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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】計量カップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/26 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B65D41/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020015455
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123346
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-099322(JP,A)
【文献】特開2006-206094(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058143(JP,U)
【文献】特開2009-227307(JP,A)
【文献】特開2018-090279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部(6)を有する容器部(2)と、
前記口頸部(6)の上方に位置させて、前記容器部(2)に対して取り付けられた上面開口で有底の受筒(22)を有する受け部材(20)と、
前記受筒(22)内に着脱自在に嵌合され、かつ一部に連通孔(64)を有する計量カップ(50)と
を具備し、
前記連通孔(64)から前記受筒(22)の底壁(26)を貫通して前記容器部(2)側へ延びる通液路(P)を形成しており、
前記受け部材(20)は、前記計量カップ(50)の外周面の一部に離接可能に当接させた係合板(40)を有し、前記外周面の一部と前記係合板(40)の対向面とに相互にかみ合う凹凸状の係合手段(E)を形成し、
かつ前記係合板(40)と連設した操作片(43)を操作することにより、前記かみ合いを解除できるように設けており、
前記操作片(43)を、前記係合板(40)から当該係合板(40)の下端付近に位置する回転軸(A)より下方へ垂設させた計量カップ付き容器において、
前記受筒(22)の筒周壁(24)を、前記底壁(26)の周端から起立した保持筒部(24a)と、前記底壁(26)の周端から垂下した脚筒部(24b)とで形成するとともに、
当該筒周壁(24)に、前記保持筒(24a)から前記脚筒部(24b)の下端に亘って切溝(46A)を設けることにより、前記係合板(40)を、前記保持筒(24a)のうちで前記切溝(46A)の内側の部分で、また前記操作片(43)を、前記脚筒部(24b)のうちで前記切溝(46A)の内側の部分で、それぞれ形成しており、
かつ、側外方から見て、前記係合板(40)及び前記操作片(43)に連続する前記底壁(26)の端部を薄肉部(47)に形成し、この薄肉部(47)を前記回転軸(A)として前記係合板(40)及び前記操作片(43)の回転が可能に設けられていることを特徴とする、計量カップ付き容器。
【請求項2】
前記係合板(40)の下端付近から、前記計量カップ(50)の底板(58)に沿って、当該底板押し上げ用の押圧板(48)を突設させたことを特徴とする、請求項に記載の計量カップ付き容器。
【請求項3】
前記容器部(2)は、弾性圧搾可能な胴部(5)から前記口頸部(6)を起立する容器体(4)であり、
前記計量カップ(50)の底板(58)から立設した起立筒(60)の上端に前記連通孔(64)を開口させるとともに、
この連通孔(64)内に、下降位置で当該連通孔(64)を閉塞するとともに上昇位置で前記連通孔(64)を開放する弁体(80)を昇降可能に嵌挿し、
前記計量カップ(50)の上面を開閉自在な蓋体(70)を設け、その閉蓋状態で、下降位置にある前記弁体(80)の上面に前記蓋体(70)が当接するように構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の計量カップ付き容器。
【請求項4】
前記容器部(2)は、前記口頸部(6)を有する容器体(4)と、当該口頸部(6)に装着されたポンプ(10)とで形成されるポンプ容器であり、
