(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ガス漏れ検査システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/00 20060101AFI20240220BHJP
G01M 3/28 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01M3/00 C
G01M3/28 A
G01M3/28 B
(21)【出願番号】P 2020118479
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】小西 良平
(72)【発明者】
【氏名】坪井 研
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直也
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243572(JP,A)
【文献】特開平08-219934(JP,A)
【文献】特開平08-094484(JP,A)
【文献】特開平10-160616(JP,A)
【文献】特開2007-107991(JP,A)
【文献】特開2001-337002(JP,A)
【文献】米国特許第04984448(US,A)
【文献】特開2011-185690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、
前記内管の途中で前記ガスメータよりも上流側に設けられた通常時開状態のガスバルブと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、
前記ガスメータは、
前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、
前記監視装置は、
同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、
前記ガスバルブが開状態であり、かつ、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有する、
ガス漏れ検査システム。
【請求項2】
整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、
前記ガスメータは、
前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、
前記監視装置は、
同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有し、
前記ガスメータは、
前記流量計測部及び前記圧力計測部で順次計測されるガス流量及びガス圧力を前記監視装置へ順次送信するよう構成され、
前記ガス漏れ判定部は、
各前記ガスメータから送信されてきたガス流量及びガス圧力に基づいて、前記グループ内の全ての前記ガスメータで計測されたガス流量が所定値以下のときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの全ての前記ガスメータで計測されたガス圧力の中から同等または略同等であるガス圧力を選択し、この選択した前記ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記同等または略同等であるガス圧力として選択されないガス圧力が存在する場合には、当該ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成された、
ガス漏れ検査システム。
【請求項3】
整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、
前記ガスメータは、
前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、
前記監視装置は、
同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有し、
前記ガスメータは、
前記流量計測部で順次計測されるガス流量に基づいて前記ガス器具が不使用状態であるか否かを判断し、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を前記監視装置へ送信するとともに、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記圧力計測部で計測されるガス圧力を前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報とともに前記監視装置へ送信するよう構成され、
前記ガス漏れ判定部は、
前記グループ内の全ての前記ガスメータから前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報が同時刻に送信されてきたときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの全ての前記ガスメータで計測されたガス圧力の中から同等または略同等であるガス圧力を選択し、この選択した前記ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記同等または略同等であるガス圧力として選択されないガス圧力が存在する場合には、当該ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成された、
