask lighting)プロセス、ダイレクトレーザストラクチャリング、およびインモールドデコレーションである。少なくとも、事例に応じて、コイルボディの材料が、プラスチック添加物としての、非導電性のレーザ活性化金属の接続部を付着された熱可塑性物質であってよく、上記熱可塑性物質の上で、導電性トラックがレーザによって活性化される。
【0022】
[0022]別の改良では、直接測定システムの力補償装置が、少なくとも1つの永久磁石と、少なくとも1つの極磁片と、デバイスハウジングとを有し、ここでは、永久磁石、極磁片、およびデバイスハウジングが、互いに永続的に接続される。この事例のコイルボディは、シャフト領域と;コイルのための巻線領域であって、上記巻線領域がシャフト領域と同心に延在する、巻線領域と;シャフト領域と巻線領域とを接続するバー(bar)と、を有すること、ならびに同時にデバイスハウジングが直接測定システムのハウジングを形成すること、を特徴とし、ここでは、コイルボディのための通路がハウジングの上側端部および下側端部のところに形成される。さらに、コイルボディが、周囲の隙間から離間される通路を通して誘導され得る。この隙間がコイルボディとデバイスハウジングとの間の水平方向の最大の遊びを画定し、それによりデバイスハウジングがコイルボディのための水平方向止め部分として機能する。
【0023】
[0023]コイルボディの改良では、バーを基準として隆起している少なくとも1つのノブがバーの上に形成され、上記ノブが垂直方向の最大の遊びとして極磁片までの距離を画定し、したがって極磁片がコイルボディのための垂直方向止め部分として機能する。少なくとも1つの補強材がシャフト領域とバーとの間に形成されること、および少なくとも1つの補強材をピッタリ合うように装着するための凹部が極磁片上に形成され、したがって補強材および凹部がデバイスハウジングを基準としたコイルボディの耐歪曲性をもたらすこと、がさらに実現され得る。
【0024】
[0024]複数の機能を1つの単一構成要素に統合するデザインにより、設置される部品の数が低減される。したがって、コンパクトさの程度を低減するような追加の組立体または保護機構が本発明の直接測定システムのために提供される必要がない。
【0025】
[0025]直接測定システムの第1の実施形態では、制御可能な電気回路に電気的に一体化される少なくとも1つの平行な誘導部材が、互いから絶縁される2つの電流導体を有する。こうすることにより、コイルボディの1つの導体トラックが、それぞれ、少なくとも1つの平行な誘導部材の一方の電流導体に接続される。
【0026】
[0026]第2の実施形態では、直接測定システムが、制御可能な電気回路に電気的に一体化される2つの平行な誘導部材を有する。第1の変形形態では、コイルボディのそれぞれの1つの導体トラックが2つの平行な誘導部材のそれぞれの1つの連結部の電流導体に接続される。第2の変形形態では、2つの平行な誘導部材が導電性材料から完全に構成されるか、または少なくとも1つの導電性表面を有し、ここではコイルボディがその端部上にそれぞれの端部表面を有し、上記端部表面がそれぞれ、2つの導体トラックのうちの一方に電気的に接続される接点として形成され、上記端部表面を介してそれぞれの平行な誘導部材が制御可能な電気回路に接触して電気的に一体化される。
【0027】
[0027]本発明によると、回転軸に対して直角にシャフト領域の上側端部および下側端部のところに位置し、平行な誘導部材との接触を確立するために提供されるものである表面が、端部表面と表される。直接的な形および手法での、端部表面と平行な誘導部材との間の接触およびそれによる導電性接続部の確立により、複雑な配線およびはんだ付け作業が省略され得る。
【0028】
[0028]さらに、力補償装置がデバイスハウジングを有し、ここでは、平行な固定脚部および平行な可動脚部の両方が適切な打ち抜き孔によって形成され、上記平行な脚部が少なくとも1つの平行な誘導部分を介して接続される。第1の改良によると、平行な誘導部材がその平行な固定脚部のところで、電気絶縁接着剤によりデバイスハウジングに永続的に取り付けられるか、あるいは接着剤により電気絶縁中間層の上においてデバイスハウジングに永続的に取り付けられる。第2の改良では、平行な誘導部材がその平行な固定脚部のところでそれぞれの電気回路に永続的にはんだ付けされ、平行な誘導部材がそれぞれの回路基板の構成要素であり、次に回路基板がねじまたは接着剤によりデバイスハウジングに取り付けられる。この第2の改良は、回路基板が可撓性の導電ストリップを介して接続される単一部品の回路基板モジュールとして形成されるという程度で、改善され得る。
【0029】
