(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/245 20180101AFI20240220BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20240220BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20240220BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240220BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240220BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240220BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240220BHJP
【FI】
F21S43/245
F21S43/241
F21S43/50
F21S43/15
F21W103:20
F21W103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020052519
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110049(JP,A)
【文献】特開2018-129148(JP,A)
【文献】特開2019-212471(JP,A)
【文献】特開2013-168268(JP,A)
【文献】特開2015-201278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21W 103/20
F21W 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光源及び前記第2の光源の前方に配置されて、前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光を内部へと入射する第1の入射部と、
前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光を内部へと入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第1の光及び前記第2の光を外部へと出射する出射部とを有し、
前記第1の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第1の光の光軸と、前記第2の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第2の光の光軸とが前記出射部又はその近傍において交差しており、
前記出射部は、前記第1の光に対応して配光が制御された複数の第1の出射カットと、前記第2の光に対応して配光が制御された複数の第2の出射カットとを含
み、
前記導光レンズの前記第1の光源と前記第2の光源との間を通る中心軸に対して、前記第1の光の光軸が平行し且つ前記第2の光の光軸が傾斜し、
前記第1の光の光度が前記第2の光の光度よりも相対的に低くなることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光源及び前記第2の光源の前方に配置されて、前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光を内部へと入射する第1の入射部と、
前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光を内部へと入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第1の光及び前記第2の光を外部へと出射する出射部とを有し、
前記第1の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第1の光の光軸と、前記第2の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第2の光の光軸とが前記出射部又はその近傍において交差
すると共に、前記導光レンズの前記第1の光源と前記第2の光源との間を通る中心軸に対して、前記第1の光の光軸と前記第2の光の光軸とが互いに逆向きに傾斜しており、
前記出射部は、前記第1の光に対応して配光が制御された複数の第1の出射カットと、前記第2の光に対応して配光が制御された複数の第2の出射カットとを含むことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の光と前記第2の光との色光が異なることを特徴とする請求項1
又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1の光の光軸と前記第2の光の光軸との交差する角度が15°以下であることを特徴とする請求項1~
3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする請求項1~
4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする請求項1~
5の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記複数の第1の出射カットと前記複数の第2の出射カットとは、ランダム又は周期的に並んで配置されていることを特徴とする請求項1~
6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1の出射カット及び前記第2の出射カットは、レンズカットにより構成されていることを特徴とする請求項1~
7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光レンズとを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光レンズの入射面から導光レンズの内部へと入射し、導光体の内部で光を導光させながら、導光レンズの出射面から導光レンズの外部へと光を出射する。これにより、導光レンズの出射面を車両用灯具の発光部として発光させることが可能である。
