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特許7440345無線通信装置、および、無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】無線通信装置、および、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/16 20090101AFI20240220BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240220BHJP
   H04W 40/30 20090101ALI20240220BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240220BHJP
【FI】
H04W40/16
H04W88/06
H04W40/30
H04W84/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020092112
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021190754
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩太郎
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216301(JP,A)
【文献】特開2017-168922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波およびミリ波を使用可能であって、マイクロ波またはミリ波を使用して通信データを送受信する無線通信装置であって、
あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する干渉判定部と、
自無線通信装置の識別情報、自無線通信装置が使用中のミリ波の通信チャネルの識別情報、前記あらかじめ定められた複数のすべてのミリ波の通信チャネルの識別情報、および、当該ミリ波の通信チャネルに干渉が発生しているか否かを示す情報と、を対応付けて通信チャネル情報として記憶する記憶部と、
前記通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル情報を受信するマイクロ波送受信部と、
前記記憶部が、自無線通信装置の通信チャネル情報と他の無線通信装置から受信した通信チャネル情報を結合し、あらたな通信チャネル情報として記憶し、前記あらたな通信チャネル情報を参照して、ミリ波でデータ通信が可能な通信チャネルを選択、または、マイクロ波でデータ通信を実行することを選択する通信チャネル選択部と、
ミリ波信号を受信するミリ波送受信部を、を含み、
干渉のために前記ミリ波信号が自無線通信装置の属する無線通信システムの信号であるか否かを判定できない場合であって、前記マイクロ波送受信部がマイクロ波で通信チャネル切り替え情報を受信した場合には、前記干渉判定部が前記あらかじめ定められた複数のミリ波のすべての通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、
前記通信チャネル切り替え情報を送信した他無線通信装置が要求する通信チャネルに干渉が発生していない場合に、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が要求する通信チャネルとして更新する更新部をさらに備える、
無線通信装置。
【請求項2】
無線通信装置の起動時に、前記干渉判定部によって、前記あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する処理が実行される請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が要求する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、前記更新された通信チャネル情報の干渉情報を含む通信チャネル切り替え情報を前記マイクロ波送受信部がブロードキャストし、
送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が要求する通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え部をさらに含む請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
自無線通信装置に通信データの送信要求が発生した場合であって、前記通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置と送信元の自無線通信装置の通信チャネルが異なる場合に、前記干渉判定部はあらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、
前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していないと判定された場合に、前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が使用する通信チャネルとして更新し、
前記マイクロ波送受信部が、自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が使用する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、前記更新された通信チャネル情報の干渉情報を含む通信チャネル切り替え情報をブロードキャストし、
前記通信チャネル切り替え部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が使用する通信チャネルに切り替える、請求項1~3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していると判定された場合に、通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置に干渉がない通信チャネルであり、送信元の自無線通信装置に干渉がない通信チャネルであり、その他の無線通信装置においても干渉の発生が最も少ない通信チャネルを選択する通信チャネル選択部と、をさらに含み、
前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを前記選択された通信チャネルとして更新し、
前記マイクロ波送受信部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを前記干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え情報をマイクロ波でブロードキャストし、
前記通信チャネル切り替え部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを前記干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替える請求項からのいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通信チャネル切り替え情報がある場合には、前記通信チャネル切り替え情報はビーコンに含まれて送信され、前記ビーコンは各無線通信装置が異なるタイミングで定期的に送信、または、各無線通信装置があらかじめ定められた順番で送信する請求項1からのいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記干渉判定部は、あらかじめ定められた期間ごとに、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、
前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って更新し、
前記マイクロ波送受信部は、更新された前記通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報を受信し、
前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報に従って更新する請求項からのいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