[0029]平行な誘導部材がデバイスハウジングに直接に取り付けられることにより、部品の数はさらに大幅に最小限になる。回路基板または1つの回路基板モジュールが介在する形で使用される場合、より多くの数の構成要素が受け入れられなければならないが、それと引き換えに、組み立ての単純化に関してさらに改善されたデザインおよび平行な誘導部材とデバイスハウジングとの間での改善された機械的接続が得られる。その理由は、はんだ付けの接続部が接着の接続部より良好な耐久性を有するからである。直接測定システムの実際の組み立ての前に平行な誘導部材が回路基板または回路基板モジュールにはんだ付けされ得ることが非常に有利であるとみなされ得る。この場合、組み立て部位でのはんだ付け作業または接着作業が省略される。
【0030】
[0030]位置センサを備える直接測定システムの改良では、動作するように構成される状態において、位置センサが上側の平行な誘導部材の上または下側の平行な誘導部材の下に配置され得る。
【0031】
[0031]本発明による力測定デバイスの個々の細部が、図に示される例示の実施形態の説明により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】荷重レシーバと、動力伝達連結部と、平行な誘導機構と、力補償装置と、を備える直接測定システムを示す断面図である。
図2図2Aは組み立てられた状態の直接測定システムを示す斜視図である。図2Bは直接測定システムを示す分解図である。図2C図2Bの分解図の一部として回路基板モジュールを示す図である。
図3図3Aは単一部品のコイルボディとしての動力伝達連結部を示す斜視図である。図3Bは平面Eに沿う図3Aのコイルボディを示す断面図である。
図4図2Cの回路基板モジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0032]以下の説明では、同じ機能および同様のデザインを有する特徴には同じ参照符号が与えられる。
[0033]図1の直接測定システム100は断面図で示されており、荷重レシーバ101を有し、荷重レシーバ101が動力伝達連結部110を介して位置センサ170に接続される。荷重レシーバ101、力補償装置120のコイル122、さらには位置センサ170のシャッター羽根171が、力補償装置120のデバイスハウジング125を基準として正確に誘導される。これが平行な多部品誘導機構を介して行われ、平行な多部品誘導機構が2つの平行な誘導部材131、132を備え、2つの平行な誘導部材131、132の構造が図4によりより詳細に説明される。2つの平行な誘導部材131、132の平行な可動脚部137(図4を参照)が動力伝達連結部110のところに取り付けられ、対して平行な固定脚部136(図4を参照)がそれぞれの回路基板161、162により力補償装置120のデバイスハウジング125に堅固に接続される。
【0034】
[0034]この事例の力補償装置120は2つの永久磁石121から構成され、2つの永久磁石121の間に2つの部品からなる極磁片123が配置される。分割式の極磁片123がコイル122によって囲まれ、コイル122が上で言及した極磁片123とデバイスハウジング125のハウジングボディ126との間の空隙の中を移動する。この事例の動力伝達連結部は単一部品のコイルボディ110として形成され、したがって例えばEP1925919A1の図1および2に示されるように、単純な動力伝達連結部の機能とコイルボディの機能とを兼ね備えている。
【0035】
[0035]2つの平行な誘導部材131、132の各々が回路基板161、162に取り付けられ、回路基板161、162がさらに、力補償装置120のデバイスハウジング125のハウジングカバー127またはハウジングボディ125に接続される。この場合、直接測定システム100が、回路基板161、162と、平行な誘導部材131、132と、コイルボディ110との上に、適切な導体トラックおよび接点を有するように設計され、コイル122が制御可能な電気回路に電気的に接続されるようにする。このようにして、コイル電流がコイル122まで誘導され、直接測定システム100の固定領域と可動領域との間に追加的な機械的接続を確立するのを必要とすることなく、進路を変えられる。
【0036】
[0036]この事例で利用される荷重レシーバ101の位置の制御は光学スキャニングである。発光体172から放射されてシャッター羽根171のスロットを通る光が光受信器173に当たり、それによりシャッター羽根171および/または荷重レシーバ101の位置に対応する位置信号を発生させる。位置センサ170の信号は接続タブ174のところでアクセス可能である。
【0037】