【0004】
また、近年の車両用灯具では、デザインの多様化によって、導光レンズの出射面を色光の異なる光源からの光により相互に切り替えて発光させることが行われている。
【0005】
このような車両用灯具の組み合わせとしては、例えば、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたものや、車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、赤色発光する尾灯(テールランプ)と、橙色発光する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-201278号公報
【文献】特開2012-252952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した色光の異なる光源からの光により導光レンズの出射面を発光させる場合、色光の異なる光源を別々に配置し、それぞれの光源から出射された光を導光レンズの異なる位置から入射した後、互いに同一方向に向けて導光させる必要がある。
【0008】
しかしながら、導光レンズの異なる位置から入射した光は、導光レンズの異なる位置から出射することになる。したがって、色光の異なる光源から出射された光を導光レンズの出射面から同じ方向に向けて出射することが困難となる。その結果、色光の異なる光源の点灯を切り替えた際に、導光レンズの出射面を正面側から見たときの発光の見栄えに差が生じてしまい、違和感を感じることがあった。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光レンズの異なる位置から入射した光により導光レンズを発光させたときの発光の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光源及び前記第2の光源の前方に配置されて、前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光を内部へと入射する第1の入射部と、
前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光を内部へと入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第1の光及び前記第2の光を外部へと出射する出射部とを有し、
前記第1の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第1の光の光軸と、前記第2の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第2の光の光軸とが前記出射部又はその近傍において交差しており、
前記出射部は、前記第1の光に対応して配光が制御された複数の第1の出射カットと、前記第2の光に対応して配光が制御された複数の第2の出射カットとを含み、
前記導光レンズの前記第1の光源と前記第2の光源との間を通る中心軸に対して、前記第1の光の光軸が平行し且つ前記第2の光の光軸が傾斜し、
前記第1の光の光度が前記第2の光の光度よりも相対的に低くなることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光源及び前記第2の光源の前方に配置されて、前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光を内部へと入射する第1の入射部と、
前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光を内部へと入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第1の光及び前記第2の光を外部へと出射する出射部とを有し、
前記第1の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第1の光の光軸と、前記第2の入射部から前記導光レンズの内部に入射した第2の光の光軸とが前記出射部又はその近傍において交差すると共に、前記導光レンズの前記第1の光源と前記第2の光源との間を通る中心軸に対して、前記第1の光の光軸と前記第2の光の光軸とが互いに逆向きに傾斜しており、
前記出射部は、前記第1の光に対応して配光が制御された複数の第1の出射カットと、前記第2の光に対応して配光が制御された複数の第2の出射カットとを含むことを特徴とする車両用灯具。
〔3〕 前記第1の光と前記第2の光との色光が異なることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第1の光の光軸と前記第2の光の光軸との交差する角度が15°以下であることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の入射部と前記第2の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記複数の第1の出射カットと前記複数の第2の出射カットとは、ランダム又は周期的に並んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記第1の出射カット及び前記第2の出射カットは、レンズカットにより構成されていることを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、導光レンズの異なる位置から入射した光により導光レンズを発光させたときの発光の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す上面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具が導光レンズを第1の入射部及び第2の入射部側から見た背面図である。
【
図4】
