(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2020135593
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 将寿
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038766(JP,A)
【文献】特開2020-047365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、
前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する嵌合検知部材と、 を備え、
前記嵌合検知部材は、前記ハウジングから離脱される移動方向が、前記相手ハウジングから前記ハウジングを離脱する離脱方向と同一方向であり、
前記ハウジングと前記嵌合検知部材との間には、前記ハウジングからの前記嵌合検知部材の離脱を規制する第1抜止部が設けられ、
前記ハウジングと前記嵌合検知部材との間には、前記嵌合検知部材を前記ハウジングから離脱する方向に移動させるときに、前記第1抜止部を支点とする前記嵌合検知部材の回転を規制する規制部が設けられ
、
前記第1抜止部は、前記ハウジングに第1方向に沿って突設されたハウジング第1突起と、前記嵌合検知部材に前記第1方向に沿って突設された検知第1突起とを有し、
前記ハウジング第1突起と前記検知第1突起とは、前記嵌合検知部材が仮係止位置に配置された状態で前記嵌合検知部材の移動方向に対して離間して配置されている
、
コネクタ。
【請求項2】
前記規制部には、前記ハウジングからの前記嵌合検知部材の離脱を規制する第2抜止部が設けられ
、
前記第2抜止部は、前記ハウジングに前記第1方向とは異なる第2方向に沿って突設されたハウジング第2突起と、前記嵌合検知部材に前記第2方向に沿って突設された検知第2突起とを有し、
前記ハウジング第2突起と前記検知第2突起とは、前記嵌合検知部材が仮係止位置に配置された状態で前記嵌合検知部材の移動方向に対して離間して配置されている
、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合検知部材には、前記ハウジングに対して前記嵌合検知部材を仮係止位置と本係止位置とで保持する検知ロックアームが、弾性変形可能に設けられ、
前記
ハウジング第1突起は、前記ハウジングから前記検知ロックアームに向けて突設され、前記検知第1突起は、前記検知ロックアームから前記ハウジングに向けて突設されている
、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記規制部は、前記ハウジングと前記嵌合検知部材とのうちいずれか一方に突設された凸部と、他方に設けられ前記凸部と係合する凹部とを有し、
前記嵌合検知部材の移動方向は、前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と同一方向であり、
前記凸部と前記凹部とは、
前記ハウジング第1突起と前記検知第1突起とが係合される位置から、少なくとも前記嵌合検知部材の本係止位置まで係合可能に、前記嵌合検知部材の移動方向に沿って延設されている
、請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングを備えている。また、ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより相手ハウジングとハウジングとの嵌合状態を検出する嵌合検知部材を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、相手ハウジングとハウジングとが嵌合している場合、嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができ、相手ハウジングとハウジングとが嵌合していることを検出することができる。
【0004】
一方、相手ハウジングとハウジングとが嵌合していない半嵌合状態などである場合には、嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置に移動させることができず、相手ハウジングとハウジングとが嵌合していないことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、嵌合検知部材のハウジングから離脱される移動方向と、相手ハウジングからハウジングを離脱する離脱方向とが、同一方向となっている。また、ハウジングと嵌合検知部材との間には、ハウジングからの嵌合検知部材の離脱を規制する抜止部としての第1突起と第2突起とが設けられている。
【0007】
このため、相手ハウジングからハウジングを離脱させる場合には、嵌合検知部材をハウジングから離脱させる方向に移動させることにより、嵌合検知部材がハウジングから離脱することなく、ハウジングを相手ハウジングから離脱させることができる。
