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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】板材カバー
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/04 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
E04F19/04 101D
E04F19/04 102D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020081485
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021175862
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592062725
【氏名又は名称】株式会社システックキョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】足立 昌巳
(72)【発明者】
【氏名】辻野 淳市
(72)【発明者】
【氏名】中津 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/165911(WO,A1)
【文献】特開2014-070360(JP,A)
【文献】特許第5391128(JP,B2)
【文献】特開平10-280665(JP,A)
【文献】実開昭52-152545(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0911557(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 17/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に添って、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、
前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、
前記表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部とを有してなる板材カバーであり、
前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関して、該壁面への引掛かり部を備える板材カバー。
【請求項2】
前記一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置され、前記表面被覆部と前記背板部とを連結する連結部とを有してなる請求項1に記載の板材カバー。
【請求項3】
前記連結部が前記表面被覆部の先端部に前記背板部を連結してなる請求項2に記載の板材カバー。
【請求項4】
前記連結部が棒状をなす請求項3に記載の板材カバー。
【請求項5】
前記背板部が前記壁面に接する面に前記引掛かり部となる引掛かり突起を設けるとき、該背板部の先端部分から一定距離までの範囲には該引掛かり突起が設けられない請求項1乃至4のいずれかに記載の板材カバー。
【請求項6】
前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、
上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される前記背板部の上記化粧シートに接する部分に対応し、該背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離までの範囲において該壁面に接する面には前記引掛かり突起が設けられない請求項に記載の板材カバー。
【請求項7】
前記背板部は、該背板部の前記壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に、前記表面被覆部の基端部よりも張り出る張り出し部を備える請求項1乃至6のいずれかに記載の板材カバー。
【請求項8】
前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、
前記張り出し部は、前記背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離を介して先端部分の側に離隔し、かつ上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される該背板部の上記化粧シートに接する部分に隣接する部分に、該背板部の該壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部である請求項7に記載の板材カバー。
【請求項9】
壁面に添って、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、
前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、
前記表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部とを有してなる板材カバーであり、
前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、
前記背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離を介して先端部分の側に離隔し、かつ上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される該背板部の上記化粧シートに接する部分に隣接する部分に、該背板部の該壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部を備える板材カバー。
【請求項10】
