(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】模擬車輪及びそれを用いた自動車試験装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240220BHJP
G01L 3/10 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01M17/007 A
G01L3/10 311
(21)【出願番号】P 2020154115
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】長塩 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】吉越 洋志
(72)【発明者】
【氏名】平田 秀徳
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110956(JP,A)
【文献】特開2011-179911(JP,A)
【文献】特開2011-033350(JP,A)
【文献】特開2006-184076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00-17/007
G01L 3/10
G01L 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上にタイヤが装着される外輪部と、
前記外輪部の内周側に軸受を介して配置されたセンターディスクと、
前記センターディスクに設けられ、測定対象となる自動車の車軸の出力を検知する起歪部と、
前記センターディスクにおける前記起歪部の内周側に設けられ、連結シャフトと前記センターディスクを固定するシャフト側固定部と、
前記センターディスクにおける前記起歪部の外周側に設けられ、前記車軸と前記センターディスクを固定する車軸側固定部と、
を備えていることを特徴とする模擬車輪。
【請求項2】
前記車軸側固定部は、一方の面が前記車軸の端部に固定されたハブに連結され、他方の面が前記センターディスクの前記車軸側の表面に連結される接続アダプタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の模擬車輪。
【請求項3】
前記接続アダプタは、前記センターディスクの前記車軸側の表面における前記起歪部の外周側の部分に重ね合わされた状態で、前記センターディスクに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の模擬車輪。
【請求項4】
前記センターディスクの前記車軸側の表面における前記起歪部の外周側の部分には、前記車軸とは反対方向に形成された凹部が設けられ、前記接続アダプタは前記凹部内に対して、前記接続アダプタの外周面と前記凹部の内周面が接触する状態で嵌め込まれていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の模擬車輪。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の模擬車輪を用いた自動車試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模擬車輪及びそれを用いた自動車の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の研究開発、設計、品質管理などには、自動車試験装置が用いられている。近年の技術進歩に伴い、自動車業界においては、自動車の高性能化、高機能化が進んでおり、これに対応するように、自動車試験装置においても計測精度の高度化が要求されている。
【0003】
自動車試験装置は、その試験内容に応じて様々な種類がある。その一つとして、車軸に伝わる動力を制動装置により吸収しながら、その車軸のトルクを計測する装置がある。この種の自動車試験装置では、測定対象となる自動車の車軸に模擬車輪を装着し、模擬車輪と車外に設けられたダイナモメータとを等速ジョイント等を介して連結する。そして、駆動源によって車軸を回転させると共に、ダイナモメータから自動車の車軸に負荷を加えることにより、自動車の車軸から出力されるトルクを測定する。
【0004】
具体的には、自動車試験装置の模擬車輪に、その一部を他の部分より肉薄に形成することで、トルクがかかると構造的にひずみが生じやすい部分である起歪部を環状に設ける。そして、その起歪部に所定間隔で複数の歪みゲージを貼り付けると共に、歪みゲージを抵抗とする抵抗ブリッジ回路を形成し、起歪部に加わるトルクによりその起歪部の表面に生じた剪断応力の大きさを各歪みゲージで検出し、抵抗ブリッジ回路により現れる出力電圧の入力電圧に対する変化の大きさをトルクに換算する。