ガス漏れ検査システム。
【請求項4】
前記ガス漏れ判定部は、
前記全てのガスメータで計測されたガス圧力の中から所定の許容範囲内にあるガス圧力、または、前記全てのガスメータで計測されたガス圧力の最大値とこの最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力を、前記同等または略同等であるガス圧力として選択するよう構成された、
請求項2または3に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項5】
整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、
前記ガスメータは、
前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、
前記監視装置は、
同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有し、
前記ガスメータは、
前記流量計測部及び前記圧力計測部で計測されるガス流量及びガス圧力に基づいて、所定時間ごとに前記所定時間内のガス積算流量値とガス圧力平均値とを算出し、これらの算出した値と算出時刻とを含むガスメータ情報を前記監視装置へ送信するよう構成され、
前記監視装置は、
各前記ガスメータから送信されてきた前記ガスメータ情報を前記ガスメータごとに記憶する情報記憶部を有し、
前記ガス漏れ判定部は、
前記情報記憶部に記憶された前記ガスメータ情報に基づいて、同時刻において前記グループ内の全ての前記ガスメータで算出されたガス積算流量値が所定値以下のときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときのガス積算流量値の前記算出時刻を選択し、この選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から同等または略同等であるガス圧力平均値を選択し、この選択したガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記選択した算出時刻において、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択されないガス圧力平均値が存在する場合には、当該ガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成された、
ガス漏れ検査システム。
【請求項6】
整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、
前記ガスメータは、
前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、
前記監視装置は、
同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有し、
前記ガスメータは、
所定時間ごとに前記所定時間内において前記流量計測部で計測されるガス流量に基づいて前記ガス器具が不使用状態であるか否かを判断し、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を生成し、この生成した情報を含むガスメータ情報を前記監視装置へ送信するとともに、
前記圧力計測部で計測されるガス圧力に基づいて、前記ガス器具が不使用状態であると判断した前記所定時間内のガス圧力平均値を算出し、この算出した値と算出時刻とを前記ガスメータ情報に含めて前記監視装置へ送信するよう構成され、
前記監視装置は、
各前記ガスメータから送信されてきた前記ガスメータ情報を前記ガスメータごとに記憶する情報記憶部を有し、
前記ガス漏れ判定部は、
前記情報記憶部に記憶された前記ガスメータ情報に基づいて、同時刻において前記グループ内の全ての前記ガスメータの前記ガスメータ情報に前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報があるときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの前記算出時刻を選択し、この選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から同等または略同等であるガス圧力平均値を選択し、この選択したガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記選択した算出時刻において、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択されないガス圧力平均値が存在する場合には、当該ガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成された、
ガス漏れ検査システム。
【請求項7】
前記ガス漏れ判定部は、