図1に示す車両用灯具が導光レンズを出射部側から見た正面図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図6】
図4中に示す線分A-Aによる車両用灯具の水平断面において、第1の光及び第2の光の光路を示す光路図である。
【
図7】
図4中に示す線分B-Bによる車両用灯具の鉛直断面において、第1の光の光路を示す光路図である。
【
図8】
図4中に示す線分C-Cによる車両用灯具の鉛直断面において、第2の光の光路を示す光路図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
【0016】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図8に示す車両用灯具1Aについて説明する。
【0017】
なお、
図1は、車両用灯具1Aの構成を示す上面図である。
図2は、車両用灯具1Aの構成を示す側面図である。
図3は、車両用灯具1Aが導光レンズ4を第1の入射部6及び第2の入射部7側から見た背面図である。
図4は、車両用灯具1Aが導光レンズ4を出射部8側から見た正面図である。
図5は、車両用灯具1Aの構成を示す断面図である。
図6は、
図4中に示す線分A-Aによる車両用灯具1Aの水平断面において、第1の光L1及び第2の光L2の光路を示す光路図である。
図7は、
図4中に示す線分B-Bによる車両用灯具1Aの鉛直断面において、第1の光L1の光路を示す光路図である。
図8は、
図4中に示す線分C-Cによる車両用灯具1Aの鉛直断面において、第2の光L2の光路を示す光路図である。
【0018】
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部に搭載されるものであり、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)と、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)とを組み合わせたターンランプ兼ポジションランプに本発明を適用したものである。
【0019】
具体的に、この車両用灯具1Aは、
図1~
図5に示すように、灯体(図示せず。)の内側に、第1の光L1を出射する第1の光源2と、第2の光L2を出射する第2の光源3と、第1の光L1及び第2の光L2を導光させる導光レンズ4とを概略備えている。
【0020】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバーとにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0021】
第1の光源2は、ターンランプ用光源として、第1の光L1となる橙色光を発するLEDからなる。第2の光源3は、ポジションランプ用光源として、第2の光L2となる白色光を発するLEDからなる。
【0022】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1の光源2と第2の光源3とが互いに隣接した状態で、この車両用灯具1Aの幅方向(Y軸方向)に並んで配置されている。また、第1の光源2及び第2の光源3は、それぞれのLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板5の一面(本実施形態では正面)側に実装されている。
【0023】
これにより、第1の光源2と第2の光源3とは、この車両用灯具1Aの前方(+X軸側)に向けて第1の光L1と第2の光L2とを放射状に出射する。すなわち、これら第1の光源2及び第2の光源3は、同じ回路基板5の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて第1の光L1及び第2の光L2を放射状に出射する構成となっている。したがって、第1の光源2から出射された第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源3から出射された第2の光L2の光軸AX2とは、互いに平行となっている。
【0024】
なお、本実施形態では、上述した第1の光源2及び第2の光源3を構成するLEDと、LEDを駆動する駆動回路とが回路基板5上に実装された構成となっているが、LEDが実装された実装基板と、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0025】
導光レンズ4は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い光透過性部材からなり、全体として車両用灯具1Aの前方に向かって延長された略直方体状を有している。また、導光レンズ4は、この車両用灯具1Aの幅方向において、第1の入射部6及び第2の入射部7を含む背面側の幅よりも出射部8を含む正面側の幅が小さくなっている。
【0026】
導光レンズ4は、第1の光源2及び第2の光源3の前方に配置されている。また、導光レンズ4は、第1の光源2と対向する側(背面側)に位置する第1の入射部6と、第2の光源3と対向する側(背面側)に位置する第2の入射部7と、第1の入射部6及び第2の入射部7とは反対側(正面側)に位置する出射部8とを有している。
【0027】
第1の入射部6と第2の入射部7とは、
図5に示すように、この車両用灯具1Aの幅方向において、導光レンズ4の第1の光源2と第2の光源3との間を通る中心軸AX3を挟んだ一方側と他方側とに位置している。また、第1の光源2から出射された第1の光L1の光軸AX1と、第2の光源3から出射された第2の光L2の光軸AX2とは、導光レンズ4の中心軸AX3に対して平行となっている。
【0028】
第1の入射部6は、第1の光源2と対向する部分に位置して、第1の光源2から出射された第1の光L1の一部が入射する凸面状の第1の集光入射面6aと、第1の集光入射面6aの周囲を囲む位置から第1の光源2側に突出した部分の内周側に位置して、第1の光源2から出射された第1の光L1の一部が入射する略円筒状の第2の集光入射面6bと、突出した部分の外周側に位置して、第2の集光入射面6bから入射した第1の光L1を反射する截頭円錐状の集光反射面6cとを有している。