マイクロ波およびミリ波を使用可能であって、マイクロ波またはミリ波を使用して通信データを送受信する無線通信装置であって、
あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する干渉判定部と、
自無線通信装置の識別情報、自無線通信装置が使用中のミリ波の通信チャネルの識別情報、前記あらかじめ定められた複数のすべてのミリ波の通信チャネルの識別情報、および、当該ミリ波の通信チャネルに干渉が発生しているか否かを示す情報と、を対応付けて通信チャネル情報として記憶する記憶部と、
前記通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル情報を受信するマイクロ波送受信部と、
前記記憶部が、自無線通信装置の通信チャネル情報と他の無線通信装置から受信した通信チャネル情報を結合し、あらたな通信チャネル情報として記憶し、前記あらたな通信チャネル情報を参照して、ミリ波でデータ通信が可能な通信チャネルを選択、または、マイクロ波でデータ通信を実行することを選択する通信チャネル選択部と、を含み、
前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルと送信元の自無線通信装置の通信チャネルに、前記干渉が発生していない共通のミリ波の通信チャネルが存在しない場合には、前記マイクロ波送受信部によって、マイクロ波を使用して、通信データを宛先の他無線通信装置に送信する、無線通信装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の無線通信装置を複数含み、
前記無線通信装置のすべてが、移動体内部または建造物内部に配置される無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、および、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、干渉信号が存在する場合であっても効率的に無線通信を実行可能な無線通信装置および無線通信システムの開発がなされてきている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載される無線通信装置は、以下の構成を開示している。すなわち、当該無線通信装置は、放射パターンを変更可能なアンテナを介して受信した信号を解析することにより、第1チャネルの干渉信号を検出する検出部を含む構成を開示している。さらに、当該無線通信装置は、第1チャネルの干渉信号に基づいて、放射パターンの選択ポリシーを決定し、選択ポリシーに従ってアンテナの放射パターンを変更する制御部と、を含む構成を開示している。アンテナの放射パターンの変更後、第1チャネルを介して、第2チャネルに切り替えるためのチャネル切り替え情報を他無線通信装置に送信する。しかし、干渉によってチャネル切り替え情報を受信できない他無線通信装置が存在する場合には、さらにアンテナの放射パターンを切り替えながらチャネル切り替え情報の送信を試みる。結果的に、チャネル切り替え情報を受信できなかった他無線通信装置は、第1チャネルに存在し続け、他無線通信装置が第1チャネルで無線通信ができなくなったことを検知すると、チャネルサーチを実行し、第2チャネルに切り替える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-50125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される無線通信装置は、動作チャネルが干渉されている場合には、放射パターンを変更して、当該動作チャネルにてチャネル切り替え情報を送信するので、放射パターンを変更するために時間が必要となる場合がある。また、放射パターンを変更しても、変更後の放射パターンも干渉によって影響される可能性があるので、チャネル変更までに時間が必要となる場合がある。また、チャネル切り替え情報を受信するべき他無線通信装置が干渉を受けている場合には、同じ動作チャネルを使用できなくなる期間が発生する可能性がある。また、他無線通信装置が、チャネルサーチを実行したとしても、遅延が大きくなる可能性がある。また、通信制御を実行する無線通信装置以外の他無線通信装置だけが干渉されている場合には、当該無線通信装置は干渉状況を把握できない構成であるために、他無線通信装置は干渉された状態が長引く場合もある。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能な無線通信装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る無線通信装置は、マイクロ波およびミリ波を使用可能であって、マイクロ波またはミリ波を使用して通信データを送受信する無線通信装置であって、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する干渉判定部と、自無線通信装置の識別情報、自無線通信装置が使用中のミリ波の通信チャネルの識別情報、前記あらかじめ定められた複数のすべてのミリ波の通信チャネルの識別情報、および、当該ミリ波の通信チャネルに干渉が発生しているか否かを示す情報と、を対応付けて通信チャネル情報として記憶する記憶部と、前記通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル情報を受信するマイクロ波送受信部と、前記記憶部が、自無線通信装置の通信チャネル情報と他の無線通信装置から受信した通信チャネル情報を結合し、あらたな通信チャネル情報として記憶し、前記あらたな通信チャネル情報を参照して、ミリ波でデータ通信が可能な通信チャネルを選択、または、マイクロ波でデータ通信を実行することを選択する通信チャネル選択部と、を含む。
【0008】
本発明の態様に係る無線通信装置の起動時に、前記干渉判定部によって、前記あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する処理が実行されることが好ましい。
【0009】
本発明の態様に係る無線通信装置は、ミリ波信号を受信するミリ波送受信部を、さらに備え、干渉のために前記ミリ波信号が自無線通信装置の属する無線通信システムの信号であるか否かを判定できない場合であって、前記マイクロ波送受信部がマイクロ波で通信チャネル切り替え情報を受信した場合には、前記干渉判定部が前記あらかじめ定められた複数のミリ波のすべての通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、前記通信チャネル切り替え情報を送信した他無線通信装置が要求する通信チャネルに干渉が発生していない場合に、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が要求する通信チャネルとして更新する更新部と、を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の態様に係る無線通信装置は、自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が要求する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、前記更新された通信チャネル情報の干渉情報を含む通信チャネル切り替え情報を前記マイクロ波送受信部がブロードキャストし、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が要求する通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え部をさらに含むことが好ましい。
【0011】
本発明の態様に係る無線通信装置は、自無線通信装置に通信データの送信要求が発生した場合であって、前記通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置と送信元の自無線通信装置の通信チャネルが異なる場合に、前記干渉判定部はあらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していないと判定された場合に、前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が使用する通信チャネルとして更新し、前記マイクロ波送受信部が、自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が使用する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、前記更新された通信チャネル情報の干渉情報を含む通信チャネル切り替え情報をブロードキャストし、前記通信チャネル切り替え部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が使用する通信チャネルに切り替えることが好ましい。