前記背板部の先端部分に先細り形状を備える請求項1乃至9のいずれかに記載の板材カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に添って、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の幅木又は回り縁等の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
建物では、壁面の床面近傍に幅木が設けられ、壁面の天井近傍に廻り縁が設けられている。幅木又は廻り縁等の板材は、壁面の見栄えを良くし、壁面を保護している。この板材は、直線状に形成されているので、出隅、入隅等の壁面で突き合わされる一対の板材の突合せ部が、それらの突合せ面(木口)の間に隙間を生ずる。板材カバーは上述の一対の板材の双方の突合せ部をカバーし、上述の隙間を隠すものである。
【0003】
特許文献1に記載の板材カバーは、天井又は床に先端部を対向配置することにより、板材を被覆する表面被覆部と、表面被覆部の背面側に延在され、板材の裏面と壁面との間に配置することにより、表面被覆部とともに板材を挟持する板状の羽根部と、一対の板材の双方の突合せ端面を仕切るように鉛直方向に沿って延在し、羽根部に接合することにより羽根部を支持する羽根支持部とを備える。更に、表面被覆部には、板材の表面の長手方向に形成されている凹溝に係合する係合凸部が形成され、羽根部と羽根支持部との接合部分は、鉛直方向において係合凸部よりも先端部側にあるようにしたものである。この結果、一対の板材の双方の突合せ部に板材カバーを取着したとき、表面被覆部と羽根部との間において板材が挟持されるので、板材カバーの水平方向の移動を拘束することができ、更に、板材の表面に形成された凹溝と、表面被覆部に形成された係合凸部とが係合するので、板材カバーの鉛直方向の移動を拘束することができる。従って、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーを板材から脱落し難くできるとしている。
【0004】
更に、特許文献1に記載の板材カバーにあっては、羽根部とこれを支持する羽根支持部との接合部分が、鉛直方向において係合凸部よりも先端部側にあり、係合凸部に対向する位置には、羽根支持部に接合された羽根部の接合部分が存在しない。これにより、板材カバーを鉛直方向から板材に取付ける際に、表面被覆部に形成された係合凸部が、板材の凹溝に係合する前に、板材の表面に乗り上げたとしても、係合凸部に対向する位置に羽根部が存在しないので、過度の力が作用することによる表面被覆部や羽根部の破損はなく、スムーズに板材カバーを壁隅に配置することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5391128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の板材カバーにあっては、一対の板材の双方の突合せ部に取付けられたとき、表面被覆部において係合凸部が形成された部位より基端部の側の部分の背面側に、板材を挟持する羽根部の存在がない。即ち、板材カバーの表面被覆部における基端部から少なくとも係合凸部にまでの範囲は、板材の表面を覆うのみで、板材を挟持していない。
【0007】
従って、板材カバーは、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けたとき、表面被覆部の基端部から係合凸部までの範囲が板材の表面から容易にめくられ、一対の板材の双方の突合せ部から脱落してしまうおそれがある。このため、板材カバーの上記の脱落を確実に回避するためには、両面テープや接着剤を併用することが必要になっている。
【0008】
本発明の課題は、両面テープや接着剤を用いることなく、一対の板材の突合せ部に容易に取付けでき、しかも脱落し難い板材カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、壁面に添って、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、前記表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部とを有してなる板材カバーであり、前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関して、該壁面への引掛かり部を備えるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置され、前記表面被覆部と前記背板部とを連結する連結部とを有してなるようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記連結部が前記表面被覆部の先端部に前記背板部を連結してなるようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記連結部が棒状をなすようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る発明において更に、前記背板部が前記壁面に接する面に前記引掛かり部となる引掛かり突起を設けるとき、該背板部の先端部分から一定距離までの範囲には該引掛かり突起が設けられないようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項に係る発明において更に、前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される前記背板部の上記化粧シートに接する部分に対応し、該背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離までの範囲において該壁面に接する面には前記引掛かり突起が設けられないようにしたものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに係る発明において更に、前記背板部は、該背板部の前記壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に、前記表面被覆部の基端部よりも張り出る張り出し部を備えるようにしたものである。