【0029】
第1の入射部6では、第1の光源2から放射状に出射された第1の光L1のうち、第1の集光入射面6aから導光レンズ4の内部に入射した第1の光L1を光軸AX1寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面6bから導光レンズ4の内部に入射した第1の光L1を集光反射面6cで反射させることによって光軸AX1寄りに集光させる。
【0030】
これにより、第1の入射部6から導光レンズ4の内部へと入射した第1の光L1は、
図6に示す車両用灯具1Aの水平断面において、第1の光L1の光軸AX1に対して平行化しながら、導光レンズ4の前方に向かって導光される。また、
図5に示すように、第1の入射部6から導光レンズ4の内部へと入射した第1の光L1の光軸AX1は、導光レンズ4の中心軸AX3に対して平行となっている。
【0031】
一方、第1の入射部6から導光レンズ4の内部へと入射した第1の光L1は、
図7に示す車両用灯具1Aの鉛直断面において、第1の光L1の光軸AX1に対して平行化しながら、導光レンズ4の前方に向かって導光される。
【0032】
第2の入射部7は、第2の光源3と対向する部分に位置して、第2の光源3から出射された第2の光L2の一部が入射する凸面状の第1の集光入射面7aと、第1の集光入射面7aの周囲を囲む位置から第2の光源3側に突出した部分の内周側に位置して、第2の光源3から出射された第2の光L2の一部が入射する略円筒状の第2の集光入射面7bと、突出した部分の外周側に位置して、第2の集光入射面7bから入射した第2の光L2を反射する截頭円錐状の集光反射面7cとを有している。
【0033】
第2の入射部7では、第2の光源3から放射状に出射された第2の光L2のうち、第1の集光入射面7aから導光レンズ4の内部に入射した第2の光L2を光軸AX2寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面7bから導光レンズ4の内部に入射した第2の光L2を集光反射面7cで反射させることによって光軸AX2寄りに集光させる。
【0034】
これにより、第2の入射部7から導光レンズ4の内部へと入射した第2の光L2は、
図6に示す車両用灯具1Aの水平断面において、第2の光L2の光軸AX2に対して平行化しながら、導光レンズ4の前方に向かって導光される。また、また、
図5に示すように、第2の入射部7から導光レンズ4の内部へと入射した第2の光L2の光軸AX2は、導光レンズ4の中心軸AX3側に向かって傾斜している。
【0035】
一方、第2の入射部7から導光レンズ4の内部へと入射した第2の光L2は、
図8に示す車両用灯具1Aの鉛直断面において、第2の光L2の光軸AX2に対して平行化しながら、導光レンズ4の前方に向かって導光される。
【0036】
また、導光レンズ4では、
図3及び
図5に示すように、第1の光源2と第2の光源3とが互いに隣接して配置されることによって、第1の入射部6と第2の入射部7との間が一部重なり合っている。
【0037】
このため、第1の入射部6は、第1の集光入射面6a、第2の集光入射面6b及び集光反射面6cの一部が第2の入射部7との境界に沿って切り欠かれた形状を有している。同様に、第2の入射部7は、第1の集光入射面7a、第2の集光入射面7b及び集光反射面7cの一部が第1の入射部6との境界に沿って切り欠かれた形状を有している。
【0038】
したがって、第1の光源2から放射状に出射された第1の光L1と、第2の光源3から放射状に出射された第2の光L2とは、互いに重なり合いながら、第1の入射部6及び第2の入射部7から導光レンズ4の内部へと入射することになる。
【0039】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、
図5に示すように、この車両用灯具1Aの水平断面において、第1の入射部6から導光レンズ4の内部に入射した第1の光L1の光軸AX1と、第2の入射部7から導光レンズ4の内部に入射した第2の光L2の光軸AX2とが出射部8又はその近傍において交差している。
【0040】
また、導光レンズ4の中心軸AX3に対して、第1の光L1の光軸AX1が平行し且つ第2の光L2の光軸AX2が傾斜している。この場合、中心軸AX3に対して光軸AXが平行となる第1の光L1を相対的に光度が低くなる橙色光とし、中心軸AX3に対して光軸AXが傾斜した第2の光L2を相対的に光度が高くなる白色光とすることが好ましい。
【0041】
第1の光L1の光軸AX1と第2の光L2の光軸AX2との交差する角度θは、15°以下であることが好ましく、より好ましくは10°以下である。本実施形態では、例えば、角度θが6°に設定されている。本実施形態の車両用灯具1Aでは、互いに隣り合う第1の光源2と第2の光源3との間の距離が短くなるほど、角度θを小さくすることが可能である。また、角度θを小さくすることで、より効率良く配光を制御することが可能である。
【0042】
出射部8は、
図4及び
図5に示すように、導光レンズ4の正面側に、第1の光L1に対応して配光が制御された複数の第1の出射カット8aと、第2の光L2に対応して配光が制御された複数の第2の出射カット8bとを含む出射面8cを有している。
【0043】
複数の第1の出射カット8aと複数の第2の出射カット8bとは、出射面8cの左右方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)において、それぞれランダムに並んで配置されている。なお、第1の出射カット8aと第2の出射カット8bとは、上述したランダムに並んで配置された構成に限らず、例えば交互に並んで配置された構成など、周期的に並んで配置された構成とすることも可能である。
【0044】
第1の出射カット8aは、出射面8cから出射される第1の光L1を拡散させる魚眼カットと呼ばれるレンズカットにより構成されている。第1の出射カット8aは、このレンズカットの形状等を調整することによって、出射面8cから出射される第1の光L1の配光や拡散度合いを制御している。