前記ポンプ(10)は、前記口頸部(6)の上端から前記容器体(4)内へ垂設されたシリンダ(11)と、このシリンダ(11)内に上方付勢状態で挿入されるとともに、前記シリンダより上方へ突設するステム(18)を有する作動部材(16)とを備えており、
前記ステム(18)の上端に前記受け部材(20)を連結したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の計量カップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量カップ付き容器、特に調味料や洗口剤の計量に適した計量カップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、圧搾可能な胴部から口頸部を起立する容器体と、
前記口頸部に嵌合した装着筒の上端から内向きフランジを突出するとともに、前記装着筒の上端から保持筒を起立したキャップ状部材と、
前記内向きフランジの内周側から容器体内に垂下する通液パイプと、
前記保持筒内に着脱可能に嵌合された有底の計量カップと、
計量カップの上面を覆って保持筒の外面に嵌合された蓋体とを具備し、
前記内向きフランジの内周端から、前記計量ノズルの底壁を貫通して計量カップの上部まで起立する通液筒を形成したものが知られている(特許文献1)。
この容器を使用するときには、容器体の胴部を圧搾させて容器体内の液体を通液パイプ及び通液筒を介して計量カップ内に圧入させる。次に計量カップの筒壁に付された計量目盛りを目視しながら、所要量の液体を計量カップ内に計量する。そして、計量カップを保持筒内から引き上げ、この計量カップから外部に注出すれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-90279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器においては、前記保持筒内に計量キャップを緩めに嵌合させると、他物との衝突などにより不意に計量カップが保持筒から外れてしまう可能性があり、他方、計量カップをきつめに嵌合させると、保持筒から計量カップを引き出すのに大きな力が必要となるおそれがある。
また計量カップから内容液を注出した後に保持筒内に計量カップを嵌合するときにも、同様に大きな力が必要となり、計量カップの着脱が容易ではないという不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、受け部材への着脱が容易な計量カップ付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、口頸部6を有する容器部2と、
前記口頸部6の上方に位置させて、前記容器部2に対して取り付けられた上面開口で有底の受筒22を有する受け部材20と、
前記受筒22内に着脱自在に嵌合され、かつ一部に連通孔64を有する計量カップ50と
を具備し、
前記連通孔64から前記受筒22の底壁26を貫通して前記容器部2側へ延びる通液路Pを形成しており、
前記受け部材20は、前記計量カップ50の外周面の一部に離接可能に当接させた係合板40を有し、前記外周面の一部と前記係合板40の対向面とに相互にかみ合う凹凸状の係合手段Eを形成し、
かつ前記係合板40と連設した操作片43を操作することにより、前記かみ合いを解除できるように設けており、
前記操作片43を、前記係合板40から当該係合板40の下端付近に位置する回転軸Aより下方へ垂設させた計量カップ付き容器において、
前記受筒22の筒周壁24を、前記底壁26の周端から起立した保持筒部24aと、前記底壁26の周端から垂下した脚筒部24bとで形成するとともに、
当該筒周壁24に、前記保持筒24aから前記脚筒部24bの下端に亘って切溝46Aを設けることにより、前記係合板40を、前記保持筒24aのうちで前記切溝46Aの内側の部分で、また前記操作片43を、前記脚筒部24bのうちで前記切溝46Aの内側の部分で、それぞれ形成しており、
かつ、側外方から見て、前記係合板40及び前記操作片43に連続する前記底壁26の端部を薄肉部47に形成し、この薄肉部47を前記回転軸Aとして前記係合板40及び前記操作片43の回転が可能に設けられている。