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明において更に、前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、前記張り出し部は、前記背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離を介して先端部分の側に離隔し、かつ上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される該背板部の上記化粧シートに接する部分に隣接する部分に、該背板部の該壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部であるようにしたものである。
【0017】
請求項9に係る発明は、壁面に添って、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、前記表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部とを有してなる板材カバーであり、前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理されており、前記背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離を介して先端部分の側に離隔し、かつ上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される該背板部の上記化粧シートに接する部分に隣接する部分に、該背板部の該壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部を備えるようにしたものである。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに係る発明において更に、前記背板部の先端部分に先細り形状を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
(請求項1、9
(a)板材カバーは、一対の板材の突合せ部に取付けられたとき、表面被覆部が板材の表面を覆い、表面被覆部の基端部から該表面被覆部の背面側に延在された背板部が、板材の裏面と壁面との間に挿入されて該表面被覆部とともに該板材を挟持する。
上述(a)により、板材カバーは、表面被覆部と背板部との間において板材を挟持することで、水平方向の移動が拘束される。これにより、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーの板材からの脱落を安定的に防止できる。
【0020】
(請求項2)
(b)前記表面被覆部が連絡部により前記背板部に連結される。
【0021】
上述(b)により、板材カバーは、表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に延在される背板部が、該表面被覆部と連結部を介して連結される。即ち、板材カバーは、表面被覆部、該表面被覆部の基端部、背板部、及び連結部が閉じ断面状につながって無端周回状をなす。即ち、連結部の存在により、板材の表面を被覆する表面被覆部と、板材の裏面と壁面との間に挿入された背板部とが、板材における表面乃至裏面に渡る部分を包み込んで該板材から離れることのないように連結され、該板材に添設されて取付けられる。従って、板材カバーは、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けても、板材の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材からめくれることなく安定的に該板材に被着される。これにより、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーの板材からの脱落を安定的に防止できる。
【0022】
(請求項3)
(c)前記連結部が前記表面被覆部の先端部に前記背板部を連結してなることにより、連結部が表面被覆部と背板部に及ぼす上述(b)の連結機能を簡易に実現し、上述(b)の板材カバーの取付け安定性を確保できる。
【0023】
(請求項4)
(d)前記連結部が棒状をなすことにより、連結部が表面被覆部と背板部に及ぼす上述(b)の連結機能を一層簡易に実現し、上述(b)の板材カバーの取付け安定性を確保できる。
【0024】
(請求項
(e)前記背板部は、該背板部の前記壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に、前記表面被覆部の基端部よりも張り出る張り出し部を備える。
【0025】
これにより、背板部は板材の裏面と壁面との間に挿入されて表面被覆部とともに該板材を挟持する量を増大する。従って、板材カバーは、背板部と板材の裏面及び壁面との間に生ずる摩擦力等に起因する引き抜け防止性能を向上し、板材からの脱落を安定的に防止できる。
【0026】
(請求項
(f)前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関し、該壁面への引掛かり部を備えることにより、板材の裏面と壁面との間に挿入されて該板材に取付けられた板材カバーの該板材からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0027】
(請求項
(g)前記背板部が前記壁面に接する面に前記引掛かり部となる引掛かり突起を設けるとき、該背板部の先端部分から一定距離までの範囲には該引掛かり突起が設けられないものとした。
【0028】
これにより、背板部の板材の裏面と壁面との間への挿入性を向上できる。背板部が先端部分にも引掛かり突起を備えていると、当該先端部分の総肉厚が大きくなり、壁面に接する引掛かり突起が背板部を板材の側へ押し、当該先端部分が板材の裏面と壁面との間へ入りにくくなる。