【0005】
例えば、特許文献1では、車体側に設けられた車軸にブレーキプレート及びハブを介して模擬車輪を連結し、この模擬車輪に対してトルクメータ及びダイナモメータの連結シャフトを連結する自動車試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の自動車試験装置の計測精度を高めるためには、模擬車輪等に設けられた起歪部は駆動出力のみによって変形することが望ましい。しかし、特許文献1の
図3では、自動車の車重を2つの軸受が支える構造となっているため、軸受よりも車体側に位置する各構成部品に車重が作用してしまう。つまり、従来の構造では、トルクメータが軸受よりも車体側に位置しているため、自動車の車重が起歪部へ作用することを避けられない。そのため、トルクメータが、車重によって発生した起歪部の歪みまでも含めて検出してしまい、駆動出力とダイナモメータの負荷に基づく変形量、すなわち駆動源に基づくトルクのみを正確に検知することができなかった。
【0008】
他方、特許文献1の請求項1と2の構造は、軸受よりもダイナモメータ側にトルクメータが位置しているため、起歪部は車重の影響を受けない(特許文献1の
図2参照)。しかし、起歪部を備えたトルク計測部が模擬車輪内ではなく、模擬車輪より外側にある場合、車重は起歪部に影響しないが、模擬車輪から起歪部までの間に存在する構成部品の機械的損失が発生してしまうため、車軸駆動出力を正確に検知することができない。
【0009】
本発明は、自動車の車重が起歪部へ作用せず、駆動出力とダイナモメータからの負荷による起歪部の変形を正確に検知することができ、計測の誤差要因となる機械的損失の発生を排して、精度よく車軸から出力されるトルクを計測することができる模擬車輪及びそれを用いた自動車試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の模擬車輪及びそれを用いた自動車試験装置は、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)外周面上にタイヤが装着される外輪部。
(2)前記外輪部の内周側に軸受を介して配置されたセンターディスク。
(3)前記センターディスクに設けられ、測定対象となる自動車の車軸の出力を検知する起歪部。
(4)前記センターディスクにおける前記起歪部の内周側に設けられ、連結シャフトと前記センターディスクとを固定するシャフト側固定部。
(5)前記センターディスクにおける前記起歪部の外周側に設けられ、前記車軸と前記センターディスクとを固定する車軸側固定部。
【0011】
本発明において、下記(1)から(3)のような構成を採用することも可能である。
(1)前記車軸側固定部は、一方の面が前記車軸の端部に固定されたハブに連結され、他方の面が前記センターディスクの前記車軸側の表面に連結される接続アダプタを備える。
【0012】
(2)前記接続アダプタは、前記センターディスクの前記車軸側の表面における前記起歪部の外周側の部分に重ね合わされた状態で、前記センターディスクに固定される。
【0013】
(3)前記センターディスクの前記車軸側の表面における前記起歪部の外周側の部分には、前記車軸とは反対方向に形成された凹部が設けられ、前記接続アダプタは前記凹部内に対して、前記接続アダプタの外周面と前記凹部の内周面が接触する状態で嵌め込まれている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車軸が起歪部よりもセンターディスクの外周側に固定されているため、車軸を介してセンターディスクに伝わる自動車の車重が起歪部へ作用せず、駆動出力のみによる起歪部の変形を正確に検知することができる。また、起歪部を備えたトルク計測部が模擬車輪内ではなく、模擬車輪より外側にある場合、模擬車輪から起歪部までの間に存在する構成部品の機械的損失が発生してしまうが、本発明は、起歪部が模擬車輪内のセンターディスク上に設けられているため、計測の誤差要因となる機械的損失の発生を排除して、精度よく車軸から出力されるトルクを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の使用状態を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
以下、第1実施形態の模擬車輪100について説明する。模擬車輪100は、自動車の車輪状の概形であり、測定対象となる自動車1の各タイヤ2に対応して設けられる。