【0007】
本手段は、図1及び図5に示すように、上面開口で有底の受筒22内に着脱自在に計量カップ50を嵌合させ、この計量カップと容器部2とを連通させた容器において、計量カップ50の外周面の一部に離接可能に当接させた係合板40を有している。
また前記外周面の一部と係合板40の対向面とに相互にかみ合う凹凸状の係合手段Eを形成し、かつ前記係合板40と連設した操作片43を操作することにより(図3(B)及び図8(C)参照)、前記かみ合いを解除できるように設けている。
この構造によれば、簡単な操作により計量カップ50を受筒22から取り外すことができ、受筒22に対する計量カップ50の着脱が容易である。
また本手段では、図2(B)及びに図6(B)に示す如く前記係合板40及び前記操作片43は、前記受筒22の筒周壁24に穿設した切溝46A内に形成されている。
また係合板40は、側外方から見て、当該受筒22の底壁26の端部で形成する薄肉部47である回転軸Aの回りを回転可能に設けられている(図3(B)及び図8(C)参照)。
さらにまた、操作片43は、前記係合板40から下方へ延設している。
この構造によれば、テコの原理を利用して計量カップ50を容易に取り外すことができる。
【0010】
の手段は、第1の手段有し、かつ前記係合板40の下端付近から、前記計量カップ50の底板58に沿って、当該底板押し上げ用の押圧板48を突設させた。
【0011】
本手段では、図5に示す如く、前記係合板40の下端付近から、前記計量カップ50の底板58に沿って、当該底板押し上げ用の押圧板48を突設させている。
この構成によれば、図8(C)に示すように、押圧板48による底板58の押し上げ作用により、計量カップ50をさらに容易に取り外すことができ、また片手でも簡単に取り外すことができる。
【0012】
の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記容器部2は、弾性圧搾可能な胴部5から前記口頸部6を起立する容器体4であり、
前記計量カップ50の底板58から立設した起立筒60の上端に前記連通孔64を開口させるとともに、
この連通孔64内に、下降位置で当該連通孔64を閉塞するとともに上昇位置で前記連通孔64を開放する弁体80を昇降可能に嵌挿し、
前記計量カップ50の上面を開閉自在な蓋体70を設け、その閉蓋状態で、下降位置にある前記弁体80の上面に前記蓋体70が当接するように構成した。
【0013】
本手段では、図1に示す如く、容器部2はスクイズ式の容器体であり、また計量カップ50の底板58から立設した起立筒60の上端に連通孔64を開口させ、この連通孔64に弁体80を昇降可能に嵌挿している。
当該弁体は、下降位置で連通孔64を閉塞するとともに上昇位置で連通孔64を開放するように形成している。そして計量カップ50の上端面を蓋体70で閉塞しており、かつ弁体80が下限位置にある状態で、前記蓋体70が弁体80の上面に当接している。
この構成によれば、蓋体の閉蓋状態で計量室内に埃が入ることを防止することができる。また例えば誤って容器体を倒したりしても、容器体内の液体が計量室内に入ることもない。
【0014】
の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記容器部2は、前記口頸部6を有する容器体4と、当該口頸部6に装着されたポンプ10とで形成されるポンプ容器であり、
前記ポンプ10は、前記口頸部6の上端から前記容器体4内へ垂設されたシリンダ11と、このシリンダ11内に上方付勢状態で挿入されるとともに、前記シリンダより上方へ突設するステム18を有する作動部材16とを備えており、
前記ステム18の上端に前記受け部材20を連結した。
【0015】
本手段では、容器部2は、図5に示す如く、ポンプ10を備えた容器であり、ポンプ10は、シリンダ11内に上方付勢状態で挿入されるとともに、シリンダより上方へ突設するステム18を有する作動部材16を備えており、前記ステム18の上端に受け部材20を連結している。