【0008】
しかしながら、嵌合検知部材をハウジングから離脱させる方向に移動させるときには、抜止部が支点となって、ハウジングに対して嵌合検知部材が回転するように傾く可能性がある。このため、相手ハウジングとハウジングとの嵌合解除の操作力が、回転方向に分散されてしまい、離脱方向に十分な操作力が伝わらず、離脱作業性が低下する懸念があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、離脱作業性を向上することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係るコネクタは、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合状態を検出する嵌合検知部材とを備え、前記嵌合検知部材は、前記ハウジングから離脱される移動方向が、前記相手ハウジングから前記ハウジングを離脱する離脱方向と同一方向であり、前記ハウジングと前記嵌合検知部材との間には、前記ハウジングからの前記嵌合検知部材の離脱を規制する第1抜止部が設けられ、前記ハウジングと前記嵌合検知部材との間には、前記嵌合検知部材を前記ハウジングから離脱する方向に移動させるときに、前記第1抜止部を支点とする前記嵌合検知部材の回転を規制する規制部が設けられている。
【0011】
前記規制部には、前記ハウジングからの前記嵌合検知部材の離脱を規制する第2抜止部が設けられていることが好ましい。
【0012】
前記嵌合検知部材には、前記ハウジングに対して前記嵌合検知部材を仮係止位置と本係止位置とで保持する検知ロックアームが、弾性変形可能に設けられ、前記第1抜止部は、前記検知ロックアームが弾性変形を行う範囲内に配置されていることが好ましい。
【0013】
前記規制部は、前記ハウジングと前記嵌合検知部材とのうちいずれか一方に突設された凸部と、他方に設けられ前記凸部と係合する凹部とを有し、前記嵌合検知部材の移動方向は、前記相手ハウジングと前記ハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と同一方向であり、前記凸部と前記凹部とは、前記嵌合検知部材の移動方向に沿って延設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、離脱作業性を向上することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るコネクタの相手ハウジングの正面図である。
【
図4】本実施形態に係るコネクタのハウジングの斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るコネクタの嵌合検知部材の正面図である。
【
図9】本実施形態に係るコネクタのハウジングと相手ハウジングとが嵌合する前で、嵌合検知部材が仮係止位置に配置されたときの背面図である。
【
図12】
図11を反対側から見たときの要部拡大断面図である。
【
図15】本実施形態に係るコネクタのハウジングと相手ハウジングとの嵌合途中の断面図である。
【
図16】本実施形態に係るコネクタのハウジングと相手ハウジングとが嵌合し、嵌合検知部材が本係止位置に移動するときの断面図である。
【
図17】本実施形態に係るコネクタのハウジングと相手ハウジングとが嵌合し、嵌合検知部材が本係止位置に配置されたときの断面図である。
【
図18】本実施形態に係るコネクタのハウジングと相手ハウジングとの嵌合を解除するときの背面図である。
【
図21】本実施形態に係るコネクタの嵌合検知部材をハウジングからの離脱方向に移動させたときの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0017】
本実施形態に係るコネクタ1は、相手ハウジング3と嵌合可能なハウジング5を備えている。また、ハウジング5に移動可能に組付けられ、仮係止位置と本係止位置との間を移動することにより相手ハウジング3とハウジング5との嵌合状態を検出する嵌合検知部材7を備えている。
【0018】
また、嵌合検知部材7は、ハウジング5から離脱される移動方向が、相手ハウジング3からハウジング5を離脱する離脱方向と同一方向である。さらに、ハウジング5と嵌合検知部材7との間には、ハウジング5からの嵌合検知部材7の離脱を規制する第1抜止部9が設けられている。
【0019】
そして、ハウジング5と嵌合検知部材7との間には、嵌合検知部材7をハウジング5から離脱する方向に移動させるときに、第1抜止部9を支点とする嵌合検知部材7の回転を規制する規制部11が設けられている。
【0020】
また、規制部11には、ハウジング5からの嵌合検知部材7の離脱を規制する第2抜止部13が設けられている。
【0021】