前記選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から所定の許容範囲内にあるガス圧力平均値、または、前記選択した算出時刻におけるガス圧力平均値の最大値とこの最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力平均値を、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択するよう構成された、
請求項5または6に記載のガス漏れ検査システム。
【請求項8】
前記外管は、
前記整圧器に接続された本支管と、前記本支管と前記内管とをつなぐ供給管とを有し、
前記グループは、
同一の前記本支管のガス流れ方向における所定範囲内の部分に接続された複数の前記供給管の各々につながる前記内管に設けられた複数のガスメータによって構成された、
請求項1~7のいずれかに記載のガス漏れ検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガス用のガス漏れ検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの需要家である各ユーザ宅にはガスの消費量を計測するためにガスメータが備えられている。都市ガスの場合、道路に埋設されたガス配管(外管)からユーザ宅の敷地内のガス配管(内管)を通ってユーザ宅のガス器具へガスが供給される。ガスメータは、通常、屋外の内管の途中に設けられている。
【0003】
特許文献1には、異常に大きなガス流量を検出した場合に遮断弁を閉じて流路を遮断し、その後、再度ガスを使用するために遮断弁を開いて流路を開けた際、所定時間経過後に漏洩判定を行うよう構成されたガス遮断装置(ガスメータ)が記載されている。
【0004】
ところで、ガス事業者においては、定期的に漏洩検査を行なってガス配管に漏れがないことを確保することが義務付けられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-118763号公報
【文献】特開2012-220474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス事業者は、各ユーザ宅の敷地内に設置されたガス配管(内管)の漏洩検査を定期的に行わなければならないが、ユーザ宅の戸数は非常に多く、漏洩検査の省力化が望まれている。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、内管の漏洩検査の省力化を図ることができるガス漏れ検査システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係るガス漏れ検査システムは、整圧器から所定圧力のガスが供給される外管と、各ユーザ宅内のガス器具と前記外管との間のガス流路となる複数の内管と、前記内管の途中に設けられたガスメータと、各前記ガスメータと通信可能に構成された監視装置と、を備え、前記ガスメータは、前記内管におけるガス流量を計測する流量計測部と、前記内管におけるガス圧力を計測する圧力計測部とを有し、前記監視装置は、同一の前記整圧器を通じてガスが供給される複数の前記ガスメータからなるグループにおいて、全ての前記ガス器具が不使用状態であるときに前記グループ内の全ての前記ガスメータにて計測されるガス圧力に基づいて、前記グループ内の前記ガスメータが設けられている前記内管のガス漏れの有無を判定するガス漏れ判定部を有する。
【0009】
この構成によれば、ガス漏れ判定部によってガス漏れが無いと判定された内管については、検査員が現地に行ってガス漏れ調査機器を用いて行う検査を省略することができる。よって、内管の漏洩検査の省力化を図ることができる。
【0010】
また、前記ガスメータは、前記流量計測部及び前記圧力計測部で順次計測されるガス流量及びガス圧力を前記監視装置へ順次送信するよう構成され、前記ガス漏れ判定部は、各前記ガスメータから送信されてきたガス流量及びガス圧力に基づいて、前記グループ内の全ての前記ガスメータで計測されたガス流量が所定値以下のときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの全ての前記ガスメータで計測されたガス圧力の中から同等または略同等であるガス圧力を選択し、この選択した前記ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記同等または略同等であるガス圧力として選択されないガス圧力が存在する場合には、当該ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成されていてもよい。
【0011】
また、前記ガスメータは、前記流量計測部で順次計測されるガス流量に基づいて前記ガス器具が不使用状態であるか否かを判断し、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を前記監視装置へ送信するとともに、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記圧力計測部で計測されるガス圧力を前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報とともに前記監視装置へ送信するよう構成され、前記ガス漏れ判定部は、前記グループ内の全ての前記ガスメータから前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報が同時刻に送信されてきたときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの全ての前記ガスメータで計測されたガス圧力の中から同等または略同等であるガス圧力を選択し、この選択した前記ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記同等または略同等であるガス圧力として選択されないガス圧力が存在する場合には、当該ガス圧力を計測した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成されていてもよい。