この構造によれば、図8(B)に示す如く、計量カップ50を摘んで、前記作動部材16に対する上方付勢力に抗して押し下げることにより、ポンプ10の作用を利用して、計量カップ50内に液体を供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば計量カップ50の外周面の一部に離接可能に当接させた係合板40を有し、前記外周面の一部と係合板40の対向面とに相互にかみ合う凹凸状の係合手段Eを形成し、かつ係合板40と連設した操作片43を操作することにより、前記かみ合いを解除できるように設けたから、受筒22に対する計量カップ50の着脱が容易である。
また第の手段に係る発明によれば、前記係合板40及び前記操作片43は、前記受筒22の筒周壁24に穿設し切溝46A内に形成され、受筒22の底壁26の端部で形成する薄肉部47である回転軸Aの回りを回転可能であるから、テコの原理を利用して計量カップ50を容易に取り外すことができる。
の手段に係る発明によれば、前記係合板40の下端付近から、前記計量カップ50の底板58に沿って、底板押し上げ用の押圧板48を突設させたから、押圧板48による底板58の押し上げ作用により、計量カップ50をさらに容易に取り外すことができ、また片手操作で簡単に取り外すことができる。
の手段に係る発明によれば、計量カップ50の底板58から起立筒60を立設し、起立筒上端の起立筒60の上端の連通孔64に弁体80を昇降可能に嵌挿し、蓋体の閉蓋状態で、弁体80の上面に蓋体70を当接させたから、計量室内に埃が入ることを防止することができ、また容器体内の液体が計量室内に入ることもない。
の手段に係る発明によれば、前記ポンプ10は、シリンダ11内に上方付勢状態で挿入されるとともに、ステム18を上方へ突設する作動部材16を備えており、前記ステム18の上端に受け部材20を連結したから、計量カップ50を摘んで押し下げることにより、ポンプ10の作用を利用して、計量カップ50内に液体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る計量カップ付き容器を正面方向から見た断面図である。
図2図1の容器の主要部の拡大図であり、同図(A)は側方から見た断面図、同図(B)は側面図である。
図3図1の容器の使用状態の説明図であり、同図(A)は蓋体を開蓋した状態を示す図、同図(B)は計量カップを取り外して使用する態様での操作を示す図、同図(C)は計量カップを取り外さずに液体を注出する態様の説明図である。
図4】計量カップを取り外して使用する使用の態様での要部(弁体)の説明図であり、同図(A)は弁体が蓋体の栓筒により保持された状態を示す図、同図(B)は弁体が栓筒により引き上げられた状態を示す図、同図(C)は弁体が起立筒により突き上げられた状態を示す図、同図(D)は弁体が栓筒から離脱した状態を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る計量カップ付き容器を正面方向から見た断面図である。
図6図5の容器の主要部の拡大図であり、同図(A)は側方から見た断面図、同図(B)は側面図である。
図7図5の容器の各要部の拡大図であり、同図(A)は計量カップの側方から見た半断面図、同図(B)は受け部材の平面図である。
図8図5の容器の使用状態の説明図であり、同図(A)は受け部材及び計量カップを上昇させるとともに蓋体を開蓋した状態を示す図、同図(B)は受部材を引き下げた状態を示す図、同図(C)は受け部材から計量カップを取り外す操作の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図4は、本発明の第1実施形態に係る計量カップ付き容器を示している。
この計量カップ付き容器は、容器部2と、受け部材20と、計量カップ50と、蓋体70と、弁体80とを具備する。これら各部材は、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0019】
容器部2は、本実施形態では、スクイズ式の容器体4で形成している。この容器体は、弾性圧搾可能な胴部5から口頸部6を起立している。
【0020】
受け部材20は、前記計量カップを収納する上面開口で有底の受筒22を有する。