さらに、嵌合検知部材7には、ハウジング5に対して嵌合検知部材7を仮係止位置と本係止位置とで保持する検知ロックアーム15が、弾性変形可能に設けられている。そして、第1抜止部9は、検知ロックアーム15が弾性変形を行う範囲内に配置されている。
【0022】
また、規制部11は、嵌合検知部材7に突設された凸部17と、ハウジング5に設けられ凸部17と係合する凹部19とを有する。さらに、嵌合検知部材7の移動方向は、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合方向及び離脱方向と同一方向である。そして、凸部17と凹部19とは、嵌合検知部材7の移動方向に沿って延設されている。
【0023】
図1~
図3,
図9,
図10,
図15~
図20に示すように、相手ハウジング3は、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。この相手ハウジング3には、一側が開口され、内部にハウジング5が嵌合可能な相手嵌合部21が設けられている。この相手嵌合部21の底部には、複数の貫通孔が形成され、例えば、回路基板に電気的に接続された複数の相手端子(不図示)が貫通孔に圧入などによって固定され、複数の相手端子が相手嵌合部21内に配置される。
【0024】
このような相手嵌合部21の開口側には、相手ハウジング3とハウジング5とが嵌合したときに、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合状態を保持する被ロック部23が内部に向けて複数(ここでは2つ)突設されている。このような相手ハウジング3は、相手嵌合部21がハウジング5と嵌合することにより、相手端子とハウジング5に収容された端子(不図示)とが電気的に接続される。
【0025】
図1,
図4,
図5,
図9~
図22に示すように、ハウジング5は、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。このハウジング5は、嵌合部25と、ロックアーム27と、検知収容部29とを備えている。
【0026】
嵌合部25は、相手ハウジング3の相手嵌合部21の内部に収容可能に筐体状に形成されている。この嵌合部25の内部には、嵌合方向に沿って延設された端子収容室31が、ハウジング5の幅方向に沿って複数列配置され、ハウジング5の高さ方向に沿って複数段配置されている。この複数の端子収容室31には、例えば、電源や機器などに電気的に接続された複数の端子(不図示)がそれぞれ収容される。
【0027】
このような端子収容室31内には、弾性変形可能に係止ランス33が設けられている。この係止ランス33は、端子収容室31に収容された端子と係合することにより、端子収容室31からの端子の抜け止めを行う。また、複数の端子収容室31には、複数の端子収容室31を連通する貫通孔にリテーナ35が配置されている。このリテーナ35は、端子収容室31に収容された端子と係合することにより、端子収容室31からの端子の抜け止めを二重に行う。
【0028】
このような嵌合部25は、相手ハウジング3の相手嵌合部21内に嵌合することにより、端子と相手端子とが電気的に接続される。この嵌合部25の上面には、ロックアーム27が設けられている。
【0029】
ロックアーム27は、ハウジング5の長さ方向である嵌合方向及び離脱方向に沿って延設され、ハウジング5の幅方向に沿って複数(ここでは4つ)配置されている。この複数のロックアーム27は、それぞれ嵌合方向前側の一端側を嵌合部25と連続する一部材で形成された基端とし、嵌合方向後側の他端側をハウジング5の高さ方向に弾性変形可能に配置された自由端としている。このような複数のロックアーム27は、ハウジング5の幅方向に沿って延設された連動部37と連続する一部材で形成され、複数のロックアーム27の弾性変形が連動される。
【0030】
この複数のロックアーム27のうち中央側に位置する2つのロックアーム27の中央近傍には、それぞれ相手嵌合部21の被ロック部23に係合可能なロック部39がハウジング5の幅方向外側に向けて突設されている。また、ロック部39のハウジング5の幅方向外側に隣接する部分には、ハウジングリブ41がハウジング5の幅方向外側に向けて突設されている。さらに、複数のロックアーム27のうち外側に位置する2つのロックアーム27の自由端側には、それぞれハウジング5の幅方向外側に向けてボス43が突設されている。
【0031】
このような複数のロックアーム27は、嵌合部25が相手嵌合部21内に挿入されると、ロック部39と被ロック部23とが当接し、ロック部39が被ロック部23を乗り越えるように摺動する。このロック部39と被ロック部23との摺動により、複数のロックアーム27が連動部37を介してハウジング5の下方に向けて弾性変形される。
【0032】