【0029】
(請求項
(h)前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理される。このとき、上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される前記背板部の上記化粧シートに接する部分に対応し、該背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離までの範囲において該壁面に接する面には前記引掛かり突起が設けられない。
【0030】
これにより、背板部が板材の裏面と壁面との間に挿入されたとき、背板部において引掛かり突起が設けられている先端部分の側は該引掛かり突起の存在により壁面から押される力F1により板材の方向へ押される(図13(B))。他方、背板部において該引掛かり突起が設けられていない基端接合部の側は化粧シートによりバックアップされた力F2により壁面の方向へ押される(図13(B))。従って、背板部は上記F1、F2の作用によるモーメントを受けてその基端接合部の側を壁面に押され、その一部に引掛かり突起を備えていて総肉厚が大きくなるにもかかわらず、壁面との間に生ずる隙間の量を低減できる。背板部に設けた引掛かり突起が食い込みにくい石膏ボード等の弾性の少ない壁面へ適用される板材カバーにあっても、上記隙間の量を低減できる。
【0031】
(請求項8、9)
(i)前記板材が表面に化粧シートを備え、前記表面被覆部の基端部によって被覆される該板材の一端部で折り返された該化粧シートが、該板材の裏面の中間高さ位置まで巻付け処理される。このとき、前記背板部における前記表面被覆部の基端部に接合された基端接合部から一定距離を介して先端部分の側に離隔し、かつ上記板材の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置される該背板部の上記化粧シートに接する部分に隣接する部分に、該背板部の該壁面に接する面に沿って、該背板部の該壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部を備える。
【0032】
これにより、板材の裏面と壁面との間に背板部が挿入されて取付けられた板材カバーに外力が作用し、該板材カバーが引き抜け方向へ変位すると、背板部に備えてある張り出し部のエッジが板材に巻付け処理されている化粧シートの巻付け端に当たる。板材カバーの引き抜けを阻止するものになり、板材からの脱落を防止できる。
【0033】
(請求項10)
(j)前記背板部の先端部分が先細り形状をなすことにより、該背板部の板材の裏面と壁面との間への挿入性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は第1実施形態に係る出隅板材カバーを示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図2図2図1の第1実施形態に係る出隅板材カバーであって、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図3図3は出隅板材カバーを示し、(A)は右側正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は左側正面図である。
図4図4図3の出隅板材カバーであって、(A)は上面図、(B)は下面図、(C)は図3(D)のIVC-IVC線に沿う断面図、(D)は(A)のD-Dに沿う断面図である。
図5図5は第2実施形態に係る入隅板材カバーを示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図6図6図5の第2実施形態に係る入隅板材カバーであって、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図7図7は入隅板材カバーを示し、(A)は左側正面図、(B)は右側正面図、(C)は右側面図、(D)は左側面図である。
図8図8図7の入隅板材カバーであって、(A)は上面図、(B)は下面図、(C)は図7(D)のVIIIC-VIIIC線に沿う断面図、(D)は(A)のD-Dに沿う断面図である。
図9図9は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図10図10は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、(A)は板材を透視した背面下向き斜視図、(B)は板材を透視した背面上向き斜視図である。
図11図11は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、(A)は断面図、(B)は要部拡大断面図である。
図12図12は出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示し、図11(B)のXIIB-XIIB線に沿う断面図である。
図13図13は出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図である。
図14図14は化粧シートが貼られた板材を示し、(A)は正面図、(B)は端面図、(C)は斜視図である。
図15図15は第1実施形態に係る出隅板材カバーの変形例を示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図16図16図15の第1実施形態に係る出隅板材カバーの変形例であって、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図17図17図15図16の出隅板材カバーを示し、(A)は側面図、(B)は上面図、(C)は(A)のC-C線に沿う断面図、(D)は(B)のD-Dに沿う断面図である。
