(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】AVアンプ装置
(51)【国際特許分類】
H04S 3/00 20060101AFI20240220BHJP
H04S 1/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04S3/00
H04S1/00
(21)【出願番号】P 2020031291
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】今濱 由晴
(72)【発明者】
【氏名】谷 俊一
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103627(WO,A1)
【文献】特開2007-104159(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3594947(EP,A1)
【文献】国際公開第2021/124903(WO,A1)
【文献】特表2015-518171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00- 7/02
G10H 1/00- 7/12
G10K 15/00-15/12
G10L 19/00-99/00
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ信号を出力するAVアンプ装置において、
デジタルデータを入力する入力部と、
ユーザからの再生指示を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けたユーザからの再生指示に応じて前記入力部が入力したデジタルデータをサーバインターフェース部に出力するかDSPに出力するかを切り替える切替部と、
前記切替部が出力したデジタルデータを2チャンネル信号に処理して出力するDSPと、
前記切替部が出力したデジタルデータをネットワークを介してサーバに送信し、前記サーバからオーディオ信号を受信するサーバインターフェース部と、
前記サーバインターフェース部が受信したオーディオ信号及び前記DSPが出力したオーディオ信号を再生するオーディオ再生部と、
前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号をスピーカに出力する出力部と、
前記操作部が受け付けたユーザからの再生指示に応じて前記切替部及び前記サーバインターフェース部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、ユーザから2チャンネルオーディオ再生が指示された場合、前記入力部が入力したデジタルデータを前記DSPに出力するよう前記切替部を制御し、ユーザからマルチチャンネルオーディオ再生が指示された場合、前記入力部から出力されたデジタルデータを前記サーバインターフェース部に出力するよう前記切替部を制御し、ネットワークを介して前記サーバに送信すると共に前記サーバがデジタルデータを処理したマルチチャンネルオーディオ信号を受信して前記オーディオ再生部に出力するよう前記サーバインターフェース部を制御することを特徴とするAVアンプ装置。
【請求項2】
請求項1記載のAVアンプ装置において、
前記サーバインターフェース部が前記サーバから受信するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態を監視する通信状態判別部とを備え、
前記制御部は、前記サーバインターフェース部が前記サーバからマルチチャンネルオーディオ信号を受信している場合に、前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態が悪化したと判断した場合、前記入力部に入力されたデジタルデータを前記DSPに出力するよう前記切替部を制御することを特徴とするAVアンプ装置。
【請求項3】
請求項2記載のAVアンプ装置において、
前記制御部は、前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するオーディオ信号の入力状態が悪化したと判断して前記入力部に入力されたデジタルデータをDSPに出力するよう前記切替部を制御した後に前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったと判断した場合、前記入力部に入力されたデジタルデータを前記サーバインターフェース部に出力するよう前記切替部を制御することを特徴とするAVアンプ装置。
【請求項4】
請求項2記載のAVアンプ装置において、前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号を一時的に記憶し、記憶したオーディオ信号を前記制御部からの指示に応じて前記出力部に出力するバッファ部を備え、
前記制御部は、マルチチャンネルオーディオ再生から2チャンネルオーディオ再生に切り替えを行う場合、前記出力部から出力されているオーディオ信号の出力が途切れないように前記バッファ部に蓄積されているマルチチャンネルオーディオ信号を出力しながらマルチチャンネルオーディオ再生から2チャンネルオーディオ再生に切り替えるよう前記バッファ部及び前記出力部を制御することを特徴とするAVアンプ装置。