図1に示すように、模擬車輪100は、自動車1のホイールを換装することにより、タイヤ2の内周に設置される。模擬車輪100は、ダイナモメータ3に接続された連結シャフト4の軸端に設けられたフランジ5と連結されて使用される。
【0017】
図2に示すように、模擬車輪100は、円盤形状のセンターディスク101と、センターディスク101と同軸状に設けられた円環形状の外輪部102を有する。センターディスク101は、外輪部102の内周側に軸受を介して配置される。模擬車輪100の軸受として、第1ベアリング103と第2ベアリング104が設けられている。第1ベアリング103は、センターディスク101の外周面と外輪部102の内周面の間に配置される。センターディスク101は、第1ベアリング103によって、外輪部102に対して相対的に車軸6の軸まわりに回動可能である。
【0018】
外輪部102は、模擬車輪100の最外周側に設けられ、外周面上のリムにタイヤ2が装着される。
【0019】
模擬車輪100は、円環形状のリング部105を有する。リング部105は、外輪部102の内周側に第2ベアリング104を介して連結される。リング部105は、第2ベアリング104によって、外輪部102に対して相対的に車軸6の軸まわりに回動可能である。
【0020】
模擬車輪100の車軸6側の表面には、センターディスク101と外輪部102のそれぞれにボルトで固定することにより、回止部材106を選択的に装着することができる。回止部材106は、装着時に、センターディスク101と外輪部102とが一体に運動するように、センターディスク101と外輪部102との間の相対的な回転を抑止する。
【0021】
センターディスク101は、測定対象となる自動車1の車軸6の出力を検知する起歪部107と、連結シャフト4とセンターディスク101とを固定するシャフト側固定部108と、接続アダプタ109を介して車軸6とセンターディスク101とを固定する車軸側固定部110を有する。シャフト側固定部108はセンターディスク101における起歪部107の内周側に設けられ、車軸側固定部110は起歪部107の外周側に設けられている。すなわち、センターディスク101には、その中心部から外周に向けて、シャフト側固定部108、起歪部107及び車軸側固定部110が同心円状に設けられている。
【0022】
シャフト側固定部108は、センターディスク101における起歪部107の内周側に設けられ、連結シャフト4とセンターディスク101とを固定する。シャフト側固定部108には、連結シャフト4をセンターディスク101に連結するため、内周に雌ネジを形成した複数のシャフト連結用ボルト孔111aが設けられている。これらのシャフト連結用ボルト孔111aは、連結シャフト4のフランジ5に設けられたシャフト連結用ボルト孔111bと整合する径方向位置に、円周方向に並んで、同じ角度間隔で設けられている。
【0023】
車軸側固定部110は、センターディスク101における起歪部107の外周側に設けられ、車軸6とセンターディスク101とを固定する。車軸側固定部110には、車軸6及びハブ7をセンターディスク101に連結するため内周に雌ネジを形成した複数の接続アダプタ連結用ボルト孔112aが設けられている。これらの接続アダプタ連結用ボルト孔112aは、接続アダプタ109に設けられた接続アダプタ連結用ボルト孔112bと整合する径方向位置に、円周方向に並んで、同じ角度間隔で設けられている。
【0024】
起歪部107は、センターディスク101に設けられ、測定対象となる自動車1の車軸6の出力を検知する。起歪部107は、センターディスク101のシャフト連結用ボルト孔111aと接続アダプタ連結用ボルト孔112aの間に、環状に設けられる。起歪部107は、歪み易いように、センターディスク101の他の部分より肉薄に形成されている。起歪部107には、起歪部107の歪み量を検出する歪みゲージ113が複数貼り付けられている。
【0025】
センターディスク101のダイナモメータ3側の表面には、無線送信装置114が固定される。無線送信装置114は、歪みゲージ113で検出した歪み量を無線で受信アンテナ115に送信する。受信アンテナ115は、リング部105の内周側面上に固定される。
【0026】
歪みゲージ113や無線送信装置114で用いる電力を供給するため、センターディスク101のダイナモメータ3側の表面の外周側端部には受電コイル116が固定され、リング部105の内周側面上には送電コイル117が固定される。
【0027】
接続アダプタ109は、起歪部107よりも大径の円盤形状であり、その外周側端は、車軸側固定部110の車軸6側の表面に重ね合わされて固定される。接続アダプタ109の車軸6側の表面は、ハブ7と接合する平面である。他方、接続アダプタ109のセンターディスク101側の表面には、起歪部107及びシャフト側固定部108に対向する部分が車軸6側に向かって凹むように段差109aが設けられている。
