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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】鋼管の研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/00 20060101AFI20240220BHJP
   B24B 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   B24B 55/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B24B27/00 L
B24B29/00 D
B24B55/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113149
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011790
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 雅人
(72)【発明者】
【氏名】上原 勇希
(72)【発明者】
【氏名】金子 顕
(72)【発明者】
【氏名】島田 喜明
(72)【発明者】
【氏名】新貝 昌大
(72)【発明者】
【氏名】竹田 良太
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-254700(JP,A)
【文献】特開2012-101307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/39199(US,A1)
【文献】特開平7-60634(JP,A)
【文献】特開平4-94778(JP,A)
【文献】特開2020-138251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/00
B24B 29/00
B24B 55/04
B28B 1/00 - 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象である鋼管の外周を移動しつつ研磨するための装置であって、
前記鋼管の外周を研磨する研磨ユニットと、前記鋼管の外周に沿って前記研磨ユニットを移動させるように当該研磨ユニットに結合されるキャリアユニットとを具備し、
前記研磨ユニットは、機構フレームと、前記鋼管の外周面を研磨するように当該鋼管の軸線方向に回転軸線を向けて前記機構フレームに支持される平行一対のロールブラシと、伝動機構を介して前記一対のロールブラシに相互に逆方向の回転を伝えるように前記機構フレームに支持される駆動装置と、前記各ロールブラシの近傍位置に配置され前記鋼管の外周面を磁気吸引することにより前記ロールブラシを前記鋼管に押し付けるように前記機構フレームに支持される磁石とを含み、
キャリアユニットは、前記各ロールブラシの軸線方向両端側に位置して前記機構フレームに支持されそれぞれ当該各ロールブラシの軸線直交方向両外側へ延出する一対のアーム部を具備する第1及び第2の支持枠と、当該第1及び第2の支持枠の相対向する前記アーム部の先端部間に架設される一対の車輪支持部材と、前記鋼管の外周面に磁気吸着して転動するように前記車輪支持部材の両端部付近にそれぞれ支持される磁石車輪とを含み、
前記磁石車輪は、その回転軸と直交する前記鋼管の半径方向の旋回軸回りに回転自在に前記各車輪支持部材に軸支され、一方の前記車輪支持部材に軸支される一対の前記磁石車輪はモータ駆動とされ、かつ相互の前記旋回軸回りの舵角を同期して変更操作可能なリンク部材により連結されることを特徴とする鋼管の研磨装置。
【請求項2】
前記磁石車輪の駆動モータは、無線で遠隔制御されることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の研磨装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の支持枠は、前記ロールブラシと前記鋼管の外周との距離を変更できるように、前記機構フレームに位置調整自在に支持されることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の研磨装置。
【請求項4】
キャリアユニットは、前記鋼管を相対移動自在に包囲し、前記一対の車輪支持部材の中間部間を連結する開閉自在の抱持枠を具備することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の研磨装置。
【請求項5】
前記機構フレームは、前記ロールブラシを覆い、前記鋼管側に開放すると共に、吸塵機を接続可能な防塵カバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼管の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装前のケレン等の目的で、鋼管の外周をその周方向に移動しながら研磨する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動ドリルドライバ型の研磨ユニットにカップ型ブラシを装着したケレン機として、特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-231058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたものは、鋼管の研磨を効率的に行うことができる装置ではない。
したがって、本発明は、鋼管の外周をその周方向に移動しながら比較的小さな人力により効率的に研磨する装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の研磨装置1は、鋼管Pの外周を研磨する研磨ユニット2と、鋼管Pの外周に沿って研磨ユニット2を移動させるように当該研磨ユニット2に結合されるキャリアユニット3とを具備する。研磨ユニット2は、機構フレーム4と、機構フレーム4に支持される平行一対のロールブラシ5と、伝動機構6を介して一対のロールブラシ5に回転を伝えるように機構フレーム4に支持される駆動装置7と、鋼管Pの外周面を磁気吸引することによりロールブラシ5を鋼管Pに押し付けるように機構フレーム4に支持される磁石8とを含む。左右一対のロールブラシ5は、鋼管Pの軸線方向上下に回転軸線を向けて機構フレーム4に支持される。駆動装置7の回転は、伝動機構6を介して一対のロールブラシ5に相互に逆方向の回転として伝えられる。磁石8は、ロールブラシ5の軸線方向両端に近接して配置される。