【0012】
本発明の態様に係る無線通信装置は、前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していると判定された場合に、通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置に干渉がない通信チャネルであり、送信元の自無線通信装置に干渉がない通信チャネルであり、その他の無線通信装置においても干渉の発生が最も少ない通信チャネルを選択する通信チャネル選択部と、をさらに含み、前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを前記選択された通信チャネルとして更新し、前記マイクロ波送受信部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを前記干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え情報をマイクロ波でブロードキャストし、前記通信チャネル切り替え部は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを前記干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替えることが好ましい。
【0013】
本発明の態様に係る無線通信装置は、前記干渉判定部の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルと送信元の自無線通信装置の通信チャネルに、前記干渉が発生していない共通のミリ波の通信チャネルが存在しない場合には、前記マイクロ波送受信部によって、マイクロ波を使用して、通信データを宛先の他無線通信装置に送信することが好ましい。
【0014】
本発明の態様に係る無線通信装置は、前記通信チャネル切り替え情報がある場合には、前記通信チャネル切り替え情報はビーコンに含まれて送信され、前記ビーコンは各無線通信装置が異なるタイミングで定期的に送信、または、各無線通信装置があらかじめ定められた順番で送信することが好ましい。
【0015】
本発明の態様に係る無線通信装置は、前記干渉判定部は、あらかじめ定められた期間ごとに、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定し、前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を前記干渉判定部の判定結果に従って更新し、前記マイクロ波送受信部は、更新された前記通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報を受信し、前記更新部は、前記記憶部に記憶されている前記通信チャネル情報を他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報に従って更新することが好ましい。
【0016】
本発明の他の態様に係る無線通信システムは、無線通信装置を複数含み、前記無線通信装置のすべてが、移動体内部または建造物内部に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能な無線通信装置等を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
図2図1において、特定の無線通信装置とミリ波で通信可能な他の無線通信装置との関係の一例を示す模式図である。
図3】本実施形態に係る無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態に係る無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係るマイクロ波の通信チャネル切り替え情報のデータフレームの一例を示す模式図である。
図6】本実施形態に係る通信チャネル情報の一例を示す模式図である。
図7】本実施形態に係る干渉の発生例の一例を示す模式図である。
図8】本実施形態に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係わる無線通信装置および無線通信システムの一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0020】
(無線通信システムの概要)
本実施形態の無線通信システムは、2台以上の無線通信装置を有し、各無線通信装置は、大容量高速通信が可能なミリ波無線モジュールと、長距離通信が可能なマイクロ波無線モジュールとを含む。
【0021】
ミリ波無線は、約30~300GHzの周波数の電波を使用し、直進性が非常に強いので、一般的には指向性を持たせて通信を実行する。また、ミリ波無線は、空間減衰が大きいので、マイクロ波に比べて電波が遠くに届きにくい。
【0022】
マイクロ波無線通信は、ミリ波無線通信にくらべて伝送容量が小さいが、空間減衰がミリ波無線にくらべて小さく、無指向性アンテナであっても比較的広域で無線通信が可能である。
【0023】
本実施形態では、ミリ波無線をデータ通信に使用し、マイクロ波無線を通信チャネル切り替え情報の通信、および、特定の場合にデータ通信に使用する。
【0024】
ミリ波無線通信ネットワークにおいて、他無線通信装置にミリ波の干渉が発生している場合には、通信成功率が減少する場合がある。通信成功率を減少させないために、送信電力を上げる手法も考えられるが、送信電力を上げるためには、キャリアセンスが規格で規定されている。したがって、干渉が継続して発生している間は無線通信装置から送信ができないので、遅延が発生する場合もある。
【0025】
一方で、60GHz帯の通信規格であるIEEE802.11adでは、周波数チャネルが最大4チャネル設定されているので、チャネルを切り替えて干渉を回避することができる場合がある。
【0026】
しかし、上述したように、無線通信ネットワークにおいて、すべての無線通信装置が一斉に通信チャネルを切り替えることは困難な場合が多く、特にミリ波には指向性があるので一斉に通信チャネルを切り替えることはさらに困難である場合がある。また、通信チャネルに対する干渉が継続して発生している場合には、その間、データ通信や通信チャネルの切り替え信号の通信を実行ができない場合がある。
【0027】
そこで、本実施形態では、広域通信が可能なマイクロ波を使用して、ミリ波の干渉状況を無線通信ネットワーク全体で共有させることで、チャネル切り替えを容易にする。すなわち、ミリ波の通信チャネルの干渉状況を示す通信チャネル情報をすべての無線通信装置が共有することによって、最適な通信チャネルを各無線通信装置が選択可能とし、良好に無線通信させることを可能にする。
【0028】
(無線通信装置および無線通信システム)
図1から図8を参照して本実施形態に係わる無線通信装置および無線通信システムについて詳細に説明する。
【0029】
図1は無線通信システム1000によって構成される無線通信ネットワークの一例を示す模式図である。無線通信装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h、100i、100j、および、100kが無線通信ネットワークNW1を構築している。無線通信装置100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h、100i、100j、および、100kは、本明細書では無線通信装置100と総称する場合もある。一例として、無線通信ネットワークNW1は、車両などの移動体に設けられる場合もある。無線通信ネットワークNW1が移動体に設けられる場合には、無線通信装置100は固定されている場合もある。
【0030】
なお、本実施形態に係わる無線通信システムには、各無線通信装置の送受信タイミングを制御するコントローラが存在する場合と存在しない場合がある。例えば、コントローラが存在しない場合には、無線通信システムはCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)等のプロトコルを採用する。ただし、変形例のように他の無線通信方式を採用することも可能である。
【0031】