【0012】
また、前記ガス漏れ判定部は、前記全てのガスメータで計測されたガス圧力の中から所定の許容範囲内にあるガス圧力、または、前記全てのガスメータで計測されたガス圧力の最大値とこの最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力を、前記同等または略同等であるガス圧力として選択するよう構成されていてもよい。
【0013】
また、前記ガスメータは、前記流量計測部及び前記圧力計測部で計測されるガス流量及びガス圧力に基づいて、所定時間ごとに前記所定時間内のガス積算流量値とガス圧力平均値とを算出し、これらの算出した値と算出時刻とを含むガスメータ情報を前記監視装置へ送信するよう構成され、前記監視装置は、各前記ガスメータから送信されてきた前記ガスメータ情報を前記ガスメータごとに記憶する情報記憶部を有し、前記ガス漏れ判定部は、前記情報記憶部に記憶された前記ガスメータ情報に基づいて、同時刻において前記グループ内の全ての前記ガスメータで算出されたガス積算流量値が所定値以下のときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときのガス積算流量値の前記算出時刻を選択し、この選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から同等または略同等であるガス圧力平均値を選択し、この選択したガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記選択した算出時刻において、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択されないガス圧力平均値が存在する場合には、当該ガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成されていてもよい。
【0014】
また、前記ガスメータは、所定時間ごとに前記所定時間内において前記流量計測部で計測されるガス流量に基づいて前記ガス器具が不使用状態であるか否かを判断し、前記ガス器具が不使用状態であると判断したときに前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を生成し、この生成した情報を含むガスメータ情報を前記監視装置へ送信するとともに、前記圧力計測部で計測されるガス圧力に基づいて、前記ガス器具が不使用状態であると判断した前記所定時間内のガス圧力平均値を算出し、この算出した値と算出時刻とを前記ガスメータ情報に含めて前記監視装置へ送信するよう構成され、前記監視装置は、各前記ガスメータから送信されてきた前記ガスメータ情報を前記ガスメータごとに記憶する情報記憶部を有し、前記ガス漏れ判定部は、前記情報記憶部に記憶された前記ガスメータ情報に基づいて、同時刻において前記グループ内の全ての前記ガスメータの前記ガスメータ情報に前記ガス器具が不使用状態である旨を示す情報があるときに全ての前記ガス器具が不使用状態であると判断し、この判断したときの前記算出時刻を選択し、この選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から同等または略同等であるガス圧力平均値を選択し、この選択したガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れが無いと判定し、前記選択した算出時刻において、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択されないガス圧力平均値が存在する場合には、当該ガス圧力平均値を算出した前記ガスメータが設けられている前記内管にはガス漏れの可能性があると判定するよう構成されていてもよい。
【0015】
また、前記ガス漏れ判定部は、前記選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から所定の許容範囲内にあるガス圧力平均値、または、前記選択した算出時刻におけるガス圧力平均値の最大値とこの最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力平均値を、前記同等または略同等であるガス圧力平均値として選択するよう構成されていてもよい。
【0016】