受筒22は、図2(A)に示す如く、筒周壁24と底壁26とからなり、この底壁26の下面から垂下する連結筒36を、前記口頸部6に連結させている。図示例の連結筒36は、内筒部36aと外筒部36bとからなる2重筒に形成し、これら両筒部の間に前記口頸部6を挟持させている。
また図示の筒周壁24は、前記底壁26の周端から起立した保持筒部24aと、前記底壁26の周端から垂下した脚筒部24bとからなる。
もっともこれらの構造は、適宜変更することができる。
前記筒周壁24には、図1に示す如く、係合板40及び操作片43を含む一対の回転部位Rが設けられているが、これについては、後述する。
前記底壁26の中心部には貫通孔27を穿設し、この貫通孔27の周縁から通液筒28を起立している。
通液筒28の内面の上端部には、図2に示す如く、前記弁体80の動きを規制するための環状の当接用リブ28aが周設されている。
また通液筒28の下半部内からは、通液パイプ38が容器体4の底部側へ垂下されている。
この通液パイプ38の上端は、通液筒28の中間部内面に周設された係止用突部28bに突き当てられている。
通液筒28及び通液パイプ38の各内部で容器体4から前記計量カップ50の内部への通液路Pを形成している。
【0021】
計量カップ50は、計量筒51の下端に底板58を付設させてなり、前記受筒22内に挿入されている。
本実施形態では、前記計量筒51は、前記保持筒部24aより背高に形成され、計量筒51の下半部を前記保持筒部24a内に嵌着させている。
また計量筒51の上半部は大外径部52に形成されており、前記保持筒部24aの上端面を大外径部52の下面に突き当てている。
また前記計量筒51の上端面には、その内周側から上方へ突出するシール筒54と、シール筒54を囲む嵌合突条55とが付設されている。
前記計量筒51の底板58は、前記受筒22の底壁26の上に載置されている。当該底板58は、受筒22の底壁26の形状に対応したリング板状に形成されている。
このリング板の内縁からは、前記通液筒28を囲むように起立筒60が立設されている。図示例では、これら起立筒60及び通液筒28は、計量カップ50内に形成される計量室Cの上部まで延びている。
前記通液筒28の上端部内面には、環状の内リブ62が周設されている。この内リブ62の下面には、前記通液筒28の上端が当接されている。
前記内リブ62の内側には、容器体4の内部と計量室Cとを連通させるための連通孔64が形成されている。
【0022】
蓋体70は、前記計量カップ50の上面開口を閉塞している。
図示例では、前記蓋体70は、図2(A)に示すように、蓋板72の周端から蓋周壁73を垂下している。
この蓋周壁の後部は、ヒンジ部74を介して前記計量筒51の上端に連結されている。
なお、本明細書では、便宜的に、図2(A)の左側を“前”と、同図の右側を“後”と、図面に直交する方向を“左右”と称するものとする。
前記蓋周壁73の内周面には前記嵌合突条55が嵌合されている。
また前記蓋板72の外周部からは、前記蓋周壁73の内側に配置させた被シール筒75を垂下している。この被シール筒75は、前記シール筒54に密着させている。
また前記蓋板72の前端からは、指掛け片79を前方へ突設している。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
また前記蓋板72の下面中央部からは、前記弁体80を引上げるための栓筒78を垂下させている。
【0023】
弁体80は、前記連通孔64に対して昇降可能に挿入されており、下降位置で閉孔するとともに上昇位置で開孔するように形成されている。
前記蓋体70の閉蓋状態において、前記弁体80の上面は前記蓋板72の下面に当接されている。これにより、前記弁体80は下降位置に保持されるから、前記蓋体70を開蓋しない限り、前記容器体4と前記計量室Cとが連通することはない。
本実施形態では、前記弁体80は、水平な弁板82と、この弁板82から垂下する弁棒86とで形成している。
前記弁板82は、前記起立筒60の上端面に載置されており、図1の閉蓋状態において、前記栓筒78内に嵌着されている。
また前記弁棒86は前記連通孔64から通液筒28内へ挿入されている。
図示例の弁棒86は、図2に示す如く、その上部86a及び下部86cに比べて上下方向の中間部86bが小径に形成されている。