図2は無線通信システム1000によって構成されるミリ波無線通信ネットワークの一例を示す模式図である。上述したように、ミリ波無線は遠距離間で通信を実行することが難しい場合があるので、基本的には近接した無線通信装置と通信を実行する。例えば、図2の無線通信装置100aは、無線通信装置100b、100cおよび100eと無線通信が可能である。また、例えば、図2の無線通信装置100iは、無線通信装置100f、100g、100h、100jおよび100kと無線通信が可能である。無線通信装置100aから無線通信装置100iに無線通信を実行する場合には、中継伝送を実行することによって、無線通信を成立させることができる。中継伝送のルートは複数のルートを想定することができるが、無線通信時の伝送路の電波環境によって適切な中継伝送ルートが決定されることが可能である。例えば、複数の中継伝送のルートがある場合には、中継伝送する無線通信装置は、電波環境が最も良い無線通信装置が選択されることも可能である。
【0032】
図3および図4は、無線通信装置100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す無線通信装置100の動作の一例を示すフローチャートではミリ波を使用しての無線通信が実行される。
【0033】
ステップS301において、無線通信装置100は受信動作によって、あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出されるか否かを判定する。あらかじめ定められた閾値は、無線通信装置100または無線通信システム1000において、任意の値に決定されることができる。あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出される場合(ステップS301:YES)には、無線通信装置100はステップS302に進む。あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出されない場合(ステップS301:NO)には、無線通信装置100はステップS308に進む。
【0034】
ステップS302において、無線通信装置100は、あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出された受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれるか否かを判定する。受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれる場合(ステップS302:YES)には、無線通信システム1000はステップS303に進む。受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれない場合(ステップS302:NO)には、無線通信システム1000はステップS306に進む。
【0035】
ステップS303において、無線通信装置100は、受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示すか否かを判定する。受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示す場合(ステップS303:YES)には、無線通信装置100は、ステップS304に進む。受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示さない場合(ステップS303:NO)には、無線通信装置100は、ステップS301に戻り受信動作を継続する。
【0036】
ステップS304において、無線通信装置100は、受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示すので、受信信号の受信処理を実行し、受信信号に含まれるデータ情報を取得する。次に、無線通信装置100は、ステップS305に進む。
【0037】
ステップS305において、無線通信装置100は、ステップS304において受信信号に含まれるデータ情報を取得したので、受信信号の送信元の無線通信装置を宛先としてAckを送信する。無線通信装置100は、一連の受信処理を終了する。
【0038】
ステップS306において、無線通信装置100は、受信信号が干渉信号であるため、通信チャネルの切り替えが必要であるか否かを判定する。通信チャネルの切り替えが必要である場合(ステップS306:YES)には、無線通信装置100は、ステップS307に進む。通信チャネルの切り替えが必要ではない場合(ステップS306:NO)には、無線通信装置100は、ステップS301に戻り、受信状態になる。例えば、通信チャネルの切り替えが必要であるか否かは、図7に示す干渉信号の発生要件を参照し、受信信号が干渉信号の発生要件に該当する場合には、通信チャネルの切り替えが必要であると判定される。
【0039】
ステップS307において、無線通信装置100はステップS306において通信チャネルの切り替えが必要であると判定しているので、自無線通信装置において通信チャネルの切り替え要求信号を発生させる。次に、無線通信装置100は、図4のステップS401に進む。
【0040】
ステップS308において、無線通信装置100は自無線通信装置に送信要求があるか否かを判定する。自無線通信装置に送信要求がある場合(ステップS308:YES)には、無線通信装置100は、ステップS309に進む。自無線通信装置に送信要求がない場合(ステップS308:NO)には、無線通信装置100は、ステップS301に戻り、受信状態になる。
【0041】
ステップS309において、無線通信装置100は図6に示す通信チャネル情報を記憶部170から読み出し、宛先となる他無線通信装置の通信チャネルの状態を確認する。なお、宛先となる他無線通信装置が自無線通信装置と離れている場合には、中継可能な無線通信装置を宛先の無線通信装置とする。また、中継可能な無線通信装置の候補が複数存在する場合には、自無線通信装置が現在使用している通信チャネルを使用する無線通信装置を中継可能な無線通信装置として優先的に選択する。なお、無線通信装置の位置情報や無線通信装置間の距離情報は、各無線通信装置が事前に取得し、中継可能な無線通信装置を各無線通信装置が判定できるものとする。次に、無線通信装置100は、ステップS310に進む。
【0042】
ステップS310において、無線通信装置100は、宛先となる他無線通信装置の通信チャネルが、自無線通信装置が現在使用している通信チャネルと同一か否かを判定する。宛先となる他無線通信装置の通信チャネルが、自無線通信装置が現在使用している通信チャネルと同一である場合(ステップS310:YES)には、無線通信装置100は、ステップS311に進む。宛先となる他無線通信装置の通信チャネルが、自無線通信装置が現在使用している通信チャネルと同一ではない場合(ステップS310:NO)には、無線通信装置100は、図4のステップS410に進む。
【0043】
ステップS311において、無線通信装置100は、送信要求が発生しているデータ情報を含む通信データを同じ通信チャネルにいる宛先となる他無線通信装置に送信する。無線通信装置100は、一連の送信処理を終了する。
【0044】
図4は、マイクロ波無線を使用した通信を含む無線通信装置100の動作の一例を示したフローチャートである。
【0045】
ステップS401において、無線通信装置100はマイクロ波の受信動作によって、あらかじめ定められた閾値以上のマイクロ波の受信強度が検出されるか否かを判定する。あらかじめ定められた閾値は、無線通信装置100または無線通信システム1000において、任意の値に決定されることができる。あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出される場合(ステップS401:YES)には、無線通信装置100はステップS402に進む。あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出されない場合(ステップS401:NO)には、無線通信装置100はステップS409に進む。
【0046】
ステップS402において、無線通信装置100は、あらかじめ定められた閾値以上の受信強度が検出された受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれるか否かを判定する。受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれる場合(ステップS402:YES)には、無線通信システム1000はステップS403に進む。受信信号に無線通信システム1000に固有のIDが含まれない場合(ステップS402:NO)には、受信信号は干渉信号であるので、無線通信システム1000はステップS405に進む。