図18図18は第2実施形態に係る入隅板材カバーの変形例を示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図19図19図18の第2実施形態に係る入隅板材カバーの変形例であって、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図20図20図18図19の入隅板材カバーを示し、(A)は側面図、(B)は上面図、(C)は(A)のC-C線に沿う断面図、(D)は(B)のD-Dに沿う断面図である。
図21図21図15図16の出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1乃至図4に示した第1実施形態に係る出隅板材カバー10は、図9乃至図11に示した壁面Wの出隅WAに配置された一対の板材1、1の双方の突合せ部2をカバーする。尚、各板材1の突合せ端面(木口)は互いに向かい合い、一定の隙間G(図11)を形成するものとされている。
【0036】
図9乃至図11において、出隅板材カバー10が適用される一対の板材1、1は、壁面Wの床寄りの両側に配置された一対の幅木を構成するものとされている。但し、この出隅板材カバー10が適用される一対の板材1、1は、壁面Wの天井寄りの両側に配置された一対の回り縁(不図示)を構成するものでも良い。尚、壁面Wは表面が石膏ボード又は壁紙等の各種壁材からなるものを採用できる。図13において、WSは壁面Wにおける壁紙等の表皮部を示す。
【0037】
ここで、板材1は、図14に示す如く、表面1Aに化粧シート3(厚み例えば0.1乃至0.2mm程度)が貼られ、この化粧シート3が裏面1Bにまで後述する如くに巻付け処理されたものとすることができ、裏面1Bを壁面Wに添わせるように配置される。但し、板材1は、化粧シート3を備えることを必須としない。
【0038】
出隅板材カバー10は、射出成形により一体成形された樹脂製であり、表面被覆部11、表面被覆部11の基端部11Aに付設された上端面被覆部12、背板部13、及び連結部14を有している。
【0039】
表面被覆部11は、壁面Wの出隅WAの形状に合わせて水平方向に沿った断面がL字状をなすとともに、鉛直方向に沿って前記一対の板材1、1の高さH(図9)と略同一長さの高さをなす板状体11Pを備え、その高さ方向に沿うように基端部11Aから先端部11Bまで延在され、該先端部11Bを床(又は天井)に対向配置することにより、一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1Aを被覆する。
【0040】
尚、表面被覆部11を構成する板状体11Pの基端部11Aには、該板状体11Pから概ね直角状に屈曲された上端面被覆部12を付設して備え、この上端面被覆部12によって各板材1の上端面1Cを被覆する部分を構成している。
【0041】
背板部13は、表面被覆部11の基端部11Aに上端面被覆部12を介して接合された基端接合部13Aの側から先端部分13Bの側に向けて該表面被覆部11における板状体11Pの背面側において、その高さ方向に沿うように延在され、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の裏面1Bと前記壁面Wとの間に先端部分13Bの側から鉛直方向に挿入されて配置され、該表面被覆部11とともに前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2を挟持する。尚、背板部13は、表面被覆部11と同様に、壁面Wの出隅WAの形状に合わせて水平方向に沿った断面をL字状とし、L字断面の中心線13Hを挟む左右の背板13K、13Lからなるとともに、前記一対の板材1、1の高さHと略同一長さの高さを備える。
【0042】
連結部14は、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2が形成する隙間Gにおける水平方向に沿う奥行き長さと略同一長さをなしてその隙間G内に配置され、前記表面被覆部11(本実施形態では表面被覆部11の先端L字コーナー部11V)と前記背板部13(本実施形態では背板部13の先端のL字コーナー部13V)とを連結する。
【0043】
即ち、本実施形態では、連結部14は、表面被覆部11の先端部11Bに背板部13を連結している。このとき、背板部13は表面被覆部11の基端部11Aに上端面被覆部12を介して接合され、板材11の高さ方向の下端部にまで延在されている。
【0044】
また、本実施形態では、図1乃至図4に示す如く、連結部14が表面被覆部11から背板部13に向かう方向に直交する断面形状を角棒又は丸棒等とする棒状をなすものとされている。
【0045】
これにより、前記一対の板材1、1の突合せ部2に出隅板材カバー10を取付けるとき、図12に示す如く、背板部13が両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に先端部分13Bから鉛直方向に差し込まれるものになる。
【0046】
従って、本実施形態の出隅板材カバー10によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)出隅板材カバー10は、一対の板材1、1の突合せ部2に取付けられたとき、表面被覆部11が板材1の表面1Aを覆い、表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)から該表面被覆部11の背面側に延在された背板部13が、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて該表面被覆部11とともに該板材1を挟持する。
【0047】
上述(a)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11と背板部13との間において板材1を挟持することで、水平方向の移動が拘束される。これにより、出隅板材カバー10を板材1に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、出隅板材カバー10の板材1からの脱落を安定的に防止できる。
【0048】