【請求項5】
請求項3記載のAVアンプ装置において、前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号を一時的に記憶し、記憶したオーディオ信号を前記制御部からの指示に応じて前記出力部に出力するバッファ部を備え、
前記制御部は、2チャンネルオーディオ再生からマルチチャンネルオーディオ再生に切り替えを行う場合、前記出力部から出力されているオーディオ信号の出力が途切れないように前記バッファ部に蓄積されている2チャンネルオーディオ信号を出力しながら2チャンネルオーディオ再生からマルチチャンネルオーディオ再生に切り替えるよう前記バッファ部及び前記出力部を制御することを特徴とするAVアンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2チャンネルまたはマルチチャンネルのオーディオ信号を出力するAVアンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のステレオ2チャンネルのオーディオを出力するAVアンプ装置に加えて、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されたマルチチャンネルのデジタル音声信号を再生するプレーヤと接続し、当該プレーヤから出力されたマルチチャンネルのデジタル信号をチャンネル毎に増幅するAVアンプ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前述したマルチチャンネルのデジタル信号は、一般的に、フロント左チャンネル(以下、Lチャンネルという。)、センターチャンネル(以下、Cチャンネルという)、フロント右チャンネル(以下、Rチャンネルという)、サラウンド左チャンネル(以下、LSチャンネルという。)、サラウンド右チャンネル(以下、RSチャンネルという。)及びサブウーハ用チャンネル(以下、SWチャンネルという。)で構成される5.1チャンネル用のデジタル音声信号が広く知られている。ユーザは、このようなマルチチャンネルのデジタル信号をチャンネル毎に増幅するAVアンプ装置から出力され複数のスピーカから放音されるサラウンドオーディオ信号を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような、マルチチャンネルのデジタル信号に対応したAVアンプ装置は、プレーヤから出力されたデジタル信号を複数のチャンネルとして生成するためのDSP(Demand-Side Platform)を備える必要があるため、通常のLチャンネル及びRチャンネルの2つのチャンネルみを扱うアンプ装置よりも装置内部の構成が複雑化する傾向にある。また、近年、上述した5.1チャンネルにサラウンドバック左チャンネルおよびサラウンドバック右チャンネルを加えた7.1チャンネルのデジタルオーディオ信号が広く知られるようになり、また、家庭用ホームオーディオとしては、最大13.1チャンネルに対応するAuro-3D(登録商標)、および最大24.1.10チャンネルに対応するDolby Atoms(登録商標) for Home等が知られており、オーディオチャンネルのチャンネル数がますます増加する傾向にある。
【0006】
このようにオーディオチャンネルのチャンネル数がますます増加する傾向の状況下では、プレーヤから出力されたデジタル信号を処理するDSPの負担が益々増大するばかりでなく、新たに加わったチャンネル数に対応したDSPを備えるAVアンプ装置が必要となるため、ユーザは、所有するAVアンプ装置を、新たなチャンネル数に対応したAVアンプ装置に買い替えなければならない。
【0007】
しかしながら、対応チャンネル数の多いAVアンプ装置は、一般に高価なため、所有するAVアンプ装置の対応チャンネル数よりも多いチャンネル数でデジタルオーディオ信号を聴取するために、その都度、AVアンプ装置を買い替えることはユーザの経済的負担が大きくなってしまう。また、ユーザが新たなAVアンプ装置に買い替えた場合、それまで所有していたAVアンプ装置が不要となり、資源を無駄にしてしまう。
【0008】
本発明は、オーディオ信号を出力するAVアンプ装置において、マルチチャンネルのデジタル信号を処理するための処理部を備える必要がなく、かつ、資源を無駄にすることなくマルチチャンネルのオーディオを聴取することができるAVアンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、オーディオ信号を出力するAVアンプ装置において、デジタルデータを入力する入力部と、ユーザからの再生指示を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けたユーザからの再生指示に応じて前記入力部が入力したデジタルデータをサーバインターフェース部に出力するかDSPに出力するかを切り替える切替部と、前記