また、前記外管は、前記整圧器に接続された本支管と、前記本支管と前記内管とをつなぐ供給管とを有し、前記グループは、同一の前記本支管のガス流れ方向における所定範囲内の部分に接続された複数の前記供給管の各々につながる前記内管に設けられた複数のガスメータによって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上に説明した構成を有することで、内管の漏洩検査の省力化を図ることができるガス漏れ検査システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態のガス漏れ検査システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるガスメータおよびその周辺部の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、ガスメータグループ内の全てのガスメータにおいて、全てのガス器具が不使用状態である時刻におけるガス圧力平均値のデータをプロットした一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略することがある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0020】
(実施形態)
図1は、本実施形態のガス漏れ検査システムの概略構成を示す図である。また、
図2は、本実施形態におけるガスメータおよびその周辺部の概略構成を示す図である。
【0021】
本実施形態のガス漏れ検査システムは、各々、ユーザの宅地内に設置された複数のガスメータ1と、各々のガスメータ1と通信可能に構成された監視装置3と、を備えている。
【0022】
各ガスメータ1は、都市ガス用のガスメータである。都市ガス製造所で製造された都市ガスは、複数の整圧器等を介して道路に埋設されたガス配管を通り、各ユーザ宅へ供給される。
【0023】
図1の例では、整圧器4へ供給されるガス(都市ガス)は、整圧器4によって所定の圧力に減圧されて、道路に埋設されたガス配管(外管P2)を通り、ユーザ宅の敷地内のガス配管(内管P1)へ供給される。外管P2は、整圧器4に接続されて整圧器4から所定圧力のガスが供給される本支管P21と、本支管P21に接続され本支管P21よりも管径の小さい供給管P22とを有している。各供給管P22は、本支管P21と各ユーザ宅敷地内の内管P1とをつなぐ部分のガス配管である。
【0024】
図2に示すように、内管P1を通ったガスはユーザ宅のガス器具22(22a~22c)へ供給される。ガス器具22a~22cには、ガスコンロ、ガスファンヒータ、給湯器等を例示できる。このように内管P1の末端には、ガス栓(図示せず)を介して1つ以上のガス器具22が接続される。内管P1の途中には、通常時開状態のガスバルブ21が設けられ、この下流側にガスメータ1が設けられている。
【0025】
ガスメータ1は、制御部10、遮断弁11、流量計測部12、圧力計測部13、入力操作部14、表示部15及び通信部16等を備えている。遮断弁11、流量計測部12及び圧力計測部13は、内管P1に設けられている。遮断弁11は、その開閉が制御部10によって制御される電磁弁で構成することができ、通常時開状態とされている。
【0026】
流量計測部12は、例えば、公知の超音波流量計で構成され、一定時間間隔でガス流量を計測し、制御部10へ出力する。圧力計測部13は、公知の圧力センサを有し、一定時間間隔でガス圧力を計測し、制御部10へ出力する。
【0027】
入力操作部14は、各種スイッチ等で構成され、操作内容に応じた信号(操作信号)を制御部10に入力する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置やLEDランプを有し、種々の情報を表示することができる。通信部16は、監視センターに設置された監視装置3と通信可能に構成されている。
【0028】
制御部10は、マイクロコンピュータまたはマイクロコントローラ等で構成され、CPU及びメモリ(ROM及びRAM)等を備えている。CPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、ガスメータ1全体の制御を行うことができる。メモリには、制御プログラムの他、種々の情報を記憶することができる。制御部10は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。制御部10は、遮断弁11、表示部15及び通信部16を制御する。
【0029】
公知の安全機構として、制御部10は、流量計測部12で計測されるガス流量及び圧力計測部13で計測されるガス圧力等に基づいて異常を検出したときに遮断弁11を閉じるよう構成されている。例えば、異常に大きなガス流量のガスが流れた場合や、異常に長い時間の間ガスが流れた場合、及び、異常なガス圧力の低下があった場合には、制御部10は遮断弁11を閉じる。また、ガスメータ1には、感震センサ(図示せず)が備えられ、所定震度以上の地震があった場合には、制御部10は遮断弁11を閉じる。この遮断弁11を開くための復帰操作の手順は予め決められている。
【0030】
また、制御部10は、流量計測部12で一定時間(t1)間隔で計測されるガス流量(瞬時流量)に基づいて、所定時間(t2)ごとに所定時間(t2)内のガス積算流量値(ガス使用量)を算出するとともに、圧力計測部13で一定時間(t1)間隔で計測されるガス圧力に基づいて、所定時間(t2)ごとに所定時間(t2)内のガス圧力平均値を算出する。そして、これらの算出した値をその算出した時刻(算出時刻)とともにガスメータ情報としてメモリに記憶する。そして、制御部10は、メモリに記憶しているガスメータ情報を所定のタイミングで通信部16から監視装置3へ送信させる。上記の時間t1、t2には、t1<t2の関係がある。