【0047】
ステップS403において、無線通信装置100は、受信されたマイクロ波の受信信号にチャネル切り替え情報が含まれるか否かを判定する。受信されたマイクロ波の受信信号にチャネル切り替え情報が含まれる場合(ステップS403:YES)には、無線通信装置100はステップS404に進む。受信されたマイクロ波の受信信号にチャネル切り替え情報が含まれない場合(ステップS403:NO)には、無線通信装置100はステップS406に進む。
【0048】
ステップS404において、無線通信装置100は、受信されたマイクロ波の受信信号にチャネル切り替え情報が含まれているので、チャネル切り替え情報の受信処理を実行する。次に、無線通信装置100はステップS410に進む。
【0049】
ステップS405において、無線通信装置100は、マイクロ波で受信した受信信号から固有のIDを検出できなかったので、干渉が発生しているとみなして、通信チャネルを切り替える等して、干渉を回避する。例えば、ビーコンに干渉チャネルスキップ情報を含ませるなどして、干渉を回避して無線通信装置間で再同期を取る。ビーコンを使用して、干渉チャネルを回避する方法は既知の手法であるために、本明細書では説明を省略する。
【0050】
ステップS406において、無線通信装置100は、マイクロ波の受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示すか否かを判定する。マイクロ波の受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示す場合(ステップS406:YES)には、無線通信装置100は、ステップS407に進む。受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示さない場合(ステップS406:NO)には、無線通信装置100は、ステップS401に戻り受信動作を継続する。
【0051】
ステップS407において、無線通信装置100は、マイクロ波の受信信号の送信先識別情報が自無線通信装置を示すので、受信信号の受信処理を実行し、受信信号に含まれるデータ情報を取得する。次に、無線通信装置100は、ステップS408に進む。
【0052】
ステップS408において、無線通信装置100は、ステップS407においてマイクロ波の受信信号に含まれるデータ情報を取得したので、受信信号の送信元無線通信装置を宛先としてマイクロ波でAckを送信する。次に、無線通信装置100は、ステップS401に戻り、マイクロ波の受信動作を継続する。
【0053】
ステップS409において、無線通信装置100は自無線通信装置にチャネル切り替え要求があるか否かを判定する。自無線通信装置にチャネル切り替え要求がある場合(ステップS409:YES)には、無線通信装置100は、ステップS410に進む。自無線通信装置にチャネル切り替え要求がない場合(ステップS409:NO)には、無線通信装置100は、ステップS401に戻り、マイクロ波の受信状態になる。
【0054】
ステップS410において、無線通信装置100は、ミリ波を使用して自無線通信装置が使用可能なすべての通信チャネルをサーチし、通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する。ステップS410における通信チャネルのサーチは、例えば、ステップS413において他無線通信装置から送信されたチャネル切り替え情報をステップS404で受信したと判定された場合に実行される。また、ステップS410における通信チャネルのサーチは、図3のステップS307において通信チャネルの切り替え要求信号が発生し、ステップS409を介してチャネル切り替え要求があると判断された場合に実行される。さらに、ステップS410における通信チャネルのサーチは、図3のステップS310において、宛先となる他無線通信装置の通信チャネルが、自無線通信装置が現在使用している通信チャネルと同一ではない場合に実行される。次に、無線通信装置100は、ステップS411に進む。
【0055】
ステップS411において、無線通信装置100は、通信チャネルの干渉が検出されるか否かによって、通信チャネルの切り替えが可能であるか否かを判定する。通信チャネルの切り替えが可能である場合(ステップS411:YES)には、無線通信装置100は、ステップS412に進む。通信チャネルの切り替えが可能ではない場合(ステップS411:NO)には、無線通信装置100は、ステップS415に進む。チャネル切り替え情報を受信した場合には、チャネル切り替え情報の切り替え先の通信チャネルへ通信チャネルを切り替える場合がある。また、チャネル切り替え要求がある場合には、近接した無線通信装置の使用中の通信チャネルへ優先的に切り替える場合がある。また、宛先となる他無線通信装置と、自無線通信装置とに共通の通信チャネルであって干渉が発生していない通信チャネルに切り替える場合がある。使用可能な通信チャネルが複数存在する場合には、当該通信チャネルを使用可能な無線通信装置が多い通信チャネル、または、電波環境の良好な通信チャネルへ切り替える場合がある。さらに、優先されるべき通信チャネルが特に無い場合には、電波環境が一番良好な通信チャネルへ切り替える場合がある。
【0056】
ステップS412において、無線通信装置100は、記憶部170に記憶された通信チャネル情報を更新する。次に、無線通信装置100はステップS413に進む。
【0057】
ステップS413において、無線通信装置100は、同一の無線通信システムに配置された他の無線通信装置に、ステップS411において切り替え可能と判定された通信チャネルを含む通信チャネル切り替え情報を、マイクロ波を用いてブロードキャストする。通信チャネル切り替え情報には、ステップS410においてサーチされた通信チャネルの干渉の発生の有無に関する情報も含まれる。次に、無線通信装置100はステップS414に進む。
【0058】
ステップS414において、無線通信装置100は、ステップS411において切り替え可能と判定された通信チャネルに切り替えて、処理を終了する。
【0059】
ステップS415において、無線通信装置100は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を読み出す。次に、無線通信装置100はステップS416に進む。
【0060】
ステップS416において、無線通信装置100は、記憶部170に記憶されているミリ波の通信チャネル情報から、切り替え可能な他の通信チャネルがあるか否かを判定する。切り替え可能な他の通信チャネルは干渉による影響が最も少ない通信チャネルであることが好ましい。通信チャネルの切り替えが可能である場合(ステップS416:YES)には、無線通信装置100は、ステップS412に進む。通信チャネルの切り替えが可能ではない場合(ステップS416:NO)には、無線通信装置100は、ステップS417に進む。
【0061】
ステップS417において、無線通信装置100は、通信チャネルのサーチ結果から切り替え可能なミリ波の通信チャネルが全くない場合には、切り替え可能なミリ波の通信チャネルが無いことを示す干渉情報を、マイクロ波を用いて送信する。次に、無線通信装置100はステップS418に進む。
【0062】
ステップS418において、無線通信装置100は、ミリ波を用いたデータ情報の通信が困難であることから、送信要求が発生しているデータ情報を含む通信データをマイクロ波で宛先となる他無線通信装置に送信する。無線通信装置100は、一連の処理を終了する。
【0063】
(マイクロ波のデータフレーム構成の一例)
図5は、マイクロ波によって送受信される通信チャネル切り替え情報等のデータフレーム構成の一例を示す模式図である。例えば、1番目のブロックB1に自無線通信装置のID情報が書き込まれ、2番目のブロックB2に切り替え先の通信チャネル情報が書き込まれ、3番目のブロックB3以降にチャネルサーチによって判明した各チャネルの干渉状況情報が書き込まれる。3番目のブロック以降は、通信チャネルの識別情報と干渉状況情報が対応付けられて書き込まれてもよいし、あらかじめ通信チャネルとブロック番号が対応付けられ、3番目のブロック以降は干渉状況情報だけが書き込まれてもよい。また、上記マイクロ波で送信されてくる情報から、各無線通信端末は、各無線通信端末が使用中の通信チャネル、各無線通信端末の通信チャネルごとの干渉状況を通信チャネル情報として記憶部に記憶し、通信チャネルを選択する場合等に読み出すことが可能である。