切替部が出力したデジタルデータを2チャンネル信号に処理して出力するDSPと、前記切替部が出力したデジタルデータをネットワークを介してサーバに送信し、前記サーバからオーディオ信号を受信するサーバインターフェース部と、前記サーバインターフェース部が受信したオーディオ信号及び前記DSPが出力したオーディオ信号を再生するオーディオ再生部と、前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号をスピーカに出力する出力部と、前記操作部が受け付けたユーザからの再生指示に応じて前記切替部及び前記サーバインターフェース部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、ユーザから2チャンネルオーディオ再生が指示された場合、前記入力部が入力したデジタルデータを前記DSPに出力するよう前記切替部を制御し、ユーザからマルチチャンネルオーディオ再生が指示された場合、前記入力部から出力されたデジタルデータを前記サーバインターフェース部に出力するよう前記切替部を制御し、ネットワークを介して前記サーバに送信すると共に前記サーバがデジタルデータを処理したマルチチャンネルオーディオ信号を受信して前記オーディオ再生部に出力するよう前記サーバインターフェース部を制御することを特徴とする。
【0011】
また、例えば、本発明は、請求項1記載のAVアンプ装置において、前記サーバインターフェース部が前記サーバから受信するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態を監視する通信状態判別部とを備え、前記制御部は、前記サーバインターフェース部が前記サーバからマルチチャンネルオーディオ信号を受信している場合に、前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態が悪化したと判断した場合、前記入力部に入力されたデジタルデータを前記DSPに出力するよう前記切替部を制御することを特徴とする。
【0012】
また、例えば、本発明は、請求項2記載のAVアンプ装置において、前記制御部は、前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するオーディオ信号の入力状態が悪化したと判断して前記入力部に入力されたデジタルデータをDSPに出力するよう前記切替部を制御した後に前記通信状態判別部が前記サーバインターフェース部がサーバから入力するマルチチャンネルオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったと判断した場合、前記入力部に入力されたデジタルデータを前記サーバインターフェース部に出力するよう前記切替部を制御することを特徴とする。
【0013】
また、例えば、本発明は、請求項2記載のAVアンプ装置において、前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号を一時的に記憶し、記憶したオーディオ信号を前記制御部からの指示に応じて前記出力部に出力するバッファ部を備え、前記制御部は、マルチチャンネルオーディオ再生から2チャンネルオーディオ再生に切り替えを行う場合、前記出力部から出力されているオーディオ信号の出力が途切れないように前記バッファ部に蓄積されているマルチチャンネルオーディオ信号を出力しながらマルチチャンネルオーディオ再生から2チャンネルオーディオ再生に切り替えるよう前記バッファ部及び前記出力部を制御することを特徴とする
【0014】
また、例えば、本発明は、請求項3記載のAVアンプ装置において、前記オーディオ再生部が再生したオーディオ信号を一時的に記憶し、記憶したオーディオ信号を前記制御部からの指示に応じて前記出力部に出力するバッファ部を備え、前記制御部は、2チャンネルオーディオ再生からマルチチャンネルオーディオ再生に切り替えを行う場合、前記出力部から出力されているオーディオ信号の出力が途切れないように前記バッファ部に蓄積されている2チャンネルオーディオ信号を出力しながら2チャンネルオーディオ再生からマルチチャンネルオーディオ再生に切り替えるよう前記バッファ部及び前記出力部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オーディオ信号を出力するAVアンプ装置において、マルチチャンネルのデジタル信号を処理するための処理部を備える必要がなく、かつ、資源を無駄にすることなくマルチチャンネルのオーディオを聴取することができるAVアンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例であるAVアンプ装置の構成を示す図。
【
図2】本実施例のAVR1の構成を示すブロック図。
【
図3】本実施例のAVR1において、ユーザからの再生指示に応じて2チャンネルステレオ再生またはマルチチャンネル再生を行う動作を示すフローチャート図。
【
図4】本実施例のAVR1において、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間の動作を示すフローチャート図。
【