[0037]温度センサ180が温度信号を提供し、温度信号が、荷重レシーバ101に作用する力を計算するときに熱の影響による偏差を補償するために、処理ユニット内で使用され得る。
【0038】
[0038]図2Aが、組み立てられた状態の直接測定システム100を斜視図で示している。図2Bおよび図2Cの分解図に示される構成要素を組み合わせた後、高い程度のコンパクトさを有する電磁力補償方式の直接測定システムが得られる。さらに、構成要素の数が明瞭である。その理由は、力補償装置120のデバイスハウジング125が同時に直接測定システム100の外側シェルを形成するからである。
【0039】
[0039]図2Bの分解図が図1の直接測定システム100を示している。永久磁石(図示せず)および極磁片123の下側部分が既にハウジングボディ126内に配置されている。この極磁片123が凹部124を有し、凹部124の中にコイルボディ110の補強材154(図3Aおよび3Bを参照)が着座するようになる。それにより、コイル122を備えるコイルボディ110が所定の手法で位置合わせされ、歪みから保護される。別の永久磁石(図示せず)および極磁片123の上側部分がハウジングカバー127の下側に取り付けられる。この極磁片123が同様に凹部を有することができる。ハウジングカバー127およびハウジングボディ126の各々が、コイルボディ110のための通路128を有し、それにより平行な誘導部材131、132(図2C)を接続する。
【0040】
[0040]ハウジングボディ126およびハウジングカバー127は磁力線を誘導することも意図されることから、ハウジングボディ126およびハウジングカバー127は磁石システムの一部とみなされるべきである。ハウジングボディ126およびハウジングカバー127が、強力で一様な磁界のために金属材料から製造される。コイル電流が供給されて少なくとも1つの平行な誘導部材131、132を介して誘導される場合、コイル電流がハウジングボディ126よび/またはハウジングカバー127から電気的に絶縁されなければならないことは明白である。
【0041】
[0041]図2Cに示される回路基板モジュール160がデバイスハウジング125の周りに配置され、ハウジングのねじ129によってデバイスハウジング125に永続的に接続される。回路基板161、162が、ハウジングボディ126からおよび/またはハウジングカバー127から、対応する平行な誘導部材131、132を絶縁する。コイルボディ110と平行な誘導部材131、132との接点のところのはんだ付けの接続部が、ここでは、力補償装置120内でのコイルボディ101の正確な誘導を行うのを保証する。
【0042】
[0042]シャッター羽根171が下側からコイルボディ110に取り付けられ、最終的に発光体172と光受信器173との間の光学軸のところにそれ自体で位置決めする。位置センサ170が下側からハウジングボディ125に取り付けられるように配置される
[0043]図3Aおよび図3Bが、単一部品のコイルボディ110として形成される同じ動力伝達連結部を示している。以下ではこれらが実質的に同時に説明される。コイルボディは、斜視図で一旦示され(図3A)、回転軸に沿って延在する平面Eを通る断面図で示されている(図3B)。
【0043】
[0044]コイルボディ110が、回転軸に沿って表面112の間にあるシャフト領域111を有し、上記シャフト領域がさらにバー150を介して巻線体119に接続される。分離して見ると、巻線体119がリング形状を有し、ここでは凹部を有する長方形の回転断面を有する。コイルワイヤが巻かれてこの円周状凹部内でコイルとなる(図1の122)。バー150がここではシャフト領域111の前方側112の間に対称に配置される。例えば巻線体119の上側端部または下側端部上にあるような他の構成も可能であり、ここでは、永久磁石121および極磁片123がこれに合うように適合される必要がある。
【0044】
[0045]ノブ151がバー150の上側表面および下側表面上に配置される。これらのノブ151がバー150を基準としてわずかに隆起する平行な表面を有し、上記表面が直接測定システムの組み立て状態において垂直方向の最大の遊びとして極磁片123までの距離を画定し、コイルボディ110が過度に変位することによりおよび/または過度に歪むことにより平行な誘導部材のところでダメージを受けることが一切なくなるようにする。コイルボディ110の歪曲に対しての保護のために、その両側において、4つの補強材154が、ここではシャフト領域110とバー150との間に形成される。組み立てられた状態では、これらの補強材154が極磁片123の凹部124の中に装着され、上記凹部が図1に関連して上で言及したものである。もちろん、図3Aおよび3Bに示されるものと同様に、他の構成および他の数の補強材154も考えられる。