(b)前記表面被覆部11が連結部14により前記背板部13に連結される。
【0049】
上述(b)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11の基端部11Aに接合され
て該表面被覆部11の背面側に延在される背板部13が、該表面被覆部11と連結部14を介して連結される。即ち、出隅板材カバー10は、表面被覆部11、該表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)、背板部13、及び連結部14が閉じ断面状につながって無端周回状をなす。即ち、連結部14の存在により、板材1の表面1Aを被覆する表面被覆部11と、板材1の裏面11Bと壁面Wとの間に挿入された背板部13とが、板材1における表面乃至裏面に渡る部分を包み込んで該板材1から離れることのないように連結され、該板材1に添設されて取付けられる。従って、出隅板材カバー10は、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けても、板材1の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材1からめくれることなく安定的に該板材1に被着される。これにより、出隅板材カバー10を板材1に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、出隅板材カバー10の板材1からの脱落を安定的に防止できる。
【0050】
(c)前記連結部14が前記表面被覆部11の先端部11Bに前記背板部13を連結してなることにより、連結部14が表面被覆部11と背板部13に及ぼす上述(b)の連結機能を簡易に実現し、上述(b)の出隅板材カバー10の取付け安定性を確保できる。
【0051】
(d)前記連結部14が棒状をなすことにより、連結部14が表面被覆部11と背板部13に及ぼす上述(b)の連結機能を一層簡易に実現し、上述(b)の出隅板材カバー10の取付け安定性を確保できる。
【0052】
更に、本実施形態の出隅板材カバー10において、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて配置される背板部13は、表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)よりも、該背板部13の該壁面Wに接する面に沿って、該背板部13の該壁面Wに対する挿入方向と交差する外方向に張り出る張り出し部15を備える。背板部13の各背板13K、13Lが備える張り出し部15の張り出し量aは、図1(B)、図4(E)に示したaになる。
【0053】
これにより、背板部13は、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて、表面被覆部11とともに該板材1を挟持する量を増大する。従って、出隅板材カバー10は、背板部13と板材1の裏面1B及び壁面Wとの間に生ずる摩擦力等に起因する引き抜け防止性能を向上し、板材1からの脱落を安定的に防止できる。
【0054】
但し、本発明においては、背板部13が張り出し部15を備えることを必須としない。
【0055】
また、本実施形態の出隅板材カバー10において、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて配置される背板部13は、該壁面Wに対する挿入方向K(図1(B))と逆向きの引き抜け方向R(図1(B))に関して、該壁面Wへの引掛かり部16を備える。引掛かり部16としては、背板部13の壁面Wに接する面に、該背板部13の壁面Wに対する挿入方向に直交する方向に直線状をなして伸びた複数条の直線状引掛かり突起16A(突起高さは例えば0.3乃至0.5mm程度)を採用できる。
【0056】
尚、引掛かり部16を構成する引掛かり突起16Aは、本実施形態では壁面Wへの引掛かりの確実を図るために三角断面突起状をなすものとしたが、三角断面突起状に限らず、四角断面突起状等の他の引掛かり凸部からなるものでも良い。
【0057】
従って、出隅板材カバー10によれば、背板部13が備える引掛かり部16(引掛かり突起16A)の存在により、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて該板材1に取付けられた該出隅板材カバー10の該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0058】
尚、引掛かり部16は、基本的には背板部13において前述した張り出し部15を含む全面に設けることができる。
【0059】
但し、本実施形態の出隅板材カバー10において、背板部13が壁面Wに接する面に引掛かり部16となる引掛かり突起16Aを設けるとき、該背板部13の先端部分13Bから一定距離(例えばd)までの範囲Y(図1(B))には該引掛かり突起16Aを設けないものとすることができる。
【0060】
これによれば、背板部13の板材1の裏面1Bと壁面Wとの間への挿入性を向上できる。背板部13が先端部分13Bにも引掛かり突起16Aを備えていると、当該先端部分13Bの肉厚が大きくなり、壁面Wに接する引掛かり突起16Aに該壁面Wが及ぼす力F0(図13(A))が背板部13を板材1の側へ押し、当該先端部分13Bが板材1の裏面1Bと壁面Wとの間へ入りにくくなる。
【0061】
また、本実施形態の出隅板材カバー10が適用される板材1としては、図14に示す如く、表面1Aに化粧シート3を備えるものを採用することができる。化粧シート3は、板材1の表面1Aに貼り付けられるとともに、該板材カバー10における表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)によって被覆される該板材1の一端部で折り返され、該板材1の裏面1Bの中間高さ位置まで巻付け処理される。例えば、化粧シート3は、図13図14に示した板材1の裏面1Bにおける一端部から距離eまでの範囲に巻付けられる。
【0062】