図5】本実施例のAVR1において、
図4に示すように5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間にサーバ5からの送信状態が悪化して2チャンネルのステレオ再生を行っている間の動作を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例であるAVアンプ装置の構成を示す図である。
図1に示すように、AVアンプ装置1(以下、AVR1という。)は、アクセスポイント3を介してネットワーク4にネットワーク接続され、このネットワーク4にはサーバ5がネットワーク接続されている。サーバ5は、アクセスポイント3及びネットワーク4を介して接続されたAVR1から送信される各種データを受信し、AVアンプ装置からの指示に応じて各種データの処理を行い、処理した各種データをAVR1に送信する。
【0019】
AVR1は、モニター2及びプレーヤ6と接続する。また、AVR1は、リモコン7からの各種操作指示を赤外線により入力する。また、AVR1は、通常の2チャンネルステレオ用のLチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82と接続すると共に、サラウンド用のSLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86と接続されている。
【0020】
図2は、本実施例のAVR1の構成を示すブロック図である。
【0021】
AVR1は、入力部11、切替部12、DSP13、オーディオ再生部14、バッファ部15、出力部16、サーバインターフェース部17、通信状態判別部18、制御部19、操作部20及びモニター出力部21を備える。
【0022】
プレーヤ6は、DVD等の記録媒体に記録された2チャンネルまたはマルチチャンネルのデジタルデータを再生し、入力部11に出力する。入力部11は、プレーヤ6から出力される2チャンネルのデジタルデータまたはマルチチャンネルのデジタルデータを入力する。切替部12は、後述する制御部19からの指示に応じて入力部11が入力したデジタルデータをサーバインターフェース部17またはDSP13に出力するように出力先の切替えを行う。DSP13は、切替部12から出力された2チャンネルデジタルデータの信号処理を行い、処理した2チャンネル信号をオーディオ再生部14に出力する。オーディオ再生部14は、サーバインターフェース部17から入力したマルチチャンネルのオーディオ信号またはDSP13から入力した2チャンネルのオーディオ信号を再生する。バッファ部15は、制御部19の制御に応じてオーディオ再生部14から出力された複数チャンネルのオーディオ信号を一時的に記憶し、記憶したオーディオ信号を制御部19からの指示のタイミングで出力部16に出力する。出力部16は、
図1に示すようにLチャンネルスピーカ81、Rチャンネルスピーカ82、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86と接続され、バッファ部15から出力された各チャンネルのオーディオ信号をそれぞれ各スピーカに出力する。
【0023】
サーバインターフェース部17は、
図1に示すようにアクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5とネットワーク接続し、制御部19の制御に応じて切替部12から入力されたマルチチャンネルのデジタルデータをサーバ5に送信し、また、サーバ5から送信されたオーディオ信号を受信してオーディオ再生部14に出力する。
【0024】
通信状態判別部18は、サーバインターフェース部17が入力するオーディオ信号の入力状態を監視する。モニター出力部21は、モニター2に映像データを出力する。操作部20は、図示しない操作キーを備え、ユーザからの操作キーによる指示に応じて、制御部19に指示信号を出力する。また、操作部20は、図示しない赤外線受光部を備え、ユーザからのリモコン7の操作によってリモコン7から発光される赤外線による指示信号を受光し、制御部19に指示信号を出力する。制御部19は、切替部12、バッファ部15、サーバインターフェース部17、通信状態判別部18など、AVR1を構成する各構成部を総括的に制御する。モニター2は、モニター出力部21から出力された映像信号を表示する。
【0025】
図3は、本実施例のAVR1において、ユーザからの再生指示に応じて2チャンネルステレオ再生またはマルチチャンネル再生を行う動作を示すフローチャート図である。
本実施例におけるマルチチャンネル再生については、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行う場合について説明する。
【0026】