前記弁棒86の上部86aは、連通孔64の閉鎖部である。閉鎖部86aは、蓋体70が閉じられた状態において、図4(A)に示す如く、連通孔64内に液密に嵌合される。
前記弁棒86の下部86cは、前記通液筒28の当接用リブ28aからの抜止め部である。もっとも、この抜止め部86cは、図3(B)に示す如く、前記受筒22から計量カップ50を引き上げるときには、前記当接用リブ28aからの無理抜きが可能となるように、当該当接用リブ28aよりやや大外径に形成されている。
前記中間部86bには、前記連通孔64の孔縁に接する複数の案内用リブ88が形成されている。この案内用リブ88は、前記当接用リブ28aの内周縁に近接されており、図4(B)及び図4(C)に示す如く、前記弁体80が側方に大きくブレないように当該弁体の上下動をガイドしている。
【0024】
本実施形態において、前記受け部材20は、計量カップ50を前記受け部材20から容易に取り外すための機構として、図1に示す如く、係合板40及び操作片43からなる回転部位Rを有する。
前記係合板40は、前記計量カップ50の外周面の一部に当接されており、この当接位置と当該外周面の一部から離れた位置との間を移動(図示例では回動)することが可能に形成されている。
また外周面の一部と係合板40の内面とに相互にかみ合う凹凸状の係合手段Eが形成されている。本実施形態では、前記係合板40には係合凹部42(図示例では係合孔)を、計量カップ50には係合凸部56をそれぞれ形成している。しかしながら、係合板40に係合凸部を、また計量カップに係合凹部(窪み)を設けてもよい。
また操作片43は前記係合板40と連設されており、この操作片43を操作することにより、計量カップ50の外周面への係合板40の当接・離脱を可能としている。
前記操作片43の下部外面には指当て突条44が付設されている。
本実施形態では、図2(B)に示す如く、前記筒周壁24の左右両部において、前記保持筒部24aの下半部から脚筒部24bの下端に亘って、側方から見て逆U字形の第1切溝46Aを穿設している。
“逆U字形”とは、同様の機能を実現できる他の形状を含むものとし、例えばコ字形であっても良い。
この第1切溝46A内の筒周壁部分が前記底板58の端部を中心として回転できるように、当該端部を回転軸Aである薄肉部47に形成している。
そして第1切溝46A内の筒周壁部分(回転部位R)のうちで回転軸Aより上方の部分を、係合板40とし、回転軸Aより下方の部分を操作片43としている。
図示例では、受け部材20の左右両側に一対の係合板40及び一対の操作片43を設けている。
【0025】
前記構成において、図1の状態から蓋体70を開蓋すると、弁体80は、図4(B)に示すように前記栓筒78により引き上げられる。これにより、前記閉鎖部86aが連通孔64から引き抜かれ、連通孔64が開放されるので、液体の吐出が可能となる。
この状態で、前記容器体4の胴部5を圧搾すると、図3(A)に示すように、容器体4内の液体が前記通液路Pを通って、連通孔64より計量カップ50内へ流入する。
計量カップ50内の液体が所要の量に達したときには、圧搾操作を停止する。
次に、図3(B)に示すように、一対の操作片43を内方へ押し込むと、回転軸Aを中心として、一対の係合板40が側外方へ回転し、係合凹部42と係合凸部56とのかみ合いが解消される。
これにより、この状態で一対の摘み部53を摘持して計量カップ50を引き上げると、前記受筒22から計量カップ50を片手で容易に引き抜くことができる。
なお、前記計量カップ50の引き上げに伴い、前記弁体80は、図4(C)に示すように、前記起立筒60の上端が前記弁板82の裏面に突き当たることにより押し上げられる。
同図の状態から弁体80がさらに押し上げられると、図4(D)に示す如く、前記抜止め部86cが前記当接用リブ28aから外れて、計量カップ50が受筒22から離脱する。
この状態で計量カップ50から内容物を注出すればよい。
注出作業が終わったときには、前記計量カップ50を前記受筒22内に嵌入させる。そうすると、弁棒86が連通孔64から当接用リブ28aの内部へ挿入される。
次に蓋体70を閉じると、蓋体70が弁板82の上面を押し下げ、前記閉鎖部86aが連通孔64内へ密嵌される。
なお、図3(C)に示すように、前記受筒22に計量カップ50を嵌合させた状態のままで内容液を外部へ注出することもできる。