【0028】
接続アダプタ109の内周側には、ハブ7のハブボルトと整合する位置に、ハブ連結用ボルト孔118が設けられている。ハブ連結用ボルト孔118にハブ7のハブボルトが挿入され、ダイナモメータ3側からナットが螺合されることにより、車軸6及びハブ7と接続アダプタ109とが連結される。ハブ連結用ボルト孔118の近傍の接続アダプタ109は、ナット形状の種類に応じてテーパー状、球状、角状に形成される。
【0029】
接続アダプタ109の外周側には、センターディスク101の接続アダプタ連結用ボルト孔112aと整合する位置に、内周に雌ねじを形成した接続アダプタ連結用ボルト孔112bが設けられている。接続アダプタ連結用ボルト孔112aと接続アダプタ連結用ボルト孔112bにボルトが挿入され、ボルト先端が接続アダプタ連結用ボルト孔112bの雌ねじに螺合されることにより、センターディスク101と接続アダプタ109とが固定される。
【0030】
[1-2.作用]
模擬車輪100を用いた自動車試験装置において、
図1に示したように自動車1を同じ場所に留めて行う試験である台上試験の場合には、測定対象となる自動車1のホイールをタイヤ2から取り外し、模擬車輪100の外輪部102にタイヤ2を装着させる。
【0031】
接続アダプタ109のハブ連結用ボルト孔118に、自動車1のハブ7のハブボルトを通して、ナットを締結することにより、接続アダプタ109の車軸6側をハブ7に連結する。次に、接続アダプタ連結用ボルト孔112bと接続アダプタ連結用ボルト孔112aに、ボルトを通して締結することにより、センターディスク101の車軸6側を接続アダプタ109に連結し、車軸6とセンターディスク101を連結する。その後、センターディスク101のシャフト連結用ボルト孔111aとフランジ5のシャフト連結用ボルト孔111bに、ボルトを通して締結することにより、センターディスク101のシャフト側固定部108を連結シャフト4に連結する。
【0032】
リング部105の送電コイル117に給電線を接続して外部から給電し、リング部105の受信アンテナ115を信号線で外部の受信装置に接続する。なお、外部の受信装置には、受信装置で受信した歪み量から自動車1の車軸6から出力されるトルクを計測する解析装置を接続する。
【0033】
センターディスク101と外輪部102の間の回止部材106を取り外し、センターディスク101が外輪部102に対して自由に回転できる状態とする。このような模擬車輪100を用いた自動車試験装置において、自動車1を運転させると、自動車1のハブ7に連結されたセンターディスク101は回転するが、センターディスク101に対して自由回転する外輪部102と、外輪部102に装着されたタイヤ2は回転せず、自動車1はその場に留まり続ける。
【0034】
ダイナモメータ3から連結シャフト4を介してセンターディスク101に負荷を与えると、センターディスク101の起歪部107に自動車1の車軸6から出力されるトルクに応じた歪みが発生する。この歪みが、歪みゲージ113で検出され、検出された歪み量が、無線送信装置114、受信アンテナ115、信号線を介して受信装置に送られる。受信装置に接続された解析装置によって、受信装置で受信した歪み量から自動車1の車軸6から出力されるトルクが計測される。
【0035】
[1-3.効果]
前記のような構成並びに作用を有する本実施形態の効果は、次のとおりである。
【0036】
(1)車軸6が起歪部107よりもセンターディスク101の外周側の車軸側固定部110に固定されているため、車軸6を介してセンターディスク101に伝わる自動車1の車重が車軸側固定部110を経由してタイヤ2に伝わる。そのため、車軸側固定部110の内周に配置された起歪部107に車重が加わることがないので、駆動出力のみによる起歪部107の変形を正確に検知することができる。
【0037】
(2)起歪部107を備えたトルク計測部が模擬車輪100内ではなく、模擬車輪100より外側にある場合、模擬車輪100から起歪部107までの間に存在する構成部品の機械的損失によりトルクの計測精度が低くなってしまう。本実施形態では、起歪部107が模擬車輪100のセンターディスク101内に設けられているため、計測の誤差要因となる機械的損失の発生を排除して、精度よく車軸6から出力されるトルクを計測することができる。
【0038】
(3)接続アダプタ109を介することにより、車軸6を起歪部107の設置位置よりも外周側のセンターディスク101に固定することが容易にできる。また、接続アダプタ109を介することにより、固定面を広く設けることができるため、車軸6とセンターディスク101の固定を強固にすることができる。