先ず、制御部19は、ユーザによる操作部20またはリモコン7の操作によってプレーヤ6から出力されるデジタル信号の再生指示が有るか否かを監視し(ステップS1)、再生指示があった場合、再生指示があったオーディオ信号が2チャンネルステレオ再生であるかマルチチャンネル再生であるかを検証する(ステップS2)。ステップS2において、2チャンネルステレオ再生が指示された場合、制御部19は、プレーヤ6から入力部11に入力されたデジタルデータをDSP13に出力するよう切替部12を制御する。DSP13は、制御部19の制御により、切替部12から出力されたデジタルデータを2チャンネルの信号となるよう信号処理し、処理した2チャンネル信号をオーディオ再生部14に出力する(ステップS3)。オーディオ再生部14は、DSP13から出力された2チャンネル信号を再生する。出力部16は、バッファ部15を介してオーディオ再生部14から出力された2チャンネル信号をそれぞれLチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82に出力する。Lチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82は、それぞれ出力部16から出力された2チャンネル信号を放音し、ステレオ再生を行う(ステップS4)。制御部19は、ユーザの操作部20の操作による再生の終了指示があったか否かを監視し(ステップS5)、再生の終了指示があった場合は、再生を終了する(ステップS6)。
【0027】
一方、ステップS2において、マルチチャンネル再生が指示された場合、制御部19は、プレーヤ6から入力部11に入力されたデジタルデータをサーバインターフェース部17に出力するよう切替部12を制御する。サーバインターフェース部17は、
図1に示すようにアクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5とネットワーク接続し、制御部19の制御に応じて切替部12から出力されたデジタルデータをサーバ5に送信する(ステップS7)。サーバ5は、予めデジタルデータを5.1チャンネルのマルチチャンネル信号として処理するプログラムを記憶しており、アクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバインターフェース部17から入力したデジタルデータを処理し、5.1チャンネルのマルチチャンネル信号となるよう信号処理する。サーバ5は、処理した5.1チャンネルのマルチチャンネル信号をネットワーク4及びアクセスポイント3を介してサーバインターフェース部17に出力する。制御部19は、サーバ5が処理した5.1チャンネルのマルチチャンネル信号をサーバインターフェース部17によって受信したか否かを監視し(ステップS8)、サーバインターフェース部17が5.1チャンネルのマルチチャンネル信号を受信した場合、オーディオ再生部14は、サーバインターフェース部17から出力された5.1チャンネルのマルチチャンネル信号を再生する。出力部16は、バッファ部15を介してオーディオ再生部14から出力された5.1チャンネルのマルチチャンネル信号をそれぞれLチャンネルスピーカ81、Rチャンネルスピーカ82、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86に出力する。各チャンネルスピーカは、それぞれ出力部16から出力されたマルチチャンネル信号を放音し、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行い(ステップS9)、後述する
図4のステップに進む。
【0028】
図4は、本実施例のAVR1において、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間の動作を示すフローチャート図である。
【0029】
図3に示すステップS9において、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間、
図4に示すように、制御部19は、サーバインターフェース部17がサーバ5から入力されるオーディオ信号の入力状態を監視するよう通信状態判別部18を制御する(ステップS10)。制御部19は、ユーザの操作部20の操作による再生の終了指示があったか否かを監視し(ステップS11)、再生の終了指示があった場合は、再生を終了する(ステップS12)。
【0030】
一方、ステップS10において、サーバインターフェース部17がサーバ5から入力するオーディオ信号の入力状態が悪化したと判断した場合、制御部19は、バッファ部15に蓄積されているマルチチャンネル信号を継続して出力部16に出力するように制御すると共に、プレーヤ6から入力部11に入力されたデジタルデータをDSP13に出力するよう切替部12を制御する(ステップS13)。DSP13は、制御部19の制御により、切替部12から出力されたデジタルデータを2チャンネルの信号となるよう信号処理し、処理した2チャンネル信号をオーディオ再生部14に出力する(ステップS14)。オーディオ再生部14は、DSP13から出力された2チャンネル信号を再生し、バッファ部15に出力する。制御部19は、それまでバッファ部15に蓄積されている5.1チャンネルのマルチチャンネル信号の再生可能時間に基づいて、出力部16から出力されているマルチチャンネル信号の出力が途切れないようにバッファ部15からマルチチャンネル信号を出力しながら、先ず、SW85へのマルチチャンネル信号の出力をオフし、次に、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84及びCチャンネルスピーカ86へのマルチチャンネル信号の出力をオフした後、Lチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82へそれぞれ2チャンネル信号が出力するようバッファ部15及び出力部16を制御する。Lチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82は、それぞれ出力部16から出力された2チャンネル信号を放音することにより、ステレオ再生を行い(ステップS15)、後述する