そして、嵌合部25が相手嵌合部21内の正規位置に収容されると、ロック部39が被ロック部23を乗り越える。このとき、複数のロックアーム27は、連動部37を介してハウジング5の上方に向けて復元され、ロック部39と被ロック部23とが離脱方向に係合される。このロック部39と被ロック部23との係合により、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合状態が保持される。
【0033】
検知収容部29は、嵌合部25の上面から上方に向けて嵌合部25と連続する一部材で立設された側壁45,45と、側壁45,45の上端側に側壁45,45を連結するように側壁45,45と連続する一部材で形成された連結壁47とからなる。この検知収容部29には、嵌合検知部材7がハウジング5の長さ方向である嵌合方向及び離脱方向に移動可能に収容される。
【0034】
図1,
図6~
図22に示すように、嵌合検知部材7は、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。この嵌合検知部材7は、本体49と、検知ロックアーム15とを備えている。
【0035】
本体49は、ハウジング5の高さ方向に向けて延設された側部51,51と、側部51,51の上端側に側部51,51を連結するように側部51,51と連続する一部材で形成された操作部53とからなる。この本体49は、側部51,51が検知収容部29内に収容可能で、操作部53が検知収容部29から露出するように、検知収容部29に配置される。このような本体49は、操作部53を押圧することによって、ハウジング5の嵌合方向及び離脱方向に移動することができる。
【0036】
この本体49の側部51,51のハウジング5からの離脱方向の端面には、下方から上方に向けてハウジング5からの離脱方向に傾斜する傾斜部55が設けられている。この傾斜部55は、嵌合検知部材7がハウジング5に対して仮係止位置(
図10参照)で保持された状態で、ロックアーム27のボス43と対向して配置される。
【0037】
このような傾斜部55は、嵌合検知部材7が仮係止位置よりハウジング5からの離脱方向に移動されると、ボス43と摺動する。この傾斜部55とボス43との摺動により、複数のロックアーム27が連動部37を介して下方に向けて弾性変形される。
【0038】
このロックアーム27の弾性変形により、被ロック部23とロック部39との係合が解除され、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合を解除することができる。このように嵌合検知部材7に傾斜部55を設けることにより、嵌合検知部材7の移動によってロックアーム27を弾性変形させることができる。
【0039】
このため、ロックアーム27を直接的に弾性変形させる操作を行う必要がなく、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合解除の作業性を向上することができる。なお、ロックアーム27には、ロックアーム27を直接的に弾性変形させることができる押圧部57(
図4参照)が設けられている。このような本体49には、検知ロックアーム15が弾性変形可能に連続する一部材で設けられている。
【0040】
検知ロックアーム15は、嵌合検知部材7の移動方向に沿って延設され、嵌合検知部材7の幅方向に沿って複数(ここでは2つ)配置されている。この複数の検知ロックアーム15は、それぞれ離脱方向側の一端側を本体49の操作部53と連続する一部材で形成された基端とし、嵌合方向側の他端側を嵌合検知部材7の高さ方向に弾性変形可能に配置された自由端としている。
【0041】
このような検知ロックアーム15の自由端には、ロックアーム27のロック部39と係合可能な係止部59が設けられている。この係止部59は、嵌合検知部材7がハウジング5に対して仮係止位置(
図10参照)に配置されたとき、ロックアーム27のロック部39の離脱方向側に係合される(
図11参照)。この係止部59とロック部39との係合により、嵌合検知部材7がハウジング5の嵌合方向に移動することがなく、嵌合検知部材7を仮係止位置で保持することができる。
【0042】
この係止部59とロック部39の離脱方向側との係合は、操作部53を嵌合方向に押圧することによって、嵌合検知部材7を仮係止位置で保持した状態で、ハウジング5を相手ハウジング3に嵌合できるように設定されている。
【0043】
ここで、検知ロックアーム15の自由端において、係止部59と嵌合検知部材7の幅方向外側に隣接する部分には、係止突起61と、検知リブ63とが設けられている。
【0044】
係止突起61は、嵌合検知部材7が仮係止位置(
図10参照)に配置された状態で、ロックアーム27のハウジングリブ41と嵌合方向に対向して配置される(
図12参照)。この係止突起61は、嵌合検知部材7の仮係止位置において、嵌合検知部材7が嵌合方向に移動しようとしたとき、ハウジングリブ41と当接する。この係止突起61とハウジングリブ41との当接により、嵌合検知部材7が仮係止位置から嵌合方向に移動することを規制することができる。