【0064】
なお、図5には図示していないが、自無線通信装置が属している無線通信システムに固有のID情報が、図5のデータフレームのいずれかの位置に挿入されて存在することが可能である。無線通信システムに固有のID情報は無線通信システムごとに異なる情報があらかじめ決定され、各無線通信装置の記憶部170に記憶されていることが可能である。
【0065】
図6は記憶部に記憶される通信チャネル情報の一例を示す模式図である。無線通信システム1000の起動時に、すべての無線通信装置100はミリ波でチャネルサーチを実行し、その結果である各通信チャネルの干渉状況をマイクロ波で他の無線通信装置100にブロードキャストする。すべての無線通信装置100は通信チャネル情報を共有し、最適なミリ波の通信チャネルを選択することが可能になる場合がある。
【0066】
通信チャネル情報の送信は、ランダムに実行されてもよく、また、順番に実行されるように構成されてもよい。
【0067】
次に、通信チャネルを切り替える動作例を具体的に説明する。例えば、図6に示すように、すべての無線通信装置が通信チャネルCH1を選択し、各無線通信装置が他のすべての無線通信装置の干渉状況を把握している場合について説明する。無線通信装置100aが通信チャネルCH1において干渉が発生した場合には、無線通信装置100aは通信チャネル情報を記憶部170から読み出し、通信チャネルCH3はすべての無線通信装置において干渉をうけていないことを認識可能である。したがって、無線通信装置100aは、図5に示すデータフレームの最初のブロックに無線通信装置100aの識別情報、2番目のブロックに通信チャネルCH3の識別情報、3番目のブロックに通信チャネルCH1に干渉が発生していることを示す情報を書き込む。さらに、4番目のブロックに通信チャネルCH2に干渉が発生していないことを示す情報、5番目のブロックに通信チャネルCH3に干渉が発生していないことを示す情報、6番目のブロックに通信チャネルCH4に干渉が発生していないことを示す情報を書き込む。上記情報が書き込まれた通信チャネル切り替え情報を無線通信装置100aはマイクロ波でブロードキャストする。
【0068】
図7に干渉の判定方法の一例を模式図で示す。無線通信装置100は、送信動作以外の場合には受信状態を維持し、受信信号がある場合には、受信強度を演算する。演算された受信強度があらかじめ定められた値または閾値を超える場合に、無線通信装置100は、受信信号が同一の無線通信システム1000に含まれる他無線通信装置から送信された信号であるか否かを判定する。受信信号が同一の無線通信システム1000に含まれる他無線通信装置から送信された信号でない場合には、無線通信装置100は、当該受信信号を干渉信号と判定するか否かを決定する。干渉信号の判定は、判定のための干渉判定基準時間長(ims)に基づいて決定される。
【0069】
図7(a)は、干渉パターン(1)の一例を示す模式図である。干渉信号の長さがtms観測される場合に、t≧iになった時点で、当該通信チャネルに干渉が発生していると判定される。
【0070】
図7(b)は、干渉パターン(2)の一例を示す模式図である。通信データの送信に失敗し、再送もできなかった場合、または、通信データの送信に成功し、Ack信号が受信できない場合に、当該通信チャネルに干渉が発生していると判定される。例えば、図7(b)に示すように送信信号と干渉信号の少なくとも一部が重なる場合が、干渉パターン(2)に該当する。
【0071】
図7(c)は、干渉パターン(3)の一例を示す模式図である。通信データの受信に失敗した場合、または、通信データの受信に成功し、Ack信号が送信できない場合に、当該通信チャネルに干渉が発生していると判定される。例えば、図7(b)に示すように受信信号と干渉信号の少なくとも一部が重なる場合が、干渉パターン(3)に該当する。
【0072】
図7(d)は、干渉パターン(4)の一例を示す模式図である。観測された干渉信号の長さが図7(a)で示したimsよりも短い場合であっても、あらかじめ定められた数以上の干渉信号が観測された場合に、当該通信チャネルに干渉が発生していると判定される。あらかじめ定められた数は無線通信システム1000においてあらかじめ決定することが可能である。また、無線通信される通信データのデータフレーム長に対して、あらかじめ定められた規定以上の割合に干渉信号が重畳されてしまっている場合にも、当該通信チャネルに干渉が発生していると判定される。あらかじめ定められた規定以上の割合は無線通信システム1000においてあらかじめ決定することが可能である。
【0073】
なお、マイクロ波で送信されるべき通信チャネル切り替え情報信号は、ビーコンを用いてブロードキャストされてもよい。ビーコンの周波数帯域はマイクロ波帯であってもよい。各無線通信装置が定期的に、または、あらかじめ定められた順番に、自無線通信装置の通信チャネル情報を含むビーコンを送信し、通信チャネル切り替え時に、通信チャネル切り替え情報信号をビーコンに含ませることも可能である。さらに、マイクロ波で送信されるべき通信チャネル切り替え情報信号は、各無線通信装置によって同時に送信されることを防止するために、各無線通信装置がランダムな時間待機した後に送信されるように構成されてもよい。
【0074】
(無線通信装置の構成例)
図8は、無線通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0075】
無線通信装置100には、可変アンテナANT、受信強度検出部110、アンテナ切り替え部120、マイクロ波送受信部130、ミリ波送受信部140、干渉判定部150、通信制御部160、および、記憶部170が含まれることが好ましい。また、無線通信装置100には、外部I/F部180(I/F:Inter Face)が含まれることもある。
【0076】
可変アンテナANTは、ミリ波とマイクロ波を送受信可能なように、送受信周波数が可変となるアンテナであり、ミリ波を送受信する場合には指向性を持たせることが可能である。このような、送受信周波数が可変となる可変アンテナは、既知の技術であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。なお、可変アンテナANTの代わりに、図示しないミリ波アンテナおよびマイクロ波アンテナを使用することも可能である。
【0077】
受信強度検出部110は、可変アンテナANTで受信された電波の強度を検出する機能を有する。アンテナ切り替え部120によってミリ波を送受信するモードになった可変アンテナANTによって受信された電波の強度があらかじめ定められた値を超えた場合に、通信制御部160にミリ波信号を受信したことを示す情報を出力する。また、アンテナ切り替え部120によってマイクロ波を送受信するモードになった可変アンテナANTによって受信された電波の強度があらかじめ定められた値を超えた場合に、通信制御部160にマイクロ波信号を受信したことを示す情報を出力する。ミリ波の閾値である、あらかじめ定められた値と、マイクロ波の閾値である、あらかじめ定められた値とは同じであっても、異なっていてもよい。あらかじめ定められた値は無線通信システム1000において任意の値に設定されることが可能である。
【0078】
アンテナ切り替え部120は、可変アンテナANTを、ミリ波を送受信するミリ波モード、または、可変アンテナANTを、マイクロ波を送受信するマイクロ波モードに切り替える機能を有する。可変アンテナANTの代わりに、図示しないミリ波アンテナおよびマイクロ波アンテナを使用する場合には、ミリ波アンテナまたはマイクロ波アンテナを図示しないスイッチ等の切り替え手段によって切り替えることが可能である。
【0079】
マイクロ波送受信部130は、マイクロ波モードに切り替えられた可変アンテナANTを介して、マイクロ波を送受信する機能を有する。例えば、各無線通信装置が、自無線通信装置において、通信チャネルサーチを実行した場合には、通信チャネルサーチを実行した結果を通信チャネル切り替え情報として、図5に示すデータフレームでマイクロ波送受信部130がブロードキャストする場合がある。また、他無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル切り替え情報を受信する機能も有する。さらに、送信元の無線通信装置と、宛先の無線通信装置とに干渉が発生していない共通のミリ波の通信チャネルがない場合には、マイクロ波送受信部130が干渉が発生していない共通のミリ波の通信チャネルがないことを示す干渉情報をブロードキャストする。なお、送信元の無線通信装置と、宛先の無線通信装置とに共通する通信チャネルに干渉が発生していないミリ波の通信チャネルがない場合には、マイクロ波送受信部130はマイクロ波で通信データを送受信する機能も有する。