図5のステップに進む。
【0031】
図5は、本実施例のAVR1において、
図4に示すように5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間にサーバ5からの送信状態が悪化して2チャンネルのステレオ再生を行っている間の動作を示すフローチャート図である。
【0032】
図4に示すステップS15において、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行っている間にサーバ5からの送信状態が悪化して2チャンネルのステレオ再生を行っている間、
図5に示すように、制御部19は、サーバインターフェース部17がサーバ5から入力されるオーディオ信号の入力状態を監視し、オーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったか否かを監視するよう通信状態判別部18を制御する(ステップS16)。制御部19は、ユーザの操作部20の操作による再生の終了指示があったか否かを監視し(ステップS17)、再生の終了指示があった場合は、再生を終了する(ステップS18)。
【0033】
一方、ステップS16において、サーバインターフェース部17がサーバ5から入力するオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったと判断した場合、制御部19は、バッファ部15に蓄積されている2チャンネル信号を継続して出力部16に出力するように制御すると共に、プレーヤ6から入力部11に入力されたデジタルデータをサーバインターフェース部17に出力するよう切替部12を制御する。サーバインターフェース部17は、
図1に示すようにアクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5とネットワーク接続し、制御部19の制御に応じて切替部12から出力されたデジタルデータをサーバ5に送信する(ステップS19)。サーバ5は、アクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバインターフェース部17から入力したデジタルデータを処理し、5.1チャンネルのマルチチャンネル信号となるよう信号処理する。サーバ5は、処理した5.1チャンネルのマルチチャンネル信号をネットワーク4及びアクセスポイント3を介してサーバインターフェース部17に出力する。制御部19は、サーバ5が処理した5.1チャンネルのマルチチャンネル信号をサーバインターフェース部17によって受信したか否かを監視し(ステップS20)、サーバインターフェース部17が5.1チャンネルのマルチチャンネル信号を受信した場合、オーディオ再生部14は、サーバインターフェース部17から出力された5.1チャンネルのマルチチャンネル信号を再生し、バッファ部15に出力する。制御部19は、それまでバッファ部15に蓄積されている2チャンネル信号の再生可能時間に基づいて、出力部16から出力されている2チャンネル信号の出力が途切れないようにバッファ部15から2チャンネル信号を出力しながら、先ず、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84及びCチャンネルスピーカ86へのマルチチャンネル信号の出力をオンし、次に、SW85へのマルチチャンネル信号の出力をオンした後、Lチャンネルスピーカ81、Rチャンネルスピーカ82、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86へそれぞれマルチチャンネル信号が出力するようバッファ部15及び出力部16を制御する。Lチャンネルスピーカ81、Rチャンネルスピーカ82、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86は、それぞれ出力部16から出力されたマルチチャンネル信号を放音し、マルチチャンネルのサラウンドオーディオ再生を行い(ステップS21)、前述した
図4のステップに戻る。
【0034】