【0045】
検知リブ63は、嵌合検知部材7が仮係止位置に配置された状態で、ロックアーム27のハウジングリブ41と検知ロックアーム15の弾性変形方向の上方側に対向して配置される(
図12参照)。この検知リブ63は、嵌合検知部材7の仮係止位置において、検知ロックアーム15が上方側に向けて弾性変形しようとしたとき、ハウジングリブ41と当接する。
【0046】
この検知リブ63とハウジングリブ41との当接により、検知ロックアーム15が上方側に向けて弾性変形することがなく、係止部59とロック部39との係合及び係止突起61とハウジングリブ41との係合を保持することができる。このため、嵌合検知部材7を仮係止位置に安定して保持することができる。
【0047】
このような係止突起61と検知リブ63と隣接する係止部59は、相手ハウジング3とハウジング5とが嵌合する途中(
図15参照)で、ロック部39が被ロック部23に乗り上げたときに、被ロック部23と摺動する。この係止部59と被ロック部23との摺動により、検知ロックアーム15が下方に向けて弾性変形される。このとき、係止部59は、ロック部39の離脱方向側に係合しており、ハウジング5に対する嵌合検知部材7の仮係止位置を保持している。
【0048】
このような係止部59は、相手ハウジング3とハウジング5とが嵌合され、ロック部39が被ロック部23に係合された状態(
図16参照)で、ロック部39を乗り越えることが可能となる。このため、嵌合検知部材7を仮係止位置から嵌合方向に移動させることにより、係止部59がロック部39と摺動し、検知ロックアーム15を下方に向けて弾性変形させる。
【0049】
そして、嵌合検知部材7がハウジング5に対する本係止位置(
図17参照)に配置されると、検知ロックアーム15が上方に向けて復元し、係止部59がロック部39の嵌合方向側に係合される。この係止部59とロック部39との係合により、嵌合検知部材7がハウジング5の離脱方向に移動することがなく、嵌合検知部材7を本係止位置で保持することができる。なお、本係止位置における係止部59とロック部39との係合は、嵌合検知部材7を離脱方向に移動させることによって、解除することができる。
【0050】
ここで、嵌合検知部材7の操作部53には、嵌合方向側に段差部65が設けられている。この段差部65は、嵌合検知部材7が本係止位置(
図17参照)に配置された状態で、ロックアーム27の連動部37とロックアーム27の弾性変形方向の下方側に対向して配置される。このような段差部65は、嵌合検知部材7の本係止位置において、ロックアーム27が下方側に向けて弾性変形しようとしたとき、連動部37と当接する。
【0051】
この段差部65と連動部37との当接により、ロックアーム27が下方側に向けて弾性変形することがなく、被ロック部23とロック部39との係合が解除されることがない。このため、嵌合検知部材7の本係止位置では、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合状態を安定して保持することができる。
【0052】
このような嵌合検知部材7は、相手ハウジング3とハウジング5とが完全に嵌合していないと、係止部59とロック部39との係合によって、仮係止位置(
図10参照)から本係止位置(
図17参照)に移動することができない。
【0053】
このため、嵌合検知部材7を、仮係止位置から本係止位置に移動させることができる場合には、相手ハウジング3とハウジング5とが正規に嵌合していることを検出することができる。一方、嵌合検知部材7を、仮係止位置から本係止位置に移動させることができない場合には、相手ハウジング3とハウジング5とが正規に嵌合していないことを検出することができる。
【0054】
このような嵌合検知部材7は、本係止位置(
図17参照)から離脱方向に移動させることによって、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合を解除することができる。相手ハウジング3とハウジング5との嵌合を解除させる場合には、嵌合検知部材7の操作部53を離脱方向に向けて押圧し、嵌合検知部材7を離脱方向に移動させる。
【0055】
この嵌合検知部材7の離脱方向への移動により、係止部59がロック部39と摺動し、検知ロックアーム15が下方に向けて弾性変形され、嵌合検知部材7が本係止位置から仮係止位置側に移動される(
図19参照)。嵌合検知部材7の離脱方向への移動が仮係止位置を超えると、ロックアーム27のボス43と嵌合検知部材7の傾斜部55とが摺動する(
図20参照)。
【0056】
このボス43と傾斜部55との摺動により、ロックアーム27が下方に向けて弾性変形され、被ロック部23とロック部39との係合が解除される。そして、嵌合検知部材7をさらに離脱方向に移動させることにより、相手ハウジング3からハウジング5を離脱させることができる。このとき、嵌合検知部材7のハウジング5からの離脱は、ハウジング5と嵌合検知部材7との間に設けられた第1抜止部9によって防止されている。