【0031】
上記のように、制御部10は、ガスメータ情報を作成してメモリに記憶し、通信部16から監視装置3へ送信させることを繰り返し行うように構成されている。なお、一旦送信されたガスメータ情報はメモリから消去される。
【0032】
監視装置3は、監視センターに設置されたコンピュータ等で構成されており、制御部31、通信部32、情報記憶部33、入力操作部34、及び表示部35等を備えている。制御部31は、マイクロコントローラ等で構成され、CPU及びメモリ(ROM及びRAM)等を備えている。CPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、監視装置3全体の制御を行うことができる。メモリには、制御プログラムの他、種々の情報を記憶することができる。制御部31は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。
【0033】
通信部32は、インターネット等の通信網を介して各ガスメータ1の通信部16と通信可能に構成されている。情報記憶部33は、各ガスメータ1から受信したガスメータ情報等が記憶される記憶媒体である。入力操作部34は、キーボード、マウス等で構成され、入力操作部34の操作に応じた信号が制御部31へ入力される。表示部35は、液晶ディスプレイ等の表示装置である。
【0034】
監視装置3の情報記憶部33には、例えば
図1に示すような、都市ガス製造所から各ユーザ宅のガスメータ1までの、整圧器4、本支管P21、供給管P22,内管P1及びガスメータ1の位置情報を示すガス導管地図情報が記憶されている。なお、本支管P21は複数に枝分かれしていてもよい。
【0035】
また、情報記憶部33には、各ガスメータ1から順次送信されてきたガスメータ情報がガスメータ1ごとに順次記憶される。例えば、各ガスメータ1の通信部16は、ガスメータ情報をガスメータ1の識別情報(例えばガスメータ1のシリアル番号)とともに監視装置3へ送信し、監視装置3では、通信部32で受信したガスメータ情報をガスメータ1の識別情報と関連付けて情報記憶部33に記憶することにより、ガスメータ情報をガスメータ1ごとに記憶することができる。よって、情報記憶部33には、ガスメータ1ごとに、所定時間(t2)で生成された多数のガスメータ情報が記憶される。
【0036】
次に、本実施形態のガス漏れ検査システムによる各ユーザ宅の内管P1の漏洩検査について説明する。
【0037】
このガス漏れ検査システムでは、例えば、監視装置3のオペレータが入力操作部34に対して所定の操作(検査開始操作)を行うことにより検査開始信号を制御部31に入力する。
【0038】
制御部31は、上記の検査開始信号を入力すると、ガス漏れ判定部として機能しガス漏れ判定処理を行う。このガス漏れ判定処理では、各々が設けられた内管P1が供給管P22及び本支管P21を介して同一の整圧器4につながる複数のガスメータ1からなるガスメータグループにおいて、情報記憶部33に記憶されたガスメータ情報に基づいて、同時刻(同じ算出時刻)においてガスメータグループ内の全てのガスメータ1で算出されたガス積算流量値が所定値(F)以下のときに全てのガス器具22が不使用状態であると判断し、この判断したときの算出時刻を選択する。上記所定値(F)は、例えば、ガス使用量が最小である種類のガス器具22の使用時における所定時間(t2)内の最小積算流量値よりも小さい値に設定されている。
【0039】
次に、制御部31は、上記の選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から、所定の正常値選択条件(詳細は後述)に基づいて同等または略同等であるガス圧力平均値(以下、「正常値」ともいう)を選択する。そして、この正常値(同等または略同等であるガス圧力平均値)として選択したガス圧力平均値を算出したガスメータ1が設けられている内管P1にはガス漏れが無いと判定する。
【0040】
上記のガスメータグループとして、例えば、
図1に示す鎖線G1内の全てのガスメータ1からなるグループ(以下、「ガスメータグループG1」という)を例示できる。ここで、本実施形態のガス漏れ検査システムによる各ユーザ宅の内管P1の漏洩検査が行われる際、ガスメータグループG1内の全てのガスメータ1の内部の遮断弁11及び外部のガスバルブ21は、通常状態すなわち開状態である。
【0041】
各内管P1につながる各供給管P22は、これよりも管径の大きい本支管P21に接続されており、この本支管P21には整圧器4から所定圧力のガスが供給されるようになっている。よって、各ガスメータ1で計測される各内管P1のガス圧力の互いへの影響はほとんどない(非常に小さい)と考えられる。つまり、ガス漏れが無い場合には、各ガスメータ1で計測される各内管P1のガス圧力は、主に各内管P1に接続されたガス器具22の使用状態に応じて変動する。
【0042】
例えば、あるガスメータグループG1において、各々の内管P1に接続された全てのガス器具22が不使用状態である時刻(時刻txとする)では、全ての内管P1および供給管P22にガス漏れが無ければ、全てのガスメータ1のガス圧力平均値は同等か略同等になる。
【0043】