また計量カップ50を受筒22に対して着脱可能とすることにより、使用後の洗浄が容易に行え、清潔な状態を維持することが可能である。
【0026】
以下、本発明の他の実施形態に係る計量カップ付き容器を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成に関しては解説を省略する。
【0027】
図5から図8は、本発明の第2実施形態に係る計量カップ付き容器を示している。本実施形態は、容器部2の構成としてポンプ容器を採用するとともに、第1実施形態の弁体80を省略し、さらに係合板及び操作片を含む回転部位Rの構成を変更したものである。
【0028】
ポンプ容器は、容器体4の口頸部6に装着したポンプ10を有する。なお、容器体はスクイズ式であることを要しない。
前記ポンプ10は、従来公知の構造であり、シリンダ11と作動部材16とを具備する。
前記シリンダ11は、前記口頸部6に装着された装着キャップ8から容器体4内へ垂設されている。
また前記作動部材16は、前記シリンダ11内に昇降自在かつ上方付勢状態で下部を挿入させるとともに、上方へ突出するステム18を有する。
前記ステム18には受け部材20の適所(後述の垂下筒部32)に連結されている。
前記受筒22の適所(図示例では脚筒部の前後両側)からは、図6(A)に示す如く、一対の指掛け部25を外方へ突設している。これら一対の指掛け部25に指を掛けて引き下げると、作動部材16を下降させることができる。
そして作動部材16の上下動により、容器体4内の液体が第1逆止弁(図示せず)を介してシリンダ11内に吸い上げられるとともに、第2逆止弁(図示せず)を介してステム18から計量室C側へ吐出される。
【0029】
また前記ポンプ10は、前記シリンダ11から上向きに延びる延長部分11aに固定された補助部材13を具備する。
この補助部材13は、前記シリンダ11からの作動部材16の抜け出しを防止する機能を有する。
補助部材13は、前記シリンダ11の内部から上方へ延びる縦筒部13aを有する。
縦筒部13aの上半部分外面には、前記受筒22と螺合させるための雄ネジ14が形成されている。
【0030】
前記受け部材20は、その底壁26のうち貫通孔27の周りの部分(内周部)を上方へ段差状に隆起させることにより、この隆起部分の内側に、前記補助部材13を挿入させるための挿入凹部34を形成している。
この挿入凹部34の寸法(内径及び深さ)は、前記補助部材13の輪郭に対応させて設計するものとする。
前記挿入凹部34の内周面には、前記雄ネジ14とかみ合う雌ネジ35を形成する。
また前記計量カップ50の底板58の内周部には、前記底壁26の内周部の形状に対応した隆起部66を形成している。
また受け部材20は、前記貫通孔27から、前記ステム18と嵌合する垂下筒部32を垂設している。
また、図示例では、図6(A)に示す如く、前記筒周壁24の上半部(保持筒部24a)を、第1実施形態のそれよりも高く、すなわち、計量筒51と同程度の高さに形成している。そして、この保持筒部24aの左右両部に、図6(B)に示すように、前記係合板40の上側に位置させて矩形の切欠きnを穿設している。
また計量筒51は、その上半部を大外径部に形成する代わりに、図5に示すように、計量筒51の左右両側に一定の厚み(図示例では筒周壁24の壁厚と同程度の厚み)で側外方へ突出する摘み部53を設け、この摘み部53を前記切欠きn内に嵌合させている。
【0031】
前記通液筒28の上端部は、第1実施形態の構造(上方への開口部の内面に当接用リブ28aを周設した構造)に代えて、図6(A)に示すように、上端閉塞で側方へ開口する円錐台形の端部である第1錐台状端部29に形成している。
第1錐台状端部29のテーパ状部分には、複数の通液孔30が開口されている。
また起立筒60の上端部は、第1錐台状端部29の外面に沿った形状の第2錐台状端部63に形成している。
第2錐台状端部63のテーパ状部分には、前記連通孔64を開口させている。
これら第1錐台状端部29及び第2錐台状端部63の構造により、前記ポンプ10から通液筒28を通って圧送された液体を側方へ方向転換させ、連通孔64を介して計量カップ50内へ導くことができる。