以上のように、本実施例のAVR1は、ユーザから2チャンネルステレオ再生が指示された場合は、切替部12がプレーヤ6から出力されたデジタルデータをDSP13に出力し、AVR1に備えるDSP13によってデジタルデータを2チャンネルの信号となるよう信号処理し、処理した2チャンネル信号をオーディオ再生部14に出力することによって、2チャンネルステレオ再生を行うことができ、一方、ユーザからマルチチャンネル再生が指示された場合は、切替部12がプレーヤ6から出力されたデジタルデータをサーバインターフェース部17に出力し、サーバインターフェース部17がデジタルデータをアクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5に送信し、サーバ5によってデジタルデータをマルチチャンネル信号となるよう信号処理し、処理したマルチチャンネル信号をネットワーク4、アクセスポイント3及びサーバインターフェース部17を介してオーディオ再生部14に出力することによって、マルチチャンネル再生を行うことができる。
【0035】
このように、本実施例のAVR1は、ユーザから2チャンネル再生が指示された場合は、AVR1内に備えるDSP13によって2チャンネル信号の信号処理を行い、また、ユーザからマルチチャンネル再生が指示された場合は、サーバ5にデジタル信号を送信してサーバ5によってマルチチャンネル信号の信号処理を行うことにより、5.1チャンネルなどのマルチチャンネルのデジタル信号を処理するための処理部をAVR1内に備えていなくても、ユーザからの指示に応じて2チャンネル再生またはマルチチャンネル再生を行うことができる。このように、本実施例のAVR1は、マルチチャンネルのデジタル信号を処理するための処理部を備える必要がないため、AVR1の製造コストを低減することができる。
【0036】
本実施例のAVR1は、マルチチャンネル再生を行う場合、5.1チャンネルのマルチチャンネル再生を行う場合について説明したが、サーバ5に予め様々なマルチチャンネルのデジタルデータを処理するプログラムを記憶しておくことにより、5.1チャンネル以外にも、例えば、5.1チャンネルにサラウンドバック左チャンネルおよびサラウンドバック右チャンネルを加えた7.1チャンネルのマルチチャンネル再生や、13.1チャンネル再生、24.1.10チャンネルのマルチチャンネル再生等にも対応することができる。この場合、出力部16から5.1チャンネルを超える数のスピーカにオーディオ信号を出力するための出力端子が必要となるが、例えば、AVアンプ装置に5.1チャンネルを超える数の出力端子を予め予備端子として備えておき、5.1チャンネルを超えるチャンネル数のマルチチャンネル再生を行う場合は、この予備端子を用いて5.1チャンネルを超えるチャンネル数のマルチチャンネル再生等を行うことができる。
【0037】
このことにより、本実施例のAVR1は、今後、マルチチャンナル再生のチャンネル数が増加していく場合であっても、新たに加わったチャンネル数に対応したDSPを備えるAVアンプ装置に買い替える必要がないため、今まで使用していたAVアンプ装置を無駄にすることなく、ユーザが所望するチャンネル数のマルチチャンネルのオーディオを聴取することができる。
【0038】
また、本実施例のAVR1は、マルチチャンネル再生を行っている間、制御部19がサーバ5から入力されるオーディオ信号の入力状態を監視するよう通信状態判別部18を制御し、入力状態が悪化したと判断した場合は、制御部19が入力部11に入力されたデジタルデータをDSP13に出力するように切替部12を制御し、DSP13によってデジタルデータを2チャンネルの信号となるよう信号処理し、処理した2チャンネル信号をオーディオ再生部14に出力するよう制御する。このことにより、デジタルデータをマルチチャンネル信号に処理するサーバ5との通信状態が悪化して、サーバ5からのマルチチャンネル信号の受信が中断してしまっても、サーバ5の処理によるマルチチャンネル再生からAVR1内のDSP13の処理による2チャンネル再生に自動的に切り替えることによって、オーディオの再生が途中で途切れてしまうことを防止することができる。
【0039】
また、本実施例のAVR1は、サーバ5からのオーディオ信号の入力状態が悪化して、マルチチャンネル再生から2チャンネル再生に切り替えを行う場合、制御部19がそれまでバッファ部15に蓄積されているマルチチャンネル信号の再生可能時間に基づいて、出力部16から出力されているマルチチャンネル信号の出力が途切れないようにバッファ部15からマルチチャンネル信号を出力しながら、先ず、SW85へのマルチチャンネル信号の出力をオフし、次に、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84及びCチャンネルスピーカ86へのマルチチャンネル信号の出力をオフした後、Lチャンネルスピーカ81及びRチャンネルスピーカ82へそれぞれ2チャンネル信号が出力するようバッファ部15及び出力部16を制御する。このことにより、サーバ5からのオーディオ信号の入力状態が悪化して、マルチチャンネル再生から2チャンネル再生に切り替える場合、オーディオを聴取するユーザに違和感を与えることなく、マルチチャンネル再生から2チャンネルのステレオ再生にスムーズに切り替えを行うことができる。
【0040】