このような化粧シート3が上述の如くに巻付け処理された板材1に適用される出隅板材カバー10にあっては、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて配置される背板部13の上記化粧シート3に接する部分に対応し、該背板部13における表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)に接合された基端接合部13Aから一定距離(例えばe)の範囲Z(図1(B))において、該壁面Wに接する面には、前述の引掛かり突起16Aが設けられないものとすることができる。
【0063】
これにより、背板部13が板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されたとき、背板部13において引掛かり突起16Aが設けられている先端部分13Bの側は該引掛かり突起16Aの存在に起因して生ずる力F1により板材1の方向へ押される(図13(B))。他方、背板部13において該引掛かり突起16Aが設けられていない基端接合部13Aの側は化粧シート3にバックアップされた力F2により壁面Wの方向へ押される(図13(B))。従って、背板部13は上記F1、F2の作用によるモーメントを受けてその基端接合部13Aの側を壁面Wに押され、その一部に引掛かり突起16Aを備えていて総肉厚が大きくなるにもかかわらず、壁面Wとの間に生ずる隙間の量を低減できる。背板部13に設けた引掛かり突起16Aが食い込みにくい石膏ボード等の弾性の少ない壁面へ適用される出隅板材カバー10にあっても、上記隙間の量を低減できる。
【0064】
また、化粧シート3が上述の如くに巻付け処理された板材1に適用される出隅板材カバー10にあっては、背板部13における表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)に接合された基端接合部13Aから先端部分13Bの側に離隔し、かつ上記板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて配置される背板部13の上記化粧シート3に接する部分に隣接する部分に、該背板部13の該壁面Wに接する面に沿って、該背板部13の該壁面Wに対する挿入方向Kと交差する外方向に張り出る張り出し部17を備える。本実施形態の出隅板材カバー10において、張り出し部17は前述した張り出し部15と兼ねるものとした。但し、張り出し部15と張り出し部17は互いに独立して存在するものとすることもできる。
【0065】
これにより、背板部13が板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入された出隅板材カバー10に外力が作用し、該板材カバー10が引き抜け方向へ変位すると、背板部13に備えてある張り出し部17のエッジが板材1に巻付け処理されている化粧シート3の巻付け端に当たる。出隅板材カバー10の引き抜けを阻止するものになり、板材1からの脱落を防止できる。
【0066】
また、本実施形態の出隅板材カバー10にあっては、背板部13は、先端部13Bが先細り形状をなす先細り部18とすることができる。具体的には、図1(B)、図2(B)に示す如く、背板部13の各背板13K、13Lの外縁が、中心線13Hに平行をなす真直縁部13Tと、真直縁部13Tに斜交して先端側に延びる傾斜縁部13Sとを有するものにし、左右の傾斜縁部13S、13Sによって先細り部18を形成するものにした。
【0067】
出隅板材カバー10によれば、図9図10に示す如くに前記一対の板材1、1の突合せ部2に取付けるとき、背板部13が先端部分の先細り部18から両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に差し込まれるものになり、その板材1と壁面Wとの間への挿入性を向上できる。
【0068】
図5乃至図8に示した第2実施形態に係る入隅板材カバー20は、図9乃至図11に示した壁面Wの入隅WBに配置された一対の幅木(回り縁でも可)を構成する板材1、1の双方の突合せ部2をカバーするものである。
【0069】
入隅板材カバー20は、図1乃至図4に示した出隅板材カバー10の各部の形状を入隅WBの形状に合わせて変形したものであり、出隅板材カバー10の表面被覆部11(基端部11A、先端部11B、L字コーナー部11V)、上端面被覆部12、背板部13(基端接合部13A、先端部分13B、各背板13K、13L、中心線13H、L字コーナー部13V)、連結部14と同様に機能する表面被覆部21(基端部21A、先端部21B、L字コーナー部21V)、上端面被覆部22、背板部23(基端接合部23A、先端部分23B、各背板23K、23L、中心線23H、L字コーナー部23V)、連結部24を備える。
【0070】
即ち、入隅板材カバー20は、一対の板材1、1の高さ方向に沿うように基端部21Aから先端部21Bまで延在され、該先端部21Bを床(又は天井)に対向配置することにより、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1Aを被覆する表面被覆部21を有する。
【0071】
また、入隅板材カバー20は、表面被覆部21の基端部21A(本実施形態では基端部21Aに付設された上端面被覆部22)に接合されて該表面被覆部21の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の裏面1Bと前記壁面Wとの間に挿入されて配置され、該表面被覆部21とともに前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2を挟持する背板部23を有する。
【0072】
また、入隅板材カバー20は、出隅板材カバー10において備えることができるとした張り出し部15、引掛かり部16、張り出し部17、先細り部18と同様の張り出し部25、引掛かり部26、張り出し部27、先細り部28を備えることができる。
【0073】
従って、本実施形態の入隅板材カバー20にあっても、出隅板材カバー10において前述したと同様の作用効果を奏する。