キャリアユニット3は、機構フレーム4に支持される上下一対の第1及び第2の支持枠11と、この支持枠11間に架設される左右一対の車輪支持部材12と、車輪支持部材12の両端部付近にそれぞれ支持される磁石車輪13とを含む。第1及び第2の支持枠11は、それぞれ左右外側方向へ延出する一対のアーム部11aを具備する。アーム部11aの先端部間に車輪支持部材12が架設される。磁石車輪13は、鋼管Pの外周面に磁気吸着して転動するように、車輪支持部材12の上下両端部付近にそれぞれ支持される。磁石車輪13は、その回転軸と直交する旋回軸回りに回転自在に車輪支持部材12に支持される。一方の車輪支持部材12に軸支される一対の磁石車輪13は、モータ駆動とされ、かつ相互の旋回軸回りの舵角を同期して変更操作可能なリンク部材16により連結される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の研磨装置1は、鋼管Pの外周に吸着する磁石車輪13を転動させて鋼管Pの外周をその周方向に自走しながら研磨するので小さな人力により効率的に鋼管Pの外周を研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る研磨装置の正面図である。
図2図1の研磨装置の背面図である。
図3図1の研磨装置の側面図である。
図4図1の研磨装置の平面図である。
図5図4におけるV矢視図である。
図6図5の裏面側の概略説明図である。
図7図1の研磨装置の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
研磨装置1は、研磨対象である鋼管Pの外周を移動しつつ研磨するための装置である。研磨する鋼管Pの姿勢は問わないが、ここでは垂直に建てられた鋼管柱を例にとり、その軸線方向を上下、軸線直交方向を左右、鋼管Pに向かう方向を前方、離れる方向を後方として説明する。
【0009】
研磨装置1は、鋼管Pの外周を研磨する研磨ユニット2と、鋼管Pの外周に沿って研磨ユニット2を移動させるように当該研磨ユニット2に結合されるキャリアユニット3とを具備する。
【0010】
研磨ユニット2は、機構フレーム4と、これに支持される平行一対のロールブラシ5と、伝動機構6を介してロールブラシ5に回転を伝えるように機構フレーム4に支持される駆動装置7と、鋼管Pの外周面を磁気吸引してロールブラシ5を鋼管Pに押し付けるように機構フレーム4に支持される磁石8とを含む。
【0011】
機構フレーム4は、ロールブラシ5を覆い、鋼管P側(前方)に開放する箱型の防塵カバー9と、伝動機構6を覆うベルトカバー10とを具備する。防塵カバー9は、ベルトカバー10を貫通する集塵パイプ9aにより外部に開口し、図示しない集塵機を接続して研磨塵を集塵できるようになっている。
【0012】
ロールブラシ5は、防塵カバー9の内側に、上下方向に回転軸線を向けて設けられ、ブラシ毛を摩擦させて鋼管Pの外周面を研磨する。一対のロールブラシ5には、駆動装置7から伝動機構6を介して相互に逆方向の回転が伝えられる。
【0013】
キャリアユニット3は、各ロールブラシ5の上下方向両端側に位置して機構フレーム4に支持される第1及び第2の支持枠11と、両支持枠11の先端部間に架設される左右一対の車輪支持部材12と、車輪支持部材12の上下両端部付近にそれぞれ支持される磁石車輪13とを含む。
【0014】
支持枠11は、それぞれ左右外側へ延出する一対のアーム部11aを具備し、機構フレーム4の一部をなすベルトカバー10の側板部に前後方向の位置を調整自在に固定される。ベルトカバー10の図示しない長孔に対して蝶ねじ11bの締め付け位置を調整することにより、支持枠11をベルトカバー10に対して前後方向に移動させ、ロールブラシ5と鋼管Pの外周との距離を変更できる。第1及び第2の支持枠11の相対向するアーム部11aの先端部間に一対の車輪支持部材12が上下方向に架設される。
【0015】
車輪支持部材12の上下両端部付近の概略円形の車輪受け部12aに、それぞれ磁石車輪13が、鋼管Pの外周面に磁気吸着して転動するように設けられる。磁石車輪13は、取り付け座13aにおいて車輪受け部12aに回転自在に軸支される。したがって、磁石車輪13は、それの回転軸13bと直交する旋回軸13c(取り付け座13aから突出する円筒状ボス)回りに回転自在に軸支され、舵角を変更できる。
【0016】
一方の車輪支持部材12に軸支される上下一対の磁石車輪13は、モータ14により駆動される。モータ14は、図示しない遠隔の無線送受信機からの信号により、無線制御装置15を介して制御される。
【0017】
図6に概略的に示すように、駆動輪となる一対の磁石車輪13は、相互の旋回軸13c回りの舵角を同期して変更操作可能なリンク部材16により連結される。リンク部材16は、長孔に挿通される蝶ねじ16bにより、磁石車輪13の適宜の舵角が得られる位置で車輪支持部材12に固定される。
【0018】
キャリアユニット3は、鋼管Pを相対移動自在に包囲する抱持枠17を具備する。抱持枠17は、左右の車輪支持部材12の中間部間を開閉自在に連結し、内側に備えるボールキャスタ17aを転動させて鋼管Pの外周を移動する。この抱持枠17により、研磨装置1の予期しない落下が防止される。
【0019】
図示の実施形態は、駆動装置7として、市販の充電式ディスクグラインダーの本体を適用したが、これに限定されるものではない。駆動装置7は、防塵カバー9の背部に固定される。
【0020】
研磨装置1を用いてほぼ垂直に立設された鋼管Pの外周を研磨する場合には、磁石8と磁石車輪13を鋼管Pに吸着させることで研磨装置1の自重を支持すると共に、抱持枠17を鋼管Pに掛け回す。リンク部材16の位置を調整して駆動輪となる一対の磁石車輪13の舵角を適宜設定して無線によりモータ14を始動させれば、鋼管Pの外周を研磨しながら、例えば螺旋状に研磨装置1を移動させることができる。
【0021】
本発明の研磨装置は、上記実施形態だけでなく、例えば横方向に配設されたビーム等に用いられる鋼管への使用など、他の種々の設置形態の鋼管の研磨作業に適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 研磨装置
2 研磨ユニット
3 キャリアユニット
4 機構フレーム
5 ロールブラシ
6 伝動機構
7 駆動装置
8 磁石
9 防塵カバー
9a 集塵パイプ
10 ベルトカバー
11 支持枠
11a アーム
12 車輪支持部材
12a 車輪受け部
13 磁石車輪
13a 取り付け座
13b 回転軸
13c 旋回軸
14 モータ
15 無線制御装置
16 リンク部材
16a 蝶ねじ
17 抱持枠
P 鋼管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7