【0057】
第1抜止部9は、ハウジング5と嵌合検知部材7との間に設けられ、ハウジング第1突起67と、検知第1突起69とを備えている。
【0058】
ハウジング第1突起67は、ハウジング5の嵌合部25の上面から上方に向けて嵌合部25と連続する一部材で突設され、複数(ここでは2つ)の検知ロックアーム15と対応する位置に複数(ここでは2つ)配置されている。
【0059】
検知第1突起69は、嵌合検知部材7の複数(ここでは2つ)の検知ロックアーム15の下面から下方に向けて検知ロックアーム15と連続する一部材で突設されている。この検知第1突起69は、嵌合検知部材7が仮係止位置(
図10参照)に配置された状態で、嵌合検知部材7の移動方向に対して、ハウジング第1突起67と離間して配置されている(
図13参照)。
【0060】
このような第1抜止部9は、被ロック部23とロック部39との係合が解除された状態で、嵌合検知部材7が離脱方向に移動することにより、ハウジング第1突起67と検知第1突起69とが係合される。このハウジング第1突起67と検知第1突起69との係合により、嵌合検知部材7がハウジング5から離脱することがない。このため、嵌合検知部材7の操作部53を離脱方向に押圧することによって、ハウジング5を相手ハウジング3から離脱させることができる。
【0061】
このような第1抜止部9は、ハウジング第1突起67と検知第1突起69との突出高さが、検知ロックアーム15が弾性変形を行う範囲内に位置するように設定されている。このように第1抜止部9を設定することにより、検知ロックアーム15が弾性変形を行うスペース内に第1抜止部9を配置することができ、コネクタ1の大型化を抑制することができる。
【0062】
ここで、検知ロックアーム15は、嵌合検知部材7が離脱方向に移動し、第1抜止部9が係合するとき、係止部59がロックアーム27の連動部37と摺動し、下方側に向けて弾性変形される。この検知ロックアーム15の弾性変形方向である下方側には、検知第1突起69が突設されている。
【0063】
この検知第1突起69は、ハウジング第1突起67に係合するとき、検知ロックアーム15の下方側への弾性変形によって、ハウジング第1突起67に対する係合代が増大される。このため、嵌合検知部材7の離脱方向への移動に対する耐力を増大することができ、嵌合検知部材7を安定してハウジング5に保持することができる。
【0064】
このような第1抜止部9は、嵌合検知部材7の離脱方向への移動によってハウジング5を相手ハウジング3から離脱させるときに、第1抜止部9が支点となり、嵌合検知部材7が回転するように傾く可能性がある。嵌合検知部材7に傾きが生じると、操作部53を離脱方向に押圧する操作力が、回転方向に分散されてしまい、離脱方向に十分な操作力が伝わらず、離脱作業性が低下してしまう。
【0065】
そこで、ハウジング5と嵌合検知部材7との間には、第1抜止部9を支点とする嵌合検知部材7の回転を規制する規制部11が設けられている。規制部11は、凸部17と、凹部19とを備えている。
【0066】
凸部17は、嵌合検知部材7の側部51,51のそれぞれの外面から嵌合検知部材7の幅方向外側に向けて側部51,51と連続する一部材で突設されている。この凸部17は、嵌合検知部材7の移動方向に沿って延設されている。
【0067】
凹部19は、ハウジング5の検知収容部29の側壁45,45の内部に、凸部17と係合可能に嵌合検知部材7の移動方向に沿って延設されている。この凹部19は、ハウジング5の離脱方向の端面が開口され、少なくとも嵌合検知部材7の本係止位置まで凸部17と係合可能に設けられている。このような凹部19は、嵌合検知部材7がハウジング5に配置された状態で、凸部17と係合される。
【0068】
このような規制部11は、第1抜止部9が係合した状態で、嵌合検知部材7の操作部53が離脱方向に押圧されたときに、凸部17と凹部19との係合により、第1抜止部9を支点とする嵌合検知部材7の回転を規制する。このため、嵌合検知部材7に傾きが生じることがなく、離脱方向への操作力が回転方向に分散されることがない。従って、嵌合検知部材7の操作部53を押圧する操作力が、第1抜止部9を介してハウジング5に離脱方向に伝わる。このため、嵌合検知部材7を介して安定してハウジング5を相手ハウジング3から離脱させることができる。
【0069】
また、凸部17と凹部19とは、嵌合検知部材7の移動方向に延設されているので、嵌合検知部材7の移動において、嵌合検知部材7がハウジング5に対して回転することがない。このため、嵌合検知部材7の操作部53を押圧する操作力が、回転方向に分散されることがなく、安定して嵌合検知部材7を移動方向に操作することができる。
【0070】