【0045】
[0046]さらに、コイルボディ110の実施形態の図3Aおよび3Bが、絶縁された導電性トラック141、142を示している。第1の導体トラック141が、上側端部表面112から、シャフト領域111のシェル表面と、バー150の上側表面と、巻線体119の内側との上を延在し、巻線体119の上側の前方側の接触表面まで延在する。第2の導体トラック142が、同様の形および手法で、下側端部表面112から、巻線体119の下側の前方側の接触表面まで延在する。コイルワイヤの端部がこれらの2つの接触表面に取り付けられ、ここでは、平行な誘導部材に対して端部表面112が接触していることを介して、コイル122に電流が供給され得る。
【0046】
[0047]絶縁される導体トラック141、142の経路はバー150の同一の側に配置されてもよく、ここでは、バー150のこの側に位置している平行な誘導部材が互いから絶縁される2つの電流導体を有し、各導体トラック141、142が平行な誘導部材のそれぞれの電流導体に接続されるようにする。これらの電流導体のデザインはEP1925919A1で十分に説明されている。
【0047】
[0048]図4が、図2Cで既に示されている回路基板モジュール160を平面図で示している。導電ストリップ163を介して接続される上側回路基板161および下側回路基板162が、観察者の方を向く側において、互いに隣り合うように方向付けられ、組み立てられている状態では上記の側がデバイスハウジング125に接触する。回路基板161、162の各々が、それぞれの平行な誘導部材131、132を装着するための凹部を有し、ここでは、上側の平行な誘導部材131のみが図4に示されている。それぞれの平行な誘導部材が2つの電流導体を介して電流源に接続され、2つの電流導体が互いから絶縁されており、可撓性の導電ストリップ163および可撓性の電流供給ストリップ164を通って延びている。例えば温度センサ180または位置センサ170(共に図1)のための別の接点165、166が回路基板161、162および/または回路基板モジュール160に一体化され得る。この場合、信号が電流供給ストリップ164の端部のところでアクセス可能である。
【0048】
[0049]図4に示される上側の平行な誘導部材131により、次に、図1、2A、および2Cに示される平行な誘導部材のデザインを簡単に考察する。図4が上側の平行な誘導部材131の上面図を示しており、上側の平行な誘導部材131がここでは3つの螺旋状打ち抜き孔135を有し、コイルボディ110に接続され得る平行な可動脚部137と;デバイスハウジング125に接続され得る平行な固定脚部136と;平行な固定脚部および平行な可動脚部を接続する3つの平行な誘導部分138とが、上側の平行な誘導部材131を介する形で、形成される。このようにして、コイルボディ110が、図1に示されるように、デバイスハウジング125の通路128の中まで誘導される。
【0049】
[0050]EP1925919A1が、例えば、2つの導電性トラックを備える平行な誘導部材;導体トラックを形成するために導電性材料を加えられる電気絶縁体からの平行な誘導部材;または、U形の打ち抜き孔を有する平行な誘導部材、などの、平行な誘導部材の別の考えられるデザインを同様に示している。コイルボディおよび平行な誘導部材の実施形態の上で説明した要素は、コイルの端部を制御可能な電気回路に電気的に接続することのみを条件として、任意の形および任意の手法で互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0050】
100 (電磁力補償方式の)直接測定システム
101 荷重レシーバ
110 コイルボディ/動力伝達連結部
111 シャフト領域
112 端部表面/接点
119 巻線領域
120 力補償装置
121 永久磁石
122 コイル
123 極磁片
124 凹部
125 デバイスハウジング
126 ハウジングボディ
127 ハウジングカバー
128 通路
129 ハウジングのねじ
131 上側の平行な誘導部材
132 下側の平行な誘導部材
135 打ち抜き孔
136 平行な固定脚部
137 平行な可動脚部
138 平行な誘導部分
141 第1の導体トラック
142 第2の導体トラック
150 バー
151 ノブ
154 補強材
160 回路基板モジュール
161 上側回路基板
162 下側回路基板
163 可撓性の導電ストリップ
164 電流供給ストリップ
165 温度センサのための電気接点
166 位置センサのための電気接点
170 位置センサ
171 シャッター羽根
172 発光体
173 光受信器
174 接点との接続タブ
180 温度センサ
図1
図2
図3
図4