【0080】
ミリ波送受信部140は、ミリ波モードに切り替えられた可変アンテナANTを介して、ミリ波を送受信する機能を有する。例えば、送信元の無線通信装置と、宛先の無線通信装置とに共通する通信チャネルに干渉が発生していないミリ波の通信チャネルがある場合には、ミリ波送受信部140は、ミリ波で通信データを送受信する機能を有する。また、ミリ波送受信部140は、ミリ波の通信データを送受信した場合には、Ackをミリ波で送受信する機能を有する。
【0081】
干渉判定部150は、受信したミリ波から無線通信システムに固有のIDが検出されない場合には、図7に示すような干渉が発生しているか否かを判定する機能を有する。また、同様に、受信したマイクロ波から無線通信システムに固有のIDが検出されない場合には、干渉が発生しているか否かを判定する機能を有する。マイクロ波に干渉が発生している場合の干渉を回避する方法についてはビーコン等を使用した既知の技術が存在するので、本明細書では詳細の説明を省略する。
【0082】
通信制御部160は、更新部161、通信チャネル選択部162、通信チャネル切り替え部163を含むことが好ましい。
【0083】
更新部161は、記憶部170に記憶された通信チャネル情報を更新する機能を有する。例えば、他無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル切り替え情報を受信し、自無線通信装置の通信チャネルサーチを実行し、通信チャネル切り替え情報および通信チャネルサーチ結果を用いて、記憶部170の通信チャネル情報を更新する。また、更新部161による更新は、他無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル切り替え情報を受信した後だけではなく、無線通信装置が起動した直後に実施されてもよい。
【0084】
通信チャネル選択部162は、図6に示す通信チャネル情報から送信元の無線通信装置と宛先の無線通信装置に共通の通信チャネルに干渉が発生していない場合に当該共通の通信チャネルを選択する機能を有する。また、当該共通の通信チャネルが複数ある場合には、他無線通信装置でも干渉の発生が最も少ない共通の通信チャネルを選択する機能も有する。
【0085】
通信チャネル切り替え部163は、通信チャネル選択部162によって選択された通信チャネルに通信チャネルを設定する機能を有する。通信チャネルはミリ波またはマイクロ波である場合がある。
【0086】
記憶部170は、図6に示す通信チャネル情報を記憶する機能を有する。図6に示す通信チャネル情報から送信元の無線通信装置と宛先の無線通信装置に共通の通信チャネルに干渉が発生しているか否かを判定することが可能になる。
【0087】
外部I/F部180は、各種データを無線通信装置100の外部にある電子装置と送受信する機能を有する。伝送されるべき通信データが外部にある電子装置から外部I/F部180を介して伝送される場合もある。
【0088】
以上説明したように、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能な無線通信装置等を提供可能となる。
【0089】
(変形例1)
以上の説明による本実施形態に係わる無線通信システム1000は車両等の移動体に搭載されることができる。この場合には無線通信装置は車両内に実装され、移動することがない場合もある。このような構成によって、車両外からの干渉や、持ち込み電子機器からの干渉に適応した無線通信ネットワークを構築することも可能になる。なお、エンターメイント電子機器やナビゲーション装置などに無線通信装置が組み込まれる場合は、任意の位置に取り付けられ、また、設置場所が変更される場合もある。また、本実施形態に係わる無線通信システム1000は移動体だけではなく、工場、商業施設などの建造物の内部および外部でも使用することが可能である。
【0090】
(変形例2)
以上の説明による本実施形態に係わる無線通信装置100は、通信チャネルの切り替えが必要な場合に、通信チャネルサーチを実行しているが、あらかじめ定められた時間ごとに、または、ランダムに通信チャネルサーチを実行することも可能である。あらかじめ定められた時間は、無線通信システム1000において任意の値に設定することが可能である。
【0091】
(変形例3)
なお、本実施形態に係わる無線通信システムによって運用される無線通信方式には、各無線通信装置の送受信タイミングを制御するコントローラが存在する場合と存在しない場合がある。例えば、コントローラが存在しない場合には、無線通信システム1000はCSMA/CA等のプロトコルを採用することが可能である。しかし、コントローラが存在しない場合に、無線通信システム1000がCSMA/CA方式以外の無線通信方式を採用することも可能である。
【0092】
以下に、本実施形態の無線通信装置100および無線通信システム1000の特徴について記載する。
【0093】
第1の態様に係る無線通信装置100は、マイクロ波およびミリ波を使用可能であって、マイクロ波またはミリ波を使用して通信データを送受信することが好ましい。無線通信装置100は、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する干渉判定部150を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、自無線通信装置の識別情報、自無線通信装置のミリ波の通信チャネルの識別情報、あらかじめ定められたすべてのミリ波の通信チャネルの識別情報を対応付けて通信チャネル情報として記憶する記憶部170を含むことが好ましい。さらに、記憶部170は、当該ミリ波の通信チャネルに干渉が発生しているか否かを示す情報と、を対応付けて通信チャネル情報として記憶することが好ましい。さらに、無線通信装置100は、通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置からブロードキャストされた通信チャネル情報を受信するマイクロ波送受信部130を含むことが好ましい。記憶部170は、自無線通信装置の通信チャネル情報と他の無線通信装置から受信した通信チャネル情報を結合し、あらたな通信チャネル情報として記憶することが好ましい。さらに、無線通信装置100は、あらたな通信チャネル情報を参照して、ミリ波でデータ通信が可能な通信チャネルを選択、または、マイクロ波でデータ通信を実行することを選択する通信チャネル選択部162を含むことが好ましい。
【0094】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能となる。
【0095】
第2の態様に係る無線通信装置100は、無線通信装置(100)の起動時に、干渉判定部150によって、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定する処理が実行されることが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波を利用して起動時にミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有できるので、その後のチャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能となる。
【0097】
第3の態様に係る無線通信装置100は、ミリ波信号を受信するミリ波送受信部140をさらに含むことが好ましい。無線通信装置100は、干渉のためにミリ波信号が自無線通信装置の属する無線通信システムの信号か否かを判定できない場合であり、マイクロ波送受信部130がマイクロ波で通信チャネル切り替え情報を受信した場合に、以下の処理を実行することが好ましい。すなわち、干渉判定部150があらかじめ定められた複数のミリ波のすべての通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定することが好ましい。さらに、通信チャネル切り替え情報を送信した他無線通信装置が要求する通信チャネルに干渉が発生していない場合に、以下の更新部161を含むことが好ましい。すなわち、更新部161は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を干渉判定部150の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が要求する通信チャネルとして更新することが好ましい。