更に、本実施例のAVR1は、マルチチャンネル再生を行っている間にサーバ5からの送信状態が悪化して2チャンネルのステレオ再生を行っている間、制御部19がサーバ5から入力されるオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったか否かを監視するよう通信状態判別部18を制御し、サーバ5から入力するオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻ったと判断した場合は、制御部19が入力部11に入力されたデジタルデータをサーバインターフェース部17に出力するように切替部12を制御し、サーバインターフェース部17がデジタルデータをアクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5に送信し、サーバ5によってデジタルデータをマルチチャンネル信号となるよう信号処理し、処理したマルチチャンネル信号をネットワーク4、アクセスポイント3及びサーバインターフェース部17を介してオーディオ再生部14に出力する。このことにより、マルチチャンネル再生を行っている間にサーバ5からの送信状態が悪化して2チャンネルのステレオ再生を行っている間に、サーバ5からのオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻った場合は、AVR1内のDSP13の処理による2チャンネル再生からサーバ5の処理によるマルチチャンネル再生に戻るように自動的に切り替えることによって、ユーザが当初から所望しているマルチチャンネル再生を再開することができる。
【0041】
また、本実施例のAVR1は、サーバ5からのオーディオ信号の入力状態が悪化して、マルチチャンネル再生から2チャンネル再生に切り替えた後、サーバ5から入力されるオーディオ信号の入力状態が良好な状態に戻って元のマルチチャンネル再生に戻す場合、制御部19がそれまでバッファ部15に蓄積されている2チャンネル信号の再生可能時間に基づいて、出力部16から出力されている2チャンネル信号の出力が途切れないようにバッファ部15から2チャンネル信号を出力しながら、先ず、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84及びCチャンネルスピーカ86へのマルチチャンネル信号の出力をオンし、次に、SW85へのマルチチャンネル信号の出力をオンした後、Lチャンネルスピーカ81、Rチャンネルスピーカ82、SLチャンネルスピーカ83、SRチャンネルスピーカ84、SW85及びCチャンネルスピーカ86へそれぞれマルチチャンネル信号が出力するようバッファ部15及び出力部16を制御する。このことにより、オーディオを聴取するユーザに違和感を与えることなく、2チャンネルのステレオ再生からマルチチャンネル再生にスムーズに切り替えを行うことができる。
【0042】
本実施例のAVR1は、ユーザが2チャンネルのステレオ再生を所望した場合、AVR1内に備えるDSP13によってデジタルデータを2チャンネル信号となるよう処理する構成としたが、プレーヤ6から出力されたデジタルデータを常にサーバ5に送信し、サーバ5によって2チャンネル信号及びマルチチャンネル信号の信号処理を行う構成としても良い。このことによって、AVR1にDSP13を備える必要がないため、AVR1の製造コストを更に低減することができる。
【0043】
本実施例のAVR1は、アクセスポイント3及びネットワーク4を介してサーバ5とネットワーク接続する構成としたが、他のメディアサーバや他の装置と接続可能であれば、その他の接続構成でも良い。
【0044】
本実施例のAVR1は、プレーヤ6からデジタルデータを入力する構成としたが、例えば、ネットワーク上のサーバに記憶されているデジタルデータをサーバインターフェース部17等のネットワークインターフェースによって受信し、受信したデジタルデータをDSP13またはサーバ5によって信号処理する構成としても良い。
【0045】
本実施例のAVR1は、出力部16が各スピーカにオーディオ信号を出力する構成としたが、例えば、各スピーカがネットワークスピーカやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信対応スピーカである場合は、サーバインターフェース部17等のネットワークインターフェースやBluetooth(登録商標)インターフェースから各スピーカにオーディオデータを送信する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、2チャンネルまたはマルチチャンネルのオーディオ信号を出力するAVアンプ装置に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 AVR、2 モニター、3 アクセスポイント、4 ネットワーク、
5 サーバ、6 プレーヤ、7 リモコン、
81 Lチャンネルスピーカ、82 Rチャンネルスピーカ、
83 SLチャンネルスピーカ、84 SRチャンネルスピーカ、85 SW、
86 Cチャンネルスピーカ、
11 入力部、12 切替部、13 DSP、14 オーディオ再生部、
15 バッファ部、16 出力部、17 サーバインターフェース部、
18 通信状態判別部、19 制御部、20 操作部