【0045】
第2の出射カット8bは、出射面8cから出射される第2の光L2を拡散させるレンズカットにより構成されている。第2の出射カット8bは、このレンズカットの形状等を調整することによって、出射面8cから出射される第2の光L2の配光や拡散度合いを制御している。
【0046】
出射部8では、
図6~
図8に示すように、導光レンズ4の前方に向かって導光される第1の光L1と第2の光L2とのうち、出射面8cに入射した第1の光L1を複数の第1の出射カット8aにより配光を制御しながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射する。一方、出射面8cに入射した第2の光L2を複数の第2の出射カット8bにより配光を制御しながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射する。
【0047】
また、第1の出射カット8aから導光レンズ4の外部へと出射された第1の光L1の光軸AX1と、第2の出射カット8bから導光レンズ4の外部へと出射された第2の光L2の光軸AX2とは、導光レンズ4の中心軸AX3に対して平行となっている。したがって、第1の光L1と第2の光L2とは、それぞれ車両用灯具1Aの前方に向かって出射される。
【0048】
なお、第2の出射カット8bに入射した第1の光L1については、この第2の出射カット8bにより拡散されながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射される。また、第1の出射カット8aに入射した第2の光L2については、この第2の出射カット8aにより拡散されながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射される。
【0049】
この場合、車両用灯具1Aの前方に向かって出射される第1の光L1及び第2の光L2とは異なる方向に出射されるものの、このような車両用灯具1Aの前方とは異なる方向に向かって拡散される第1の光L1及び第2の光L2によって、点灯フィーリングの向上を図ることが可能である。
【0050】
なお、導光レンズ4を構成する面のうち、図示や説明を省略したその他の面については、この導光レンズ4の内部で導光される第1の光L1及び第2の光L2に悪影響を与えない範囲で自由に設計(例えば、遮蔽するなど。)することが可能である。
【0051】
例えば、導光レンズ4の両側面には、
図5に示すように、前方に向かって中心軸AX3に接近する方向に傾斜した傾斜面4a,4bが設けられている。この場合、導光レンズ4の前方に向かって導光される第1の光L1及び第2の光L2は、これらの傾斜面4a,4bに入射することによって、導光レンズ4の前方に向かって(全)反射される。また、導光レンズ4の両側面には、導光レンズ4の出射部8に向けて反射されるように第1の光L1及び第2の光L2の配光を制御する複数の反射カットを設けた構成としてもよい。
【0052】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Aでは、ターンランプとして、第1の光源2から出射された第1の光L1によって、導光レンズ4の出射部8(出射面8c)を点滅させながら橙色発光させることが可能である。
【0053】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、ポジションランプとして、第2の光源3から出射された第2の光L2によって、導光レンズ4の出射部8(出射面8c)を白色発光させることが可能である。
【0054】
なお、車両用灯具1Aでは、各国の法規に応じて、ターンランプの点滅(点灯)中は、ポジションランプを点灯させたままとしたり、ポジションランプを消灯させたりすることが可能である。
【0055】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した互いに隣り合う第1の光源2及び第2の光源3から出射された第1の光L1と第2の光L2とを導光レンズ4の異なる位置(第1の入射部6及び第2の入射部7)から入射した場合でも、導光レンズ4の出射部8から同じ方向に向けて第1の光L1と第2の光L2とを出射することが可能である。
【0056】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、互いに異なる位置(第1の入射部6及び第2の入射部7)から導光レンズ4に入射した第1の光L1及び第2のL2を出射部8に向けて効率良く導光させることが可能である。
【0057】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Aでは、色光の異なる第1の光源7Aと第2の光源7Bとの間で第1の光L1と第2のL2との出射を切り替えた際に、導光レンズ4の出射部8を正面側から見たときの発光の見栄えに差が生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図9に示す車両用灯具1Bについて説明する。
【0059】
なお、
図9は、車両用灯具1Bの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0060】
本実施形態の車両用灯具1Bは、
図9に示すように、導光レンズ4の中心軸AX3に対して、第1の光L1の光軸AX1と第2の光L2の光軸AX2とが互いに逆向きに傾斜した構成を有している。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0061】
具体的に、この車両用灯具1Bでは、第1の入射部6から導光レンズ4の内部へと入射した第1の光L1の光軸AX1が、導光レンズ4の中心軸AX3側に向かって傾斜している。また、第2の入射部7から導光レンズ4の内部へと入射した第2の光L2の光軸AX2は、導光レンズ4の中心軸AX3側に向かって傾斜している。
【0062】