【0098】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波で通信チャネル切り替え情報を受信することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が要求する通信チャネルとして更新することが可能となる。
【0099】
第4の態様に係る無線通信装置100のマイクロ波送受信部130は、通信チャネル切り替え情報をブロードキャストすることが好ましい。通信チャネル切り替え情報は、自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が要求する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、更新された通信チャネル情報の干渉情報を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が要求する通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え部163をさらに含むことが好ましい。
【0100】
上記構成によれば、第3の態様に係る無線通信装置100にて宛先の他無線通信装置が要求する通信チャネルに干渉がないことを確認後に、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が要求する通信チャネルに切り替えることが可能となる。
【0101】
第5の態様に係る無線通信装置100は、自無線通信装置に通信データの送信要求が発生した場合であり、通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置と送信元の自無線通信装置の通信チャネルが異なる場合に、以下の処理を実行することが好ましい。すなわち、干渉判定部150はあらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定することが好ましい。干渉判定部150の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していないと判定された場合に、以下の処理を実行することが好ましい。すなわち、更新部161は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを他無線通信装置が使用する通信チャネルとして更新することが好ましい。さらに、マイクロ波送受信部130が、通信チャネル切り替え情報をブロードキャストすることが好ましい。通信チャネル切り替え情報は、自無線通信装置の識別情報と、他無線通信装置が使用する通信チャネルを示す切り替え先の通信チャネル情報と、更新された通信チャネル情報の干渉情報を含むことが好ましい。通信チャネル切り替え部163は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が使用する通信チャネルに切り替えることが好ましい。
【0102】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを宛先の他無線通信装置が使用する通信チャネルに切り替えることが可能となる。
【0103】
第6の態様に係る無線通信装置100は、干渉判定部150の判定の結果、宛先の他無線通信装置の通信チャネルを自無線通信装置が送信に使用する場合に干渉が発生していると判定された場合に、以下の通信チャネル選択部162を含むことが好ましい。通信チャネル選択部162は、通信チャネル情報を参照し、宛先の他無線通信装置に干渉がなく、送信元の自無線通信装置にも干渉がない通信チャネルであり、その他の無線通信装置においても干渉の発生が最も少ない通信チャネルを選択することが好ましい。更新部161は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を干渉判定部の判定結果に従って、および、自無線通信装置の通信チャネルを選択された通信チャネルとして更新することが好ましい。マイクロ波送受信部130は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替える通信チャネル切り替え情報をマイクロ波でブロードキャストすることが好ましい。通信チャネル切り替え部163は、送信元の自無線通信装置の通信チャネルを干渉の発生が最も少ない通信チャネルに切り替えることが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、宛先の他無線通信装置に干渉がなく、送信元の自無線通信装置にも干渉がなく、その他の無線通信装置においても干渉の発生が最も少ない通信チャネルを選択することが可能になるので、最適なチャネルを選択することが可能となる。
【0105】
第7の態様に係る無線通信装置100は、干渉判定部150の判定の結果、宛先の他無線通信装置と送信元の自無線通信装置の通信チャネルに、干渉の発生がない共通のミリ波の通信チャネルが存在しない場合に、以下の処理を実行することが好ましい。すなわち、マイクロ波送受信部130は、マイクロ波を使用して、通信データを宛先の他無線通信装置に送信することが好ましい。
【0106】
上記構成によれば、干渉の発生がない共通のミリ波の通信チャネルが存在しない場合に、広域通信が可能なマイクロ波で通信データを送信することによって、通信遅延を抑制することが可能となる。
【0107】
第8の態様に係る無線通信装置100は、通信チャネル切り替え情報がある場合には、通信チャネル切り替え情報はビーコンに含まれて送信されることが好ましい。ビーコンは各無線通信装置が異なるタイミングで定期的に送信、または、各無線通信装置があらかじめ定められた順番で送信することが好ましい。
【0108】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波によるビーコンで通信チャネル切り替え情報を送信することによって、チャネル切り替えを容易にすることが可能となる。
【0109】
第9の態様に係る無線通信装置100の干渉判定部150は、あらかじめ定められた期間ごとに、あらかじめ定められた複数のミリ波の通信チャネルごとに干渉が発生しているか否かを判定することが好ましい。また、更新部161は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を干渉判定部150の判定結果に従って更新することが好ましい。さらに、マイクロ波送受信部130は、更新された通信チャネル情報をマイクロ波でブロードキャストし、他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報を受信することが好ましい。さらに、更新部161は、記憶部170に記憶されている通信チャネル情報を他の無線通信装置が更新した通信チャネル情報に従って更新することが好ましい。
【0110】
上記構成によれば、通信チャネル情報が定期的に更新され、マイクロ波でブロードキャストされるので、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能となる。
【0111】
第10の態様に係る無線通信システム1000は、第1の態様から第9の態様のいずれかの無線通信装置100を複数含み、当該無線通信装置100は、移動体内部または建造物内部に配置されることが好ましい。
【0112】
上記構成によれば、広域通信が可能なマイクロ波を利用することによって、ミリ波の干渉状況をネットワーク全体で共有し、チャネル切り替えを容易にし、最適なチャネルを選択することが可能となる。
【0113】
実施形態につき、図面を参照して詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0114】
100 無線通信装置
110 受信強度検出部
120 アンテナ切り替え部
130 マイクロ波送受信部
140 ミリ波送受信部
150 干渉判定部
160 通信制御部
161 更新部
162 通信チャネル選択部
163 通信チャネル切り替え部
170 記憶部
180 外部I/F部
1000 無線通信システム
図1
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図8