このような規制部11には、ハウジング5からの嵌合検知部材7の離脱を規制する第2抜止部13が設けられている。第2抜止部13は、ハウジング第2突起71と、検知第2突起73とを備えている。
【0071】
ハウジング第2突起71は、複数(ここでは2つ)の凹部19のそれぞれの離脱方向側の底部から外部に向けて凹部19と連続する一部材で突設されている。
【0072】
検知第2突起73は、複数(ここでは2つ)の凸部17のそれぞれの嵌合方向側の外面から嵌合検知部材7の幅方向外側に向けて凸部17と連続する一部材で突設されている。この検知第2突起73は、嵌合検知部材7が仮係止位置(
図10参照)に配置された状態で、嵌合検知部材7の移動方向に対して、ハウジング第2突起71と離間して配置されている(
図14参照)。
【0073】
このような第2抜止部13は、被ロック部23とロック部39との係合が解除された状態で、嵌合検知部材7が離脱方向に移動することにより、ハウジング第2突起71と検知第2突起73とが係合される(
図21,
図22参照)。このハウジング第2突起71と検知第2突起73との係合により、嵌合検知部材7がハウジング5から離脱することがない。このため、嵌合検知部材7の操作部53を離脱方向に押圧することによって、ハウジング5を相手ハウジング3から離脱させることができる。
【0074】
このようなコネクタ1では、ハウジング5と嵌合検知部材7との間に、嵌合検知部材7をハウジング5から離脱する方向に移動させるときに、第1抜止部9を支点とする嵌合検知部材7の回転を規制する規制部11が設けられている。
【0075】
このため、嵌合検知部材7に離脱方向への操作力がかかったときに、嵌合検知部材7が第1抜止部9を支点として回転方向に傾くことがなく、嵌合解除の操作力が回転方向に分散されることがない。
【0076】
従って、このようなコネクタ1では、嵌合検知部材7にかかる相手ハウジング3とハウジング5との嵌合解除の操作力を、ハウジング5に対して離脱方向に十分に伝えることができ、離脱作業性を向上することができる。
【0077】
また、規制部11には、ハウジング5からの嵌合検知部材7の離脱を規制する第2抜止部13が設けられている。このため、嵌合検知部材7がハウジング5から離脱することがなく、嵌合検知部材7を介して相手ハウジング3からハウジング5を安定して離脱させることができる。
【0078】
さらに、嵌合検知部材7には、ハウジング5に対して嵌合検知部材7を仮係止位置と本係止位置とで保持する検知ロックアーム15が、弾性変形可能に設けられている。そして、第1抜止部9は、検知ロックアーム15が弾性変形を行う範囲内に配置されている。
【0079】
このため、検知ロックアーム15が弾性変形を行うスペース内に第1抜止部9を配置することができ、コネクタ1の大型化を抑制することができる。
【0080】
また、規制部11は、嵌合検知部材7に突設された凸部17と、ハウジング5に設けられ凸部17と係合する凹部19とを有する。さらに、嵌合検知部材7の移動方向は、相手ハウジング3とハウジング5との嵌合方向及び離脱方向と同一方向である。そして、凸部17と凹部19とは、嵌合検知部材7の移動方向に沿って延設されている。
【0081】
このため、嵌合検知部材7の移動において、嵌合検知部材7がハウジング5に対して回転することがない。従って、嵌合検知部材7を移動方向に操作する操作力が、回転方向に分散されることがなく、安定して嵌合検知部材7を移動方向に操作することができる。
【0082】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0083】
例えば、ロックアームは、ハウジングに4つ設けられているが、これに限らず、ロックアームを1つ、或いは2つ以上としてもよい。また、検知ロックアームは、嵌合検知部材に2つ設けられているが、これに限らず、検知ロックアームを1つ、或いは3つ以上としてもよい。
【0084】
また、嵌合検知部材の仮係止位置と本係止位置との間の移動方向は、相手ハウジングとハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と同一方向となっているが、これに限るものではない。
【0085】
例えば、嵌合検知部材の仮係止位置と本係止位置との間の移動方向を、相手ハウジングとハウジングとの嵌合方向及び離脱方向と直交する方向にしてもよい。ただし、嵌合検知部材のハウジングから離脱される移動方向は、相手ハウジングからハウジングを離脱する離脱方向と同一方向とする。
【0086】
また、規制部において、凸部が嵌合検知部材に設けられ、凹部がハウジングに設けられているが、凸部をハウジングに設け、凹部を嵌合検知部材に設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 コネクタ
3 相手ハウジング
5 ハウジング
7 嵌合検知部材
9 第1抜止部
11 規制部
13 第2抜止部
15 検知ロックアーム
17 凸部
19 凹部