よって、制御部31は、情報記憶部33に記憶されたガスメータ情報に基づいて、同時刻(同じ算出時刻)においてガスメータグループG1内の全てのガスメータ1で算出されたガス積算流量値が所定値(F)以下のときに全てのガス器具22が不使用状態であると判断し、この判断したときの算出時刻(上記不使用状態である時刻tx)を選択し、この選択した算出時刻における全てのガス圧力平均値の中から、所定の正常値選択条件に基づいて正常値(同等または略同等であるガス圧力平均値)を選択し、この正常値として選択したガス圧力平均値を算出したガスメータ1が設けられている内管P1にはガス漏れが無いと判定するようにしてガス漏れ判定処理を行う。
【0044】
一方、上記不使用状態である時刻txにおいて、いずれかの内管P1(例えば、
図1の箇所B1)にガス漏れが発生していると、その内管P1に設けられているガスメータ1で算出されるガス圧力平均値は、他のガス漏れが発生していない内管P1に設けられているガスメータ1で算出されるガス圧力平均値よりも低くなる。
【0045】
よって、制御部31は、ガス漏れ判定処理において、上記不使用状態である時刻txにおいて、正常値として選択されないガス圧力平均値が存在する場合には、当該ガス圧力平均値を算出したガスメータ1が設けられている内管P1にはガス漏れの可能性があると判定するようにしてもよい。ここで、ガス漏れの可能性があると判定しているのは、内管P1にはガス漏れがなく、その内管P1につながる供給管P22にガス漏れがある場合も含まれるからである。
【0046】
制御部31は、ガス漏れ判定処理が終了すると、その判定結果を情報記憶部33に記憶するとともに、表示部35に表示させてオペレータに報知する。判定結果の表示方法は、特に限定されるものではなく、例えば、前述のガス導管地図情報に判定結果を重ねるようにして表示部35に表示させるようにしてもよい。
【0047】
次に、正常値選択条件について説明する。正常値選択条件には、例えば、次の(1)または(2)の条件を用いることができる。
(1)所定の許容範囲内にあるガス圧力平均値を正常値として選択すること。
(2)不使用状態である時刻txにおけるガス圧力平均値の最大値と、この最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力平均値を正常値として選択すること。
【0048】
上記(1)の条件及び(2)の条件について、
図3を参照して説明する。
図3は、ガスメータグループG1内の全てのガスメータ1の時刻tx(全てのガス器具が不使用状態である時刻)におけるガス圧力平均値のデータをプロットした一例を示す図である。横軸のM1,M2,M3,・・・,Mnはそれぞれガスメータ1を示す。
【0049】
上記(1)の条件の場合、下限値をPa、上限値をPbとする所定の許容範囲Drが予め定められており、この許容範囲Dr内のガス圧力平均値を正常値とする。
図3の例では、M3以外のガスメータ1のガス圧力平均値が正常値となる。なお、許容範囲Drは、その範囲内のガス圧力平均値が略同等であると認められるように設定されている。
【0050】
上記(2)の条件の場合について説明する。
図3の例では、ガス圧力平均値の最大値は、Mnのガスメータ1のガス圧力平均値(Pm)である。この最大値(Pm)から所定の許容値(d)を減算した値は、Pm-dである。
【0051】
よって、(2)の条件の場合、(Pm-d)以上で、Pm以下である範囲Ds内のガス圧力平均値を正常値とする。
図3の例では、M3以外のガスメータ1のガス圧力平均値が正常値となる。なお、許容値(d)の大きさは、その大きさの範囲Ds内のガス圧力平均値が略同等であると認められるように設定されている。
【0052】
また、正常値選択条件の他の例として、不使用状態である時刻txにおける全てのガス圧力平均値の中央値(Pc)を求め、例えば、正の所定値eを用いて、(Pc-e)以上で、(Pc+e)以下である範囲内のガス圧力平均値を正常値とするようにしてもよい。
【0053】
本実施形態では、制御部31(ガス漏れ判定部)によってガス漏れが無いと判定された内管P1については、検査員が現地(ユーザ宅)に行ってガス漏れ調査機器を用いて行う検査を省略することができる。よって、内管の漏洩検査の省力化を図ることができる。
【0054】
なお、上記では、ガスメータグループとしてグループG1を例示したが、これに限らず、例えば、
図1に示す鎖線G2内の全てのガスメータ1からなるグループ(以下、「ガスメータグループG2」という)を例示できる。このガスメータグループG2は、同一の本支管P21のガス流れ方向における所定範囲R1内の部分に接続された複数の供給管P22の各々につながる内管P1に設けられた複数のガスメータ1によって構成されている。この場合、上記グループG1内に、複数のガスメータグループG2が設定される。このように、ガスメータグループは、種々変更可能である。制御部31は、各ガスメータグループに対して前述のガス漏れ判定処理を行うガス漏れ判定部として機能する。ガスメータグループを構成するガスメータ1の個数が少ない方が全てのガス器具22が不使用状態である時刻txを選択しやすくなる。
【0055】
なお、ガスメータグループの情報は、ガス導管地図情報とともに予め情報記憶部33に記憶されていてもよい。また、例えば、ガス導管地図情報を表示部35に表示させて、入力操作部34の操作によってガスメータグループを設定するようにしてもよい。