本実施形態の車両用灯具1Bでは、この車両用灯具1Bの水平断面において、第1の入射部6から導光レンズ4の内部に入射した第1の光L1の光軸AX1と、第2の入射部7から導光レンズ4の内部に入射した第2の光L2の光軸AX2とが出射部8又はその近傍において交差している。
【0063】
なお、本実施形態では、例えば、第1の光L1の光軸AX1と導光レンズ4の中心軸AX3との交差する角度θ1が3°、第2の光L2の光軸AX2と導光レンズ4の中心軸AX3との交差する角度θ2が3°に設定されている。なお、角度θ1と角度θ2とは、互いに同じ角度に限らず、互いに異なる角度とすることも可能である。
【0064】
出射部8では、導光レンズ4の前方に向かって導光される第1の光L1と第2の光L2とのうち、出射面8cに入射した第1の光L1を複数の第1の出射カット8aにより配光を制御しながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射する。一方、出射面8cに入射した第2の光L2を複数の第2の出射カット8bにより配光を制御しながら、出射面8cから導光レンズ4の外部へと出射する。
【0065】
また、第1の出射カット8aから導光レンズ4の外部へと出射された第1の光L1の光軸AX1と、第2の出射カット8bから導光レンズ4の外部へと出射された第2の光L2の光軸AX2とは、導光レンズ4の中心軸AX3に対して平行となっている。したがって、第1の光L1と第2の光L2とは、それぞれ車両用灯具1Aの前方に向かって出射される。
【0066】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した車両用灯具1Aと同様に、互いに隣り合う第1の光源2及び第2の光源3から出射された第1の光L1と第2の光L2とを導光レンズ4の異なる位置(第1の入射部6及び第2の入射部7)から入射した場合でも、導光レンズ4の出射部8から同じ方向に向けて第1の光L1と第2の光L2とを出射することが可能である。
【0067】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、互いに異なる位置(第1の入射部6及び第2の入射部7)から導光レンズ4に入射した第1の光L1及び第2のL2を出射部8に向けて効率良く導光させることが可能である。
【0068】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Bでは、色光の異なる第1の光源7Aと第2の光源7Bとの間で第1の光L1と第2のL2との出射を切り替えた際に、導光レンズ4の出射部8を正面側から見たときの発光の見栄えに差が生じることを抑制しながら、発光の見栄えを良くすることが可能である。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記出射部8では、上述した
図4に示す第1の出射カット8a及び第2の出射カット8bの形状に限らず、例えば
図10に示すようなフルートカットと呼ばれるストライプ状のレンズカットにより構成された複数の第1の出射カット8a及び複数の第2の出射カット8bを含む構成としてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態では、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具1A,1Bとして、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)と、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)とを組み合わせたターンランプ兼ポジションランプからなるものを例示しているが、車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)と赤色発光する尾灯(テールランプ)とを組み合わせたターンランプ兼テールランプからなるものに本発明を適用することも可能である。
【0071】
また、各国の法規に応じて、ターンランプの点滅(点灯)中は、ポジションランプ又はテールランプを点灯させたままとしたり、ポジションランプ又はテールランプを消灯させたりすることも可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、色光の異なる第1の光源2及び第2の光源3を用いた場合を例示しているが、色光の同じ第1の光源及び第2の光源を用いた車両用灯具に対しても本発明を適用することが可能である。また、第1の光源と第2の光源との何れか一方のみを点灯又は両方を点灯させることを切り替えることも可能である。
【0073】
また、本発明が適用可能な車両用灯具については、色光の同じ第1の光源及び第2の光源を用いた場合、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、リッドランプ、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0074】
また、上記第1の光源及び第2の光源については、光を放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することも可能である。
【0075】
また、上記車両用灯具1A,1Bでは、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光レンズ4の形状などを適宜変更することが可能である。例えば、上記導光レンズ4は、上述した1つの第1の入射部6と1つの第2の入射部7とを含む構成となっているが、互いに隣り合う第1の光源2と第2の光源3との数を増やすことによって、これら第1の入射部6と第2の入射部2との数を増やしたり、並べる順序などを変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B…車両用灯具 2…第1の光源 3…第2の光源 4…導光レンズ 5…回路基板 6…第1の入射部 7…第2の入射部 8…出射部 8a…第1の出射カット 8b…第2の出射カット L1…第1の光 AX1…第1の光の光軸 L2…第2の光 AX2…第2の光の光軸 AX3…導光レンズの中心軸