前記栓筒78は、第2錐台状端部63より下側で前記起立筒60の外面上部に嵌合させている。第2錐台状端部63及び第1錐台状端部29を円錐台状に形成しているのは、前記起立筒60に対する栓筒78の着脱を円滑とするためである。
【0032】
次に回転部位Rの構造について説明する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、図6(B)に示す如く、前記保持筒部24aの下半部から前記脚筒部24bの下端まで逆U字形の第1切溝46Aを形成している。
そして、第1切溝内の筒周壁部分のうちで底壁26の上方の部分を係合板40とするとともに、底壁26の下方の部分を操作片43としている。
また本実施形態では、前記底壁26のうちで係合板40に隣接する箇所に、図7(B)に示す如く、上方から見て略U字形の第2切溝46Bを穿設している。
この第2切溝46Bは、前記底壁26の内周部から外周側に向かって側外方(図示例では前後方向)へ延び、その先端部は第1切溝に連続している。
もっとも側外方へ延びる部分のうちで回転軸Aと交差する部分は、穿設せずに、橋絡部bとしている。図示例では、前記回転軸Aは左右方向に延びている。
そして上方から見て第2切溝46Bの内側の底壁部分を、押圧板48としている。本実施形態では、図5に示す如く、押圧板48と前記係合板40と操作片43とで回転部位Rを形成している。
前記橋絡部bは、上方から見て第2切溝46Bの外側の底壁部分と回転部位Rとを連続する部分であり、図5に点線で示す如く、回転部位Rが回転できる程度に薄肉に形成されている。
【0033】
前記構成において、図5の状態から、前記受け部材20を開方向へ回転させると、図8(A)に示すように、前記挿入凹部34を補助部材13から螺脱させることができる。
次に前記蓋体70を開蓋させると、前記栓筒78が起立筒60から外れ、前記連通孔64が開放される。
この状態で、前記一対の指掛け部25に指を掛けて押し下げると、作動部材16が下降する。そして作動部材16を上下動させることにより、容器体4の液体がポンプ10の作用により通液筒28及び連通孔64を経て計量カップ50内へ供給される。
計量カップ50内の液体の量が所要量に達したのを確認して、ポンプ10の操作を終了する。そして操作片43を内方へ押し込むと、係合板40が外方へ回転して、係合凹部42と係合凸部56とのかみ合いが解除されるとともに、押圧板48が計量カップ50の底板58を押し上げる。
次に、計量カップ50を引き上げることにより、受筒22内から計量カップ50を離脱させることができる。
そして、計量カップ50内の液体を使用することができる。
計量カップ50内の液体を使い終わったら、前記受筒22内に計量カップ50を再び嵌合し、さらに蓋体70を閉じると、図5の状態に戻る。
【符号の説明】
【0034】
2…容器部 4…容器体 5…胴部 6…口頸部 8…装着キャップ
10…ポンプ 11…シリンダ 11a…延長部分
13…補助部材 13a…縦筒部 14…雄ネジ
16…作動部材 18…ステム
20…受け部材 22…受筒 24…筒周壁 24a…保持筒部 24b…脚筒部
25…指掛け部 26…底壁 27…貫通孔
28…通液筒 28a…当接用リブ 28b…係止用突部 29…第1錐台状端部
30…通液孔 32…垂下筒部 34…挿入凹部 35…雌ネジ
36…連結筒 36a…内筒部 36b…外筒部 38…通液パイプ
40…係合板 42…係合凹部(係合孔) 43…操作片 44…指当て突条
46A…第1切溝 46B…第2切溝 47…薄肉部 48…押圧板
50…計量カップ 51…計量筒 52…大外径部 53…摘み部 54…シール筒
55…嵌合突条 56…係合凸部
58…底板 60…起立筒 62…内リブ 63…第2錐台状端部
64…連通孔 66…隆起部
70…蓋体 72…蓋板 73…蓋周壁 74…ヒンジ部
75…被シール筒 78…栓筒 79…指掛け片
80…弁体 82…弁板 86…弁棒 86a…上部(閉鎖部) 86b…中間部
86c…下部(抜止め部) 88…案内用リブ
A…回転軸 b…橋絡部 C…計量室 E…係合手段 n…切欠き P…通液路
R…回転部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8