【0056】
なお、上記の例では、監視装置3が、各ガスメータ1から得られたガスメータ情報のガス積算流量値に基づきガス器具22が不使用状態であるか否かを判断するようにしたが、各ガスメータ1が判断するようにしてもよい。この場合、各ガスメータ1は、所定時間内に計測したガス流量に基づいてガス器具22が不使用状態であるか否かを判断し(例えば、ガス流量が所定値以下のときにガス器具22が不使用状態であると判断)、不使用状態であると判断したときに、ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を生成し、この生成した情報を含むガスメータ情報を監視装置3へ送信するとともに、ガス器具が不使用状態であると判断した所定時間内のガス圧力平均値を算出し、この算出した値と算出時刻とを上記ガスメータ情報に含めて監視装置3へ送信するよう構成され、監視装置3は、同時刻においてガスメータグループ内の全てのガスメータ1のガスメータ情報にガス器具が不使用状態である旨を示す情報があるときに全てのガス器具が不使用状態であると判断するように構成されてもよい。
【0057】
なお、上記の例では、監視装置3は、情報記憶部33に各ガスメータ1ごとに多数蓄積された複数のガスメータ情報に基づいてガス漏れ判定処理を行うようにしたが、次に述べる他の例のようにしてもよい。
【0058】
〔他の例〕
この他の例では、ガス漏れ判定処理を、前述のガス積算流量値及びガス圧力平均値に代えて、流量計測部12及び圧力計測部13の計測値であるガス流量及びガス圧力を用いて行うようにする。
【0059】
この場合、例えば、監視装置3のオペレータが入力操作部34に対して検査開始操作を行うと、監視装置3は、ガスメータグループ内の全てのガスメータ1に対して、流量計測部12及び圧力計測部13で一定時間(t1)間隔で計測されるガス流量及びガス圧力を送信するよう指示する。ここで、ガスメータ1は、ガス流量及びガス圧力を計測するたびに順次送信するようにしてもよいし、予め送信間隔(t1の複数倍の間隔)を決めておいて、その送信間隔で計測されるガス流量及びガス圧力を順次送信するようにしてもよい。
【0060】
そして、監視装置3の制御部31(ガス漏れ判定部)は、各ガスメータ1から送信されてきたガス流量及びガス圧力に基づいて、ガスメータグループ内の全てのガスメータ1で計測されたガス流量が所定値以下のときに全てのガス器具22が不使用状態であると判断し、この判断したときの全てのガスメータ1で計測されたガス圧力の中から同等または略同等であるガス圧力を選択し、この選択したガス圧力を計測したガスメータ1が設けられている内管P1にはガス漏れが無いと判定する。また、全てのガス器具22が不使用状態であると判断したときの全てのガスメータ1で計測されたガス圧力の中に、同等または略同等であるガス圧力として選択されないガス圧力が存在する場合には、当該ガス圧力を計測したガスメータ1が設けられている内管P1にはガス漏れの可能性があると判定するようにしてもよい。
【0061】
上記の同等または略同等であるガス圧力とは、全てのガスメータ1で計測されたガス圧力の中から所定の許容範囲内にあるガス圧力としてもよいし、全てのガスメータ1で計測されたガス圧力の最大値とこの最大値から所定の許容値を減算した値との範囲内にあるガス圧力としてもよい。あるいは、全てのガスメータ1で計測されたガス圧力の中央値(Pf)を求め、例えば、正の所定値gを用いて、(Pf-g)以上で、(Pf+g)以下である範囲内のガス圧力としてもよい。
【0062】
なお、ガス圧力は、ガスメータが設置された高度による補正、或いは、ガスメータに設けられた温度検知部(図示せず)で検知されたガスの温度により温度補正を行っても良い。
【0063】
なお、先に述べた例におけるガス積算流量値及びガス圧力平均値は、それぞれ計測されるガス流量およびガス圧力に基づいて算出されるので、先に述べた例においても、ガス漏れ判定処理はガス流量およびガス圧力に基づいて行われる。
【0064】
なお、上記の他の例においても、各ガスメータ1が、計測したガス流量に基づいてガス器具22が不使用状態であるか否かを判断(例えば、ガス流量が所定値以下のときにガス器具22が不使用状態であると判断)するようにしてもよい。この場合、ガスメータ1は、不使用状態であると判断したときに、ガス器具が不使用状態である旨を示す情報を生成し、この生成した情報とともに計測したガス圧力を監視装置3へ送信するよう構成され、監視装置3は、ガスメータグループ内の全てのガスメータ1からガス器具が不使用状態である旨を示す情報が同時刻(ほぼ同時刻を含む)に送信されてきたときに全てのガス器具が不使用状態であると判断するように構成されてもよい。
【0065】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、内管の漏洩検査の省力化を図ることができるガス漏れ検査システム等として有用である。
【符号の説明】
【0067】
P1 内管
P2 外管
P21 本支管
P22 供給管
G1,G2 ガスメータグループ
1 ガスメータ
3 監視装置
4 整圧器
10 制御部
12 流量計測部
13 圧力計測部
14 入力操作部
15 表示部
16 通信部
22a~22c ガス器具
31 制御部
32 通信部
33 情報記憶部