【0039】
(4)接続アダプタ109のシャフト側の表面がセンターディスク101の車軸側の表面に重ね合わされた状態のため、センターディスク101の車軸側の表面は平坦なままで良く、センターディスク101の車軸側表面に接続アダプタ109の形状に合わせた加工を施す必要がない。このように簡易な構造で、接続アダプタ109とセンターディスク101を固定することができ、製造コストを削減することができる。
【0040】
(5)接続アダプタ109のセンターディスク101のシャフト側固定部108に対向する部分には、車軸6側に凹んだ段差109aが設けられている。そのため、接続アダプタ109とハブ7を固定した状態で、接続アダプタ109とセンターディスク101を連結した場合に、ハブボルトやナットがセンターディスク101に接触することがない。
【0041】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、
図3に示すように、センターディスク101の車軸6側の表面における起歪部107の外周側の部分に、車軸6とは反対方向に凹部119を形成したものである。接続アダプタ109は凹部119内に対して、接続アダプタ109の外周面と凹部119の内周面が接触する状態で嵌め込まれている。他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0042】
このような構成を有する第2実施形態の効果は、次のとおりである。
【0043】
(1)凹部119が車重を径方向で支持する構造のため、ボルト締結部の接触面に対し重力方向の力が作用しない。このように、車重を径方向で支持することで接続アダプタ109やセンターディスク101が車重によって変形することを防ぐことができ、起歪部107がより駆動出力のみを検知することができるようになる。
【0044】
(2)接続アダプタ109の外周面と凹部119の内周面で車重を受けるため、接続アダプタ109とセンターディスク101を固定するボルトにかかる負荷が小さくて済み、固定ボルトの破断のリスクを減少することができる。
【0045】
(3)センターディスク101、接続アダプタ109及びハブ7の積層厚みが少なくなり、センターディスク101と車軸6との固定部分の小型・軽量化を図ることができる。
【0046】
[3.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0047】
(1)上記実施形態では、車軸側固定部110に接続アダプタ109を用いたが、車軸6のハブ7がセンターディスク101に設けられた起歪部107より外周側に固定可能であれば、センターディスク101をハブ7に直接固定してもよい。
【0048】
(2)センターディスク101に凹部119を設ける代わりに、接続アダプタ109側に凹部を設け、センターディスク101の車軸側に凸部を設けて、センターディスク101に接続アダプタ109を嵌め込んで固定してもよい。その場合でも、車重を径方向で支持することで接続アダプタ109やセンターディスク101が車重によって変形することを防ぐことができる。
【0049】
(3)スポーク状のセンターディスク101を使用したり、各種のボルト孔の径方向及び円周方向の位置をずらしたりすることで、連結シャフト4、センターディスク101及び車軸6の連結を可能とすれば、センターディスク101と接続アダプタ109をアルミニウムの鋳造品などで一体に形成することもできる。
【0050】
(4)本発明の模擬車輪100は、自動車1のホイールを換装することにより設置可能なため、自動車1で現実に使用されるタイヤ2をそのまま用いることができるが、自動車試験用に別途作成された模擬タイヤを用いてもよい。
【0051】
(5)受信装置を模擬車輪100の外部に設けたが、受信装置を受信アンテナ115と共にリング部105に設けるようにしてもよい。また、無線送信装置114の出力に応じて、受信アンテナ115を模擬車輪100の外部に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…自動車
2…タイヤ
3…ダイナモメータ
4…連結シャフト
5…フランジ
6…車軸
7…ハブ
100…模擬車輪
101…センターディスク
102…外輪部
103…第1ベアリング
104…第2ベアリング
105…リング部
106…回止部材
107…起歪部
108…シャフト側固定部
109…接続アダプタ
109a…段差
110…車軸側固定部
111a,b…シャフト連結用ボルト孔
112a,b…接続アダプタ連結用ボルト孔
113…歪みケージ
114…無線送信装置
115…受信アンテナ
116…受電コイル
117…送電コイル
118…ハブ連結用ボルト孔
119…凹部