【0074】
図15乃至図17は、第1実施形態に係る出隅板材カバー10の変形例に係る出隅板材カバー10Aを示すものである。出隅板材カバー10Aにおいて、出隅板材カバー10におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
出隅板材カバー10Aは、出隅板材カバー10において表面被覆部11と背板部13とを連結するものとした連結部14が、表面被覆部11と背板部13の各高さ方向の全長に渡って延在された連結部14Aとされ、表面被覆部11と背板部13をそれらの全長に渡る部分において当該連結部14Aにより連結するものである。
【0076】
尚、表面被覆部11と背板部13の各高さ方向において離隔する複数の部分同士を、複数個の連結部によって連結することもできる。
【0077】
出隅板材カバー10Aにあっても、図21に示す如く、出隅板材カバー10におけると同様にして、表面被覆部11、該表面被覆部11の基端部11A(本実施形態では基端部11Aに付設された上端面被覆部12)、背板部13、及び連結部14Aが閉じ断面状でつながって無端周回状をなす。即ち、出隅板材カバー10Aは、連結部14Aの存在により、板材1の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材1からめくれることなく安定的に該板材1に被着され、出隅板材カバー10において前述したと同様の作用効果を奏する。
【0078】
図18乃至図20は、第2実施形態に係る入隅板材カバー20の変形例に係る入隅板材カバー20Aを示すものである。入隅板材カバー20Aにおいて、入隅板材カバー20におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
入隅板材カバー20Aは、入隅板材カバー20において表面被覆部21と背板部23とを連結するものとした連結部24が、表面被覆部21と背板部23の各高さ方向の全長に渡って延在された連結部24Aとされ、表面被覆部21と背板部23をそれらの全長に渡る部分において当該連結部24Aにより連結するものである。
【0080】
尚、表面被覆部21と背板部23の各高さ方向において離隔する複数の部分同士を、複数個の連結部によって連結することもできる。
【0081】
入隅板材カバー20Aにあっても、入隅板材カバー20におけると同様にして、表面被覆部21、該表面被覆部21の基端部21A(本実施形態では基端部21Aに付設された上端面被覆部22)、背板部23、及び連結部24Aが閉じ断面状でつながって無端周回状をなす。従って、入隅板材カバー20Aは、連結部24Aの存在により、板材1の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材1からめくれることなく安定的に該板材1に被着され、入隅板材カバー20において前述したと同様の作用効果を奏する。
【0082】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、連結部は、図12(A)に2点鎖線で示す如く、表面被覆部における基端部と先端部の間に位置する中間部と背板部とを連結するものでも良い。このとき、背板部は表面被覆部の基端部に接合されるものであれば、板材の高さ方向の下端部にまで延在されることを要しない。
【0083】
また、板材カバーは、表面被覆部11と背板部13の各高さ方向に直交する方向(横方向)において離隔する複数の部分同士を連結し、それぞれ一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置される複数個の連結部を有するものでも良い。
【0084】
また、背板部が備える壁面への引掛かり部は、引掛かり突起(引掛かり凸部)に限らず、引掛かり孔部又は引掛かり凹部であっても良い。引掛かり孔部は、背板部の背板を貫通する1個以上の孔からなり、板カバーの引き抜け方向が上向きをなすとき、該引掛かり孔部の下側縁部のエッジが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向で壁面Wに引っ掛かる引掛かり部を構成する。また、引掛かり凹部は、背板部の背板に設けられた1個以上の凹部からなり、板材カバーの引き抜け方向が上向きをなすとき、該引掛かり凹部の下側縁部のエッジが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向で壁面に引っ掛かる引掛かり部を構成する。
【0085】
また、背板部が備える壁面への引掛かり部は、背板部の背板を壁面に対する挿入方向と交差する外方向に張り出してなる1個又は複数条をなす張り出し部(前述の張り出し部15又は張り出し部17でも可)からなるものでも良い。板材カバーの引き抜け方向が上向きをなすとき、該張り出し部の上側縁部のエッジが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向で壁面に引っ掛かる引掛かり部を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、両面テープや接着剤を用いることなく、一対の板材の突合せ部に容易に取付けでき、しかも脱落し難い板材カバーを提供することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 板材
2 突合せ部
1A 表面
1B 裏面
10、10A 出隅板材カバー
11 表面被覆部
11A 基端部
11B 先端部
12 上端面被覆部
13 背板部
14 連結部
15 張り出し部
16 引掛かり部
17 張り出し部
18 先細り部
20、20A 入隅板材カバー
21 表面被覆部
21A 基端部
21B 先端部
22 上端面被覆部
23 背板部
24、24A 連結部
25 張り出し部
26 引掛かり部
27 張り出し部
28 先細り部
G 隙間
K 挿入方向
R 引き抜け方向
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21